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内壁界相性からみた集合住宅の住戸計画
青木仁敬 1.研究の背景と目的 我が国の建築は架構構造の歴史であり、構造的に壁 を要求することはなく、壁は最初から生活的意味を 持って登場した。その特徴である建具系内壁は構造的 耐力を担う架構と生活的意味を担う非耐力の内壁を分 けて住空間を構成するという歴史的解答であったとい える。一方、現在の集合住宅の内壁は非耐力でありな がら躯体と同レベルに不可分の壁であり、そのような 壁と扉が連続する姿は住宅史と比較しても特異な存在 である。また、我が国ではすでに住宅戸数の増加の速 度が世帯数増加の速度を上回っており1)、これからつ くられる住宅がどうあるべきかが問われている。 住宅建築において生活の器としての性格を最も決定 づける要素は内壁である。内壁は住宅の平面を決定 する記号であるだけでなく、物理的なモノであり、エ ネルギーの制御装置であり、建築物を構成する部分で ある。このように内壁は認識する視点によって異なる 姿(相)を持っており、その要素(界)の一側面だけ でその意味を求めることはできない。そして、ある内 壁が存在するとき各要素が特定の関係に結び付けられ る。本研究は、これを内壁界相性と新しく定義するこ とで内壁のあり方を問い、集合住宅の住戸計画がどう あるべきかという問題提起を示す(図1)。 2.研究方法 2-1.既往研究に対する本研究の位置づけと構成 建具と壁を含む内壁全般として現代に至るまでの歴 史的過程を考察した研究は少なく、その内容も、意匠 的観点によるものに偏っている2)。また、住宅のプラ ン分析において、量や素材などの物理的観点を含めた 研究は少ない3)。それに対し、本研究は、内壁の諸相 を捉える多角的な視点による史的考察 ( 三章)、定量 的観点の導入を重視したプラン分析によって内壁の第 二相(記号的側面)に物理性を付加した実体的な分析 を行い(四章)、集合住宅の住戸計画を総合的に考察 する(五章)。 2-2.研究手法 1)三章 _ 内壁の史的考察 文献調査4)によって行う。 図2:定量モデルの作成とデータの抽出手順 I(t) t=0.5 t=0.5 t=1 I(t*k) t=0.5 t=1 内壁量 = I I(k) k = 0.5 名称 記号 単位 定義 指標の性質 内壁量 I m 壁体の総量 延床面積 A ㎡ モデル図より算定 -可動補正係数 k - ※1 記号的性質の反映 透過補正係数 t - ※2,表3 素材的性質の反映 内壁密度 - - I/A 単位面積当たり壁体の構築量 m m 可動補正内壁量 I(k) 建具開放時の壁面の長さ 可動部分 - I-I(k) 可動部分の長さ 可動内壁指数 - - I(k)/A 開放できる部分の割合 - I(i) - 建具閉鎖時の壁面の視覚的性質 閉鎖時透過補正内壁指数 -- I(i)/A I(i)の相対的な指標 - I(t*k) -建具開放時の壁面の視覚的性質 開放時透過補正内壁指数 I(t*k)/A I(t*k)の相対的な指標 壁面の素材 透明板ガラス ガラスブロック 磨りガラス 障子紙 多孔質な壁 透過補正係数 t=0.1 t=0.25 t=0.3 t=0.5 t=0.5 備考 入射角0度における可視光透過率より設定 有効率50%と仮定 ※1 可動補正係数の考え方 建具を開いた時の長さを乗算により算出する係数 引違戸は k=0.5となる。扉,引戸等は k=0とする ※2 透過補正係数の考え方 素材の透過性から求めた補正係数によって内壁の 長さを重みづけし視覚的な性質を表す指標を得る 表1:定量分析に用いる指標の定義 図1:内壁界相性マトリクス 表2:透過補正係数の数値 P ෆቨ㔞ࡢィ⟬ P P P ձᖹ㠃ᅗ┿ࡽෆቨࢆㄪᰝ ղᛶ㉁ࡈቨయࢆࣔࢹࣝ ճศᯒ⏝ࡢࢹ࣮ࢱࢆᢳฟ 2)四章 _ 内壁の定量化による住宅類型 各時代の典型的な事例を対象に、情報を整理するた めのデータベースを作成した。次に、定量的プラン分 析を行うための分析指標を設定し ( 表1, 2)、それら の指標を反映させるために対象となる住宅の平面図を モデル化を行う ( 図2)。得られた数値とデータベー スの情報とを統合することにより分析を行う。 [ 第 一 相 ] 物 理 的 側 面 ≀ ⌮ ⓗ ࡞ ࡶ ࡢ ࡋ ࡚ ぢ ࡿ ᵓ 㐀 ຊ Ꮫ ᮦ ᩱ Ꮫ ィ ⏬ Ꮫ ព Ꮫ ᵓ ἲ Ꮫ ⏕ ⏘ Ꮫ ⎔ ቃ ᕤ Ꮫ ᮦ ᩱ ࣭ 㔞 ࣂ ࣛ ࣥ ࢫ 㛤 ཱྀ ࣭ 㓄 ⨨ ࢸ ࢡ ࢫ ࢳ 䣺 ⤌ ❧ ࣭ ᕤ ⏕ ⏘ ࣭ 㐠 ᦙ ⣲ ᮦ ✵ 㛫 ࣭ ᶵ ⬟ ⓗ ព ࢆ ᢸ ࠺ グ ྕ ࡋ ࡚ ぢ ࡿ ᘓ ⠏ ≀ ࡢ 㒊 ศ 䣍 ᵓ ᡂ せ ⣲ ࡋ ࡚ ぢ ࡿ ࢚ ࢿ ࣝ ࢠ 䤀 ࡢ ไ ᚚ ⨨ ࡋ ࡚ ぢ ࡿ [ 第 二 相 ] 記 号 的 側 面 [ 第 三 相 ] シ ス テ ム 的 側 面 [ 第 四 相 ] エ ネ ル ギ ー 的 側 面 ᅄ ࡘ ࡢ ┦ ㄆ ㆑ ࡢ ど Ⅼ ᘓ ⠏ Ꮫ ࡢ 㡿 ᇦ ᢏ ⾡ ࡢ ᒓ ᛶ 組積造の壁 病室のカーテン 真壁の張壁 核シェルターの壁 ガラス間仕切り 小窓のある塗壁 真壁の塗壁 焼成煉瓦の壁 障子 簾 RC壁 襖 > ➨ ୍ ┦ ࡢ ㄆ ㆑ @ > ➨ ┦ ࡢ ㄆ ㆑ @ > ➨ ୕ ┦ ࡢ ㄆ ㆑ @ >➨ ᅄ ┦ ࡢ ㄆ ㆑ @ ࣭ ᅄ ࡘ ࡢ ┦ ࡣ ࡑ ࢀ ࡒ ࢀ ᑐ ࡞ ࡿ ᴫ ᛕ ࡀ Ꮡ ᅾ ࡍ ࡿ 劤 ࠉ ➨ ୍ ┦ 协 ⪏ ຊ 㸭 㠀 ⪏ ຊ 卐ࠉ ࠉ ➨ ┦ 协 ⤖ ᛶ 㸭 㛵 ಀ ᛶ 卐 ࠉ ➨ ୕ ┦ 协 ࣥ ࢸ ࢢ ࣛ ࣝ 㸭 ࣔ ࢪ 勑 ࣛ 勖 卐 ࠉ ➨ ᅄ ┦ 协 㐽 ⶸ 㸭 ㄪ ᩚ 卐 ࣭ᅄࡘࡢ┦ࡼࡗ࡚ ෆቨ⏺┦ᛶࡣㄆ㆑ࡉ ࢀࡿࠋ ࣭ෆቨࡢࢹࢨࣥ ࡣᅄ┦ࢆ≉ᐃࡢ㛵ಀ ⤖ࡧࡅࡿࡇ࡛ ࠶ࡿࠋ40-2 3.内壁の諸相 3-1.日本における内壁の歴史的過程 内壁は建築本体(躯体)に固定されたものと移動間 仕切りとよばれる建具とに大別することができる。我 が国の歴史における前者の代表は土壁であり、後者の 代表は襖・障子である。それらを中心に近代前史の要 点を以下の5点に整理した。 1)後期寝殿造系邸宅における規模の縮小と可動性か らくる建具の面積的機能性への着目 十一世紀も後半から十二世紀になると高位の貴族邸 宅も以前程の規模を持たないものになっていき、型通 りの寝殿造はつくれず、儀礼と実用性の両立が求めら れるようになる5)。そこでは居住空間を最初から小分 けにするため建具が多く使用された。 2)近世における建具の規格化によるスケルトン賃貸 の先駆例の存在 都市庶民にとっては、住居規模を考えても内部に建 具を持つようになるのは十六世紀頃だと思われるが、 そのほとんどは長屋を借りて暮らしており、元禄時代 大阪の町人地では畳や建具を付けずに貸す裸貸しと呼 ばれる方式が発達している6)。 3)最終的な木舞下地土壁の採用にいたる理由として の調湿機能 土壁の歴史的過程においては最終的に木舞下地土壁 が最良の方式として採用されていく。現在も土壁を扱 う工務店ではその採用理由を調湿機能に求めており、 日本の風土に対する解答としてそのような認識が歴史 的にも形成されたと考えられる7)。 4)中世城郭・土蔵建築にみる大壁は耐力壁を指向し たものではない 住宅史において大壁が登場するのは近代になってか らであるが、中世の段階ですでに城郭・土蔵建築では みることができる。これは土壁の耐火性や大壁による 機械的破壊力への防御を目的としており、耐力壁とし て用いられたものではない8)。 5)草庵茶室を契機とした糊料の発展 中世に創始した草庵茶室では意匠的に高度な土壁を 追求し、糊料としての海藻の使用が考案される。これ は耐久性の観点からはむしろ不要なものであり土壁に おける他国では無い特徴である。 3-2.内壁の近代化過程 近代以降は結論として住宅の内壁は大壁・乾式化に 向かうが、その要因は住宅供給という時代的主題と、 戦後思想潮流における新しい住様式の模索にある。 ・戦前後工業化住宅の試作と住宅供給という主題 明治初期より洋風邸宅の建設が始まり、そこでの洋 室の壁は真壁の塗厚を大きくしたようなものであった が、明治後期から昭和初期にかけ木摺漆喰大壁が主流 となっていく9)。ここで使用される大壁はいずれも洋 風意匠のものであり、廊下など他の部分で本格的に使 用されるのは昭和以降である。 昭和十年には土浦亀城や市浦健らが木造パネルによ る乾式工法を採用した試作住宅を始めとして、戦前か ら戦後にかけては大量生産を意図した様々な試みが行 われ10)、大壁構法・乾式工法が新建材による生産合理 性の観点で有利であることを示し、その後の住宅構法 に大きな影響を及ぼした。 ・戦後思想潮流における新しい住様式の模索と集合住 宅内壁への影響 我が国において集合住宅の建設が本格化されるのは 第二次大戦後の公営住宅が契機である。ここでは合理 的・近代的な生活の創出を主題とし、新しい住様式の 模索が行われた。しかし、その裏では民主化と称した 伝統的空間言語=封建的なものという単純な図式によ る方面が強く展開されていた社会の一面もある11)。 1955 年に日本住宅公団が設立され、集合住宅の大量 建設が開始された。当時、個人住宅においては、プリ ント合板の普及に伴う内壁の乾式化が進んでおり12)、 高度な工業化が要請される団地建設においては当然そ のような乾式の壁体が採用され定型化した。 3-4.小結 内壁の歴史過程における近代前史は非耐力壁におけ る機能拡張の歴史である。つまり、第一相(構造的側 面)における非耐力璧として何ができるかという問題 提起を基に、機能変化に対する順応性の重視から、第 二相(記号的側面)での面積的機能性、第三相(建築 システム的側面)でのモデュラー化追求という建具の 発展につながっている。 一方で、内壁の近代化過程においては第三相におけ る生産時最適化を第一義とし、乾式大壁とした結果、 第一相において耐力・非耐力の位置づけが不明瞭とな り、第二相においては思想潮流も受け日本式建具系内 壁から壁 / 扉系内壁へと規定されたといえる。いずれ の過程においても第四相(エネルギー的側面)は他三 相に影響を与えるという程重要視されてはおらず、前 史過程においては素材の選択による採光・調湿性の着 目、近代以降は住生活イメージの変化からくる遮音性 の要求を求める程度である。
40-3 ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ P ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ ⟬ᐃ⏝ᗋ㠃✚੍ 玄関脇に土間の小空間は南の部屋 で接客時の裏動線も兼ね、小面積 を細やかに分化。内壁密度が高い。 二寝室で1つが廊下 , もう 1つが LDK と接続。No.24 ( 右 ) と内壁密度が近い。 三寝室で2つが廊下 , も う1つが LDK と接続。 洗面所が台所と廊下を 結び裏動線を兼ねる。 接地階住戸で玄関 とは別に道沿いに 開く部屋を設けた 例で部屋数も多く 大型の例の中では 内壁密度が高い。 二寝室とデュ アルリビング を設けた大規 模住戸。単室 膨張で内壁密 度が低い。 水回りを片側に設け、東西に風が抜ける建具の工夫 をしたスタジオ型構成の平面で , 内壁密度が低い。 No. 34 No. 23 No. 35 No. 91 No. 30 No. 32 > ᯇࡀୣࡢ㞟ྜఫᏯ @ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸㇂ෆ⏣❶ኵ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹑㐀 > ࢧࣥࢢ࣮ࣞࢺ㧗ᐑࣦ ࣥࢭ @ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸࣮࣒ࢫࢹࢨࣥ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹐㹁 > ࣜ࣋ࣞྥ㝧ྎ @ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸ᒣタィᕤᡣ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹐㹁 > ࣃ࣮ࢡࢩࢸᮏ∾ @ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸୕ᘓタ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹐㹁 > ࣉ࣒ࣟࢼ࣮ࢻከᦶ @ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸ᆏᘓ⠏◊✲ᡤ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹐㹁 >$3(572@ ᘓタᖺḟ㸸 タィ⪅㸸⠛ཎ⪽Ꮚ ᵓ㐀ᙧᘧ㸸㹐㹁 SCALE=1/500 4.住宅における内壁の定量的分析 4-1.内壁密度と延床面積 図3に内壁密度と延べ床面積を対応づけた結果を示 す。内壁密度は単位面積あたりの壁体構築量でありプ ランの形成において最も特徴が現れる基礎的な指標で ある13)。図4にみるモデル図は三つの住宅類型例を面 積が同程度に見えるよう縮尺を変えたものであり内壁 密度を直感的に把握することを意図したものである。 特に中流住宅は内壁密度が高く建具と小壁が多いこと がわかる。 4-2.可動内壁指数と建設年次 図5に可動内壁指数と建設年次を対応づけた結果を 示す。可動内壁指数は内壁の可動部分の割合であり、 高ければ建具系内壁、低ければ壁 - 扉系内壁であるこ とをを示す14)。集合住宅の勃興期の同潤会アパートが 当時の中流住宅のプランを踏襲したものであること、 また、現代みられるような集合住宅が住宅史において 中流住宅とは異なる系譜にあることが示された。 4-3. 透過補正内壁指数と内壁密度 透過補正内壁指数により素材の視覚的性質を反映 し、内壁密度と対応づけた結果を図6に示す。図中縦 線は上端が閉鎖時透過補正内壁指数、下端が開放時透 過補正内壁指数であり、その長さは図5に示す可動内 壁指数と比例関係にある。中流住宅は閉鎖時透過補正 内壁指数が均衡線15)の下にあり、開放時透過補正内 壁指数との差が大きいことから高い内壁密度のなかで 空間の視覚的性質を大きく調整していることがわか る。また、集合住宅は内壁密度 0.4 ~ 0.8 の間に相当 数の事例があり特徴的な分布を示している。 4-4.集合住宅に着目した分析 集合住宅に着目して延床面積と内壁密度を対応づけ た結果を図7に、図8に各面積帯で特徴的なプランの モデル図を抽出し数値との関係を示す。全体の分布は 80 ㎡付近を頂点とする放物線を示し、住戸規模の増大 とともに部屋数の増加傾向によって内壁密度は上昇し ていくこと、一定規模になると面積的余裕から部屋数 が飽和することで内壁密度が下がる傾向にあることが わかった。分布の輪郭は 70 ~ 80 ㎡付近で内壁密度の 振れ幅が小さいダンベル状となった。小規模住戸では 対象とする世帯や部屋数に幅があり、大型住戸では余 裕ある面積の使用法の差異により内壁密度の幅が大き くなっているようである。これらに対し中規模住戸で は面積に応じた数の私室の廊下型構成や諸室の面積配 分などほとんど画一化されたものである16)。 0 50 100 150 200 250 300 [㎡] [I/A] 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 集合住宅 中流住宅 モデルハウス <凡例> ①モデルハウスの例(No.61) [モデル図の比較] ②中流住宅の例(No.50) ③集合住宅の例(No.16) 不透明,単純壁 <凡例> 不透明,扉等 不透明,引違戸 面積算出基準 明障子,引違 ③ ② ① [I-I(k)/A] [年] 集合住宅 中流住宅 モデルハウス <凡例> 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.225 0.175 0.125 0.075 0.025 1860 1880 1900 1920 1940 1960 1980 2000 2020 お茶の水文化アパート 同潤会アパート(代官山) 標準設計63-3_4_5N_2DK 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5 0.55 0.6 0.65 モデルハウス 集 合住 宅 中流住 宅 均衡線 [I(t),I(k*t)/A] [ I/A ] 注1)均衡線はI(t)/A=I/Aであり建具を閉じた状態で 壁面が全て不透明な壁となることを示している。 注2)縦線の長さはI(t)/A-I(t*k)/Aであり可動部分の長さを示す。 図3:内壁密度と延べ床面積 図4:モデル図でみる内壁密度 図5:可動内壁指数と建設年次 図6:閉鎖 - 開放時透過補正内壁指数と内壁密度 図7:集合住宅における内壁密度と住戸面積の関係 図8:モデル図でみるプランと数値の関係 >,$@ >੍@ ึᮇ㞟ྜఫᏯ බႠఫᏯ ᘓ⠏ᐙ බᅋ බᅋ㸩ᘓ⠏ᐙ ࡑࡢẸ㛫ᴗ 1R 1R 1R 1R 1R 1R
40-4 5.集合住宅における内壁のあり方 5-1.中規模住戸の社会的性格と問題 中規模住戸の社会的性格を整理すると以下の4つに 定められる17)。①所有形態は分譲住宅、②家族形態は 核家族であり、従って③時間変化の問題があり、一方 で④面積的余裕は少ない18)。つまり、プランの柔軟性 が最も求められる面積帯でありながら、内壁はそれに 順応しておらず変更も困難という現状である。 5-2.二段階供給方式(SI住宅)の現在 前項の問題に対する反動としていわゆるSI住宅を 位置づけることができる。現在行われている提案の性 格19)として、1) インフィルが特注であること、2) フ リープラン住宅と混同されたものが多く計画的教導性 に欠けていること、3) 壁系可変インフィルが性能面で 未熟であることが挙げられ20)、その開発内容には集合 住宅の実態的問題と若干の乖離が見られる。 5-3.これからの集合住宅における住戸計画 これからの集合住宅は特に中規模住戸に対し、まず 第一段階として居室間内壁の撤去を可能にすること、 つまり、内壁の工法見直しによって他の構成要素との 性能的相互依存を下げ、住戸の機能的順応性を確保す ることが急務である。 第二段階として、躯体+インフィルとしての「建具」 による住戸平面の再構成を行うことが求められる。壁 系可変インフィルの現状を勘案しても、機能的柔軟性 の高い建具の洗練を行う方が優位である。そもそも、 壁 / 扉系内壁は性質上廊下を要求するため面積的余裕 のない中規模住戸において通路空間の割合が大きいと いう平面的問題の解決にならず、むしろ建具系内壁に よって室同士が接合する日本的間取りを再構成した場 合、実質的居住面積を増加させることが可能である。 5-4.建具系内壁住戸のケーススタディ 建具系内壁による簡単な住戸平面を想定し、中規模 住戸の問題について考察を行うことを目的としたケー ススタディを行う(図9)。ここでは従前の廊下型プ ランにみられる通路専用空間を無くし、代わりに温熱 的干渉帯も兼ねた縁側を設けることができた。一方で、 廊下型プランが志向した私室の独立性も対角就寝とす ることで確保されており、また、居室間内壁の一時撤 去が可能になることで家族変化に合わせた室配置とす ることができている。 5-5.課題 建具系内壁による住戸平面の再構成を行う場合、遮 音弱さからくるプライバシーの観点によって否定され 図9:建具系内壁による集合住宅住戸のケーススタディ る場合があるが、これは前史で扱われなかった第四相 (エネルギーの制御装置として)の問題である。これ を技術的に21)洗練すれば、実効性は高いといえる。 6.総括 本論文では、認識のための多角的視点;内壁界相性 を定義し、内壁自体の我が国における発展過程と、現 在の集合住宅の内壁がどのように規定されたかという 問題を明らかにした。次に、定量的観点を重視したプ ラン分析により、イメージで語られてきた住宅の諸性 格を可視化し、集合住宅における問題の所在位置を明 らかにした。そして、これからの集合住宅における住 戸計画の指針として、特に中規模住戸に対する内壁の モジュラー化と日本式建具再構成の可能性を示した。 註訳 註1)『国民生活基礎調査』および総務省『住宅土地統計調査各年度版』 註2)壁に関する研究として川上邦基、山田幸一による業績があるが主に土壁に着目したものである。 註3)位相幾何学的な空間の関係を扱った手法としてスペースシンタクス理論やグラフ理論に基づくモ デル化によるものが考察されているがその多くは室ユニット間の隣接関係から室配置平面グラフを作成 するものであり定量的情報は省略される、定量的観点でのプラン分析を行った例としては日下・斉藤に よるボロノイ分割を用いた戸建住宅のプラン分析があるが開口部や素材を壁面と同様に簡略化し全体的 な空間の形状の把握を重視したものであり定量的分析としては不十分である。 註4)主要参考文献:山田幸一著『壁』1981, 武者小路穣著『襖』2002 / 法政大学出版会 註5)太田静六『寝殿造りの研究』より、左大臣藤原頼長の宇治小松殿では対屋や対代も無い 註6)高田光雄『大阪における「裸貸し」の伝統と次世代住宅「ふれっくすコート吉田」』2001 註7)東京大学大学院松村研究室 1999 年「木造軸組住宅生産者アンケート」より 註8)耐力壁を指向する場合、骨材(川砂)が重要であるが我が国の土壁では殆ど使用されなかった 註9)内田祥哉編著『建築工法』1996 / 市ヶ谷出版社より 註 10)日本建築学会編『工業化戸建住宅・資料』1984 / 彰国社より 註 11)戦後の反封建思想は浜口ミホの『日本住宅の封建制』に集成される 註 12)註9に同じ 註 13)同じ室配列・面積配分の住宅であっても方位や周囲の状況によって位置が入れ替わるが内壁密度 は同じである 註 14)本論文において建具系内壁とは柱と建具で主に空間を構成するもの , 壁 - 扉系内壁とは壁と扉で 空間を構成するものとする 註 15)内壁密度は内壁に建具、素材の属性を与えず全て単純な線として換算したものであるため内壁密 度と閉鎖時補正内壁指数が等しくなる均衡線は建具を閉じたとき壁面がすべて不透明な壁として認識さ れることを示している 註 16)65 ~ 75 ㎡の住戸サンプル中6件で5件が 2LDK、1 件が 3LDK、75 ~ 85 ㎡の住戸 6 件で 5 件が 3LDK、1 件が 4LDK となっており、建設年次は 1979 年~新築の幅があり設計者もすべて違うものである 註 17)平成 20 年度住宅土地統計調査および追加集計全国第 19 表より 註 18)福岡県最低居住水準および都市居住型誘導居住面積水準より 註 19)日本建築学会住宅小委員会編『事例で読む現代集合住宅のデザイン』2004 / 彰国社 , p57 註 20)李 容圭 高田 光雄 安枝 英俊 『東大阪吉田 -2 団地における入居後可変インフィルの利用実態』 註 21)環境工学的意味での防音技術あるいは室構成等による住居計画技術によって 寝室1 寝室 余室 居間1 居間2 寝室2 間2 間3 間4 間1 バ ルコ ニ ー 縁 側 設備系空間 玄関 居間系 㸺ซ㸼 ㏱᫂༢⣧ቨ ㏱᫂ᘬ㐪ᡞ ㏱᫂ᡬ➼ ᫂㞀Ꮚࠉࠉ ㏱᫂࢞ࣛࢫᘬ㐪ᡞ 寝室系 居間系 [ ケース1:育児期 ] [ スタディのためのモデル図 ] [ ケース2:子供室要求時] [ ケース3:子供独立時 ] 算定用床面積 : 70㎡ 内壁密度 : 0.5471 可動内壁指数 : 0.192 透過補正内壁指数 : 0.48 - 0.32 ࢣ࣮ࢫ㸯㸸⫱ඣᮇࡢ㓄⨨ ࠉ㛫ࡢቃ⏺ࢆྲྀࡾእࡋ ⣡ࡍࡿࡇ࡛ࡘࡢᗈ࠸✵ 㛫ࡋࡓ࡛࠶ࡿࠋ ࢣ࣮ࢫ㸰㸸Ꮚ౪ᐊせồ ࠉぶᏊࡀᑐゅᑵᐷࡍࡿࡇ ࡛㡢ࡢၥ㢟ࢆᅇ㑊ࡋࠊᏊ౪ᐊ ࡀࡶ࠺୍ࡘᚲせ࡞ሙྜࡣᒃ㛫 㸰ࢆᐷᐊࡍࡿࠋ ࢣ࣮ࢫ㸱㸸Ꮚ౪⊂❧ ࠉ㛫㸲ࢆᐈ㛫ࡸ㊃ᐊ࡞ከ ⏝㏵✵㛫ࡋ࡚⨨ࡅࠊᗈ ࠸ᒃ㛫ࢆྲྀࡗࡓ࡛࠶ࡿࠋ