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福井市中心市街地商店街の現状とまちづくり

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福井市中心市街地商店街の現状とまちづくり

著者 高山 一夫, 有元 淳記, 猪嶋 健二, 丹所 祐樹, 渡 辺 洋樹

雑誌名 福井医科大学研究雑誌

巻 1

号 2

ページ 255‑273

発行年 2000‑06‑30

URL http://hdl.handle.net/10098/969

(2)

福 井 医 科 大学 研 究 雑誌 第1巻 第2号(2000)

福井 市 中心市街地 商店街の現状 とまちづ く り

高 山 一 夫*,有 元 淳 記**,猪 嶋 健 二*㌔ 丹 所 祐 樹**,渡 辺 洋 樹*率

*経 済 学 教 室

,**医 学 科2年 (平 成12年4月12日 受 理)

Current situation of the central Fukui shopping center and the urban planning

Kazuo TAKAYAMA*, Atsuki ARIMOTO**, Kenji INOSHIMA**,

Yuki TANSYO**, Hiroki WATANABE**

*Department of Economics , **2th Year Student, School of Medicine

Abstract: This is a study of the current situation of central Fukui city, focusing on its eco- nomic situation and the urban planning. The Data has been drawn from a questionnaire dis- tributed to shops belonging to five of the business promoting organizations, and from interviews with Darumaya-Seibu department store. On the economic aspect, we found that:

(1) the central Fukui shopping center is relatively depressive, contrasting to the suburban commercial districts, (2) among the shops, there is an unequal economic development, and (3) a great number of shops agree to the enlargement of Darumaya-Seibu department store, but a few smaller shops are starting to feel differently. On the urban planning, especially con- :,‘erning the issue of urban transport and population distribution, we found that: (1) many of shops expect the development of a community bus system, but they also want to increase parking lots, and (2) according to a census, the population of central Fukui city, while get- ting smaller, is also getting older. Despite many limitations of our analysis, we can foresee two possibilities for the future of central Fukui city. One would be to become a highly- developed managerial and business center. The other would be to reestablish itself as a com- munity.

Key Words: shopping center, department store, retail commerce, urban planning, transport, community bus, population distribution, central Fukui city

urban

一255

(3)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹,渡 辺 洋 樹

は じめ に

長 ら く不 振 に 喘 い で きた 福 井 市 中 心 市 街 地 商 店 街 は,い ま,大 きな 転 換 期 を迎 え て い る 。1999 年9月 に だ る まや 西 武 新 館 が 開 店 し,あ る い は地 下 駐 車 場 整 備 や コ ミュ ニ テ ィバ ス運 行 が 開 始 さ れ る な ど,都 心 部 で の 賑 わ い を 取 り戻 そ うと の気 運 が 高 ま って い る。 しか し他 方,大 和 田 を は じ め とす る福 井 市 郊 外 に シ ョ ッ ピ ン グセ ン タ ー ・パ ワー セ ソ タ ー の進 出 が 相 次 ぎ,ま た ス プ ロ ー ル 化 に 歯 止 め が か か らな い 等,郊 外 型 商 業 集 積 との 空 間 的 競 争 も激 しさ を増 して い る 。 そ こで 本 稿 の 課 題 は,中 心 市 街 地 の 現 状 を 小 売 商 業 と ま ち づ く りと の二 つ の視 点 で 分 析 し,「 県 都 の 顔 」 と して の方 向 性 を 展 望 す る こ とに あ る(1)。

本 稿 は,既 存 の統 計 資 料,記 述 資 料 に加 え て,2000年1月7日 か ら12日 にか け て独 自 に 行 っ た ア ンケ ー ト調 査 お よび だ る ま や 西 武 百 貨 店 に 対 す る ピ ア リソ グ調 査 の 結 果 を も踏 ま え て い る(2)。

ア ソ ケ ー ト調 査 は,質 問 項 目の 説 明 や 回 答 内 容 に対 す る簡 単 な質 疑 を 行 い,ま た 現 地 で の 見 聞 を 深 め る 目的 で,調 査 員 が 各 商 店 に 訪 問 して 配 布 お よび 回収 を 行 う配 布 回 収 法 に よって行 わ れ た 。 質 問 事 項 に 関 して は,各 種 商 店 街 調 査 お よび 福 井 商 工 会 議 所 で の討 論 を踏 ま え て,「 各 商 店 の 概 要 」 「だ る ま や 西 武 新 館 に 対 す る意 向 」 「駅 周 辺 の 環 境(ま ち づ く り)に 対 す る 考 え 」 の 三 点 か ら 設 定 した 。 す な わ ち,① 「各 商 店 の概 要 」 で は,業 種,客 層,立 地 区 域 お よび 商 店 街 振 興 組 合 へ

の 加 盟 状 況,従 業 員 数,年 間 販 売 額 とそ の 推 移,商 業 収 入 比 率,後 継 者 の 有 無 を,② 「だ る まや 西 武 新 館 に 対 す る意 向 」 で は,開 店 前 後 で の 賛 否 とそ の 理 由,個 人 的 観 点 か らす る賛 否 とそ の 理 由,商 店 街 の利 用 状 況 を,③ 「駅 周 辺 の環 境(ま ち づ く り)に 関 す る考 え 」 で は,コ ミュ ニ テ ィ バ ス の効 果 と希 望 ,TMOの 認 知,行 政 へ の要 求 項 目を,そ れ ぞ れ 質 問 事 項 と した(3)。調 査 地 域

お よ び調 査 対 象 は,福 井 商 工 会 議 所 の 助 言 を 受 け て,福 井 駅 前 逓 福 井 駅前 南 逓 新 栄 サ ソR一 ド北 の庄,元 町 の5商 店 街 振 興 組 合(元 町 は 商 店 街 協 同 組 合)に 立 地 す る全 店 舗 と した 。た だ し、

バ ー ・ス ナ ッ ク ・ナ イ トク ラ ブ等 の 飲 食 店 と長 期 休 業 中 の店 舗 に 関 して は,調 査 対 象 か ら除 外 し た 。 ア ソケ ー ト用 紙 配 布 商 店 数250店 に 対 して,回 収 件 数 は214店,回 収 率 は85.6%で あ る。 なお, だ る まや 西 武 百 貨 店 や ま ちづ く りに 対 す る各 商 店 主 レベ ル の 意 識 調 査 は,我hの ア ソ ケ ー ト調 査 が は じめ て で あ る 。

ま た,ア ソ ケ ー ト調 査 と並 行 して,数 度 に わ た る ピア リ ソ グ調 査 を だ る ま や 西 武 百 貨 店 に 対 し て 実 施 した 。 主 な 聞 き取 り項 目は,新 館 開 店 に 際 して の 経 営 的 見 込 み とそ の 後 の状 況,お よ び 中 心 市 街 地 活 性 化 に 対 す る取 り組 み 内 容 で あ る(4)。

1.中 心 市 街 地 商 店 街 の 現 状

平 成9年(1997年)の 商 業 統 計 調 査 に よれ ば,福 井 市 に は54の 商 業 集 積 地 区 が 存 在 し,そ れ ぞ れ 「近 隣 型 」 「郊 外 沿 道 型 」 「郊 外 拠 点 型 」 「中 心 型 」 に 分 類 され て い る。 こ こ で 商 業 集 積 地 区 と は,都 市 計 画 法 の 用 途 地 域 に お い て 商 業 地 域 お よび 近 隣 商 業 地 域 に 区 分 され て い る地 域 の うち, 小 売 業 ・飲 食 店 ・サ ー ビス業 が 近 接 して30店 舗 以 上 あ る も の,お よび シ ョ ッ ピ ソ グ セ ン タ ー ・多

(4)

福 井市 中心 市 街地 商 店 街 の 現状 とま ちづ く り

事 業 所 ビル(駅 ビル,寄 合 百 貨 店 等)の 存 在 す る地 域 の こ とで あ る 。 分 析 を 単 純 化 す るた め,以 下 で は 「郊 外 沿 道 型 」 と 「郊 外 拠 点 型 」 を 郊 外 型 商 業 集 積 と一 括 し,「 近 隣 型 」 を 捨 象 す る 。 ま た,「 中 心 型 」 に は ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 した 前 記5つ の 商 店 街 の他,さ ら に6つ の 商 店 街 が 含

まれ て い るが,特 に 断 ら な い 限 り,5商 店 街 の み を 取 り上 げ る こ とに す る(5)。

1.中 心 市 街 地 商 店 街 の 沿 革 と郊 外 型 商 業 集 積 の 台 頭

現 状 分 析 に 先 立 ち,中 心 市 街 地 商 店 街,郊 外 型 商 業 集 積 そ れ ぞ れ の 沿 革 を 概 括 して お く こ とは 有 益 で あ る。 こ こ で は,ま ちづ く りとの 関 連 か ら,都 市 計 画 と くに 道 路 整 備 に 注 目 した い(6)。

今 日の福 井 市 中 心 市 街 地 は,戦 災 復 興 で あ る特 別 都 市 計 画 法 の 適 用(1946年)と,福 井 地 震 (1948年)後 の 震 災 復 興 とを 画 期 と して 形 成 され た 。 戦 災 復 興 に お い て は,① 土 地 区 画 整 理 事 業 の 点 で は,福 井 駅 前 か ら電 車 通 りを 経 て 呉 服 町 に 至 る地 域 を 中 心 的 な商 業 地 域,当 該 地 域 と郊 外 部 との 主 要 連 絡 道 路 沿 線 を 路 線 式 商 業 地 域 と し,② 都 市 計 画 道 路 整 備 の 点 で は,市 街 地 中 央 に 国 道8号 線(現 在 の フ ェ ニ ッ クス 通 り)を 整 備 し,ま た 北 側 に 移 した 福 井 駅 の 東 西 広 場 か ら市 街 地 中 央 を 横 断 す る装 飾 道 路 を 敷 設 す る こ とに な った 。 そ の 他,公 園 の 配 置 や 墓 地 の移 転 等 も決 定 さ れ た 。 次 い で 震 災 復 興 に お い て は,上 記 計 画 に 加 え,街 路 の 拡 大 や 上 下 水 道 の 整 備,防 災 施 設 の 配 置 が 盛 り込 まれ た 。

土 地 区 画 整 理 事 業 や 道 路 整 備 が 進 め られ,ま た 日本 経 済 全 体 が 高 成 長 を 続 け る な か で,中 心 市 街 地 商 店 街 も活 気 を 増 して い く。 幾 つ か の 事 例 を 紹 介 す る と,こ の 時 期 は ス ー パ ー マ ー ケ ッ トが 小 売 商 業 の新 業 態 と して 登 場 した 時 期 で あ る が,中 心 市 街 地 商 店 街 で は 早 く も1956年 に ス ー パ ・一 マ ー ケ ッ ト ・ハ ギ レヤ が 参 入 して お り,そ の 後 も参 入 が 相 次 い だ 。1957年 に は 「大 ア ー ケ ー ド」

と して 話 題 を 呼 ん だ 新 栄 商 店 街 の ア ー ヶ 一 ドが 整 備 され,1958年 に 福 井 ビル に 福 井 名 店 街 が 誕 生 して い る 。1966年 に は バ ス タ ー ミナ ル を 伴 う 「デ パ ー ト式 共 同 店 舗 」 ニ ュ ー ま るせ ん が 開店 して お り,こ れ は 当 時 北 陸 最 大 規 模 で あ った 。 こ う して,1950年 代 か ら60年 代 にか け て,中 心 市 街 地 商 店 街 は 最 盛 期 を 迎 え る こ と に な った 。

と ころが,1960年 代 後 半 を 境 に,都 市 計 画 の重 点 は 郊 外 へ と移 され た 。 モ ー タ リゼ ー シ ョソの進 展,ま た戦 災 復 興 事 業 の 収 束 を 受 け て,郊 外 道 路 網 の整 備 と各 種 施 設 の 郊 外 移 転 が 進 め られ た の で あ る。 道 路 整 備 に お い て は,1968年 の 福 井 国 体 開 催 が 大 きな 画 期 を な す 。 す な わ ち,国 体 関 連 道 路 と して環 状 線,月 見 福 町 線(現 在 の福 井 清 水 線),加 茂 河 原 線 な ど,国 体 の 主 要 会 場 とな っ た 福 井 運 動 公 園 周 辺 道 路 が 整 備 され,ま た 国道8号 線 福 井 バ イ パ ス(現 在 の 国 道8号 線)の 建 設 も 国体 関 連 事 業 と して建 設 省 直 轄 で着 手 され た 。 そ の結 果,福 井 国 体 前 に40%未 満 で あ った 都 市 計 画 道 路 改 良 率 は,国 体 後 に は 実 に57%を 超 え る ま でに な って い る 。 加 え て,1973年 に は 北 陸 自動 車 道 丸 岡 〜 小 松 間 が 完 成 し,1980年 の 名 神 高 速 道 路 接 続 に 至 る まで 高 速 道 路 の整 備 も進 め られ た 、,

郊 外 で の 道 路 整 備 を 背 景 に,各 種 施 設 の 郊 外 移 転 も進 め られ た 。 こ こで注 目 した い のは,物 流 ・ 卸 売 業 の 郊 外 集 積 で あ る 。 従 来,福 井 市 の代 表 的 産 業 で あ る 繊 維 産 業 の 事 業 所 は,片 町(順 化 一, 二 丁 目)に 集 積 して い た 。 と ころ が 中 心 市 街 地 で は 手 狭 で あ る との 気 運 が 高 ま り,郊 外 移 転 を 望

一257一

(5)

高 山一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋健 二,丹 所 祐 樹 渡辺 洋 樹

む 事 業 所 が 増 大 した 。 そ の 受 け 皿 が 「問 屋 セ ン タ ー」 で あ る 。 問 屋 セ ン タ ーは,1971年 に20ヘ ク タ ー ル の 敷 地 を も って 造 成 され た 団地 で あ るが,そ の所 在 地 は 北 陸 自動 車道 お よび 国道8号 線 が 近 接 す る和 田 東 地 係 で あ る 。 現 在 で は,問 屋 セ ン タ ー が 周 辺 も含 め て 問 屋 街 と して 存 立 して い る 一 方,片 町 で は 事 務 所 に代 わ って テ ナ ソ トビル の 建 設 が 進 み,福 井 市 随 一 の 歓 楽 街 へ と変 貌 を 遂 げ た 。 他 の 事 例 で は,当 初 田原 町 に立 地 して い た福 井 食 品 卸 売 市 場 が,1971年 に 同 じ く国 道8号 線 に 隣 接 す る 大 和 田 地 係 に移 転 して い る。

郊 外 道 路 網 整 備 と物 流 拠 点 の 郊 外 化 を 受 け て,ま た1960年 代 か ら70年 代 に か け て 自動 車 保 有 台 数 が 年 平 均 で10%以 上 の 高 率 で増 大 した こ と も相 侯 っ て,1970年 代 後 半 以 降 郊 外 型 商 業 集 積 が 形 成 され た 。1976年 の 新 田塚 シ ョ ッ ピ ソ グセ ソタ ーを 嗜 矢 と して,77年 に ピア,80年 ベ ル,90年 パ リオ と郊 外 シ ョ ッ ピ ン グセ ソタ ー の 開 店 が 相 次 い だ 。 シ ョ ッ ピ ソ グセ ソ タ ー ぽ か りで な く,家 電 製 品 の100満 ボ ル トや 家 具 の ニ ト リとい っ た,専 門 デ ィ ス カ ウ ン トス トア(い わ ゆ る カテ ゴ リー

キ ラ ー)も 参 入 して い る。

こ う して,中 心 市 街 地 商 店 街 と郊 外 型 商 業 集 積 との 間 で 空 間 的 競 争 が 展 開 され る こ とに な った わ け で あ る が,そ れ を さ ら に 激 化 させ た 要 因 と して,1994年 の大 規 模 小 売 店 舗 法 の 規 制 緩 和 を 指 摘 しな け れ ば な らな い 。 市 内 へ の大 型 店 出 店 件 数 を 見 る と,1988年 か ら93年 の6年 間 で は9店 で い ず れ も第 二 種 の み で あ った の が,規 制 緩 和 後 の1994年 か ら97年 の4年 間 で は27店 が 出店 し,第 一 種 も6店 を 数 え て い る(7)。 郊 外 立 地 の 主 な 大 型 店 を と りあ げ る と,1996年 に ア ピタ,97年 に ワ ッ セ,そ して98年 に は ワイ プ ラザ が 開 店 して い る 。 特 に ワ ッセ と ワイ プ ラザ は複 合 型 シ ョ ッ ピ ン グ セ ンタ ー(パ ワー セ ンタ ー)と して,広 大 な 敷 地 に 多様 な 小 売 店 舗 や 娯 楽 施 設 を 備 え て い る。

2。 郊 外 型 商 業 集 積 の 現 状

表1は,福 井 市 内 に 立 地 す る 大 型 店 の 現 状 を ま とめ た もの で あ る。 同表 か ら分 か る と お り,福 井 市 の 小 売 商 業 年 間 販 売 額 に 占 め る大 型 店 の 割 合 は1991年 の25.9%か ら97年 に は30.5%へ と増 大

し,3割 を 超 え た こ とが 示 され て い る。 加 え て,売 り場 面 積 に 占 め る割 合 も同 期 間 中 に42.8%か ら54.3%へ と急 増 し,売 り場 面 積 の 過 半 を 大 型 店 が 占め て い る こ とが 分 か る 。 表1に は ワイ プ ラ ザ(1998年 に 大 和 田 で開 店)等 が 算 入 され て い な い こ とを 併 せ れ ぽ,現 状 で は 郊 外 型 商 業 集 積 の

シ ェア お よび面 積 占 有 率 は さ らに 高 ま っ て い る と予 想 され る。

表1福 井市 内の大型店 の状 況

福井市 の年間販 売額(億 円) 市 内大型店販売額(億 円) 大型店 のシェア(%)

福 井市 の売り場面積(㎡) 大型店店舗面積(㎡) 大型店の面積 占有率(%)

1991年 3,964.9 1,025.5 25.9 357,660 153,218 4z.8

1994年 4,451.1 1,118.2 27.6 383,656 i84,538 48.1

1997年 4,167.5

1,272.9 30.5 395,442 200,989 54.3 出 所)福 井 県(1998)お よび 福 井 商 工 会 議 所(1998)よ り作 成 。

とは い え,郊 外 型 商 業 集 積 間 で も激 しい 競 争 が な され て お り,商 業 集 積 ご とに 販 売 額 の伸 び 率

(6)

福井 市 中心 市街 地 商 店 街 の 現状 とま ちづ く り

は ぼ らつ い て い る 。 表2は 郊 外 型 商 業 集 積 の状 況 を ま とめ た もの で あ る 。 同 表 を 見 る と,郊 外 型 商 業 集 積 全 体 と して は1994年 か ら1997年 に か け て,商 店 数 ・年 間 販 売 額 ・売 り場 面 積 の いず れ に お い て も減 少 して い る 。 特 に,グ リー ソ ロー ドや しろ 商 店 街 サ ソニ の宮通 り商 店 街,新 田塚 フ ァ ミ リー プ ラザ に お い て い ず れ も減 少 基 調 に あ る。 対 照 的 に,幾 久 町 大 通 り商 店 街 とパ リオ商 店 街 で は い ず れ も増 大 基 調 に あ り,郊 外 型 商 業 集 積 間 で の 不 均 等 発 展 を 見 出す こ とが で きる(8)。なお 1998年 の ワイ プ ラザ 出店 を機 に 大 和 田地 区 で 大 型 店 の 出店 ラ ッシ ュが 続 い て お り,ま た そ の 近 接 地 域 に フ ェ ア モ ール 福 井 が 建 設 中 で あ る事 か ら,今 後 の統 計 資 料 に お い て は 同地 域 に お い て 商 業 集 積 の 急 速 な 発 展 を 読 み 取 る こ とが で き よ う。

表2郊 外型 商業集積 の状況

学 園 町

グ リー ンロー ドや しろ商 店 街 幾 久 町 大通 り商 店 街 サ ンニ の 宮 通 り商 店 街 新 田塚 ファミリープ ラザ パ リオ 商 店 街

ゴー ル ドショッピング 商 店 街 福 井 ショッピン グプラザ 森 田ショッピン グセ ンター

出 所)福 井 県 く1998)よ り作 成 。 1994年

78 81 33 81 17 48 79 60 38 515

(件,%) 1997

56 60 46 67 20 48 フ6 60 zo 453

一28

.2

‑25 .9

39.4

‑17 .3

17.$

o.o

‑3 .8

0.o

‑47 .4

‑23 .6

年 間 販(円,%)

1997年 化 率1994

563 1302 456

4204 29 778 1698 1387

225 8773

523

$5a 812 1316 281 864 1537 1221 184 7588

一7

‑34 n

‑35

‑3 11

̲g

‑12

‑2S

‑27

1994 643115 684117 487915 163zas 43883

643119 918215 94514a 913914

96y835 り場 面(,%)

1997 sa25 8777 10255 15119 4158 ii875 21105 15084 2237 84635

化 率 6.8

‑249 869

‑250 209 23t

‑37 0.9

‑428

‑54

と ころ で,シ ョ ッ ピ ソ グ セ ン タ ー や パ ワ ー セ ン タ ーの 場 合,核 店 舗 と並 ん で,小 売 店 も テ ナ ソ トと して 出 店 す る(9)。1997年 で は,市 内 の 大 規 模 小 売 店 舗 数75に 対 して,テ ナ ソ ト商 店 数 は444 で あ る(1°)。それ ゆ え,商 店 街 との 関 係 を 考 察 す る場 合 に は,シ ョ ッ ピ ン グセ ンタ ーや 核 店 舗 の 本 社 所 在 地 だ け で は な く,テ ナ ソ トの 性 格 を も検 討 しな け れ ば な らな い 。 総 括 的 な 資 料 を 入 手 し得

な か っ た の で,こ こ で は 地 元 主 導 型 の 代 表 と され る ワ ッセ の 事 例 を 取 り上 げ た い 。

パ ワ ー セ ソ タ ー型 大 規 模 小 売 店 で あ る ワ ッセ は ,1997年 に福井 西部 商業 開発協 同組 合を母 体 と して 建 設 され た 。福 井 西 部 商 業 開 発 協 同組 合 とは,市 内 の 小 売 業 者22店 舗 で 組 織 され た 協 同組 合 で あ る 。 各 店 舗 の 出 店 に 際 して は,衣 料 品,食 料 品,宝 石,眼 鏡,靴 な ど,品 目が 競 合 しな い よ

うに 配 慮 され,ま た イ ベ ン ト等 の 販 売 促 進 活 動 を 共 同 で行 う こ と で,集 客 力 の 向上 を 図 って い る。

そ れ ゆ え ワ ッセ は,地 元 小 売 業 者 が 共 同 で 小 売 店 舗 団 地 づ く りを 目指 した 全 国 初 の 事 例 と して, 大 き な 注 目を 浴 び て い る。 しか し訪 問 す れ ぽ 一 見 して 明 らか な よ うに,出 店 テ ナ ソ トは,勝 木 書 店,ミ ス タ ー ドー ナ ツ,ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト ・ユ ー ス 等,福 井 県 内外 で チ ェ ー ン展 開 して い る大 規 模 小 売 業 者 が 目立 ち,小 規 模 で地 域 に 固 着 した 商 店 の 努 力 に よ る も の とは 言 い が た い 。一 般 的 に 言 え ば,パ ワー セ ン タ ー とは あ く ま で も大 規 模 小 売 業 者 が 結 集 して 作 り上 げ た 私 的空 間 であ り, 自然 発 生 的 に 形 成 され た 公 的 空 間 と して ま ち の 景 観 を 構 成 して い る 商 店 街 とは 大 き く異 な る の で あ り,ワ ッセ も ま た 例 外 で は な い とい え る。

3.中 心 市 街 地 商 店 街 の 状 況

そ れ で は,中 心 市 街 地 商 店 街 は どの よ うな状 況 に あ る の か 。 先 に 述 べ た 大 型 店 との 比 較 を 行 う

一259一

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高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹,渡 辺 洋 樹

た め に,中 心 市 街 地 商 店 街 を 構 成 す る5つ の 商 店 街 に つ い て,商 業 統 計 調 査 の 結 果 を ま とめ た も の が 表3で あ る。 同表 に示 され る よ うに,全 体 と して は,年 間 販 売 額 が 絶 対 額 で も シ ェア の 点 で も低 落 傾 向 に あ る 。 大 型 店 と は対 照 的 で あ る。 しか しま た,同 表 か らは 商 店 街 毎 に傾 向 が 異 な る こ と も示 され て い る 。 駅 前 商 店 街 ・駅 前 南 通 り商 店 街 ・サ ソ ロ ー ド北 の 庄 で は 年 間 販 売 額 が 一 貫 して 低 落 して い る の に 対 して,新 栄 や 元 町 で は 上 下 運 動 を み る こ とが で き る 。 以 下 で は,こ の点 に留 意 しつ つ,ア ン ケ ー ト調 査 結 果 を 踏 ま え て 現 状 分 析 を 行 う こ と にす る 。

表3中 心市 街地商店街 の状況

福井市 の年間販 売額(億 円) 駅前商 店街(億 円)

新栄商店街(億 円) 駅前南通 り商店街(億 円) サンロー ド北の庄商店街(億 円) 元町商店街(億 円)

中心市街 地商店街合計(億 円) 中心市街 地のシェア(%)

大 型 店 の シェア(再 掲,%)

1991年 3,964.9

34U.4 31.9 67.6 24.4 31.3 495.6

12.5 42.8

1994年 4,051.1

293.2 29.6 43.1 23.8 34.0

423.7

10.5 48.1

1997年 4,167.5

292.1 32.2

.,・

15.3 25.6 4)0.0 9.8 54.3 出 所)福 井 県(1998)よ り作 成 。

表4は,調 査 を 行 った5商 店 街 に 立 地 す る 商 店 を 業 種 お よ び主 要 客 層 の点 で ま とめ た も の で あ る。 見 られ る通 り,業 種 別 で は 小 売 業 が148店,回 答 商 店 総 数 の69.2%と 圧 倒 的 に 多 い(11)。な か で も衣 服 を 取 り扱 う商 店 が30.4

%,全 体 の3割 を 占 め て い る 。 次 い で 主 要 客 層 を 性 別 と年 齢 で み る と,30代 か ら50代 の 女 性 を タ ー ゲ ッ トと した 商 店 が 多 い こ とが 分 か る。 つ ま り中 心 市 街 地 商 店 街 全 体 と して は, 市 役 所 や 県 庁,銀 行 ・証 券 会 社 等 の支 店 が 近 隣 に 集 積 し,ま たJR福 井 駅 か ら 徒 歩 数 分 と

い う立 地 環 境 で あ るに もか か わ らず,ミ セ ス 向 け 衣 服 を 主 に 扱 って い るわ け で あ る。 そ し て ピア リ ソ グ調 査 に よれ ぽ,商 店 街 で 販 売 さ れ て い る衣 服 の 大 半 は 安 価 な非 ブ ラ ン ド品 で

あ る との こ とで あ る。

次 に,

万 円 が3割 近 くを 占 め る 他 は,

「商 業 収 入 が 主 」 で64.5%で あ り,

表4中 心 市街地商店街 の特徴(業 種別)

業種別構成 小売 業

うち衣服 飲食 業 サービス業 その他 無 回答

合計

商 占数(件)

148 65 40 zo 6 214

比率(%)

69.2

30.4 18.7 9.3 2.8 goo.0

客層別 区分(性 別)

主に男性 主に女性 両方 無回答

合計

商 店数(件)

15 90 107 2 214

比率(%)

7.0 42.1 50.0 0.9 100

客層別 区分(年 代)

小 中 高 生

20代(学 生 含 む) 30〜50代

60代 以 上 無 回 答

合 計

商 店数(件)

18 45 1#8

20 13 2凄4

比率(%)

8.4 21.0 55.1 9.3 6.1 100.0 出 所)アンケー ト調査 。

各 商 店 を経 営 規 模 別 に 縮 約 した もの が 表5で あ る 。年 間 販 売 額 別 構 成 で は,1千 万 〜3千 ほ ぼ均 等 に ぼ ら つ い て い る 。 収 入 比 率 で は 「商 業 収 入 の み 」 と

「無 回答 他 」 を 考 慮 して も半 数 以 上 が 商 業 経 営 に 依 拠 して 生 計

(8)

福 井 市 中心 市 街 地 商 店街 の現 状 と まちづ く り

を 立 て て い る こ と が わ か る 。 最 後 の 支 店 の 有 無 を み る と,支 店 を 持 つ と 回 答 し た 商 店 は51店 で 回 答 店 数214の23.8%,4 分 の1を 占 め て い る 。 支 店 を 持 つ 商 店 を 従 業 員 規 模 別 で み る と,「5〜15人 未 満 」

と 「15〜50人 未 満 」 で 半 分 を 占 め て い る が,「5人 未 満 」 が19店 で37.3%,逆 に

「100人 以 上 」 が4店 で7.8%を 占 め て い る 。 個 別 の ヒ ア リ ン グ で は,経 営 規 模 の 大 き な 商 店 の 場 合,中 心 市 街 地 に は 基 本 的 に 事 務 所 機 能 だ け を 残 し,販 売 額 の 大 半 は 郊 外 で の 売 上 に よ る と の こ と で あ る 。

ア ソ ケ ー ト調 査 で は,こ こ 数 年 間 の 売 上 高 動 向 に つ い て も 調 査 を 行 っ た 。 表6 に は,「 減 っ た 」 「か な り減 っ た 」 と い う 商 店 が 合 計 で137店(回 答 商 店 数 の64.0

%)に も の ぼ っ て い る と 同 時 に,19店

表5中 心市街商 店街 の特徴(経 営規 模別)

年間販売 別構

1千 万 円 以 下 1千 万 〜3千 万 円 3千 万 〜5千 万 円 5千 万 〜1億 円

i億 円 以 上 無 回 答 他

合 計

店数(件)

21 59 30 32 31 41 214

比 率(%)

8ハ00002

07'404094己ー 0

001

収入比率 商業収入のみ 商業収入が主 商業収入は半ば 商業外収入が主 無回答他

合計

商店数(件)

95 43 12 10 54 214

比 率(%) 44.4 20.1 5.6 4.7 25.5 goo.0

支店を持っ商店の規模

従 業 員 数5人 未 満 従 業 員 数5〜15人 未 満 従 業 員 数15〜50人 未 満 従 業 員 数50〜100人 未 満 従 業 員 数100人 以上

合 計

商店数(件)

19 13 13 2 4 51

比 率(%) 37.3 25.5 25.5 3.9 7.8 100.0 出所)アンケー ト調 査 。

(8.9%)が 「大 き く伸 び た 」 「伸 び た 」 と答 え て お り,中 心 市 街 地 商 店 街 全 体 が 苦 境 に あ る 中 で も,経 営 が 悪 化 す る 層 と好 調 な 層 とが 混 在 して い る こ とが 分 か る 。 先 の 表3に お い て売 上 高 の 推 移 に 関 して 商 店 街 レベ ル で 違 い が 見 られ た こ とを 踏 ま え て,ア ソ ケ ー ト結 果 を 用 い て商 店 街 と売 上 高 動 向 を ク ロス した もの が,表7で あ る。 同表 に お い て も,駅 前 商 店 街 ・駅 前 南 通 り商 店 街 ・ サ ソ ロ ー ド北 の 庄 の3商 店 街 で は 「減 った 」 「か な り減 っ た 」 が7割 前 後 を 占 め る の に 対 し,新 栄 や 元 町 で は 「減 った 」 「か な り減 った 」 は6割 未 満 で しか な く,「 伸 び た 」 「大 き く伸 び た 」 が

1割 か ら2割 近 くを 占 め て い る。 表3に お い て1994年 か ら97年 に み られ た 傾 向 は,現 状 に お い て も見 て取 る事 が で きた わ け で あ る 。 特 徴 的 な 動 き を 見 せ て い るの は元 町 商 店 街 で あ り,1997年 時 点 で は落 ち込 み を 見 せ た も の の,そ の 後 再 び 回 復 軌 道 に乗 っ た よ うで あ る 。 元 町 や 新 栄 商 店 街 に は若 い経 営 者 に よ る若 者 向け 衣 料 品 販 売 店 が 多 く,そ れ ら の な か に は 中 心 市 街 地 商 店 街 内部 で 支 店 展 開 す る商 店 も存 在 す る 。新 栄 や 元 町 商 店 街 の成 長 の 背 景 に は,こ の よ うな商 店 の 存 在 が 指 摘 で き る と思 わ れ る 。

以 上 の よ うに,中 心 市 街 地 商 店 街 で は,内 部 に不 均 等 発 展 を 孕 み つ つ も,全 体 と して は衰 退 す る傾 向 に あ る 。 商 店 街 の 賑 わ い を 感 じる 際 に 最 も強 く印 象 づ け られ る事 柄 は,空 き店 舗 の 問 題 で あ ろ う。 ア ソ ケ ー ト調 査 結 果 に よれ ば,今 後 の 経 営 方 針 に 関 して,「 現 状 維 持 」 が107店(回 答 商 店 数 の55.7%),「 な りゆ きに 任 せ る」 が32店(同16.7%)と 圧 倒 的 多 数 を 占 め て お り,「 積 極 的 に 拡 大 策 を 図 る」 と答 え た34商 店(同17.7%)を 大 き く上 回 っ て い る 。 最 も深 刻 な 問 題 は 後 継 者

一一一261一

(9)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹,渡 辺 洋 樹 表6こ こ数年 の販売額 の動向

大きく伸 びた 伸びた かわらない 減った かなり減った 無回答他

合計

商 数(件)

1 18 30 85 52 28 214

比 率(%)

0.5 8.4 14.0 39.7 24.3 13.1 10α0

出 所)ア ンケ ー ト調 査 。

表7商 店街別 販売額推移

回答 店数(件)

大きく 伸 た 伸びた

かわらない 減った

かなり減った 無回答他

合計

鱒井 駅 前 0 8 10 37 16 8 79

福井駅南

0 2 5 7 13 z 29

新栄

1 3 7 11 12 s 40

元町

0

3246217

サ ン ロー ド0

1520431

合計

1 17 29 79 51 19 196

成比率(%)

大きく伸びた 伸びた かわらない 減った かなり減った 無回答他

合計

'°井 駅 前 o.0 10.1 12.7 46.8 20.3 10.1 100.0

一井 駅 南 0.0 6.9 17.2 24.1

.,

6.9 100.0

新栄

2.5 7.5 17.5 27.5 30.0 15.0 10α0

元 町 o.0 17.6 1i.8 23.5 35.3 11.8 100.0

サ ン ロー ド o.0 3.2 16.1 64.5 12.9 3.2 100.0

合計

0.5 8.7 14.8 40.3 26.0 9.7 100.0 出 所)ア ン ケ ー ト調 査 。

対 策 で あ り,「既 に 血 縁 者 な ど で決 ま って い る 」 と した の は69店(32.3%)に 過 ぎ ず,「 自 分 の 代 で 廃 業 」 と した の が33店 舗(15.4%)に もの ぼ って い る。 経 営 不 振 や 後 継 者 問 題 で 廃 業 す る 商 店 が 増 え る と,空 き店 舗 も必 然 的 に増 加 し,結 果 と して 商 店 街 全 体 の さ らな る衰 退 を 招 く。1999年 に 福 井 県 商 店 街 振 興 組 合 連 合 会 が 行 っ た 調 査 に よれ ば,福 井 市 で 最 近3ヵ 年 に 新 た に 発 生 した 空

き店 舗 の 総 数 は44店 で あ り,今 後 の 空 き店 舗 数 に 関 して 「今 後 か な り増 加 す る」 「や や 増 加 す る 」 と 回 答 した 商 店 主 が57.2%と 過 半 を 占 め た とい う(12)。我hの ア ン ケ ー ト調 査 に お い て も,自 由 記 入 欄 に お い て 空 き店 舗 対 策 を 今 後 の 商 店 街 活 性 化 の課 題 で あ る と指 摘 した 商 店 が い くつ か 存 在 し た 。空 き店 舗 問 題 に 対 して は,福 井 商 工 会 議 所 が 主 体 と な って,空 き店 舗 を利 用 した イ ベ ン トを 開 催 し,ま た 小 売 未 経 験 者 に 月 額 一 万 円 の 家 賃 で チ ャ レ ン ジ シ ョ ップ を 出 店 させ る 等 の 対 策 を 講 じて い る 。 これ ら中 心 市 街 地 商 店 街 再 活 性 化 対 策 の最 大 の 目玉 と位 置 づ け られ た の が,次 に 述 べ る だ る ま や 西 武 百 貨 店 の 増 床 で あ る。

4.だ る まや 西 武 百 貨 店 と中 心 市 街 地 商 店 街

福 井 県 唯 一 の百 貨 店 で あ る だ る まや 西 武 が 中 心 市 街 地 に 開 店 した の は 比 較 的 古 く,1980年 の こ と で あ る 。 しか し近 年,西 武 百 貨 店 全 体 と して 二 年 連 続 の赤 字 を 計 上 した こ とを 機 に,経 営 戦 略

(10)

福 井 市 中 心市 街 地 商店 街 の現 状 と まちづ く り

の見 直 しが 図 られ,ま た 全 国24店 舗 す べ て で 経 営 改 善 の た め の 努 力 が 行 わ れ た 。1999年9月 の だ る まや 西 武 の新 館 開 店(増 床)も ま た,こ う した 全 社 的 な 取 り組 み の 一 環 で あ る 。 しか し本 稿 で は,主 と して ピ ア リソ グ調 査 結 果 に 基 づ き,新 館 開 店 に 踏 み 切 っ た 理 由 と中 心 市 街 地 商 店 街 へ の イ ソパ ク トと に 問 題 を 限 定 して,行 論 を 組 み 立 て る こ とに す る(13)。

ピ ア リソ グ調 査 に よれ ば,新 館 オ ー プ ソの 最 大 の 要 因 は,だ る まや 西 武 本 館 の高 利 益率 で あ る。

だ る まや 西 武 本 館 は,売 場 面 積 が 約14,000㎡ で しか な く,全 国24店 舗 中 で19位 とあ ま り大 き くは な い 。 しか し顧 客 の年 齢 層 が 比 較 的 高 い た め か,目 的 買 い の 客 が 多 く,購 買 率 は9割 近 くに 達 し て い た 。 そ れ ゆ え,西 武 百 貨 店 全 体 と して は リ ー ジ 。ナ ル ・シ ョ ッ ピ ン グ セ ソ タ ー(RSC;

RegionalShoppingCenter)(14)へ の 出店 を 新 た な経 営 方 針 に 策 定 して い るの に 対 して,だ る ま や 西 武 の 場 合 に は,都 市 型 店 舗 で あ っ て も増 床 に よ る利 益 増 が 見 込 め る と判 断 され た わ け で あ る 。 加 え て,従 来 的 な ミセ ス依 存 に留 ま らず,若 年 層 を 集 客 す る こ とで 収 益 の 拡 大 を 図 ろ う と した 際 に,既 存 の 本 館 で は若 者 向 け 雑 貨 を 販 売 す る ス ペ ー ス が な か っ た こ と も,新 館 開 店 の 要 因 と して 指 摘 で き る。

新 館 開 店 を 決 定 的 に した 要 因 は,増 床 に伴 う投 資 額 が 安 価 に 押 さえ られ た こ とで あ る 。 一 般 的 に,増 床 や 新 規 出 店 の 場 合 に は 増 築 ・新 築 に 伴 う コス トの 回 収 期 間 が 大 き な 問 題 とな る の に 対 し て,だ る まや 西 武 の場 合,好 都 合 に も本 館 に 隣 接 す る ビル が 空 き ビル で あ った た め,所 有 者 で あ る ユ ア ー ズ か ら賃 借 す る だ け で,建 物 を 確 保 す る こ とが で きた の で あ る 。 内 部 の 改 修 費 用 に 関 し て も,出 店 の条 件 に よ り異 な る とは い},ポ ロ,バ ー バ リーな どの 大 型 ブ ラ ン ド店 に 対 して は, ほ ぼ 更 地 で 渡 して テ ナ ン トが 改 装 す る と の こ とで あ る㈹ 。

新 館 開 店 後 は,特 に 週 末 の 客 足 が 定 着 して お り,ロ フ トや 紀 伊 国 屋 で は 見 込 み 客 数 を 半 年 に わ た り達 成 して い る とい う。 他 方,ブ ラ ン ド衣 服 を 販 売 す る ア ップ ル シテ ィー で は,ミ セ ス と異 な り,そ うそ う衣 服 を購 入 で き な い 若 年 層 を対 象 に して い る た め に,バ ー ゲ ソを 活 用 して乗 り切 っ て い る。 以 上 す べ て の こ とを 踏 まえ て,だ る まや 西 武 で は,本 館 新 館 あ わ せ て2 ,3年 の うち に 回 収 が 終 り,黒 字 転 換 で き る と予 測 して い る。

新 館 開 店 に 際 して は,各 商 店 街 振 興 組 合 の 側 も積 極 的 に 賛 成 した とい わ れ て い る(16)。しか し, 各 商 店 主 レベ ル で は ど うで あ っ た か 。表8は,各 商 店 の 新 館 開 店 前 後 で の 態 度 を ま とめ た も の で あ る 。 明 らか に,前 後 を 通 じて 賛 成 が 圧 倒 的 多 数 を 占め て お り,だ る ま や 西 武 の増床 に関 しては, 各 商 店 で も賛 成 して い た こ とが わ か る 。 とは い え,開 店 前 と後 と を 比 較 す る と,無 回 答 を考 慮 し て もな お,「 賛 成 」 が 減 少 し 「どち らで も な い 」 が増 加 す る傾 向 が 読 み 取 れ る 。 そ こ で,開 店 前 後 の 「賛 成 」 「どち ら で も な い 」 を 年 間 販 売 額 と ク ロス した もの が,つ ぎ の 表9で あ る 。 同 表 に 特 徴 的 な こ とは,年 間 販 売 額 「5千 万 〜1億 円 」 を 分 水 嶺 に,経 営 規 模 の よ り小 さ な 層 で は 「賛 成 」 か ら 「ど ち らで もな い 」 へ 移 動 して い る の に対 して,規 模 の よ り大 きな 層 で は 変 化 が 見 られ な い こ と で あ る 。 す なわ ち,ア ン ケ ー ト調 査 実 施 時 点 一新 館 開 店 か ら4ヶ 月 後 一に お い てす で に, だ る ま や 西 武 新 館 開 店 に よ って 恩 恵 を 受 け た 層 とそ うで な い層 とが 顕 在 化 して い る とい え る(17)。

一263一

(11)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹,渡 辺 洋 樹

来 客 数 を 増 大 させ るた め に は 各 商 店 独 自 の創 造 的 な 取 り組 み が 必 要 で あ る の は もち ろん で あ るが, しか しだ る まや 西 武 百 貨 店 と一 部 の大 規 模 商 店 だ け が 成 長 す る こ とに な れ ぽ,こ れ は 中 心 市 街 地 自体 が い わ ぽ ひ とつ の 巨 大 な パ ワー セ ンタ ーへ と変 質 す る こ とを 意 味 す る 。 そ れ ゆ え,中 心 市 街 地 商 店 街 の活 性 化 を 公 的 空 間 と して の 中 心 市 街 地 の 再 生 と一 体 的 に考 え る場 合 に は,だ る ま や 西 武 百 貨 店 の有 す る集 客 力 に 依 拠 した商 店 街 の 成 長 の み に 期 待 す る の で は な く,ひ ろ く ま ちづ く り

の 視 点 か ら,多 様 な 取 り組 み を 進 め な け れ ば な らな い 。 そ こで 節 を 改 め て,ま ち づ く りの 側 面 の

考 察 に うつ る こ とに した い 。 七

表8西 武新館 に対 する各商店 の反 応

賛成 反対

どちらでもない 無回答他

合計

開 前 商 数(件)

ass 1 39 i1 214

比率(%)

76.2

0.5 18.2 5.t 100.0

開店後 商 店数(件)

143 1 46 24 214

比率(%)

66.8 0.5 21.5 11.2 100.0 出 所)ア ン ケー ト調 査 。

表9年 間販 売額 と西武 新館へ の反 応

年間販売額別構成

1千 万 円 以 下 1千 万 〜3千 万 円 3千 万 〜5千 万 円 5千 万 〜1億 円

1億 円 以 上

開 占前(件)

t2 51 25 31 23

どちらで ない

09i10100

開店後(件) 賛成

11 44 1s 31 23

どちらで ない

ΩU109101

出 所)ア ンケ ー ト調 査 。

皿.中 心 市 街 地 再 活 性 化 と ま ちづ く り

福 井 市 に 限 らず,全 国 各 地 の 中 心 市 街 地 に お い て賑 わ い が 失 わ れ,あ る い は 都 心 機 能 が 低 下 ・ 拡 散 して い る 。 こ の よ うな状 況 を 背 景 に,平 成10年 の 通 常 国 会 に お い て,「 ま ち づ く り三 法 」 と 総 称 され る,中 心 市 街 地 活 性 化 法(18),大規 模 小 売 店 舗 立 地 法,改 正 都 市 計 画 法 が 制 定 され た 。 特 に 中 心 市 街 地 活 性 化 法 は,中 心 市 街 地 の 整 備 改 善 と商 業 等 との一 体 的 な 推 進 を 図 る こ とを 目的 に して お り,市 町 村 の作 成 す る基 本 計 画 に お い て 中 小 小 売 商 業 高 度 化 事 業 に 関 す る記 載 が義 務 づ け られ て い る。 また,商 業 活 性 化 の 実 施 機 関 と して,TMO(TownManagementOrganization;

認 定 構 想 推 進 事 業 者)が 位 置 づ け られ た('9)。福 井 市 に お い て も,福 井 市 役 所,福 井 商 工 会 議 所, 商 店 街 振 興 組 合,そ の 他 企 業 ・ま ちづ く り諸 団 体 等 が 共 同 で 出 資 ・事 業 参 画 す る こ とでTMOを 設 立 し,将 来 ビジ ョ ンの策 定,中 心 街 の 清 掃 ・管 理 ・警 備,商 店 街 の 現 状 お よび将 来 予 測,イ ベ

ソ ト企 画,個 店 支 援,ま た ア ー ケ ー ドや 街 路 整 備,駐 車 場 の建 設 ・管 理,空 き地 ・空 き店 舗 の 取 得 な どを 行 うと され て い る。

以 上 は 法 制 度 面 で の 動 きで あ るが,ま ち づ く りの 理 念 に つ い て は,未 だ 議 論 が 継 続 中 と の 感 が

(12)

福 井 市 中 心 市街 地 商 店 街 の現 状 とまち づ く り

あ る。 共 通 項 を ま とめ れ ば,① 住 民 参 加,② 総 合 的 長 期 的 計 画 ③ 用 途 地 域 の純 化,④ 景 観 の 保 存,⑤ 都 市 問 題 の総 合 的 解 決,の 諸 原 則 に 基 づ く とい え よ う。 そ れ ゆ え,ま ちづ く りの 視 点 を 活 か した 全 面 的 な 検 討 に は,法 制 度 改 革 の 内 容 を仔 細 に 吟 味 し,ま た ま ちづ く りの 諸 原 則 に 照 ら し

て 各 種 の 分 析 を 行 う必 要 が あ る。

とは い え,小 売 商 業 と ま ち づ く りと の 二 側 面 で 中 心 市 街 地 の 現 状 分 析 を 試 み る本 稿 の 性 格 上, 以 下 で は 都 市 交 通 と人 口分 布 の 問 題 を 論 じる に と どめ,法 制 度 改 革 や 住 民 自治,景 観 保 全 や 都 市 の コ ソパ ク ト化 とい った 諸 点 に つ い て は,今 後 の研 究 課 題 と して 残 す こ とに した い 。 都 市 交 通 と 人 口配 置 は,都 市 経 済 論 的 に は 都 市 を 形 成 す る最 も規 定 的 な要 因 で あ り,ま た 小 売 商 業 と の関 係 で は商 圏 と して 小 売 需 要 を規 定 す る基 本 要 因 で あ るか らで あ る 。

1.都 市 交 通 に 対 す る取 り組 み

福 井 市 に お け る 自動 車 保 有 台 数 は,1997年 度 末 で 総 数187,822台,う ち乗 用 自動 車 は126,908台 で あ る 。 市 民1人 あ た りの乗 用 自動 車 台 数 は0.50台 で あ り,全 国 平 均0.33台(1995年)を 大 き く 上 回 っ て い る(2°〉。 そ して この 高 度 な モ ー タ リゼ ー シ ョン に よ っ て,福 井 市 で は 公 共 交 通 利 用 者 数 が 減 少 基 調 に あ る 。福 井 市 の 調 査 に よれ ぽ,通 勤 ・通 学,通 院 ・買 物 な どの 日常 生 活 に 最 も頻 繁 に利 用 す る交 通 手 段 は,自 動 車 が66.1%と 圧 倒 的 に 多 く,以 下,自 転 車15.9%,バ ス8.0%,徒 歩 3.7%と 続 い て い る(21>。

コ ミ ュニ テ ィバ ス 「す ま い る」 は ,こ の よ うな現 状 を踏 まえて,市 民 の利便 性 お よび 回遊 性 向 上 を 目的 と して,1999年8月 か ら2ヶ 月 間 に わ た り福 井 商 工 会 議 所 に よ って 試 行 され,そ の 後 商 工 会 議 所,福 井 県 バ ス 協 会,商 店 街 振 興 組 合,京 福 電 気 鉄 道,だ る ま や 西 武 百 貨 店,生 活 倉 庫 福 井 店 等 の 主 催 ・協 力 に よ って,同 年11月19日 か ら再 開 され た 。 運 行 ル ー トは,中 心 市 街 地 商 店 街 や 田 原 町 商 店 街 な ど14余 りの 商 店 街 と,そ の 商 圏 に あ た る 住 宅 街 とを 循 環 す る 形 で 設 定 さ れ た(22)。福 井 商 工 会 議 所 で の ピ ア リ ソ グに よれ ぽ,一 律100円 の 料 金 設 定 や 一 日23便 の 運 行 な ど の 点 で市 民 に 好 評 で あ り,利 用 客 数 は 一 日平 均200〜300人 との こ とで あ る(23)。

コ ミ ュ ニ テ ィバ ス は ,公 共 交通 機関 と して都心 居住 の交通 弱者 の利便 性 を向上 させ,環 境 負荷 も 自家 用 自動 車 利 用 に 比 べ て 相 対 的 に 小 さい 。 また,道 路 混 雑 や 自動 車 事故 の解 消 を 目指 す パ ー ク ・ア ン ド ・ライ ド四 の 布 石 で もあ る 。 そ れ ゆ え,コ ミ ュ ニ テ ィバ ス の 体 系 的 な整 備 と運 行 は, 行 政 の ま ち づ く り事 業 に お い て 重 視 され て お り,例 え ぽ,石 川 県 金 沢 市 や 青 森 県 広 前 市 な ど,多

くの 市 町 村 で導 入 が す す め られ て い る(25)。

同 時 に また,買 い物 客 の 回 遊 性 を 高 め る点 で,コ ミ ュ ニテ ィバ ス は 中 心 市 街 地 商 店 街 の活 性 化 を もた らす 事 業 と して 期 待 され て い る。 そ こ で 我 々 の ア ソ ケ ー ト調 査 で は,質 問 事 項 の ③ 「駅 周 辺 の 環 境(ま ち づ く り)」 に お い て,来 客 数 の点 で す ま い る に効 果 が あ った の か 否 か,ま た 今 後 の運 行 を 希 望 す るか ど うか を 調 査 した 。 そ の 結 果 が 表10で あ る。 同表 に 示 され る よ うに,す ま い る運 行 が もた ら した 効 果 に 関 して は,「 わ か らな い 」 が115店(回 答 総 数 の53.7%)と 最 も多 く, 以 下,「 効 果 が あ った 」66店(30.8%),「 効 果 が な か っ た 」14店(6.5%)と な って い る 。 これ は,

一265‑一

(13)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹,渡 辺 洋 樹

ア ソ ケ ー ト実 施 時 期 が す ま い る 運 行 再 開 の2ヵ 月 後 で あ っ た た め,い ま だ 評 価 が 確 定 して い な か っ た た め と 思 わ れ る 。 他 方,す ま い る に 対 す る 希 望 を み る と,「 さ ら な る 運 行 の 充 実 を 実 現 し て 欲

し い 」 が125店(58.4%)と,「 わ か ら な い 」(58店,27.1%)や 「運 行 し な く て も よ い 」(14店, 6.5%)を 大 き く引 き 離 し て お り,コ ミ ュ ニ テ ィバ ス に 対 す る 商 店 街 側 の 期 待 は 大 き い と い え る 。

表10「 す ま い る」 に対 す る各 商 店 の 意 向

「す ま い る 」は 効 果 が あ っ た か

件 数 比 率(%)

効果があった 効果が無かった わからない その他 無回答他

合計

66 i4 115

8 1i 214

30.8 fi.5 53.7

3.7 5.1 100.0

「 すまいる」 に対する希望

さらな る運 行 の 充 実 運 行 しな くて もよい わ か らな い

無 回 答 他 合 計

出所)アンケ...,.ト調査 。

件数

125 14 58 17 214

比 率(%) 58.4

6.5 27.)

7.9 100.0

しか し また,コ ミュ ニ テ ィパ ス 「す まい る 」 運 行 と並 行 して,福 井 駅 前 線 地 下 駐 車 場 整 備 事 業 が 福 井 市 に よ っ て 施 行 され て い る 。 同事 業 で は,「 福 井 駅 西 口周 辺 の駐 車 需 要 に 対 応 す る 駐 車 場 を 整 備 す る こ とに よ り,周 辺 道 路 に お け る路 上 駐 車 防 止 と渋 滞 緩 和 を 図 り,中 心 市 街 地 の 活 性 化 に 寄 与 す る 」 との 目的 の も と,駅 舎 付 近 に200台 駐 車 可 能 な 地 下 駐 車 場 を 建 設 し,既 に 営 業 を 開 始 して い る 市 営 元 町 通 り地 下 駐 車 場(収 容 台 数354台)と 併 せ て,駐 車 ス ペ ー ス の 拡 大 を 目指 し て い る(26)。

交 通 需 要 お よび 駐 車 行 動 予 測 に関 す る 資 料 を 入 手 し得 な か っ た た め,駐 車 場 増 設 の 費 用 効 果 に 関 して は 不 明 で あ る。 しか し効 果 の側 面 に 関 して,現 地 訪 問 時 の 印 象 で は,混 雑 の激 しい 休 日で あ っ て も,現 在 稼 動 中 の 駐 車 場 一JR福 井 駅 の 周 辺 で は50ヶ 所 の 時 間 貸 駐 車 場 と11ヶ 所 の路上 パ ー キ ン グ,収 容 可 能 台 数3,182台 。 中 心 市 街 地 商 店 街 の あ る福 井 市 中 央 一 丁 目に 限 れ ば 主 要 可 能 台 数874台 一全 て が 満 車 に な る こ とは 少 な い よ うで あ る 。 商 工 会 議 所 の ピア リソ グ で も,市 営 本 町 地 下 駐 車 場 の稼 働 率 が 当 初 見 込 み を 下 回 って い る との こ とで あ る 。 他 方,費 用 の 側 面 で は,商 工 会 議 所 の 試 算 に よれ ぽ,地 下 駐 車 場 の 建 設 に 総 事 業 費 で お よそ50億 円 の費 用 が か か る と い う。 国 お よ び 県 か ら補 助 金 が 支 出 され る と して も,や は り20〜30億 の 財 政 支 出 が 必 要 で あ り,ま た そ の 後 の 維 持 管 理 費 用 は 全 て 市 が 負 担 しな け れ ば な らな い 。 そ れ ゆ え,利 用 状 況 の 点 で も財 政 負担 の 点 で も,こ れ 以 上 の 駐 車 場 増 設 が 望 ま しい の か ど うか 疑 問 で あ る 。

と ころ で,中 心 市 街 地 商 店 街 の 側 で は,駐 車 場 増 設 を 強 く要 望 して い る。 ア ソ ケ ー ト中,行 政 に対 す る要 望 を ま とめ た 表11を 見 る と,最 も 回答 件 数 が 多 か った の が 「駐 車 場 の 整 備 」 の111店

(14)

福 井 市 中心 市 街地 商 店 街 の 現状 とま ちづ く り

で あ り,「経 営 支 援 策 の充 実 」(53店)や 「百 貨 店 等 の さ らな る誘 致 」(36店),「 イ ベ ン ト等 の 開 催 」(31店)を 凌 駕 して い る こ とが 示 され て い る。 この 結 果 は,先 の表10で 見 た コ ミ ュ ニ テ ィバ ス 運 行 の拡 充 を 求 め る 意 向 と矛 盾 す る よ うに 見 え る 。 コ ミュ ニ テ ィバ ス と 自家 用 車 とは,交 通 需 要 管 理 政 策 に お い て 対 立 す るか らで あ る。 両 表 か ら伺 わ れ る こ とは,中 心 市 街 地 商 店 街 の活 性 化 の た め に は 何 よ りも来 客 数 を 高 め ね ば な らな らず,回 遊 性 向 上 の手 段 と して は 公 共 交 通 で も 自家 用 車 で も構 わ な い とす る商 店 主 の 意 識 で あ る。

表11行 政 に対 す る要望

路 ・ 土地 区画整備 駐車場の整備 駐輪場の整備

イベント等の開催 福井駅ビル整備 官民の協議の場の充実

大型店舗等の参 入規制 経営 支援策の充実 百貨店・ 等のさらなる誘致 既存事業や基本計画の見直し 現行 のままでよい

特になし その他

合計

回答数

28 111 19 31 29 16 11 53 36 19 2 6 8 369

比 率(%) 7'.6 30.1

5.1 8.4 7.9 4.3 3.0 14.4 9.8 5.1 0.5 1.6 2.2 100.0 注)要 望 は各 商 店2つ までとした。

出所)アンケー ト調 査 。

郊 外 の 大 型 シ ョ ッピ ソ グセ ンタ ーが 急 成 長 を 遂 げ た 要 因 の 一 つ は,無 料 大 型 駐 車 場 を設 置 す る こ とで集 客 力 を高 め た こ とで あ る 。 しか しだか ら とい って,自 動 車 交 通 量 の 多 さで 郊 外 型 商 業 集 積 と競 争 す る こ とは,中 心 市 街 地 商 店 街 自体 の 衰 退 を む しろ 早 め る結 果 を もた ら しか ね な い 。 とい う の も,一 般 に 中 心 市 街 地 に お い ては,人 が 徒 歩 な い し 自転 車 で 頻 繁 に行 き交 うこ とで まち の賑 わ い が醸 し出 され,こ う した賑 わ い こそ が 商 店 街 の 存 立 基 盤 を なす か らで あ る。 非 ブ ラ ソ ド品 の 婦 人 服

とい う最 寄 り品 を 主 た る取 扱 商 品 とす る福 井 市 中 心 市 街 地 商 店 街 の現 状 で は な お さ らで あ る 。 2.ス プ ロー ル 化 の 状 況

中心 市 街 地 の再 生 を 考 え るた め に は,ス プ ロー ル 化 の 問 題 を 避 け るわ け に は い か な い 。商 圏 の 狭 い最 寄 り品 販 売 を 主 力 とす る 中 心 市 街 地 商 店 街 に と って も,ス プ ロー ル 化 は 同 じ く致 命 的 で あ

る 。 そ こ で,福 井 市 中 心 市 街 地 に お け る現 状 を 整 理 して み よ う。

表12は,1997年 度 に お け る福 井 市 の 県 内転 出入 者 数 を ま とめ た もの で あ る 。 純 移 動(転 入 マ イ ナ ス 転 出)合 計 を 見 る と,97年 度 で 一692人 と,福 井 市 か ら県 内 各 市 町 村 へ 人 口が 流 出 して い る こ とが 分 か る 。 な か で も,隣 接 す る鯖 江 市 や 丸 岡 町 を は じめ,清 水 町,春 江 町 な どへ の流 出 が 多 い こ とが 分 か る 。 ス プ ロー ル 化 が 福 井 市 とい う行 政 区 域 を 越 え て進 行 して い るわ け で あ る。

そ れ で は,福 井 市 内 に お け る 人 口移 動 は ど うで あ ろ うか 。 表13は,福 井 市 中 心 部 に 位 置 す る15 地 域 に お け る 人 口数 を1990年,95年,98年 の3ヵ 年 で 比 較 した もの で あ る 。 これ ら15地 域 は,福

267

(15)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹 渡 辺 洋 樹

表12福 井 市 の 県 内転 出 入 者 数(1997年 度)

福井坂井地区 丸岡町 春江町 坂井町 清水町 松岡町 永平寺町 大野勝山地区 丹南地区

鯖 江市 朝 日町

嶺南地区 合計

一入

1,31fi

258 250 57 138 137 59 364833 9044 3ΩUO9

一出 純 移 動(人) 1,957‑641

469 351 125 297 194 120 209 sass53 705 ρU80

一211

‑101

‑68

‑159

‑57

‑61

155

‑255

一228

‑45 49 2,8823,574

出 所)福 井 市(...)よ り作 成 。

表13福 井 市 中 心 部 の 人 工 推 移(1990〜1995年) 一692

大手一丁 目 大手二丁 目 大手三丁 目 順化一丁 目 順化二丁 目 中央一丁 目 中央二丁 目 中央三丁 目 日之出一丁目 日之出二丁 目 日之出三丁 目 手寄一丁 目 手寄二T目 豊島一丁 目 豊島二丁 目

15地区合計

1990年

人 口 数(人)

1995年 ...年 426

906 184 677 1,0i4 644 ass 395 393 927 871 981 624 448 343

334 810 161 580 896 574 730 371 363 831 840 825 563 4a2 321

304 738 18s 652 949 749 ..1 348 351

11

838 726 519 378 314

増 ・(人) 1990^95

一92

‑96

‑23

‑97

‑118

‑70

‑56

‑24

‑so

‑96

‑31

‑156

‑61

‑46

‑22

1995^  98

9,6198,6018,376‑1018 福 井 市 総 計252,743255,6x4254,4232,861‑1,1$1 出 所)福 井 市(1998b)よ り作 成 。

井 市 中 心 市 街 地 活 性 化 基 本 計 画 に お い て 中 心 市 街 地 の 対 象 区 域 と され て い る 地 域 で あ る 。 同 表 を 見 る と,1995年 か ら98年 の3年 間 で は,大 手 三 丁 目,順 化 一 丁 目,中 央 一 丁 目 で は12%以 上 の 人 口増 加 が 見 られ る 一 方,順 化 二 丁 目 を 除 く地 域 で は 人 口 が 減 少 傾 向 に あ る 。 こ れ ら3地 域 に お け る 人 口増 加 は,1990年 か ら95年 ま で の 期 間 に 全 地 域 で 人 口 減 少 が み ら れ た こ と と 比 較 す る と,人 口移 動 流 の 一 部 が 中 心 部 に 回 帰 し つ つ あ る 点 で 新 し い 動 向 で あ る(27)。ま た,JR福 井 駅 の 東 側 (駅 裏)で あ る 日 之 出 二 丁 目 や 手 寄 一 丁 目 で は,1995年 か ら98年 に お い て も12%以 上 も の 人 口 減 少 が 見 られ,と くに 日 之 出 二 丁 目 で は90年 か ら95年 ま で の 減 少 幅 よ り も さ ら に 大 幅 な 減 少 が 継 続

し て い る 。15地 区 全 体 で は,1990年 か ら98年 に か け て 人 口 が 減 少 し て い る 。

ス プ ロ ー ル 化 は ま た,モ ー タ リゼ ー シ ョ ソ に 対 応 し得 な い 高 齢 者 層 を 中 心 部 に 残 す 結 果 を 招 い

一30

‑72 25 72 53 175

‑50

‑23

‑12

‑187

̲2

‑99

‑44

‑24

‑7

‑225

(16)

福 井 市 中 心 市街 地 商 店街 の現 状 とまち づ く り 表14福 井 市 中心 部 の 年 齢 階 級 別 人 工 数(1995年 度)

大手一T目 大手二丁 目 大手三丁 目 順化一T目 順化二丁 目

中央一T目 中央二T目 中央三T目

日之出一丁 目 日之出二丁 目 日之出三丁 目 手寄一丁 目 手寄二丁 目 豊島一丁 目 豊島二丁 目

15地 区合計 一井市総計

老齢 人口

92 283 30 151 235 136 158 91 100 297 180 193 134 B9 59 z,22a 40,264

(人,%) 老"人 口 率 総 数

334 810 161 :1 896 574 730 371 363 831 840 825 563 402 321 e,so1 255,545

27.5 34.9 18.6 26.0 2sz 23.7 21.s 24.5 27.5 35.7 21.4 23.4 23.8 22.1 18.4 25.9 15.8 注)老齢 人 口とは,65歳 以上 の 者 を指 す 。

出所)総 務 庁(1997)よ り作 成 。

て い る。 表14に 示 され て い る よ うに,福 井 市 全 体 の 老 齢 人 口率15.8%に 対 して,上 記15地 区 の 老 齢 人 口率 は いず れ も市 内 平 均 を 上 回 って お り,と りわ け 大 手 二 丁 目,日 之 出二 丁 目で は35%前 後

と驚 異 的 な 高 さに 達 して い る 。

郊 外 鉄 道 網 や バ ス 路 線 体 系 が 整 備 され な い な らぽ,ス プ ロ ー ル化 は モ ー タ リゼ ー シ ョソ と表 裏 一 体 で進 行 す る。 福 井 市 に お け る モ ー タ リゼ ー シ ョンの 状 況 は 先 に 触 れ た が,そ の帰 結 の一 つは, 自動 車 災 害 発 生 件 数 の 高 さ で あ る 。 福 井 県 全 体 と して 自動 車 災 害 の発 生 件 数 が 全 国 ワー ス ト1で あ る こ とは 知 られ て い る が,福 井 市 に つ い て 調 べ て み る と,1997年 度 の 交 通 事 故 発 生 状 況 に お い て,人 身 事 故 件 数1,869件,死 者23人,傷 者2,162人,う ち65歳 以 上 の 死 者 が12人 で52%に も の ぼ って い る 。 高 齢 者 を は じめ とす る交 通 弱 者 に と って は厳 しい 生 活 環 境 で あ る とい え る㈱ 。

加 え て,ス プ ロー ル 化 は,道 路 ・上 下 水 道 等 の社 会 資 本 に対 す る 追 加 的 投 資 や 自動 車 移 動 に伴 うエ ネ ル ギ ー消 費 と環 境 負 荷 を もた ら し,結 局 は住 民 全 体 に大 き な 負 担 とな って 跳 ね 返 って こ ざ る を え な い(29)。ス プRル 化 の もた らす 不 利 益 の 全 体 を 検 証 す る こ と は 本 稿 の 課 題 で は な い が, しか し福 井 市 の 場 合,い わ ゆ る 「集 積 の 不 利 益 」 以 上 に 「分 散 の 不 利 益 」 の方 が 大 き い と予 想 さ れ,し た が っ て,何 らか の 公 的 介 入 に よ る 人 口分 布 の 適 正 化 が 望 ま しい と思 わ れ る。

お わ りに

以 上,福 井 市 中 心 市 街 地 の現 状 を,小 売 商 業 と ま ち づ く りの二 つ の 視 点 か ら考 察 して き た 。 小 売 商 業 の側 面 に つ い て は,① 郊 外 型 商 業 集 積 と の対 比,② 中心 市 街 地 商 店 街 内部 の不 均 等 発 展

③ だ る まや 西 武 百 貨 店 の 増 床 に 対 す る意 識 の3点 か ら現 状 分 析 を 行 った 。 そ の結 果 を要 約 す れ ば,

① 郊 外 型 商 業 集 積 と の対 比 で は,中 心 市 街 地 商 店 街 が 福 井 市 小 売 商 業 に 占 め る 比 重 は依 然 と して

一269

(17)

高 山 一 夫,有 元 淳 記,猪 嶋 健 二,丹 所 祐 樹 渡 辺 洋 樹

低 落 傾 向 に あ る こ と(表1と 表3)、 ② 中 心 市 街 地 商 店 街 内 部 で は,新 栄 ・元 町 商 店 街 と 福 井 駅 前 通 ・福 井 駅 前 南 通 ・サ ン ロー ド北 の庄 商 店 街 との 問 に不 均 等 発 展 が み られ る こ と(表7),③ だ る まや 西 武 百 貨 店 の増 床 に 対 して は,各 商 店 主 の レベ ル で も全 体 と して支 持 され て い るが,し か し小 規 模 商 店 の 一 部 が 新 館 開 店 後 に態 度 を硬 化 させ て い る こ と(表8と 表9)が ,明 らか に な っ た 。

つ ぎ に まち づ く りの側 面 に つ い て は ,都 市交 通 に対す る商店主 の意識 と入 口分布 の現状 に問題 を 限 定 して 考 察 を 行 った 。 都 市 交 通 お よび 人 口分 布 の 問 題 が 商 店 街 の活 性 化 と中 心 市 街 地 の 再 生 と の両 面 に お い て 最 も基 礎 的 な 問 題 領 域 を な す と思 わ れ る か ら で あ る 。 都 市 交 通 に対 す る商 店 主 の 意 識 を 要 約 す る と,① コ ミュ ニ テ ィバ ス 「す ま い る 」 の 運 行 に 関 して は ,効 果が不 明 との回答 が過 半 数 を 占 め て い るが,同 時 に 運 行 の 充 実 を 期 待 す る者 も過 半 数 を 占 め た こ と(表10) ,② 行 政 へ の要 求 項 目で は 駐 車 場 整 備 が 第 一 位 を 占 め た こ と(表11)が 明 らか とな っ た 。 ま た,既 存 の 統 計 資 料 か ら 中 心 市 街 地 に お け る人 口動 態 の 特 性 を 抽 出 す る と,人 口減 少 と高 齢 化 が 深 刻 な状 況 に あ り(表14と 表15),中 心 市 街 地 の人 口空 洞 化 現 象 が 示 され た 。

「県 都 の 顔 」 で あ る福 井 市 中 心 市 街 地 は,深 刻 な ス プ ロー ル 化 と商 店 街 の 不 振 とに よ って ,賑 わ い を 失 直 て きた 。 この 状 況 を 脱 却 す べ く,商 店 街 の 活 性 化 と ま ちづ く りとの 両 面 か ら様hな 取

り組 み が な され は じめ た わ け で あ る。 だ る ま や 西 武 百 貨 店 の 増 床 や 新 栄 ・元 町 商 店 街 等 に お け る 新 た な タ イ プの 商 店 の 台 頭 、 また 福 井 駅 前 線 地 下 駐 車 場 整 備 事 業 と い った 本 稿 で 取 り上 げ た 事 例

1

を 総 合 す れ ぽ,買 回 り品 購 入 層 の 吸 引 を通 じて 郊 外 型 商 業 集 積 に対 抗 す る方 向 で あ り,行 政 機 関 や 金 融 機 関 等 の 集 積 を 所 与 とす れ ば,管 理 機 能 と高 度 商 業 機 能 の集 積 地 域 と して 中心 市 街 地 を 純 化 ・復 興 す る道 で あ る 。 しか し他 方,空 き店 舗 対 策 や コ ミュ ニ テ ィバ ス運 行 の 事 例 は,人 口分布 に 対 す る何 らか の公 的 規 制 や,景 観 保 全 ・都 市 の コ ソパ ク ト化 事 業 の 施 行 と一 体 的 に な され る な らば,最 寄 り品 販 売 も含 め て 既 存 商 店 街 全 体 の活 性 化 を 図 る方 向 で あ り,か つ て そ うで あ った よ うに,居 住 空 間 と して 中 心 市 街 地 を 再 生 す る 道 で あ る 。 「県 都 の 顔 」 と して ど ち ら の 道 が 選 択 さ れ る の か,今 後 の 動 向 を 見 守 っ て い きた い 。

謝 辞

本 研 究 を 行 うに あ た り,多 くの 方hの お 世 話 に な った 。 特 に,福 井 商 工 会 議 所 の 高 見 和 弘 氏, 中 心 街 整 備 推 進 協 議 会 の 村 北 氏,だ る ま や 西 武 百 貨 店 販 売 促 進 課 の 永 井 正 仁 氏,京 都 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 岡 田 知 弘 教 授 に は,貴 重 な助 言 や 情 報 を 頂 い た 。 また,福 井 駅 前 通 商 店 街 福 井 駅 南 通 商 店 街,新 栄 商 店 街,元 町 商 店 街,サ ン ロ ー ド北 の 庄 商 店 街 の 各 店 の 皆 様 に は,年 始 の 多 忙 な 時 期 に もか か わ らず,ア ソ ケ ー ト調 査 に ご協 力 して 頂 い た 。 この 場 を借 りて厚 く御 礼 を 申 し上 げ る 。 も ち ろ ん 本 稿 の責 任 は す べ て 共 著 者 に あ る。

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