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パネル 2012年度せんだいメディアテークでの企画

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パネル 2012年度せんだいメディアテークでの企画

著者 東北学院大学文化財レスキュ―班

URL http://id.nii.ac.jp/1204/00000324/

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       文化財レスキュー展開中! ― 牡鹿半島の歴史・民俗資料のこれから ―

牡鹿の歴史をものがたる文化財は残った

全国から文化財の専門家が現地入り

 平成 23 年 3 月 11 日に発生した地震による東日本大震災では、多くの文化財や博物館が被害 を受けました。旧牡鹿町では、鮎川収蔵庫に保管されていた民俗資料と考古資料、鮎川公民館 に保管されていた町史編さん資料が被災しました。しかし、体育館の陰に位置していたことも あり、奇跡的にほぼすべての文化財が流失をまぬがれました。

 収蔵庫内部の状況は極めて深刻でした。資料が海水で浮き上がって収蔵庫内で滞留し、奥へ奥 へと押し込まれる圧力で大半が壊れてしまいました。また泥や塩分の影響やカビの被害もありま した。こうした文化財は、地域の教育委員会で対応することは不可能です。そこで文化庁の「被 災文化財等救援委員会」が文化財レスキューに乗り出しました。東京・京都・奈良・九州の国立 博物館と文化財研究所の研究員、新潟や三重をはじめ、全国から博物館学芸員が牡鹿入りして文 化財レスキューが始まったのは、ゴールデンウィーク明けでした。

大学博物館への搬送

 収蔵庫の資料は、まず考古学者たちが散乱した土器や石器、化石などを採集し、次に文化財 の専門家たちで民俗資料を回収、その後 7 回にわけて美術品専用トラックで仙台まで運搬され ました。旧牡鹿町の文化財は、民俗・考古・地学資料が東北学院大学博物館に、町史編さん資 料が東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館に一時保管されています。すべての資料を運び終えたの は 10 月下旬でしたが、およそ 1500 点〜 2000 点の資料が被災地から搬出されました。

学生たちのクリーニング作業

 文化財のクリーニングには、大学生が中心にあたっています。資料はまずその状態や対処 法を指示するカルテを作成し、それにしたがってクリーニングされます。この作業は夏休み 返上で行われ、東北学院大学の 1 〜 4 年生、大学院生、東京の大学生・大学院生(六つの大 学から参加)ら、のべ 550 人が参加しました。

 資料の状態は極めて劣悪で、特にカビの問題は深刻でした。また、壊れた資料、とくに部 品がバラバラになっているようなものや割れた陶器類などを、今後どのように修復していく か、また、修復記録をどう整理していくかが課題となります。

ここから始まる牡鹿の新たな歴史

 牡鹿半島の歴史をものがたる重要な資料である、古文書や民俗資料・考古資料・地学資料は、

ほぼすべてが残りました。文化財は、地域の歴史や文化を明らかにするために欠かせないも ので、これを失うことは、歴史の痕跡や証拠を失ってしまうことと同じです。文化財が残っ たことは、地域のこれからを考えるうえで、希望を持てる出来事といえます。

 これまでの歴史が、現在、そして未来へとどうつながっていくのか。研究者だけでなく、

地域住民も巻き込んだかたちで、歴史を見直し、未来を志向する活動として、例えば移動展示、

歴史に学ぶワークショップ、小中学校での交流会など、「移動博物館」活動に取り組んでいき ます。

鮎川収蔵庫被災状況 民俗資料のレスキュー作業

学生によるクリーニング作業 データ整理作業

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本学の文化財レスキュー活動と大学博物館による博物館学研究

大学博物館の被災状況

 東北学院大学博物館そのものの被災状況は、極めて軽微なものにとどまりました。建物が 新しいこともあり、設備面での被害は皆無といっても良い状況でした。

 展示中の資料は、授業の博物館実習で土器等のテグス留めの練習をしたために、ほぼすべ ての資料がテグスで固定されていました。展示台は動いても、テグスが効いて資料が転倒し なかったのは、この保護方法が有効であることを証明しています。

 また、地震の揺れを軽減する免震台は絶大な効果を発揮しました。そのために、シンボル 展示の墨書人面土器は転倒せずに破損をまぬがれました。今回の震災を教訓に、様々な博物 館資料の防災技術の研究が進むと期待されます。

 収蔵庫では、転落防止器具が効果を発揮しました。調湿機能付き収蔵棚に保管されていた

「境澤文書」も、まったく被害はありませんでした。

様々な枠組みで教員が活動中

 鮎川収蔵庫の文化財レスキューには、東北学院大学からは、文化庁の枠組みに文学部歴史学 科の政岡伸洋教授・佐川正敏教授・加藤幸治准教授が参加、公民館の古文書等のレスキューに は NPO 法人宮城歴史資料保全ネットワークの枠組みで菊池慶子教授が参加しました。同ネット ワークには、経営学部の斎藤善之教授も参加されています。

研究としての被災地での活動

 今回の文化財レスキュー活動で、東北学院大学博物館が一時保管している鮎川収蔵庫の資料 は、一次洗浄を終える 12 月ごろから本格的な整理作業に入ります。カビの問題はまだ解決し ていませんので、資料の安定化と並行しての作業となります。加えて、バラバラになった部材 をどうやって元に戻すか、どこまで修復するのかも課題です。こうした問題は、これまで博物 館学が取り組んだことのない未知の作業であり、それ自体が重要な研究課題となります。

 一方、こうした観点で、博物館資料を整理するデータベースも存在しません。既存のものを 応用することはできますが、現在は情報工学・教育工学の研究者と、博物館資料のデータベー スの新たな枠組みを模索する研究会を進めています。

 民俗資料については、地域住民から広く資料についての情報、例えば何に使ったか、どんな 思い出があるかといった口頭の情報を収集する必要があり、これを念頭に置いた移動展示や

ワークショップを行う予定です。被災した文化財をどう意味づけていくかは、民俗学の観点か らも重要なテーマとなっていくと思われます。

 また、石巻文化センターの被災文化財のクリーニングには、大学院文化科学研究科アジア 文化史専攻の大学院生も参加しています。この作業は保存科学の研究者の指導を受ける機会 でもあり、そこで得た技術や考え方を、本学で受け入れた鮎川収蔵庫資料のクリーニングに 応用していきました。

 また、学内で研究が進められている学祖:押川方義に関係する資料群も、被災後に歴史学 科の河西晃祐准教授が主導して安全な保管場所に移動され、研究が再開しています。

免震台で守られた墨書人面土器 テグスで守られた土器

大学院生による石巻でのクリーニング作業 資料データベース構築に向けた研究会

参照

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