自然のうつりかわりを題材とした油彩画の制作
教科・領域教育専攻 芸術系(美術)コース 林 伸 也
I はじめに
記憶の中の風景は視覚的映像と聴覚,嘆覚,
時には触覚,味覚をも含めて感じた印象とが重 なり合い,昇華し,視覚的情報以上の風景とな りイメージとして記憶されるD 筆者は記憶の中 のイメージを画面に再構築することで,移り変 わる季節を油彩画で表現したい。
E 本制作の過程 1 題材について
空は自然の中で最も早く変化し,多くの表情 を見ることが出来る.。秋晴れの夕暮れは,赤,
黄,青,紫と色彩豊かでありながら,優しい色 調でやすらぎを感じさせてくれ人々の暮らしの 中で最も気の休まる時間である。筆者は,この ような身近な生活の中にある小さな驚きや喜び を表現したいと思うD
2 スケッチ
現場では本制作を意識せず描きたい空を繰り 返し描くことでイメージを積み重ねて行くD 夕 暮れは刻一刻と変わるため手早く描くことが必 要で,線,面で描け混色も容易なオイルパステ ルを描画材として使用しているo
3 エスキース
現場で描いた多くのスケッチから筆者が描き たいイメージに近いスケッチを選び構図を考え ていく o エスキースの仕上げは,色鉛筆の色を 何度も積み重ねていき色面を決定する。
指導教官 西 田 威 汎
4 地塗り
絵具の発色を強くするため少量のリンシード をまぜ少し柔らかくしたシルバーホワイトをベ インティングナイフでキャンパス目を詰めるよ うに塗るo 次の層の絵具の固着を良くするため に画面が乾く前に乾いた刷毛で画面を撫でるよ うにして微妙な凹凸をつける。乾燥させてから 制作で主要色となる 3色(バ一ミリオン,カド ミウムイエローオレンジ,コバルトブ、ルー)に シルバーホワイトを混色し 彩度を高くした基 調色を各画面に塗るo 色は白っぽいので刷毛で
2回塗り色味をはっきりさせるo
5 制作過程1
制作を進める中で下描きを後々まで残したく ないので,溶剤で溶かすことのできるオイルパ ステルを使い色面を主として下描きを進める。
色面を細かくし,より色味をはっきりさせる ために主要3色とシルバーホワイトで刷毛を使 って描くO
6 制作課程2
より強い色味で表現するため筆に絵具を十分 つけ置くように描くo 絵具が乾かないうちに描 き続け画面上で混色し,やわらかく移り変る色 面になるまで繰り返す。
7 制作過程3
平坦な画面を空間のある画面にするために,
まず,画面を十分乾かしてから,彩度の低い色 でグレイズするo
8 制作過程4
空間の広がりを表現するた めにタッチの大きさに変化を つけて描き,画面上で絵具が 混色しないよう乾燥状態に注 意しながら制作を進めていき 仕上げる。
皿 関 連 作 品
あたたかい朝
200 1
年 制 作
2 0 0 1
年 制 作
90. 9X116. 111なのはな
2001
年 割 作
45. 5x53. 011夏
草2001
年 制 作
90.9xI16.111晩 秋 の 空
116. 1x300. 00
・
鶏 頭
2001
年 制 作
116.1xI16.111N おわりに
身近な自然を題材としてスケッチを繰り返し ていく 中で季節の移り変わりを今まで以上に強 く意識し自然から受ける喜びや驚きを感じるこ とができ,取材は筆者の生活においても心を豊 かにする大切な時間になっている。
作品においては課題であった光・空気・時間 の表現はできたが,まだまだ平面的でありこれ からの課題であると思っている。スケッチやエ スキースをより十分にし構想を深めることで課 題の解決につながると考えている。
これまで風景を題材として制作してきたが,
記憶の中に残るイメージは,人の生活と共にあ り,今後は,人の暮らしと共に移り変わる自然 を題材としていきたし、。