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Teaching Pronunciation to Japanese Beginner Learners ofEnglish: Pedagogical Implications of Eng1ish as a Lingua Franca
教科・領域教育専攻 言語系コース(英語) 河 村 祥
1.研究の目的と背景
学習者は英語の発音をどの程度、重要だと考え ているのだろうか。ベネッセ (2014) の調査では 英語の勉強で大切なことは何かという質問に対 して、「発音」と答えた中学生は 29.1%である。こ の値は、「単語を覚える (46.5%)Jや「文法知識を 増やす (38.2%)Jに比べて相対的に低くなってい ることが分かる。また、中西 (2008) は高校生、
大学生に対してアンケート調査を行い、英語入門 期における音声指導が不十分なために、学習者自 身の発音が通じにくいものになっていると述べ ている。
現在の英語教育ではコミュニケーション重視 の授業を取り入れる傾向にあるが、適切な音声指 導が行われなければ、カタカナ発音を育てる温床 になってしまう危険性が生じる。カタカナを用い た発音指導は、英語入門期おいて一定の有用性は あるが、その使用は暫定的でなければ、かえって 英語学習の困難性を高めてしまうものになる。
英語の音声指導の目標としては、通じる英語、
つまり intelligibilityが高い発音を身につけるこ とが考えられる。この達成のためには、英語の音 韻体系の指導として文節音素と超文節音素を扱 う必要がある。また、小学校でも英語教育が始ま っていることなどを考えると、校種間の連携が必 要である。小学校や中学校で何を指導するのか、
発達段階に応じた音声指導が求められる。
指導教員 山 森 直 人
総じて、入門期における学習者の音声指導に ついては、英語の音韻構造を踏まえた体系的な 指導と同時に、発達段階を踏まえた体系的な指 導が求められる。本研究では、これら二つの指 導の体系性を踏まえ、日本人学習者のための音 声指導シラパスを提案する。
11.研究の概要
第2章では、学習指導要領の変遷や先行研究な ど を 考 察 し 、 音 声 モ デ ル が RP(Received Pronunciation)やGA(GeneralAmerican)で、ある
ことわかった。また、 GAをモデ、ルとしてだけで はなく、到達目標とすることとらえてしまうこと で、英語帝国主義に陥ってしまうのではなし1かと いう危倶から、英語帝国主義を概観した。そして、
英語帝国主義に陥ることのないよう、「英語に対 する意識改革」と「日本人学習者のための目標設 定」の2点を挙げた。これらを達成するにはELF の観点を取り入れることが妥当であると述べた。
なぜなら、 ELF(Englishas a Lingua Franca)は NNS(Non‑Native Speaker)同士における意思疎 通の側面を重視しているからである。
第3章では、ELFのLFC(LinguaFranca Core) の内容を考察し、それは超文節音素よりも文節音 素を重視している内容であることが分かつた。ま た、 ELFApproachにおける intelligibilityの構 築には、LFCに則った発音だけでは不十分であり、
- 244 - 文脈と聞き手が重要であることを明らかにし、日 本人学習者が外国人とコミュニケーションを取
る際に、自分自身の発音が間違っているから伝わ っていないという英語コンプレックスを抑える ことができると述べた。そして、 ELFApproach の有用性について考察し、教師と学習者の負担が 軽減されることや、 achievabilityが高まること、
学び直しとしての指導法として機能することな どから、現代のニーズに合った指導法であると結 論付けた。
第4章では、現在の音声指導にELFApproach の指導を取り入れたシラパスを提案した。そのた めに、学習者の発達段階から、超文節音素と文節 音素のどちらの方が、習得可能性が高いのかを考 察した。また、 ELFApproachが様々な発音やア クセントが存在する multilingualgroupではう まく機能し、日本のようなmonolingualgroupで はうまく機能しないのではないかということか ら、日本の言語環境と第二言語環境の違いを考察 した。これら 2つの観点から、 ELFApproachは 中学生段階から導入していくのが妥当であると 結論付け、そのシラパスを 3段階に分けた。
第5章では、本研究で明らかになったこと、教 育的示唆と今後の課題について述べた。
III.本研究の成果
(1)英語帝国主義に陥らないための指導方法とし て、 ELFApproachから示唆を得ることは有益で あることが確認できた。
(2)学習者の発達段階と言語環境を考慮、して、
ELF Approachを適応させる時期として中学校段 階が適切であると裏付けた。
(3) (1)と(2)に基づいて、英語入門期における日本 人学習者のための音声指導シラパスの枠組みを 提案した。
IV.教育的示唆
(1)ELFの必要性に関して
ELF ApproachはNNS同士の意思疎通を重視 しており、英語を NS(NativeSpeaker)のもので あるという概念にとらわれない。つまり、英語を 国際語として使用することに学習者の意識を向 けさせることができる。また、この指導は文節音 素を重視しており、日本人学習者が苦手としてい る強勢拍リズムは必須ではないとしており、学習 しやすいことが挙げられる。言い換えると、
achievabilityを高めることができる。
(2) ELFの導入時期
ELFの内容としては文節音素の要素の割合が 高いため、発達段階を考慮すると中学生段階で取
り入れることが適切だと考えられる。
v.今後の課題
(1)学習者が望む英語発音に関すること
ベネッセ (2014) によると英語を話せたらかっ こいいと答えた生徒は9割近いが、ELFをモデ、ル とすることが、学習者が望む英語発音なのかが疑 問である。指導の際には学習者が望む発音に関し てアンケートなどを用いて情報を集める必要を 感じる。
(2) achievabilityとintelligibilityに関すること achievabilityを高めるため日本人学習者にと って学習しやすい項目をシラパスに取り入れて いる。そのため intelligibilityが保持されにくい 発音になるかもしれない。
(3)シラパスの活用に関すること
提案したシラパスが音声指導として効果的に 機能するかどうかは実際に検証する必要がある。
有益な点と改善すべき点を考察することで、発展 的にシラパスを改良するしていくことが求めら れる。