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そして滞留行動を時系列的に考えることを目的とする

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Academic year: 2022

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(1)行動群に着目した都市における滞留特性に関する研究 * C o m m o n s e g m e n t a t i o n s f o r t r i p m a k e r a n d t h e i r characteristic of duration in urban area* 池田大一郎** 、谷口守*** 、久田由佳**** Taichiro IKEDA** , Mamoru TANIGUCHI*** and Yuka HISADA****. ループ=行動群の提案を多変量解析に基づいて行い 2)、. 1. はじめに. 3). そして滞留行動を時系列的に考えることを目的とする。. 近年、モータリゼーションの進展による様々な弊害が. 本研究で分析対象としたのは、市町村合併や調査区. 顕実化してきている。特に自動車による人々の活動範囲. 域の設定などの面から検討し、3 年間を通じて比較を行. の拡大は郊外の自動車型拠点が都心周辺部の商業地. っても問題のない 46 都市のデータである。最終的に分. にとってかわるという現象を引き起こし、これによって中. 析に用いたサンプル数は表−1 の通りである。. 心市街地は衰退し、街の賑わいが損なわれつつある現 状は大きな問題である。街の賑わいは来街者の数と滞 留行動によって成され、これによって創出される滞留時 間は都市の重要な資源といえる。 中心市街地活性化を考える際、この個人の滞留行動. 表−1. 分析に用いたサンプル数(人) 平日 61004 35112 39730 135846. 平成11年度 平成4年度 昭和62年度 合計. 休日 60774 35113 39730 135617. 合計 121778 70225 79460 271463. に着目することは重要であるといえる。また自動車利用. データの大きな特徴としては、各自の自動車利用可能. の増加が主たる原因である中心市街地問題には、TDM. 性を調査していることである。このデータは免許保有の. と一体となった議論が不可欠である。しかしこれまでの. 有無や自動車保有台数のデータ以上に車の利用度を. TDM 政策はマーケティング的視点に欠けるため、思っ. 適切に表わすと思われる。. たような成果が上がっていない現状がある 1)〜3)。. 尚分析にあたっては、昭和 62 年、平成 4 年の調査に. このようなことから、個人の滞留行動を分析する際にも. おいてトリップを構成するソージャン情報が不明のため、. マーケティング的視点が重要であり、交通行動が本質的. 各トリップの代表交通手段ベースでの分析を実施した。. に類似した個人のグループ単位からの検討が必要であ. 平成 11 年度はソージャン情報は明確であるが、これも他. る。. の 2 時点とあわせて代表交通手段を分析に用いた 3)。. 2. 本研究の目的と使用データ. 3. 行動群の設定とその経年変化 年齢・職業等の社会属性. 本研究は全国の多様な都市を対象に複数の時点で実 施されてきた全国都市パーソントリップ調査データを応 用することにより、個人による交通行動の本質的な違い をマーケティング的な視点から分かり易く捉えるためのグ *. キーワード:パーソントリップ調査、交通行動分析、交通手段選択、. **. 学生員. ***. 正員. 岡山大学大学院自然科学研究科 工博. 自動車利用可能性. 移動時間・自動車利用時間・ 目的別交通手段別生成原単位. 主成分分析. 等. 主成分得点. クラスター分析. 岡山大学環境理工学部. (岡山市津島中 3-1-1. Tel:086-251-8850. 1 1 の行動群を設定. E-mail:mamoru34@cc.okayama-u.ac.jp) ****. 131 の行動主体を設定. 等. 宇治市役所. 図‑1. 行動群の設定手順.

(2) 0%. ①非車依存. ②非車依存. ホワイトカラー. ④非車依存. ③非車依存学生. ブルーカラー. 農林漁業. 5%. 10%. ①非車依存ホワイトカラー 型 ②非車依存ブルーカラー 型 ③非車依存学生型. 15%. 20%. 平成11年 度 平成4年 度 昭和62年 度. ④非車依存農林漁業 ⑤非車依存非就業者型. ⑤非車依存. ⑥非車依存. 非就業者. ⑦車依存就業者. ⑧車完全依存. ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通 併用型. 就業者. ⑧車完全依存就業者型. 公共交通併用. 高齢者. ⑨車依存女性就業者型 ⑩車依存非就業者型 ⑪生徒・児童・園児 ⑨車依存. ⑩車依存. 女性就業者. ⑪生徒・児童・園児. 非就業者. 図−2. 図−3. 行動群構成の経年変化. 設定した行動群の概要. 行動群の考え方は既に発表したとおりであるが. 3). 、その. 分析手順を図−1 に示す。これによって設定できた行動. (2)関連する考察. 群の概要を図−2 に、その構成の 3 時点での変化を図. 昭和 62 年と平成 4 年における各行動群の1人当たりの. −3 に示す。図−3 から自動車利用の行動群が増加して. 平均滞留時間の平日のものを図−3、図−4、休日のも. いる様子が読み取れる。. のを図−5、図−6 に示す。これらの図から、1)通勤・業 務が含まれるため平均滞留時間は平日の方が長い、2). 4. 滞留特性の分析と関連する考察. 休日は平日に比べ行動群ごとの滞留時間の差が見られ ない。家族での同行行動が多いためと考えられる、3)滞. (1)滞留時間の算出. 留時間は平日・休日、グロス・ネットともに短くなってきて. 1トリップ当たりの滞留時間を(1)式で定義し、(2)式で 1人当たりの滞留時間を求めた。. τ. = t. ijk. d. ij ' ( k + 1 ). − t. a. が見られ、自動車利用の増加に伴い都市内での滞留が ijk. (1). *トリップ数が1のデータ、最後のトリップデータは除外した. T. m − 1. ∑. =. i. k = 1. τ. ijk. (i = 1,2, ・・・, l ). τ. 減少している様子が捉えられた。 次に、図−7〜図−10 に年度別・平休日別総滞留時 間の目的別行動群構成を示すが、目的が異なると都市. (2). での滞在行動の中心になっている行動群も大きく異なる ことがわかる。また 1)その中心になっている行動群が経. ここに、. j, j. いる。特に休日では車依存型行動群の滞留時間の減少. '. :トリップの目的ゾーン :個人iのk番目、jゾーンでの1トリップあたりの滞. ijk. 留時間. t d ij ' ( k + 1 ) t a ijk Ti. :個人iの(k+1)番目のトリップ出発時刻. 年的に変化しており、特にどの目的においても自動車利 用の行動群による滞留が増加している、 2)中でも買い物 行動に着目すると、滞留行動の中心は平休日ともに非 車依存非就業者であったものが平日は車依存非就業者. :個人iのk番目のトリップ到着時刻. へ、休日は車依存非就業者と車依存女性就業者へ変. :個人iの滞留時間(1日あたり). 化していることは注目すべきことである。.

(3) 0. (分). 200 400 600 800. 0. (分). ②非車依存ブルーカラー型. グロス ①非車依存ホワイトカラー型 ネット ②非車依存ブルーカラー型. ③非車依存学生型. ③非車依存学生型. ④非車依存農林漁業. ④非車依存農林漁業. ①非車依存ホワイトカラー型. 200 400 600 800 グロス ネット. ⑤非車依存非就業者型. グロス全平均. ⑤非車依存非就業者型. グロス全平均. ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併 用型 ⑧車完全依存就業者型. ネット全平均. ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併 用型 ⑧車完全依存就業者型. ネット全平均. ⑨車依存女性就業者型. ⑨車依存女性就業者型. ⑩車依存非就業者型. ⑩車依存非就業者型. ⑪生徒・児童・園児. ⑪生徒・児童・園児. 図−3 昭和 62 年度行動群別平均総滞留時間(1人・平日). 0. (分). 図−4 平成 11 年度行動群別平均総滞留時間(1人・平日). 200 400 600 800. 0. (分). ②非車依存ブルーカラー型. グロス ①非車依存ホワイトカラー型 ネット ②非車依存ブルーカラー型. ③非車依存学生型. ③非車依存学生型. ④非車依存農林漁業. ④非車依存農林漁業. ①非車依存ホワイトカラー型. 200 400 600 800 グロス ネット. ⑤非車依存非就業者型. グロス全平均. ⑤非車依存非就業者型. グロス全平均. ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併 用型 ⑧車完全依存就業者型. ネット全平均. ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併 用型 ⑧車完全依存就業者型. ネット全平均. ⑨車依存女性就業者型. ⑨車依存女性就業者型. ⑩車依存非就業者型. ⑩車依存非就業者型. ⑪生徒・児童・園児. ⑪生徒・児童・園児. 図−5 昭和 62 年度行動群別平均総滞留時間(1人・休日) 0%. 20%. 40%. 図−6 平成 11 年度行動群別平均総滞留時間(1人・休日). 60%. 80%. 100%. A.通勤先・通学先へ B.買物へ C.その他の私用へ D.業務へ. 車依存型行動群. 図−7 0%. 昭和 62 年度総滞留時間の目的別行動群構成(平日) 20%. A.通勤先・通学先へ B.買物へ C.その他の私用へ D.業務へ. 図−8. ①非車依存ホワイトカラー型 ②非車依存ブルーカラー型 ③非車依存学生型 ④非車依存農林漁業 ⑤非車依存非就業者型 ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併用型 ⑧車完全依存就業者型 ⑨車依存女性就業者型 ⑩車依存非就業者型 ⑪生徒・児童・園児. 40%. 60%. 80%. 100%. ①非車依存ホワイトカラー型 ②非車依存ブルーカラー型 ③非車依存学生型 ④非車依存農林漁業 ⑤非車依存非就業者型 ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併用型 ⑧車完全依存就業者型 ⑨車依存女性就業者型 ⑩車依存非就業者型 ⑪生徒・児童・園児. 平成 11 年度総滞留時間の目的別行動群構成(平日).

(4) 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. ①非車依存ホワイトカラー型 ②非車依存ブルーカラー型 ③非車依存学生型 ④非車依存農林漁業 ⑤非車依存非就業者型 ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併用型 ⑧車完全依存就業者型 ⑨車依存女性就業者型 ⑩車依存非就業者型 ⑪生徒・児童・園児. 100%. A.通勤先・通学先へ B.買物へ C.その他の私用へ D.業務へ. 図−9 0%. 昭和 62 年度総滞留時間の目的別行動群構成(休日) 20%. 40%. 60%. 80%. A.通勤先・通学先へ B.買物へ C.その他の私用へ D.業務へ. 図−10. 100%. ①非車依存ホワイトカラー型 ②非車依存ブルーカラー型 ③非車依存学生型 ④非車依存農林漁業 ⑤非車依存非就業者型 ⑥非車依存高齢者 ⑦車依存就業者公共交通併用型 ⑧車完全依存就業者型 ⑨車依存女性就業者型 ⑩車依存非就業者型 ⑪生徒・児童・園児. 平成 11 年度総滞留時間の目的別行動群構成(休日). 5. おわりに. トリップ調査技術検討ワーキング(座長:東京大学教授 原田昇、事務局:国土交通省国土技術政策総合研究. 本研究では全国都市パーソントリップ調査のデータを. 所)のご配慮をいただいた。また本文中の図作成におい. 活用することにより、個人による交通行動の本質的な違. て柳田早映氏の協力を得た。記して謝意を申し上げま. いをマーケティング的な側面からわかりやすく捉えるた. す。. めに「行動群」を多変量解析に基づいて提案した。さら にこれを分析単位として、今後の都市交通政策におい. <参考文献>. ては個人を都市空間の中に如何に滞在させるかという. 1) 土木計画学研究委員会:交通計画とマーケティングサ. 観点が重要になることに留意し、その滞留特性について. イエンス技法、土木計画学ワンデーセミナー、1993. 定量的な検討を行った。その結果、自動車依存型行動. 2) 谷口・村川・森田:都市間で共通する行動群の設定と. 群の比重が高まる傾向が明らかになり、またこれに伴っ. その都市交通特性への影響、土木計画学研究・論文. て都市における滞留行動も自動車利用が中心になって. 集 16、pp601-607、1999. きていることが示された。また時代のニーズに応じた. 3) 谷口・池田・波部:都市間で共通する行動群における. 様々な交通課題に対する知見を得るため、経年的に幅. 交通行動の長期的安定性に関する検討、土木計画学. 広く実施されてきた全国都市パーソントリップ調査は多. 研究・講演集 24(1)、pp105-108、2001. 様な分析を行うための良質な素材であることも確認でき た。 今後の課題としては、これらの滞留行動が都市のどの. 4) 谷口・秋本・天野:滞留時間分析システムを用いた滞 留促進のための基盤整備に関する研究、土木計画学 研究・論文集 10、pp119-126、1992. 部分で行われているのかをあわせて分析する必要があ. 5) 戸田・谷口・秋本:都心地区における来街者の滞留行. る。また実際に具体的な政策を行った場合に行動群ごと. 動に関する研究、都市計画論文集 25、pp79-84、1990. の行動特性や滞留行動がどのように変化するかについ. 6) 木下・牧村・山田・浅野:歩行回遊行動からみた地方都. ても検討が必要である。 尚、本研究のデータ利用に関しては全国都市パーソン. 市における都心歩行者空間に関する一考察、都市計 画 No.232、pp86-95、2001.

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参照

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