MOC研修会 H21.3.27
個人再生
目次
解説編... 4 第1 概要... 4 1 民事再生とは... 4 2 小規模個人再生とは... 4 3 種類... 4 4 どのような場合に個人再生を選択するか... 4 5 メリット・デメリット... 4 (1)メリット... 4 (2)デメリット... 5 6 弁済額... 5 7 効果... 5 8 非免責債権... 6 第2 通常の民事再生... 6 1 利用者... 6 2 申立原因... 6 3 弁済額... 6 4 弁済期間... 7 5 計画案の決議要件... 7 6 特徴... 7 第3 小規模個人再生... 7 1 利用者... 7 2 申立原因... 7 3 弁済額... 7 4 弁済期間... 7 5 計画案の決議要件... 7 ●練習問題1... 8 6 どのような場合に選択するか... 8 7 他の手続との関係... 8 第4 給与所得者等再生... 8 1 利用者... 8 2 申立原因... 8 3 弁済額... 8 ●練習問題2... 9 4 弁済期間... 9 5 計画案の決議要件... 9 6 どのような場合に選択するか... 9 7 他の手続との関係... 9第5 住宅資金特別条項... 10 1 概要... 10 2 要件... 10 3 内容...11 (1)同意を不要とするもの... 11 ア そのまま型... 11 イ 期限の利益回復型... 11 ウ 弁済期延長(リスケジュール)型... 11 エ 元本猶予期間併用型... 11 (2)同意を必要とするもの... 12 4 決議要件... 12 5 弁済許可... 12 6 巻戻し... 12 7 抵当権実行中止命令... 13 Q1.競売費用は誰が負担すべきか... 13 8 保証人・連帯債務者への効力... 13 第6 個人再生委員... 14 1 職務... 14 2 選任... 14 第7 再生計画変更... 14 第8 ハードシップ免責... 14 第9 再生計画取消し... 15 1取消事由... 15 2申立... 15 3効果... 15 第10 比較表... 16 実務編(手続中の注意点)... 17 1 受任段階... 17 2 債権調査段階... 18 3 申立準備段階... 18 (1)申立書作成... 18 (2)債権者一覧表... 18 (3)添付書類... 19 (4)その他... 19 Q2.自営業者の再生申立でリース物件を使い続けたいがどうしたらよいか... 19 4 申立段階... 19 5 開始決定段階... 20 6 債権届段階... 20 7 再生計画案作成段階... 20 ●練習問題3... 21 Q3.支払期日の設定について気をつけることはあるか... 22 Q4.再生計画案の返済期間を 5 年にする場合の注意点は何か... 23
Q5.再生計画案の提出にあたっての何か注意点はあるか... 23 8 認可決定段階... 23 9 認可確定段階... 23 10 支払開始段階... 23 11 手続の流れ... 24 練習問題答え... 25
解説編
第1 概要 1 民事再生とは 経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判 所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間 の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生 を図ることを目的とする制度。(民事再生法第 1 条) 2 小規模個人再生とは 個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込み があり、かつ、再生債権の総額が五千万円を超えないものは、特則の適用を受ける 再生手続を行うことを求めることができる。(法 221 条) 3 種類 (1)通常の民事再生 (2)小規模個人再生【(1)の特則】 (3)給与所得者等再生【(2)の特則】 ◆住宅資金特別条項【上記 3 つのいずれかと組み合わせる】 4 どのような場合に個人再生を選択するか (1)財産(住宅)を保持したい場合 →自動車、パソコン等ローンが残っているものは引揚げられ保持できない。 (2)免責不許可事由がある場合 →借入の態様が酷い(破産管財事件となっても裁量免責を受けられないような 借入)。 →法に触れるような賭博のために借入れをした(バカラ賭博、賭け麻雀など)。 (3)任意整理は厳しいが、どうしても自己破産したくない場合 (4)破産による資格制限を回避したい場合 →再生には資格制限がないため、申立人が警備員、保険外交員等の場合に選択 する余地がある。 しかし、資格制限期間は通常 3、4 ヶ月間であることから、この期間に新た に資格取得したり勤務先に身分証明書を提出したりする必要がなければ、選択 する必要はない。 5 メリット・デメリット (1)メリット ア 債務額を大幅に縮減できる イ 住宅を保持できる ウ 資格制限がない(2)デメリット ア 申立から返済開始まで時間が掛かる(5、6 ヶ月) イ 3 年ないし 5 年間は遅滞なく返済しなければならない ウ 借入は全て債権として挙げなければならない →任意整理のように整理対象を選択することができない エ 家族に内密で手続きを進めることは原則できない →家計全体の収支状況とその資料を裁判所に提出するため、家族の協力が不 可欠 cf.破産の場合は、本人の収支状況が明確であれば、家族の部分は アバウトでよい →結局、住宅を所有していなければ、あまりメリットはない。 6 弁済額 破産手続によって債権者らが配当を受ける金額よりも多くを弁済する必要があ る。(清算価値保障原則) (1)最低弁済額は再生債権の額を基準にして求められる(法 241 条 2 項 5 号、231 条 2 項 3 号、同 4 号) ※消費者金融などが債権者の場合、再生債権は利息制限法で引き直した金額 である。 100 万未満 →そのまま 100 万以上 500 万未満 →100 万 500 万以上 1500 万未満 →5 分の 1 1500 万以上 3000 万未満 →300 万 3000 万を以上 5000 万以下→10 分の 1 図 (2)再生債務者の所有する財産の額と上記最低弁済額を比較して高い方を計画弁 済総額とする →例えば、最低弁済額が 100 万円で、財産総額が 200 万円である場合、高い方 の 200 万円が計画弁済総額となる。 7 効果 (1)債務が縮減され、最低でも月々の支払が約 2 万 8000 円となる (2)再生手続きによらず、債務を弁済することができなくなる(法 85 条 1 項) 100 万円 500 万円 1500 万円 3000 万円 5000 万円 100 万 300 万 500 万 100 万 1/5 300 万 1/10
→弁済する場合は裁判所に弁済許可を取らなければならない。(法 197 条 3 項) (3)一般優先債権、共益債権は再生手続によらず随時弁済される →税金、水道光熱費、マンション管理費(滞納分は再生手続による)など。 (4)再生手続によって変更された権利は、保証人・連帯保証人・連帯債務者・物 上保証人に及ばない(法 177 条 2 項) →債権者はこれらの者に債権全額を請求できる。 (5)再生手続によっても別除権の行使を止めることは原則できない(法 53 条 2 項) →抵当権者による抵当権実行や所有権留保による物品の引揚げなどは再生手 続によらずできる。例外として抵当権実行中止命令がある。(第5 7参照) (6)開始決定後は給与差押などの強制執行はできなくなり、既にされている手続 も中止する(法 39 条 1 項) (7)特定の債権者だけ有利に扱うことはできない(債権者平等原則、法 229 条 1 項、法 244 条) →再生計画案では弁済率、返済期間を平等にする(例外、不利益を受ける債権 者の同意がある場合、少額債権の弁済時期) 8 非免責債権 (1)個人再生では以下の債権は、全額を支払わなければならない(法 229 条 3 項) ア 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債権 イ 故意、重過失によって加えた生命、身体を害する不法行為に基づく損害賠 償債権 ウ 夫婦間の協力扶助義務、婚姻費用分担義務、子の監護義務及び扶養義務に 関する債権 ※非免責債権も再生債権であり、最低弁済額算定の基礎になり、債権者一覧への 記載も必要となる。また、再生手続によらず弁済することはできない。 ただ、一般弁済期間が終了した後も完済するまで支払を続けていくことになる。 第2 通常の民事再生 1 利用者 (1)個人法人問わず利用できる →中小企業などの法人の利用が多い (2)株式会社以外の法人についても利用できる →会社更生法では利用できない 2 申立原因(個人再生と共通) (1)破産手続開始の原因となる事実の生じるおそれがあること(法 21 条 1 項前段) (2)事業の継続に著しい支障を来たすことなく弁済期にある債務を弁済すること ができないこと(法 21 条 1 項後段) 3 弁済額 債務者の財産を評定し(法 124 条 1 項)、この額以上を弁済額としなければなら
ない。(清算価値保障原則) 4 弁済期間 (1)原則再生計画認可確定から 10 年を超えない範囲(法 155 条 3 項) (2)特別な事情がある場合はそれ以上も可能 5 計画案の決議要件(法 172 条の 3 第 1 項) (1)債権者集会に出席し、または書面等で投票をした者の過半数 (2)議決権総額の 2 分の 1 以上の議決権者の同意(積極的同意) →(1)(2)両方の要件を備えていなければならない。 6 特徴 (1)再生債権者は債権届を提出しなければ再生手続に参加できない(法 94 条 1 項) (2)債権の調査、確定手続(認否書提出、査定申立)がある(法 100 条) (3)確定した再生債権についての債権者表の記載は確定判決と同一の効力を有す る。 →不履行となった場合、強制執行の債務名義となる(法 180 条 2 項) (4)監督委員、管財人が場合によっては選任される(法 54 条、64 条) 第3 小規模個人再生 1 利用者 (1)個人債務者のみ(法 3 条) →外国人も利用可能 (2)将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること (3)再生債権の総額が 5000 万円を超えないこと →サラリーマンや中小の自営業者などが主な利用者 2 申立原因 通常の民事再生と同じ 3 弁済額 最低弁済額を求め、債務者の財産の額と比較し高い方を計画弁済総額とする。 (具体的な計算方法は第 1 概要の 6 弁済額を参照) 4 弁済期間 (1)原則 3 年間で、特別な事情がある場合は 5 年を超えない範囲で延長できる。 (2)3 ヶ月に 1 回以上の割合で分割弁済を継続する必要がある。 5 計画案の決議要件(法 230 条 6 項) (1)計画案に不同意の旨を書面で回答した議決権者が、全議決権者の総数の半数 未満(消極的同意)
(2)その議決権の額が議決権者の議決権総額の 2 分の 1 を超えない →(1)(2)両方の要件を備えていなければならない。 ●練習問題1 債権者が ABC の 3 人で、AB はそれぞれ 100 万、C は 300 万の債権を持っているとき、 以下の各場合に計画案は可決されるか。 ①B 一人が不同意の書面を提出した場合 ②C 一人が不同意の書面を提出した場合 ③AB 二人が不同意の書面を提出した場合 6 どのような場合に選択するか 任意整理が厳しい場合に小規模個人再生を考慮することが多いと思われる。 具体的には、500 万の負債であれば、任意整理では月々約 14 万円(3 年で返済)必 要なところ、再生では月々2 万 7778 円(振込手数料別)を返済原資として用意できれ ばよいことになる。 7 他の手続との関係 (1)債務者が小規模個人再生を利用できる要件を備えていない場合、開始決定前 に限り通常の民事再生手続とすることができる。但し、債務者が通常の再生手 続としない旨を表明していた場合は、棄却される。(法 221 条 7 項、2 項) (2)再生申立棄却、再生計画不認可、再生計画取消しがあった場合、裁判所は職 権で破産手続開始決定をすることができる。(法 250 条 1 項) 第4 給与所得者等再生 1 利用者 (1)小規模個人再生を利用し得る債務者(法 239 条 1 項) (2)給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者 (3)その額の変動の幅が小さいと見込まれるもの →計画案提出前 2 年間の途中で年収の 5 分の 1(20%)以上の変動がないこと (法 241 条 2 項 7 号イ) (4)破産による免責、給与所得者等再生の認可確定、ハードシップ免責の確定が あってから 7 年以上経過している者(法 239 条 5 項 2 号) →サラリーマン、年金受給者など定期的に収入があり、変動の幅が小さい者。(自 営業者は利用できない) 2 申立原因 通常の民事再生と同じ 3 弁済額 (1)最低弁済額を求める。 (2)2 年分の可処分所得を計算する。(法 241 条 2 項 7 号)
ア 再生計画提出前 2 年間の収入から所得税、住民税、社会保険料を控除した 額を 2 で割る。 イ 債務者とその扶養家族の最低限度の生活を維持するために必要な 1 年分の 費用を算出する。(民事再生法第 241 条第 3 項の額を定める政令) ウ アからイを控除し、その額を 2 倍する。 (3)債務者の財産を確定する。 (4)(1)から(3)のうちいずれか高いものを計画弁済総額とする。 ●練習問題2 平成 17 年の給与総額は 500 万で所得税・住民税・社会保険の合計が 53 万、平成 18 年の給与総額は 550 万で所得税・住民税・社会保険の合計が 57 万、最低生活費が 280 万である場合の可処分所得はいくらか 4 弁済期間 小規模個人再生と同じ 5 計画案の決議要件 (1)債権者の同意を得る必要はない(法 244 条) →小規模個人再生に比べ利用要件が厳しい代わりに、決議要件がない。 (2)債権者から意見を聴取する(法 240 条 1 項) →債務者に不認可事由があればその旨の意見を述べるのみで、認可決定に影響 はほとんどない。 6 どのような場合に選択するか 通常、給与所得者等再生は小規模個人再生よりも計画弁済総額が高くなるので、 選択することはあまりない。 しかし、小規模個人再生の決議要件を満たさない事態が予測される場合には選 択するメリットがある。 具体的には、個人債権者が多数いる場合や商工ローン(シティズ)、低利かつ 多額の貸付を行う貸金業者(オリックス・クレジット)、公的資金が投入されて いる債権者がいる場合(横浜市信用保証協会、神奈川県信用保証協会など)は、 計画案に反対する可能性が高いため選択するメリットがある。個人債権者が多数 いる場合は借入の態様や債務者との関係などを考慮し、それ以外の場合について はこれまで反対したことがある債権者か裁判所に聞いてみると、より正確に判断 ができると思われる。 7 他の手続との関係 (1)給与所得者等再生の要件を備えておらず、小規模個人再生の要件を備えてい る場合は開始決定前に限り、小規模個人再生手続とすることができる。(法 239 条 5 項) (2)給与所得者等再生の要件を備えておらず、小規模個人再生の要件も備えてい ない場合は開始決定前に限り、通常の個人再生手続とすることができる。(法
239 条 4 項) (3)上記いずれの場合でも小規模個人再生、通常の民事再生手続としない旨を表 明していれば棄却される。(法 239 条 4 項、5 項) (4)再生申立棄却、再生計画不認可、再生計画取消しがあった場合、裁判所は職 権で破産手続開始決定をすることができる。(法 250 条 1 項) 第5 住宅資金特別条項 1 概要 近年の住宅ローン破産の増加に伴い、負債の整理をしながらも住宅を維持するこ とが出来るものとして制定された。 民事再生では一般優先債権、共益債権以外の債権は原則再生債権となり、計画弁 済総額まで縮減され、住宅ローンについても例外ではない。しかし、縮減されると 住宅ローン債権者は債権のほとんどを回収できないため、再生手続申立を期限の利 益喪失と捉え、抵当権を実行することとなる。 そこで、住宅資金貸付債権を再生債権に含めず全額を支払う代わりに、住宅を維 持できるようにしたのが住宅資金特別条項である。 2 要件 (1)債務者が所有し、床面積の 2 分の 1 以上を専ら自己の居住の用に供する建物 であること(法 196 条 1 号) →共有でもよい。 →現在居住していなくても将来居住する予定であれば利用可能。 (2)住宅の用に供されている土地、または当該土地に設定されている地上権であ ること(法 196 条 2 号) (3)住宅の建設、購入、改良に必要な資金の貸し付けに係わる分割払いの定めの ある再生債権であること(法 196 条 3 号) (4)(3)または(3)に係わる債務の保証人の求償権を担保するために、抵当権が 住宅に設定されていること(法 196 条 3 号) (5)住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと(法 198 条 1 項但書前段) →適用するには、ローン以外の抵当権の被担保債権額を支払い、抵当権を抹消 する。 ※通常の民事再生では偏頗弁済に該当し否認されるおそれがあるが、個人再 生では否認される規定がないため、事実上偏頗弁済ができてしまう。しかし、 偏頗弁済の事実を裁判所または他の債権者が知った場合、計画案の認可に影 響を及ぼしかねないので、慎重に行う必要がある。 (6)保証会社が、住宅資金貸付債権の保証債務を履行した場合、履行からから 6 ヵ月を経過していないこと(法 198 条 2 項前段) →代位弁済から 6 ヵ月以内に申立を行えばよい。
3 内容 (1)住宅資金貸付債権者の同意を不要とするもの (2)住宅資金貸付債権者の同意を必要とするもの (1)同意を不要とするもの ア そのまま型 期限の利益を喪失しておらず、契約通り返済を行っており、変更の必要 がない場合 イ 期限の利益回復型(法 199 条 1 項 1 号) 住宅ローンの履行遅滞による期限の利益を回復させ、以下のものを一般 弁済期間内に支払う場合。 (ア)認可確定時まで弁済期が到来する元本とこれに対する確定時から住宅 資金特別条項で定められた元本の弁済期までの利息 (イ)認可確定時までに生ずる利息 (ウ)本来のローン債務を遅滞したことによる損害金(遅滞時から確定時ま での約定利率による損害金) (エ)認可確定時までに弁済期が到来しない住宅資金貸付債権の元本及び利 息(これから返済期限が到来する本来のローン債務) →弁済期間中は通常のローンの支払に加えて、認可確定までに遅延したロ ーン支払額とそれに対する利息、損害金を支払うことになる。 ウ 弁済期延長(リスケジュール)型(法 199 条 2 項) イでは認可の見込がない場合、以下の要件の下弁済期を延長することに よって月々の返済額を減らすことができる。 (ア)元の住宅ローンの最終弁済期から 10 年以内 (イ)変更後の最終弁済期において債務者が 70 歳を超えない エ 元本猶予期間併用型(法 199 条 3 項) ウの認可の見込もない場合、最終弁済期を延長するとともに一般弁済期 間中は元本の一部及び残元本に対する期間中の利息を支払い、期間終了 後残元本、利息及び損害金を支払う。 一般弁済期間 滞納分 上乗せ 時間の流れ 約定弁済期間 滞納分 一般弁済期間 約定弁済期間 延長
(2)同意を必要とするもの(法 199 条 4 項) 住宅資金貸付債権者の同意がある場合は、アからエ以外の変更を内容と する特別条項を定めることができる。 例えば、最終弁済期を 20 年延長したり、一般弁済期間中は利息のみの支 払いとしたり様々な返済方法を定めることができる。 →(1)(2)いずれも住宅資金貸付債権者と事前協議が必要である。(規則 101 条 1 項) →(1)の場合でも、裁判所は住宅資金貸付債権者の意見を尊重する傾向にあ るため、同意を得ることが望ましい。 4 決議要件 (1)住宅資金貸付債権者(保証会社含む)は再生計画案の決議において議決権を 持たない。(法 201 条 1 項) (2)裁判所は住宅資金債権者に対して意見の聴取をしなければならない。(法 201 条 2 項) →意見を聴くことで、住宅資金特別条項の適否や再生計画全体の遂行可能性を判 断する材料とする。 5 弁済許可 再生開始によって、手続外での弁済が禁止される(法 85 条 1 項)が、住宅ロー ンも例外ではなく弁済を禁止される。 しかし、これでは期限の利益を喪失してしまい、認可決定確定までに多額の損害 金が発生してしまうので、再生計画の履行可能性に大きな影響を与える。 そこで、開始決定後でも一定の要件の下、裁判所の許可を得て弁済することが可 能になった。(法 197 条 3 項) (1)要件 ア 弁済をしなければ期限の利益を喪失することになる場合 →すでに喪失している場合は許可が与えられない。 イ 再生計画案の認可の見込がある場合 6 巻戻し 保証会社が代位弁済をして 6 ヵ月以内に再生手続開始申立をした場合、法律関係 が代位弁済前に巻戻され、住宅資金貸付債権が原債権者の下に復活する。(法 198 条 2 項) →保証会社が登記をしている場合は、これを抹消することになる。抹消登記代金 は債務者が支払うこととなる。 滞納分 一般弁済期間 延長 上乗せ 約定弁済期間
→代位弁済されている場合の事前協議は、原債権者である住宅ローン会社と行う。 (規則 101 条 2 項) 7 抵当権実行中止命令 代位弁済された後、競売手続を申立てられることが多いが、認可確定まで時間が かかるためその間に住宅が競落されてしまうおそれがある。 そこで、再生手続開始決定後、債務者の申立によって抵当権の実行を中止するこ とができる。(法 197 条 1 項) (1)要件 住特条項を定めた再生計画に認可の見込があること Q1.競売費用は誰が負担すべきか A1.債務者が負担するという法的根拠はないが、債権者もしくは保証会社の負担とし た場合、意見聴取で不利な意見を述べられる可能性があるため、できれば債務者の 負担とした方がよい。通常、住宅ローンの契約時点で債務者が競売費用を負担する ことに合意していると思われるので、合意を根拠に債務者負担とすればよい。 しかし、その場合でも合意があっただけでは、再生債権となってしまうだけで、 全額を債務者が支払うことにはならない。 そこで、競売費用を全額債務者負担とする理由付けが 2 つ考えられる。 まず、住宅貸付債権の定義における「住宅の建設若しくは購入に必要な資金又は 住宅の改良に必要な資金の貸付に係る~(法 196 条 3 号)」の「係る」に競売費用 を含めてしまう。 次に、住宅資金特別条項の効力である「期限の利益喪失についての定めその他の 住宅資金貸付契約における定めと同一の定めがされたものとみなす(法 203 条 2 項)」において、費用負担を債務者とする合意を住宅ローン契約に付随したもので あるとして「同一の定め」があったものと解釈する。 以上により債務者の全額負担とすることは可能である。 ※債務者負担の法的根拠がないことから、当然これを拒絶することもできる。 (2)中止期間の延長(法 197 条 2 項、31 条 3 項) 認可決定が確定すると競売手続は取消となるが、確定までに中止期間が満了し てしまうと競売手続が再開されてしまう。 そこで、中止期間の延長を申し立てることができる。その際、認可確定日を予 測して延長期間を指定する必要がある。 8 保証人・連帯債務者への効力 再生手続による権利の変更は連帯債務者、連帯保証人、物上保証人に影響しない のが原則である。(法 177 条 2 項) しかし、住宅資金特別条項がこれらの者に影響しないとすると、保証人が代位弁 済をして競売することができ、条項を定めた意味が無くなってしまう。 そこで、住宅資金特別条項を定めた計画案は保証人等に影響することとした。(法 203 条 1 項) →認可決定が確定した場合、保証人等にその旨の通知をしなければならない。(規
則 104 条) 第6 個人再生委員 通常の再生の場合、裁判所を補助する機関として監督委員が選任されるが、その 費用・報酬は高額で、個人再生には向かない。そこで、必要最小限の職務を果たす 機関として個人再生委員の制度が設けられた。(法 223 条 1 項) 1 職務(法 223 条 2 項) (1)財産および収入状況の調査 (2)再生計画案作成にあたっての必要な勧告 (3)再生債権の評価に関する裁判所の補助 2 選任 (1)個人再生委員の選任は裁判所の裁量に任されるが、債権の評価申立があった ときは選任しなければならない(法 223 条 1 項) (2)横浜地方裁判所では、司法書士が申し立てる場合に選任される →東京地方裁判所では申立代理人が弁護士であっても選任される。 第7 再生計画変更 再生計画の遂行が途中で困難になった場合に、計画を延長する内容で変更するこ と(法 234 条) →弁済総額を増減額するような変更はできない (1)やむを得ない事由で計画遂行が困難になった (2)当初計画の最終期限から 2 年を超えない範囲で延長する →3 年なら 5 年に、5 年なら 7 年にできる 第8 ハードシップ免責 再生計画を遂行中に要件を満たせば、残りの債務を免責するという制度(法 235 条、244 条) 1要件 (1)債務者の責に帰すことができない事由によって返済が困難になった (2)縮減後の各債権額の 4 分の 3 以上(75%以上)を弁済している (3)免責することが債権者の一般の利益に反しない →債権者の一般の利益とは清算価値保障原則のこと。 (4)再生計画の変更をすることができない
第9 再生計画取消し 債務者に一定の取消事由が生じたときに、債権者の申立により再生計画が取消さ れる。(法 189 条 1 項 2 号) 1取消事由 (1)再生計画が不正の方法により成立したこと(法 189 条 1 項 1 号) (2)再生計画の不履行(法 189 条 1 項 2 号) (3)再生債務者の義務違反(法 189 条 1 項 3 号、41 条 1 項、42 条 1 項) (4)認可確定後、清算価値保障原則に反する計画弁済総額を定めたことが判明し たとき(法 236 条) 2申立 (1)計画に不履行がある場合の取消しは、未履行部分の全体額の 10 分の 1 以上の 権利をもつ債権者のみ申立できる(法 189 条 3 項) (2)上記の債権者には住宅ローン債権者は含まない(法 206 条 1 項) 3効果 (1)変更された債権が原状に復する(すでに弁済があったものは除く)。(法 189 条 7 項) (2)職権で破産手続を開始される場合がある。(法 250 条 1 項)
第10 比較表 項目 通常の再生 個人再生 給与所得者等 利用者 個人・法人 個人 個人 収入形態制限 なし 将来の継続的収入 債務総額制限 なし 一般債務 5000 万以下 債権者の同意 頭数と額で 1/2 以上 の積極的同意 頭数と額で 1/2 以上 の消極的同意 不要(意見聴取のみ) 債権者集会 あり なし 書面決議 あり なし 最低弁済条件 破産配当より大 破産配当より大、100 万 or20%or10% 破産配当より大、100 万 or20%or10%、可 処分所得要件 弁済期間 原則 10 年以内 原則 3 年、最大 5 年 免責後の 再生申立 可 7 年以内は不可 債権調査 厳格 (査定、確定訴訟) 簡易(評価) 無届債権の失 権 あり なし 債権者表の債 務名義性 あり なし 否認権制度 あり なし 担保権消滅制 度 あり あり(事業者) なし 住特条項適用 あり 機関 監督委員、調査委員、 管財人、保全管理人 個人再生委員 認可確定後の 裁判所の監督 あり なし 認可後の変更 確定前のみ可 確定後も可
実務編(手続中の注意点)
1 受任段階 (1)債権者をもれなく聴き取る →とくに親兄弟、親戚、友人、知人などから借入れがないか確認する。 →開始決定後は債務者側からは追完できず、書面による決議に付する決定・意見 聴取後は債権者側からも追完できないので、一般弁済期間中上乗せして支払うこ とになる。(法 95 条 4 項、240 条 3 項) (2)ローンが残っている自動車、パソコンなどがないか確認する →原則引き揚げとなるが、どうしても残したい場合は親戚などに一括で買取って もらう。(第三者弁済) (3)家族の協力が必要である旨を説明する →家計を同じくしている者の収入を証する書類が必要となる。 (4)最低でも月々約 2 万 8000 円の支払い(住宅ローン除く)が必要であることを説 明する (5)住宅ローンの滞納がない場合、あっても期限の利益を喪失していない場合は返 済を続けてもらう (6)住宅ローンを代位弁済されている場合、いつが 6 ヶ月目となるのか確認し、意 識しておく →代位弁済から 6 ヶ月を経過してしまうと巻き戻しをすることができない。 (7)住宅ローン以外の抵当権がついていないか確認する →ついている場合は慎重に交渉し抹消してもらう(第三者弁済が望ましい)か、 諦めて破産にする。 (8)住宅ローンの契約書、返済予定表などを準備してもらう →紛失してしまっているケースが多いので、早い段階から用意してもらう。 →ない場合は、債権者に写しを依頼する。 (9)家計簿の作成を習慣づけてもらう →申立には 3 ヶ月分必要なため、受任時から準備してもらう。 (10)滞納している税金は払い続け、滞納を解消してもらう →再生計画に基づく返済が始まるまでに解消するのがベスト。 (11)弁護士費用を全額一括でもらっていても月々積立てをしてもらう →再生計画案提出時に積立報告書を提出するため、早い時期から積立てを始めて もらう。債務者個人名義通帳を事務所で作成し、積立金を管理するとよい。(作 成時期は受任時でも申立後でも開始決定後でもよいが、早い方がよい) →返済額が少額で一括する場合や住宅ローンの滞納分を一括返済するためにも 必要である。 (12)住宅を所有している場合は、登記簿を取り寄せる →所有形態(所有権か借地権か)や権利関係(住宅ローン内容、抵当権の内容等) を早い段階で把握しておく。 (13)財産を処分または取得する場合は、必ず弁護士の判断を仰ぐよう伝える。 →自動車を引き揚げられた後に、新たに一括で購入する場合など。2 債権調査段階 (1)再生債権は、金融債権の場合利息制限法による引き直し後の金額である (2)住宅ローン会社には、予め住宅資金特別条項を定める旨伝えておく →原契約どおり返済していくとしてもその旨を伝えておく (3)個人債権者がいる場合は、再生手続きがどういうものか説明する →破産と違い、債権を一部でも回収できることを強調すれば、余程険悪な関係で ない限り渋々でも納得する。 3 申立準備段階 (1)申立書作成 ア 陳述書は署名捺印が必要であるため、予備として 2、3 枚作成する イ 再生に至った事情は詳しく記載する必要はない →破産と異なり原因となった事情によって手続きが変わることはない。 ウ 自営業者の場合、過去 1 年間の資金繰り実績と今後 6 ヶ月の見込みを提出し なければならない →家計の状況と重なることが多いと思われるので、特別難しいことはない。 エ 財産目録作成の際は、破産と異なり 20 万円の枠を考慮しなくてよい →但し、退職金請求権は自己破産と同じく見込み額の 8 分の 1 とする。 オ 財産目録を基に清算価値チェックシートを作成する →不動産の金額は時価から被担保債権額を控除した額を記入する。時価よりも 被担保債権額が多い場合は、0 円で記入する。 カ 小規模個人再生が認められないときに備えて通常の再生手続開始を求める場 合はチェックを入れる。 キ 給与所得者等再生が認められなときに備えて小規模個人再生手続開始を求め る場合はチェックを入れる →同時に小規模が認められないときに備えて通常の再生を求める場合はチェ ックする ク 住特条項を定める場合は、申立書のチェックを必ず入れる →入れないと一般債権扱いとなり、再生債権となってしまう。 (2)債権者一覧表 ア 債権者一覧表の作成にあたっては、異議の留保を一応ありとしておく →異議の留保をなしとすると債権届出のあった債権額をそのまま認めること になる。 →住宅ローンについては異議の留保をしなくてよい(異議の申述はできない、 法 226 条 5 項、同 6 項) イ 債権者一覧表には借入れの日付と債権の種類が必要である →最終借入日と最終弁済日は必要でない、また債権の種類は記号でなく文章で 記載する。cf.破産申立書 ウ 非免責債権も再生債権であるので、一覧表に記載する エ 保証人がいる場合、原債権者とは独立して一覧表に記載する →保証人の債権額を 0 円として異議を留保する。保証人が求償権の届出をした 場合は、原債権に対して異議を申述する。(異議を述べないと原債権と求償権
の両方が確定してしまう) オ 住宅ローンの保証会社が抵当権を設定している場合は、別除権付債権の欄に 0 円と記載する →欄外に代位弁済前につき 0 円である旨と代位弁済後はいくらとなる旨を記載 する。 カ 住宅ローンの保証会社が代位弁済している場合は、一覧表の欄外に原債権者 の連絡先を記載する キ 債権額が不明な債権者は、債務者の自己申告額でよい →これに不服であれば、債権者は正確な額の債権届を提出する。 (3)添付書類 ア 申立に必要な書類が自己破産よりも若干多い →同居の家族の収入に関する書類、本人の給与明細 3 ヶ月分、源泉徴収票2年 分などが必要。 イ 揃わなかった書類は追完すればよい →一刻を争う場合は揃っている書類だけで申し立ててしまう。 (4)その他 ア 住宅ローンの支払いを続ける場合は、弁済許可申立を同時に行う →2 通作成して提出する。 →許可が下りたら住宅ローン会社に連絡する。 イ 計画案が否決されそうな場合は、給与所得者等再生を検討する →債務者にはどれくらい弁済しなければならないかを説明し、納得してもらう。 Q2.自営業者の再生申立でリース物件を使い続けたいがどうしたらよいか A2.リース物件は所有権留保(別除権)がついており、再生の申立があると契約書の 約款により引き揚げられるのが通常である。 しかし、自営業者の場合、リース物件がないとそもそも事業の継続ができず、再 生できない可能性が高くなってしまう。 そこで、リース料債権を共益債権として支払いを続け、引き揚げされずに済む方 法がある。具体的には、申立前にリース会社と別除権協定を結び、その旨の上申書 を裁判所に提出すればよい。 なお、リース物件であれば、何でも共益債権となるわけではなく、事業遂行に不 可欠な物件でなければ認められない。(例:通勤用の自動車は共益債権とはならな い) 4 申立段階 (1)収入印紙代は 1 万円 cf.自己破産は 1,500 円 (2)郵券は 10 円・80 円×10 組、20 円・120 円・140 円×債権者分、 420 円×3 組必要 (3)予納金は 1 万 1928 円 (4)必要部数は清算価値・可処分所得チェックシートが 1 通、債権者一覧表が債権 者分、債権者宛名ラベル各 2 通、代理人宛名ラベル 6 通 (5)申立をしたら各債権者に事件番号、申立日を通知する
(6)住宅ローン債権者と事前協議を始める(申立前でもよい) →代位弁済されている場合は、保証会社にも連絡をとる。 (7)ローンの組みなおしをする場合は、月々の希望額を申し出ると債権者側でシミ ュレーションを作成してくれる →事務所でもシミュレーションをしておくとよい。 「ローン返済シミュレーション for Excel」というソフトが便利である。 http://www1.ocn.ne.jp/~matsuo3/toybox/index.htm(可処分所得額を計算する ソフトもある) (8)希望額の裏づけとなる資料の提出を求められることがあるので、提出する。 →例)家計の状況、負債状況、家庭環境など (9)裁判所によっては審尋があるので、債務者が裁判所へ出向く必要がある (10)住宅が競売になっている場合は、同時に競売手続中止命令を、給与差押えをさ れている場合は、強制執行中止命令を申し立てる。 →中止命令が出ただけでは手続は止まらないので、競売係もしくは執行係に命令 決定書と執行中止用上申書を提出する。 (11)本庁の場合、申立段階で履行可能性をやや厳しく問われるので、可能性がある ことを述べた上申書を提出するよう求められる。 5 開始決定段階 (1)スケジュール表が同封(本庁の場合)されてくるので、提出期限など(とくに 再生計画案提出期限が重要)を確認し、忘れないようにしておく。 →例)ファイルや机の見やすいところに貼る、カレンダーに書き込むなど (2)積立て状況、ローン支払い状況、滞納解消具合などを注意深く確認する(この 時期に限らない) →今後の返済案作成に影響がでるような要因を少しでも排除する。 6 債権届段階 (1)債権額は開始決定までの利息・損害金を含む(法 84 条 1 項) →開始後の利息・損害金は最低弁済額算定の基礎とならない。(法 231 条 2 項 3 号) (2)届出債権額に不服がある場合は異議を申述する →その債権額によって返済額が変わる場合に申述する意味がある。 例えば、再生債権総額 500 万円が 750 万円となった場合は計画弁済総額 100 万が 150 万となるが、400 万円が 500 万円となっても弁済総額はいずれも 100 万のた め申述する意味はない。 (3)一覧表記載額を届出債権額に修正する →届出がないものは一覧表記載額でよい。 7 再生計画案作成段階 (1)再生計画案の具体的な作成方法
ア 再生債権総額を算出する →住宅資金貸付債権は再生債権総額に含めない。 イ 計画弁済総額を算出する ウ 免除率を算出する <計算方法> (再生債権総額―計画弁済総額)÷再生債権総額×100=免除率、 100-免除率=返済率 →再生債権総額が 500 万~1500 万までは一律 80%、3000 万~5000 万までは 一律 90%の免除率となる。 →計画弁済総額が 100 万、300 万になる場合は、債権総額によって免除率が 変わるため注意が必要。 →免除率は小数点以下 2 桁くらいまでとして切り捨てる。 →債権総額に返済率を掛け、計画弁済総額未満にならないか検算する。計画 弁済総額を下回った場合は、返済率の小数点以下の桁数を増やしたり切り 上げたりして下回らないようにする。 エ 各債権者の債権額に返済率をかける オ エで算出した金額を 1 円切り上げる。 カ 各債権者の返済額を 36 回(原則 3 年間)で割る(5 年のときは 60 回)。 キ 10 円以下を切り上げた額を月々の返済額とする(100 円以下でも可)。 ク 最終回の金額を算出する。 <計算方法>返済額-(切り上げた 1 回分の返済額×35) ●練習問題3 ①再生債権総額が 260 万の場合の返済率と免除率はいくらか ②債権者 A の債権額が 54 万円である場合、A への返済額はいくらになるか ③一ヶ月の返済額と最終回の金額はいくらか(100 円以下切り上げ) (2)算出した返済額が僅少の場合、少額特例を検討する →各回の返済額が振込み手数料と同じか少ない場合に、一括または分割で支払う。 →債務者の積立て具合や一括する債権者数によって異なるが、返済額が 10 万く らいまでなら検討してよい。なお、裁判所、裁判官によって少額をいくらと考え るかは異なるので、注意が必要である。 →A債権は 2 ヵ月に一度、B債権は 3 ヵ月に一度の支払にしたり、支払の初回を ずらしたりして支払月を分散させることもできる。(裁判所、裁判官によって認 められない可能性がある) →少額特例はその旨を再生計画案に記載しなければならない (3)住宅資金特別条項を定める場合は、どの型にあたるのかを記載する →そのまま型以外は事前協議結果報告書を提出する。同意型では話がまとまって いる場合は同意書も提出する。 (4)住宅ローンがある場合は、物件目録、抵当権目録を作成する →登記簿謄本どおりに記載する。 →抵当権者の名前が変わっている場合、「現在の債権者名(登記簿上の記載 旧 社名)」という記載とする。
(5)財産状況報告書を同時に提出する(法 124 条 2 項、125 条 1 項) →申立から状況が変わっていなければ、とくに記述することはない。 (6)積立結果報告書を提出する →積立てができていない場合、再生計画が認可されない可能性がある。 (7)住宅ローン債権者と協議が整っていないなど期限までに提出できないときは期 限を伸長できる(法 163 条 3 項) →2 回まで伸長することができる。(規則 84 条 3 項) →提出できない理由を記載した伸長申立書を提出する。 (8)計画案提出後内容に誤りがあった場合、裁判所の許可を得て修正することがで きる(法 167 条) →書面による決議に付する決定があるまでの間でなければならない。 →修正した計画案と修正許可申請書を提出する。 (9)支払い方法、支払期日を債務者に確認する →代理人管理の債務者名義口座から各債権者に振込むのか、債務者自身で振込む のかを確認する(代理人による管理が望ましいが、振込手数料との関係で債務者 自身が希望する場合がある)。 (10)提出後数日すると書面による決議に付する決定書が送られてくる Q3.支払期日の設定について気をつけることはあるか A3.通常、再生計画案による支払開始を確定の翌月からと設定するが、期日を月初と して確定日が月末付近となった場合、確定から支払開始まで日がなく余裕がないも のとなってしまう。債権者から振込先を聞いてから支払うことを考えると返済期日 を徒過してしまう可能性がある。 そこで、期日を末日とすれば、確定日が月初でも月末でも 1 ヵ月以上間が空くた め、期日を徒過する危険はない。 ※返済期間を 5 年間とする場合は注意が必要。 3 年の場合、確定日から 3 年後の属する月中の日であればよいが、5 年の場合は、 確定日から 5 年を超えない範囲でなければならない。 例)確定日を平成 20 年 3 月 1 日として、支払期日を末日とした場合、3 年では、 平成 23 年 3 月 1 日が 3 年後となり、支払日はその月中であればよく 3 月 31 日の支払でもよい。 しかし、5 年の場合、平成 25 年 3 月 1 日が 5 年後であり、この日を超えて はならないので、3 月 31 日という末日払いはできないことになる。 (図) 確定日 平成 20 年 3 月 1 日 3 年後 5 年後 期間満了日 平成 23 年 3 月 1 日 平成 25 年 3 月 1 日 返済満了日 平成 23 年 3 月 31 日 平成 25 年 3 月 31 日 3 月 1 日を超えている (5 年 1 ヵ月) 3 月中の日であればよい
Q4.再生計画案の返済期間を 5 年にする場合の注意点は何か A4.3 年以上の返済期間とする場合は、その旨の上申書を提出する必要がある。内容 としては、①3 年では月の返済額が高すぎて支払えない、②返済期間中に子供が進 学するなど多額の出費が予想される、③不認可となった場合、債権者は配当を受け られない可能性があるが、延長した計画案であれば配当が受けられるので、より債 権者の利益に適う、というものが挙げられる。 Q5.再生計画案の提出にあたっての何か注意点はあるか A5.通常、郵送又は持参で計画案を期限内に提出すると思われる。 しかし、諸事情により提出期限ぎりぎりとなってしまい、間に合わない可能性が 出てくることもある。そこで、本庁では計画案の提出をファックスでも受け付けて いる。この場合、後日できるだけ早く原本を郵送又は持参する。 また、作成した再生計画案には大概裁判所から修正が入るので、提出の際は、正 本のみ提出し、副本は後日修正した正本と併せて提出すればよい。これにより紙と 労力の節約になる。 8 認可決定段階 (1)住宅ローン債権者に認可決定の通知を行う →組直し後のローン返済をスムーズにするため早く知らせる。 (2)債務者に今後の支払予定を説明する 9 認可確定段階 (1)確定によって再生手続きは終了する(法 233 条) (2)認可決定の確定証明を申請する →認可決定から約 1 ヶ月後に申請する。確定日を裁判所に確認してから申請する か確定日を空欄で申請してもよい。 →正副 2 通、受書 1 通を作成し、150 円分の収入印紙、返信用封筒をつける。 (3)各債権者に回答書を送付する →回答書の中身は、いつから返済が始まるかの記載と債権者の振込先を知らせて もらうことの記載である。また、確定証明書(写し)を同封する。 10 支払開始段階 (1)代理人事務所で再生計画履行をサポートする →通常の再生と違い履行を監督する監督委員が置かれないため、申立代理人が履 行を監督することが望ましい。 →代理人管理の口座で行う場合、入金の確認を毎月行う。 →債務者自身で返済する場合も毎月入金の連絡をもらうなど何らかのサポート をした方がよい。
11 手続の流れ 申立 受任 申立書作成 開始決定 債権調査 異議申述期間 債権届出 再生計画案作成 再生計画認可決定 認可決定確定 書面による決議に付する決定 意見聴取 書面決議 計画遂行 計画変更 ハードシップ免責 計画取消 小規模個人再生 棄却 通常の民事再生 要件なし 小規模個人再生 給与所得者等再生 共通
練習問題答え (1)練習問題 1 ①可決 (反対頭数が半数でない(3 人中 1 人)、債権額も半数でない(500 万中 100 万)) ②否決 (反対頭数が半数でない(3 人中 1 人)、債権額が過半数(500 万中 300 万)) ③否決 (反対頭数が過半数(3 人中 2 人)、債権額は半数でない(500 万中 200 万)) (2)練習問題 2 380 万円 <計算方法> ①2 年間の収入合計(500 万+550 万)-2 年間の税金合計(53 万+57 万) =940 万 ②940 万÷2=470 万 ③470 万-最低生活費 280 万=190 万 ④190 万×2=380 万 (3)練習問題 3 ①返済率 38.47% 免除率 61.53% <計算方法> イ)(260 万-100 万)÷260 万=0.61538… ロ)0.61538×100=61.53%(免除率) ハ)100-61.53=38.47%(返済率) ②207,738 円 <計算方法> 54 万×38.47%=207,738 ③1ヵ月の返済額 5,800 円、最終回 4,738 円 <計算方法> イ)207,738÷36=5,770.5 ロ)100 円以下切り上げ→5,800 円 ハ)5,800×35=203,000 ニ)207,738-203,000=4,738 円