香川大学教育実践総合研究(Bull. Educ. Res. Teach. Develop. Kagawa Univ.),31:39-46,2015
郷土料理に重点を置いた中学校技術・家庭科の授業開発
近藤 てるみ ・ 丹治 美保
*・加藤 みゆき
* (附属坂出中学校) (家庭領域学生) (家政教育) 762-0037 坂出市青葉町1-7 香川大学教育学部附属坂出中学校 *760-8522 高松市幸町1-1 香川大学教育学部Selection of Dishes Including Local Cuisines for Food
Preparations in Junior High School Home Economics Education
Terumi Kondo, Miho Tanji
*and Miyuki Katoh
*Sakaide Junior High School Attached to the Faculty of Education, Kagawa University, Aoba-cho 1-7, Sakaide 762-0037
*
Faculty of Education, Kagawa University, 1-1 Saiwai-cho, Takamatsu 760-8522
要 旨 郷土料理に重点を置いた中学校技術・家庭科の授業開発を試みた。その結果,香川 県の郷土料理として “まんばのけんちゃん” “あんもち雑煮” “打ち込みうどん” を選択した。 また年間授業計画を立て第2学年の16~35時間目の授業計画を立て実施した。 キーワード 中学校 家庭科 郷土料理 地産地消
目的
食品の加工技術や流通の発達により,食生活 に関わる地方の差は減少し,全国で同じ料理を 同じ味で食べることが可能となった。また社会 環境や食生活の変化により,季節感があふれ郷 土色が豊かな食文化が薄れつつある。一方,平 成25年度国民健康栄養調査の結果1)から低年齢 のやせや肥満が多くなる傾向にあることが報告 されている2)。近年の傾向としてやせが多くな る傾向にあり,やせであるのに痩身願望を持っ ている若い人が多くなっている。 農山漁村の急速な過疎化や高齢化,核家族世 帯の増加により,食文化の継承が行われにくく なっており,食文化継承における学校教育の役 割は大きい。郷土料理に関する知識に加え,調 理技術も身に付け,地域の食文化を伝承してい くことが学校教育に求められる。しかし,幼稚 園から高等学校までの学校教育の中で郷土料理 について学習する機会は多くない。幼稚園教育 要領3),小学校学習指導要領家庭編4),中学校 学習指導要領技術・家庭編5)の内容から,幼稚 園と小学校では郷土料理の内容に関しては,ほ とんど学習しないことが分かる。中学校では, 内容B(3)イにおいて「地域の食材を生かす などの調理を通して,地域の食文化について理 解すること」と記述があり,地域の食文化につ いて学習することが必修となっている。教科書 でも,東京書籍「新しい技術・家庭 家庭分 野」(2012)6),開隆堂「技術・家庭 家庭分野」 (2012)7),教育図書「技術・家庭 家庭分野」 (2012)8)の全ての教科書で地域の食文化や郷土 料理について記載されている。 香川県は,全国的に糖尿病の罹患率が高いこください。④香川県の郷土料理伝承に関する調 査結果より上位20個を選択し,5.現在でも家 で作っている,4.現在は買っている,3.以 前は食べていたが現在はあまり食べたことがな い,2.名前を聞いたことがあるが食べたこと はない,1.名前を聞いたことがない,の5段 階で選択させた。その後回収し集計した。 2.香川県下の中学校家庭科における郷土料理 を含む教材の選定 香川県下における郷土料理について,家庭科 の時間に実施される調理実習のねらいと照合 し,家庭科の調理の題材にふさわしい料理を選 定した。選定に用いた郷土料理は,先の20品目 を用いた。調理実習のねらいについては,学習 指導要領解説(平成20年)5)に示された調理実 習のねらいを引用した。郷土料理の調理方法に ついては,参考文献を参考に実施した。郷土料 理に用いられる香川県の主な農産物に関しても 調査を実施した。 3.郷土料理に重点を置いた授業提案とその実 践 新編新しい技術・家庭 家庭分野の教科書(東 京書籍)6)をもとに年間指導計画を作成した。 また研究方法2で選択した郷土料理についての 授業案を作成した。作成した授業案に従って香 川大学教育学部附属坂出中学校の2年生の3学 期に授業実践を行った。その評価を「生活に関 すること」や「授業で気の付いたこと」を自由 記述し,その内容を解析した。
結果および考察
1.郷土料理に対する坂出附属中学生の意識調 査の結果 調査対象の属性は,1年生男子65名,女子52 名,2年生男子66名,女子54名,3年生男子56 名,女子60名を対象にした。対象者の居住地 は,主な場所は坂出市(49%)丸亀市(22%) 宇多津町15%であった。①郷土料理について誰 から聞いたことがありますか,については,全 学年を通じて一番多かったのは,祖母で186, 母165名,学校の先生177名であった。主に自分 とも問題になっている。また児童生徒の食生活 の現状は,朝食の欠食や夕食時間が遅くなって くるなどがある。このような背景から平成17年 に食育基本法9)が施行され,食育推進基本計画 (平成18年)10)や食に関する指導の手引(平成19 年)11)などが発表された。平成20年学習指導要 領12)改定においても,「学校における食育の推 進」という概念が明確に位置づけされ,関係各 教科において食に関する指導の記述が充実し た。香川県の郷土料理においても,年代が若く なるごとに現在も食べられている郷土料理が減 少しているものも多いことが明らかとなってき ている13)。かがわ食育アクションプラン(平成 19年)14)においても,さぬきの食文化を生かし た食育が推進されている。 これまでに奈良県15)や大分県16)におけて郷土 料理をとりいれた研究は行われているが,研究 成果として報告されているものは少ないのが現 状である。 香川県の郷土料理の伝承に関する調査(平成 25年度,香川県農業経営課)13)により,30歳以 上の香川県在住者が年中行事等の郷土料理とし て家庭で食べている郷土料理,現在も食べてい る香川県の郷土料理が明らかになった。しか し,この調査では30歳以上を調査対象としてお り,中学生にあたる12~15歳の香川県在住者が 食べている郷土料理は明らかになっていない。 そこで中学校の学習指導要領に準じ香川県にお ける郷土料理に重点を置いた授業開発を試み た。研究方法
1.郷土料理に対する中学生の意識調査 香川大学教育学部附属坂出中学校の1~3年 生に対して郷土料理に関する意識調査を行っ た。学年,男女,現在の居住地についてアン ケート用紙を用いて平成26年5月に実施した。 アンケート内容は,①郷土料理について誰から 聞いたことがありますか。②郷土料理に関する 情報をどこから得ますか。③香川県を代表とす る郷土料理はなんだと思いますか,3つ書いての周りの女性から聞いたことが多いことが認め られた。郷土料理に関する情報をどこから得ま すかの問いに対して,学校の授業が一番多く, 次いでテレビ,給食の順であった。授業からの 方法が一番生徒の記憶に残ったものと考えられ た。授業の中での教科についての記述はないた め,家庭科かどうかは不明である。また,調査 対象校は,給食を実施していないにもかかわら ず,給食という答えが多く認められた。給食の 献立に郷土料理が含まれているものが,小学校 時代に食べた給食のことをさしていると考えら れ,給食の食育への影響が大きいと考えられ た。平成25年度の給食献立に関して調査17~19)を 実施したが,年に数回しか献立には郷土料理が 使われていなかった。しかし,小学校時代に食 べた給食の影響が大きく働いているものと考え られた。今後は,授業内容などについて,さら なる詳細な検討を加えたいと考えている。 ②香川県を代表とする郷土料理はなんだと思 いますか。の結果,上位5個 “しょうゆ豆” “う どん” “まんばのけんちゃん” “あんもち雑煮” “しっぽくうどん” であった。この調査の結果 から郷土料理と地域性のある食品など混同し ている部分が多く認められた。例えば “骨付き 鶏” “オリーブハマチ” など,近年香川を代表 とする食品が郷土料理としてあげられていた。 ③現在でも食べている郷土料理はの問いに対し て,一番多く食べられていたものは,“あんも ち雑煮” であった。ついで “まんばのけんちゃ ん” “かきまぜ寿司” が上位であった。名前も 聞いたことがない郷土料理として,一番多かっ たものは “ちしゃもみ” “いぎす豆腐” “ぶどかゆ・ うばかゆ” “てっぱい” “打ち込み汁” “魚の三杯” であった。“いぎす豆腐” “ぶどかゆ・うばかゆ” は,なじみの薄い郷土料理である。“ちしゃも み” は,昔からある郷土料理であり,また現在 も作られているものであるが,材料の “ちしゃ” の生産量が少ないことが原因ではないかと考え られた。 2.香川県下の中学校家庭科における郷土料理 を含む教材の選定 (1)表1に香川県の郷土料理の中学校技術・ 家庭における調理実習のねらいの有無について の結果を示した。表2に香川県の郷土料理の中 学校技術・家庭における基礎・基本の有無につ いて示した。 表1 中学校における家庭科の実習のねらいと香川県の郷土料理 ①かきまぜずし ②わけぎあえ ③魚の三杯 ④しょうゆ豆 ⑤まんばのけんちゃん ⑥手打ちうどん ⑦しっぽくうどん ⑧あんもち雑煮 ⑨ちしゃもみ ⑩押し抜きずし ⑪てっぱい ⑫打ち込み汁 ⑬なすそうめん ⑭鯛めし ⑮魚の姿ずし ⑯いりこ飯 ⑰どじょう汁 ⑱さつま ⑲いぎす豆腐 ⑳ぶどがゆ、うばがゆ 栄養素の種類と働きを知る ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 中学生に必要な栄養素の特徴 について考えることができる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 食品の栄養的特質を知る ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 食品の品質を見分けること ができる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 基礎的な調理操作ができる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 食品の衛生的な扱い方がで きる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 地域の食文化について理解 する ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
中学校学習指導要領技術・家庭編5)の内容か ら,中学校技術・家庭における調理実習のねら いは以下の7項目であると考えた。「栄養素の 種類と働きを知る」「中学生に必要な栄養の特 徴について考えることができる」「食品の栄養 的特質を知る」「食品の品質を見分けることが できる」「基礎的な調理操作ができる」「食品の 衛生的な扱い方ができる」「地域の食文化につ いて理解する」の7項目である。この7項目に 対して主要20の郷土料理ついて内容を検討し た。その結果を表1に示した。「栄養素の種類 と働きを知る」「中学生に必要な栄養の特徴に ついて考えることができる」「食品の栄養的特 質を知る」「食品の衛生的な扱い方ができる」「地 域の食文化について理解する」の5項目は,20 品の郷土料理全てで該当した。「食品の品質を 見分けることができる」は,“しょうゆ豆” “手 打ちうどん” “ぶどがゆ・うばがゆ” 以外の17 品目で該当した。「基礎的な調理操作ができる」 は,“しょうゆ豆” “手打ちうどん” “てっぱい” “な 表2 中学校技術・家庭科における基礎・基本の有無について ①かきまぜすし ②わけぎあえ ③魚の三杯 ④しょうゆ豆 ⑤まんばのけんちゃん ⑥手打ちうどん ⑦しっぽくうどん ⑧あんもち雑煮 ⑨ちしゃもみ ⑩押し抜きずし ⑪てっぱい ⑫打ち込み汁 ⑬なすそうめん ⑭鯛めし ⑮魚の姿めし ⑯いりこ飯 ⑰どじょう汁 ⑱さつま ⑲いぎす豆腐 ⑳ぶどがゆ・うばがゆ 計量の仕方 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 食品の洗い方 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 処理 和える ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ する ○ ○ ○ ちぎる ○ もどす ○ (水にさらす) ○ ○ ○ しめる ○ ○ ○ 塩もみ ○ 包丁操作 輪切り ○ ○ 小口切り ○ ○ ○ ○ ○ ○ 半月切り ○ いちょう切り 乱切り ○ ○ ささがき ○ ○ ○ せん切り ○ ○ ○ ○ ○ ○ くし形切り ○ さいの目切り ○ ○ ○ 短冊切り ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 魚の内臓を取る ○ ○ ○ 魚の三枚おろし ○ ○ 魚の手開き 加熱方法 茹でる ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 煮る ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 炒める ○ ○ ○ ○ 焼く ○ ○ ○ ○ 炊く ○ ○ ○ ○ ○ ○ だしの取り方 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 盛り付け・配膳・マナー ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 太字は中学校にいて扱わない調理操作
すそうめん” “魚の姿ずし” “さつま” “いぎす豆腐” “ぶどがゆ・うばがゆ” 以外の12品目で該当した。 (2)中学校技術・家庭における基礎的・基 本的な知識や技能(以下,基礎基本)とは,中 学校学習指導要領技術・家庭編5)より,次のも のを示すと考えた。計量の仕方,食品の洗い 方,処理(和える,する,水にさらす),包丁 操作(輪切り,小口切り,半月切り,いちょう 切り,乱切り,ささがき,色紙切り,みじん切 り,拍子木切り,せん切り,くし形切り,さい の目切り,そぎ切り,斜め切り,皮むき,加 熱方法(煮る,炒める,焼く),盛り付け・配 膳・マナー,だしの取り方である。選択した20 品目の郷土料理について表2に示した。計量の 仕方,盛り付け・配膳・マナーの2項目は,20 品全ての郷土料理に当てはまった。その結果, 中学校技術・家庭科にふさわしい郷土料理とし て,“まんばのけんちゃん”“しっぽくうどん”“あ ん餅雑煮” を選択した。尚今回実習としては, “うちこみうどん” で実施した。これらの郷土 料理は,香川県産の収穫場所や収穫時期,調理 実習の基礎・基本の有無等からふさわしい郷土 料理と判断した。また中学生が50分間で実習を 完結することが可能であることも選択理由とし た。選択した郷土料理は,肉や魚を扱った料理 はない。そのため日常食の調理実習として,肉 料理としてハンバーグステーキを選択した。ハ ンバーグステーキは,使用する副材料も多い。 副材料の調理過程の役割などについても学習す ることが可能であると考えた。魚の材料として は,カレイの煮付けとさけのムニエルを選定し た。和食と洋食を比較することによってそれぞ れの特徴について学習し,和食の良さについて も認識することができる。魚を煮る,焼くのそ れぞれの調理方法を学習する機会にもなると考 えた。 3.郷土料理に重点を置いた授業提案とその実 践 (1)郷土料理の実習を組み込むための授業 計画 郷土料理を実習に取り入れた年間指導計画を 立てた。この年間指導計画により,第2学年の 20時間を郷土料理に関する授業として,その計 画を表3に示した。ここでは,調理道具・調理 実習室の使い方に始まり,今回の郷土料理では 扱わない魚と肉に関する調理実習を行わせた。 その後に郷土料理で扱う地産地消の香川県産食 材の学習を行い,その後の郷土料理へとつない でゆく授業展開を考えた。また郷土料理の実習 に入る前に,香川県の郷土料理の全般的な説明 及び郷土料理に関する詳細ないわれなどにつ いても学習する時間を設けた。“あんもち雑煮” の時間については,我が家の雑煮について生徒 と家庭を結びつけた授業展開を実施,日本各地 の雑煮を紹介し,香川県のあんもち雑煮の特徴 についても学習することとした。 (2)選定した郷土料理の学習指導案 選択した郷土料理のうち “まんばのけんちゃ んをつくろう” の前時と本時の学習指導案を表 4,5に示した。前時の “まんばのけんちゃん 表3 第二学年16~35時間目の授業計画 調理道具・調理実習室の使い方 和食と洋食の違い 魚の調理 【調理実習】かれいの煮付け 【調理実習】あじのムニエル 肉の調理 【調理実習】ハンバーグステーキ 地産地消 郷土料理・行事食 【調理実習】まんばのけんちゃん 我が家の雑煮と日本の雑煮 【調理実習】あんもち雑煮 【調理実習】うちこみうどん 環境に配慮した食生活
表4 学習指導案「まんばのけんちゃん①」 1 題材名 調理実習「まんばのけんちゃんをつくろう」 2 本時の学習指導計画 (1)香川県の郷土料理について関心をもち,まんばのけんちゃんについて知ることができる。 (2)学習指導過程 学習内容及び学習活動 生徒の意識の流れ 指導上の留意点 1.香川県の郷土料理に はどのようなものがあ るか考える。 2.まんばのけんちゃん について知る。 3.まんばのけんちゃん の作り方を知る。 4.次時の調理実習の計 画を立てる。 〇あん餅雑煮しょうゆ豆,わけぎあえ,しっぽ くうどんなどがあるね。 〇香川県にもたくさんの郷土料理があるのだ ね。 〇まんばはタカナ類の一種。冬に大きな暗紫色 の葉を伸ばす緑黄色野菜だね。 〇まんばは葉を外側から取っても次々と芽をふ くらますから万葉,百貫と呼ばれているよ。 〇西讃では豆腐を雪が舞っているように見立て て,「ひゃっかの雪花」と言われているのだ ね。 〇まんばはあく抜きをしなければならないよ。 なぜだろう。 〇まんばの他に豆腐や油あげが入っているよ。 〇鍋に油を熱し,煮干しを香ばしい香りが出る まで炒めて,その後にまんばを入れて炒める のだね。 〇最後にだし汁や調味料を加えて煮て,味を調 えるのだね。 〇~さんがまんばを切る係にしよう。~さんは 豆腐と油揚げを切る係ね。 〇~さんは炒めるところを担当するよ。 〇まんばのけんちゃんを自分でつくるのは初め てだ。おいしくできるといいな。 〇これまでに食べたことや 聞いたことがある郷土料 理を考えさることで香川 県にも多くの郷土料理が あることに気付かせる。 〇まんばについて学習する 際には,写真や地図を用 いて,説明する。 〇次時に調理実習を行うこ とを想定して,調理の手 順だけでなく,材料の計 量の仕方や切り方なども 学習させる。 〇実習に全員が参加し,手 際よく調理が行えるよう に,事前に誰が何をする のか係を決めておくよう に指示する。 (3)評価 ・まんばのけんちゃんについて理解を深めることができたか。(ワークシート) ・作り方を理解し,班員と協力し,調理の計画を立てることができたか。(観察,ワークシート) まんばのけんちゃんについて知り,実習計画を立てよう。 をつくろう①” では,香川県の郷土料理につい ての紹介を主に行った。“まんばのけんちゃん” について知り,実習計画も立てることを実施し た。本時では,“まんばのけんちゃんをつくろ う②” を実習した。 実習の評価としてワークシートの集計結果か ら,「生活に関すること」「気の付いたこと」と して,生徒の自由記述から,「調理技術」「栄 養」「健康」「環境」「興味関心」「衛生」「その 他」に分類した。まとめたものを表6に示し た。「生活に関すること」では,「調理技術」に 関する内容の記述が86.2%とあった。具体的な ものとしては,まんばのあくについての関心が 多かった。また茹でることによって野菜の体積 が小さくなることも大きかった。「気の付いた こと」では,「興味関心」が55.2%となり,次 いで「調理技術」に関する内容が34.5%ととなっ ていた。具体的な内容として,野菜をたくさん 摂取することができる。食べたことがあるので 自宅でもやってみたい。というのが一番多かっ た。他の “あんもち雑煮” にも「生活に関する こと」では,「調理技術」に関する内容が多かっ
表5 学習指導案「まんばのけんちゃん②」 1 題材名 調理実習「まんばのけんちゃんをつくろう」 2 本時の学習指導計画 (1)目標 ・まんばのけんちゃんに関心をもち,意欲的に調理をすることができる。 ・安全や衛生に留意しながら,基本的な調理操作を習得することができる。 (2)学習指導過程 学習内容及び学習活動 予想される生徒の反応 指導上の留意点 1.調理の要点を聞く。 2.調理を行う。 3.試食する。 4.片づけをする。 5.本時のまとめを行 う。 〇エプロン,三角布で服装を整えよ う。 〇石けんで手も洗っておこう。 〇まんばをつけた水が紫いろになっ ている。 〇材料の切り方はどうだったかな。 〇みんなで協力して,時間内に片づ けまで終わらそう。 〇包丁は慎重に運ぼう。火の扱い方 にも気を付けよう。 〇私はまんばを切る係だったね。~ さんは油揚げを切る係だ。 〇豆腐は手でちぎっていれる。たし かに雪みたいにみえる。 〇だし汁としょうゆで味を整える よ。しっかりと味を浸み込ませよ う。 〇自分たちで作った料理はおいし い。具の大きさが少し大きかった かな。 〇これまでに食べたまんばのけん ちゃんよりおいしいな。 〇流し台やコンロ台,床もきれいに 掃除できているかな。 〇係の仕事はきちんとできたかな。 〇チャイム5分前には片づけが終 わったよ。 〇材料や分量,調理の手順を板書してお くことで,スムーズに実習が行えるよ うに支援する。 ○あくを抜くのは時間がかかるので,前 日に茹でさせ,水につけた状態にして おく。 〇適切に手早く調理が行えるように,板書 や実物を提示しながら要点を説明する。 〇けがや事故を防ぐため,包丁やガスの 扱い方を十分に指導する。 〇安全や衛生に注意するため,調理台や 机の上に教科書等調理に必要のないも のは置かないように指示する。 〇班内で係を決めておくことで,全員が 実習に参加できるようにする。 〇調理にあまり参加できていない生徒が いる場合には,どのような作業を行っ たらよいか具体的に指示する。 〇ただ試食するのではなく,調理を振り 返ったり,これまでに食べたまんばの けんちゃんと比較したりしながら食べ てみるように助言する。 〇使い終わった包丁は本数を確認した後, 準備室に片づける。 〇片づけが終わった時間を記録すること で,時間内に実習が終えることができ るように支援する。 まんばのけんちゃんをつくってみよう。 表6 ワークシートのまとめ 生活とつなげて 気の付いたこと 分類 まんばのけんちゃん あん餅雑煮 打ち込みうどん まんばのけんちゃん あん餅雑煮 打ち込みうどん 調理技術 34.5 10.6 86.2 82.4 62.9 環境 0.02 57.1 8.6 栄養・健康 10.3 2.9 意欲感心 55.2 87.2 37.1 13.8 17.6 25.7 衛生 2.9 その他 2.9 (%)
た。また「気の付いたこと」では,「興味関心」 に関することが高く87.2%であった。このよう に選定した郷土料理を通して,学習意欲が強く なり,さらに調理に関する基本的なものに関し ても理解されていることが明らかとなった。身 近な教材を選定することにより家庭科の内容に ついてもよく理解できるようになったと考えら れる。 今後は,さらに充実した内容を検討してゆき たいと考えている。 付記 この研究は,学内プロジェクト等研究:平成 26年度学部教員と附属学校園教員による共同研 究プロジェクトにより実施した。 引用文献 1) 平成25年度国民健康栄養調査結果の概要:厚生労 働省15-16(2014) 2) 平成25年度人口動態統計月報年計の概況(厚生労 働省)p.47(2014) 3) 文部科学省「幼稚園教育要領解説」(2010) 4) 文部科学省「小学校学習指導要領解説 家庭編」 (2010) 5) 文部科学省「中学校学習指導要領解説 技術・家 庭編」(2010) 6) 東京書籍株式会社「新しい技術・家庭 家庭分野」 (2012) 7) 開隆堂出版株式会社「技術・家庭 家庭分野」(2012) 8) 教育図書株式会社「技術・家庭 家庭分野」(2012) 9) 内閣府「食育基本法」H17 10) 内閣府「食育推進基本計画」H18 11) 文部科学省,食に関する指導の手引き,pp1-8 (2007) 12) 文部科学省,中学校学習指導要領解説 技術・家 庭編 pp53-55,教育図書(2008) 13) 香川県農業経営課「平成25年度 郷土料理の伝承 に関する調査」H25年9月(2014) 14) 香川県「香川の食育 おいしいね!かがわネット かがわ食育アクションプラン2 かがわの目指す 食育」http://www.pref.kagawa.lg.jp/kenkosomu/ shokuiku/question/images/promotion_plan_02. pdf 15) 鈴木洋子,山崎翔子:中学校家庭科における郷土 料理を取り入れた調理実習題材の選定―奈良県を 例として―奈良教育大学紀要 58巻,1号139- 145(2009) 16) 立松洋子:大分県の小学校5年生の郷土料理に関 する認知度・意識調査と食生活状況調査,別府大 学短期大学紀要 第27号137-157(2008) 17) 高松市公式ホームページ もっと高松「学校給 食詳細献立表(平成25年度)Eグループ」http:// www.city.takamatsu.kagawa.jp/20870.html 18) 丸亀市「学校給食 献立表(平成25年度)」http:// www.city.marugame.kagawa.jp/itwinfo/i18673/ 19) 観音寺市「学校給食カレンダー(平成25年度)豊浜 中学校」http://www.city.kanonji.kagawa.jp/info/ k15/070717-1.html