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鳥取県八頭郡河原町における梨葉黄化症の発生原因とその対策に関する研究 (第2報) : 樹園地土壌に対するニ、三の改良措置が銅の溶解度と畑作物の生育に及ぼす影響

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(1)

鳥 取 県 八 頭 郡 河 原 町 に お け る梨 葉 黄 化 症 の発 生 原 因 と

その 対 策 に関 す る研 究

(第

2報

)

樹園地土壊 に対する二、三の改良措置が銅の溶解度 と畑作物の生育に及ぼす影響

雄・山

(鳥取 大学農学部農芸化学科作物 来養学研究室) 昭和49年 9月10日受理

Studies on the Chiorotic Disorder of Japanese Pear Trees

at old Orchards in Kawabara, Tottori Prefecture(Part 2)

The Effects of Change in Copper Solubility Resulting

from Amelioration of Orchard Soil on Growh

of an Upland Crop

Takeo NAGAI and ttlasuo YAMANOUCHI

rD少 ″婉 勿ケげAFttθ2Jttη

,Cル

初1前9 Far″り げ4F/iじクι力ιЪ 拘 放病 さ蕊 9Ts万

Investigations were made with reference to the effects of change in copper sol‐

ubility of the orchard soil supplied with soil amendment matter on the growth of white dent corn which was grow■ on the amended sol

The cora plant grown on the soil without the amendment matter suffered from

excess‐copper and showed leaf chlorosis However, groMIth was improved with

higher rates of hne and magnesia. Since a heavy apphcation of such basic ma‐

terials as hme and magnesia resulted in a marked decrease in the amount of

copper in water‐ soluble and exchangeable forms, these forms of copper were as―

sumed to retard the growth of the plants

I.緒

言 最近、鳥取県八頭郡河原町の一部梨園で 、4∼5月 の 新梢の伸長 が著 しい時期 に、葉 の黄化す る現象 がみ とめ られてい る。筆者 らは第1報 1)に おいて、この黄化症の 状況 を観察す ると共 に、障害 を示す樹園地土壊の鉄 、マ ンガン、銅の集積量 を調査 した。 その結果、黄化症 を生 ず る樹園地土壊 は銅鉱毒地域 の土壌 に匹敵するほ ど、多 量の銅 を含み、かつ著 しく酸性化 が進 んでいることが明 らかになった。 また、樹園地土壊 を用いた大豆 の栽培試 験 の結果 か ら、著 しい塩基の不足状態 と並んで、 この過 剰 に集積 した銅が黄化症発生の重要 な要因 をな してい る と考 えられた。 従来、銅集積 に起因す る障害の改良対策 と して、石灰 施 用2,3)、 有機物 の施 用9、 燐酸質肥料の 多用利などが 挙 げ られてい る。 これ らの改良対策は土壊 中の銅 が溶出 しな くなるよ うな対症的手段で あるが、 この よ うなすき置 に対す る果樹の レスポ ンスを詳細 に検討すれば、土壊 的 鳥取大学農学部研究報告

XXⅧ

1975

(2)

鳥取 県八頭郡河原町 における梨葉黄化症の発生原因 とその対策 に関す る研究(第2報) 障害因子 としての銅 の重要性 をいっそ う明確 にす ること がで きると共 に、黄化症の発生 をみ る樹園地上壊 に対 し 対策 を講ず る上の有益 な示唆 が得 られると考 えられ る。 本研究は、先報1)で調査 を行 なった梨園土壊 に改良対 策 を講 じ、 これによる果樹の レスポ ンスを明 らかにす る ための予備 的段 階 として、 この土壌 に若千 の対症的処理 を施 し、この措置 による銅 の溶解度の変化 を明 らかにす ると共 に、 この変化 減畑作物 (ホワイ トデ ン トコー ン) の生育 に及ぼす影響 を検討 した もので ある。

E,実

(1)実

験 法 1)供試土壊 供試土壊 は先報1)で述べた鳥取 県八頭郡河原町郷原の 樹園地上壊で ある。土壊 表面 か ら深 さ40cmまでの層 か ら 採取 し、 よく混合 して用いた。 なお、銅鉱 山か ら流 出 し た土砂 の混入 によって汚染 された水田土壊 (鳥取県岩美 郡岩美町小 田

)に

つ いて も同様 の処理 を行 ない、果樹園 土壊 と比較す ることに した。 これ ら両種土壊の性 質 を第1表に示 した。 とくに、

IN酢

酸 ア ンモニ ウム(pH4.5)で抽 出された 鉄 、マ ンガ ン、銅の量 をみ ると、果樹園土壌は水田土壊 に比べて銅合量 は低 いが、鉄、マ ンガ ン含量 が高い。 第 2表 試験区の構成 と土壊処理の内容 試験区名 土 壊 処 理 の 内 容 添 物

添加量

rゴ) 無 処 理 区 塩基少量区 Ca(OH)ぞ(pH5 0にとMg(OH)2の矯正 を目標 混合物* ) 1.38 ″ 中量区 (pH6.0に矯 正 を 目標 ) 2.38 0.弘 ″ 多量区 (p■70に矯正 を目標 ) 地 肥 区 風 乾 堆 肥 粉 末(土壌 の2%本目当 ) 憐 酸 区 Ca(H,P01)2 H20(りん酸吸収係数の209/9飽和) 石 膏 区 CaS 04 2H20(塩基中量区の CaOと 同量〉 5`701.30

*)当

量比で

4:1の

混合物

**)土

壊500g当 り、上段は果樹園土壌、下段は水田土壊 間、 ガラス室内 に静置 して、毎 日1回100mゼ の水道水 を補給 して畑地の水分状 態 を保 ちなが ら、 イ ンキュベー シ ョンを行 なった。 各試験 区いず れ も同一処理 を施 した鉢 を3個用意 し、 インキュベーシ ョン終 了後、その うちの1個については 次 に述べ る方法 に従 って土壌中の各種形態の銅 を定量 し また残 りの もの にはホ ワイ トデ ン トコー ンを播種 して、 この生育 に対す る各種土壊処理 の影響 を検討 した。 験 第1表 供 試 土 壊 の 性 質 1)河原町郷原

2)岩

美町小田

*)

2)試 験区の構成 と土壌処理 の内容 IN酢酸 ア ンモ ニ ヤ (pH 4.5) 上記2種類の土壊 に、 それぞれ第2表に示す ごとく、 消石灰 と水酸化マ グネシウムの混合物 (以下塩基区 と称 す

)堆

肥粉末 、燐酸二水素 カルシウム(Ca(H2P04)2・ H20、 以下燐酸区 と称す

)お

よび石膏(CaS01・

2H20)

を添加す る区 を設 けた。第2表中、

Ca(oH)2,Mg(oH)2

Ca(H2P04)2・

H20お

よびCaS04・ 2H20は化学試薬1 級品 を使用 した。 なる、塩基の添加量 はそれぞれのpHに酸 度 が矯 正 さ れ るよ う、pH緩衝 曲線 か ら算 出 した。 水田土壌の場合 は原上の

pHが

比較 的高いので、塩基少量 区 を省略 した。 2 mmの節 を通 した風乾土壊の500gに上記 した 化学試 薬 あるいは堆肥粉末 をよ く混合 し、 これを径12cm、 深 さ ■crlの素焼鉢 に入れ、6月12日か ら7月 8日 までの3週 3)各 種形態銅 の抽 出法 酢安可溶銅:イ ンキュベー シ ョン終 了後 の風乾細±10 gを広ロポ リビンに取 り、 これにlN一酢酸 ア ンモ ン溶液 (pH4.5)の100mゼを加 え、

1時

間振 とうしたの ちに汗過 し、汗液 を分析 に供 した。

EDTA可

溶銅:風乾細±

5gを

50W容

の遠沈管 に取 り

1%EDTA溶

液20Wをカロえて2時間振 とうしたの ち、 上澄液 を遠心分離 し、 これを分析 に供 した。 各種形態銅の逐 次抽 出

:SMITH 9が

土壊 中の形 態 別 亜鉛の分析 に用 いた方法 を、第1図に示 したよ うに若干 改変 して、逐次的 に各種形態の銅 を抽 出 した。 す なわち、風乾細 ±

5gを

50olCの遠沈管 にとり、それ ぞれの試薬20Wを加 えて2時間振 とうしたの ち、約2000

r.p.mで

15分間遠心分離 して上澄液 を分離 した。第1 土壌 の種類 pH C % N % 3/N 3Y!

C E C

置換性(me) 酢安可溶(穐m) ヤ 数

を縣

ア 吸 酸 数 ン 縣 り 吸 土 性 H20 Ca Mg K Cu Fe Mn Cu 果樹園土 水 田 上 4,1 5.1 3.5 3.6 2.49 0,73 0.27 0 05

92

14.6 4,5 20.4 23.2 13 6 6.0 5,6 2.0 0 09 0.02 0 02 0,03 ・50   90

CL

SL

(3)

44

5g土

壊 ↓ 長 井 武 雄・山 内 益 夫

(2)実

験 結 果

i)土

壊 pHと 銅溶解度の変化

3週

間インキュベーションしたのちの上壊 pHと 銅溶 解度の変化を第 3表 に示す。 第 3表 各種処理による土壊 pHと 銅溶解度の変化 脱イオン水 一 水 溶 性 銅 ↓ pH7.ON― 酢安 一 ↓

1%EDTA一

5%H202

↓ 脱イオン水 ― ― ― → ↓ pH7,ON― 酢安 一 ↓

1%EDTA―

――――→ 置 換 態 銅 キレート態銅 無 処 理 塩 基 少 ″ 中 ″ 多 堆 肥 燐 酸 石 膏 (本 田土 10.4 7.2 1.6 1.2 4.4 6.8 4,4 23.2 12.0 7.6 8,0 6.4 lo.8 70.4 64.8 50.8 55.2 72.0 69.2 62.4 4.4 4.8 5.2 4.4 4.0 5.6 6.4 11.6 15.6 19.2 16.8 11.6 19.6 85.6 77.2 58.0 61.2 81.6 83.2 79.6 無処理 塩基中 ″ 多 堆 肥 燐 酸 壊) 5.1 5.5 6.4 5.3 4.6 4.9 68.8 72.8 77.6 99.6 31.6 94,4 104.0 100,8 104 6 127.6 50.0 125.2 4.3 4.6 5.2 6.0 4,3 4,2 4.0

04

0,4 0.4 0.4 1.2 1.6 6.4 0.4 0.4 1.2 3.2 0.4 0,4 95 78 62 68 86 一 一 1 . 95 97 И 5 . 26 第1図 各形態銅の逐次抽 出法 図のよ うに、抽出液 を水(水溶性)、

pH7.01N―

酢安溶 液(置換態)、

1%EDTA溶

液(キレー ト態 〉こ逐 次変 えて 抽出を行 な うが、

EDTA溶

液 による抽 出が終 了 したの ち は、少量 の蒸溜水で

200W容

の トール ビーカー に移 し、湯 煎上で蒸発乾 固 させ た。乾国後 に

5%過

酸化水素水501r2 を加 え、時計皿 をかぶせて発泡 をみ な くなるまで、土壊 有機物の分解 を行 な う。数回過酸化水素水の添加 を行 な って、最終 的 に全 く発泡がみ られな くなってか ら蒸発乾 回 させ、土壊 を再 び遠沈管 に移 して水、酢安、

EDTA溶

液の順 に抽 出を くりかえした。本研究では、 これによっ て抽出 され る銅 を合 わせ て有機態銅 とした。 土壊 か ら抽 出 された銅の定量 は、

EDTA抽

出液 の場合 を除 き、直接原子吸光法 によった。

EDTA抽

出の場合 は 液 を蒸発乾回 したの ち、硝酸、過塩 素酸、硫 酸 の混液で 湿式分解 し、分解液 を乾回 してか ら、0.lN塩酸 に溶解 し たもの を原子吸光分析 に供 した。 4)ホ ヮィ トデ ン トコー ンの栽培法 ガラス室 内でイ ンキュベ ーシ ョンを終 了 した土壌 に、 7月 4日、

1鉢

当 り

4粒

のホ ヮイ トデ ン トコー ン種子 を 播 き、発芽後3週間栽培 を続 けた。施肥 は各 区共通 とし Nとして0.2g相当量の燐硝安加里

(16-10-14)を

液肥 として与 えた。収獲物 を茎葉部 と根部 に分 けて銅含有率 の測定 に供 したが、銅の定量 はジチオカルバ ミン酸比色 法 によった。 まず果樹園土壌 につ いてみ ると、pHは塩 基 区 の み が 無処理 区よ り増加 してお り、燐酸 区 と石膏 区は若千減少 している。

へ、

樹園土壌ハ

― 水 溶 性 一 置 換 態 ―← ―

o酢

キ レー ト態(pH4.5) △ ―――

A EDTA(1%)

堆 燐 石 肥 酸 膏 無 中 多 堆 燐 石 処 ― ― 一 理 塩 基 肥 酸 膏 第2図 各種処理 による銅溶解度の変化 pm p     小 / ′Λ ダ ′ Cu

1%EDTA

可溶Cu 無 少 中 多 処 ――

_―

理 塩 基

く普魚

(4)

鳥取県八頭郡河原町にIo・ける梨葉黄化症の発生原因 とその対策 に関す る研究(第2報

) 45

つ ぎに各種の抽出剤で溶出 した銅量をみると、抽出剤 によって溶出効果が異 なり、第 2図 にも示 されるごとく

1%EDTA可

溶銅

>キ

レー ト態銅

>酢

安可溶 (pH4.5) 銅

>有

機態銅

>置

換態銅

>水

溶牲銅の関係がみられる。 各種の土壌処理 力寛各形態銅の溶解度に及ぼした影響 をみ ると、水溶性鋼の場合 を除き、塩基 の添加が著 しい溶解 度の減少をもた らしている。これに対 して、堆】巴、石膏 の添加による溶解度の変化は極めて少なく、わずかの減 少を示すにす ぎない。 塩基添加量の多いほど銅溶解度の減少が著 しいので、 果樹園土壊のインキュベーション後の上壌 pHと 、逐次 抽出法で分画 された各形態銅の溶解度との関係 を第 3図 に示 した。 ●‐― ●水 溶 性 O‐―い。置 換 態 △― △キレー ト態 oロロ●合

量 Cu 溶 出 量

4 5 6 pH

第3図 果樹園土壊のpHと各形態銅の溶解度 第3図によると、水溶性銅 を除 く他の銅の溶解度 は、

pHが

無処理 区の4.3か ら、、塩基 中量区の 5.2ま で上昇 したの に伴 い急激 に減少 してい るが、 さらに

pHが

上 昇 して も6.0ま では殆 ん ど変化 していない。 また燐 酸区、 石膏 区では

pHが

無処理区の4.3よ り若千低下 したにもか かわ らず、水溶性銅量 が多少増加 した反面、他の形態の 銅量 はむ しろ減少 してい る。 この よ うな銅溶解度の変化 を、各種の土壊処理 によっ て もた らされる銅の形態変化 とい う面か らみ ると、 まず 塩基 の中量 を添加 して

pHが

5.2まで上昇 した場合 には、 溶 出 した銅の分量 は無処理 区のそれより27.6ppm減って い るが、 この値 はそれぞれ置換態 とキ レー ト態銅量 の減 少分で ある8,8ppmと 19,6ppmの和 に近似 して いる。 し たがって、 このpHの上昇 によって置換態の大部分 と キ レー ト態の一部 が不溶化 した と見Thkすことがで きる。 ま た、石膏 を添加 してpH力M.0まで低下 した場合 につ いて 考 えると、このpHの低下 にともない水溶性銅量 が6.Oppm 増加 してい るが、 これに文↓応す る置換態 とキ レー ト態 銅の減少量 はそれぞれ6.0と8,Oppmに なって い る。これ 戒隣談区の よ うに極 く僅 かに

pHが

低 下 して い る場合 に なると、水溶性銅の増加量 に対応す るキ レー ト態銅の減 少分 は、置換態の それに比べて極微で あるか ら、燐酸 区 や石膏区でみ られ る水溶性銅の増加 はpHの減 少 に よ つ て置換態の一部 が水で抽 出 されたと考 えて よいで あろ う。 一方、水田土壊で は抽 出剤の種類 とそれによって溶 出 す る銅量 との関係 は、大 よそ果樹園土壊 の場 合 と同様で ある。 しか し、 それぞれの上壊処理 によって銅 の溶解度 が変化す る様相 には、二、三の相違点 がみ られ る。 まず 燐 酸区 をみ ると6試験 区の うち最 も

pHが

減 少 して い る けれ ど、各形態銅 の溶 出量 は水溶性 の もの を除 き著 しく 減少 し、6試験 区中最小値 を示す。 また、塩 基添加区で はキ レー ト態銅の溶 出量 が増大 しているが、 と くに塩基 多量 区の場合、キ レー ト態銅 と有機態銅 の それぞれの増 加量 の和18.4ppmは、水溶性銅の増加分(0.8ppm)と置 換態銅の減少分(15,6 1Dpm)を 加算 した値16.4ppmにかな り近似 してい る。 この ことか ら、塩基の添加 によって置 換態 か らキ レー ト態 、あるいは有機態へ と銅 が形態変化 した ことが示唆 され る。 なお、第2図を検討す れば、水 田土壊ではpHの上昇 に よ って キ レー ト態 に変化 した銅 は、pH4.5の酢安溶液で抽 出 されないことがわかる。 キ レー ト態銅 はまた堆肥 の添加 によって も著 しく増加 している。堆肥 の添加 によって溶出全銅量 が増加 してい るけれ ど、石膏 区で もこの程度の増加 がみ とめ られてお り、 また堆月巴区 と石膏 区 との間で銅の形態変化 の内容 に 大差 がみ とめ られないので、堆肥の添加 によって銅のキ レー ト化 が進 んだか否 かは不明で ある。

)デ

ン トコー ンの生育 と銅の吸収状況

3週

間イ ンキ ュベーシ ョンした土壊 に栽培 された、ホ ワイ トデ ン トコー ンの収量 と銅の吸収状況 を第4表に示 した。 果樹園土壊 では、無処理 区 と石膏 区で本葉 第2葉目が 展 開 したころか ら、新葉 に黄化萎縮症状 が現 われた。塩 基 を添加 した区で は、土壌pHが高 くな るにつ れて生育 が順調 とな り、試験終 了時の茎葉重 は著 しく増大 して銅 含有率 も低 下 している。一方、水田土壌で は無処理 区、 燐酸 区および石膏 区で萎縮症状 がみ られたが、塩基区 と 堆肥 区の生育 は順調であった。 とくに堆】巴区 は果樹園土 壊 と異 な り、塩基 区 に劣 らないよい生育 を示 している。 両土壊 ともに石膏添加 による生育の改善 がみ とめ られな いので、無処理 区の生育不良がカル シウム来養の不足 に よるもので はない と考 えられる。 ∠ ppm

(5)

第4表 各種 の土壊処理 がデ ン トコー ンの生育及 び銅吸収 に及 ぼす影響 処理内容 播種時の上壊

,H

収穫物重(g/鉢) Cu合有率(ppm) Cu吸収量(μg/然) 茎 根

1

根 茎 葉

1

根 茎 葉

1

根 合 計 (果樹園土壊) 4 6 長 井 武 雄 ・山 内 益 夫 無 処 理 塩 基 少 ″

肥 憐

酸 石

膏 (水 田土壊) 無 処 理 塩 基 中 4,3 4.6 5.2 6.0 4.3 4.2 4.0 5.1 5.5 6.4 5.3 4.6 4.9 2.60 7.36 8.12 9.16 5.12 4.02 3.60 1.28 2.96 2,72 2.88 2.12 1.72 1.72 0.80 2.32 2.88 2.88 1,16 1.00 32.0 26 5 25.6 15.3 86.0 23.0 27.3 230 260 170 160 350 310 490 83 198 211 137 184 92 97 294 770 462 461 742 533 843 328 510 634 490 232 340 377 968 673 598 926 625 940 415 676 762 621 312 412 く傾 向 がある。 しか し、 この程度の 銅濃度では まだ根の重量 には影響 が 現 われていない。一方、地上部では この銅濃度 において も、茎葉 の重量 は漸減 して お り、 これに対応 して銅 含有率 も上昇 を示 している。土壌の 銅濃度 がl曽加 して50ppmを少 し過 ぎ ると、根 の銅含有率 が急激 に高 ま り 同時 に根重 も著 しく減少す るよ うに なる。 この段 階では、茎葉の生育抑 制が顕著 とな り、 これが銅吸収 の抑 制 より大 きく作用 して くるために、 茎葉の銅含有率 が著 しく増大す る。 さらに銅濃度 が60 ppmに近ず くと、 根 の銅含有率 はいっそ う増大 して極 値 に達 したの ち、再 び急激 に低下 し 果樹園土壊 ηY X 0・749 ″ '‐ △ 水田土壊 ηY X==0・ 571 多 肥 酸 青 推 燐 石 m 40 30 20 10 Cu 含 有 率 △ , △ ︻ 根       重 2,08 5.72 6.76 6.88 3.32 3.12 41,7 28,7 18.4 19,0 23 8 22.7 410 220 220 170 200 340 87 166 128 131 80 72 障害因子 としての銅の影響 を明 らかにす るために、果 樹園土壊 につ いて、lN―酢安溶液(pH4.5)可溶の銅量 と デン トコー ンの生育量 および銅合有率 との関係 を第4図 に示 した。 茎8 葉 6 重 4 2 20 40 60 80 溶 出

Cu(ppm)

第4図 果樹 園土壊 の酢 安(pH4.5)可溶銅量 とホ ワイ デ ン トコー ンの生育量 これによると、土壊中銅の濃度が50 ppm程度までは、 その濃度の増加につれて根の銅含有率が漸次高まって行 てい る。 この場合、茎葉では銅含有 率 がむ しろ低下 してお り、土壊 の銅濃度力▼O ppmほ どま で増加 した ときになって、生育抑制 がより大 きく作用す るため再 び高い含有率 を示 してい る。 以上 に述べたよ うな生育状況 か らみ ると、土壊 中の酢 安可溶の銅濃度 が50 ppmを超 えてい る場合 には、作物の 生育 が銅過剰 によって阻害 されて お り、生育 が正常 に進 展す るためには、土壊 中銅濃度 が30 ppm以 下でなければ な らない ことが半Jる。 先にも述 べたよ うに、果樹園土壊の銅溶解度 が土壊

pH

と深 い関係 にあるので、土壊pHと デ ン トコー ンの生育 量 との関係 を第5図に示 した。 m 50 p p . 400 10 茎 8 葉 6 重 4 2

Cu 含 有 率 g ▲ 4 5

pH

第5図 土壊pHとホ ワイ 6 トデ ン トコー ンの生育

(6)

鳥取県八頭郡河原町 における梨葉黄化症の発生原因 とその対策 に関す る研究(第2報) 第5図によると、果樹園土壊では茎葉重の上壊oHへの 相関比(ηx Y)が比較 的高 く0,749を示す。 これに対 して 水 田土壊の相関比 は0.571で 、 果樹 園 土壊 よ り低 くなっ ている。 これは第2図にもみ られたよ うに、水田土壊の 堆肥区 と燐酸区で、

pH以

外 の要 因 も銅溶解度 に大 きな 影響 を与 えていることによるためで あろ う。 Ⅲ

.考

察 普通 、植物 に対す る銅の過剰障害 は まず根 に現 われ る。 水稲では、培地の銅濃度 が高 まると銅 は根 に集積 し、地 上部への移行率は小 さい。 これは根 がある程度過剰 な要 素の地上部へ の不必要 な侵 入 を防止す る機能 をもつ こと による。吸収 された銅の地上部 と根 の分布割合 をみ ると、 培地濃度の上昇で根 における分布 が増加 し、 ある量 を項 点 に減少 してい く。 この根 における割合 が項点 となる濃 度 が限界濃度で、その限界 を超 えると急激 に地上部へ移 行 力Чよじま り、このために収量 が激減 す ると考 えられる恩 本研究の果樹園土壊で、ホ ワイ トデ ン トコー ンに吸収 された銅の根 における分布割合 を求めて、 これ を土壊の 酢安

(pH4.5)可

溶牲 銅量 と対比すれば第5表のよ うに なる。 第5表 デ ン トコー ンに吸収 された銅の根 における 分布割合 試 験 区 Cuの根における分構恰 酢安溶液(γ

=0.886**)1よ 0.05N EDTA溶

液 (γ

=

0.689半*)ょり可給態銅 の抽 出法 として優 れてい ること を示 した。酢安溶液(pH7.0)および

EDTA溶

液 で 抽 出 される銅 は、それぞれ本研究 における置換態銅 (水溶牲 銅 を含む

)お

よびキ レー ト態銅 に相 当す るので、この水 溶性 と置換態の銅 が可給態銅 として、ホ ワイ トデ ン トコ ー ンの生育 に深 く関係 した と考 え られ る。 この両形態の銅溶解度の変化 に対す る土壊処理の効果 を比較す ると、第6図に示 す よ うになる。 10 茎 葉 5 重 0 少 中 多 石 燐 堆 青 酸 肥 無 処 理 ン 塩 基 多 デ

堆 

石 

塩基

無処

溶 解 度 ppm 多 中 少 肥 膏 酸 理 処 堆 石 燐 無 これによると、土壊の銅濃度 が57 ppmで ある石膏区に おいて、根 における銅の分布割合 が ピー クに達 している。 この結果 か ら、供試果樹園土壌の銅集積量 は少 な くとも ホ ワイ トデ ン トコー ンの生育 にとつて、根 における銅の 集積機能 を失 わせ るに充分 な濃度 に達 してい ることが半J る。本研究では、土壊

pHが

5.0∼ 5.5まで上昇す れば、 この過剰 な銅 が30 ppmま で低下 し、これによって、ホワ イ トデ ン トコー ンの生育 も順調 に進展す るの をみ とめた。 堤 ら猾は

EDTA溶

液 が可給態銅抽 出法 として希塩酸 よ り適 当で ないことを報告 し、また

BADlGER°

は、Neu―

bauer植

木鉢試験法で、各種溶斉Jで抽 出 される可給態 銅量の比較 を行 ない、相関係数 を求 めて、pH7.0の N― 塩 基 葉 重 燐 酸 第6図 各 トコー ンの生育 水溶性 と置換態の銅量 をみると、果樹園土壊では生育 が抑制 された石膏区と燐酸区が高 く、生育が多少改善 さ れた堆肥区は塩基少量区 と同程度に減少 している。他方 水田土壊でも、塩基添加区はともかくとして、茎葉重増 加の著 しかつた堆肥区の減少量が大 きい。 しかし、堆肥 区と同程度、あるいはこれを上回って減少 した石膏区と 燐酸区の生育は著 しく不良である。 本研究で供試 された水田土壊は粘土含量が少 なく、

C

ECも 小 さいので、石膏の添加によって根圏が高塩濃度 状態となり、これによる障害 を受けた可能性 がある。ま た、水田土壌の鉄合量 は相対的に低いので、燐酸の多施 により植物体内の Fe/P・ 比例が減少 し、これが生育不 良をもたらしたことも考えられる。燐酸の多量施用によ 77.1 68.6 79.5 80。1 89.6 85.2 77,9

O-0水

溶性、置換態Cu

A―

Aキ

レー ト態Cu 酢安可溶Cu 23 ppm 30 52 52 57 59 67

(7)

長 井 武 雄 ・山 内 益 夫 り、柑橘 の銅吸収量 が減少す ることは

BINGHAMう

によ

(4)水

溶性 と置換態の銅 が可給態の銅 としてホ ワイ ト って報告 されてい るので、過剰 の銅対策の1つとして燐

デ ン トコー ンの生育 に影響 を及ぼ してお り、酸度の矯正 酸の多量施 用は今後 とも期待で きるものがある。 しか し

と堆肥の添加 はこの形態銅 の減少 に効果 を示 した。 土壊 中の鉄含量 と燐酸施 用量の関係 など、検討すべ き間

(5)銅

鉱 山か ら流 出 した土砂の混入 によって汚染 され 題 が残 されてお り、実施 にあた っては慎重 を要す るで あ

てい る水 田土壊 について も、同様の処理 を行 ない効果 を ろ う。

比較 した ところ、抽 出剤の種類 とそれによつて溶出 した いず れに して も、本研究 によって、梨葉 に黄化症の発

銅量 との関係 は、大 よそ果樹園土壊の場 合 と同 じで あっ 生 をみた樹園地上壌 は過剰の可給態銅 を含んで お り、 こ

た。 れが少 な くとも一部 の畑作物 には生育の制限因子 になる ことが明 らかにされた。 したがって、早急 に根圏土壊の

献 銅溶解度の低下 を図 る措置 が望 まれる。本研究で得 られ

1)長

井武雄 ・古賀英明:′島取大学農学吉1研究報告,27, た結果 によれば、土壊

pHが

最小限5.01こ保 たれ るよ う酸

34(1975)

度の矯正 が必要で ある。

2)Reu her,W.and P.F,Smih i Sο

J′ ScJ92c9,

75,219(1953)。 Ⅳ

.要

3)塚

本正一郎・藤井有文・佐 々木高・新堀孝子:土肥 鳥取 県人頭郡河原町 において梨葉 に黄化症 が発生 した

学会講演要旨集,No.1, 2(1955). 樹園地上壊 に、酸度矯正 あるいは堆肥、燐酸の添加 など

4)Bingham,F.T.and et al.:SOJど

ScJ92c9, のいわゆる対症的処理 を施 し、一定期 間後 における銅溶

86,24(1958)

解度の変化 をしらべた。つ いで この変化 がホワイ トデ ン

5)Smih,R.L.and et al.:rdο

ιο,cs α2'■αJjαヶJο2 トコー ンの生育 に及ぼす影響 を検討 した。

れαι,92焼 SοテJ OTgαttc―ηαιι9T Sι2J」9s, 得 られた結果は次の とお りで ある。

p.397(1968)Austria.

(1)供

試土壌 か ら逐次抽出 して分 別された各形態の銅

6)石

塚喜明・田中明・藤 田収:土肥誌

,32,97(1962)

合量 は、キ レー ト態銅

>有

機態銅

>置

換態銅

>水

溶性銅

7)堤

道雄・大平幸次・藤原彰夫・土肥誌,39, の)贋で あった。

131(1968)

(2)土

壊の酸度 を矯正す ると、5,0までは

pHの

上 昇 に

8)Badiger,M,K.and et al.:frl

ι?T2αと,o■,J

つ れて、置換態 およびキ レー ト態銅の溶 出量 が著 しく減

S)婢

pοs,,切 οη SοテJ F9Tオ崩ι)E″αJ″成,ο2PTο一 少 した。 また堆肥 の添加 によつて、置換態銅 は減少 し、

c″

',9,1,949(1971)New Delhi.

キ レー ト態銅の溶出量 が増加 した。

9)月

ヽ林茂久平・只木正之 ・松井蔚:群馬県農業試験場

(3)体

試土壌 が含む過剰の銅 によって、ホ ワイ トデ ン

特別報告,No.5, 1(1964). トコー ンの生育 は著 しく抑制 された。作物生育量 の上壊 pHに対す る相関は高 く、最小限pH5,0に酸度 が矯 正 さ れ ると生育 は順調 に進展 した。

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