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座屈拘束ブレースを利用した耐震補強方法の開発(PDF)

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座屈拘束ブレースを利用した耐震補強方法の開発

Development of Retrofitting with Buckling Restrained Braces

吉田 競人、栗山 好夫 YOSHIDA Keito, KURIYAMA Yoshio 1.序 近い将来に発生が予想されている大地震に対 して、公共機関はその被害を最小限に食い止め るために住宅の耐震化を推進している。特に昭 和 54 年以前の建物は耐震性が不足されている ものが多く耐震補強が急がれている。耐震補強 の方法は種々提案されているところであるが、 大きく分類すると三種類に分類される。即ち、 耐震工法、免震工法そして制震工法である。こ の中で制震工法は、地震エネルギーを吸収する ことにより被害を抑制するという原理に基づく 工法である。工事費、施工期間など他の工法と 比較し、安く早いという特徴があるが、現在の ところエネルギー吸収性能が設計に反映されて いないため、その長所が知られておらず、これ を利用した普及方法は少ないというのが現状で ある。座屈拘束ブレース(BRB)はその代表的 な工法であるが木造への転用は図られていない。 前報1)においては、BRB による外付け補強実験 の報告を行った。これに対し、本報告は BRB を内側に取り付けることにより木造建築物への 耐震補強を図ることを目的とした報告である。 2.実験概要 2.1 試験体概要 試験体はブレースをフレーム面内に取り付け た内付けタイプを2 体製作した。内付タイプ試 験体のブレース取り付け形状は菱形(試験体名 ID-1)に設置したものと、方杖のように取り付 けたもの(試験体名IN-1)の 2 種類である。本 試験体に使用した木造フレームの軸組み寸法は 幅 1.82m、高さ 2.88mの 2P タイプであり、土 台、梁、柱から構成されている。木材は梁にベ イマツ、柱にスギ、土台にヒバを使用した。柱 の仕口には短ほぞを設けた。試験体姿図および 試験体形状は図1 に掲げるとおりである。 座屈拘束ブレース(BRB)を(a)のようにダイ ヤモンド形状に取り付けた理由のひとつは、木 造梁-柱や土台-柱の取り付けにあたり種々金物 が用いられるため、それらとの干渉を防ぐため である。また、ダイヤモンド形状にすることに より BRB と木造部材がトラスを構成、水平力 が全て軸力として伝達される。これによりモー メントが柱に発生せずに強度を向上させること を目的にしたためである。一方、(b)の方杖タイ プは開口を大きくとるために幾分モーメントが 発生することを容認したタイプである。 BRB 1820 1820 2880 BRB BR B BRB 梁 梁 柱 柱 柱 柱 土台 土台 (a)ID-1(内付け) (b)IN-1(内付け) 図 1 座屈拘束ブレース(BRB)試験体姿図 2.2 BRB構成 本実験に用いた座屈拘束ブレースは、材質 SS400, 直 径 M10 の 転 造 ね じ ( 降 伏 強 度 σy=371N/mm2、ヤング係数 E=212kN/mm2)を 芯ブレース、炭素鋼管を補剛材とした二部材か ら構成されている。これまでは、座屈補剛材の 一部としてRC やモルタルが使用されていたが、 本実験におけるモデルでは、軽量化を図るため に補剛材にはモルタルは使用していない。しか し直径 M10 の芯ブレースと炭素鋼管の補剛材

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では両者の間隙が大きく、軸力が作用するとブ レースに座屈が生じてしまう。これを防止する ために芯ブレースの中間に 75mm間隔でナッ トを配置し座屈長さを調整している。ナット間 隔の細長比は30 である(写真 1,2 参照)。試験 体に使用した補剛材の構成は表1 に掲げてある ように、φ27.2×2.9 と φ42.7×3.6 の鋼管(E=131 kN/mm2)を重ねたものを使用している。 2.3 BRB取り付け金物 BRB とフレームとの取り付はラグスクリュ ー10-M12、L=100、により行った(写真 3 参 照)。 写真 3 ID-1,IN-1(内付けタイプ) 金物取り付け写真(左:柱、右:土台) 2.4 補剛材剛性 BRB が有効にその機能を発揮するためには、 補剛材の全体座屈を拘束する必要がある。その ためには補剛材が十分な曲げ剛性を有する必要 がある。補剛材の曲げ剛性は形状のほか芯ブレ ース端部の固定度、すなわちその取り付け方法 により大きく影響を受ける。鉄骨造と異なり木 構造では、特に鉄板と木との取り付け部に十分 な固定度は期待できない。そのため木造試験体 にプレートを介し BRB を取り付けた場合、必 然的に、その支持条件は完全固定とピンの中間 の半固定になると考えられる。その点を考慮し 本試験体用 BRB の補剛材剛性の設定にあたっ ては、BRB 接合部の取り付け部の固定度の拘束 が不十分な半剛接と想定し補剛材を設定した。 写真 1 補剛材構成写真 写真 2 芯ブレース構成写真 BRB が全体座屈を生じさせないための必要 剛性条件は既往の研究結果2)である下式に従っ た。 表1 補剛材一覧 ID-1、IN-1 補剛材 (1) 2 C C y E I P ≤α L φ27.2×2.9 (I=1.62cm4) 内管 ここに φ42.7×3.6 (I=8.35cm4) 外管 :ブレースの最大引張り強度 y P :支持条件による係数 α :補剛材曲げ剛性 (ピン支持:2、固定支持:8 ) C C E I :芯ブレース座屈長さ L

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この式により支持条件がピンである場合と固 定である場合の補剛材の必要剛性条件を算定し た結果が表2 である。実際の必要剛性は表 2 で 示される値の中間に位置すると考えられる。そ のため完全に固定とするまでの必要はないと考 え補剛材剛性を決定した。ID-1 の剛性が低いの はIN-1 に比べ材長が長いためである。 表 2 試験体別補剛材剛性 検定式 支持条件 ID-1 IN-1 2 C C y E I P L ピン (α=2) 0.35 0.64 固定 (α=8) 図2 荷重-変位曲線(ID-1) 図3 荷重-変位曲線(IN-1) 写真3 ID-1 加力後試験体 1.39 2.58 1) ブレース材長 L=1500 (ID-1) 写真4 IN-1 加力後試験体 2.5 加力方法 試験方法は㈶建材試験センターが定めた「木 造耐力壁及びその倍率の試験・業務方法書」に 準拠した。加力は正負交番繰り返し加力とし、 繰り返し履歴は見かけのせん断変形が 1/450、 1/300、1/200、1/150、1/100、1/75、1/50rad の正 負変形時に行った。繰り返し加力は、履歴の同 一変形段階で3 回の繰り返し加力を行った。最 大荷重に達した後は試験体の見かけの変形角が 1/15rad 以上に達するまで加力した。 3.実験結果 3.1 荷重変形曲線 試験体ID-1 の加力後の写真を写真 3 に掲げる。 ID-1 試験体の最終破壊は変位が 82.7mm に達し、 引張り側鉄筋が破断することにより生じた。ブ レースである M10 転造ねじは座屈により写真 のように塑性変形を生じ、荷重変形曲線も紡錘 形を呈していた(図2 参照)。履歴形状は幾分ス リップが見られるものの、中央部分が膨らみエ ネルギーを吸収した形状を呈した。IN-1 の加 力後の写真は写真4 に掲げるとおりである。引 張り側柱脚ホールダウン取り付け部分の木部に ブロック破壊が生じ、実験終了となった。荷重 変形曲線は図3 に示す通り ID-1 と比較すると滑 らかな紡錘形を呈する結果となった。スリップ 形状を呈しなかった理由は、木造柱の曲げ変形 2) ブレース材長 L=1100 (IN-1) 変位(mm) 荷重 (k N) 変位(mm) 荷重 (k N)

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が卓越したためと考えられる。内付試験体ID-1 とIN-1 は両者とも全体座屈は見られなかった。 縦軸、横軸はそれぞれ減衰定数、変形角であ る。両者とも変形角が大きくなるにつれ減衰定 数も増大し、変形角 1/50 で 17%となった。た だし、変形角が1/50 に至るまでは、ID-1 タイプ が IN-1 タイプに比べ高い減衰定数を示す結果 となった。 両者とも外付けタイプに比べ履歴特性は紡錘 形を示した。ID-1 と IN-1 の破壊形状は異なる ものの、降伏耐力、終局耐力に違いは見られな かった。終局変位は方杖タイプIN-1 がダイヤモ ンドタイプ ID-1 の方杖タイプに比べ少なかっ たが壁倍率は両者とも同じ 4.2 を示す結果とな った。実験結果一覧を表3 に示す。 4.まとめ 木造住宅の耐震補強を目的とした BRB の開 発を行い、実験を通して検証した結果以下の知 見が得られた。 表3 試験結果一覧 試験項目 ID-1 IN-1 試験体 壁倍率 (1) 木造フレームに BRB を取り付けた場合そ の固定度は比較的高く、完全にピン接合と 考える必要はない。ただし、固定度の定量 的な把握は今後の課題としたい。 4.2 4.2 初期剛性 K (kN/mm) 1.22 0.73 降伏耐力 26.3 26.2 Py (kN) 降伏変位 21.5 δy (mm) 32.1 終局耐力 3.2 等価粘性減衰定数 BRB の制振効果を検証するために図 2 と図 3 の荷重-変位曲線の最大荷重と変位を用い等価 減衰定数を(2)式より算出した。 max 1 ( ) 4 eq W h W δ π = ⋅ Δ (2) ここで :履歴吸収エネルギー W :等価剛性による弾性エネルギー W Δ 2 max 1 2 e W kδ Δ = (3) max max max ( ) ( ) e Q k δ = δδ (4) 等価減衰定数の算定結果は図4 に示すとおり である。 (2) 本報告において行われた内付 BRB による 履歴特性は、外付けBRB1)よりも良好な紡 錘形状を示すと共に、壁倍率も4 以上と高 い値を示す。 34.1 33.9 Pu (kN) 終局変位 δu (mm) 82.7 159.6 塑性率 μ 2.96 3.45 (3) BRB を内付に取り付けることにより等価 減衰定数は、変形角 1/50 において 17%を 示す。 参考文献 1) 吉田、栗山:「座屈拘束ブレース(BRB) を使用した木造フレームの耐震補強」、職 業能力開発総合大学校東京校紀要第24 号、PP-37-42、2009 年 3 月 2) 吉田、他:「鉄筋コンクリート補剛材によ るアンボンドブレースの必要剛性に関す る 研 究 」 日 本 建 築 学 会 論 文 報 告 集 No.521,PP141-147、1999 年 7 月 3) 吉田、他:「有限要素法によるアンボンド ブレースの接触解析(その1 芯ブレース 突起による不均一性がモードの分岐に及 ぼす影響)」、日本建築学会大会学術講演梗 概集C-1、構造 III、PP-875-876,2006 図4 等価減衰定数 等価減衰 定数 変形角(rad)

参照

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