活性汚泥中に見出される原始貧毛類, Aeolosoma sp.の培養-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第33巻 節1号 75∼80,1981

活性汚泥中に見出される原始貧毛類,Aβ0わざ0∽αSp・の培養

桑原 正章,山本 智子

CULTURE OF ARCHIOLIGOCHAETA,AEOLOSOMA SPECIES,

FOUNDIN ACTIVATED SLUDGE

MasaakiKuwAモIARA and Tomoko YAMAMOTO

Aeolosomaspecieswereisolated董rommixedliquorofanaerationtankopeIating・1na董00dindustry・

Aeolasoma wereabletogrowinmicrocultureslidesandglassbottlesbyfeeding onflocsofactivated

sludge Thenumberofthesemetazoawas retained atthe maximallevelover20dayso土culture

Amaximaldensityo董Aeolosomaobservedwasapproximately340individualsper mlo董mixedliq110r Specificgrowthrate(p)andmeangeneration time(tg)of Aeolasoma by the asexualreproduction werecalculated to beapproximatelyO.6day.1and28hours,reSpeCtively 活性汚泥法エアレーションタンクより,貧毛類に属する月β0ね50椚αを分離した.月βめ50椚αは汚泥を食餌とし て,スライドグラス中およびガラスびん申で培養が可能で,その個体数は,最高レベルに達した後も20日間以上に亘 って安定に保たれた.最高の存在濃度は.培養混合液1m/あたり340個体であった..1個体から出発した場合,個 性生殖による比増殖速度(〝)は約0.6day ̄1,平均世代時間(tg)は約28時間であった. 緒 ■■ 活性汚泥中では 細乱原生動物および後生動物など,多様な生物群が食物連鎖を形成し,廃水中の有放物を効率 よく分解処理している.汚泥中では,原生動物および後生動物は廃水申の有機物を分解するだけでなく,汚泥を構成 する細菌を捕食するので,汚泥が過度に増殖するのを妨げると考えられている.環形動物門や円形動物門に属する多 くの後生動物は,原生動物に比べて体形も大きく.激しく通気撹拝されているエアレ・−ションタンク中での生存は低 いレベルに抑えられるといわれている.通常の活性汚泥法では,エアレーションタンク内混合液(ML)1m/あた り.輸虫類100∼200個体以下.線虫類100個体以下である(1). 汚泥中には.さらに大型のミズミミズ(〟あざ)やアブラミミズ(月β∂ねざ0∽α)などの貧毛類が出現するが個体数 のレベルは低い.しかし,貧毛矧ま摂食活動が極めて活発であり.この性質を利用すれば活性汚泥の過度の増殖を抑 えることが可能と考えられる.本実験でほ活性汚泥中に見出された原始貧毛類の』β0ね50∽αSpに着目し.これら の培養を試み.生育の性質について若干の考察を加えた. 実 験 方 法 A紺ゐ封乃乃αは400mJのガラスびん中で300m/のMLとともに.通気しながら培益した..また,実験によっては 内容積1.OmlのSedgeWickTRafteICOunting cell中で培養した.増殖速度の測定のためにほ,Fig1に示すよ うに,ペトリ皿中のホロースライドグラス_た」で培益した.ホロー中には0.1m/の培地および食餌源としての汚泥を 入れ,これに.4紺友朝川閥の1個体を入れた.培地にはレタスおよび卵黄浸出液を主体とするLE培地(2〉を,食餌 源にはコーンスティーブリカー(CSL)あるいはペプトン含有人工廃水で培養している汚泥フロノクを用いた.ベ トリ皿中にほ乾燥を防ぐため少量の水を入れ.さらに.ホロー中に随時LE培地を補いながら280Cで培養を行なっ ■ゝ /し・●

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狛lけぐ、ユゴ二農ノ、㍗粧捌招腔テ 雄33巷 弟1〉J・(】〔)81)

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Fig.1.Culture of Aeolosoma using a microcuiしurc sji〔te.

1,PeLri(lish;2,J寸ouow slj〔ie glass;3,Ctlltt汀e medium, act,ivated siudge and Aeolosoma;4,Glass rod;5,Watcr

実 験 結 果 1.実槽中で見出された貧毛頬 ある食ぎ■】∧盲】−製造※場の廃水処理施設濫おいて,エアレーシ。jンタンク内での清竹宮■泥の増加が姓」蔓二し,所定の混合腋 偲椀物(MLSS)濃度が得られないという現象が′Lじた.エアレーションタンク内混合液(ML)を検鎖したところ, Fig.2八Aに/jミすような,一利蓬0.7∼3111mのいわゆろ水/巨ミミズの存/【二が▲…ノ紳)られた.この後/巨利櫛ま,休節の放, Fig.2.PllOl.0】Ⅵicrogl{apilS Ofノ如才o∫0∽吼 A Aeoisoma fou11dillmixediiquor

B Scxualrepro(luction(hatclling rrolllan OVum)

剛毛の存れ,衣隠申で蛛柚跡の信直な甘ノ川用描怖判職分らJ馴:之動イ酬り,原姑賞毛灘(バク′cカオ0/才gβCカαβJβ)のアブ

ラミミズ科(パβ0/0∫Omα∠才dαβ)にJJ.】ミする ノ弛〟鋸卯那 Si〕.(ご主)封−り1j三した.見川点れたパ♂0/0∫0研αのうち,黄燈心

の河l溝を有する個体が優】1i的で,これらは月.ブα♪0〝オcαとl一弘Lさわた.この種のほか,紅燈色の油滴庵丞‘する 月.

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桑原正章,山木智子:貧毛類』β0わ∫0∽αの培養 77 1mgあたり11∼35であった.このML巾ではFig2−Bに示すような卵からの発生が観察され.Aeolosomaばノ1 として有田ヰ湘により増殖すると考えられる 2.AeoJoβ0〝1αの増殖 培養中の個体数の変動 Aeolosomaの培養条件を設定した.まず,Sedgewick−RaftercountingcellにCSL で培養中の月βめざ0椚αを含む汚泥を入れ培養を行なった.Fig3 に示すように.培養液1mJあたり68個体の 2 4 6

Dqys

Fig3 Growth of Aeolosomain a eounting cell

Aeolosoma were grOWninl”Omlof activated sludgein a Sedgwick−Rafter counting cellat28℃

0 0 5 0 1 一∈、S一口コ℃てごPU一 0 5

10

15

20

Dqys

Fig 4 Effect of initial population density on the growth of Aeolosoma

Populations of Aeolosoma at the start of culture were adjusted to

280(A),135(B)and60(C)per mlof MLCulture was at 28℃

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香川大学農学祁学術報告 節33巻 第上等(t981) 78 月β0わ∫0∽αは7=聞で約210触休にまで増殖した.このように.小規模な培養においてむ食餌となる汚泥さえ存イ1 すれば月β0/0∫0∽αは十分に培養が可能であることが知られた. 個体数の増加に対する初期存れ個体魔の影響を明らかにするため,300111/巾にA郎血肌”∽の数をlミ;ゴiレベル(270 個体/mJ・ML),坤レベル(135個体/m/・ML)および低レベル(60個体/mJ・ML)の3段階に調張し,培養を行 なった.Fig.4に示すように,いずれのレベルにおいてむ初期において個体数の増加が認められ,高レベル(A)では 3蔓‡】後に340個体/mJ・ML,lニいレベル(B)では91‡】後に180†酢体/mJ・ML,低レベル(C)でほ3日後に86個体/m/・ MLに達し,その後個体数の変動はほとんど観察されず,ほぼ一定レベルに保たれていた.低レベル個体数から.1】1 発しても最終的な個体数が申,i‡‘;iレベルのそれに達し得ないという現象の明確な原償は推測できない.通気撹附こよ る増殖活性の抑制,あるいほ.月郎血肌招∽1団体澗の姐互作用等,未知の要因が存在するかも知れない. 一∈、S一口⊃Pて二PU一 0 7 5 3 2 4 6 8

DGyS

Fig.5.Exponentialgrowth of Aeolosoma jaPonica on amicroculture slide. Anindivisualof A,jaPonica was transterred to O.1mlof LE

mediumin a hollow of a slide glass added with flocs of activated

sludge as food.Culture was at280c.

q・一− fed on CSL−grOWn Sludge,

一−− 0− fed oIlartificialsewage−grOWn Sludge

Fig.6.Asexualreproduction of Aeolosoma. An arrowindicates a budding zone.

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桑原鷹取 山木智子:貧毛類月βOJo∫∂∽αの培養 79 AeoJoぶOmαの増殖速度 汚泥中から月.蕗紳如αを1個休取りLuし.Figけ1に示す培養容岩引こ移し,280C における増殖速度を測定したり食餌として−,CSL培養汚泥および人二1こ廃水培養汚泥を用いた.、増殖はFig∴5に示 す鰍睦萬な休分裂により,CSL汚泥の場合約1日後,人工廃水汚泥の場合2日後から2分裂を繰返し,Fig∴6に示 すような対数的増殖を示した.各汚泥を与えた培養から得られた比増殖速度(〝)および平均僅代時間(tg)をTablel に示した.CSL汚泥を用いた場合,人工軽水汚泥の場合よりもやや高い比増殖速度を与えた.

TablelGrowth rate of Aeolosomα

Sludge given as董00d GIOWth rate

Meangenerationtime‥tg(hour)tGrowthrateconstant:〃(day−1) AeoJoさ0仇αの増殖に対する薬剤の影響 後生動物は原生動物に比して細胞毒性物質に対して高い耐性を示すこ とがしばしば観察された.原生動物に影響を与える塩素(次亜塩素峻ナトリウム溶液を使用)および過酸化水素を・そ れぞれ最終濃度15ppmおよび200ppmとなるようにJI[lえ,ML LPの個体数の変動を観察した.Fig7に示すよう に,塩素添加でほ全く変化が見られず,過酸化水㈲ここより個体数がやや減少したに止ったぃ しかし.この間に繊毛虫 類は−・時的にほとんど消失した. 一∈、S一口⊃Pて二PU− 10 0 2 4 6 8

DGyS

Fig.7h Effects of chlorine and hydrogen peroxi(le on the growth of

A郎此収川畑.

Sodium hypochloriteand hydrogen peroxide were addedinfjnal

concentrationsof15ppm(as chlorine)and200ppm,reSpeCtively, at pointsindicated by arrows

−・−・ COntrOl, ∼”OH−N addition of chlorine

−・O−・ addition ofhydrogen peroxide

考 察

輸虫類,線虫類,貧毛類など,多種類の後生動物は活性汚削]に出現するが,それらの増殖特性や食酎こついては

不明の点が多い.また.これら微小動物の汚泥における食物連鎖」二の位眉宜ついても正確な知見は乏しい.後生動物

が汚泥咋で優占種となることば極めて稀であり.低BOD廃水を処理しているエアレーションタンクに輪虫が高価 陸数出現する場合があるといわれている.われわれも.フラス叫写剃ニーの汚泥で次第に鰍虫が増殖し.7000個体/m/

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香川大学農学部学術報告 節33巻 第1号(1981) 80 ・MLにも達する例を観察している.Aeolosomaが実槽中で1000個体/ml・MLとなった例(1)もあるが.これも特 殊な場合である. 貧毛類の増殖についての知見はさらに少ない.須藤(4〉は 斤ゐα∂(わ/αよ憫吼 ノ払血相那㌧凡如などの比増殖速度 (p)は0.1day.1(tg=7days)以下であり,培養が困酢で,培養途中で個体の艶死が起るとした.本報で述べたわれ われの実験では.月β0わ∫0椚αは長期間にわたり安定に培養を継続することができた.また,〝も約0.6day−1(tg= 約28bouTS)前後という高い増猫速庶を得た.これは繊毛虫l句7一方套cβ//α椚査cγ・05わ∽αの値の見∼%に相当する(2) 高い値である.われわれの増殖速度の測定実験では,ノ毎血涙α別協ほ1個体から無性生殖により増殖した.実相中で は有性生殖も行なわれているので.ガラス容器内とは異った速度で増殖している可能性がある. 一方.』加血刷別の食性にも未知の点が多い小黒原ら(5〉は,月都血ざ∂椚αは如乱原生励物,らん藻のいずれを も捕食して増辞することを認めている.しかし.1わγ’≠套cβ侮などの繊毛虫で観察されているような,食餌とする細 蘭の選択性(叫こついては全く不明である.われわれは汚泥フロックを食頗としたが,与えた汚泥により増殖速度に若 干の相逮がみられた.これは.それぞれの汚泥構成細菌の相違に原因するものと考えられる. 貧毛類の汚泥に対する摂食活動は極めて旺盛であり,この性質をうまく実槽中で利用すれば,余剰汚泥発生監の少 ない活性汚泥を構成することが可能で,汚泥の引き抜き等に要する余分の労力や費用を軽減させることも可能と考え られる.さらに,このような小型貧毛類の大鼠培養が可能となれば.これら後生動物の魚類飼料などへの用途も開け るものと考えられる. 引 用 文 献 (1)須藤隆一・:農化 52,R9(1978).

(2)Sudo,R and Aiba,S:jab小f Ecol,21,70

(1971) (3)内田 事:動物系統分類学,欝6巻.中山事店 (1967). (4)須藤隆一・:廃水処現の生物学.p.198.産米用水 調査会(1977). (5)KurihaIa,Y:∫c套\屈紗r∂カβAα肋よが∫β㌢ JV(β左0り,37,161(1978) (6)Sudo,R…and Aiba,S.:ルPり/Ecolリ21,140 (1971). (1981年5月30日 受理)

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参照

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