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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 55号(2014.8) 「心の振幅」— 興味、関心の扉を開く英語

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Academic year: 2021

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 55 号 1 平成 26 年 7 月 1 日付毎日新聞朝刊の「火論」を興味深く読んだ。「英語の授業は英語で」とい う外国語学習を通じグローバル人材育成をめざす昨今の英語教育の方向に一言もの申すため、英 文学者・福原麟太郎の「心の振幅を広くする」といことばを取り上げ、戦前の東京高等師範学校 での若きアイヌ語の研究者の逸話を紹介していた。言語概論を教えるのは初めてでおぼつかない と思われたが、学生たちはその講義に強く惹きつけられ、後にそのクラスから言語学専攻者が何 人も現れた。その不思議な現象に「アイヌ語研究者のアイヌ語に対する愛—言葉に対する愛が学 問の面白さとなって学生に伝わったのである」と福原は思い至ったとあった。外国の言葉を通じ 自他を知る、そういう「心の振幅」が大切でないかと結んでいた。 同じように、平成 26 年 7 月 26 日付毎産経新聞朝刊「解答乱麻」というオピニオン記事にジャ ーナリスト・細川珠生氏が、「英検や TOFEL などが一つの例として言われるが、それで高得点 を取ることと、『グローバルな人材』として国際化の中で生き抜くための力をつけるということ とは違う。…私自身が英語を習得する中で実感したことは、その必要性をどれだけ感じられるか ということこそが一番大事な動機であった。単にテクニックを習得するということではなく、外 国人と意思疎通できたらいいなという憧れから、外国に対する興味や関心の扉を開く、言語はそ のための手段であったということだ」と述べていた。この二つの記事の基底に流れている考えは 同じようなものでないだろうか。 今年度、本学の夏季教員免許状更新講習1で、私は「言語文化としての英語表現—英語の 発想・日本語の発想と生き生きとした英語表現活動」というテーマのもと、日英感覚の違 いから起こる英語表現の味わいを取り上げる。 “He went bananas.”という面白い英語の 表現がどのような意味であるかなどという英語感覚の生きた表現や「思い違いでしょう。— you must be dreaming.」という「とっさのひと言」の表現の違いを皮切りに、日本語で捉 える言葉の世界と英語で捉える言葉の世界の違いを話していくことにしている。日本語の 文章では、「起承転結」という構造が用いられる。つまり、「起」で導入し「承」で継承「転」 で転機し「結」で結論を述べる。頼山陽の有名な「起: 京の三条の糸屋の娘 承: 妹十八 姉二十 転: 諸国大名は弓矢で殺す 結: 糸屋の娘は目で殺す」がそのモデルとして国語 の授業などでよく取り上げられる。冒頭の、「京の三条」は「京の五条」「大阪本町」に取 って代えられるときがある。いずれにせよ、日本語は結論を先に延ばし、結論に至るまで の経過をもろもろの形式で述べようとする。すなわち、結論に至るまでの過程を重視し、 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉

2014 年 8 月

「 心 の 振 幅 」 — 興 味 、 関 心 の 扉 を 開 く 英 語

中井 弘一

第 55 号

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 55 号 2 思考の過程を説明することで状況による判断を求める傾向が強い。これに対して、英語で は、「序論」「本論」「結論」という流れが表現スタイルである。この「序論」は主題・要点 の紹介で、最初に結論を述べているのに等しい。「本論」はその理由や根拠、例が述べられ、 「結論」では、最初に述べた主題・要点を再度まとめるという構造である。結論を先に伝 え、そして、結論に至るまでの経過と順序を伝える。これが英語の論理である。なぜ、日 本語と英語とではこのように表現スタイルが異なるのであろうか。このようなことを考え るのは楽しいしおもしろい。 文部科学省が調べた結果、「コミュニケーション英語Ⅰ 」を主に英語を使って教えていると いう先生は 15%だったということであるが、英語科の教員は、英語運用能力を育成するとい うことに留まっていてはいけないであろう。直接、対象言語の英語を学ぶことを通して、 言語そのものが文化である言語文化を扱い、英語社会において物心両面にわたる活動の様 式と内容の総体となっているものの見方、価値観を生徒に習得させることが大切ではなか ろうか。おもしろいと思ってこそ人は学ぶのである。言葉の根底に流れる意識を教えるこ とができるのは、英語(外国語)の教員である。母語と外国語を比べて、その優劣をつける のではなく、それぞれの言葉の特徴から見える人間の考え方を大切にすることを教えてい くことが必要ではないだろうか。この随想も、典型的な「起承転結」でまとめた。英語的 な構造の文章ではないが、この構造が分かりにくいものであるかどうかの判断は読者に委 ねたい。 ■参考文献 玉木研二(火論)「心の振幅」毎日新聞朝刊 平成 26 年7月1日(火) 細川珠生(解答乱麻)「興味、関心の扉を開く英語」産経新聞朝刊 平成 26 年 7 月 26 日(土) (なかい・ひろかず 教授/教員養成センター長)

参照

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