1
研 究 論 文】 UDC :550.
34.
042 (524S ) 日本 建 築 学 会 構 造系 論 文 報 告 集 第 348号・
昭 和 60 年 2月高密度
震
度
調 査
に
も
と
つ
く
地 域 内
震
度
予
測
式
の
構 成
札幌市
を
例
として.
正 会 員 正 会 員 正 会 員岡
宮
太
田
川
田成 幸
*忠 芳
**裕
** *L
は じめに 地震時の地 盤の震 動 性 状とそ の地 域 内 分 布につ い て の 研究は サイス ミッ クマ イクロ ゾー
ニ ング関連の 中心 課 題 と して地 震 工 学 上 重 要な位 置 を占めてい る。
し たがっ て,
研究内容・
方 法も多岐に わ た っ てい るが,
要は地 盤の震 動特性分布を理 論 解 的に求める か, 実 験 解 的に探っ て い くか の い ずれ か である。
前 者を代 表 するもの と して,
Kanaii
) 等に よっ て開 発さ れ た,
地 盤を成 層 構造に モ デ )レ化し その地 震 波 増 幅 性 を 重 複 反 射 理 論に もとづ き計 算・
評 価し て いく方 法が あ り,
こ の方法 によ る実 施 例は 非 常に多い2 )−
4 )。 し か し なが ら,
こ の方 法で は 計 算に 用 い る資 料を整え る た めに多くの時 間・
労力 を 必要と す る ことt ま た地 盤の モ デル化に あ た り地 域の共 通 基 盤の設 定 が 難 しい な ど 不 確 定 要 素 も 多 く地 震 時 地 盤の震動性状 を 正確に算定しつ くせ ない 面も少なか らずある。一
方,.
実験 解的な,
し た がっ て よ り直 接 的な方 法は地 震 動 を記 録し 地域 間相互 比較を行う もの で最も理想 的であ る が, その た めに は地 震計の多点配 置が当該 地域に事前に行わ れて いな け れ ば な ら ないな ど,
や は り相 当の準備が前 提 と な る。
.
この論 文は, 実 験 解 的立 場か ら これら に替わ るより簡 便な,
しか し相 当の精 度をもつ 方 法を提 案しよ うと する もの である。
す なわ ち,
地 震時の地域 内の震 度の分 布 状 況 を アンケー
トによ る 高 密 度 調 査に よっ て詳し く求め,
これ を基 礎資 料と し て 地域 内 震 度変化の要因 分析を行 い,
地 盤 構 成との関 係 を 明らか にすべ く考 察 を進めて い る。
具 体 例と して,
1982年 浦 河 沖 地 震 (M7 .
1)発生に伴っ て行っ た札 幌市の震 度 調 査資料に も と づ き解析 を進め, これを地 域 内 震 度 予 測 式 として まと め;その適 用 拡 大の 可 能 性お よ び方 法の一
般 適用性につ い て検 討し た結果に ついて報 告す る。
2.
調 査の実 施 と震 度 分布図の作成*
北 海 道 大 学 助手 紳 北海 道 大学 大 学院 生 締 寧 北 海道 大 学 教授・
理博 〔昭和 59 年6月 4日原 稿 受理 日,
昭和 59 年 9月25日改 訂 原稿 受 理 日,
討 論 期限 昭和60年5月末 副 2.
1 調 査 方 法 気 象 庁 発 表に よ る浦河沖地震に関 する諸 元は表一
1の とおり で ある。 これに よ れば札 幌市は震 度IV
に見 舞わ れ た ことに な るが,
その後の調 査に よ り重 傷 者2 名 を含む 人 的 被 害17件, 全 壊 を 含む住家 被 害 23 件な ど 震度IV
程 度の地 震 動 強 さに しては被 害 が目立ち, ま た発 生 場所に 明 瞭な地 域 差が認め られ た。
こ の よ う な現 象は気 象 庁 発 表に よる単一
の震 度の み で は とうて い説明し き れ ない し,
その精 度からみ て も地 震 動 関 連 資 料 としての価 値 も 十分と は言え ない。 この点に鑑み,
市 内全 域の震 度 分 布 を 詳 し く 知 る た めの 高密 度ア ンケー
ト調査 を実 施し た。 用い た アン ケー
ト票は35個の質 問 項 目からな る多 枝 選 択 式で,
アン ケー
ト票1
枚か ら1
つ の震度が計算さ れ る。
あ る 小 地域の震 度は何 枚 かのア ンケー
トに よ る そ れ の平均 値で与え られ る。
詳細’
は文献5 吃参照さ れ たい 。 こ の方 式に よ れば回答 者が地驛
当 時に居た建 物種 別の違 いも 同時に補 正さ れ,
その地 域の震 度を有効数 字2
桁に 近い精度で推 定で きる こと が度 重な る実 施 経 験に よっ て 確め ら れ てい る5}−
13,。
信 頼 性の高い震度分 布 図 を作成 す るために は,
、
地震 後 で き るだ け早い時期に かつ相当程度の高密度調査を す る こと が必 要 条 件 となる。
実 際に は地 震発生1週 間後に札 幌 市 全 域に 10,
OOO枚の ア ンケー
ト票 を 配布し, 83% を 越え る回 収率を み た。
これ らの整 理 は市内 を一
辺 500m の正 方 区 画に分割しこれ を1
単位と し て行っ た がtl 区 画 当た り平 均 約ユ0枚の 回収で あっ た。
回答を得た区 画 表一
1 1982年浦河沖地震の諸 元 マグニチュー
ド7.
1 深さ 40km 倖置 42、
07°
N「 42.
6D°
E 震 度 V匚 浦 河 皿 釧 路、
室 蘭、
旭川、
函館、
羽幌、
森、
青 森、
八戸、
盛岡、
宮 古、一
関 V H 江差、
深 浦、
大 船 渡 y 札 幌、
倶知安、
広尾、
帯 広、
小樽、
岩 見沢、
苫小 牧、
むつ 1 紋 別、
留 萌、
根 室、
秋 田、
山 形、
酒田、
水 戸、
甲 府、
石巻、
熊 谷、
三 島一
11
一
石 狩 湾 N
一 一
11
参 芬 砂 1.
1駕
L
1κ
脚
癬
札幌駅E
三’
モ鱒
i
ヒ腎
」
藻岩 山
鬮
Il 1ρ
.
.
.
.
L幽
.
子
1圏
ギ察
郭 0 5Km ua 図一
1 ア ンケー
トの 回答分布 (躙 :回答を得た区画) 総 数は840
に達し面 積210km2 をカ バー
し てい る。
こ れ は札 幌市の居 住 地 域の全 面 積が246.
38km2 であること か ら,
その85
% 以 上に相 当し人口集 中市 街 地は ほ ぼ全 域を カ バー
し た と言え る。 図一
1に 500 m 区 画で表 示さ れ た地図上の回答分布を示す。 2.
2 詳細震度分布図 図一
2は回 収さ れ た全 資 料につ い て算 出 され た震 度の 頻度分布図で あ る。 これに よれ ば市 全 体の平 均の アン ケー
ト震 度は 3,
8
で,
気 象庁震度階に換 算零 するとIV
の 中 程 度と なり, 気象庁発表の震 度に一
致 する。
し か しこ の平 均 値 とい う単一
量で市の震度を代 表させ る に は余り 2000 回 答 枚 数 1GOO o ● に幅広い分布を持っ て い る。
こ の点に詳し く立 ち入っ て考 察 する の が本論の主 要な目 的である。
そこ で次の よ う な操作を行っ た。i
) 単 位 区 画 (500m ×500m )ご との 震度の平 均値の算出。
in
2
次 元 移 動平均 (区 画 中の有 効回 答 枚 数 を重み と する)の実 施。
以 下の解 析に は こ の値を区 画の代 表 値 として用いる。iij
) 等 震 度 線 図の作 成。 図一
3は 震度 階を4分 割 気象 庁震度皿 以下 (アンケー
ト震度3.
5
未満 ) 気 象庁震 度1y
−
(アンケー
ト震 度3.
5以 上,
4.
0
未 満) 気象 庁震 度IV
+ (アンケー
ト震度4.
O
以 上,
4.
5未 満 ) 気 象 庁 震 度V
以 上 (ア ンケー
ト震度4,
5 以 上) で表 示し た等震 度線図であ る。
市内の 震度 は一V
と幅 広く分布して お り,
その地 域 内変化は極めて明 瞭であ る。 す な わ ち市 南 西 部 山 側か ら 北 東 平 野 部へ 向かっ て震 度がm
か らV
へ と系統 的に移り 変わ っ て い る様子が良く判る。
ま た市を東西に横切 る 国 鉄 函 館 本 線 を境に して北 側で震 度が大きい こと も 目立っ 特 徴と なっ て い る。 図一
3に は被 害 分 布 資 料も重ね て示 し てあるが,
当 然の ことなが ら両 者の相関性は非 常に高 い。 以 下,
こ の ような震 度 分 布 を もた ら し た原因につ い て や や立 ち入っ た考 察 を進めて み る。
3.
地 域 内 露 度 分 布の解 析一
般に任 意 地 点で観 測され る震 度は, 震 源 (規 模,
地 12 3 4 5 アン ケー
ト震 度 6一
気 象 庁 震 度 階 図一
2 震 度の頻 度分布 (● :平均値 ) 寧 ア ンケー
ト震 度は小 数 点 以 下 を四捨五入 す ることによっ
て 気 象 庁 震 度に変 換で き る 形 に表 示さ れ ている。
図一
3 札 幌 市の震 度 分布 図 (● :人 的 被 害,
○ :構 造 物 被 害,
△ :地 盤 被 害 )一 12 一
震 波 射 出 角 等 )
,
伝 播 経 路 (距 離 幾 何 減 衰,
伝播媒 質の 粘 性 減 衰 特 性 等 ),
局 地 的 地 盤 (地 盤 増 幅 特 性,
地 形の 影 響 等 )に より特 徴 付 け られ,
ま たこれら種々 の要 因が 複 雑に関わ り合っ た結果と し て地 域 内 震 度分布が決まっ て く る。
もしこれ らの影 響 を分 離 する こと がで きる な ら ば理 学 的に はも ちろ んの こと.
工学 的に もた とえば,
将 来 地 震に対 する当 該地域の予想震 度 分 布 作 成 法 開 発へ と 発 展 すること が期 待さ れるな ど その意 義は非 常に大き い。 この よ う な観 点か ら,
今回得た震 度 分 布にっ い て解 析を試み る。3.
1 震 度 分 布の再 現 性 検 討 まず, この地 震の震源 と札 幌市の位 置 関係につ い て考 えてみ る。
札幌 市の広が り (約30km
)に比 し震 央 距 離 (約150km
)が か な り大きい こ とか ら第一
次 近似的に は震 源・
伝 播 経 路に よ る影 響は市 内 全 域で ほ ぼ一
様 とみ な して さ しつ か え な か ろう。
そ う だ とすれ ば,
当 市の震 度 分 布の パ ター
ンを特 徴 付けた のは第三 の要 因,
すな わ ち局地的地 盤効 果が考え ら れ る。も し そうで ある な ら ば,
過 去の地 震 (震 央 距 離》市の広が り を充た す な ら ば)に おい て も 同様の分布が期待 さ れ る 筈であ る。
図一
4は ユ968 年十 勝沖地 震 (M7 .
9
)の 直後に謂 査さ れ た当 市の震 度 分 布 図叫 で あ る。
同図 に は本地震に よ る 震 度 分 布 も重ね て示し てある。
両分 布に共 通 して市 南 西 部か ら北 東 部に向かっ て震 度の増 加が見られ,
地 震 動 強 さ の 地域 内変 化に再 現 性が確 認さ れ る。 両 者 間のわずか な食い違い は,
1968 年の調 査が今回に比べ て か な り粗 い もの に留まっ て い たこと が一
因 と なっ て い る であ ろ う。 両 地 震が規 模・
発生場 所 共に異な る ところか ら,
震 度の地 域 内変 化を与える主 要 因と して局 地 的 地 盤 条 件 を 図一
4 震度分布の 比較 震 度 4.
5 40 35 54321 最 大 増 幅 率 40m 04080120 7 0〃
図一
5 震 度 と最 大 増 幅 率・
地質 構 造との比較 考え るのが最も適当と推察でき る。 札 幌市の地震時 地 盤の 増 幅 性につ い て は,
限られた断 面につ い て で はあ る が,S
波の重複反 射 理 論に もとづ き 求め ら れ てい る15〕。
こ れ は地 盤 を成 層構造に モ デル化し,
市 内のボー
リング資 料 (深 さ,
地 質年代,
地質区分)か らS波 速 度等を推 定し て増幅率の最 大 値を計 算し たもの で あ る。
図一5
に同断 面に沿っ た最 大 増 幅 率・
地 質構 造 お よび浦 河 沖地 震にお け る震度を示す。 これ から,
沖積 層厚の薄いところでは今回得た震 度が最 大 増 幅 率 (1秒 以下の短周期)変化の様子と 良い相 関を持っ て い る のが 判る。
震 度の地 域 内 変 化が ご く表層の地盤条件によっ て 特 徴 付けら れ た こ と が強く示唆され てお り,
先の推 論を 支持し てい る。.
3.
2 震 央 距 離の影 響一
13
一
5
.
55.
o 4.
5 度 4.
035 30 130 140 150 160 震 央距離 (Km ) 図一
6 霞 度と距 離 減 衰 (○ :軟 弱な地 盤,
;や や軟弱 な 地 盤,
●:硬 質な地 盤,
減 衰 曲線は Kawasumii6}によ る) 震 度の地 域 内 変 化と表層の地 盤 条 件 との関 係につ い て 立ち入 っ た議 論に入る前に, 震 度の距離減衰につ いて若 干 触れ て お く。
図一
6は今回の資 料にもと づ き震 央距離と 震度との関 係を プロ ッ ト し た もの である。
同 図に は Kawasumi ]6)に よ る震度 減 衰式1
「
=
2M−
4.
60110g △−
0.
00166△−
0.
32・
・
…
(1 ) こ こ に
1[
:気 象 庁 震 度M
:気 象 庁マ グニチュー
ドA
:震 央 距 離 [km
] につ い て M=
7.
1と し た場 合の 曲 線も示 して あ る。
こ の地 震の 場 合 札 幌 市は震 央 距 離A
が130〜160
km
の範 囲に あり,
(1) 式に よ れ ば130km
地 点で震度 3.
9,
160km
地 点で震 度 3.
5と な り,
距離の違い に よ る 震 度 差は0.
4
程 度と か な り小さ な値が推定さ れ る にもか か わ らず,
距離 減衰の傾 向が同 図より明ら かに読み取れる。 気 象 庁によ る 粗い震 度 表 示で はこ の 差 は 到 底表 現 し得 ず,
今 回の よ うな高 密 度・
高 精 度の震度調 査で初めて こ の よ う な微 妙な震 度 差の 評 価 が 可 能 と なっ て く る。
震 央 距 離の違いが震 度に及ぼ す影 響 を除くため 餌=
1,一
∬f
・
一 …・
(2) な る震 度 差δ1‘を 導 入 する。 こ こ にL
はア ンケー
トに よる震 度, 1}は (1) 式か ら決まる 震 度で ある。
iは 500m 区 画 番 号 を 示 す。
周 知の よ うに,
(1
) 式は わが国の平均 的 地 盤に おけ る減 衰 曲線 を与え るもの と さ れ て い ること か ら,
顳 の正負 符 号が平 均 的 揺れ や すさと比 較し た時のその地 盤の揺れ やすさ・
にく さ を,
ま た絶対 値が その程■
・ ル ・層驤齧
泥 炭層軅
砂 粘土 混 じ懸
砂混 ・ …驪
・ 順 ・ 物 層匳 ヨ
・ 状 堆 … 物 層團
畑 岩 層 度 を示すもの と考え ら れ る。
以下 この量に注目し て表層 地 盤 条件との関 係 を考察す る。
局 地 地 盤 効 果に関 与す るで あ ろ う土質工学的資料とし て は地 質 区分,
地 質 年 代区 分, 地 下 水 位,N
値,
土質 密 度,
層 厚 等があるが, こ こでは と くに年代を勘案し た 地 質 区 分と層 厚 を考えて み る。 資 料が市 内全 域にわ たっ て入手 し や す い こ ともさり な がら,
こ れ らが 空 隙 率(void ratio )
,
粒 子 間の 結 合 程 度 (cementation )等, 土が もつ 重 要 物理 量 を反 映し た総 合 特 性 量である鹽ηこと に もよっ て い る
。
3.
3 表層地 質の影 響 図一
6では各単位区 画で得ら れ た震 度を表 層地質との 関 係か ら軟弱な地 盤 (泥炭層,
シル ト層 等)および硬 質 な 地盤 (扇 状 堆i積 層,
火 山 岩層 等 )とに分 類し て プロ ッ ト し て あ る。
両 者 間で揺れの違い は明瞭である。 そこで この点 をさ ら に詳し く見る た め に,
ま ず市 内の表 層 地 盤 を表一
2のよ うに細 分 し,
その空間 分 布 図を作 成し た (図 表一
2 表層地 質の区分 時 代 地 質 区 分 名 構 成 物 現 河 川 堆 積 物 層 砂・
礫・
粘 土 沖 泥炭 層 泥 炭 土 第 シ ル ト層 シル ト 積 砂 粘土混 じ りシ ル ト層 シル ト・
砂・
粘土 四 世 砂 混 じ りシ ル ト層 シル ト・
砂 紀 扇 状 堆 積 物 層 砂・
礫・
粘土・
シル ト 洪 火 山噴 出 物 層 火山 灰 質 粘 土 樌 世 岩 錐 礫・
砂・
粘土 新 第三 紀 火 山岩 層 安山岩 図一
7 表層 地 質 分 布 図 (A−
B断 面につ い て は 「3.
4 軟 弱 層厚の影 響 」の項 を 参 照 )一
14
一
振
コ
凱
郭
_
4
蠶
1
∵
●
層1
扇 難 勵 層・
1
火山岩 層 .岩 錐
,
J−
: ,−
ul
火 山噴出物 層一
一
1.
5−
1.
0−
O.
5 0 0.
5 1.
0 1.
5 震 度 差 (δ1) 図一
8 表 層 地 質と震 度 差と の関 係一
7)]8)−
m〕。
札 幌 市は沖 積 層が厚く堆 積 した石 狩 平 野の南 部に位置 し ており,
市 街 地は石 狩 川 支 流の豊 平 川扇状地か ら北 部 の低 湿 地へ と広がっ て い る。
表 層 地 質分布 (図一7
)と 震 度 分 布 (図一
3)との相 関 性は高い。
す な わ ち,
揺れ の大き かっ た市 北 部の地 域は泥 炭 層あるいは シル ト層の 発達 し た非 常に軟 弱な地 盤と なっ て い る。 と くに泥 炭 層 地 域の広が り は 震度V
の 分布に極めて良 く一
致 し て い る。
また震 度1V
+ を示す市 南 東 部は洪 積 世の一
部 粘 土 化 が進んだ支 笏 火 山群に よ る火 山灰 等の噴 出 物 堆 積層地 盤 か ら成っ て おりや や軟 弱な地 盤で覆わ れて い る。 これ ら の地 区で は被 害 も 目立っ て いる。一
方,
揺れの小さ かっ た市 中央 部は豊平 川・
琴 似 川の いわ ゆる扇 状 堆 積 物 層地 帯であり,
砂 礫 層の比 較 的 締まっ た地 盤か ら なっ て い る。 同 様に市 南 西 部は新 第三紀の火 山岩の露 頭をもつ硬 質な 地 盤である。
揺れ やすい地 盤と揺れ に く い地 盤と が国 鉄 函 館 本 線 を 境に して分布して いるよ うに みえ る。
震 度 差 δ1の頻 度 分 布 を各 地 質 区分ごとに作 成 し た結 果を 図一
8に示す。 黒丸は そ れ ぞ れ の平 均 値である。
粒 径の小さい 岩質の もの ほ ど,
ま た地 質 年 代の新しい もの ほ ど揺れ や すいとい うい ま まで によ く知ら れた事 実が,
こ こ でも 明 瞭に読み 取 れ る。
す な わ ち,
表 層 地質が震度 分 布 を特 徴 付ける重 要な地 盤 特 性 要因で あ ること が改め て確 認さ れ た と言え よ う。 同 時に,
わ れ わ れ の ア ンケー
トに よ る 震度 調査 が この ように細か な地 質 区分が震 度に 及ぼ す影 響を十 分に識 別で き るほどの分 解 能 を有し てい るこ との一
つ の証拠 と も なっ て い る。
3,
4 軟 弱 層 厚の影 響 図一9
は市 北部に広く分 布 する軟 弱 地 盤である砂 混じ り シル ト層につ い て,
図一
7の A−
B 断 面に沿っ て その 層厚と震 度 差 OIにつ い て み た もの である。
この図か ら,
同一
表 層 地 質で も 層厚の増 加と共に揺れ や す く なっ て い ること が読み取れ, 表 層地 盤 の軟 弱 層 厚 も また震 度 分 布 決 定 要 因の一
っ と なっ て いる と思わ れ る。
市 内の軟 弱 層 厚は標 準 貫入試 験によ るN 値 資 料ZZ )よ り求め た。
結果 的に は, 地 表か らN
値が ユ5
に達 するまで の深さを軟弱 層 厚と仮 定す る と震度にお ける層 厚の影 響が最 も う ま く 表 現で き るよ うで あ る。図
一
10は全 市につ い て こ の意 味で の層 厚 を調べ,
震 度 差 矼 との関 係 をみ た もの である。
層 厚 10m 程度ま で は厚さ と共に漸 次揺れ も大き く なっ て い るもの の, そ れ以上で は層 厚に よる影 響は ほ と ん ど み ら れ ないe すな わ ち,
震 度が観 測 点 直 下の ご く表層の地 盤 に強い影 響を 受 けてい ること を示し て い る。
こ の こ と は先に短 周 期 (1 秒以下)の地 盤増 幅 率と観 測された震 度と が相 関性を も つ と述べ たこと と調 和 的で あ る。
一
a4 靂一
〇,
2 度 ロ 差 a2 (e匸)a4 A B鱗
。二
;
° 軟 弱髀 。影 響 (砂混 、 , シ。 ,層 、第,図A.
B 断 面 に沿って) 1.
5 1,
0 震 度 Q5 差 (δ1) Q一
〔).
5一
1.
0一
1,
5O
電
9
●
O
●
●3曾
L
;°
一
●
●
9 ● ● o.
●°
o
.
800
・
の
・
●
●
●●
.
・
9°
・
■
・
一
〇
●
● ● ●●
,
●
.
,
.
・
幽
・
●
●
●.
/●
■
●
●
●
・
● 9 ● ●●
■
■
●
り
9・
/●
●
●
■
● ●,
■
●
!
….
.
。 沸8
. ● ● 8 ● ● ●●
・
・
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●●
.
0 10 20 30 軟 弱 層 厚(m > 図一
10 軟弱 層厚と 震度差 と の 関 係 一 一 40 4.
震 度 予 測 式 4.
1 予測 式の構成 以 上の結 果を踏ま え札 幌 市 内の任 意 地 点に おける震 度一
15
一
実 測 震 度 5 4 3 3 4 5 予 測 震 度 図
一
11 予 想 震 度と実 測値 との相 関 予測 式 導 出を試み る。
今回の調査に よ る全デー
タを使い,
説 明 変 数と して震 源要素 (地 震 規 模・
震 央 距 離 )・
表 層 地質・
軟弱 層厚を採 用し, アンケー
ト震 度J ,を 目 的 変 数と す る重 回 帰 分 析 を実 行 することに よ り次 式が得られ る。
1
,=
f
(M ,
A‘)十 0.
256 シル ト層0.
182
泥炭層 O.
050 火 山 噴 出 物 層 0.
040
砂混 じ り シル ト層一
〇,
051
砂粘土 混じ り シ ル ト層一
〇.
156 現 河 川 堆 積 物層一
〇,
274 扇 状 堆 積 物 層一
〇.
396 火 山 岩 層一
〇.
406 岩 錐 もの で はあるが,
市 内全 域で地質分布 (図一
7)等 が 判っ てい るの で,
今 回の調 査 範 囲 外で あ る非住居地 域へ の (3)式の適 用 拡 大は十 分 可能 と 思 われ る。 予測 式 適 用 拡 大の必 要 性は以 下の事 実に よっ てい る。
札 幌 市は周知の よ うにわずか 1世紀 余 りに し て人口 150万 人を越え る急 成 長を みせ た都市で ある。
必然, 地 震 防 災の観 点か ら震 度予測の対 象と な る市 街 地 域 も爆 発 的 拡 大 を み せて き た。
この経 年 変 化 を図一
1223}に示す。
こ の図か ら, 地 盤の安 定し た扇 状 堆 積 物 層地帯に始まっ た市街地は次 第に南 西 方 向に延び,
や がて山裾まで いき 着 く と その後は南 東 部の火 山 噴 出 物 堆 積 層 地 帯お よび北 部の泥炭・
シル ト地 帯へ と広がっ て き て い る様 子が良く 判る。 す な わ ち,
札 幌市は時 と共に地 盤 条 件の悪い地 域,
いわ ゆ る 地 震に伴 う 被 災 危 険性の高い地 域へ と広が っ て きてい る榊 。 し か も その進行速 度は近年とみ に早まっ て いる。
ま た 図一12
に は,
過 去に札 幌 市 周 辺で発 生し た 地 震Z・
’) を 黒丸で示して ある。
こ の 中で最 大 規 模の もの は 1834 矩 石狩 湾地震 (M6 .
8)で あ る。
こ れ ら の地震 は規 模 的に は中 程 度であるが,
注 意 すべ きこ と はいわ ば 都 市 直 下 型に近い 性 格 を 持っ て い ることであ る。 これ ら の地 震が再び発 生す れば,
札幌市は と くに北 部 地 域に お い て震 度V
〜
W
の 大き な揺れに見 舞わ れ るであ ろ う。
札 幌 市ではこ の ように市街地が軟弱 地 盤 地帯へ と急 速 表層地 質 十 〇.
040H
‘…・
・
・
……・
…・
………・
・
…・
…
(3 } こ こ にf
〔M,
A‘)は地 震 規模・
震 央 位 置 と 気 象 庁 震 度との既 知関係 式 で あっ て,
当 面 (1)式を使 うこ と に す る。
H
‘は軟弱層 厚 (m )で あ る が,
前述の議 論か ら層 厚が 10m 以 上あ る場合超 過 分 を 無視す ることにする。
右 辺 後 半 部1
[表層地 質] 十[軟 弱 層厚]i
の項がい わ ゆる地 盤 特 性 評 価 項で, 地 震の受け 皿 (receiptor )と して み た地 域 特 性 の一
っ で あ る。
図一
1ユ は (3)式に よる予 想 震 度と実 測 値と を比 較 し た もの である。
重 相 関 係 数 は0.
83
に達して お り,
予測 実 験 式と して か な り の実 用 性が期待で き よ う。
な お,
独 立 変 量とし て 表 層 地 質と軟 弱 層 厚の レンジを比 較す る と, それ ぞ れ0.6
,0.
4と な り震 度へ の影 響は ほぼ同 程 度 の寄 与 となっ てい ること が判る。
4.
2 考 察 震 度 予 測 式 (3)は図一
ユか ら も判る よ う に, 現在 住 居 地に該 当する地域の資料よ り導 出された 183螢
籌
認
■
〜
大 正5年 (1916) ド 触夛 ぐ
7
ヨ
髑
〜
昭 和 10年鬮
〜
昭 和35年匡ヨ
〜
昭 和56 年 (1981) (1935> (1960) 図一
12 市 街 地の広 が り と 周 辺の地 震環 境 * * こ の よ う な傾 向は 札 幌 市 に 限 らず,
わ が 国の平 野 部に位 置す る都 市で は かなり一
般 的にみ ら れ る現象で も あ る。
一
16
一
に広 がっ て きてお り
,
また こ の発 展 方 向が 懸念さ れ る地 震 活 動 域に近 付くことで もある ことか ら,
現 在は非 住 居 地 区で はあるが将 来 宅 地 化 も予 想され る こ れ らの地 域 を も含め た地 震 予 測が, 地 域 地 震 防 災 計 画の基 礎資料とし て と くに必 要とな っ て くる。 こ の意 味で, 札 幌 市 全 域へ の適 用 拡 大が可 能な (3)式は震 度予測 式と し て十 分に 満 足で き る ものと言え よう。
5.
おわ りに 1982年 浦 河 沖 地 震に際 して 札 幌 市で行っ た 震度の高 密 度 調 査 資 料 をも とに,
局地 的 地 盤 条 件が 震度に及 ぼ す 影 響につ い て定 量 評 価 を試み た。
その結 果, アンケー
ト 調 査に もと つ く本 方 法によ り識 別され た分 布 特 性が,
表 層 地 質 区 分・
軟 弱 層 厚の土質工学 的 因子 を導入 する こ と によっ て相 当 程 度 説 明で きる ことが判っ た、
また, こ の 結 果 を もとに実 用 性の高い震 度 予 測・
評 価 式 を構 成する こ とがで き た。
こ の こ と は本 方 法が さ らに一
般に他 都 市 に お い て も十 分 適 用 可 能なこと を 強く示 唆してい る。
最 後に,
こ の調 査 研 究の遂 行にあた り多 くの方々 の御 協 力 を得た。
ア ンケー
ト用 紙の配 布・
回収に は札 幌 市 役 所 市 民 防 災 課・
各 区役 所 市民課の方々 に大変な お世話に なっ た。
アン ケー
ト に は8,
000
人を越え る札 幌 市民の 方々の協 力 を頂い た。
北 海 道 大 学 理 学 部 地 質 学 鉱 物 学 科 の加 藤 誠 教 授に は札 幌 市の地 質 資 料入手に当た り有 益な 助 言 を頂い た。 当研 究 室の鏡 味 洋 史,
後 藤 典 俊 (現 室 蘭 工業 大 学 )の両 氏には数 多くの議 論を して頂いた。 これ ら関 係 機 関・
御 尽 力く ださっ た方々 に厚く お礼申しあ げ る次 第であ る。 アンケー
ト資料の解 析は北 海 道 大 学 大 型 計 算 機セ ン ター
(課題番 号 1001JY
OI56,
1001 NS 0376,
1001 FCO267
)を利 用して行っ た。 参考 文 献1) Kanai
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51−
70,
1981一
17
− 一
SYNOPSIS
UDC:550.34.042(524S)
QUESTgONNAIRE
SURVEY
FOR
DESCRIBING
MICROZONING
CHARACTERISTICS
IN
TERMS
OF
SEISMIC
INTENSITY
-A
case studyin
Sapporo,
bySHIGEYUKI OKADA, TADAYOSH[ MIYAKAWA, and Dr.
YUTAKA OHTA, Departmentof ArchltecturalEngineering,
Hokkaido Univers{ty, Members of A.I.
J.
This paper proposes a simple
but
precisemethod to estimate thelocal
differences
of seismic intensityinan area of moderate-to-large cityby
anintroduction
of the questionnairetechnique, a case study of which wasper-formed inSapporo city.
Immediately
afteralarge
earthquake which occured offUrakawa,
Hokkaido,
onMarch
21,1982,a se'Lsmicin-tens.itysurvey
by
delivering
10,OOO questionnairesheets throughoutSapporo
city was conducted and ahigh-precise
isoseismal
map wasderived.
By comparing with thegeological
data inthe area itwasfound
thattheobtained
intensities
are well correlated with surface soil typesand arein
a goodfunctional
relation with soillayer
thickness.Based upon this result an empirical equation
for
estimating seismic intensityat any pointinSapporo city was alsoderived.
It
isk-f(M,
wheref{M
M:A:
Hl
A)+O.
256
O.182 O.050 O.040-O. 051-O. 156-O. 274-O. 396-O.406
siltpeatvolcanic ash sandy siltsandy and clayey silt river deposit
gravelandesitetalus
.A}=2 M
-4.
601logA-O.
OO166A-O.magnitude by
JMA
epicentfal
distance
(km)
thickness of surface soil
<m)