• 検索結果がありません。

Sepsis-3

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Sepsis-3"

Copied!
87
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Sepsis-3

慈恵

ICU勉強会

2016年5月17日

(2)
(3)

2016年2月

Sepsisの定義・診断基準が大きく変わった

45回米国集中治療医学会 で発表され 同時にJAMAに publishされた

Sepsisの新定義・診断基準が

(4)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(5)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(6)

Sepsisの歴史

• 語源は古代ギリシャ語で「腐敗」を意味するseptikosからなり 概念自体はヒポクラテスの時代から存在していた • 近代では1914年にSchottmüllerが「細菌の血流感染による 侵襲」をsepticemiaと定義 • 以降sepsis, septicemia, toxemia, bacteremiaなどの用語が 混同され使用されてきた The problem of sepsis. Internist (Berl) 1969; 10: 92-101

(7)

Sepsisの歴史

1989年にBoneらがsepsis syndromeという概念を提唱1991年に米国の専門家らが「感染による全身性の炎症反応 症候群(Systemic Inflammatory Response Syndrome ; SIRS)」 と定義

SIRSの時代へ

Crit Care Med 1989; 17: 389-93 Crit Care Med 1992; 20: 864-74

(8)

1991年;Sepsis-1

【Sepsisの定義】感染によって発症したSIRS

【Sepsisの診断基準】SIRSを2項目以上満たすもの

(9)

SIRS

Systemic Inflammatory Response Syndrome 以上4項目中2項目以上満たせばSIRSと診断

呼吸

20/min or PaCO

2

32mmHg

脈拍

90/min

体温

36℃ or >38℃

白血球

12000/mm

3

or <4000/mm

3

or 幼若白血球>10%

(10)

Sepsis-1

【Severe Sepsisの定義】 Sepsis + 【Septic Shockの定義】 十分な輸液負荷にも関わらず持続する 低血圧を伴うSevere Sepsis • 臓器障害 • 臓器灌流障害 乳酸アシドーシス:Lactate>2mmol/L 乏尿:1時間以上の尿量低下(<0.5mL/kg/H) 意識混濁 • 低血圧(収縮期血圧<90mmHgまたは通常 血圧から40mmHg以上の低下) Crit Care Med 1992; 20: 864-74 この中から1項目以上を含むもの

(11)

Sepsis-1の定義

SIRS

Sepsis

Severe

Sepsis

Septic

Shock

SIRS + 感染症 Sepsis + 臓器障害 Severe Sepsis + 低血圧 感染症 Sepsis Severe Sepsis Septic Shock

(12)

1997年;SIRSへの不満

Dear SIRS, I'm sorry to say that I don't like you

DEAR SIRS, YOU'RE TOO SENSITIVEDEAR SIRS, YOU DON‘T HELP US UNDERSTAND THE PATHOPHYSIOLOGYDEAR SIRS, YOU'RE NOT HELPING OUR CLINICAL TRIALSDEAR SIRS, YOU'RE NOT HELPING US IN OUR PRACTICE Crit Care Med. 1997 Feb;25(2):372-4. Vincent, Jean-Louis MD, PhD, FCCM

SIRS + ??

(13)

2001年;Sepsis-2

• 欧米のより多様な専門家によってSepsisの定義が改定された • SIRSのみを診断基準として使用することをやめてSepsisの 定義を「感染に起因する全身症状を伴った症候」に変更 • 診断基準にSIRSの項目以外に多数の項目を採用 Crit Care Med 2003; 31: 1250-6

(14)

Sepsis-2の定義

SIRS

Sepsis

Severe

Sepsis

Septic

Shock

SIRS + 感染に起因 する全身症候 Sepsis + 臓器障害 Severe Sepsis + 低血圧 変更点

(15)

Sepsis-2の診断基準

• 項目が多すぎる(全24項目) • cut-off値の根拠が不明 いくつ満たせば 良いかは 規定されず

(16)

感度・特異度

• Sepsis-1とSepsis-2で大きく変わらず

Lancet. 2013 Mar 2; 381(9868):774-5. Sepsis-2

(17)

Sepsis-1 & 2

• あくまでもSepsisの病態は炎症反応であるということが強調

されている

• 実際の臨床現場や研究ではより簡便で客観的にSepsisを

拾いあげられるSepsis-1の定義・診断基準が用いられてきた

• Surviving Sepsis Campaign(SSC)2012でもこの流れを踏襲

Crit Care Med. 2012 Jun;40(6):1700-6.

結局

SIRS(Sepsis-1)が主流

Crit Care Med. 2013 Feb;41(2):580-637.

(18)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(19)

SIRSの限界

• 近年の病理生物学的研究の進歩(臓器機能、形態学、細胞 生物学、生化学、免疫学、循環動態変化、CARSのような免疫 抑制と二次感染)にも関わらず臓器障害ではなく炎症を重視 しすぎておりSepsisの病態を一部しか反映していない • 感度87.9%で8人に1人のSIRS陰性のSevere Sepsis患者を 見 落としてしまう • 入院患者の半数は病棟での経過中に一度はSIRSが2項目 以上になっており軽度な侵襲下の患者も拾い上げてしまう N Engl J Med. 2015 Apr 23;372(17):1629-38. Lancet 2013; 381: 774–75 2015年7月7日 ICU勉強会スライドより引用

(20)

異なる定義・診断基準による弊害

4つの異なる診断基準・国際疾患分類 (ICD)を用いたことで死亡率が異なった Crit Care Med 2013; 41: 1167-1174 • 国や地域によって定義や診断基準、対象、調査方法などが 統一されていないため死亡率が異なっている

(21)

• Sepsisの発症率は全体的に増加傾向、死亡率は低下傾向に ある • 多くの合併症を抱えた高齢者の増加や医療者における疾患 の認識が高まったことで発症報告は増加傾向にある J Am Geriatr Soc. 2012;60(6):1070-1077. Crit Care Med. 2013;41(5):1167-1174.

発症率・死亡率

N Engl J Med. 2003 Apr 17;348(16):1546-54. Crit Care Med 2014; 42: 625–31 N Engl J Med 2014; 370: 1673–76

(22)

• 一部の国・地域によっては医療費償還制度の関係でアップ コーディングを行いSepsisと過剰診断している傾向がある • Sepsisは主要な死亡原因であり重症疾患であるという世界的 なコンセンサスはあるが前述のような様々な理由によって 実際の発症率・死亡率は不明確である Lancet Respir Med. 2014;2(5):380-386.

Am J Respir Crit Care Med. 2016 Feb 1;193(3):259-72.

発症率・死亡率

(23)

疫学の変遷

• 2011年の米国の病院コストの5.2%にあたる200億USドルが かかっている • Sepsisからの生存者の中には莫大な医療を必要とし社会的 な影響につながる長期的な身体的・精神的・認知機能障害 が起こるというような認識も高まっている

Nationalinpatient hospital costs: the most expensive conditions by payer, 2011. Healthcare Cost and Utilization Project (HCUP) Statistical Briefs. August 2013.

(24)

Sepsis?Severe Sepsis?

SepsisとSevere Sepsisという言葉が混同され臨床現場・学術 論文共にSepsis = “Severe Sepsis”の意味で使用されることが 多い • Severe Sepsisの死亡率は約30%と高いにも関わらず最近の 様々な治療介入のRCTを行っても有意差がないということが 多くなっており、このように軽症例を含むことで死亡率は低下 しているように見えてしまい臨床研究でも有意差が出ないの では? • より専門的なマネジメントを必要とするSevere Sepsisを定義の 対象とすべきであり「臓器障害のないSepsis」をSepsisと呼ぶ 必要はないのではないか? Lancet. 2013 Mar 2;381(9868):774-5.

(25)

本当の

Septic Shockとは

• 「十分な輸液負荷にも関わらず持続する低血圧を伴う Sepsis」 と定義されてきたが細胞・代謝の異常を伴うSeptic Shockの病態を正確に反映するのに血圧のみで定義して 良いのか? • 血管作動薬の有無や収縮期血圧のcut-off値が規定されて おらず臨床研究において微妙に異なる定義が用いられて きたために研究によって発症率や死亡率が異なってしまって いたのではないか? JAMA. 2016 Feb 23;315(8):775-87.

(26)

これらの問題を踏まえて

• 2014年1月-, 18か月間

• European Society of Intensive Care Medicine (ESICM) & Society of Intensive Care Medicine(SCCM)

• 集中治療・感染症・呼吸器の専門家19人からなる

タスクフォースを設置

(27)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(28)

Sepsis-3 ; 2016年

Sepsisの定義・診断基準の15年ぶりの改定

JAMA. 2016 Feb 23;315(8):801-10.

従来の

SIRSは姿を消し

臓器障害

を重視し

(29)

Sepsis-3の定義

Sepsis

Septic

Shock

感染症 + 臓器障害 感染症 Sepsis Septic Shock ex.Sepsis

(30)

定義の変化

• Severe Sepsisが消えてSepsisに 感染症 Sepsis Severe Sepsis Septic Shock 感染症 Sepsis Septic Shock ex.Sepsis

Sepsis-1&2

Sepsis-3

(31)

Sepsisの定義・診断基準

【定義】

“Life-threatening organ dysfunction caused by a

dysregulated host response to infection”

生命を脅かす

臓器障害

で感染に対する

宿

主生体反応の調節不全

【診断基準】

“Organ dysfunction can be identified as an acute

change in total SOFA score 2 points consequent to the

infection”

感染が疑われ

SOFA scoreが2点以上増加したもの

NEW

⇒ 院内死亡率

10%以上

*基準値:合併症(-):0点から

(32)

SOFA score

0 1 2 3 4 呼吸 PaO2/FiO2400400300200 人工呼吸 ≦100 人工呼吸 凝固 Platelets (×1000/μL) >1501501005020 肝臓 ビリルビン (mg/dL) <1.2 1.2-1.9 2.0-5.9 6.0-11.912.0 心血管系 低血圧 低血圧なし MAP <70mmHg ≦DOA or DOB5μg/kg/min DOA>5 or Ad≦0.1 or Nad≦0.1 DOA>15 or Ad>0.1 or Nad>0.1 中枢神経系 GCS 15 13-14 10-12 6-9 <6 腎臓 クレアチニン <1.2 1.2-1.9 2.0-3.4 3.5-4.9 or500mL/day5.0 or200mL/day for

ICU

Intensive Care Med. 1996;22(7):707-710.

(33)

Septic Shockの定義

“Subset of sepsis in which underlying circulatory and

cellular/metabolic abnormalities are profound enough

to substantially increase mortality”

Sepsisのサブセットであり実質的に死亡率

上昇させる重度の循環・

細胞・代謝

異常

を呈するもの

NEW

(34)

Septic Shockの診断基準

“Sepsis with persisting hypotension requiring

vasopressors to maintain MAP 65mmHg and having a

serum lactate level>2 mmol/L (18mg/dL) despite

adequate volume resuscitation ”

十分な輸液負荷にも関わらず

①平均動脈圧

65mmHg以上を維持するために

②血管作動薬を必要とし、かつ

③血清乳酸値が

2mmol/Lを超えるもの

NEW

(35)

Sepsisを

疑う

ためのスコア

点数

収縮期血圧≦

100mmHg

1

呼吸数≧

22/min

1

意識の変容

1

quick SOFA(qSOFA)

NEW

for

ICU外

一般病棟,救急外来,急性期病院以外の場所

(36)

Sepsis-3アルゴリズム

qSOFA

SOFA

(37)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(38)

SOFA・qSOFAの根拠

Sepsisのリスクを有する感染症患者を同定するための

診断基準を検証した論文

(39)

Methods

【Design】後向き大規模観察研究 【対象】抗生剤投与 + 各種培養採取、18歳以上 1. Derivation:ペンシルバニア州南西部の12施設, 約130万人 2. Validation:上記 + 米と独の4つのcohort, 約360万人 【Primary outcome】院内死亡率 【Secondary outcome】院内死亡率 or ICU滞在≥3日 【評価に用いた診断基準】SIRS, SOFA, mLODS, qSOFA 【評価方法】院内死亡予測妥当性、院内死亡率の比

(40)

qSOFA

• ベッドサイドですぐに、簡単に行えることを目的として作られ た新しいSepsisの診断ツール • これまでの診断基準の項目を用いて院内死亡率についての 多重ロジスティック回帰分析を行った • その結果、ICU外の感染症が疑われる患者において 「GCS<13」 「収縮期血圧≦100 mmHg」 「呼吸数≧22/min」 のうち2点以上を満たす場合にSOFAより優れた予測死亡率を 示した(AUROC =0.81 ; 95% CI 0.80―0.82) • よりシンプルにGCS<15として感度解析を行っても同様の 結果であったため最終的に 「意識変容」 「収縮期血圧≦100 mmHg」 「呼吸数≧22/min」

(41)

Results

• 177施設, 2008 – 2013年, 4,885,558人

• 入室経路(外来or救急or病棟)、国(米or独)、感染場所(院内or市中)が Primary cohort, Derivation cohort

(42)

4つの診断基準候補

(43)

ICU患者の各診断基準における2点以上の割合

• Sepsis-1,-2のSIRSのcut-off値 • 一般病院において死亡率10% 以上となるSOFA どれも2点以上が多く占めていた

SIRS

SOFA

LODS

84%

88%

91%

UPMC validation cohort

(44)

SIRS

LODS

35%

32%

33%

ICU外患者の各診断基準における2点以上の割合

17%

qSOFAでは2点以上の割合が減る → 軽症例が相対的に減少 UPMC validation cohort

(45)

SOFA・LODSが適している

LODSはやや複雑

SOFAが最適

ICUの院内死亡予測妥当性

(46)

ICU外の院内死亡予測妥当性

AUROC

qSOFA・LODSが適している

qSOFAが最適

(47)

院内死亡率の比

SIRS ≧2 vs <2 SOFA≧2 vs <2 SIRS ≧2 vs <2 qSOFA≧2 vs <2

1 - 2倍

3 - 11倍

3 - 14倍

2 - 7倍

ICU ICU外 UPMC validation cohort

(48)

qSOFA + 乳酸値

• qSOFA1点 + 乳酸値≧2mmol/L → qSOFA2点に近い値をとる • 乳酸値測定の重要性は今後の • qSOFAに乳酸値≧2mmol/Lを追加 (4点満点) 院内死亡予測妥当性は変わらない KPNC

(49)

まとめ

SOFA

for

ICU

for

ICU外

qSOFA

(50)

Discussion & Limitation

• 感染が既に疑われ診断された患者を対象にしたため感染症 の診断方法が不明確である • 乳酸値とqSOFAの関係が明らかではなく今後の研究が必要 • あくまでqSOFAはICU外で有用でありICUでは有用ではないEHRsによってスクリーニングやフォローは容易に • スコアリングを行う最適な測定時間や測定間隔が不明 • 臓器障害が慢性なのか急性なのかを評価していない • 感度特異度を評価した精度解析ではない • 今回のアウトカム以外での評価も必要 • 感染のどのタイミングで臓器障害が起こるかわからないため 観察期間を変えたり、低所得国で行うなど他のコホートでの

(51)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(52)

Septic Shockの根拠

Septic Shockの新しい定義・診断基準の根拠となる

論文

JAMA. 2016 Feb 23;315(8):775-87.

1) 死亡率に関する観察研究のSystematic Review & Meta-analysis 2) Delphi法(≒専門家による話合い)を用いた3度の合意形成

(53)

1. Systematic Review

& Meta-analysis

除外: 特殊な病原体や 患者群・疾患など を含むRCT,前後介 入研究 • 1992年1月1日 - 2015年12月25日 の間の観察研究のみ • 非介入研究 • 粗死亡率の記載あり • Septic Shockの死亡率 に関する44の研究 • 全体の粗死亡率 46.5% Meta-analysis

(54)

2. Delphi法

• 専門家のパネルに対してアンケートなどを用いて同

様の質問を反復して行い、意見の集約を行う合意

形成の手法

3項目を用いることで合意

“十分な輸液蘇生後の低血圧”

“血管作動薬の使用”

“血清乳酸値”

(55)

3. SSC databaseを

用いた

cohort研究

• 6つのグループに分類 • 3項目を用いて死亡率を検討 • 全体の粗死亡率:34.7% SIRS2点以上、臓器障害1つ以上 <65mmHg (83.1%)66.4%)78.1%)

(56)
(57)

乳酸値の

cut-off値

• 乳酸値の増加によって院内 死亡オッズ比は徐々に増加 • 感度の高さから2mmol/Lに

(58)

まとめ

“Sepsis with persisting hypotension requiring

vasopressors to maintain MAP 65mmHg and having a

serum lactate level>2 mmol/L (18mg/dL) despite

adequate volume resuscitation ”

十分な輸液負荷にも関わらず

①平均動脈圧

65mmHg以上を維持するために

②血管作動薬を必要とし、かつ

③血清乳酸値が

2mmol/Lを超えるもの

(59)

Discussion

Septic ShockがSepsis単体と異なり重度の循環・細胞・代謝の 異常を呈することが強調された • 特に単独でも死亡率と関連する乳酸値を項目に入れる事で Cryptic shock を含んだ細胞・代謝の異常を重視していると 考えられる • 過去の基準と比べると乳酸値の測定と血管作動薬を必要と する低血圧の両者が必要な事、乳酸値のcut-off値がSSCで は4mmol/Lもあったが2mmol/Lとなった点が異なる

(60)

Limitation

Systematic Reviewが偏ったもので行われた可能性があること • 組織還流マーカーや他の血圧、輸液蘇生の終了タイミング、 多数のバイオマーカーなどの診断基準をより改善しうる項目 が含まれずDelphi法のみで診断基準の項目が決定してし まった • Septic Shockの診断基準にGold standardは存在しないこと • Missing dataが含まれており選択バイアスがかかっている 可能性があること • 乳酸値の測定がICU外や一部の施設においては一般的では ないこと

(61)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(62)

SOFA

• 中枢神経系の評価:GCSが採用されているが鎮静・挿管 患者におけるスコアリング方法が統一されていない • 心血管系評価:cut-off値がMAP70 mmHg以下だがSeptic Shockの診断基準ではMAP65mmHg以下であり根拠・整合性 に欠ける • 血管作動薬としてDOAやDOBの使用の有無がスコアに含ま れるが実際のSeptic Shockの治療ではノルアドレナリンの 使用が多いという20年前に作られたSOFAとの臨床上での ギャップがある

(63)

ΔSOFAについて

• 既往などによって元々のSOFAが0点ではない場合は感染症 が疑われる以前のSOFAの点数から2点以上の増加(ΔSOFA) でSepsisの診断となる • 具体的な評価については検証研究も含め記載なし • 例えば以前からIHDを受けている人とICU入室後にCHDFを受 けている人の評価方法の違いについてなど今後検討が必要 になるか やはり早急にSOFA項目の変更が必要と思われる

(64)

qSOFA

• Sepsisが見逃されやすいICU外の現場において非常に有用 • 迅速かつ簡便であるが感染症を疑わないと無意味 • 院内死亡率の上昇やICU滞在日数の増加との関連は証明 されたがSepsisのスクリーニングとしての有用性は不明 • 他の病態でも簡単に陽性になるため過剰診断のリスクあり • 感度は高そうだが特異度が低い可能性がありSIRSの二の舞 になりうるかも 今後Sepsisのスクリーニングツールとして活用していくには

(65)

臨床現場・研究への影響

• SOFAはICU以外の医師にとっては馴染みのないものであり 今後はqSOFAでSepsisが疑われればその後の評価、専門的 治療はICUにコンサルトするという流れになるかもしれない • この流れはシステムや設備が確立されている多くの先進国 では問題ないが日本の集中治療の体制は確立されていると は言いがたいためこのような理想的な流れは実現が困難で あると考えられる

(66)

臨床現場・研究への影響

• Septic Shockの新診断基準に血清乳酸値が含まれており Cryptic Shockもカバーが出来うるという点はとても重要である • しかし日本では同様に乳酸値の測定が出来ない、一般的で はない施設が多く混乱の原因になりうるかもしれない • 臨床研究は新定義・診断基準となったことでSepsis、Septic Shockの疫学が不明となってしまったためやり直しが必要 • SOFAの使用によってSepsisが臓器障害別に分類しやすくなる という利点はあるかもしれない

(67)

Editorialでは

• Hopefully, the next iteration of this consensus process will take full advantage of the rapidly advancing understanding of molecular processes that lead from infection to organ failure and death so that sepsis and septic shock will no longer need to be defined as a syndrome but rather as a group of identifiable diseases, each characterized by specific cellular alterations and linked biomarkers. Such evolution will be required to truly transform care for the millions of patients worldwide who develop these life-threatening conditions. JAMA. 2016 Feb 23;315(8):757-9.

(68)

SSCでは

• “Screening for early identification and treatment of patients with sepsis (formerly called severe sepsis) should continue essentially as has been previously recommended by SSC.” • “New definitions do not change the primary focus of early

sepsis identification and initiation of timely treatment in the management of this vulnerable patient population.”

Surviving Sepsis Campaign Responds to Sepsis-3 March 1, 2016

(69)

CHESTでは

New Sepsis Criteria: A Change We Should Not

Make.

Chest. 2016 Feb 26. pii: S0012-3692(16)41523-0.

• We cannot support its adoption.

Since ideal outcomes for patients result from early

recognition and intervention in potentially life-threatening infection, the revised criteria may lead to failure to

recognize the signs of potentially lethal infection until the combination is significantly more likely to be deadly.

This is a mistake that we cannot make.

• We also suggest a reconvening of a conference with a broader base of constituents.

• 多くが新定義・診断基準への否定的な意見

(70)

SIRSはもう無用なのか?

8人に1人のSevere Sepsis患者を見落としてしまう感度が本当 に悪いのか? • Sepsisの診断基準にgold standardは存在しないため解釈に よって意味が変わるはずである • SIRSが炎症を重視しすぎているということで姿を消したが Sepsisの病態に炎症が含まれることは変わりない • SIRSとCARSの混合病態のMARSの病態の一部を反映してい るという点からも病態解明の概念としては今後も残るのでは SIRSとSOFAのどちらがSepsisの病態をより正確に

(71)

PulmCrit

Top ten problems with the new sepsis definition

February 29, 2016 by Josh Farkas

(72)

問題

1: Sepsis-3は主観的な判断が残っている

• 感染症を疑わなければ何も始まらない • が、どのように感染症を疑うかはっきりとは説明されていない

問題

2: qSOFAとSOFAは死亡予測であり

Sepsisスクリーニング専用の検査ではない

• Sepsisのスクリーニングを意識しすぎると他の重症な疾患を

(73)

問題

3: Sepsis-3はSepsis-2よりも特異性が低い

• qSOFAが陽性になったこと で初めて感染を疑い暫定 でSepsisと診断する機会が 多くなるかもしれない • 感染を疑う機会が少なくなっ てしまった

(74)

問題

4:qSOFAは死亡予測においてSIRSと似ている

• 感度と特異度を交換しただけ

• 2つのAUROCは実際にはこのイメー

ジ図のような形になるかもしれない

(75)

• 上記のような様々な病態では正確な評価が困難である

• 元々の状態ですでにqSOFAが陽性になることもありうる

問題

5:qSOFAは低血圧や頻呼吸、せん妄を直接引き

起こす疾患ではより特異的ではないかもしれない

(76)

• 従来の予後モデルと比較した 場合、死亡率を過剰に見積 もってしまう可能性がある

問題

6:qSOFAは検証された予後モデル(CURB65)と 矛

盾する

[例] 50歳,RR24/min,BP95/65mmHg BUN15mg/dL,意識正常 → qSOFA=2 → CURB65=0

(77)

問題

7:qSOFA + SOFAの組み合わせは実際にSepsisの

診断を行う

ICU外ではエビデンスに基づかない

• まずは簡便で感度の高い検査でスクリーニングを行い、次に 高価で煩雑な感度・特異度の高い検査を行うのが一般的 • 前述の通りSOFAはqSOFAより特異度が低い(67%vs 84%) た 一般的な診断の流れ Sepsisの診断の流れ ① ① ② ② ③ ③

(78)

問題

8:ICU外でのqSOFA + SOFAの組み合わせによる

死亡率への影響は報告されていない

• 最大に調和する場合と調和しない場合で検討した場合 • 感度 :23-55%,

(79)

問題

9:Sepsisに対するSepsis-3の全体的な感度は

ICU外では50%未満になるだろう

• ICU外の患者に適切なICU管理して生存させるのが一番重要 と考えて問題8の感度を用いた場合 • 感染症を疑う感度は100%未満なはずなので最終的には 感度は50%未満になると考えられる

(80)

問題

10:Sepsis-3は米国でのコンセンサスガイドライン

ではない

• Society of Critical Care Medicine American Thoracic Society, American Association of Critical Care Nurses. の合意は得て いる しかし • American College of Chest Physicians Infectious Disease Society of America Emergency Medicine societiesなど の実際にSepsisの診断を行う臨床医からの合意は得られて いない

(81)

CONTENTS

1. Sepsisの歴史

2. SIRS時代の問題点

3. Sepsis-3

4. SOFA・qSOFAの根拠

5. Septic Shockの新診断基準の根拠

6. Sepsis-3の評価・検討課題

7. まとめ・私見

(82)

定義の確認

感染症 Sepsis Severe Sepsis Septic Shock 感染症 Sepsis Septic Shock ex.Sepsis

Sepsis-1&2

Sepsis-3

(83)

• 細胞・代謝の異常を伴う病態を反映するべく定義に

明記され診断基準に乳酸値が含まれるようになった

“Subset of sepsis in which underlying circulatory and

cellular/metabolic abnormalities

are profound enough

to substantially increase mortality”

“Life-threatening

organ dysfunction

caused by a

dysregulated host response to infection”

• 疑うためのツール“

qSOFA”

• 炎症へのこだわりを捨て

SOFAを診断基準に用いる

など臓器障害を重視するようになった

Sepsis

Septic Shock

(84)
(85)

あくまで感染症ありき

• 「感染症を疑わなければ何も始まらない」

• 医療者の能力や主観に依存している

(86)

まとめ・私見

• 約15年ぶりにSepsisの定義が変わるというビッグイベントが 起きた • 炎症ではなく臓器障害に重点を置いている点、より重症な 患者に的を絞っている点は近年のSepsisの問題解決の糸口 になるのだろう • 場所によって違いはあるものの「qSOFAでSepsisを疑いSOFA でSepsisを診断しさらにSeptic Shockの診断を行う」という3段 階方式となった点は新しいがあくまでも感染症を疑うことが 大前提であることは常に念頭におかなくてならない • 世界的に賛否両論があることは間違いないが一定以上の 支持が得られていることから今後はこの定義が用いられるこ とになる

(87)

まとめ・私見

• 集中治療の体制が比較的poorな日本ではそのまま臨床に 用いるには課題も多いと思われ、日本の敗血症ガイドライン ではどうなるのか注目したい • Sepsis-3で定義・診断基準が変わっても日々の臨床において はやるべきことは変わらない • 一般人のSepsisの認識を高めることも今後重要であるが まず優先すべきはこの新定義・診断基準を全医療者に周知 することである • 前述の問題点を解決するための研究や新定義・診断基準 での新たな治療介入研究などが今後期待される

参照

関連したドキュメント

宮崎県立宮崎病院 内科(感染症内科・感染管理科)山中 篤志

国内の検査検体を用いた RT-PCR 法との比較に基づく試験成績(n=124 例)は、陰性一致率 100%(100/100 例) 、陽性一致率 66.7%(16/24 例).. 2

藤田 烈 1) ,坂木晴世 2) ,高野八百子 3) ,渡邉都喜子 4) ,黒須一見 5) ,清水潤三 6) , 佐和章弘 7) ,中村ゆかり 8) ,窪田志穂 9) ,佐々木顕子 10)

・Mozaffari E, et al.  Remdesivir treatment in hospitalized patients with COVID-19: a comparative analysis of in- hospital all-cause mortality in a large multi-center

Chronic obstructive pulmonary disease is associated with severe coronavirus disease 2019 (COVID-19). Characteristics of hospitalized adults With COVID-19 in an Integrated Health

Nasal Swab Sampling for SARS - CoV - 2: a Convenient Alternative in Times of Nasopharyngeal Swab Shortage. Clin

新型コロナウイルス感染症(以下、

The first clinical study was initiated by Professor Shigeatsu Endo(Iwate Medical University, Japan);it demonstrated that sepsis patients have higher presepsin levels compared