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Excelを用いた行列演算

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Academic year: 2021

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(1)

を用いた行列演算

(統計専門課程 国民・県民経済計算の受講に向けて)

(2)

 この教材の内容について

計量経済学における多くの経済モデルは連立方程式を用いて記

述されています。この教材は、こうした科目の演習においてそうした

連立方程式の計算を

Excelで行う際の技能を補足するものです。

冒頭、そもそもどういう場面で連立方程式が登場するのかについ

て概括的に触れ、なぜ、この教材で連立方程式の解法について事

前に学んでおく必要があるのか理解していただこうと思います。そ

のための事例をいくつか取り上げていますが、その内容について詳

しく解説ものではありません。あくまでも、どのような場面で連立方

程式が登場するのかを知っていただくためのものです。

(3)

 計量経済学

経済理論から導かれる仮説を数学モデルとして構成し、これを統計学的方法により現実 にどれだけ合致するかを実証する学問領域。また、その計算結果を用いて将来の予測や 経済政策の効果の分析を行う。

研究の手順

① モデルの構築(経済現象をその背後にある経済諸要素間の因果関係としてとらえ、そ れを確率的変動要素も考慮した数量モデルとして表現する。) ② 構造方程式の推定(実経済の観測データを用いて、その数量モデルのパラメータを推 定する。) ③ 仮説検定(推測統計学の成果を応用して、当初設定したモデルの妥当性を統計的に 検証する。) ④ 構造方程式の確定(③の結果により適宜、モデルを修正しつつ経済理論及び統計理 論上、満足すべき構造方程式が得られるまで②及び③を繰り返す。)

(4)

モデルの形態、推定方法

変数間の構造的な関係を1本の方程式で記述するモデルは「単一方程式モデル」、複 数本の方程式で記述するモデルは、「連立方程式モデル」や「同時方程式モデル」と呼ば れる。 ① 単一方程式モデル(一般に最小二乗法) 経済のある特定部分のメカニズムをそれ以外の部分から切り離して研究する場合 例) ある特定財についての生産関数の推定や需要予測など  変数の名称:「独立変数」⇒「従属変数」、「説明変数」⇒「目的変数」、「制御変数」⇒「応答変数」etc. ② 連立方程式モデル(二段階最小二乗法や最尤法) 特定の経済要素の動きを経済全体の相互依存の中で因果関係を研究する場合  変数の名称:「外生変数」⇒モデル外で値が決定される変数  変数の名称:「内生変数」⇒モデル内で値が決定される変数

(5)

 経済モデルとは⇒経済現象を分析するための模型。

経済モデルの枠組みは、経済主体と市場で構成されている。経済メカニズムの本質を 浮き彫りにするのに、複雑な設定は必要ないため、経済分析はできる限り単純なモデル で行う。 経済モデルは、どの経済部門の取引活動を見るかで、民間経済モデル、国民経済モデ ル(閉鎖経済モデル)、国際経済モデル(開放経済モデル)の3つに分けられる。 経済部門 経済モデル 企業(生産を行う) 民間経済 モデル 国民経済 モデル 国際経済 モデル 家計(消費を行う) 政府(民間経済の手助けをする調整役) 海外(外国との取引状況を見る)

(6)

経済分析と数学的知識

代表的な経済分析とそれに関連する数学的知識を簡単にまとめると次表のようになる。 基本的な経済分析 関連する数学的知識 A:マクロ的視点からの分析 ① 国内総生産の決定(45度線分析) ② 貨幣市場と利子率の決定 ③ IS-LMモデル(総需要-総供給分析) ④ 経済成長 など ① 1次関数と直線のグラフ ② 複利計算・等比数列とその和 ③ 連立方程式とグラフ ④ 指数・対数 など B:ミクロ的視点からの分析 ① 需要供給分析 ② 費用(平均費用、限界費用)関数 ③ 利潤最大化と供給の決定 ④ 不確実性・非対称情報 など ① 連立方程式と直線のグラフ ② 高次方程式と曲線のグラフ ③ 2次関数の平方完成 ④ 確率、期待値 など

(7)

モデルの形態と作成の考え方

「単一方程式モデル」と「連立方程式モデル」の作られ方を具体例で見てみる。 ① 一世帯当たりのリンゴ消費量Qの決定に興味がある場合(単一方程式モデル) リンゴの需要(消費)関数 ′ ただし、 はリンゴの数量(消費量)、 はリンゴの価格、 は可処分所得、 ′はリンゴ関連財の価格 ② リンゴ市場におけるリンゴ価格Pの決定に興味がある場合(連立方程式モデル) リンゴの需要関数 ′ ただし、 はリンゴの数量(消費量)、 はリンゴの価格、 は可処分所得、 ′はリンゴ関連財の価格 リンゴの供給関数 ただし、 , は労働賃金や材料価格など、生産関連の費用要素

(8)

最も簡単な均衡モデル

最も簡単な需要関数と供給関数から均衡価格と均衡需要量を求めてみる。 ① 均衡価格、均衡需要量は2つの関数を同時に満たすので、グラフ的には2つの関数 グラフの交点となり、計算としては連立方程式を解くことになる。 ② 需要関数と供給関数は次の通りとする。 需要関数: 140140 供給関数: 20 ⇒ 20 ③ 均衡点では、 需要量 供給量 になって いるので、これを と置き換える。 140 20 ④ これを解いて、 80, 60 となることから、 均衡価格は80円、均衡需要量は60個となる。 供給曲線(S) 需要曲線(D) 需要量(S,D) 価格 (P) 0 均衡価格 均衡需要量 E

(9)

このように、計量経済学においては、連立方程式の解法

技術が必須となりますので、以下、

Excelを用いた連立方

(10)

 連立1次方程式の解き方

 連立1次方程式の解法をその係数に着目してみる。 2 1 1 2 3 4 1 3 4 2 1 1 2 2 2 0 2 2 2 1 1 2 1 0 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 ( 列) ( 列) *係数のみを取り出しているので , の列(位置)は固定 ある式の定数倍を 他の式に加える ある式の定数倍を 他の式に加える ある式に0以外の 数を掛ける ある行の定数倍を 他の行に加える ある行の定数倍を 他の行に加える ある行に0以外の 数を掛ける

(11)

 連立1次方程式の解き方

 連立1次方程式を係数演算だけで解いてみる。 6 2 2 11 2 3 4 3 1 1 1 6 1 1 1 6 1 1 1 6 1 1 1 6 1 2 2 11 0 1 1 5 0 1 1 5 0 1 1 5 2 3 4 3 0 1 6 9 0 0 7 14 0 0 1 2 1 1 0 4 1 0 0 1 1 0 1 0 3 0 1 0 3 3 0 0 1 2 0 0 1 2 2 1 3 2

(12)

 行列・ベクトルという新しい記述法

 前の連立1次方程式の左辺の記述を構造的に見てみる。 6 2 2 11 2 3 4 3 1 1 1 1 2 2 2 3 4 変数を縦に分配しているとみることができる。 この操作を行列とベクトルの積と定義する。 ルールを変えずに 書き方を変えてみる 1 1 1 1 2 2 2 3 4 数学の基本は、論述のために演算を定義して記述法を 決めることから始まる。 数式は要素を横に並べるのが基本なので 単にそのように記述しただけ。

(13)

 行列・ベクトルという新しい記述法

 前の連立1次方程式を行列とベクトルを用いて書き直す。

6

2

2

11

2

3

4

3

1 1 1 1 2 2 2 3 4 6 11 3 =

(14)

 ベクトル を求めるには

 ベクトル (解ベクトル)を求める演算を考える。

この演算式を「逆行列」と呼び と書く。 すなわち、「逆行列」 を求めることができれば、 定数項ベクトル との積で解ベクトルを求めることができる。 注) 行列には割り算が定義されていませんので、 左の式の変形は数学的には正しくありません。 これは、あくまでも概念です。

(15)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 1 1 1 1 2 2 2 3 4 6 11 3 = 係数行列と定数項ベクトルを Excel のセルにセットする。

(16)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 そして Ctrl+Shift+Enter を同時に押す。 任意の場所に、係数行列の 大きさのセルを選択する。 この例では3行3列です。 配列数式を下のように{ }内に 「,」と「;」で区切り入力する。

(17)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法

(18)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 使用する関数 逆行列の計算 行列の積の計算

MINVERSE

左上行列ののセル右下行列ののセル

MMULT

左上行列のセルAの ; 右下行列のセルAの , 左上行列のセルBの ; 右下行列のセルBの )

(19)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 任意の場所に、係数行列 の大きさと同じ大きさのセ ルを選択する。 この例では3行3列です。

(20)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 「 関数の挿入」の 「数学/三角」のプル ダウンメニューから 関数「MINVERSE」 を選択する。

(21)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法

関数「MINVERSE」の引数をこの画面で指定し

たときは、「OK」をクリックせずにこの状態で

(22)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 この欄に直接、関数「MINVERSE」の引数 を指定したときは、この欄にカーソルがあ る状態で、 Ctrl+Shift+Enterのキーを同時に押す。

(23)

の逆行列

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 1 1 1 1 2 2 2 3 4

(24)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 逆行列に定数項ベクトルを掛け て、解ベクトルを求める。 任意の場所に、定数項ベクトル の大きさと同じ大きさのセルを 選択する。 この例では3行1列です。

(25)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 「 関数の挿入」の 「数学/三角」のプル ダウンメニューから 関数「MMULT」を選 択する。

(26)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法

関数「MMULT」の引数1,2をこの画面で指定

したときは、「OK」をクリックせずにこの状態で

(27)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法

関数を直接入力するときは、 まず関数「MMULT」の引数1 を指定する。

(28)

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 次いで関数「MMULT」の引数2 を指定し、 Ctrl+Shift+Enter のキーを同 時に押す。

(29)

求められた解ベクトル

 行列

の逆行列

の求め方

 Excelを用いて逆行列を求め、連立方程式を解く方法 1 3 2 =

(30)

演習問題

(1) (2) 2 3 1 3 5 4 2 6 9 2 2 3 4 2 3 2 5 2 12 3 4 4 3 3 1 答え 答え 1, 3, 2 1 1 3 2

参照

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