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緒言 生活習慣病は拡大の一途をたどり大きな社会問題となって いる 2008 年 ( 平成 19 年 国民健康 栄養調査結果によると 40 ~ 74 歳では 男性の 2 人に 1 人 女性の 5 人に 1 人がメタボリックシンドロームに進展するリスクがあるとのことであった 1 生活習慣病は 中年期より

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(日本語翻訳版)

日本人における皮膚 AGEs 蛍光と生活習慣

埜本慶太郎1)、 八木雅之1,2)、 有田清三郎3)、 小椋真理4)、 米井嘉一1) 1) 同志社大学大学院生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター  2) 同志社大学大学院生命医科学研究科 糖化ストレス研究センター  3) 同志社大学大学院生命医科学研究科 メディカルファジィリサーチセンター 4) 同志社女子大学生活科学部 Original Article

Skin Accumulation of Advanced Glycation End Products and Lifestyle Behaviors in

Japanese

Keitaro Nomoto 1), Masayuki Yagi 1,2), Seizaburo Arita 1,3), Mari Ogura 4), Yoshikazu Yonei 1)

1) Anti-Aging Medical Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences Doshisha University 2) Glycation Stress Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences Doshisha University 3) Medical Fuzzy Research Center, Graduate School of Life and Medical Sciences Doshisha University 4) Faculty of Human Life and Science, Doshisha Women’s College of Liberal Arts

Received: Jul. 17, 2011 Accepted: Oct. 15, 2012 Published online: Oct. 31, 2012

Anti-Aging Medicine 9 (6) : 165-173, 2012

抄録

【目的】 代謝異常から増加する生体内の糖化反応最終生成物 (Advanced Glycation Endproducts: AGEs) は、 老化を促 進する。 本研究では、 代謝異常を引き起こす原因として生活習慣に注目し、 悪しき生活習慣と皮膚 AGEs 蓄積量との関係 を検討する目的で、 日本人を対象に生活調査および AGEs 測定を行い、 結果を解析した。

【方法】 20 代から 50 代の日本人 244 例 (男性 : 82 例、 45.4 ± 8.7 歳 女性 : 162 例、 43.4 ± 8.8 歳) を対象とした。 生活調査には抗加齢 QOL 共通問診票を用いた。 AGEs 蓄積量の評価は非侵襲的方法である AGE Reader (DiagnOptics) により皮膚蛍光値 (Auto Fluorescence:AF) を測定した。生活習慣リスク抽出には Spearman の順位相関係数を用いた。また、 対象を生活習慣リスク数毎に分割し、 Dunnett 検定にて群間解析を実施した。 さらに、 10 歳毎の各年齢層に分割して加齢 曲線を作製した。 【結果】 生活習慣のうち、 皮膚 AF と単相関関係を認めたのは (たばこ本数 r = 0.255, p< 0.001、 飲酒頻度 r = 0.210, p< 0.001、 睡眠時間 r = -0.124, p< 0.054) であった。 また、 喫煙リスクおよび飲酒リスクを持つ群は、 リスクを持たない 群と比べ皮膚 AF は高値であり ( 喫煙 :p= 0.002、 飲酒 :p= 0.006)、 睡眠リスクを持つ群の皮膚 AF はリスクを持たない 群より高値である傾向を認めた (p= 0.060)。 また、 これらの生活習慣リスク数が 2 つ以上重なる群において皮膚 AF が有 意に高値であった (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.001、 Risk 3 vs Risk 0: p< 0.001)。

【結語】 AGEs の蓄積を反映する皮膚蛍光は、 喫煙 ・ 高頻度の飲酒 ・ 睡眠不足といった生活習慣の乱れによる生体内の 糖化度も同様によく反映している可能性が示唆された。 従って、 若年者であっても皮膚蛍光は糖代謝をよく反映する効果的 な指標の一つであり、 継続的にモニターすることで生活習慣を見直す助けとなると考えた。

(2)

緒言

生活習慣病は拡大の一途をたどり大きな社会問題となって いる。 2008 年 (平成 19 年) 国民健康・栄養調査結果によると、 40 ~ 74 歳では、 男性の 2 人に 1 人、 女性の 5 人に 1 人が メタボリックシンドロームに進展するリスクがあるとのことであった 1)。 生活習慣病は、 中年期より増大しその後高齢期までに深 刻な疾病を発症する。 従って、 中年期以前からの生活習慣改 善がこれらの疾患予防には不可欠である。 一方、 生活習慣の 乱れによる代謝異常の程度を予測する簡便な方法を開発すれ ば、 予防のための生活習慣改善への動機づけツールとして有 効と考えられる。 近年、 生体の糖化が老化を促進することが注目され、 糖化 ストレスという概念が注目されている2,3)。 これは、 食事由来 の還元糖と蛋白質の非酵素的、 非可逆的な反応により、 シッ フ塩基 (Schiff base) の形成、 アマドリ転移、 様々な中間体 形成を経て、 蛋白糖化最終生成物 (advanced glycation end products: AGEs) の生成に至るまでの過程を意味する。 AGEs は、 生体に様々な悪影響を与えることが知られている4,5)。 こ れらの反応は糖代謝異常により促進することから、 食事 ・ 運 動など生活習慣との関わりが強いと考えられる。 また、 多くの AGEs は特徴的な蛍光を有することで知られているため、 蛍光 測定によりヒトの皮膚から非侵襲的に AGEs 蓄積量を測定する 試みが行われている6-8)。 これらの多くの研究は糖尿病患者な どを対象とし、 皮膚蛍光と疾患との関係を指摘している9,10)。 一方、 生活習慣病などの予防のためには、 健常者の加齢に 伴う生活習慣と組織 AGEs との関係、 すなわち老化との関係 を調べることが重要である。 皮膚のコラーゲンタンパクの糖化 は架橋形成により皮膚硬化 ・ しわの原因となるため、 皮膚の AGEs 蓄積は皮膚老化の指標と考えられる3)。 そこで、 本研 究では上記の蛍光測定法に注目し生活習慣のパターンが生 体の老化度へ及ぼす影響を検討するため、 横断研究により中 年期以前の日本人の糖化度および生活習慣の関係を調べた。

方法

対象 対象は、 同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエ イジングリサーチセンターが独自に収集した 20 歳から 59 歳 までの日本人男女 244 名 (男性 82 名 45.4 ± 8.7 歳、 女 性 162 名 43.4 ± 8.8 歳) とした。 各被験者の生活習慣調査 は、 既報の如く抗加齢 QOL 共通問診票 (Anti-Aging QOL Common Questionnaire: AAQol) のうち 「たばこ本数」、 「飲 酒頻度」、 「飲酒量」、 「運動頻度」、 「睡眠時間」 を用いた 11)。 喫煙に関しては、 現在喫煙習慣を持っていなくとも過去 に喫煙習慣を持っていた者 44 名も含めた。 尚、 過去に喫煙 習慣を持っていた者のたばこ本数は不明であったため、 たば こ本数は 200 名分のデータを用いた。 飲酒に関しては、 五訂 日本食品標準成分表を用いて各種アルコールの摂取量を純 アルコール量に換算し、 1回当たりの飲酒量を算出した12)。 被験者のうち 155 名については、 BMI(Body Mass Index)、 収 縮期血圧、 拡張期血圧を測定した。 また、 血液生化学検査と して、 LDL コレステロール、 HDL コレステロール、 中性脂肪、 空腹時血糖、 HbA1c、 インスリンを (株) 三菱化学ビーシー エル (東京都港区) で実施した。 データは個人情報と非連結 とした。 群分け方法 Fig. 1に群分けのフローチャートを示した。 年齢補正のた め、 測定結果を 10 歳毎の各年齢層に分割した13) (20 代 : 20 ~ 29 歳、 30 代 : 30 ~ 39 歳、 40 代 : 40 ~ 49 歳、 50 代: 50 ~ 59 歳)。 各年齢層の被験者の内訳は 20 代: 20 名、 30 代 : 50 名、 40 代 : 102 名、 50 代 : 72 名であった。 生活習慣項目の選定には、 皮膚 AF との単相関分析を実施 し、 単相関関係を認めたものを採用した。 また、 各々の悪し き生活習慣の合併が皮膚 AF に及ぼす影響を検討するため、 各被験者の悪しき生活習慣のリスク数を算出し、 皮膚 AF を比 較検討した。 皮膚蛍光測定 皮膚 AGEs 沈着量を非侵襲的に評価する方法として、 既報 のごとく AGE reader ™ (DiagnOptics, Groningen, Netherlands) がある6-8)。 本方法は、 皮膚組織へ蓄積した AGEs が紫外線 照射により励起され特有の自己蛍光 (Auto Fuorescence; AF) を発する性質があることを利用している。 糖尿病患者、 透析患 者の皮膚生検所見と照合した結果、 皮膚 AF はペントシジン、 CML などの AGEs の皮膚蓄積量とよく相関することが確認され ている10)。 300-420 nm の波長帯中の励起光が 1-cm2の穴を 通って皮膚表面に投影され、 420 〜 600nm の領域の波長で 皮膚から発せられた蛍光強度を、 ガラスファイバーによって分 光計で測定される。 皮膚 AF は、 1nm 当たりの励起光強度に 対する 1nm 当たりの蛍光強度として計算される。 結果は任意 のユニット (AU) で表現され、 100 を掛けて表示される。 測定 部位は既報のごとく上腕内側 (肘の先端から約 10 cm 離れた 部位) を選定した8)。 統計解析 各年齢層のデータは平均値±標準偏差で示した。 各年齢 層の皮膚蛍光の平均値の比較には、 一元配置分散分析を用 い、 Tukey 検定を用いた。 単相関分析には Spearman の順位 相関係数を算出し評価した。 また、 年齢補正による皮膚 AF と 生活習慣の相関性を検討するため。 年齢を制御因子とする偏 相関係数を算出した。 群間比較には Mann-Whitney 検定を用 いた。 リスク数による皮膚 AF の比較には Dunnett 検定を用い た。 統計解析には、 統計解析ソフト SPSS II (日本アイ ・ ビー ・ エム株式会社、 東京都港区) を用いた。 両側検定で危険率 5% 未満を有意差ありとした。

(3)

Fig. 1. Flow chart of the grouping and development of the model 倫理基準 本試験は厚生労働省 ・ 文部科学省の 「疫学研究に関する 倫理指針」 を遵守した。 本研究は同志社大学倫理審査委員 会を開催し,試験の倫理性および妥当性について審議を行い、 承認のもとに実施した (承認番号 0832)。

結果

各年齢層の測定及び調査結果 各年齢層の被験者の皮膚 AF および生活習慣をTable 1(a) に、 また、 血液生化学検査などを受診した者の背景情報を Table 1 (b)に示した。 皮膚 AF は 20 代から 40 代にかけて増 加し、 40 代から 50 代にかけては変動しなかった (1.78 ± 0.25 in 20s, 2.02 ± 0.33 in 30s, 2.17 ± 0.35 in 40s, and 2.16 ± 0.31 in 50s) (Fig.2)。 また、 各年齢層内で皮膚 AF と年齢との 間には相関関係を認めなかった。 生活習慣に関しては、 飲酒 頻度 (r = 0.164, p= 0.010)、 1 回当たりの飲酒量 (r = 0.135, p= 0.034) が年齢と正の相関関係を認めた (Table 2)。 生活習慣と皮膚 AF の関係 皮膚 AF と正の相関関係を認めたのはたばこ本数 (r = 0.255, p< 0.001)、 飲酒頻度 (r = 0.210, p< 0.001) であり、 睡眠

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Table 1(a) Skin AF and lifestyle behaviors of subjects

Age Skin AF Smoking

Frequency of Drinking Daily Alcohl intake Sleeping time Frequency of Exercise Age Group [years]   [%] [times/week] [g/times] [h/day] [times/week] 25.8 1.78 1.0 5.1 6.2 1.0 ± ± 45.0 ± ± ± ± 2.1 0.25 2.3 9.3 0.9 1.4 35.6 2.02 1.2 18.4 6.4 1.0 ± ± 28.0 ± ± ± ± 2.8 0.33 2.0 30.4 1.0 1.7 45.1 2.17 2.5 18.7 6.4 1.1 ± ± 43.1 ± ± ± ± 2.7 0.35 2.7 22.7 0.9 1.7 53.6 2.16 1.9 13.2 6.2 1.5 ± ± 37.5 ± ± ± ± 3.1 0.31 2.3 18.1 1.0 2.1 20s 30s 40s 50s N 20 50 102 72 NS NS NS NS Men : Women [%] 40.0:60.0 18.0:82.0 36.3:63.7 38.9:61.1

Correlation (Skin AF vs Age)

Table 1(b) Profile of subjects

BMI

Systolic blood pressure Diastolic blood pressure LDL-cho HDL-cho TG FBS HbA1c (JDS) IRI Age Group [kg/m2] [mmHg] [mmHg] [mg/dl] [mg/dl] [mg/dl] [mg/dl] [%] [μU/ml] 19.9 103.1 66.1 90.0 73.9 71.6 85.6 4.9 6.0 ± ± ± ± ± ± ± ± ± 1.7 9.3 5.6 27.8 14.4 39.6 7.3 0.2 2.4 20.7 116.6 68.5 110.9 72.8 69.5 84.0 4.8 4.2 ± ± ± ± ± ± ± ± ± 2.6 14.1 10.6 27.6 15.5 29.0 10.1 0.2 1.8 24.1 122.3 76.0 120.8 65.1 99.2 85.6 5.0 6.1 ± ± ± ± ± ± ± ± ± 3.5 13.9 10.8 33.3 15.8 52.3 7.7 0.3 3.4 24.9 128.3 80.3 140.9 59.4 146.0 91.6 5.3 6.2 ± ± ± ± ± ± ± ± ± 2.8 15.6 12.4 32.8 14.3 91.6 13.5 0.6 4.2 20s 30s 40s 50s N 7 24 72 52

Fig. 2. Skin AF with aging

AF, autofluorescence, closed circles, mean of skin AF ± standard deviation (SD), Tukey’s post-hoc test, * p < 0.05 vs. each neighboring age group.

(5)

時間と負の相関関係を持つ傾向を認めた (r = -0.124, p< 0.054)(Table 2)。 年齢補正をしても同様に、 たばこ本数 (r' = 0.272, p< 0.001)、 飲酒頻度 (r' = 0.164, p= 0.010) であり、 睡眠時間に関しては負の相関関係を認めた (r' = -0.149, p= 0.020)。 過去に一度でも喫煙習慣を持ったものを 「喫煙リスク

Table 2 Single and partial correlation analysis

Smoking

Frequency of alcohol drinking Alcohol intake Frequency of exercise Sleeping hours [Cigarettes/ day] [times/week] [g/day] [days/week] [hours/day] Lifestyle behavior 200 244 244 244 244 0.049 0.164 0.135 0.106 –0.039 0.489 0.010 0.034 0.098 0.543 vs Age N r p-value   * *   0.255 0.210 0.057 0.095 –0.124 <0.001 <0.001 0.378 0.139 0.054 r p-value ** **   ## # # 0.272 0.164 0.076 0.093 –0.149 <0.001 0.010 0.239 0.150 0.020 r' p-value vs Skin AF (Age adjustment)vs Skin AF

Spearman’s test        

r: Spearman rank-correlation coefficient, *: p<0.05, **: p<0.001 r’: Partial correlation coefficient, #: p<0.05, ##: p<0.001

あり (Smoking Risk (+); 以下 Sm(+)」、 一度も喫煙習慣がないも のを 「喫煙リスクなし Smoking Risk (-); 以下 Sm(-)」 としたとこ ろ、 Sm(+) 群の平均皮膚 AF は Sm(-) 群より有意に高値であっ た (p= 0.002) (Table 3(a))。 「飲酒リスク」 は、 週に 4 回以上 の飲酒習慣を持つ者を 「飲酒リスクあり Drinking Risk (+); 以

Table 3(a) Existence or absence for smoking risk

Skin AF N Smoking Risk (–) Skin AF N 1.85   1.72 ± 9 ± 11 0.28 0.22 2.15 1.97 ± 14 ± 36 0.36 0.30 2.27 2.09 ± 44 ± 58 0.32 0.35 2.23 2.13 ± 27 ± 45 0.31 0.30 2.20 2.05 ± 94 ± 150 0.34 0.33 20s 30s 40s 50s Average Smoking Risk (+) 0.271 0.112 0.037* 0.170 0.002* p-value

Table 3(b) Existence or absence for drinking risk

Skin AF N Drinking Risk (–) Skin AF N 2.00 1.74 ± 3 ± 17 0.26 0.23 2.24 1.99 ± 5 ± 45 0.29 0.32 2.22 2.14 ± 33 ± 69 0.33 0.35 2.23 2.14 ± 16 ± 56 0.25 0.32 2.22 2.07 ± 57 ± 187 0.30 0.35 20s 30s 40s 50s Average Drinking Risk (+) 0.513 0.265 0.358 0.645 0.006* p-value

Table 3(c) Existence or absence for sleeping risk

Skin AF N Sleeping Risk (–) Skin AF N 1.98 1.69 ± 6 ± 14 0.23 0.21 1.92 2.12 ± 26 ± 24 0.32 0.31 2.09 2.23 ± 46 ± 56 0.34 0.34 2.10 2.20 ± 28 ± 44 0.34 0.32 2.15 2.05 ± 138 ± 106 0.35 0.32 20s 30s 40s 50s Average Sleeping Risk (+) 0.013* 0.076† 0.076† 0.223 0.060† p-value †: p<0.10, *:p<0.05 Mann-Whitney test

(6)

下 Dr(+)」、4 回未満のものを 「飲酒リスクなし Drinking Risk (-); 以下 Dr(-)」 としたところ、 Dr(+) 群の平均皮膚 AF は Dr(-) 群 より有意に高値であった (p= 0.006) (Table 3(b))。 「睡眠リスク」 は、 睡眠時間 6 時間以下を 「睡眠リスクあり Sleeping Risk (+); 以下 Sl(+)」、 6 時間を超えるものを 「睡眠リスクなし Sleeping Risk (-); 以下 Sl(-)」 としたところ、 睡眠リスクあり群の皮膚 AF は睡眠リスクなし群より高値である傾向を認めた (p= 0.060) (Table 3(c))。 年齢層ごとの比較では、 40 代において Sm(+) 群 の皮膚 AF は Sm(-) 群と比べ有意に高かった (p= 0.037)。 飲 酒リスクに関しては、 いずれの年齢層においても群間差を認め なかった。 睡眠リスクに関して、 20 代で Sl(+) 群が Sl(-) 群と比 べ皮膚 AF が低値であった (p= 0.013)。 生活習慣リスクの積み重ねの影響 ケース 1 : 喫煙、 飲酒リスクの積み重ね (Risk 0 ~ 2) 生活習慣リスク数による比較に関して、 リスク数が増えるほ ど平均皮膚 AF の増加が認められた (Risk 1 vs Risk 0: p= 0.010、 Risk 2 vs Risk 0: p< 0.001) (Table 4(a)) (Fig.3 (a))。 中年者では、Risk 2 において皮膚 AF の有意な増加を認めた (p = 0.018)。各年齢層における比較では、20 代 (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.031)、 30 代 (Risk 1 vs Risk 0: p= 0.041)、 40 代 (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.042) にそれぞれ有意な増加を認めた。 老 化曲線を作製した。 (Fig. 4 (a))

ケース 2 : 喫煙、 飲酒、 睡眠リスクの積み重ね (Risk 0 ~ 3) 生活習慣リスク数による比較に関して、 Risk 2 ~ 3 におい て平均皮膚 AF の増加が認められた (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.001、 Risk 3 vs Risk 0: p< 0.001) (Table 4(b))。 中年者も 同様に、 Risk 2 ~ 3 において平均皮膚 AF が増加した (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.019、 Risk 3 vs Risk 0: p= 0.004)。 各年 齢層における比較では、 30 代 (Risk 2 vs Risk 0: p= 0.011)、 40 代 (Risk 3 vs Risk 0: p= 0.006) にそれぞれ有意な増加を 認めた。 尚、 Risk 3 に関して、 40 代で皮膚 AF はピークに達 し 50 代では低下した (Fig. 4 (b))。

考察

皮膚 AF の加齢変動に及ぼす生活習慣の影響 AGE Reader により測定された皮膚 AF は、 主に白人を対象 に研究が進み様々な疾患との関係が指摘されてきた9,10)。 近 年、 日本人を対象にした研究も行われるようになったが、 皮膚 AF と老化の関係はまだ明らかになっていない14,15)。 我々は 先行研究で、 日本人の皮膚 AF が加齢に伴い増加することを 示したが、 同時に加齢に伴い個人差が大きくなることから、 年 齢以外にも皮膚 AF 増加を促進する因子があると考えた。 本研究にて、 喫煙および飲酒リスクを持つ群は皮膚 AF が 有意に高値であった。 一方、 睡眠リスクを持つ群は皮膚 AF が高値である傾向を認めたものの、 問診票により睡眠時間を

Table 4(a) Case I: Skin AF in smoking and drinking risk

1.69 ± 13 0.21 1.88 ± 5 0.21 0.22 2.13 ± 2 0.031* 0.20

Risk 0 Risk 1 Risk 2

20s Skin AF N p-value 2.11 ± 56 0.33 2.20 ± 32 0.397 0.35 2.35 ± 14 0.042* 0.35 40s Skin AF N p-value 2.14 ± 44 0.30 2.19 ± 25 0.770 0.32 2.34 ± 3 0.456 0.20 50s Skin AF N p-value 2.12 ± 101 0.32 2.20 ± 57 0.318 0.33 2.35 ± 17 0.018* 0.33 Middle aged Skin AF N p-value 2.04 ± 153 0.33 2.18 ± 71 0.010* 0.33 2.33 ± 20 <0.001** 0.31 Average Skin AF N p-value 1.96 ± 40 0.31 2.23 ± 9 0.041# 0.33 2.44 1 -30s Skin AF N p-value

Table 4(b) Case II: Skin AF in smoking, drinking,

and sleeping risk

1.83 ± 3 0.16 1.71 ± 12 0.7531 0.26 1.69 ± 5 0.951 0.15 2.06 ± 14 0.011* 0.25

Risk 0 Risk 1 Risk 2

20s Skin AF N p-value 2.04 ± 28 0.353 2.18 ± 40 0.255 0.28 2.17 ± 33 0.078 0.28 40s Skin AF N p-value 2.09 ± 19 0.29 2.16 ± 33 0.790 0.32 2.16 ± 45 0.283 0.30 50s Skin AF N p-value 2.06 ± 47 0.33 2.16 ± 73 0.188 0.29 2.24 ± 45 0.019* 0.37 Middle aged Skin AF N p-value 2.00 ± 72 0.33 2.09 ± 107 0.157 0.31 2.22 ± 53 0.001* 0.38 Average Skin AF N p-value 1.89 ± 22 0.33 2.02 ± 22 0.141 0.22 2.13 ± 2 0.393 0.20 Risk 3 2.46 ± 8 0.006* 0.25 2.27 ± 2 0.779 0.21 2.42 ± 10 0.004* 0.25 2.38 ± 13 <0.001** 0.25 2.44 1 -30s Skin AF N p-value

Dunnett test (vs Risk 0) *:p<0.05, **:p<0.001 Student t-test (vs Risk 0) #:p<0.05

(7)

Fig. 3. Relationship of skin AF and lifestyle behavior risk number in merger model in all age groups

(a) Case I: Smoking and drinking risk (Risk 0-2), Case II: Smoking, drinking, and sleeping risk (Risk 0-3), AF, autofluorescence. Dunnett test, * p < 0.05, ** p < 0.001 vs. Risk 0

Fig. 4. Aging curve for lifestyle behavior risk

(a) Case I: Smoking and drinking risk (Risk 0-2), Case II: Smoking, drinking, and sleeping risk (Risk 0-3), AF, autofluorescence. Dunnett test, * p < 0.05, vs. Risk 0

(8)

を促進させる可能性が考えられるため、 過去の喫煙歴にも注 意が必要と考えられた。 アルコールは体内でアルデヒドとなり 糖化ストレスを促進すると考えられている。 近年、 同じアルデ ヒド基を持つグリコールアルデヒドやα - ヒドロキシアルデヒド は AGEs 生成速度が早く、 これらの AGEs の生物作用が強力 であることが明らかとなってきた23)。 従って、 大量飲酒は糖化 反応を促進するリスクとなると考えられるため、 週に 4 回以上 の飲酒習慣は皮膚 AF 増加に関与すると考えられる。 睡眠と AGEs との関係は今のところ報告されていないが、 睡眠時に分 泌されるメラトニンは抗酸化作用を有することが関係しているか もしれない24)。 CML やペントシジンの生成過程では糖化反応 と酸化反応の両者が関与することから25,26)、 メラトニンが抗酸 化物質としてこれらの AGEs 生成抑制に貢献した可能性があ る。 最近、 メラトニンは蛍光性 AGEs 生成抑制作用を有するこ とがわかってきたため (未発表成績)、今後の検証が待たれる。

結語

AGEs の蓄積を反映する皮膚蛍光は、 喫煙・高頻度の飲酒・ 睡眠不足といった生活習慣の乱れによる生体内の糖化度も同 様によく反映している可能性が示唆された。 従って、 若年者 であっても皮膚蛍光は糖代謝をよく反映する効果的な指標の 一つであり、 継続的にモニターすることで生活習慣を見直す 助けとなると考えた。 自己申告により収集したため、 データの信頼性が乏しいと考え た。 従って、 以下は睡眠時間をリスクとして加えた場合とそうで ない場合で、 皮膚 AF を比較検討した。 合併モデルケース 1 に関して、 喫煙および飲酒リスクが積み 重なることで、 皮膚 AF 上昇が段階的に促進される可能性が 示唆された (Fig. 2 (a))。 一方、 ケース 2 に関しては、 喫煙 ・ 飲酒 ・ 睡眠リスクを 1 つだけ持つ群の皮膚 AF は有意に高値 ではなかったが、Risk 2 ~ 3 で強い有意性を示した (Fig. 3 (b))。 以上より、睡眠時間は単一のリスクとしては弱いと考えられるが、 喫煙または飲酒リスクとの合併で、 皮膚 AF を促進する可能性 が示唆された。 年齢補正を行っても喫煙 ・ 高飲酒頻度 ・ 睡眠不足は皮膚 AF と相関したが、 特に中年者の解析結果から、 40 ~ 50 代に おいては加齢に伴い段階的に皮膚 AF が上昇するのではなく、 生活習慣が皮膚 AF に大きく関与することが示唆された (Fig. 2)。 尚、 リスク数 3 に関しては、 20 代から 40 代の間ではリスク 0 ~ 2 と比較して皮膚 AF が急上昇し 50 代で低下した。 これは、 今回調査対象になったのは比較的健康な者であり、 リスクを 3 つ持つ 50 代の中でも糖尿病を発症していない比較的健康な 者を調査した可能性がある。 糖尿病をはじめとする生活習慣 病は、 加齢とともに発症率が増加することから、 生活習慣リス クを 3 つ持つ多くの 50 代の者は糖尿病を発症している可能性 がある。 我々の先行研究によると、 糖尿病患者の皮膚 AF 平 均値は 2.5 程度であった18)。 加齢曲線の限界 本研究では、 複数の加齢曲線を作製し皮膚 AF の加齢変 動の違いから、 正常老化と病的老化を区別する表現方法を試 みた (Fig. 4(a) (b))。 一方、 本研究で作成した加齢曲線の限 界について考えた。 年齢層および生活習慣リスクの有無によ り群分けしたため、 1 群当たりの被験者数が少なく、 統計的有 意差が示せなかった場合があった。 従って、 同方法を用いる には十分なサンプル数が必要である。 また、 本研究のデザイ ンは横断研究のため、 同一被験者の加齢変動を調べたわけ ではないことに注意するべきである。 以上の点は、 今後の課 題としたい。 生活習慣と生体内の AGEs 今回の結果から、 皮膚 AGEs 蓄積抑制のためには、 若いう ちから悪しき生活習慣をつけないこと、 また、 少なくとも早期に 生活習慣を改善することが効果的であると考えられた。 尚、 運 動に関しては皮膚 AF との関係を認めることはできなかったも のの、 血糖コントロールのために運動習慣は重要であることは 間違いない。 なぜなら、 悪しき生活習慣は以下のような糖化リ スクを促進する恐れがあるからである。 先行研究によると、 糖化反応物の原因の一つが煙草であ り喫煙者は非喫煙者より血中 AGEs がわずかに高いこと、 ま た、 非糖尿病者でも喫煙者の組織 AGEs 蓄積量は非喫煙者 よりも高値であることが報告されている19,20)。 タバコは数百種 類の有害物質を含んでおり21,22)、 これらの物質が AGEs 生成

(9)

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Fig. 1. Flow chart of the grouping and development of the model 倫理基準 本試験は厚生労働省 ・ 文部科学省の 「疫学研究に関する 倫理指針」 を遵守した。 本研究は同志社大学倫理審査委員 会を開催し,試験の倫理性および妥当性について審議を行い、 承認のもとに実施した (承認番号 0832)。 結果 各年齢層の測定及び調査結果 各年齢層の被験者の皮膚 AF および生活習慣を Table 1(a)に、 また、 血液生化学検査などを受診した者の背景
Fig. 2. Skin AF with aging
Table 2     Single and partial correlation analysis
Fig. 3. Relationship of skin AF and lifestyle behavior risk number in merger model in all age groups

参照

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