ギリシャ財政危機の経緯と最近の状況
平成22年7月20日
内閣府
(備考)ブルームバーグより作成。
1.ギリシャ危機の経緯
2009年10月
○政権交代
新民主主義党(中道右派)
→全ギリシャ社会主義運動党(左派)
○財政統計データの大幅下方修正
財政収支GDP比 2008年 ▲5.0%→▲7.7%、
2009年 ▲3.7%→▲12.5%
⇒ ギリシャの財政に対する市場の不信の高まり
2009年11月
○ドバイ・ショック
⇒ 市場がソブリン・リスクを強く意識するように
2009年12月
○ギリシャ国債の格付け引下げ
⇒ ギリシャの財政に対する市場の懸念が更に
高まる
2009年11月
○ギリシャ政府が累次の財政再建策を発表
~2010年3月
○EUもEU首脳会合等で「欧州の金融安定
のために必要な場合には断固とした協調
行動を取る」等のメッセージを発出
⇒ 市場のギリシャへの懸念はおさまらず
(長期金利、CDS)
4月11日
○IMF融資とユーロ圏参加国による支援
枠組みの合意
4月23日
○ギリシャ政府が正式に支援要請
ギリシャ財政危機①
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2008 09 10 9月15日 リーマン・ブラザーズ 破たん (月) (年) 7/19 時点 ギリシャ 778.0 (bps)○ドイツ国債(10年物)利回りとのスプレッド
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2008 09 10 9月15日 リーマン・ブラザーズ 破たん (月) (年) 7/19 時点 ギリシャ 814.0 (bps)○ソブリンCDS
2
(備考)ブルームバーグより作成。
ギリシャ財政危機②
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1 2 3 4 5 6 7 2010 イタリア スペイン ポルトガル ギリシャ アイルランド 英国 ベルギー (月) (年) 7/19 時点 ギリシャ 778.0 アイルランド 283.9 ポルトガル 282.9 スペイン 175.7 英国 70.3 イタリア 140.2 ベルギー 66.3 (bps)○ドイツ国債(10年物)利回りとのスプレッド
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1 2 3 4 5 6 7 2010 フランス ギリシャ アイルランド イタリア ポルトガル スペイン 日本 オーストリア (月) (年) 7/19 時点 ギリシャ 814.0 アイルランド 260.0 ポルトガル 288.7 スペイン 219.6 オーストリア 92.1 イタリア 173.1 ベルギー 116.0 日本 84.7 (bps)○1,100億ユーロの支援策
5月2日、ユーロ圏財務大臣会合において、ギリシャ
政府からの要請を踏まえ、ユーロ圏参加国、ECB及び
IMFは、ギリシャの財政再建を条件に、3年間で1,100
億ユーロのギリシャ支援に合意。
(参考1)1,100億ユーロの内訳: ユーロ圏参加国が800億ユーロ、IMFによる融資が300億ユーロ (参考2)最初の融資は、85億ユーロ相当のギリシャ国債償還日である5月19日 までに実施。ギリシャ政府は、IMFから55億ユーロ、ユーロ圏参加 国から145億ユーロの合計200億ユーロを受け取り。
○7,500億ユーロの基金
5月9日、ECOFIN(EU経済財務相理事会)にお
いて、新設の欧州金融安定化メカニズム(ユーロ圏安定基
金)への総額最大7,500億ユーロの支援に合意。
(参考1)ユーロ圏安定基金内訳(見込み): EU600億ユーロ、ユーロ圏参加国等による保証4,400億ユーロ、 IMFによる2,500億ユーロ (参考2)本件支援は、欧州条約第122条第2項に基づく財政支援で、IMF 同様の厳格なコンディショナリティの下で融資を行うとしている。○ECB(欧州中央銀行)の対応
5月10日、機能不全に陥った国債及び社債の流通市場へ
の介入を発表。
○各国中央銀行の協調行動
5月10日、各国中央銀行(カナダ、英国、ECB、
米国、スイス、日本)は、米ドルスワップ取極を再締結、
米ドル資金供給オペレーションを実施。
○ソブリンCDS(先進国でソブリンCDSの高い上位8か国)
○ギリシャの実質GDP成長率
○ギリシャの失業率
-6 -4 -2 0 2 4 6 8 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 2007 08 09 10 (前期比年率、%) (年) (期) 2010年Q1 ▲3.9%○ギリシャの財政:2014年までの5年間でGDP比11%の財政再建
(備考)ユーロスタットより作成。 (備考)1.ギリシャ政府統計局より作成。 2.数値は、原数値(季節調整値 ではない)。 2009 2010 2011 2012 2013 2014 実質GDP成長率 ▲2.0 ▲4.0 ▲2.6 1.1 2.1 2.1 一般政府財政収支GDP比 ▲13.6 ▲8.1 ▲7.6 ▲6.5 ▲4.8 ▲2.6 一般政府債務残高GDP比 115 133 145 149 149 146 4 6 8 10 12 14 1 3 5 7 9111 3 5 7 9111 3 5 7 9111 34 2007 08 09 10 (%) (年) (月) 2010年4月 11.9% (備考)ギリシャ政府、IMFより。ギリシャ財政危機③
懸念① ギリシャの財政再建の実現可能性
懸念② 今後の国債償還スケジュール
懸念③ コンテイジョンのリスク
次ページ参照
ギリシャ世論調査結果(5月4日)
(1)新たな財政再建措置
賛成23% 反対66%
(2)新たな財政再建措置は唯一の手段か
唯一の手段32% 唯一ではない59%
(3)パパンドレウ首相に対する評価
肯定的36% 否定的62%
(4)ストやデモを受容するか
受容する68% 受容できない28%
73 314 317 268 316 415 153 222 98 247 683 0 100 200 300 400 500 600 700 800 2010 11 12 13 14 15 16 17 18 19 2020年 以降 (年) (億ユーロ) (備考)1.ブルームバーグより作成。 2.2010年7月1日時点。4
ギリシャ財政危機④
○財政状況・格付け
(備考)ブルームバーグ、ユーロスタット、OECDより作成。○各国銀行のPIIGS諸国向け対外与信残高
○ギリシャ国債の保有主体(10年4月時点)
ギリシャ 29% ドイツ/スイス/ オーストリア 9% フランス11% /アイルランド英国 23% ベネルクス 三国 5% イタリア 6% スウェーデン /ノルウェー /デンマーク 4% その他 5% アメリカ 3% アジア 3% スペイン /ポルトガル 2% (備考)ギリシャ国債管理庁による。 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 フランス ドイツ 英国 オランダ アメリカ ベルギー スペイン 日本 ギリシャ向け イタリア向け アイルランド向け ポルトガル向け スペイン向け (億ドル) 8,948 7,038 4,000 2,433 1,896 1,018 1,479 1,155 (備考)1.BISより作成。 2.2009年12月末時点。 3. ECB他、各国統計より作成。民間銀行総資産額を09年12月末の為替レートで ドル建て換算。 (億ドル) フランス ドイツ 英国 オランダ アメリカ ベルギー スペイン 日本 ポルトガル向け 449 474 256 141 47 59 850 43 イタリア向け 5078 1897 765 691 532 287 472 544 アイルランド向け 521 1838 1727 282 571 346 146 217 ギリシャ向け 788 450 154 122 166 47 12 67 スペイン向け 2112 2380 1100 1197 580 278 - 284 合計 8,948 7,038 4,000 2,433 1,896 1,018 1,479 1,155 与信残高全体に占める ギリシャの割合(%) 2.1 1.4 0.4 0.8 0.7 1.1 0.1 0.3 与信残高全体に占める PIIGS諸国の割合(%) 24.3 21.6 11.2 15.5 7.7 24.0 10.9 5.1 (参考)銀行総資産額 (億ドル) 53,465 51,924 42,357 15,481 116,068 8,082 24,068 86,035 (参考)PIIGS諸国向け与信 対銀行総資産比 16.7 13.6 9.4 15.7 1.6 12.6 6.1 1.3 主要格付け機関による格付け 一般政府財政収支GDP比 一般政府債務残高GDP比 ムーディーズ S&P フィッチ 2009 2009 ポルトガル A1 A- AA- ▲ 9.4 76.8 イタリア Aa2 A+ AA- ▲ 5.3 115.8 アイルランド Aa2 AA AA- ▲ 14.3 64.0 ギリシャ Ba1 BB+ BBB- ▲ 13.6 115.1 スペイン Aaa AA AA+ ▲ 11.2 53.2 ベルギー Aa1 AA+ AA+ ▲ 6.0 96.7 英国 Aaa AAA AAA ▲ 11.5 68.1 ドイツ Aaa AAA AAA ▲ 3.3 73.2 フランス Aaa AAA AAA ▲ 7.5 77.6 日本 Aa2 AA AA- ▲ 7.2 192.9 アメリカ Aaa AAA AAA ▲ 11.0 83.0経 緯
○4月25日、ハンガリーで総選挙が行われ、
中道右派の最大野党ハンガリー市民連盟
(FIDESZ)が勝利し、8年ぶりの
政権交代(オルバン首相就任)。
○6月4日、オルバン首相のシーヤート報道官
が、デフォルトに関する観測が「誇張だとは
まったく考えていない」と発言。
○上記発言を受けて、6月4日、ハンガリーの
通貨フォリントが大幅下落。また、これを
きっかけとした他の欧州諸国の財政問題に対
する懸念の高まり、財政悪化国への貸出が多
い欧州金融機関の経営悪化懸念から、ユーロ
は大幅下落。
○6月8日、ECOFIN(EU経済財務相
理事会)において、統計に関する規則の強化
について合意。統計の質を検証するため、
ユーロスタット(欧州統計局)の役割を強化
することとなった。
○6月8日、レーン欧州委員が、ブルガリアの
財政統計に懸念を表明。
ハンガリーの財政不安について①
(備考)ブルームバーグにより作成。○ソブリンCDS(中・東欧)
0 100 200 300 400 500 600 1 2 3 4 5 6 7 2010 ポーランド チェコ ルーマニア ブルガリア リトアニア ラトビア エストニア スロバキア スロベニア ハンガリー (月) (年) 7/19 時点 (bps) ラトビア 357.5 チェコ 97.6 ポーランド 144.4 ルーマニア 381.4 ブルガリア 344.8 ハンガリー 372.3 リトアニア 268.3 エストニア 107.1 スロバキア 88.2 スロベニア 82.56
ハンガリーの財政不安について②
(備考)1.BIS「国際与信統計」より作成。 2.2009年12月末時点の数値。 3.ECB他、各国統計より作成。民間銀行総資産額を09年12月末の為替レートでドル建て換算。○ 中・東欧諸国への貸出が多いのは、オーストリア、ドイツ、イタリアの金融機関。このため、
ヨーロッパの金融システムが不安定化する懸念。
・特にオーストリアの金融機関は歴史的な経緯もあり、ハンガリーを始めとする中・東欧諸国への
貸出が多く、対外与信残高の約4割を占めている。
・また、スウェーデンの金融機関は、地理的な関係もあり、バルト三国への貸出が多い。
○ 日本の金融機関の中・東欧諸国向けの対外与信残高は、79億ドルと少ない。
対外与信残高全体に占める ハンガリーの割合(%) 7.1 2.6 1.0 0.3 4.2 0.1 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1 対外与信残高全体に占める 中・東欧諸国の割合(%) 39.5 13.7 4.0 2.8 21.9 10.4 3.4 0.9 0.3 0.3 0.5 (参考)銀行総資産額(億ドル) 7,258 26,169 51,924 53,465 8,082 9,700 15,481 116,068 42,357 86,035 24,068 (参考)中・東欧諸国向け与信 対銀行総資産比(%) 28.5 5.0 2.5 1.9 11.5 7.6 3.5 0.2 0.2 0.1 0.3 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 オーストリア イタリア ドイツ フランス ベルギー スウェーデン オランダ アメリカ 英国 日本 スペイン ポーランド向け ブルガリア向け チェコ向け ルーマニア向け ラトビア向け リトアニア向け エストニア向け スロバキア向け ハンガリー向け スロベニア向け (億ドル) 2,067 1,302 1,313 1,022 931 737 537 221 89 79 72○中・東欧諸国に対する欧州金融機関の対外与信残高
ギリシャ等のソブリン・リスクがヨーロッパの金融システム不安に拡大
(備考)データストリームより作成。 0 100 200 300 400 500 600 700 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 2008 09 10 (月)(年) ユーロ圏 英国 アメリカ (bp)●EUストレステストの実施方法の概要を発表
○7月7日、欧州銀行監督委員会(CEBS)
は、EUストレステスト実施方法の概要を
発表。これによると、91行を対象にストレス
テスト(健全性審査)を実施。
ストレステストの結果は、総計と個別行に
ついて、7月23日に発表予定。
○対象行の91行は、EU域内の金融機関の65%
(総資産ベース)に相当。大手銀行、ドイツ
の州立銀行、スペインの貯蓄銀行(カハ)を
含む。
○ストレステストで使う悪条件シナリオでは、
EUのGDPが、向こう2年間で、欧州
委員会の成長見通しより3%悪化すること
を想定するとともに、5月上旬よりも国債
価格が下落することを想定している。
(参考)欧州委員会春季見通し(2010年5月発表)
EUの実質GDP:2010年 1.0%増、
2011年 1.7%増
(備考)CEBS資料より作成。●CDS(銀行セクター)の推移
(2008年以降)
-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 2007 08 09 10 ユーロ圏 英国 ドイツ フランス ユーロ圏 10年1Q 0.8% ドイツ 10年1Q 0.6% フランス 10年1Q 0.5% 英国 10年1Q 1.3% ギリシャ 10年1Q ▲3.9% ポルトガル 10年1Q 4.3% アイルランド 10年1Q 11.1% イタリア 10年1Q 1.7% スペイン 10年1Q 0.3% (前期比年率、%) (期) (年)
ヨーロッパ経済
○ヨーロッパ主要国の実質GDP成長率
○国際機関等の見通し
(備考)ユーロスタット、ドイツ連邦統計局、INSEE(仏国立統計経済研究所)、 英国統計局、ギリシャ政府統計局より作成。(備考)IMF“World Economic Outlook Update”、OECD“Economic Outlook 87”、 欧州委員会“European Economic Forecast Spring 2010”より作成。
4 6 8 10 12 14 16 18 20 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 2007 08 09 10 ドイツ スペイン フランス 英国 ギリシャ 4月 11.9% ポルトガル 5月 10.9% アイルランド 5月 13.3% イタリア 5月 8.7% (月) (年) スペイン 5月 19.9% ユーロ圏 5月 10.0% フランス 5月 9.9% ドイツ 5月 7.0% 英国 5月 7.8% (%) (備考)1.ユーロスタット(ユーロ圏、ドイツ、フランス、スペイン)、英国統計局、 ギリシャ政府統計局より作成。 2.ギリシャの数値は、原数値(季節調整値ではない)。 2 ギリシャの数値は 原数値(季節調整値ではない) ユーロ圏