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介 護 サービス 相 談 の 分 類 および 相 談 件 数 (1) 介 護 サービス 相 談 を3つに 分 類 (2) 契 約 にかかわる 相 談 の 大 半 は 介 護 保 険 の 対 象 サービス 2

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介護契約にかかわる相談の実態〈概要〉

2000 年 11 月 6 日 国民生活センター

■ 「消費者と事業者」の問題として把握

2000 年4月、介護保険制度がスタートし、介護サービスの利用方法は、措置から契約に 転換した。この半年間に、行政や市民グループなどが公表した介護サービス相談は、申請 や認定、保険料など制度の問題、つまり「利用者と行政」の問題として捉えられている。 介護保険制度を利用者本位のものとしていくには重要な捉え方である。 それと同時に、消費者契約の視点から「消費者と事業者」の問題として把握することも 消費者被害の未然防止には欠かせない。 そこで、「全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO−NET)」に入力されている 「介護契約にかかわる相談」内容を整理し、消費者と事業者双方に提供することは消費者 被害の予防と被害救済につながる、と判断し相談の実態を公表することとした。 ここでは、本年 1 月の受付相談から 10 月中旬までに「全国消費生活情報ネットワーク・ システム」に入力された相談を対象とした。この間の介護サービス相談は、230 件である。

■ 相 談 の 概 要

1 介護契約にかかわる相談が9割強 230 件中、介護契約にかかわる相談が 9 割強(210 件)を占める。特に、有料老人ホーム (54 件)と訪問介護(46 件)の相談が多い。次いで、居宅介護支援(20 件)、ショートステ イ(15 件)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム 14 件)と介護老人保健施設 (12 件)、 デイサービス(11 件)、ケアハウス(9 件)、デイケア(4 件)、訪問看護(3 件)が続く。 申請、認定および制度に関する相談は 9 件である。 2 介護の質と費用に関する相談が多い 相談内容は、介護サービスの質(42 件)と費用(46 件)に関する相談が多い。表面化し ている数値はまだ少ないが、介護サービスの質と金銭面の問題の重要性が現われている。 解約(退去)の相談 31 件、介護事故は 23 件、事業者選びに困っての相談 18 件、販売方 法に関しては 17 件、取引条件 13 件、契約拒否・不能 10 件が寄せられている。

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■ 介護サービス相談の分類および相談件数

相談の特徴を把握するために、「介護サービス相談」の分類を行い、その中で最も多い「介 護契約にかかわる相談」については、「相談事項」を分類、整理し、特徴をみた。 (1) 介護サービス相談を3つに分類 介護サービス相談(230 件)を [ 介護契約にかかわる相談 ] [ 申請、認定および制度に関する相談 ] [ 事業者、ヘルパーなどからの相談、情報提供 ] の 3 つに分類した。 [ 介護契約にかかわる相談 ] が、91.3%(210 件)を占め、[ 申請、認定および制度に 関する相談 ]と[ 事業者、ヘルパーなどからの相談 ]は、4%前後にとどまる。 (2) 契約にかかわる相談の大半は、介護保険の対象サービス [ 介護契約にかかわる相談 ] (210 件)を 〈1 介護保険の対象サービス〉 〈2 介護保険の対象外サービス〉 〈3 身体障害者対象の介護サービス〉に分けた。 〈1 介護保険の対象サービス〉は、 介護サービス相談(230 件)の 87.8%(202 件)、 「介護契約にかかわる相談」(210 件)の 96.2%(202 件)であり、大半は介護保険 の対象サービスである。 〈2 介護保険の対象外サービス〉は、外出支援等の相談が 1.7%(4 件)となっている。 〈3 身体障害者対象の介護サービス〉には、介護保険法の適用とはならない身体障害者 の介護サービスを分類した。1.7%(4 件)である。65 歳以上の身体障害者の介護契 約にかかわる相談は、<1 介護保険の対象サービス>に分類した。

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(3) 介護保険対象サービスのうち居宅サービスの相談が 7 割強 〈1 介護保険の対象サービス〉 (202 件)を 介護保険法の分類に従い居宅介護支援、 居宅サービス、 施設サービスの3つに大別し、 さらにサービス種類別に分けた。 ◆ 居宅介護支援の相談は、 介護保険の対象サービスの約 1 割(20 件)であり、そのうち の 6 割(12 件)が介護の質にかかわるトラブルである。 ◆ 居宅サービス は、介護保険の対象サービスの 7 割強(151 件)を占める。 特に、有料老人ホーム(54 件)と訪問介護(46 件)が多い。 次いで、ショートステイ(15 件)、デイサービス(11 件)、デイケア(4 件)と続く。 有料老人ホームは、解約と介護費用に関する相談が 7 割弱(54 件中 36 件)である。 訪問介護は、介護の質と費用に関する相談が半数を超える(46 件中 25 件)。 ショートステイは、介護事故に関する相談が 7 割強(15 件中 11 件)となっている。 ◆ 施設サービスは、 介護老人福祉施設(14 件)と介護老人保健施設 (12 件)に比べる と、介護療養型医療施設の相談は 1 件と少ない。だが、潜在化しているトラブルは少 なくないと思われる

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介 護 サ ー ビ ス 相 談(230 件) の 分 類

[介 護 契 約 に か か わ る 相 談]

(210 件) 1 介 護 保 険 の 対 象 サ ー ビ ス (1) 居 宅 介 護 支 援 (2) 居 宅 サ ー ビ ス A 訪 問 介 護 B 訪問入浴介護 C 訪 問 看 護 D 訪問リハビリハビリテーション E 居宅療養管理指導 F 通所介護 (デイサービス) G 通所リハビリテーション(デイケア) H 短期入所生活介護(ショートステイ) I 短期入所療養介護(ショートステイ) J 痴呆対応型共同生活介護(グループホーム) K 有料老人ホーム(特定施設入所者生活介護) L ケ ア ハ ウ ス(特定施設入所者生活介護) M 福祉用具貸与 (*居宅介護福祉用具購入*居宅介護住宅改修−これらは介護保険法では、居宅 サービスには含まれていないが、居宅サービスに分類する) (3) 施 設 サ ー ビ ス A 介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム) B 介護老人保健施設 (老人保健施設) C 介護療養型医療施設 (療養型病床群) 2 介護保険の対象外サービス(外出支援等) 3 身体障害者対象の介護サービス(介護保険適用外)

[申請、認定および制度に関する相談]

( 9 件)

[事業者、ヘルパーなどからの相談、情報提供]

(11 件)

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■ 介護契約にかかわる相談事項の分類

・ 介護契約にかかわる相談の特徴を捉えるために、事業者の選定から契約の締結、履行、 契約の終了に至る過程の問題別に分類した。 ただし、「1 介護サービスの質」と「3介護費用」は、「2 取引条件」とかかわる事項 であるが、相談件数が多いことから「2 取引条件」とは別の分類とした。 ・ 介護の提供過程で利用者に対し何らかの不利益な結果を与えた場合、または与える危 険のあった場合の相談は「8 介護事故」とした。 ・ 件数の少ない相談は、当面「9 その他」に分類した。 先の介護サービスの分類別に、相談事項をみると、相談の実態と問題点が明ら かになってくる。次は、「介護契約にかかわる相談の特徴」をみる。

1 介護サービスの質 介護支援専門員、ヘルパー、施設職員等への不満や不安。異性介護等。 2 取 引 条 件 不当条項。サービス計画・計画変更への不満。 取引条件の中身への不信。保証人・身元引受人など契約の条件への疑問。 3 介護費用、支払方法等 ①利用料、交通費 ②入会費、年会費、登録費 ③支払方法(クレジット取引など) ④介護費用(有料老人ホームの返還金など) 4 契約拒否(忙しさなどを理由に契約に応じない。計画を立ててくれない) 契約不能(事業者が少なく、契約できない) 5 解約、退去 6 販売方法、会員契約(商品販売、強引な販売) 7 事業者の選び方、利用方法 8 介 護 事 故 9 その他(金銭管理、診断書など)

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■ 介護契約にかかわる相談の特徴

介護サービスも消費者契約法の適用対象であり、介護サービスの特質を考えると、消費 者と事業者の権利義務関係を明確にするためには、同法を踏まえた契約の締結や契約書の 作成が不可欠である。 介護サービスの特質とは、 1つは、介護を買う消費者は、心身機能の衰えた人である。 2つは、サービス(役務)は、形のある商品とは異なり、内容や質がわかりにくい。 3つは、第三者のいないところで提供される場合が多い、ということである。 介護契約にかかわる相談をみると、消費者も事業者も契約に関する次のような点を十分 認識できぬまま、居宅サービス計画の作成や介護の提供がなされている実態がうかがえる。 1 要介護認定の通知を受けた後、居宅サービス利用者は、居宅介護支援事業者に居宅 サービス計画作成などの申し込みをし、事業者が承諾すると、居宅サービス計画作 成などの居宅介護支援契約が成立すること。 2 訪問介護の契約の前に、居宅介護支援契約があること。 3 居宅介護支援の契約と訪問介護契約などの居宅サービス契約が併存すること。 こうした点を理解できないうえに、難しい契約書や重要なことが書かれていない説明書 を示された消費者が困惑している様子が相談に現れている。 契約書がない事例や重要事項が説明されていないと思われる事例もみられる。 相談事項をみると、全般的には、介護の質と費用に関する相談が多い(表3)。 介護サービスにより相談の特徴は異なる点があることから、居宅介護支援、居宅サービ ス、 施設サービスに分けて、相談の実態と問題点をみる。 ただし、個々の事例についての情報量は限定されていることと、それらの契約書を入手 していないために、契約書や説明書に関する点は、当センターが別途に収集した契約書等 によるものである。 なお、★1、☆2 という表記は、報告書 第Ⅱ章の相談事例に付した番号である。 相談件数は PIO−NET に入力されている件数であるが、事例は「介護など高齢者トラブル 110 番」(本年 5 月に実施。国民生活センター・全国消費生活相談員協会共催)の事例も取 り上げているため事例の番号は、件数を上回る数値となっている。

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1 居 宅 介 護 支 援 「介護サービスの質への不満」に関する相談が 6 割(20 件中 12 件)を占める。他は、 「居宅サービス計画に納得できない」「契約できず困っている」「解約料に疑問がある」 「レンタル商品を強引に契約させられた」「顧客争奪戦に巻き込まれた」などの事例がある。 こうした問題が発生する背景には、同一事業者が、申請代行から訪問調査、居宅サービ ス計画作成、サービス提供まで行っている実態がある。 介護保険法は、居宅介護支援事業者が、要介護認定の申請代行と訪問調査の受託事務を 行うことを可能としており、居宅介護支援事業者がサービス提供事業者でもある場合が少 なくない。その結果、「顧客争奪トラブルに巻き込まれたり」<第Ⅱ章 (1)居宅介護支援 −★27・28 報告書 28 頁>、「事業者側の都合を優先した計画が立てられたり」している。 (1) 介護サービスの質への不満 ① 同一の事業者が計画を立て介護を提供 - チェックするにはどうしたらよいか (報告書 22 頁) 居宅サービス計画作成とサービス提供を同一事業者が実施していることが、介護の質へ の不満や不信の一因となっている事例がみられる<第Ⅱ章 (1)居宅介護支援−★1 ☆2>。 では、計画作成とサービス提供を別の事業者が行えば、トラブルは解消するかといえば、 そうとは言えない。利用者の利益を最優先した計画が立てられ、適切なサービスが提供さ れるならば、同一の事業者が計画作成とサービス提供をしたほうが、介護支援専門員とサ ービス提供者との濃やかな連携が取りやすいという点もある。 だが、高齢者の判断能力の有無や意思確認が事業者の判断に委ねられてしまう点、ある いは事業者にとって都合のよいサービス提供が優先するおそれのある点が問題となる。 ② 介護支援専門員の変更 -「信頼できない」 しかし、事業者の事情もある (報告書 23 頁) 介護サービスの質に関する相談の中には、介護支援専門員の変更を求める声がみられる <第Ⅱ章 (1)居宅介護支援−★7∼☆9>。 介護支援専門員への不満は、提供者の質に起因していることがある<★3 ☆4>。 経験のない職業であり不慣れなためにトラブルが生じている場合が少なくないであろう。 「居宅介護支援利用契約書」あるいは重要事項説明書のなかには「介護支援専門員を交 代することができる」と明記されているものもある。 契約書や重要事項説明書に明記されていなくても、介護支援専門員の交代を求めれば応 じる事業者もある。 ただし、介護支援専門員への不満は介護支援専門員が提供するサービスの質というより 事業者の事情が個人への不満という形になって現れている事例が少なくないと思われる。

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(2) 居宅サービス計画・計画変更への不満-希望を聞いてくれない (報告書 24∼26 頁) 「訪問介護や訪問看護、デイサービス、デイケア、訪問入浴を希望どおりに取り入れた 計画を立ててくれない」と困っている<第Ⅱ章 (1)居宅介護支援−★13∼☆19>。 介護支援専門員の所属する居宅介護支援事業者が、サービス提供事業者でもある場合、 提供サービスの種類・量、提供者数などに見合った計画を作らざるを得ない実態がある。 こうした事情がある場合は、介護支援専門員個人を変更しても問題は解決しない。 希望に沿った計画を作成できない理由が、「保険が適用される範囲内」という制度上の制 限であれば、介護支援専門員は分かりやすく説明をし、そのうえで「保険外の介護」の利 用は全額自己負担となることを説明してほしい<第Ⅱ章 (1)居宅介護支援−☆20・21>。 (3) 事業者と契約できない (報告書 27・39 頁) 「居宅介護支援事業者や訪問介護事業者と契約できない」人たちもいる <第Ⅱ章 (1) 居宅介護支援−★22∼☆24 (2)居宅サービス−A訪問介護 ★38∼40>。 「計画作成だけを依頼し、介護の提供は別の事業者と契約をする消費者は、計画作成を 後回しにされたり、作成を断られたりしている」。だが、事業者は、消費者からのサービス 提供の申し込みに対し、正当な理由なく拒否することはできない。 利用者を選んでいる事業者もあるが、介護支援専門員やヘルパー、看護婦等の数が足ら ないために契約を断らざるを得ない事業者もある。 (4) なぜ、解約料が必要なのか (報告書 28 頁) 「希望を計画に入れてくれない、などの理由で事業者と解約する」事例がある。 その際、「解約料が必要と言われたために、言いたいことも言えなかった」人がいる<第 Ⅱ章 (1)居宅介護支援−☆25・26>。 介護計画の作成料は全額、介護保険から事業者に 支払われ、利用者の負担はないが、解約となれば、解約料を請求する事業者がいる。 事業者は消費者に、「契約後に、作成した介護計画に同意せず解約したら解約料を請求す るか否か」を契約前に、分かりやすく説明し、契約書に明記すべきである。 (5) 強引にベッドや車いすのレンタル契約をさせられた (報告書 28 頁) 「介護支援専門員にデイサービスの利用を希望したら、レンタルのベッドや車いすを強 引に契約させられた。ベッドは使わない」という <第Ⅱ章 (1)居宅介護支援−☆29>。 介護サービスの利用の機会に、介護支援専門員やヘルパーが、物品の購入やレンタルを 勧めたり販売することは避けるべきではないだろうか。

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2 居 宅 サ ー ビ ス 居宅サービスの相談のなかでは、有料老人ホームに関する相談が多い(54 件)。次いで、 訪問介護(46 件)、ショートステイ(15 件)、デイサービス(11 件)、ケアハウス(9 件)、 デイケア(4 件)、福祉用具貸与・購入(3 件)、訪問看護(3 件)、グループホーム(1 件) となっている。 まず、訪問介護とデイサービスを主に取り上げ、相談内容が他と異なる有料老人ホーム については別途にみる。ショートステイについては、4 介護事故 で触れる。 (1) ホームヘルパーへの不信、質への不満 ホームヘルプサービスの質への不満は、訪問介護相談の 3 割強(46 件中 15 件)である。 内容は、介護サービスの質に起因する生命・身体上の被害、言葉による精神的被害などで ある<第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護 ★1∼☆17>。 ① ヘルパーを変更してほしい - ヘルパーの言動に不満 (報告書 30・31 頁) 「ヘルパーの変更を求める相談」や「ヘルパーの言動への不満」が寄せられている<第 Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護 ★1∼☆17>。 「訪問介護利用契約書」には、ヘルパーの変更を明確に認めている事業者、あるいは不 明瞭であるが認めるように読める事業者もあるが、規定のない事業者もある。 介護サービスは、提供者その人と切り離しがたい点から、サービスの改善方法の1つと して、ヘルパーの交代を求める権利は重要な意味をもつ。契約書に規定されていない場合 でも事業者に交代を求めれば、対応する事業者はある。 ② 異性介護はやめてほしい - 自尊心を傷つける (報告書 32 頁) 「男性に母のおむつを交換させたくない」という異性介護への拒否もある<第Ⅱ章 (2) 居宅サービス−A訪問介護 ☆18・19>。 契約書や重要事項説明書に、同性の職員が介護すること(同性介護)が約束されていな くても、自尊心や羞恥心といった人格上の利益を保護するうえで同性介護は必要である。 事業者に対して同性介護を要求することができる。 (2) 事故が起きても責任は負わない (報告書 32 頁) 「万一事故が起きても責任は負わない」と書かれた申込書についての問い合わせがある <第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護 ★20>。この規定は、消費者契約法 8 条1項に 該当し、無効になりうる(消費者契約法は、2001 年 4 月 1 日施行)。

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(3) 利用料、交通費に不満 「何をいくらで提供し、交通費を請求するか否か」が契約前に知らされていないために、 請求金額に納得できず相談を寄せている。利用料についての「説明が不十分」であり、契 約書や重要事項説明書に記載されていない事例もあるように思われる。なかには、それら が渡されていない事例もある<第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護 ☆27∼★31>。 交通費の請求についても同様のトラブルが起きている<★33・34>。(報告書 36∼38 頁) 料金をめぐる相談は、デイサービスのように制度の転換による不満もある<第Ⅱ章 (2) 居宅サービス−F通所介護 ★3∼☆7>。 (報告書 43・44 頁) 医療機関が経営しているデイケアについては、「利用料の不明瞭さに納得できない」とい う相談が寄せられている<G通所リハビリテーション★2> (報告書 46 頁) (4) キャンセル料に納得できず - 以前は請求されなかった (報告書 39・45 頁) 「病院に通院しており、帰宅した時間がヘルパーの来る時間より 10 分遅かったために、 ヘルパーは帰ってしまい、キャンセル料を請求された」といった相談がある。利用契約は 継続するが、(例えば)1日だけ介護利用を中止する場合のキャンセル料についての相談で ある <第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護−★41・42、F通所介護−☆12・13>。 介護保険制度発足前の事業者のキャンセル規定(前日であれば無料、またはキャンセル 料は不要という事業者があった)より利用者に厳しい規定(例えば 24 時間前であれば無料) を契約書に取り入れた事業者があり、不満が寄せられている。なかには、キャンセル料や キャンセル期間を定めているが、理由によっては、請求しない事業者もある。 (5) 契約できず困っている - 事業者に断られた (報告書 39・44・46・47 頁) 先にみた居宅介護支援と同様に、「訪問介護や通所介護などの事業者に、サービス提供を 依頼したら断られ」利用できずに困っている人がいる<第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問 介護−★38∼40 F通所介護−★9 ☆11 G通所リハビリテーション−☆3 ★5>。 (6) 訪問販売や電話勧誘による強引な販売に困っている (報告書 40 頁) 「訪問してきた事業者や電話で勧誘してくる事業者の強引な販売に困っている」相談が ある<第Ⅱ章 (2)居宅サービス−A訪問介護−★45・46>。いずれも 70 歳代の女性から の相談である。販売員の一方的なセールストークで家族構成を聞かれたりすることは、困 るだけでなく、高齢の一人暮らしの女性であれば、脅迫と感じることもあるかもしれない。 事業者は、心身機能の衰えた高齢者を相手に、強引ととられる販売は控えてほしい。

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(7) 有料老人ホーム - 解約と介護費用に関する相談が多い (報告書 50∼52 頁) 有料老人ホームに関する相談は 54 件あるが、なかでも解約金をめぐるトラブルなど「介 護への不安や事業者への不信から解約に関する相談」が 22 件ある<第Ⅱ章 (2)居宅サー ビス−K有料老人ホーム−★7∼21>。 介護費に関する相談は 14 件あり、そのうち介護保険の導入に伴い発生した「介護費の二 重取り」に関する相談は 7 件である<(2)居宅サービス−K有料老人ホーム−★3∼6>。 「入居時、介護費を支払ったが、介護保険が適用されても 一部しか返してくれない」 「介護費用のうち一部を返すが、基金として積み立てるという。返金してほしい」とい った相談が寄せられている。 2000 年 4 月から有料老人ホームの介護費用は、介護保険から支払われるようになった。 したがって、経営者は、これまで預かっていた介護費を入居者に返還する必要がある。 ホームの中には、介護費を全額返還しているところもあるが、経営難もあって返還額が 低額なうえに、その根拠が不明確というホームがある。有料老人ホームの多くは、入居一 時金として 3,000 万∼5,000 万円を受け取り、その他、毎月、管理費や食費として 10 数万 円を徴収する。これらの他に介護費として 500 万∼800 万円を受け取っている。 4 月前後に問題となっていたのは、4 月以前に受け取っていた介護費の返還額についてで あるが、4 月以降は、それに加え、これから入居する人たちにも介護費を請求していること の不明瞭さである。管理費には、ホーム職員の人件費や入居者の健康管理費なども含んで いるホームが一般的であり、介護が必要になる前の人から介護費を徴収するなら、そのこ とについて明確な根拠を示すべきではないか、と指摘されている。 3 施 設 サ ー ビ ス 31 件のうち、大半は老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と老人保健施設の相談である。 介護療養型医療施設に関する相談は 1 件しかみられないが、「介護など高齢者トラブル 110 番」には、10 件の相談が寄せられている。相談内容は、質に関する相談が 7 件、介護事故 が 5 件、介護費用と退去、販売方法が各 4 件で続く。 (1) 介護サービスの質への不満 - 対応や言葉に傷つく (報告書 59・60・65 頁) 「介護サービス提供者の対応や言葉に傷つき言葉を失ってしまった。痩せてしまった」 <第Ⅱ章 (3)施設サービス−A介護老人福祉施設−☆3 B介護老人保健施設−★1> 「介護の質が未熟なため、よく傷を負わされている」<A介護老人福祉施設−☆4> 「元気がないのに心身の状態を把握してくれない」<A介護老人福祉施設−★2> このような相談が寄せられている。

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(2) 費用の請求に納得できない - 請求金額の中身を聞いたら「嫌なら出て行け」 (報告書 62・63・65・66 頁) これまでは措置費によって運営していた施設が、介護報酬で運営していくことになり、 「利用者にポータブル便器やシーツなどを個人負担するよう求めたり」「保証金を要求した り」「おむつ代を突然請求した」ことに納得できないという相談がある<第Ⅱ章 (3)施設 サービス−A介護老人福祉施設−☆8∼★12 B介護老人保健施設−★5>。 なかには、費用請求がたびたびあるので、中身を質問したら、施設長から声を荒げて「嫌 なら出て行け」と言われた事例もある<A介護老人福祉施設−★10>。請求金額の中身が 不明という相談は、介護療養型医療施設にもみられる<C介護療養型医療施設☆3∼☆6>。 (3) 入院したら 1 週間以内に戻らないと解約 (報告書 63・64 頁) 「施設入所者が入院した場合、1 週間以内に施設に戻らないと解約する、といった規定を 示され」困っている <第Ⅱ章 (3)施設サービス A介護老人福祉施設−★14∼☆17>。 老人保健施設については、「要支援、要介護 1、2に認定された人たちが退所を求められ」 困っている人がいる<B介護老人保健施設−★6∼☆8>。 (報告書 66 頁) 4 介 護 事 故 (報告書 67∼71 頁) 介護事故の相談は 23 件であるが、その半数はショートステイ中の事故である(11 件)。 次いで、老人保健施設(5 件)、訪問介護(3 件)、デイサービス(2 件)、デイケアと有料老 人ホームにおいて各 1 件、起きている。転倒事故が半数を超える(12 件)。 「大腿骨等を骨折し手術を受けた」<第Ⅱ章 介護事故−★4∼6 12∼15 24・25・27>。 「転倒し、硬膜下血腫で入院し、手術をした」<介護事故−★9>。 「転倒して頭の骨にひびが入った」<介護事故−★10>などの事故例がみられる。 転倒した結果、意識不明、歩行困難、寝たきりになっている。浴室で転倒した事故は死 に至っている<介護事故−★28>。 その他、「ヘルパーが高齢者を車いすからベッドに移すとき骨折させられた」「移動のた びに柱などにぶつけられた」といった介助中の事故<介護事故−★1・2> 「柵のないベッドから転落し大腿骨を骨折。手術を受けたが死亡」<介護事故−★17> 「誤嚥(食物や水、唾液などが食道ではなく気管のほうに入ってしまうこと)」により 1 件は死亡、1 件は寝たきりになると言われている<介護事故−★18・19>。 「自宅ではできなかったのに施設に入ったら床ずれができた」<介護事故−★20 ☆32> 「薬が原因の事故」などの相談も寄せられている<介護事故−★30 ☆31>。 いずれも損害賠償をめぐる相談である。「介護事故に対する事業者の対応の不誠実さや事 業者が責任を認めないことへの怒り」「後遺症などの理由から提示された賠償金額に納得で きない」「賠償金を請求したい」という家族からの相談がみられる。

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■ 消費者と事業者間のトラブルを防ぐために

1 事業者は契約内容を分かりやすい書面にしておくべき (報告書 74・75 頁) 相談をみると、契約書がないと思える事例や契約書を作らずに利用者にだけ一方的に、 「誓約書」や「念書」<(2)居宅サービス − G通所リハビリテーション−☆1 報告書 46 頁>を提出させているケースもあるようである。 介護保険法は契約書の作成は求めていない。だが、契約書がなければ、「消費者の権利義 務その他の消費者契約の内容」を消費者に明確にすることはできない。消費者と事業者の 権利義務関係を明確にするためには、消費者契約法を踏まえた契約の締結や契約書の作成 が不可欠であり、介護契約の基本的内容を事業者は、分かりやすい書面にしておくべきで ある。 2 事業者は消費者が知りたい情報を提供してほしい (報告書 75・76 頁) 相談のなかには、重要な事項が知らされていないと思われる事例が少なくない。 厚生省は、重要事項として、事業所の運営規定の概要、ヘルパーの勤務体制、事故発生 時の対応、苦情への対応を例示しているが、これらに加え、消費者が事業者・サービスを 選ぶうえで知りたい重要な事項とは、次のような事項である。 これらは、「消費者からみた介護保険Q&A」(1998 年 11 月)と「介護サービスと消費者 契約」(1999 年 3 月)のなかで、すでに、重要事項説明書と契約書の注意点として示したも のである。 消 費 者 が 知 り た い 情 報 (1) 介護サービス事業者は、どのような事業者か。 ① 事業者の設立年月日と事業歴 ② 提供しているサービスの種類 ③ 利用者数と利用者の平均利用期間 ④ 利用者の介護の程度と介護の種類 ⑤ サービスの提供地域 ⑥ 決 算 書(特に、有料老人ホーム) その他、株式会社の場合は、役員の名前と履歴、資本金規模、主要な株主など。 社会福祉法人などは、理事や監事の名前と履歴など。

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(2) 介護担当者は、どのような資格者、研修修了者か、職員体制は。 ① 資格の取得状況、研修修了(級)状況 ② 職員体制(職種別人数、職務内容、経験年数、男女別、常勤・非常勤別) (3)介護サービスの具体的な範囲、内容、手順はどのようなものか。 食事の介助などの手順を具体的に明示している事業者がある。介護の手順の表示は、 サービスを選ぶ前に、事業者の介護の質を比較するうえで重要な手がかりとなるだけ でなく、事後に介護の実施を点検できる。介護サービスの内容は、サービスごとに、 訪問回数、時間、時間帯など数値や例示で具体的に明示されているか。 居宅介護支援事業者や施設の場合は、アセスメントと介護計画の作成手法も示す。 (4) ヘルパーを変更できる権利が明記されているか。 (5) 料金(介護保険適用内と適用外の区別)、交通費、その他実費、支払方法は。 (6) 事業者の事故責任を軽くする約束は盛り込まれていないか注意する。 (7) プライバシーを守ることは約束されているか。他の介護事業者と情報交換する場合 は、同意を得るということが明記されているか。 (8) 利用者側の自由な解約はできるか。例えば、「1 ヵ月前に書面で解約すること」とい う約束では、1 ヵ月必要のない介護を受けざるを得ないし、書面の作成は手間がかかる。 (9) 介護記録を利用者の求めがあったときは見せることが、書かれているか。 (10) 損害保険に加入しているか。どのような事故が起きたときに保険金は支払われるか。 保険会社の説明書の写しを入手する。 3 サービス提供者による商品やレンタル契約の強引な販売行為は避けてほしい (報告書 77 頁) 相談の中に、保険の適用外の料金を請求していると思われる事例や介護支援専門員に介 護用品のレンタルをしつこく勧められ契約してしまったという事例がある。 介護サービスの利用者が、ヘルパーや介護支援専門員に退去を求めることは難しい。商 品の契約も断わりにくい。したがって、介護サービスの利用の機会に、ヘルパーや介護支 援専門員が物品の購入を勧めたり販売することは避けてほしい。

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4 事故責任を免除・軽減する条項は盛り込むべきではない (報告書 78 頁) 相談の中に「万一、事故が起きても責任を負わない」という規定がみられた。 介護サービスは、利用者の心身に直接影響するサービスであるから、事業者の責任を制 限すべきではない。 5 介護の質の向上に努めてほしい 介護サービスの質に関する相談の多いことが明らかとなった。介護サービスは人の生命 にかかわる側面もあることから、事業者は介護の質の向上に努めてほしい。 ただし、それは、個人の質を高めることだけを意味しない。事業者が組織のシステムと して介護サービスの質の向上に取り組む必要がある。 例えば、介護事故のリスクは、契約書の表現によって回避すべき問題ではなく、ケアマ ネージメントを含めた介護サービス提供過程全体において、サービス提供者のシステムと して介護の質を向上させ回避すべき問題である。 介護支援専門員は、事故防止という視点で課題分析(アセスメント)を行い、介護の計 画を立て、ケアマネージメントを実施することが望まれる。ヘルパーは介護支援専門員と 濃やかな連携を取り、事故防止のためにはどのようなことが必要かに意を用いてほしい。 介護事故の防止は、介護サービスの質の向上を通じて、実現可能となる。

■ 国民生活センターと消費生活センターの役割

(報告書 79∼81 頁) 国民生活センターと消費生活センターは、「全国消費生活情報ネットワーク・システム」 により、全国の介護サービスに関する苦情・被害を把握しやすい位置にある。 今後、介護サービスによる消費者被害のデータの収集、分析と被害パターンの把握を試 み、国民生活センターと消費生活センターは、いかなる対応を取るべきかについて検討を 重ねてゆく。 こうした活動を行うことによって、国民生活センターと消費生活センターは、高齢社会 における最も重要な「消費者契約の領域である介護サービス問題」に関して、情報提供機 関としての役割を果たしてゆきたい。 ☆ 報告書:84 頁、800 円(税込み)、送料 310 円 [申し込み方法] FAX03-3448-9830 に 「① 介護契約にかかわる相談の実態報告書申込み ② 御住所 ③ お名前 ④ TEL」 を お書きの上、お申し込みください。報告書と振込票をお送りします。

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参照

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