• 検索結果がありません。

( ) Note Ω m = 1 Ω m : ( ) r-process α 1: 2 32T h(t 1/2 = y) 2 38U(t 1/2 = y) 2 35U(t 1/2 = 7.038

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "( ) Note Ω m = 1 Ω m : ( ) r-process α 1: 2 32T h(t 1/2 = y) 2 38U(t 1/2 = y) 2 35U(t 1/2 = 7.038"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

阪大物理学オナーセミナー (担当:久野、長島):Note 4 平成 19 年 11 月 22 日

6

暗黒エネルギー

6.1

宇宙論の危機

今から 10 年くらい前の話。 1)宇宙にある物質の年齢が宇宙自体の年齢より大きい? 2)インフレーションモデルによれば、宇宙の曲率はゼロ。すると宇宙の物質密度は臨界密度に等しくなければ ならない。すなわちΩm= 1でなければならないのに、観測では高々Ωm. 0.3。 6.1.1 宇宙年齢の観測値 放射性同位元素の分析から: 流星や岩石に含まれる長寿命アイソトープ (ウラニウム、タリウム、鉛など) の成分 比を分析する方法。これら重元素は、重い星が超新星爆発の際、r-process に作り出されて宇宙空間に散布されα 表 1: 長寿命アイソトープの例 232T h(t 1/2= 1.405× 1010y) 238U (t 1/2= 4.468× 109y) 235U (t 1/2= 7.038× 108y) 244Pu(t 1/2= 8.26× 107y) およびβ崩壊を経て生成される。星の進化論に重元素生成率/崩壊率理論値を組み込めば、太陽系形成時における 各種重元素の組成比を知ることにより、銀河系の年齢を推定することができる (J.A.Johnson and M.Bolte: APJ 554

(2001) 888)。

11.8 Gy≤ tG≤ 19.8 Gy (Gy = 109y) 平均は∼ 14 Gyr

(2)

図 1: ヘルツシュプルング・ラッセル図:  (左) 色 (スペクトル) と絶対光度による星の分布図。色は表面温度と言い換えても良い。大部分は 主系列と呼ばれ水素の燃焼星である。重い星ほど燃焼率が高く青い方に位置する。巨星はヘリウム燃焼星で、燃え尽きると太陽程度の星は白 色矮星となる。

(右) 球状星団内の星は同時期に生まれたと思われる。重い星ほど速く燃え尽き赤色巨星への分岐に移行する。4 枚の図は左上の球状星団の誕

生時から、順に年を経て右下にほとんどの星が年老いた時の分布図を示す。分岐点から球状星団の年齢が判る。大体 130±30 億年の範囲にあ

る。(R.Jimenez and P.Padoan: APJ 498 (1998) 704, E. Carretta et al., :APJ 533 (2000) 215)

図 2: 球状星団 (M15) のヘルツシュプルング-ラッセル図 (スペクトル指数 (色)-絶対光度図)。質量と絶対光度から、星が水素燃焼 (主系列) か らヘリウム燃焼 (赤色巨星分岐) へ移行する時間を推定できる。球状星団年次進化の理論曲線 (異なる線を表す数字の単位は Gyr) との比較によ る年齢測定。M.Salaris et al.,Astrophys.J.479 (1997):665E672

6.1.2 宇宙年齢の計算 まず計算の基礎になるフリードマン方程式を再掲しておく。 H2= ( ˙ a a )2 = 8π 3c2Gρ− kc2 a2 + Λc2 3 ρ=ρm+ρr+ρΛ, ρΛ= Λc 4 8πG (1) t = 0 (z = 0)でのフリードマン方程式の両辺を H2 0 で割り、Ω=ρ/ρc,ρc= 3H2 0c2 8πG を考慮すれば、 Ωk≡ − k a20H02= 1ΩmΩrΩΛ (2a) が成立する。膨張速度から時間の推移を一般的に計算するには t = Z t 0 dt = Z a 0 da da dt = Z a 0 da aH = Z z dz (1 + z)H (3) を求める。最後の式は 1 + z = a0/aを使った。以下、指標 ”0” は現時刻での値を意味するものとする。輻射優勢時 代は物質優勢時代に比べてはるかに短く、また現時刻の輻射密度は小さいから、宇宙年齢を計算する時は輻射項 を無視する。ρm∝a−3,→ρm=ρm0(a0/a)3を使って式 (1) を書き換えると H2=8πG 3c2 [ ρm0(a0 a )3 +ρΛ ] k a2 = H 2 0 [ 8πG 3H2 0c2 { ρm0(a0 a )3 +ρΛ } k a2 0H02 (a 0 a )2] (4a) ∴ H = H0[Ωm(1 + z)3+ΩΛ+Ωk(1 + z)2]1/2 (4b) 式 (3) に代入すると t = 1 H0 Z ∞ z dz (1 + z)[Ωm(1 + z)3+Λ+Ωk(1 + z)2]1/2 (5)

(3)

これを数値積分すれば、時間を z の関数として表すことができる。図 3 に種々のケースについての宇宙発展の様 子を示す。 ΩΛ= 0もしくはΩk= 0 の場合は解析的に積分可能である。特にΩΛ= 0の時は、 図 3: (左) 宇宙スケールの時間依存性。一様膨張は膨張速度が時間によらずに一定の場合でΩm= 0に相当。臨界膨張がΩm= 1,ΩΛ= 0、収縮 がΩm> 1,ΩΛ= 0であり、観測値はΩm≃ 0.26,ΩΛ≃ 0.74,Ωk≃ 0 の加速膨張である。宇宙項が存在すると最初は減速膨張でもいずれは加速 膨張となる。 (右) 宇宙年齢をΩmの関数としてプロット。各線は状態関数 w{ 定義 (13)} の違い。w=-1 が宇宙項。色を付けた帯は球状星団および WMAP データからの制限。 t Ω===m=12 3 1 H0 1 (1 + z)3/2, tm→0 === 1 H0 1 1 + z (6) となる。この場合の宇宙年齢は z=0 と置いて t0= 1 H0≃ 132 億年 Ωk= 1,ΩΛ=Ωm= 0 (7a) t0= 2 3 1 H0 ≃ 88 億年 Ωk=ΩΛ= 0,Ωm= 1 (7b) 現在の観測値はΩk≃ 0,ΩΛ, 0 である。この場合の宇宙年齢は t0= 2 3 1 H0 ΩΛlog [ 1 +Λ 1−ΩΛ ] ΩΛ=0.74 === 1.04H0−1= 137億年 (8) 演習問題 6.1.  Ωk= 0ならば式 (5) は積分できて t = 2 3 1 H0 ΩΛlog [ √ ΩΛ Ωm { (1 + z)−3/2+ √ (1 + z)−3+Ωm ΩΛ }] (9) となることを示せ。

(4)

観測と理論予想のミスマッチ 観測値 (下限値) は大体において、120 億年から 150 億年程度を示した。宇宙項が 発見される以前の標準理論は、インフレーションモデルを信じて、しかし宇宙項はあり得ないと思いΩm= 1の限 界膨張と考えていたから、宇宙年齢の推定値 t0∼ 2/3H0∼ 90 億年が観測値と合わない。10 年ほど前に生じた宇宙 論の危機であった。

6.2

加速膨張の発見

Ia型超新星 Ia型超新星は 1990 年代から遠方 (z& 1 付近)の標準光源として認識され始めた。Ia 型超新星とは、 光のスペクトル中に水素が無くて珪素 (Si) がある超新星で (図 4 右)、特有の輝度曲線を描き、多少の補正により絶 対光度が一定となる (図 4 左)。太陽の数倍程度以下の質量を持つ星の最終状態である白色矮星に発達した伴星が あり、伴星から物質が降着することにより爆発的に炭素燃焼が生じる過程とされる (図 5 左)。II 型および他 I 型超 新星はすべて重力崩壊型の超新星であり、爆発後に中性子星やブラックホールを残すのに反し、炭素爆燃型の Ia 型超新星は粉々に砕けて後に何も残らないとされている。 図 4: Ia 型超新星の光度時間曲線(左上図) に補正を施すと左下図のように、絶対光度を精度良く決めることができる。右図は、SNIa のスペク トル。茶色部分が Si による吸収線で、水素が無いことと合わせて Ia 型の証拠となる。 広域観測 超新星の発見は、一昔前は研究者が徹夜で肉眼観測して見つける方法に頼っていたので観測例は微々 たるものであった。現在は CCD カメラで広範囲の天空を 3 週間程度日をおいて 2 度撮影し、映像の引き算をする ことにより見つける。コンピュータ処理が可能なので多量の超新星観測が可能となった (図 5)。こうして 1990 年 代後半に The Supernova Cosmology Project チームと The Hi-z Supernova Search Team の 2 グループが z∼ 1 の遠い

Ia型超新星を多数観測し、宇宙が加速膨張している徴候を発見したのである。* 1) 最初は宇宙空間のダストによ る遮光効果も疑われたが* 2) 、ハッブル望遠鏡 (HST= Hubble Space Telescope) が、より遠方でより明るい超新星を 発見し、加速膨張は真の効果として認知された。図 5 右上の挿入写真でも示されるように、衛星観測映像は地上 観測映像より遙かに鮮明である。現在は多数の鮮明な映像が HST により記録され、宇宙が当初の減速膨張から現 在の加速膨張へと遷移している様がはっきりと見て取れる (図 6)。

* 1) The Hi-z Supernova Search Team; A.G.Riess et al., ; Astronom. J. 116 (1998) 1009-1038, The Supernova Cosmology Project; S.Perlmutter et

al.,; Astrophys. J. 517 (1999) 565-586

(5)

図 5: (a) Ia 型超新星は白色矮星が発達した伴星を持ち、伴星からの物質降着が炭素の爆発的燃焼を引き起こす。後には何も残らない。 (b) 超新星探索法: CCD カメラで日を置いて撮影し、最初の映像 (3 週間前) から現在の映像を引き算する。コンピューター処理による大量処理 が可能である。なお、地上観測より衛星観測の方が遙かに鮮明な写真が得られる。右上に同じ映像をハッブル望遠鏡で撮影した図を示す。 (http://www-supernova.lbl.gov/public/figures/bigcomposite.jpg) 図 6: 加速膨張の証拠: 見かけの明るさを距離指数 (µ = m− M 、式 (36)、図 12 参照) で表し、z の関数としてプロット。挿入図は、等速一様 膨張 (ΩM= 0)と仮定したときの距離指数との差。点線より上が見かけ上暗い加速膨張を、点線から下が見かけ上明るい減速膨張を示す。 超 新星は、赤方遷移zの関数として、近傍 (z. 1) で暗く遠くで明るい。すなわち“ 宇宙初期は減速膨張、途中から加速膨張に転じた ”。挿入図

一番上の線は、当初疑われた星間塵の影響曲線。 A.G.Riess et al. The Astrophys. J. 659 (2007) 98-121

図 6 は、超新星光度の見かけの明るさを距離指数 [µ = (m−M):式 (36) 参照] で表したデータを、さらに等速膨張

(6)

6.3

暗黒エネルギーがあると何が良いか?

宇宙を加速させる要因として真っ先に挙げられるのが宇宙項である。ロバートソン・ウォーカーの計量を一般相 対論の式に入れて得られる宇宙加速の方程式 ¨ a a= 4πG 3c2(ρ+ 3P) + Λc2 3 (10) を書き換えると ¨ a =−GM a2 ( 1 + 3P ρ ) +Λc 2 3 a, M = 4π 3 a 3(ρ c2 ) (11) となるので、第 1 項はニュートンの重力の法則を表すことが判る。一般相対論は圧力もまた重力に寄与すること、 宇宙項による斥力* 3) を含むことをも示す。式 (11) は、宇宙項による力の強さが、距離に比例して大きくなること を示す。距離を大きく宇宙スケールにとって始めて見える効果であり、地上の実験での観察検証は困難である。宇 宙項は真空エネルギー密度と同等である。* 4) 。 演習問題 6.2. 真空エネルギー密度は場所によらず一定の値を持つ。真空エネルギーは負の圧力を持つこと、その 大きさはエネルギー密度に等しいこと (Pvac=−ρvac)を示せ。 図 7: SNIa(超 新 星)、CMBR(背 景 輻 射)、銀 河 団 構 造 よ り 求 め ら れ た ΩΛm の 観 測 許 容 範 囲 。一 般 相 対 性 理 論 の 要 請 (Ωm+ΩΛ+Ωk = 1) を 充 た し て い る 。 D.N.Spergeletal., ; Astrophys.J.S170(2007)377− 408 そして最も簡単な真空エネルギー形態はゼロ点エネルギーであ る (第 4 回講義ノート参照)。しかし、式 (10) によれば宇宙項 でなくとも、状態方程式 P = wρ, w <−1 3 (宇宙項は w =−1) (13) を充たし、空間的に滑らかな流体であれば、加速膨張を引き起 こす。そこで、宇宙項に限らずこの条件を充たす見えない物体 を暗黒エネルギーと総称する。暗黒エネルギーがあると  1) 既述の宇宙年齢の矛盾を解消する。  2) インフレーションモデルや CMBR データにより宇宙 の曲率はゼロであると判っている。従ってフリードマン方程 式を考慮すれば、宇宙の全エネルギー密度は臨界密度に等し くなければならない (Ω= 1)。ところで、物質量はどう見ても ΩM≤ 0.3 であった、この矛盾を解決する。  3) 宇宙の加速膨張現象を説明できる。すなわち、矛盾 だらけであった宇宙変数間の関係に整合性をとることができ る。おりあたかも WMAP による宇宙マイクロ波の観測データ が 2002 年に発表され、冷たい暗黒物質モデルを使って多くの 宇宙パラメターを整合性良くかつ精密に決められた。ここに宇 宙標準モデルが成立したのである。これは素粒子の標準理論成 立にもなぞえられ、宇宙論は定性的議論から精密科学へ変身し たといえる。ここでは、標準モデルの支持証拠として、フリー ドマン方程式の関係式Ωm+ΩΛ+Ωk= 1の検証データを図 7 に示すにとどめる。この図の意味は、一般相対論が宇宙の構造 を正しく記述することを確認したということである。 * 3) 符号が違えば引力にもなる。 * 4) フリードマン方程式 H2= 8π 3c2Gρ− kc2 a2 + Λc2 3 (12) と宇宙加速の式 (10) は、宇宙項Λの代わりにエネルギー密度ρΛ=Λc2/8πG、圧力 P Λ=ρΛを持つ真空エネルギーで置き換えても全く同じ である。

(7)

6.4

暗黒エネルギーは本当に宇宙項か?

宇宙項の問題点    1) 120 桁のミスマッチ (fine-tuning problem) 暗黒エネルギーを量子真空のゆらぎ、つまりゼロ点エネルギーとみなすと、ビッグバンの最も自然なエネルギー スケールは、重力場の量子ゆらぎすなわちプランクエネルギー (EPl= G−1/2∼ 1019GeV )である。自然単位ではエ ネルギー密度の次元は E4であるから、真空エネルギーの理論の予想値は、 ρV(predicted)≃ MPl4 = 1076GeV4 (14) 一方、現在の真空エネルギーの観測値は、

ρV(observed)≃ 0.75 × 2 × 10−29h2g· c2cm−3= (3meV )4∼ 10−47GeV4 (15)

すなわち、観測値と理論予想値には 120 桁のミスマッチが存在する。宇宙項は定数でありビッグバン以来不変な 量である。自然の神がビッグバン時に、140 億年の未来を見越して、120 桁の精度で小さなエネルギー密度をあら かじめ用意して置いたことになる。これはあまりに不自然な調整値である。何らかの対称性で真空エネルギーが ゼロになっている可能性は理論的に許容できる。例えば超対称性 (SUSY) が成立すれば、ボソンとフェルミオンの 真空エネルギーへの寄与が完全に相殺されるが、SUSY は∼ 100GeV 程度の破れがあり、ミスマッチを 50-60 桁に まで軽減するのみである。いずれにせよこのような膨大な桁違いの微調整は考えられないというのが加速膨張が 発見されるまでの支配的な考え方であり、数年前までの標準モデルが、ΩΛ= 0と考えていた理由である。  2) Why now 問題 (coincidence problem)

宇宙項が優勢になったのはつい最近と言うよりは、対数時間で数えればたった今である* 5) 。エネルギー密度は  物質∼ a−3、輻射∼ a−4、 真空∼ const. は、それぞれスケール依存性が異なるので、絶対値は宇宙の各時期で大 幅に異なる。実際、宇宙の全歴史に亘って各エネルギー密度はそれぞれ桁違いの差で存在していた。しかるに現 時点でρmρΛ。すなわち自然は 120 桁もの微小な真空エネルギーをはじめから用意していて、長い間潜伏させ、 今になって出現させたのはあまりに偶然すぎる。 why now 問題の救済法 (一つの例): 時間と共に変わるダイナミックでかつ空間的に非一様なスカラー場Q (Quintessence)* 6) を導入する。場の量子論からラグランジアンを与えれば、エネルギー密度と圧力は計算できる。 w = pQ ρQ = ˙ Q2/2−V(Q) ˙ Q2/2 +V (Q)    −1 ˙Q2<< V (Q) +1 Q˙2>> V (Q) (16) wは時間・空間の関数となる。ポテンシャルエネルギーが運動エネルギーより大きいならば、w < 0 となる。Q場 は、当初は速く ( ˙Q2>> V (Q))ポテンシャルを落ちるが、最終的にはゆっくり ( ˙Q2<< V (Q))と落ち、現在も落下 が続いている (図 8 左)。ポテンシャルが指数関数型の場合 (V = V0e−λκQ)、広範囲の初期条件* 7) について 時間的 な軌跡が一つの共通な軌跡 (attractor ) に収斂する解を見出すことができる (図 8 右)。attractor 解は、背景の優勢な エネルギーに追随し、最終的には負の圧力すなわち加速膨張へ移行する。Q 場は空間全体に拡がっている真空エネ ルギーとは違い、固まりが局在する物質であるが、現時点での Q 場の質量値は mQ= √ V′′(Q)∼ H0= 10−33eVで あるので、コンプトン波長が宇宙スケール程度に大きく、空間の一様性は損なわれない。しかし、長距離力によっ て天体の他の観測量に影響を及ぼすため* 8) 、データと矛盾しないためには、通常物質との相互作用は非常に弱く なければならないなどの制限が付く。 * 5) 時間の目安を赤方遷移 z で考える。Ωm∼ 0.3(1+z)3,ΩΛ= 0.7 = const.から、ΩΛ=Ωmとなるのは、z≃ 0.3。z >> 3 ならばΩΛ/Ωm<< 0.1 宇宙の始まり温度を T∼ EPlanck∼ 1019GeVにとるならば、それは z∼ 1032、元素合成のはじまった時 (T∼ 0.1MeV) でも z ∼ 109である。

* 6) 元々は、地、空気、火、水の 4 元素に次ぐ第 5 の元素という意味。宇宙のバリオン、レプトン、フォトン、暗黒物質に次ぐ第 5 の組成物

質と言う意味を持たせた。

* 7) 初期値の許容範囲は 100 桁くに拡がる。特にインフレーション終了後、Q 場が他の標準的な場と同じ近く熱平衡状態にあったという望ま

しい初期条件を含む。

(8)

図 8: (左) クインテッセンス Q はダイナミックなスカラー場で、ポテンシャルをゆっくりと落ち現在も落ち続けている。(右) クインテッセンス は、ポテンシャルを適当に選べば広範囲の初期条件に対応し、どこから出発してもやがては共通の軌跡 (attractor) に収斂する (右図)。attractor はその時点での宇宙の最大エネルギー密度に追随し、最終的には負の圧力を持つ優勢なエネルギー項となり、加速膨張に向かう。黒の実線 (共 通軌跡) はインフレーション後の熱平衡状態を初期条件とした値。T.Barreiro, E.J.Copeland and N.J.Nunes; Phys. ReV. D61 (2000) 127301 の図 2 を改訂

Q場は軽いスカラー場であり、現在のエネルギースケール (3 meV) はニュートリノの質量とほとんど同じ程度で あるので、ニュートリノの SUSY パートナー (sneutrino) であると考える人もいる。

その他の提唱モデル: 沢山のモデルが提唱されている* 9) 。Quintessence、K-essence、Tachyon field、Dilaton field、

Chaplygin Gas、Phantom (w <−1) 等…。一般相対論を書き換える試みもある。

モデルの多様性に対応して、状態関数を表す w もスケール因子 a の関数となる。観測に関連付ける近似式として いろいろなパラメター化が提唱されている。例えば、

w(a) = w0+ w1z, or w(a) = w0+ wa(1− a/a0) = w0+ wa z 1 + z (17) など。

6.5

宇宙項とダイナミックモデルを区別する方法

宇宙項と他のダイナミックモデルでは、状態関数が違いその結果として時間発展の仕方が違う。従って、その差が でるような観測量を調べればよい。状態方程式を一般的に P = wρ, (w =定数) で定義しよう。これを宇宙のエネ ルギー保存式 ρ+ P+ 3 da a = 0 (18) に入れ、真の真空エネルギー (宇宙項) と区別するために以下ρXと書くと ρX∝a−3(1+w) (19) となる。これは w = 1/3, 0, −1 のときにそれぞれ輻射、物質、真空エネルギーに帰着する。この変更を光度距 離* 10) の式 (23) に代入すると dL= a0r(1 + z)k=0の時 === 1 + z H0 Zz 0 cdz [Ωm(1 + z)3+ΩX(1 + z)3(1+w)]1/2 (20)

* 9) 最近のレビューについては、E.J.Copeland, M.Sami and S. Tsujikwa Int. J. Mod. Phys. D15: 1753-936 (2006) [hep-th/0603057]. 参照。 * 10)光度距離や角径距離の定義については補遺 §6.6 参照。

(9)

の様に変わる。w =−1,ΩXΩΛとすれば宇宙項の式に還元する。

光度距離を使う観測量として、Ia 型超新星、GRB (Gamma Ray Burst) などがあり、角径距離を使う観測量には背 景マイクロ波や大規模構造 (LSS=Large Scale Structure) がある。例えば、マイクロ波のスペクトルは、w を変える と図 9 左のように変化する。WMAP3 年のデータに、大規模構造や超新星データを入れて総合解析した結果を図 9右に示す。図 10 左は CMBR と LSS を総合的に解析して z≤ 2、図 10 右は GRB データを使って z . 6 までの暗 黒エネルギーの z 依存性を解析した図である。現在までのところ観測値が w =−1 からずれる徴候はなく、宇宙項 が暗黒エネルギー候補の筆頭であることは変わりがない。 図 9: (左) 状態方程式の変化による宇宙マイクロ波のスペクトル変化。(右)WMAP,3 年+他のデータ (宇宙の大規模構造や超新星等) の総合解 析結果。w =−0.926+0.051 −0.075と決められた。ApJS 170 2007 377-408 図 10: (左図) CMB、LSS の観測データから決めた暗黒エネルギー密度と物質エネルギー密度の z 依存性。帯は誤差 1σの範囲。暗黒エネル ギーについては、内側の帯ほど仮定が強く、内側から調整パラメター数 1,2,3 個のモデル。ハッチ領域は 1 変数 (P =ρw)の w 幅を示す。物質 密度と暗黒エネルギー密度が交差する辺り (z∼ 0.5) から宇宙は加速膨張に転じる。遠い未来では、暗黒エネルギー密度が負になれば再収縮、

増加し続ければ永遠膨張となる。(Y.Wang and M.Tegmark; Phys. Rev. Lett. 92 (2004) 241302)  

(右図) GRB (Gamma Ray Burst) データを入れることにより、z∼ 7 まで距離が伸びたが、宇宙項が z により変化する兆候は見られない。紫の

実線はΩm= 0.369のΛCDMモデル。紫の太ダッシュ線はΩm= 0.416,tot= 1.115の非平坦モデル。青の細ダッシュ線はΩm= 1の指数関数 的増大モデル。(F.Wright; astro-ph/0701584)

一般に、光度距離を見る天体では高赤方偏移で急激に暗くなり測定が難しくなるが、角径距離を測定する場合は、 高赤方偏移ではむしろ大きさが「空間の重力レンズ効果」によって大きくなるので有利となる。

(10)

6.6

補遺: 距離の定義

距離の概念は膨張宇宙では簡単ではない。例えば z=4 にあるクェーザー迄の距離を考えよう。クェーザーからの 光は宇宙が現在の 1/5 の大きさしかなかった時に発せられたものであり、地球上で観察されたときは宇宙は 5 倍大 きくなっている。共動座標系では同じ距離が、実際の距離は光が発せられた時点で測るか地球に到着した時点で 測るかによって5倍も違う。そこで、観測量に結びつけられる距離を定義した上で共動座標 r との関係を見てみよ う。次の二つの距離を定義する。 光度距離 (luminosity disatance) 遠くの距離 dLにある光源の絶対光度 L が判っていて、それを地球上で単位面積 単位時間あたりの光量 I として観測したとすれば L = 4πd2 LI (21) が成立するのでこれを光度距離 dLと定義する。実際には宇宙は膨張しているので、共動座標 r 地点の時刻 t∼ t +∆t に光が放出され、地球 (r=0) で、時刻 t0∼ t0+δt0に観測したとする。r = 一定の球の表面積は t = t0で 4π(a0r)2 で与えられる。一方、フォトン数密度 nγは、∼ T3∼ a−3であり、共動体積内の全フォトン数 Eγ/hνは保存される から、 Lδt = 4πa20r2 Iδt0 0 (22) ν/ν0=δt0/δt = 1 + zを入れ、式 (21) を使えば dL= a0r(1 + z) (23) すなわち光度距離の大きさは、共動座標 r の現時点での値にさらに (1+z) がかかっている。

角径距離 (angular diameter distance) 視線方向に直角な天体の大きさ D が既知として、それを見込む角度をδθ とするとき、dA= D/δθを角径距離という。ユークリッド幾何学が成立すれば dA= dLであるが、膨張宇宙では異 なる。共動座標系で r が与えられたときの円弧の長さを s = rδθとし、光が発せられたときの時刻を t とすれば、 D = a(t)sで与えられる。従って dA= D δθ= a(t)rδθ δθ = a(t)r = a0 r 1 + z= dL (1 + z)2 (24) 角径距離は光が発せられた時点での共動座標 r の値を使うことが判る。 6.6.1 距離の z 依存性 観測可能な距離を定義して、共動座標 r と赤方遷移 z で表すことができたが、これでは不十分で、共動座標 r をさ らに観測可能な変数で置き換える作業が残っている。曲がった空間での共動座標系距離 r は固有距離 ℓ (実際の距 離=光の経路) とは異なる。 dℓ = dr 1− kr2 (25) 光の経路は ds2= 0によって固有距離 dℓ と経過時間 dt とが [dℓ = cdt/a(t)] で結びついているから、固有距離をス ケール a の、あるいは同じことであるが赤方遷移 z の関数として表すことができる。時刻 t=0 に r を出発した光が 時刻 t に r=0 に到着した場合、 ℓ = Zr 0 dr 1− kr2 = Zt 0 cdt′ a(t′)= Z a0 a(t) cda′ a′2H(a′)= Z z 0 cdz′ H(z′) (26) 式(4b) === 1 a0H0 Z z 0 cdz [Ωm(1 + z)3+Λ+Ωk(1 + z)2]1/2 Ωk= 1−Ωm−ΩΛ (27)

(11)

の式を使って ℓ を z の関数として表せば、r を観測量 z の関数として求めることができたことになる。特に平坦空 間 (k=0 すなわち r = ℓ) の場合で、かつ z が小さい場合は ℓ = cz a0H0 [ 1 ( 1 2+ Ωm 4 ΩΛ 2 ) z + O(z2) ] = cz a0H0 [ 1 ( 1 + q0 2 ) z + O(z2) ] (28a) dL= a0r(1 + z) = cz a0H0 [ 1 + ( 1− q0 2 ) z + O(z2) ] (28b) dA= a0 r 1 + z= cz a0H0 [ 1 ( 3 + q0 2 ) z + O(z2) ] (28c) となる。z の一次までならば dL≃ dA≃ c H0 z + O(z2) (29) となってハッブルの法則を再現する。 減速パラメター: 宇宙膨張が減速中か加速中かを示す変数として減速パラメターを定義する。 q≡ −a/ ˙¨ a ˙ a/a = ¨ a a2H (30) 宇宙加速の方程式 ¨ a a = 4πG 3c2(ρ+ 3P) + Λc2 3 (31) を参照すれば減速パラメターの表式は q0= ( 1 +3P ρm )Ωm 2 ΩΛ 物質宇宙 −−−−−→ q0= Ωm 2 ΩΛ (32) となる。光度距離にせよ角径距離にせよ、z の 2 次の項まで測定できれば、その係数から減速パラメターを決める ことができることが判る。 曲がった空間への拡張 空間曲率がゼロでない場合、もはや r = ℓ は成り立たないが、ロバートソン・ウォーカー の計量を使って r を ℓ の関数として表すことができる。 ℓ = Z r 0 dr′ 1− kr′2 =⇒ r =            c H0a0 |k| sinh[(H0/c)|Ωk|a0ℓ] Ωk> 0 Ωk= 0 c H0a0 |k| sin[(H0/c)|Ωk|a0ℓ] Ωk< 0 (33) ここでは、r はΩk=−kc2/(a0H0)2の連続関数であることを考慮して k を書き直した。(33) を見れば r = ℓ[1 + O(ℓ2)] であるので、空間曲率の影響は O(z3)であり、z の小さいところでの近似式 (28b)(28c) は曲がった空間にも成り 立つ。 図 11 に角径距離と光度距離を赤方遷移 z の関数として表す。。赤方遷移 z が 1 に近くなると、z の高次の項が効い てきてハッブルの法則からはずれることが判る。はずれ具合から減速パラメターの値が、したがって物質量や宇 宙項などの値の情報が得られる。 光度距離を等級で表す: 天文学では、フラックス I と絶対光度 L の代わりに、見かけの等級 m と絶対等級 M を 使う。絶対光度 L の星が距離 dLにある時の見かけの等級を m =−2.5log10 I I0 =−2.5log10L + 5 log10dL+C I0= 2.53× 10−8W m−2 * 11) (34)

(12)

図 11: 角径距離 dAと光度距離 dLを赤方遷移 z の関数として表す。ここのΩ0は本文中のΩm、λ0はΩΛのことである。各図とも左側は宇 宙項が無い場合、右側は宇宙項はあるが曲率がゼロの場合について、物質量の大きさによりどう変化するかを示す。(http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ suto/)より の様に表し、光源を距離 dL= 10pcに置いた時の明るさを絶対等級と定義する。 M =−2.5log10 L L0 L0= 78.7L⊙, M⊙= 4.74 (35) L0は、10pc 離れて見たときフラックス I0を与えるような星の絶対光度である。 m− M = 5log10 dL 10pc 距離指数 (distance modulus) (36) すなわち、超新星と既知の星の見かけの明るさの比から見かけの等級 m が決められ、それから計算した絶対等級 Mを引き算をした距離指数 (m-M) から光度距離 dLが求められる。図 12 は、距離指数 (m-M) を赤方遷移 z の関数 としてプロットしたもの。観測データは通常この形で与えられる。 図 12: 距離指数 (m-M) の z 依存性。 * 11)琴座α星 (織女ベガ) の明るさ

(13)

6.7

演習問題解答

証明 6.1: k=0 の場合の宇宙膨張年齢  t = t(z) t = 1 H0 Z ∞ z dz (1 + z)[ΩΛ+Ωm(1 + z)3]1/2 (37) y = √ ΩΛ Ωm(1 + z) −3/2と置けば t =2 3 1 H0 ΩΛ Z √ΩΛ Ωm(1+z)−3/2 0 dy1 + y2 = 2 3 1 H0 ΩΛ [ log(y +y2+ 1)] √ ΩΛ Ωm(1+z)−3/2 0 (38a) =2 3 1 H0 ΩΛlog [ √ ΩΛ Ωm { (1 + z)−3/2+ √ (1 + z)−3+Ωm ΩΛ }] (38b) 証明 6.2: 真空エネルギーが負の圧力を持つことの証明: 真空が断面積 S、体積 V の管の中に閉じ込められてい るとしよう。エネルギーは E =ρVVで与えられる。ここで、力 F を管壁に加えて、∆x動かした場合のエネルギー 増加は、∆E =ρV∆xSとなる (図を参照)。従って圧力 P は P =F S = 1 S ∆E ∆x =−ρV (39) 図 13: 真空エネルギーは負の圧力を持つ。 証明 2: 熱力学第 1 法則から、外部と熱のやりとりがなければ、内部エネルギーは外に仕事をした分だけ減る。 dU =−PdV, U =ρV dρ dV =−(ρ+ P) (40) 真空エネルギー密度は体積が増えても変わらないから左辺はゼロ。したがって P =−ρ

図 1: ヘルツシュプルング・ラッセル図:  (左) 色 (スペクトル) と絶対光度による星の分布図。色は表面温度と言い換えても良い。大部分は 主系列と呼ばれ水素の燃焼星である。重い星ほど燃焼率が高く青い方に位置する。巨星はヘリウム燃焼星で、燃え尽きると太陽程度の星は白 色矮星となる。
図 6 は、超新星光度の見かけの明るさを距離指数 [µ = (m − M ):式 (36) 参照] で表したデータを、さらに等速膨張
図 8: (左) クインテッセンス Q はダイナミックなスカラー場で、ポテンシャルをゆっくりと落ち現在も落ち続けている。(右) クインテッセンス は、ポテンシャルを適当に選べば広範囲の初期条件に対応し、どこから出発してもやがては共通の軌跡 (attractor) に収斂する (右図)。attractor はその時点での宇宙の最大エネルギー密度に追随し、最終的には負の圧力を持つ優勢なエネルギー項となり、加速膨張に向かう。黒の実線 (共 通軌跡) はインフレーション後の熱平衡状態を初期条件とした値。T.Barr
図 11: 角径距離 d A と光度距離 d L を赤方遷移 z の関数として表す。ここの Ω 0 は本文中の Ω m 、λ 0 は Ω Λ のことである。各図とも左側は宇  宙項が無い場合、右側は宇宙項はあるが曲率がゼロの場合について、物質量の大きさによりどう変化するかを示す。(http://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/ suto/) より の様に表し、光源を距離 d L = 10pc に置いた時の明るさを絶対等級と定義する。 M = − 2.5 log 10 L L 0

参照

関連したドキュメント

のようにすべきだと考えていますか。 やっと開通します。長野、太田地区方面  

the log scheme obtained by equipping the diagonal divisor X ⊆ X 2 (which is the restriction of the (1-)morphism M g,[r]+1 → M g,[r]+2 obtained by gluing the tautological family

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

The orthogonality test using S t−1 (Table 14), M ER t−2 (Table 15), P P I t−1 (Table 16), IP I t−2 (Table 17) and all the variables (Table 18) shows that we cannot reject the

[r]

26‑1 ・ 2‑162 (香法 2 0 0

23-1•2-lll

Apply the specified amount of Orthene Turf, Tree &amp; Ornamental WSP in 100 gals water with a hydraulic sprayer as a full coverage spray. Do not exceed 1 1/3 oz of product