テールリスク・イベントの理解と管理
第
9回 グローバル・ペンション・シンポジウム
(東京)
John Ross シーガル・ロジャースケイシー シニア・バイスプレジデント べータ、アセット・ライアビリティ、リスクマネジメント調査部門 共同ヘッド「テールリスク」とは
テールリスク:正規分布を想定した場合、平均値から
3標準偏差を超える乖
離が発生すること
投資のアウトカム – ライト・テール、レフト・テール 3標準偏差の乖離 – 統計的には99.97% と同等 正規分布 – これが難問である – 資産クラスによっては非正規分布になる=ファット・テール – ファット・テール= 外れ値の可能性が大きくなる(レフト・テール)Alternatives To Traditional
問題は、グローバル株式市場に「レフト・テール」イベントが発生するか否かではなく、 そうしたイベントが発生する確率と、それが市場が織り込み済みのものと どの程度差異があるかということであるまず、市場がどのリスクを織り込み済みかをどのようにして判断するか?
株式、債券、先物などは、配当・収益、クーポン、インフレの予測値、資金
の時間的価値、リスクプレミアに基づいて価格を決定する
オプションでは、ボラティリティとして定量化される、リスク・バリュエーショ
ンが明示的に内包される
単純化すると、条件付き請求権の典型的なアクチュアリアル・プライシン
グモデル、ブラック・ショールズ・マートンの方程式、リスクの間には関連
がある(米国株式市場は崩壊するか?(
“Is The U.S. Stock Market
Going To Crash?” )Dan Westerheide 著、 Segal Rogerscasey、
2015年9月)
Alternatives To Traditional
オプションは金融保険であり、 その保険はリスク保険である
Where We Are
テールリスク:米国の事例
何が市場に織り込まれて
いるか
市場が織り込む確率
Segal Rogerscaseyが
独自に算出した下振れ
確率
終値 2015年8月28 日の終値 1989からの S&P 500 イン デックスの価 格下落率 2015年5月21 日の高値 2130からの S&P 500 イン デックスの価 格下落率 市場が織り 込む確率 Segal Rogerscasey に よる確率 2015年12月18日 1590 20% 25% 5.3% 1/20 3.3% 1/30 2015年12月18日 1790 10% 16% 16.0% 1/6.25 14.0% 1/7 2009年3月9日以降の市場高値からのS&P 500インデックスのドローダウン 出典:Bloomberg
アセットアロケーション/戦術
的ポジション調整
リスク管理/透明性ツール
オルタナティブ(新規)投資戦
略など
リスクファクター
債務/費用の必要性
流動性
顧客固有のファクター
非常に強力なツール
専門化/カスタマイゼーションの
可能性
これまではこれほど多くのツールや手法を 自由に使うことはできなかった金融イノベーションと複雑性
Overview
株式とコモディティ
株式
スマートベータ – シングルファクター(サイズ、バリュー、モメンタムなど ) – マルチファクター(複数ファクターの組み合わせ) 長期/短期の株式ヘッジ戦略 – ロングオンリーの部分を置き換え 低ボラティリティ – マネージド・ボラティリティ 為替オーバーレイ – ヘッジするか、しないか
コモディティ
インフレ、インフレ予測値の変化、想定外のインフレと正の相関がある。一方、株式や債 券はインフレと負の相関がある。Alternatives To Traditional
アンコンストレインド債券
金利にかかわりなく、絶対的なリターンを重視する
目標リターン(絶対値):LIBOR + 4~5% 目標リスク(絶対値) :5~5.5%
デュレーションリスクは基本的に排除する
見通しが立つ場合のみ、デュレーション・リスクをとる – それ以外はとらない
バークレイズ総合インデックスや他のグローバル総合インデックスと比較
し高い(より高い)トラッキングエラー
パフォーマンスを上げるには時間が必要Alternatives To Traditional
アンコンストレインド債券
過去データによると、アンコンストレインド債券のリターンはバークレイズ
総合インデックスとほぼ同等だったが、若干リスクが高かった
バークレイズ総合インデックスとアンコンストレインド債券の相関は0.35 – 分散化Alternatives To Traditional
出典::Segal Rogerscasey、Barclay’s Capital、米国財務省
バークレイズ 総合インデックス アンコンストレイン ド債券コンポジット バークレイズ総合 インデックス90%、 アンコンストレイン ド債券 10% バークレイズ総合イン デックス80%、アンコン ストレインド債券 20% 利回り(年率) 標準偏差(年率) ヒストリカルシミュレーション 2006年8月~2015年6月 米国債の利回り 2006 年 8 月 2007 年 2 月 2007 年 8 月 2008 年 2 月 2008 年 8 月 2009 年 2 月 2009 年 8 月 2010 年 2 月 2010 年 8 月 2011 年 2 月 2011 年 8 月 2012 年 2 月 2012 年 8 月 2013 年 2 月 2013 年 8 月 2014 年 2 月 2014 年 8 月 2015 年 2 月 3か月債利回り 10年債利回り
マルチアセットクラスソリューション
資産クラスとリスクプレミアムのダイナミック・アロケーション
バリュエーション
分散化
オポチュニティセットの拡大 – 株式、債券、コモディティ、為替、デリバティブ – リスクプレミアム、オルタナティブベータ、リキッドオルタナティブ
ダウンサイドプロテクションとリスク管理
ボラティリティターゲット デ・リスクとリ・リスク ドローダウンの最大化 テールリスクAlternatives To Traditional
効果は大きい、ただし費用はかかる 上昇相場で得た収益で投資し、下落相場に備える リバランシング/ポジション調整の効率向上に貢献 通常、バリュエーション主導 “early”が可能だが、“wrong”と混同される場合もある デリバティブを活用して分散化を図る 大半の市場で価値を付加できるが、他のオルタナティブと同様下 げ相場に対応できるとは限らない カテゴライズが困難 マネージャーに裁量を与えて、市場環境の変化に適応させる