長縄跳びを利用した学習プログラム(体つくり運動)
~巧みな動きを組み合わせる~ 1 テーマ設定の理由 長縄跳びは、跳躍力や筋持久力、巧緻性や動体視力を養うことができ、何よりグループ全員が夢中 になって取り組める魅力のある種目である。これまでの成果を踏まえ、生徒の特徴を生かしつつ体を 動かすことの楽しさを生徒に理解(体得)させるために、長縄跳びを活用した学習プログラムを考え 取り組むことにした。特に学習効果を上げるため、種目の研究・開発、難易度表示、回し手と跳び手 のローテーション法、回数の設定などを中心に研究するとともに、リーダーを養成するための仕掛け も構築したいと考えている。 多くの小・中学校で取り組まれ、馴染みのある長縄跳びのグループ学習を通して、仲間とともに目 標を達成していく楽しさを味わい、生涯にわたって健康な体つくりを意識し、運動に親しむ態度と能 力の育成を目指したい。 2 実践の内容・方法 (1)対象学年・領域 対象学年:1年生全クラス 領 域:体つくり運動(長縄跳び運動) (2)使用教材 ① 縄・・・写真ア、イ ・縄の長さは5~8m ・材質は中指ほどの太さで、ある程度の重さ があった方が回しやすい。 ② 長縄跳び種目カード・・・資料1(動画) ③ 長縄跳び合格一覧表・・・資料2 ④ A4ファイル(長縄跳び種目カードを綴じる) (3)指導上の留意点 ① ウォーミングアップをしっかりさせる。 ② 怪我を防止するため、正しく縄を持つよう指導する。(下記参照) ・縄の正しい持ち方・・・写真ウ ・間違った縄の持ち方・・・写真エ 写真ア 「 写真イ 手 首 に 巻 き 付 け て はいけない。 引っかかった 時 に 縄 が 離 れ な い ため危険。 写真ウ 写真エ 「(4)長縄跳びの用語 ① 「回し手」・「跳び手」・・・縄を回す人と跳ぶ人 縄を回す人を「回し手」、縄を跳ぶ人を「跳び手」という。 ② 「かぶり縄」・「むかえ縄」・・・縄の回旋方向と跳び手の関係 縄の回旋に対して、その縄に跳び手が入る場合には、縄と人との関係は2通りしか存 在しない。「かぶり縄」と「むかえ縄」である。さらに2本同時に回す場合には、内回 しと外回しがある。 ③ 縄の回し・・・縄の回し方 長縄跳びは縄を回す技術が優れていれば、跳ぶ人の技術の上達は早い。跳ぶ人の気持 ちを理解し跳ぶ人ができるだけ跳びやすいように、タイミングを合わせてあげると上 達が早い。 ④ 「直交」・「斜め」・「屈折」・「平行」・・・縄を跳ぶコース 縄を跳ぶコースによって非常に多くの変化がもたらされる。基本的なコースとしては 「直交」「斜め」「屈折」「平行」の4種類が存在する。 (5)縄への入り方・出方 ① かぶり縄への入り方・出方 ~かぶり縄への入り方~ ア 跳び手は縄にできるだけ接近 して立つ イ 縄が目前を上方から下方へ降 りてくるときに、縄が目の位 置を通り過ぎたらただちに入 る。 ウ 縄を追いかけるようにして中 に入り込む。 ~かぶり縄からの出方~ エ 跳んだあと縄が後から跳び手 を追いかけてくるような運動 になるので、抜けるのに余裕 がある。 ここから入る 縄に入る時期
●・・・回し手 ・・・縄 ・・・跳び手の動き ・・・跳び場所 ○・・・跳ぶのに適した場所 かぶり縄直交跳び かぶり縄屈折跳び ~むかえ縄への入り方~ ア 跳び手は縄にできるだ け接近して立つ。 イ 縄が下から上方へ上が るとき、目の位置を上 方へ通り過ぎる瞬間に 素早く跳び込む。 ウ 上方へ上がった縄は、 直後に反対側から足の 下に向かって来る。 ~むかえ縄からの出方~ ア かぶり縄の縄の動きに 比較して余裕がないた め跳 ん だ 後 早 く 抜 け る。 ② むかえ縄への入り方・出方 ここから入る 縄に入る時期
●・・・回し手 ・・・縄 ・・・跳び手の動き ・・・跳び場所 ○・・・跳ぶのに適した場所 縄に入るタイミングはいろいろな状況によって判断される。その主なものをあげると次のようである。 ア 縄の動き イ 縄の回し手の腕の動き ウ 自分の前の人の動作 エ 縄の音 3 授業実践 (1)種目内容の見直し等 Z ①種目の精選、種目順の入れ替え、難易度の表示 ②全31種目(全種目制覇を目指す)の明示・・・長縄跳びカード(資料1 動画) ③種目の合格後、「☆私たちが合格した理由(ポイント)」を記入 (2)合格回数の設定等 ①集中力が持続し、意欲的に取り組める回数の設定 ②1名ずつ跳ぶ種目の明示・・・回し手以外の人数(14名の班の場合12回) ③2名ずつ跳ぶ種目の明示・・・2名同時に跳んだ回数(14名の班の場合10回) ・・・長縄跳び合格一覧表(資料2) (3)回し手当番表の作成等 ①全員が平等に回し手を経験し、回し手の重要さを体験 ②不得意な生徒に対する救済 ③ルール作成・・・(最高6回までとし、ローテーションはグループ内で相談させる) ・・・長縄跳び回し手一覧表(資料3) むかえ縄直交跳び むかえ縄屈折跳び ③ 入るタイミングのつかみ方
4 成果と課題 本校では15年以上前から長縄跳びを実践しているが、今回は新たに1種目ずつ跳び方のポイント や図を入れたカードを作成し(跳び方は DVD 参照)、教員側が細かく指導をするのではなく、グループ で考える機会を多く取り入れながら取り組ませた。その結果、グループごとにカードを見ながら話し 合ったり、お互いにアドバイスをしたりする姿が見られるようになった。また、種目を達成する度に 新しいカードがもらえるため、積極的に練習に励むなど自主的に取り組むようになった。 アンケート結果からも長縄跳び運動が楽しかったと回答する生徒が増加し、体を動かすことの楽し さを生徒に理解(体得)させることができた。特に成功するためには、跳び手の努力だけでなく、回 し手が跳び手のタイミングや気持ちに合わせて回すことが必要であることや、相手を思いやり配慮す ることの大切さも実感させることができた。また、グループ活動を行うことにより、どのグループか らもその中から中心となる生徒が出現し、生徒に主体的に考えさせ行動させることによりリーダーの 養成もできたのではないかと考えられる。 その反面、種目やグループの状況によっては、達成しなければいけないという縛りから不得意な生 徒に精神的なプレッシャーを与える場面もあった。今後は回し手の順番などをグループで工夫し、全 員が楽しめる種目にしていかなければならない。 また、長縄跳び運動をすることによって養われる体力にいては、多くの生徒から「体つくり運動の 意義を理解し、持久力・瞬発力・跳躍力などが付いた」という声を聞けたが、今後は具体的な体の使 い方や運動への理解を深めさせ、生涯にわたって健康な体づくりを意識できるように指導を継続した い。
[長縄跳び種目カード] ☆私たちが合格できた理由(ポイント) № 跳 び 方 合格できた理由(生徒の意見より) 1 かぶり縄、斜め跳び 声を出して、順番を考えた 2 かぶり縄、直交跳び 声を出して、全員で数えることができた 3 かぶり縄、2人手つなぎ、斜め跳び みんなで入る時に「ハイ」と声を出して跳んだ 4 かぶり縄、2人手つなぎ、直交跳び 並び順や跳ぶ順を考えたり、声を出した 5 むかえ縄、斜め跳び 連続で跳ぶ、声をたくさん出す 6 むかえ縄、直交跳び 縄のスピードをゆっくりにして跳ぶタイミングをみんなで声を出し た 7 むかえ縄、2人手つなぎ、斜め跳び ゆっくり縄を回し、全員で声を掛けたから 8 むかえ縄、2人手つなぎ、直交跳び 縄を回すスピードをゆっくりにしたり声を掛けた 9 かぶり縄、斜め交互跳び 声を掛け合った 10 かぶり縄、斜め交互跳び、ボールパス 苦戦したけどみんなで声を掛け合い跳ぶことができた 11 むかえ縄、斜め交互跳び 回す人が膝を曲げて回してくれた 12 かぶり縄、屈折跳び みんなで声を出し合っていた 縄の速度を工夫した 13 むかえ縄、屈折跳び 縄を回す人と跳ぶ人のタイミングを合わせて声を出した 14 かぶり縄、平行跳び みんなの心を一つにして声を出したこと 15 むかえ縄、平行跳び みんなが数えるだけでなくアドバイスをした 16 両側同時、平行跳び みんなで数を数えながらアドバイスをした 17 2本直角内回し、かぶり縄、跳び抜け 回し手がくぐり抜けしやすいように回してくれた 18 2本直角内回し、かぶり縄、連続回り跳び みんなが声を出したり、順番を変えたりした 19 20 三角内回し、連続まわり跳び(個人) むかえ縄、2本平行縄、直交跳び みんなで声を出したり、アドバイスをしながら跳んだ みんなが声を出してタイミングを合わせた 21 2本平行縄、内回し、かぶり→むかえ みんなで教え合いをしたから 22 2人同時、平行、内回し、かぶり→むかえ 声を出し合いながらタイミングと合わせた 23 2本平行内回し、かぶり縄1人回り跳び 縄を回す人の立ち位置も大切だと分かった 24 2本平行内回し、かぶり縄1人回り両側同時 跳びながら次の縄を見るようにした 25 2本平行内回し、かぶり縄、2人すれ違い、 回り跳び 人と交差するのが難しかったけど入る位置を考えた 26 2本平行縦ずらし、内回し、かぶり縄、屈折 連続跳び 回す時にできるだけ縄を近くして頑張った 27 かぶり縄、片側屈折2人すれ違い跳び ぶつかりそうで怖かったけどみんなで声を掛け合った 28 2本交差(十字)かぶり縄、くぐり抜け わりと簡単でみんな一回で跳べた 29 2本交差(十字)かぶり縄跳び できる人が教えてくれた 30 2本交差(十字)むかえ縄跳び みんなで入るタイミングで声を掛けた 31 二条回旋、1回跳び 縄が2本あるので手前の縄を見るようにした