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小次郎講師のトレーダーズバイブル第53回
第9部その6
「複利運用の光と影」その2
助手のムサシです。よろしくお願いします。 皆さん、こんにちは、小次郎講師です。 複利運用凄いですね。利用します。 本日は複利運用の話2回目。
【1、平等と思われるゲームの落とし穴】 甘い。何も考えずに利用してはいけない。 甘い。全てのものには光と影、表と裏がある。 素晴らしいと思えるものには必ず落とし穴がある。 正しく理解するように。 甘いんですか? そうですか、・・・落とし穴があるんですね? ある。 さて、ムサシ君、唐突だが、私と勝負をしよう。
え?どんな勝負ですか? 確かに。 ここにトランプが8枚ある。4枚が赤で4枚が黒。確認してごらん。 このトランプをムサシ君が1枚ずつ引いていく。 赤が出ればムサシ君の勝ち、黒が出たら負けだ。 1枚ずつ引いて、引いたカードは除いていくんですね?すると最後には4 勝4敗になる。合ってますか? 4勝4敗と最初からわかっているんですから、後は勝った時の金額、負け た時の金額が勝負を分けますね。 そこはどうなんですか? 合ってる。
こういう賭けだ。100万円の元金を元にトランプで勝負をする。 勝てば20%増える、負ければ20%減る。公平だろ? そういうこと。2回目も勝てば20%増え、負ければ20%減る。 公平だろ? 公平ですね。100万円が勝てば20万増える、負ければ20万減るという ことですね。で、勝つか負けるかは50%。公平だと思います。 2回目は最初勝った場合は120万を投資する、負けた場合は80万を投資 する。 つまり増えた額も投資していくわけですね。 最初勝ったときの投資金は今120万で、そこから勝てば24万増えて、 負ければ24万減る。最初負けたときの投資金は今80万で、そこから勝 てば16万増えて、負ければ16万減るってことですね。公平ですね。 3回目以降も同じ。勝っても負けても全額を投資していき、勝てば20% 増える、負ければ20%減るというゲームを繰り返す。
賭けとしては公平なのはわかっていただけたね? 後は運が強いかどうか。さあ、やってみよう。 はい。 そうかな、まあやってみよう。順にトランプを引いてごらん。 確かに4勝4敗でした。 それをトランプを引きながらやるわけですね。トランプは赤が4枚、黒 が4枚、最後には4勝4敗となるのはわかっている。 結果は引き分けで100万円のままとなるんじゃないですか?
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
6回目
7回目
8回目
赤
○
赤
○
黒×
赤
○
黒×
赤
○
黒×
黒×
※ムサシ君の結果ありゃ。85万になってる! 残念。ツキがなかったね。15万は後で私の口座に振り込むように。 そんな! さて、金額はどうなっているかな?
1回目 勝ち、100万×1.2=120万
2回目 勝ち、120万×1.2=144万
3回目 負け、144万×0.8=115.2万
4回目 勝ち、115.2万×1.2=138.24万
5回目 負け、138.24×0.8=110.592万
6回目 勝ち、110.592万×1.2=132.7104万
7回目 負け、132.7104万×0.8=106.1683万
8回目 負け、106.1683×0.8=84.93466万
そこまでは前と一緒ですね。 それではかわいそうだからもう1回チャンスを与えよう。 今度は負けているムサシ君に温情で有利な賭けを提供する。基本ルールは同 じ、トランプで赤が4枚、黒が4枚ある。これを1枚ずつ引いていき、赤が出 ればムサシ君の勝ち、黒が出たら負け。 1度引いたカードは除いていくので、最終結果は4勝4敗と決まっている。 そんなお金持ってないし。 【2、有利と思われるゲームの落とし穴】 この平等な中で、今度はムサシ君有利にしてあげよう。 君が勝ったら30%増える、負けたら25%減るというルールでどうか? スタートの資金は100万円だ。 でも今度は有利だぞ。 つまりスタートが100万円とすると、1回目の勝負で僕が勝ったら30万 円増える。負けたら25万減るってことですね。僕が勝つ確率は50%だ から確かにスタートは僕の方が有利ですね。それで2回目からは勝った 金額も含めて賭けていくってことですね?
有利ですね。 1回目に君が負けたとしたら君の資金は75万になっている。 その後、きみが勝ったら22.5万のプラス、負けたら18.75万のマイナ ス。どうだ有利だろ? これは負けているきみへの私からの温情だ。 では25万の負けを取り返すべく、2回目の勝負をしよう。 そうだ、それが条件だ。有利なのはスタートだけではないぞ。 1回目にムサシ君が勝ったとする。するときみの資金は130万円に増え ている。そこで君がまた勝つと39万増える。 負けたときに減るのは32.5万だ。 有利ですね。 わかりました。
でも、前回、前半が調子よかったのに後半がひどかったですから、今回 の方が期待出来るかも。 今回は前半に負けが込んだね。 ちょっと苦戦してますが、予定どおりです。ここから怒濤の反撃が始ま ります。 ※ムサシ君の結果
1回目
2回目
3回目
4回目
5回目
6回目
7回目
8回目
黒×
赤
○
黒×
黒×
赤
○
赤
○
赤
○
黒×
検証してみよう。1回目 負け、100万×0.75=75万円
2回目 勝ち、75万×1.3=97.5万
3回目 負け、97.75万×0.75=73.125万
4回目 負け、73.125万×0.75=54.84375万
残念、約90万。この有利な賭けでもムサシ君は負け。ついてない。 ということで10万円追加して振り込むように。 さて最後でどうなるか。 そんな!!!わけがわからなくなりました。 1回、1回は有利な賭けなのに、終わっていると負けている、ということ は僕がものすごくついてないということですね。 原因を追及すると勝つ順番、負ける順番にあるんですか? 最後はやっぱり勝ちで終わった方がいいとか?
5回目 勝ち、54.74375万×1.3=71.29688万
6回目 勝ち 71.29688万×1.3=92.68594万
7回目 勝ち 92.68594万×1.3=120.4917万
ね。予定どおりでしょ。8回目 負け 120.4917万×0.75=90.36879万
種明かしをすると、順番は関係ない。 最初の平等な賭けといったものは全然平等じゃない。 ムサシ君の4勝4敗は決まっているが、この4勝4敗がどの順番で起こっ たとしてもムサシ君の最終損益は25万の負け、2回目の有利な賭けとい ったものも4勝4敗がどの順番で起こったとしてもムサシ君の最終損益は 10万の負けと決まっている。 あちゃ。僕は騙されたわけですね。 これも教訓。投資の世界には一見おいしいと感じる話が転がっている。 しかし、残念ながらおいしい話などない。おいしいと思えるが実は落と し穴だらけというのが投資の世界。 甘い話には乗ってはいけない。 その教訓のために僕はもて遊ばれたわけですね。 【3、おいしい話に乗ってはいけない】 怒るな怒るな。上手い儲け話は次々と形を変えてやってくる。 なるほど、これは有利と思わせるところが落とし穴。 そしてほとんどの投資家が自分だけは騙されないと思っている。 しかし、みんな騙されるのだよ。ころっとね。 ムサシ君、この二つが何故負けるのかわかるかね?
全くわかりません。 2回目の賭けなど、どう考えても有利だろ?4勝4敗は決まったこと。 勝つときは30%増える、負けるときは25%減る。 とするとどう考えても勝ちそうな感じがするが必ず負ける。 実はここに複利の落とし穴がある。 どうして負けるんですか?教えてください。 これは投資をする上で非常に大事なことだ。特に複利運用で利益を増や そうとする投資家にとっては絶対にわかっていなくてはいけないこと。 ところが残念ながらこういった投資教育が全く欠けていて、負けている 気がしないのに、気がついたら投資金が減っているという投資家が多 い。 この話はトレードに通ずるのですね? そうだ。たとえば、投資金100万でスタートした人が、最初20万損し たとする。次はいくらの投資金となる?
そうですね。どんどん勝っているケースなら、勝った金額を別にプール するという考えも出てきますが、勝ったり負けたりしているときなら、 プールしておく余裕がありません。 ということは勝てば勝った分投資金が増え、負ければ負けた分だけ投資 金が減ります。 ということは勝ったときには投資金を増やす。 当然80万ですね。 勝ったら投資金が増える、負けたら投資金が減る。これを複利的運用と 呼ぶ。毎回毎回投資金は100万ですというのが単利的運用だ。 投資の世界ではどうしても複利的運用になりがちだね。 100万が20万損して80万になっているのに、どこからか20万を持って きて、また100万で投資をするなんてことはなかなか出来ない。 そりゃそうです。 それが複利的運用。ほとんどの投資家がそうなる。 そしてその複利的運用だと、勝ったり負けたりしているうちに投資金が どんどん減っていく。このマジックに気づいている人は少ない。
え?勝ったり負けたりしているうちに投資金が減っていくんですか? ほとんどの投資家が陥っているのに気づいていない落とし穴、これが複 利の影の部分だ。このことに気づかなければ勝ち組にはなれない。 いやあ、怖い話を聞きました。何故なんですか?いまだに理由がわかり ません。教えてください。 甘い。何でもかんでも教えてもらおうなんて考えてるから成長がない。 次回までの宿題だ。今回の2つのケースで何故負けたか考えてほしい。 そして、自分の投資において何を教訓とすべきかを考えてほしい。 本日はここまで。 まだわかりません。 何故、勝ったり負けたりする間にどんどん減っていくんですか? それは負ける回数の方が多いとか、負けたときの損金が大きいとかいう ことではなくて? 前回の例で証明されただろ? 勝ちと負けの回数は同じとしても、勝ったときの利益率と負けたときの 損失率を比べて、勝った方が少々有利だったとしても、気がつけば投資 金が減っていく。 このことを知らなければ、投資で勝つことなど不可能だ。
いやあ、気になります。気になりすぎです。
考えることが大事なのだよ。
ということでまた、次回。 わかりました。考えます。