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第5分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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180 シンポジウム 論 考 投稿原稿 会務報告 大会報告 長の松本新興塾は,長野県松本市や安曇野市を中心と する中信地域を基盤に,自治体や農協が設立し,地域 リーダー養成講座を運営する。営農リーダーというこ とで農業振興が中心ではあるが,集落単位の営農から 市域の経済活性化さらにはより広く中信地域の活性化 を目指すという地域リーダーであり,国際的な視野の 拡大(俯瞰能力養成)という課題までも掲げている。 稼ぐ(農業経営),守る(農村維持),生きる(地域で 暮らす),が 3 つの柱になっている。第 9 期(2 年過 程)には 18 人が参加,研修会,公開講座,圃場見学 や国内・海外研修旅行も実施される。こうした新興塾 の実態や活動が,「安曇野市農業・農村振興基本計画」 の策定過程の紹介も交えて報告された。  (文責:中谷武雄・金子浩一) 第 5 分科会  第 5 分科会のテーマは「経済教育の国際比較」であ る。座長は中里弘穂(福井県立大学)と加納正雄(滋 賀大学)が務めた。4 件の報告が行なわれたが,いず れも 30 分の報告と 10 分の質疑応答を行った。  第 1 報告は金子浩一会員(宮城大学)の「海外日本 人学校の教育に関する調査─公民・経済分野の内容 を踏まえて─」である。内容は,海外の日本人学校, 補習授業校などの現状と公民・経済分野の授業内容や 問題点の紹介である。  フロアからの質問と,それに対する発表者の応答は 以下のとおりである。  「聴き取り調査では欧州の学校を訪問しているが, 報告の内容はアジアの学校についてのものであるのは なぜか。」  「日本の高等学校と関係がある学校である。」  「補習授業校に通っている生徒は日本人学校に属し ているのか。」  データがないから分からない。  日本との相違で感じたことは何か。  設備などが十分でないことだ。日本に関する資料な ども手にいれにくい。  第 2 報告は権善喜会員(明治大学大学院)と鄭年皓 会員(愛知淑徳大学)の「日本における『学生の県名 思』と『韓国における学生の道名思考』」である。  内容は,日本の学生が,地域を都市単位ではなく, 県単位で考えること(県名思考),韓国でも同様に 「道名思考」があることの紹介である。  フロアからの質問と,それに対する発表者の応答は 以下のとおりである。  アンケートの質問内容はどうなっているか。県で考 えるか,都市で考えるかは,状況によるのではないか。  ゆとり教育と関連させるのは,どのような根拠があ るのか。ひとつの大学の学生を対象とした調査で「県 名思考」があるというのは乱暴ではないか。  報告者からは,アンケートの詳細に関する説明はな かった。これらのことは今後の課題にしたいというこ とである。  第 3 報告は金子幹夫会員(神奈川県立平塚農業高校 初声分校)の「カーナビゲーションを意識した経済教 育─税・財産権を基盤とした授業実践報告」である。  内容は,カーナビゲーションを見ている人と同じよ うに,自分が現在いる場所(自分が現在理解している ことや学習内容の基盤になるもの)を意識して,目的 地(学習目標)に到達させるための授業方法の報告で ある。基盤となる概念としては「分業と交換」,「財産 権」「税」の三つの概念である。授業に対する生徒の 感想や授業の結果として得られたものの紹介がなされ た。  フロアからの質問と,それに対する発表者の応答は 以下のとおりである。  これらの概念はこれまで重視されてこなかったもの であるが,経済を理解するためには,非常に重要であ る。ただし,生徒がどれだけ理解できたか,また生徒 の変化などを教えて欲しい。  これに対して報告者から,生徒の感想が紹介された。 また,生徒が自分の意見を,根拠を示して言えるよう になったことなどが紹介された。  第 4 報告は佐々木謙一会員(北海道教育大学)の 「フィリピンの高校経済学における評価について」で ある。内容は,報告者がフィリピンの高等学校で行 なった経済に関するテストの結果とフィリピンの高等 学校の「経済学」の授業(テキスト)の内容の紹介で ある。  フロアからの質問と,それに対する発表者の応答は 以下のとおりである。  経済リテラシークイズは NCEE のエコノミックリ テラシーのテストと異なるのか。  同じ問題ではないが,発想は同じである。  タイトルの「評価」というのは,テストの結果(成 果)の評価を意味するのか,それとも高校経済学の内 容の評価なのか。  タイトルの付け方は迷った。両方含むものである。  日本の経済教育とフィリピンの経済教育の相違は何 The Japan Society for Economic Education

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経済教育34号  181 か。相違に関してどのような印象を受けたか。  フィリピンに関する経済状況が含まれているのが特 徴である。そのほかは,日本の政治経済とは異なり, 経済学としての内容である。  以上が第 5 分科会の状況である。 (文責:加納正雄) 第 6 分科会  第 6 分科会のテーマは「初等中等における経済教育 ⑵」であり,4 名の報告がなされた。  第 1 報告は,炭谷英一会員により「『ポスト新古典 派意思決定教育試論』初等教育段階からの基本文法─ 経済学参照基準からの視座から─」の報告である。炭 谷会員は「ポスト新古典派意思決定教育試論」という 試論を展開した。日本学術会議での「経済学参照基準 問題」から,合理的経済人や希少性をどうとらえるべ きかと問題提起し,2005 年が経済教育元年,金融教 育元年とされ,そこから展開された「経済教育」や 「金融教育」の迷走は,合理的経済人育成を教育目標 とする新古典派意思決定論たるものが要因であり,誤 謬であると指摘している。よって,新古典派経済学の 一般均衡理論は,需要曲線と供給曲線の交点で価格と 数量が決定する中学校社会科以来,教え続けられてい る概念は変更を迫られるとしている。彼のいう「ポス ト新古典派意思決定教育試論」では,教育目標を利他 的人間の育成であるとし,変革の方向性も具体的に示 され,ワーキンググループによる提案の必要性を強く 訴えた。  第 2 報告は,福田秀志会員により「市場に任せれば, うまくいくのか?─アベノミクスの『成長戦略』を考 える!─」の報告である。福田会員の経済学習では, 市場メカニズムと市場の失敗,大きな政府と小さな政 府などを内容として授業展開がなされてきた。そのう え,安倍政権が進める「成長戦略」の内容とする発展 的学習の事例が提案された。勤務校の実態を鑑み,進 路実現として保育関係の志望者が多いことから,「保 育」を担うのは政府や地方自治体による財政か,市場 メカニズムを活用した企業かを考察させる授業展開が 紹介された。小泉政権の記者会見要旨やアメリカでの 刑務所や少年院が民営化されていることなどを紹介し, 考察が深化するような創意工夫が随所に見られた。報 告の最後には,高校教員としての素直な悩みを打ち明 け,この実践をどう考えさせるべきなのか,どう結論 付けるべきなのかとの問いに,フロアーからさまざま な考え方が示された。  第 3 報告は,太田正行会員により「高等学校商業科 における経済学習─社会科・公民科との関連」の報 告である。太田会員は都立高等学校公民科教員として 長く教鞭をとっていたが,今回は後期中等教育の経済 教育において重要な位置を占める商業科について,精 密な調査を行った。少子化が進む中,高校生の普通科 志向が強まり職業高校の減少は全国的なものとなって いる。しかし,商業科はその役割変化を遂げながら重 要度を増している。企業の経営活動に必要なコミュニ ケーション能力の育成や地域経済の理解を通して流通 経済を理解させる内容が加わったことは大きい。商業 科はビジネスに必要な経済に関する知識を習得させる ことが目標であり,あくまでも企業経営者や企業組織 の一員として経済について考察させること主眼であり, 公民科のそれらと大きく異なることが示された。これ により,経済教育において不可欠な公民科や家庭科と の連携の方向性を示すべく基礎が明らかとなった。  第 4 報告は,奥田修一郎会員により「経済的な見 方・考え方を養う中学校社会科歴史的分野の教材開発 ─貨幣・通貨からの流通経済史を着眼点にして」の 報告である。奥田会員は中学校社会科における経済教 育の目標は,子どもたちに経済学の成果を理解させる ことではなく,経済的な見方や考え方の育成に力点が あるとしている。まず,歴史教科書のなかから,流通 経済史に関する記述を 18 挙げ(江戸幕末まで),中学 校社会科歴史的分野と経済学習の関連性を明確にして いる。その上で,「貨幣」とは何だろうかとの問いか けを続けていく姿勢を大切にする授業展開を強く意識 しながら 2 つの授業案が紹介された。中学校社会科公 民的分野で行われるべき経済学習ではあるが,実際に は 3 年生の夏休みまで,歴史学習が行われている現状 から,歴史での経済学習の導入は大きな評価を得た。 (文責:高橋勝也) 第 7 分科会  「国際的視野から見た経済教育─韓国と日本  BaeKwangWoong(裴光雄)さん(大阪教育大学, 通訳を兼ねる)と藤岡惇(立命館大学)の司会のもと で,10~15 名の参加をえて,標記のテーマをかかげ る第 7 分科会が行われた。  慶尚大学師範学部の教員で,韓国経済教育学会副会 長を務める KyungmoKim(金景模)さんが,第一報 告者として立たれ,「韓国における経済教育の研究動 向の紹介と分析」という論題で研究成果を開陳された。 The Japan Society for Economic Education

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