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出 産 時 の コ ン トロ ール と満 足感 に 対 す る
妊 婦 のSelf-Efficacyと
出 産 準 備 充 実 感 の 関係
金沢大学医学部保健学科○亀田
幸枝
島田
啓子
田淵
紀子
関塚
真美
坂井
明美
I緒 言 これ まで,満 足 な 出 産 体 験 を 支 援 す る出 産 教 育 の あ り方 を模 索 してSelf-Efficacyに 着 眼 し,妊 婦 の 出 産 に 対 す るSelf-Effiacyを 高 め る 関 連 要 因 を 検 討 して きた 。欧 米 の 先 行 研 究 で は,妊 婦 の 出 産 に 対 す るSelf-Efficacyは,出 産 時 の 痛 み の コン トロー ル を 高 め,出 産 体 験 を 肯 定 的 に 受 け 止 める と報 告 して い る1)2)。 一 方,Lederman3)は,出 産 に 対 して 準 備 を 十 分 お こな っ た こ とと出 産 時 の copingは 関 係 す る と述 べ て い る 。しか し,出 産 様 式 や 文 化 的 背 景 の 違 う 日 本 で は,こ の ような Self-Efficacyや 出 産 準 備 充 実 感 が,果 た して 出 産 に 効 果 をもた らす か ど うか は 明 らか に され て い な い 。そ こで,本 研 究 で は,妊 娠 中 の 出 産 に対 す るSelf-Efficacyお よび 出 産 準 備 充 実 感 の 程 度 に より, 出 産 時 の コン トロール と満 足 感 に 違 い が あ るか どうか を 明 らか に す ることを 目 的 とした 。 II方 法 1.調 査 期 間:2002年5月 ∼7月 2.対 象:北 陸 の 産 科8施 設 で 妊婦健 診 を受 け,順 調 な 経 過 をた ど って い る経 膣 分 娩 予 定 の 初 産 婦 で,本 研 究 の 主 旨 と結 果 の 公 表 に つ い て 同 意 が 得 られ た95名 。 3.調 査 方 法:妊 娠36週 以 降 出 産 まで の 時 点 と出 産 後3∼7日 目 に,同 一 対 象 に2回 の 自 記 式 質 問 紙 調 査 を 行 った 。測 定 用 具 に,3つ の 尺 度 を 本 調 査 用 に 作 成 した。1)「出 産 に 対 す るSelf-Efficacy」 は,出 産 に 対 す るSelf-Efficacy Scale(亀 田他,2001)の 効 力 予 期12項 目(α=0.91)の 修 正 版 を用い た 。2)「出産 準 備 充 実 感 」は,LedermanのPrenatal Self-Evalutation Questionaireを 参 考 に した
15項 目(α=0.86)を 使 用 した。3)「出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 」の 測 定 に は,常 盤 他(2000)の 出 産 体 験 自 己 評 価 尺 度 を参 考 に コン トロー ル5項 目,満 足 感6項 目(α=0.70∼0.79)を 作 成 した 。 1),2)の 尺 度 は 妊 娠 中,3)の 尺 度 は 出 産 後 に測 定 した 。これ ら3尺 度 は そ れ ぞ れ4段 階 の リッカ ー ト評 定 を 用 い ,高 得 点 に な るほ ど妊 娠 中 のSelf-Efficacy,出 産 準 備 充 実 感,お よび 出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 は 高 い ことを示 す 。分 析 に は,SPSS for Windows 10.1を 用 い た 。分 析 手 順 は, ま ず,出 産 に 対 す るSelf-Efficacyお よび 出 産 準 備 充 実 感 の 各 合 計 得 点 か ら 平 均 値 ±0.5SDを 基 準 に 得 点 の 高 い 群 と低 い 群 に 分 け,各 々 を独 立 変 数 とした 。次 い で,出 産 時 の コ ン トロー ル と満 足 感 を 従 属 変 数 として ノンパ ラメトリックのMann-Whitney-U検 定 を 行 っ た 。
の 平 均27.9±3.9歳 で あ った 。調 査 時 期 は,妊 娠36∼41週 の 平 均37.5±1.3週,出 産 後 は3∼7 日の 平 均4.3±1.3日 で あ っ た 。 1)出 産 に 対 す るSelf-Efficacyと 出 産 準 備 充 実 感 お よび 出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 の 実 態 出 産 に 対 す るSelf-Efficacy(range12∼48点)は,最 小 値17,最 大 値40の 平 均27.1±5.8点,出 産 準 備 充 実 感(range15∼60点)は,最 小 値22,最 大 値52の 平 均36.1±6.9点 で あ った 。ま た,出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 は,コ ントロー ル(range5∼20点)が 最 小 値5,最 大 値20の 平 均11.3 ±3.3点,満 足 感(range6∼24)は 最 小 値13,最 大 値24の 平 均20.5±2.9点,全 体(range 11∼44 点)で は,最 小 値20,最 大 値43の 平 均31.8±5.2点 で あ った 。 2)出 産 に対 す るSelf-Efficacyお よび 出 産 準 備 充 実 感 の 程 度 に よる 出 産 時 の コ ン トロー ル と満 足 感 の違 い 表1出 産に対するSelf-Efficacyおよび出産準備充実 感の程度による出産時 のコントロールと満足感の違い 表1に 示 した ように,出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 は,出 産 に 対 す るSelf-Efficacyの 低 い 群 に 対 して 高 い 群 の 方 が コン トロー ル と満 足 感 は 有 意 に 高 い ことが 示 さ れ た。一 方,出 産'準備 充 実 感 の低 い 群 に対 して高 い群 の方 は,満 足 感 お よび 全 体 の得 点 は 有 意 に高 い ことを示 し,コントロー ル は 高 い 傾 向 にあった 。 IV考 察 今 回 の調 査 では,妊 娠 中の 出 産 に対 す るSefl-Efficacyお よび 出産 準 備 充 実感 の 高 い妊 婦 の方 が 低 い妊 婦 に 比 べ て,出 産 時 の コン トロー ル と満 足 感 は 高 い ことが 示 され た 。この結 果 は, Mannning1)やCrowe2)お よびLedeman3)ら の 見 解 と同 様 で あ っ た 。従 って,出 産 に 対 す る Self-Efficacyおよび 出産 準 備 充 実 感 とい った 認 知 を高 める介 入 の重 要 性 が支 持 され た。また,これ ら2つ の認 知 面 は,そ れ を 目的 とす る出 産教 育の評 価 に利 用 で きる可 能性 が示 唆 され た。本 研 究 の限 界 は,使 用 した尺 度 に依 拠 したもので あることに加 え,一 部 の 地方 の限 定 され た対 象か ら得 ら れ た結 果 に基 づ くもので ある。 V結 論 初 産婦 にお い て,出 産 に対 す るSelf-Efficacyおよび 出産 準 備 充 実 感 の高 い 人 は,そ れ が 低 い人 に比 べ て,出 産 時 の コントロー ル と満 足 感 が高 いことを認 めた 。 VI文 献
1) Manning MM. and Wright TL: Self-Efficacy Expectancies, Outcome Expectancies, and the Persis -tence of Pain Control in Childbirth , J Per Soc Psychol, 45(2), 421-431, 1983.
2) Kathryn Crowe and Carl von Baeyer: Predictors of a Positive Childbirth Experience, BIRTH, 16 (2)59-63, 1989
3) Regina P. Lederman: Psychosocial Adaptation in Pregnancy Second Edition Assessment of Seven Dimensions of Maternal Development, Springer, N.Y., 274-308, 1996.
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肯定的な出産体験が女性 に もた らす学び
東京大学大学院医学系研究科 ○ 野 口 真 貴 子 I緒 言 出産体験 は 、女 性が子 どもを娩 出す る とい う身体的 な現象 だ けで ない。 出産 が後 の女 性の 自尊 心や 自己効 力感 に影 響 す るな ど、 出産 体 験 が女 性 に変化 を もた らす こ とが あ る。 これ まで出産 体験 を客 観的 に測 定す る尺度 は比較的 多 く開発 され てい るが1)、 出 産体 験 と その後 の影 響 に言及 して い るものは少 な い。 そ のた め本研 究 は、肯 定的 な 出産 体験 に含 まれ る概 念因子 を明 らか にす る こ とか ら、 出産 が その後 の女 性の在 りかた に及 ぼす影 響 につ い て 考察 す る。 II方 法 出産 の満 足 度は 、助 産所 出産 の ほ うが病 院や 診療所 での 出産 に比べ て高 い こ とが明 らか に と され て い る2)。そ のた め本研 究で は、 あ る助 産所 で の出産 体験 を質 的 に分析 し、肯定的 な 出産 体 験 に含 まれ る概念 因子 を帰納 的 に抽 出 した。 デ ー タは、 あ る助産 所 で1986年 か ら1999年 にか けて 出産 した女 性175名 が、 体験 した 妊 娠 や出産 につ い て出産後1週 間 以内 に 自由記 載 した手記 で あ る。 この手記 は 当該助 産 所 の 来所 者 に公 開 され てい る もの では あ るが 、助産 所 か ら研 究協 力 を得 た後 、分析 の た めに研究 者 の フ ィール ド ・ノー トに複 写 す る際、 個 人名 な どは 削除 して 匿名 性 を確 保 した 。 まずデ ー タ全 体 を2回 、読 み返 し、意 味 のあ る文 脈 ごとに区切 り、そ の 内容 を コー ド化 し、 カテ ゴ リー に分 類 し、それ らの本質 的 な特 性の比較 検討 を繰 り返 す とい う内容 分析 を行 った。 女 性が女 性自身 の世 界 で意 味づ けす るまま を と らえ るため 、研 究 者 は常 に 中立的 姿勢 を維持 し、適 宜 、 スー パ ー ビジ ョンを うけ 、妥 当性 を損 なわ ない よ うに努 めた 。 III結 果 分析 した175名 の記 述 の うち171名 が 、今 回 の出産 全体 に対 して 「満 足 した 」、「幸 せ だっ た」、 「気 持 ち よか った」 とい うよ うに満 足 感や達成感 、幸 福感 、充 実感 、快 適 さを表現 し、 出産 を率 直に認 めて肯 定 してい た。 これ らの肯 定的 な出産 体験 を分析 した結 果 、表1に 示 す よ うに4つ の カ テ ゴ リー と23の サ ブカ テ ゴ リー が抽 出 され た。しつつ 、女 性が 自らの産 む力 を発 揮 してい る 自分 を肯定 し、 出産 に伴 う身 体 の変化や わ きあが る感情 を感 じなが ら、助産 師や 家 族 とい う周 りの人 々 に しっか りと支 え られ るとい う体験 で あった。 このなか で女 性は 自分 自身 や周 囲 の人、 分娩 進行 を深 く認 識 し、 出産 を通 じて成長 した 自分 自身、人 間 が支 えあ う関係 の大切 さ、 出産 し、子 ども を育 て る とい う女 性の役割 、食べ るこ とが 健 康の基本 で あ るこ と、偉 大 な 自然 の摂 理 や 現代 社会 の不 自然 さを考 えて いた。女 性 は身 を もって体 験 した出産 か ら思 考 を発 展 させ 、 自分 自身や 人 間、 自然、社 会 の在 り かたを見つ め なお してい たので 、出産 とい う体 験 を通 じて、女性 が人 間的 な成長 を と げた とい うこ とを表 してい る。 この よ うな身 体的 な出来 事 に とどま らな い出産体験 は 、出産 時だ けで な くそ の後の 生活や 女性 の人 生 に も影響 す る可 能 性が あ る。 女 性が 自尊 心を高め 、女 性 とい う性 役 割や 健康 、社会や 自然 に対す る意 識 を もつ ことは、女 性個 人 に意 義 が あるだ けでな く、 意 識の高 い女性 の社会 貢献 が期待 で きる。
V結
論
肯 定的 な出産体 験 は女 性が発 達 し、 将来 に良い影 響 を残 す可 能 性が示 され た。 この よ うな 出産 は、女 性個 人 の 内的 な変 化 の契機 とな る と ともに 、その女 性の家 庭 をベー スに 、社 会 の 在 りか た に も影響 を及 ぼす 可能 性 が あ る と考 え る。 VI文 献1) Fawcett, J. and Knauth, D.: The factor structure of the perception of birth scale, Nursing Research, 45 (2), 83-86, 1996.
2) 渡 部 尚子 ・嶋 田三 恵子: 利 用 者 の 立場 か らみ て 望 ま しい 出産 の あ り方 に 関 す る研 究, 平 成11年 度 厚生 科 学 研 究 報 告 書, 第3/6, 357-411, 2000.
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出産体験 の 自己評価 と産後 うつの関係
群馬大学医学部保健学科 常 盤 洋 子 宮崎県立看護大学 宮 里 和 子 I緒 言 産 後 うつ は 出 産 後 早 期 に 発 見 さ れ 対 処 さ れ れ ば 心 理 的 健 康 障 害 に い た る 結 果 を 阻 止 で き る が,う つ 症 状 を 見 逃 す と 産 褥 精 神 病 な ど の 精 神 障 害 や 心 理 的 落 ち 込 み を 招 く こ と が 報 告 さ れ て い る1)。 ま た 、Ayersら2)は 出 産 体 験 の 自 己 評 価 と 産 後 う つ と の 関 連 を 示 唆 して い る 。 そ こ で,本 研 究 で は 出 産 体 験 の 自 己 評 価 と 産 後 うつ の 関 係 を 検 討 す る こ と を 目 的 と す る 。 II研 究 方 法 研 究 期 間 は 平 成12年4∼9月 。 研 究 の 主 旨 に 同 意 の 得 ら れ た 産 後1∼7日 目 の 褥 婦1,500名 を 対 象 に 無 記 名 自記 式 質 問 紙 調 査 を 実 施 し た 。1,130名 か ら 回 収(回 収 率75.3%)さ れ た が 、 記 入 漏 れ 等 が 削 除 さ れ,有 効 回 答 数 は932票(有 効 回 答 率62。1%)で あ っ た 。 調 査 内 容 は,出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度(短 縮 版)(18項 目:5件 法,α 係 数.90∼.94)3), 池 本 ら4)がZung自 己 評 定 式 抑 う つ 尺 度 に 変 更 を 加 え た 産 後 うつ 尺 度(25項 目:4件 法,α 係 数.90),産 科 的 要 因(年 齢,陣 痛 経 過,分 娩 時 間,娩 出 様 式,出 産 時 期,出 生 時 体 重,新 生 児 の 健 康),心 理 ・社 会 的 要 因(出 産 準 備 ク ラ ス の 受 講 の 有 無,夫 立 ち 会 い 分 娩 の 有 無, 出 産 時 の 不 安 得 点,夫 の 対 応 へ の 満 足 度(0-100点)。 分 析 は,初 産 婦 と経 産 婦 別 に 行 っ た 。 III結 果 1)出 産 体 験 の 自 己 評 価 と産 後 う つ の 関 連 出 産 体 験 の 自 己 評 価 と 産 後 うつ の 関 連 を 明 ら か に す る た め に,出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度(短 縮 版)得 点 のL群(平 均 値-1/2SD),H群(平 均 値+1/2SD),M群(L群 とH群 の 中 間)を 要 因 と し,産 後 う つ 得 点 を 従 属 変 数 と し た 一 要 因 分 散 分 析 を 行 っ た 。 初 産 婦 は,「 出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度(短 縮 版 」 得 点 のL群,M群 よ り もH群 で 産 後 の うっ 得 点 が 有 意 に 低 い こ と が 明 ら か に され た(F[2,395]=10.23,P<.001)。 出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度 の 下 位 尺 度 別 に み る と,「 産 痛 コ ー ピ ン グ ス キ ル 」 で は,L群 ・M群 よ りH群 が 有 意 に 低 く(F[2,406]=5.83,P<.01),「 信 頼 で き る 医 療 ス タ ッ フ 」 で は,L群 よ りM群,M群 よ りH群 に お い て 有 意 に 産 後 うつ 得 点 が 低 い こ と が 明 ら か に さ れ た(F[2,340N3.20,P<.001)。 「生 理 的 分 娩 経 過 」 で は,L群 よ りH群 に お い て 産 後 う つ 得 点 が 有 意 に 低 い 結 果 が 得 ら れ た(F[2,4061=5.07,P<.01)。 経 産 婦 で は,「 出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度(短 縮 版)」 得 点 のL群,M 群 よ り もH群 で 産 後 の うつ 得 点 が 有 意 に 低 い こ と が 示 さ れ た(F[2,415]=851,P<.001)。 「信群 間 に 有 意 差 を 認 め た(F[2,448]=3.26,P<.05)。 2)産 後 う つ を 規 定 す る 出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度 の 要 因 の 検 討 産 後 うつ を 規 定 す る 要 因 を検 討 す る 目的 で,出 産 体 験 の 自 己 評 価 尺 度(短 縮 版)の 下 位 尺 度 得 点 と 産 後 うつ に 影 響 を 及 ぼ す 産 科 的,心 理 ・社 会 的 要 因3)を独 立 変 数 と し,産 後 うつ 尺 度 得 点 を 従 属 変 数 と した 重 回 帰 分 析(強 制 投 入 法)を 行 っ た(Table1)。 産 後 うつ を 規 定 す る 要 因 と して,初 産 婦 で は,「 信 頼 で き る 医 療 ス タ ッ フ 」,「夫 の 対 応 へ の 満 足 度 」,「出 産 時 の 不 安 得 点 」,「出 産 年 齢 」 が 抽 出 され た 。 経 産 婦 で は 「出 産 Table1出 産体験 の自己 評価 と産後 うっの 関係 時 の 不 安 得 点 」,「出 産 年 齢 」,「信 頼 で き る 医 療 ス タ ッ フ 」 が 抽 出 され た 、 IV考 察 以 上 の 結 果 か ら,出 産 体 験 の 自 己評 価 に お い て満 足 が 得 られ な い場 合 に は,初 産 婦 、経 産 婦 と もに 産 後 うつ を もた らす 可 能 性 が あ る こ と が示 唆 され た。 ま た,初 産 婦,経 産 婦 と も に 「信 頼 で き る 医療 ス タ ッ フ 」,「出産 年 齢 」,「出 産 時 の 不 安 」 が 産 後 うつ を 規 定 す る要 因 と し て抽 出 され た こ とか ら,MnCreaら5)が 指 摘 す る よ うに,信 頼 で き る 医療 ス タ ッ フ の 存 在 は, 母 親 の産 痛 緩 和 や 意 思 決 定 過 程 へ の積 極 的 な参 加 を促 し、 出産 時 の不 安 に対 処 で き 、 そ の こ とが 出産 体 験 の 満 足 度 を 高 め 、 ひ い て は 、 産 後 うつ の 予 防 に貢 献 す る と思 わ れ る。 V結 論 ① 出産 体 験 の 自己 評 価 が 低 い場 合 、産 後 うつ を も た らす 可 能性 が あ る こ とが 示 唆 され た 。 ② 産 後 うつ を 規 定 す る要 因 と して,初 産 婦 で は,「 信 頼 で き る 医 療 ス タ ッ フ」,「夫 の 対 応 へ の 満 足 度 」,「出産 時 の 不 安 」 得 点,「 出 産 年 齢 」 が 、経 産 婦 で は 「出 産 時 の 不 安 」 得 点 「出 産 年 齢 」,「信 頼 で き る 医 療 ス タ ッ フ」 へ の満 足 度 が抽 出 され た 。 VI引 用 文 献
1) Becic, C.T., et al.: Postpartum depression screening scale: Development and psychometric testing. Nursing Research, 49, 272-281, 2000.
2) Ayers, S., et al.: Do women get posttraumatic stress disorder as a result of childbirth? A prospective study of incidence. Birth, 28, 111-118, 2001.
3) 常 盤 洋 子: 出 産 体 験 の 自 己 評 価 に 影 響 を 及 ぼ す 要 因 の 検 討.群 馬 大 学 保 健 学 科 紀 要, 22, 29-39, 2002.
4) 池 本 恵 子, 他: い わ ゆ る マ タ ニ テ ィ ブ ル ー の 調 査-そ の1.出 現 頻 度 と 臨 床 像-,精 神 医 学, 28, 1011-1018, 1986.
5) MaCrea, B.H. et al.: Satisfaction in childbirth and perceptions of personal control in pain relief during labour. Journal of Advanced Nursing 8, 877-884,1999.
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上 の子 ど もを家 族 立 ち会 い出 産 に参 加 させ た
母 親 の体 験 に 関 す る研 究
―出産から3年 後の母親への面接調査より―
福井県立大学看護福祉学部看護学科 ○ 月 僧 厚 子 I緒 言 上 の 子 ど も の 立 ち会 い 出 産 に 関 す る研 究 報 告 は 世 界 的 に み て 少 な い が 、 米 国 に お い て 参 加 観 察(Leonard、1979)、 母 親 へ の イ ン タ ビ ュ ー(Anderson、1979)、 上 の 子 ど も へ の イ ン タ ビ ュ ー(Mehl、1977:Anderson、1983)等 の 報 告 が あ り、 これ ら の研 究 結 果 は 出 産 へ の 子 ど も の 参 加 を概 ね 肯 定 的 出 来 事 と と らえ て い る。 しか し、 上 の 子 ど も を 出 産 に 立 ち会 わ せ た こ とが 、 そ の 後 、 立 ち会 っ た 子 ど も を は じめ 家 族 成 員 個 々 に ど の よ うな 影 響 を 与 え るの か に つ い て の 追 跡 報 告 は ほ とん ど見 られ な い 。 本 研 究 は 、『上 の 子 ど も を 家 族 立 ち 会 い 出 産 に参 加 させ た 母 親 の 体 験 』 を 明 らか にす る た め の 、縦 断 的 継 続 研 究 の 一 部 で あ る。 研 究 の 目的 は 、 上 の 子 ど も を 出 産 に 立 ち会 わ せ て3年 を経 過 した 母 親 の 、 出 産 及 び そ の 後 の 体 験 を 明 らか に し、 上 の 子 ど も を 家 族 立 ち 会 い 出 産 に 参 加 させ た こ とが 、 そ の子 ど もや 誕 生 した 同 胞 及 び 母 親 自身 や 父 親 に及 ぼ した 影 響 等 の 意 味 を 、 母 親 の 視 座 か ら明 らか にす る こ とで あ る。 注)「母親の体験 」 とは、上 の子 どもを出産 に立 ち会わせた ことに関連す る母親の認識 、感情 、行為 と す る。 「上の子 ども」 とは、3年 前 に誕生 した次子の同胞 とな るものであ り、家族立 ち会 い出産へ の参 加 当初就学前であった ものである。 II方 法 1.研 究 対 象:上 の 子 ど も を家 族 立 ち会 い 出 産 に 参 加 させ 妊 娠 末 期 か ら産 後1ヵ 月 ま で 追 跡 した 本 研 究 者 に よ る 先 行 研 究 の 対 象 で あ る母 親 とそ の家 族9組 と、 そ の 後 新 た に 調 査 対 象 と して 追 跡 した2組 を加 え た 合 計11組 の うち 、母 親 及 び 父 親 が研 究 へ の 協 力 を 承 諾 した もの。 2.研 究 期 間:2001年7月 ∼10月 3.研 究 場 所:3年 前 の 家 族 立 ち 会 い 出 産 実施 場 所 で あ るF県 内 の1助 産 院 、及 び 各 研 究 対 象 者 の 自宅 。 4.デ ー タ収 集 及 び 分 析 方 法:デ ー タ 収 集 方 法 は 半 構成 的 面 接 法 を 中 心 と し た フ ィ ー ル ド調 査 の 方 法 を 採 用 した。 面 接 内 容 は 対 象 者 の 許 可 を得 て テ ー プ レ コ ー ダ ー に収 録 し、 逐 語 的 に 記 述 して 質 的 分 析 を 行 っ た。 5.倫 理 的 配 慮:対 象 とな る 家 族 に は 事 前 に研 究 の趣 旨 を説 明 し、研 究 協 力 へ の 同意 を得 た 。 個 人 の プ ライ バ シー は 保 持 され る こ と、 及 び研 究 開 始 後 に 自 己 の 意 思 で 研 究 へ の 参 加 を 拒 否III結 果 及 び 考 察 1.対 象 者 の 特 徴 年 齢 は30歳 か ら38歳 ま で で 、 平 均33.8歳 で あ っ た 。 職 業 は 専 業 主 婦 が5名 で あ り、 保 育 師 が2名 、 老 人 施 設 の 寮 母 が1名 、 養 護 教 諭 が1名 、 教 員 が2名 で あ っ た 。3年 前 の 出 産 は 全 員 が 自然 分 娩 で あ り、母 児 共 に 異 常 無 く 、産 褥 経 過 も良 好 で あ っ た 。 そ の 後1名 が 、 再 度 家 族 立 ち会 い 出 産 を 体 験 してお り、1名 が 妊 娠 中で あ り、 立 ち 会 い 出 産 を 予 定 して い た 。 2.上 の 子 ど も を含 め た 家 族 立 ち 会 い 出 産 か ら3年 を 経 過 した 母 親 の 体 験 調 査 に よ っ て 得 られ た デ ー タ を 質 的 に 分析 した結 果 、 上 の 子 ど も を 家 族 立 ち 会 い 出 産 に 参 加 させ て か ら3年 を 経 過 した 母 親 の 体 験 は 、 『背 景 と して の 出産 歴 』 『印 象 に残 っ て い る家 族 立 ち会 い 出産 場 面 と想 起 に 伴 う感 情 』 『出 産 後3年 間 の 生 活 体 験 』 『出 産 か ら3年 後 の 立 ち 会 い 出 産 の 評 価 』 『要 件 と して の 立 ち 会 い 出 産 支 援 』 の5つ の カ テ ゴ リー に分 類 され 、 そ れ ら は さ らに 下 位 カ テ ゴ リー に 分 類 され た 。 母 親 は 、 これ らの5つ の視 点 か ら家 族 成 員 個 々及 び 家 族 へ の影 響 等 に つ い て 述 べ 、 上 の 子 ど もを 出 産 に 参 加 させ た こ と を肯 定 的 に評 価 した。 ま た 、 出 産 か ら3年 とい う時 間 の経 過 に 着 目 して 、 下位 カ テ ゴ リー か ら特 徴 的 な 内容 を拾 い 上 げ て母 親 の 体 験 の 意 味 を考 察 した と こ ろ 、 上 の 子 ど も を含 め た家 族 立 ち会 い 出産 体 験 は 、 子 育 て の 基 盤 と して の 家 族 の 絆 を組 み 直 して 、 子 育 て を家 族 成 員 個 々 に対 して 開放 し、子 育 て に取 り組 む 母 親 の気 持 ち の 拠 り所 と し て 、最 も養 育 機 能 を 求 め られ る時 期 に お け る母 親 を 支 え て い る こ とが 明 らか に な っ た。 さ ら に 、母 親 は 出産 に 立 ち 会 っ た 体 験 が 子 ど もの 発 達 に と っ て 有 益 で あ る と考 え て お り、 子 ど も か らの 小 学 校 で の 活 動 報 告 等 に よ り、 子 ど も 自身 に よ る 出 産 に 立 ち 会 っ た 体 験 の 内 面 的 な統 合 が行 わ れ つ つ あ る こ と を確 認 で き て い る者 も い た 。 IV 結 論 出産 か ら3年 を経 過 した母 親 に と っ て 、 上 の子 ど も を 含 め た 家 族 立 ち会 い 出 産 体 験 は 、 1)家 族 の 絆 を 組 み 直 し、2)家 族 成 員 個 々 へ 子 育 て を 開 放 し、3)母 親 の 子 育 て に 取 り組 む 気 持 ち の 拠 り所 と して 子 育 て を支 え る と共 に 、4)子 ど もの 発 達 を促 進 し得 る も の と して と らえ られ て お り、 母 親 は上 の 子 ど も を 出産 に参 加 させ た こ とを 肯 定 的 に 評 価 して い る こ と が 明 らか に な っ た 。 V 文 献
1) Leonard, C.H., Irvin, N., Ballard, R.A., Ferris,C., & Clyman, R.(1979).
Preliminary Observations on the behavior of children present at the birth of a sibling. Pediatrics, 64,949-951. 2) Mehl, L E., Brendsel, C., & Peterson, G.H.(1977).
Children at birth: Effects and implications. J.Sex Marital Ther., 3, 274-279. 3) Anderson, S.V.(1983) . Childbirth through children's eyes. Doctoral dissertation.
The University of Arizona, College of Nursing. Ann Arbor.