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キャリア・デザインとリカレント研修体制

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Academic year: 2021

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理学療法学 第 40 巻第 8 号 712 はじめに  今回のテーマ「理想的な職場管理の確立に向けて」とある。 昨今,理学療法士であるのはもちろん経営者,部門管理者さら には施設管理者として活躍されている方が 10 年,20 年前に比 較するとはるかに多くなってきており,求められる管理能力も 高まってきている。そこから試行錯誤し,様々な取り組みをな されていることであろう。今回,職場管理の環境整備の工夫と して職場におけるコミュニケーションを中心に組織マネージメ ント,人材育成について若干の経験と考えを述べてみたい。  医療,介護における理学療法士としての様々な人間関係は, その人のコミュニケーション能力や社会性に寄与するところが 多いと感じている。そしてこのコミュニケーション能力におい てお互いの信頼関係を深めていくことが人間関係の円滑化へつ ながり,よい職場環境づくりの第一歩となると考えている。こ の信頼関係を深める方法のひとつとしてコーチングというコ ミュニケーションスキルをここに紹介する。 ティーチングとコーチング  ティーチングとは情報をもっている人(指導者)が情報を知 らない人(初心者)へ伝達することである。たとえば,スポー ツ初心者を思い浮かべていただくと,まず最初に指導者は初心 者に対してそのスポーツの基礎となる動きを見せて,真似さ せ,繰り返し行うことで動作を修得させていく。これがティー チングといえる。  次にコーチングとは,個人の能力や潜在的能力を最大限に発 揮できるように自発的行動を引きだすことである。ティーチン グとしての関わり方コーチングとしての関わり方を新人セラピ ストに対してと仮定し図 1 にて表してみる。まずは新人セラピ ストは新しい環境で仕事を行っていくうえで多くのことを学 び,修得していかなければならない。まずは指導者,経験者に 対して受身的,依存的であるが徐々に助言で行動でき,自立し ていく。ここでティーチングからコーチングとしての関わりへ と変化してくると考える。 コーチングとは  コーチングにおいては,コーチとクライアントという関係性 があり,ここに強い信頼関係を築きコーチングコミュニケー ションを行うことでクライアントの目標達成を応援していくこ とができる。ここでもっとも大切なことはクライアントが自分 自身で答えを見つけ行動していくということである。コーチは それを促し応援していく人である。コーチはクライアントに対 して守秘義務があり,クライアントが必ず答えをもっていて, それを見つける力ももっていると信じることが大切である。そ して 100%の興味と好奇心をクライアントに向けてコーチング を行う。  我々,理学療法を取り巻く環境を見てみると,新人セラピス トと経験豊富なセラピスト,実習学生と実習指導者,患者様と セラピストなど様々な場面においてこのコーチとクライアント という関係性を取り入れコミュニケーションに活かしていける 場面が多いのではないかと考える。 コーチングスキルについて  コーチングには 100 以上のスキルがあるが,まずは聴く(傾 理学療法学 第 40 巻第 8 号 712 ∼ 713 頁(2013 年)

キャリア・デザインとリカレント研修体制

─理想的な職場管理の確立に向けて─ 職場の環境整備の工夫

松 本   泉

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専門領域研究部会 教育・管理理学療法 特別セッション「パネルディスカッション」

Carrier Design and Recurent Education Structure: For Ideal Work Place Management: Operation Management & Environment Planning

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学校法人 青照学舎 熊本駅前看護リハビリテーション学院 理学療 法学科

(〒 860‒0047 熊本県熊本市西区春日 2‒1‒15)

Izumi Matsumoto, PT: Kumamoto Ekimae Nursing Rehabilitation School of Incorporated Educational Institution

キーワード:人材育成,コミュニケーション,コーチング

図 1 新人セラピストへの関わり(ティーチングとコーチング)

Japanese Physical Therapy Association

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キャリア・デザインとリカレント研修体制 713 聴),認める(承認),質問が大切だと考えている。今回,特に 承認のスキルに含まれる「褒める」について述べる。「褒めて 伸ばす」といわれてわかっているものの具体的には「褒める」 ことで具体的にどのような効果や結果が見られるのだろうか。 「褒める」の効果として職場に与える効果が次のように挙げら れる。1.生産性が高くなる。2.仲間意識が強くなる。3.離 職率が低くなる。4.顧客の忠誠心や満足度が高くなる。5.職 場における事故が少なくなり,安全性が高くなる。このような 効果が得られる。医療,介護,教育の分野において「褒める」 効果を得られると職場,職員の満足度,患者満足度が高くなる と考える。まずは,この承認のスキルを取り入れることで職場 においてお互いを認め合い,よりよい信頼関係を築き高めるこ とが職場環境の整備のひとつとなると考える。  コーチングスキルをコミュニケーションに取り入れながら も,どうしても話がうまく伝わらない,つき合い難さを感じ ることがある。これは価値観の違いであり,個々の育った環境 や現在のおかれている状況,受けてきた教育など様々な影響に おいて価値感が違ってくる。この価値感の違いをコミュニケー ションタイプとして捉えコミュニケーションを行うことができ る。タイプはコントローラー・アナライザー・サポーター・プ ロモーターの 4 つに分けられる。このタイプの特徴に対して相 手が受止めやすい言葉でコミュニケーションをとっていくこと で,お互いのコミュニケーションが円滑になり,理解が深まる のではないかと考える。 マネジメントへの活用法  コーチングを用いたひとつに,職場スタッフに対して1年間 の個人に対する目標設定を行ってみた。年度はじめ(4 月)前 期終了時(9 月)後期終了時(3 月)に目標設定・目標到達度 の確認を主にコーチングを行っていく。目標設定で大切なこと は,具体的・測定可能・会社目標と関連している・達成期限の ある目標を立てることである。ここでコーチングを用いて本人 が自分自身についてなにかに気づき自ら目標設定していくこと が大切である。また,目標が実際行動へと結びつくように促す こともコーチングの役目である。そして行動の結果,そこから 気づいたことを次の目標としていけるようにコーチングによっ てあらためて見つけていく(図 2)。これを行っていくことで 人材育成を促進させ,仕事の質や職場環境の向上につながると 考えている。 文  献 1) ローラ・ウィットワース,キャレン・キムジーハウス,他:コー チング・バイブル(第 2 版).東洋経済新報社,東京,2008. 2) 鈴木義幸:コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる 四つのタイプ.ディスカヴァー・トゥエンティワン,東京,2002. 3) 柳澤厚生:これからの医療に必要なコーチング.Sportsmedicine. 2005; 74: 10‒13. 4) 西嶋恵理子:目に見えないコミュニケーションの質を測る.標準 化と品質管理.2008; 61: 38‒43. 図 2 コーチングを取り入れた人材育成サイクル

Japanese Physical Therapy Association

図 1 新人セラピストへの関わり(ティーチングとコーチング)

参照

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