チケット駆動開発に着目した計測と可視化
によるITプロジェクト運営の体質改善
IPA/SEC連携委員
神谷 芳樹
(みたに よしき) SECセミナ 2014年10月何を訴えたいか
• ソフトウェア開発プロセスを見えるようにしよう
– ソフトウェア開発プロセスは本来そのままの形では見えにくい
• その手段・方法論
– 自動計測による可視化
• 背景
– ソフトウェア開発は機械支援によって実行される
• ソフトウェア開発を支援する機械機構の中に計測機能を
埋め込む
• 2つのポイント
– チケット駆動開発 ・・・ チケットへの情報記載とチケット計測
– プロダクト計測 ・・・ 版管理/構成管理システムの活用
内容
• チケット駆動開発とは
– ちょっと掘り下げ
• そのルーツ、チケットの機能
• 2つの機能、2つの開発型
• チケット記述項目への考え方
• 自動計測による可視化の流れ
• 成果物計測について
– 特に要求定義、設計工程の成果物計測
• 全工程一貫計測モデル
• ビジネスプロセスとの対比
• アジャイル展開
• 現代のソフトウェア開発の基本問題
現代のソフトウェア開発スタイルへの共通認識
ソフトウェア 開発管理環境の ここ数年の 格段の進化への 着目ソフトウェア開発プロジェクトの計測
ツールを駆使したプロジェクトの可視化 EPM Empirical Project Monitorチケットの計測
ガントチャート チケット一覧表 機能の予定と実績 滞留期間別未決課題件数 チケット駆動開発の推奨 チケット計測による プロジェクト可視化の利点への着目チケットの2大機能と開発型
作業分類・記録型チケット と 作業指示・受け渡し型チケット 障害分類 原因 1970年代のバグ票例 チケットの 機能への考察 チケットのルーツ例 障害状況 障害原因 及び 措置作業の分類と記録機能
障害分類 原因
障害処理票の管理項目例
自由記述 と
作業指示・受け渡し型チケット
• 発行負荷が軽い
– プロジェクト計測負荷を感じない
– 現場にとって気持ちよいプロジェクト運営
• 狭視野
– 単独のプロジェクトが進行すればよい、という視野
– 工程の前段の状況を分析して後段に反映する視点に
欠ける
– 事後に評価してプロセス改善に反映する視点に欠ける
– 多くのプロジェクト・データを蓄積して、分析・評価し、将
来に向けた施策に反映する視点に欠ける
作業分類・記録型チケット
• 多くのデータが得られる
• 出力の可視化情報が豊か
• ソフトウェアエンジニアリング研究の成果を反映したプ
ロジェクト管理やプロセス改善の施策に役立てられる
• チケット発行負荷が大きい
• 管理先行になってプロジェクト進行実務者側の負担が
大きい
• 予定消化の、つまらない、苦痛を伴うプロジェクト運営
になる可能性がある
• 工程区分に結びつけた管理法にも再考の余地あり
開発流儀とチケットの発行契機
• フィーチャー型開発
– 機能の実現に焦点
• 作業者にとってモチベーションを高めやすい
• 管理者にとって、工期や工数を管理しにくい
• WBS型開発
– 管理者には都合がよい
が、作業者には苦痛の原因
となる
– あらかじめ定めた所定の機能を所定の予算で所定
の時期に実現するためには、ある程度避けられない
管理方法
– 開発作業の中に企業間の契約行為が含まれる場合、
工夫の余地が少ない
WBS:ディクショナリ
作業の登録・指示と経過の記録
進捗管理
EPM-Xサンプル
チケット構造
(Redmine版)
要求定義工程の
ダイアグラム例
(1/4)
EAダイアグラム
DMM
成果物管理(計測):要求定義
要求定義工程の
ダイアグラム例
(2/4)
EAダイアグラム
DFD
成果物管理(計測):要求定義
要求定義工程の ダイアグラム例 (3/4) EAダイアグラム WFA
成果物管理(計測):要求定義
要求定義工程の ダイアグラム例 (4/4) EAダイアグラム ERD
成果物管理(計測):要求定義
EAダイヤグラム記述の集計例:要求定義工程
成果物計測 UMLの例
ソフトウェア開発管理環境と
ビジネス管理環境の対比
津田義史著「実践 反復型ソフトウェア開発」(2012年オーム社)を参照しながら 「アジャイル開発」での計測・可視化課題を考える