企業の発展と人材育成
兵庫県職業能力開発協会
兵庫職業能力開発サービスセンター
人材育成コンサルタント
城戸 信幸
人材育成の重要性
• よく、企業は人なりといわれます。
• 今日は、その人、従業員の育成を通じた企業の発展に関し、
お話しいたします。
• 皆様に取り、いくつかのヒントをご提供できれば幸いです。
人材育成の重要性
経営の3要素
経営の三要素はひと、もの、金、最近はさらに情報が加わります。
+ 情報
人材育成の重要性
・
この人を育成することで、企業力は向上する
• 御社の従業員の方が、その保有する能力を向上することで
会社の能力も向上します。
• オン ザ ジョブ トレーニング: 現場で行われる仕事をしながらの訓練
オフ ザ ジョブ トレーニング: 仕事と切り離されて行われる座学を含む訓練
能力向上
自己啓発
企業内教育
On the job
training
Off the job
キャリア形成を通じ、向上を実感して、モラールアップ
自己啓発
企業内教育
能力向上
キャリア形成
自己評価
周囲の評価
実感
満足感の向上
モラール (意欲)の向上 明るい職場の雰囲気 明るく、働き易く、働き
甲斐のある職場
マズローの欲求5段階説
ここでモラールの源泉をマズロー
・
の欲求5段階説で確認しましょう。
明るく、働き易く、働き甲斐のある職場
★ 職場とは、人が協働し、その結果として成果を生み出す場
● 職場が暗くては、人は、元気に協働することができますか。
● 職場が、働き易くなければ、人は、成果の追及に精進できますか。
● 人の働き甲斐は、生み出した成果を正当に評価されることで
できるのではないですか。
★ 職場は、人に取り、自己研鑽の場でもあります。
明るく、働き易く、働き甲斐がある職場 ⇒ 自己研鑽にも励みがでる
人材育成には人事制度の構築が必要。
• ★ まずは、経営理念であり、その達成手段としての人事制度
の構築が必要です。
• ★ 人事制度ができ、望ましい人材育成のための、人材育成計画
が作られます。
• ★ しかし、中小企業には、身の丈サイズの人事制度が必要です。
人材育成には人事制度の構築が必要。
人を育成するには、人が昇っていく階段が必要
新入社員
ベテラン社
員
主任・係長
課長
部長
本部長
人材育成計画 ⇒ 職業能力開発計画
「事業所内職業能力開発計画」作成の手引き
事業所内職業能力開発計画
職業能力評価基準
職業能力評価基準 介護
職務記述書
例
身の丈サイズの人事制度の必要性
人事制度は千差万別
従業員が、数千名位以上の大企業の人事制度もあれば、従業員10名以下の企業にも人事制度があります。
従業員数10名以下の企業の人事制度: 社長、中間リーダー、その下に一般社員がいる、これも人事制度
小さい会社に、多層構造は不必要
⇒ 身の丈サイズの人事制度
企業の成長に合わせ、多層化していけばいい
必要性からの多層化 「 必要は発明の母」
無計画な多層化は、やがて、無理が来る ⇒ 身の丈サイズの人事制度の構築
経営理念と人事制度
● 人事制度は経営の中核
⇒ 経営理念を追求するために人事制度は存在
⇒ 人事制度は、経営理念をベースに作成
● 経営理念は、企業の、立ち位置に立脚して作成 ⇒ 自社の立ち位置は市場に立脚
● 市場における自社の立ち位置の認識 ⇒ マーケティングにより把握
● マーケティングの手法: SWOT分析と5C分析
SWOT分析: 自社の強みと弱み、自社に対する好機と脅威
5C分析: 自社、自社のお客様、自社の競争相手、
ここまでが3C分析、更に、お客様のお客様、お客様
の競争相手を認識することで、近未来を予想、これが、
5C分析
この過程でブルー・オーシャンが得られることもある。
ブルー・オーシャン 競争のない未開拓市場のこと c.f. レッド・オーシャン
経営理念と人事制度
企業における実施例
では、実施例として、
• ★ 経営理念はできたけど、人事制度を作るまでにはいかなか
った例。
• ★ 自社で手作りながら人材育成をしている例。
• ★ 介護業界で人事制度を作り、目標管理を導入して運営して
いる例。
• ★ 一社で2つの異なる業種を抱えて、統一した人事制度を構築
しようとしている例。
などがあります。
実施例
経営理念はできたけど。
• 従業員数: 50名
• 経営者: 非常な努力家 経営者団体の会合に参加し、経営理念の
必要性を認識し、経営理念を作成
• 人事制度の構築段階でご相談
• 人事制度構築の目的は、仕事が、熟練工の負荷の分散
• 後継者を育成して仕事を分散させ、熟練工への仕事の集中を減少
• 人材を育成 ⇒ 人事制度の構築
• 社長一人しか当該業務をこなせる人材がいない ⇒中座
• 人材育成コンサルタント: 助言・指導まで、実務はできません
• 社労士等の専門家を巻き込むことを提案中
実施例
手作りの人材育成
• 精密加工機メーカー
• 人材育成 ⇒ 多能工化 ⇒ 評価制度を導入
• 熱心な社長さんとその息子さん: 評価制度を作る ⇒
現在、稼働中 (途中、必要な修正を加えながら)
• 人事制度は完全を求めるのではなく、まず作成し、その後必要な
修正を加えていくという心構えが重要
人材育成コンサルタント: 適時、訪問し、必要な助言・指導
黒子役に徹する
実施例
介護業界における人事制度と目標管理
• 人事が中心となり、人事階層、特に当時の職業能力評価基準が、従業員
レベル、レベル1と2としたところを、より細分化して活用しています。
(現在、介護業界用は、その様に細分化されています。)
• 人材育成・業務達成手段 ⇒ 目標管理を導入
• 現在、順調に進んでいます。もちろん、適時、必要な修正は加えながら。
• 人材育成コンサルタントの役目 ⇒ 情報提供と助言
講義の中で目標管理のご説明をいたします。
実施例
異業種を抱えての人事制度構築
• 大きく市場が異なる2分野が事業となっており、2つの事業部が存在
• 人事制度、人事評価制度を作る際の重要なポイント
⇒ 異なる2事業部相互間の納得性を得るか
• 「まず、経営理念を2つの事業部の市場を見ながら、別個に作成し、上位
概念を使用することで統一してみませんか。」とご提案
• このように、異なる2つ以上の概念を統一するには、上位概念を用います。
• 現在は、マーケティング手法を用い、経営理念を作成する途上です。
上
位
概
念 概念1
概念2
概念3
皆さんの会社では? (3分+7分=10分)
• 具体的なイメージを思い浮かべてください。
★ イメージで考えることで、より鮮明に情景が浮かぶはずです。
人材育成と目標管理
• ★ 日本における人事制度、賃金体系の変遷
• ★ 目標管理とは
• ★ 中小企業における目標管理とは。 職場の活用
日本における人事制度、賃金体系の変遷
日本における人事制度(処遇制度)変遷
• 第2次世界大戦後、電産型賃金制度 (電産とは労働組合のこと)
電電産協が1946年の産別十月闘争によって獲得した賃金体系
以後約10年間,日本の最も代表的な賃金体系として広く普及 ⇒ 生活の保障
• 年功序列賃金体系 ⇒ 人の能力は、働いている期間により伸びる
• 職能給制度 ⇒ 人の持つ能力自体を評価する ⇒ 職能階層(人事制度上の階層) ⇒
人材育成とは、この階段を上らせること
(職能要件が抽象的 ⇒ 評価が上位に傾き、人件費が高止まり
• 職務給(役割給)制度: 企業内の役割に着目して処遇
・
★ 現在は、職能給制度と職務給制度が企業ごとに比率を変え存在
目標管理
組織のマネジメント手法の1つ
1950年代に米国のピーター・ドラッカーが提唱
個々の担当者に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体
的に管理する手法
本人の自主性に任せることで、主体性が発揮されて結果として大きな成果が得られると
いう人間観/組織観に基づく
目標管理は、米語でManagement by objectivesといい、MBOと略される。『目標による管
理』とはその訳語
目標管理は、ダグラス・マクレガーによって継承された。
目標管理シート
中小企業における目標管理とは。 職場の活用
職場の活性化に寄与するよう運営 ⇒ ある程度の規模のグループ単位での運営
このグループの単位 ⇒ 職場
上位ミッション ⇒ 職場討議を通じ、職場のミッションを共有化
⇒ 各人が職場の中で何を担うかを討議
⇒ 最終的に、職場長が各構成員に役割を割り振る
⇒ 各構成員の役割遂行の目標を立てる
⇒ 担当構成員の意志を尊重し、職場で助言し、担当構成員と職場長が討議し、目標を決
定
⇒ 目標を達成に利用できること、目標達成に障害となるものを、話合い、目標達成手段の
熟考
最終決定は、担当者と職場長が討議のうえ決定
こうすることで、担当者の意欲を引き出し、向上させ、さらに、職場の構成員各自の協働意欲を盛り上げる
★ 計画も、職場討議で決め、月々、進捗会議を開き、進捗度の把握と、必要な促進策等につき、討議
このような形で、自分だけでは、計画が立てられず、進捗管理もできない人々にも、目標管理が導入でき、引
いては職場の活性化につながる。
終わりに
• 今日は、中小企業において、どのようにして、経営理念を立て、それを実
現する手段として、人事制度を構築し、この人事制度を利用して、人材育
成を行い、会社を成長させていくかにつき、お時間を頂きました。
• さらに、人材育成、業務管理等の手段としての目標管理、その導入の仕
方につき、概説しました。
• 少しでも皆様のヒントになれば幸いです。
• また、必要の説は、お声がけ頂ければ、人材育成コンサルタント、キャリ
ア形成サポーターが、ご訪問のうえ、助言、指導いたします。
• キャリア形成サポーターは、皆様方の従業員の方のキャリアコンサル
ティングをして、ジョブカードも発行いたします。
• 本日は、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。