1.Excel の基本
1.1 表計算ソフトとは
計算式を埋め込むことができる集計表(ワークシート)が基本となっていて、ワークシートとよばれる集計 表上で計算を行ったり、その中のデータを簡単にグラフにしたりすることができるソフトウェア(以下「ソフ ト」と略記)を一般に表計算ソフトと呼んでいる。またこれらのソフトでは、表のデータをデータベースとし て扱い、さまざまなデータ処理や分析を行うことも可能になっている。1.2 Excel の画面構成
ワークシートの新規作成
タスクバーの「スタート」ボタンをクリック、 「プログラム」 → 「Microsoft Office」 → 「Microsoft Excel」をクリックし、 起動する。ワークシート、セル、メニューバー、ツールバー
ワークシート 一枚のワークシートは「256 列×65,356 行」のセルから構成され、複数のワークシートやグラフシー トを 1 つのファイルにまとめることができる。この 1 つのファイルのことをブックと呼ぶ。 シート名は、ブックウィンドウの下方のシート見出しに表示される。シート間を移動するには、シー ト見出しをクリックする。作業中のシート見出しは、下線付きで表示されている。 メニューバー ツールバー ステータスバー ワークシート シート見出しセル 列と行が交わるマス目の 1 つ 1 つを、セルという。データは半角 32,000 字以内でセルに入力する。 また、それぞれのセルには列名(A、B、C など)と行番号(1、2、3など)を組み合わせたセル番地 (例:A3、AB6など)がある。 ワークシートの中の黒い太線枠で囲まれたセルをアクティブセルという。アクティブセルの中で点滅 している部分を挿入ポインタといい、入力する文字の位置を示している。 メニューバー、ツールバー 標準の設定では、Excel の画面上部に各機能をメニューバーやツールバーなどが配置され、下部には セルの集合体であるワークシートが配置されている。また、最下部にはツールボタンやメニューの補足 説明を表示したステータスバーがある。
1.3 ワークシート内の操作
ワークシート内で移動、スクロールする
ワークシートのセル間を移動するには、目的のセルをクリックするか、または方向キーを使う。セル を移動すると、移動先のセルがアクティブセルになる。また、表示されていないシートの領域を表示す るには、スクロールバーを使う。ワークシートのセル範囲を選択する
Excel では、ほとんどのコマンドや作業を実行する前に、作業の対象となるセルやセル範囲を選択する 必要がある。 ・ 1 つのセルを選択 : 選択するセルをクリックするか、または方向キーを押して選択するセルに 移動する。 ・ セル範囲を選択 : 選択範囲の左上隅のセルをクリックし、右下隅のセルまでドラッグする。 ・ ワークシートのすべてのセル : 全セル選択ボタンをクリックする。 ・ 隣接しない複数のセル範囲 : 選択する最初のセル範囲を選択し、Ctrl キーを押しながら、次の セル範囲を選択する。 ・ 大きなセル範囲 : 選択範囲の左上隅のセルをクリックし、Shift キーを押しながら、右下隅の セルをクリックする。 ・ 行全体 : 行番号をクリックする。 ・ 列全体 : 列番号をクリックする。 ・ 隣接する複数の行または列 : 行番号または列番号に沿ってドラッグする。あるいは選択する先 頭行または列をクリックし、Shift キーを押しながら、末尾の行または列をクリックする。 ・ 隣接しない複数の行または列 : 選択する先頭の行または列をクリックし、Ctrl キーを押しながら、 次の行または列をクリックする。 ・ 現在の選択範囲を増減した範囲 : Shift キーを押しながら、新しい選択範囲の末尾のセルをクリッ クする。アクティブセルとクリックしたセルの間の四角形が、新しい選択範囲になる。 その他、可視セルのみを選択したり、名前やセル参照を使ってセル範囲を選択することもできる。2 簡単なワークシートの作成
作業 ワークシートの基本操作を練習するために、3教科5人分の成績データを用意する。2.1 データの入力
まず文字データだけを入力しましょう ① 日本語変換ツールバーの表示が日本語入力できる 状態になっていることを確認する。 ② データ入力するセル(A1)をクリックしてアク ティブセルにし、「1ねん1くみせいせきひょう」 と入力、漢字に変換する。 ③ うまく変換できたら Enter キーまたは Tab キーを 押す。 ④ E1 をアクティブセルにし、「担任:○○(自分の 日本語変換ツールバー 名前を入れる)」を入力し、Enter キーを押す。Enter キーと Tab キーを押したときはアクティブセル移動の方向が異なる。さらに Shift キーを組み合わせると 逆の動きも可能になるため、これを利用してデータ入力の効率化が図れる。
文字データの入力について ・ Excel では、文字、数字またはスペースの組み合わせが文字列として扱われる。たとえば、次の入力値 は文字列として扱われる。 10AA109、127AXY、12-976、208 4675 ・ セルに入力した文字列はすべて左詰めで配置される。配置を変更するには、「書式」メニューの「セル」 をクリックし、「配置」タブをクリックしてオ プションを選択する。 ・ セル内で複数行に分けてすべての文字列を表 示するには、「配置」タブの「折り返して全体 を表示する」チェックボックスをオンにする。 セル内の任意の場所で改行するには Alt キーを 押しながら、Enter キーを押す。 ・ セルのデータを編集するには、編集するデータ が入力されているセルをダブルクリックして 挿入ポインタを表示し、データを変更する。そ の変更を確定するには Enter キーを押す。また 変更を取り消すには Esc キーを押す。 ・ データ、書式、コメントをセルからクリアする には、セルをクリックしてアクティブセルにし、「編集」メニューの「クリア」をポイントして「すべ て」、「数式と値」、「書式」、「コメント」のいずれかをクリックする。 ・ セルをクリアすると、セルのデータ(数式と値)、書式、コメントのいずれか、またはすべてが消去さ れる。セルのデータをクリアするとセルの値は0になり、そのセルを参照する数式は値0を受け取る。 ・ セルをクリックして Del キーは Backspace キーを押すと、セルのデータは消去されるが、セルのコメン トまたは書式は削除されない。 次に数値データの入力を指定したセル範囲内で行ってみましょう。 ① セル(B4)をクリックし、(D8)までマウスでドラッグして(B4:D8)の範囲を反転表示させておく。 アクティブセルは(B4)なので「84」と数値を入力して Enter キーを押す。 ② 以下同様に国語、数学、英語の得点を列方向下方に入力しては Enter キーを押すことを繰り返す。(B8) のデータ入力後に Enter キーを押すとアクティブセルは(C4)になる。
数値データの入力について ・ Excel では、次に示す数字と特殊記号の組み合わせが数値として扱われる。 O 1 2 3 4 5 6 7 8 9 + - ( ) , / * $ % . E e ・ 数値の前のプラス(+)記号は無視される。また数値にピリオド(.)が 1 つだけ含まれる場合は、小数 点として扱われる。上に示す数字および特殊記号以外の数値と文字の組み合わせは、文字列として扱わ れる。 ・ 分数を日付データと区別して入力することができる。たとえば「0 1/2」と入力する。 ・ 負の値を入力する場合は、数値の上にマイナス記号(-)をつけるか、または数値をかっこ( )で囲 む。 ・ セルに入力した数値はすべて右詰めで配置される。配置を変更するには、「書式」メニューの「セル」 をクリックし、「配置」タブをクリックしてオプションを選択する。 ・ セルの表示形式によって、セル内の数値の表示方法が決まる。セルの表示形式が「標準」表示形式の場 合は、入力した数値に応じて異なる表示形式が設定される。たとえば、「$14.73」と入力すると、「通 貨」表示形式が設定される。表示形式を設定するには、まず数値をふくむセルを選択する。次に「書式」 メニューの「セル」をクリックし、「表示形式」タブをクリックして書式を選択する。 ・ 生徒番号などの数値を文字列として入力するには何も入力していないセルに「文字列」表示形式を設定 し、数値を入力する。すでに数値が入力されている場合は、セルに「文字列」表示形式を設定する。シ ングルクォテーション(`)を入力してから数値を入力しても文字列として扱われる。
2.2 関数の利用
SUM 関数 … 合計を求める関数 まず、青木一郎くんの3教科の合計点を求めましょう。 ① 青木くんの合計点を示すセル(E4)をクリックしてアクティブセルにし、ツールバーにあるオート SUM ボタンをクリックする。 ② セル(E4)には =SUM(B4:D4)という候補になる関数が現れ、その引数であるデータ範囲(B4:D4) には点線枠が表示される。 ③ この場合は範囲に間違いはないので Enter キーを押して確定する。 関数の書式 … =関数名(引数1,引数2,…,引数n) 関数の書式は、等式「=」で始まり、その後に関数名と因数を囲む左かっこ「(」を入力してから引数を入力す る。複数の引数があるときには引数と引数の間をカンマ「,」で区切り、最後に右かっこ「)」を入力する。AVERAGE 関数 … 平均を求める関数 次に、青木一郎くんの3教科の平均点を求めましょう。 1.青木くんの平均点を示すセル(F4)をクリックしてアクティブセルにし、「関数の挿入」ボタンをクリ ックする。 2.「関数の挿入ダイアログボックス」が開くので、 「関数の分類」で「統計」を、「関数名」で 「AVERAGE」を選び「OK」ボタンをクリックする。 3.関数の引数を入力するための「数式パレット」が 現れ、範囲の候補(B4:E4)が自動的に表示されるが、 範囲を修正する必要があるので「ダイアログボックス 折りたたみ」ボタンをクリックして、ワークシート上 で(B4:D4)の範囲をドラッグで選択する。(データ 範囲(B4:D4)には点線枠が表示される) 4.Enter キーを押すか「折りたたみを戻す」ボタンを クリックすると、「数式パレット」が再表示されるの で、範囲が正しいことを確認して「OK」ボタンをクリ 「ダイアログボックス折りたたみ」ボタン ックする 「折りたたみを戻す」ボタン
2.3 関数のコピー
他の生徒の合計点、平均点を、関数をコピーする ことで簡単に求めてみましょう。 1.青木くんの合計点と平均点のセル範囲 (E4:F4)をマウスでドラッグして、 「コピー」ボタンをクリックする。 2.関数をコピーする範囲(E5:F8)をマウスで ドラッグして、「貼り付け」ボタンをクリック するか、Enter キーを押す。(「貼り付け」 ボタンをクリックしたときはコピー元の セル範囲(E4:F4)が点線枠で表示された ままなので、Esc キーを押して枠を消しておく。)もうひとつの関数コピーのやり方 隣接するセル範囲にセルのデータをコピーする フィルハンドルを使って関数をコピーすることも できる。まず、コピー元の範囲(E4:F4)をマウス ドラッグで選択する。選択範囲の右下隅に表示さ れる黒い四角形(フィルハンドル)というが、 ここの十字形ポインタを下にドラッグする このハンドルをポイントするとマウスポインタは 十字形ポインタに変わる。この状態でマウスを下方 へドラッグして範囲枠を(E4:F8)まで広げると その範囲に関数がコピーされる。 同じようにして、各個人の合計点と平均点、 また各教科の合計点の合計、平均点を、関数の 入力とそのコピーを使って求め、表を完成させてください。