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中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

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株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証する ものではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和 証券㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。

~海外情報~

2012 年 4 月 19 日 全8頁

中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

経済調査部

齋藤尚登 新田尭之

工業生産は 2012 年 1 月~2 月に、輸出は 3 月~5 月に底打ちか

[要約]

„ 国家統計局の製造業 PMI は 2 月の 51.0 から 3 月には 53.1 へと大幅に改善した一方、HSBC の製造 業 PMI は 2 月の 49.6 から 3 月は 48.3 に悪化した。PMI は 50 を超えると経済の拡大を、50 未満だ と収縮を表す。3 月は方向性が真逆となっただけでなく、その差がさらに拡大した。

„ 国家統計局の PMI、その季節調整済み PMI、そして HSBC の PMI と、工業生産との相関を調べると、

国家統計局の季節調整済み PMI との相関が最も高い。これは、国家統計局の PMI と工業生産統計 がともに、大企業中心であるためと考えられる。中小企業を含めた景気の実態を感じるには、HSBC の PMI が優れ、マクロ統計の先行きを占うのであれば、国家統計局の PMI に季節調整を施したも のがより有効ということになる。 „ 国家統計局の季節調整済み PMI は、工業生産と輸出に高い相関と先行性を有する。国家統計局の 季節調整済み PMI と日米欧合成 PMI という先行指標は、工業生産は 2012 年 1 月~2 月に、輸出は 同 3 月~5 月に底打ちし、その後は改善に向かうことを示唆している。

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2 つの PMI

PMI は中国の月次経済指標で最も早く発表されるため、注目度が高い。広く認 知されているのは、国家統計局と HSBC の PMI であるが、国家統計局の製造業 PMI は 2 月の 51.0 から 3 月には 53.1 へと大幅に改善した一方、HSBC の製造業 PMI は 2 月の 49.6 から 3 月は 48.3 に悪化した。PMI は 50 を超えると経済の拡大を、50 未満だと収縮を表す。3 月は方向性が真逆となっただけでなく、その差がさらに拡 大したのである。 図表 1 2 つの製造業 PMI 30 35 40 45 50 55 60 65 05 06 07 08 09 10 11 12 (出所)国家統計局、HSBCより大和総研作成 製造業PMI・国家統計局 製造業PMI・HSBC 両者の違いは、①国家統計局の調査対象は国有大型企業に偏っている一方、 HSBC は融資先の中小企業もカバーしている、②国家統計局の方は季節性によるブ レが大きくなっている、ことが指摘される。後者について、季節調整を行ってみ ると、確かに国家統計局の PMI の季節変動は大きい(図表 2)。具体的には、2 月 と 7 月は低めとなる一方、3 月、4 月、そして 9 月は高めになるため、2 月から 3 月にかけては数字が大きく改善する傾向が強くなることが分かる。 それでは、マクロ統計の先行指標として優れているのは、どちらか?国家統計 局の PMI、その季節調整済み PMI、そして HSBC の PMI と、工業生産との相関を 調べてみると(2006 年 1 月~2012 年 3 月)、国家統計局の季節調整済み PMI が最 も相関が高いとの結果となった。これは、国家統計局の PMI と工業生産統計がと もに、大企業中心であるためだと考えられる。2011 年以降は、生産統計の集計対 象がより規模の大きい企業に変更されており(従来の売上 500 万元⇒2,000 万元)、 この傾向はより強まっていよう。輸出との相関も国家統計局の季節調整済み PMI が最も高かった。 結局のところ、中小企業を含めた景気の実態を感じるには、HSBC の PMI が優 方向性が真逆となっ た2つの製造業PMI 季節変動が大きい国 家統計局のPMI 工業生産との連動性 が最も高い季節調整 済みの国家統計局PMI

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れ、マクロ統計の先行きを占うのであれば、国家統計局の PMI に季節調整を施し たものがより有効ということになる。 図表 2 国家統計局と HSBC が発表する製造業 PMI と季節調整済み PMI との差 国家統計局 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 平均 1月 -0.3 -1.0 0.2 -1.2 -0.4 0.7 -0.3 -0.2 -0.3 2月 -0.7 -1.3 -1.5 -1.3 0.4 -1.9 -0.6 -0.3 -0.9 3月 1.7 0.4 0.3 1.8 1.2 0.5 0.5 0.9 0.9 4月 1.2 2.1 1.9 2.6 1.0 1.0 0.3 1.4 5月 -0.7 -0.2 0.0 -0.6 0.1 0.2 0.0 -0.2 6月 -0.8 -0.1 -0.3 0.1 0.0 -0.5 -0.4 -0.3 7月 -1.1 -1.1 -0.9 -1.3 -0.2 -0.9 -0.3 -0.8 8月 -0.3 -0.9 -0.4 -0.4 0.0 -0.7 0.0 -0.4 9月 1.1 1.7 1.2 2.8 -0.1 0.3 0.4 1.0 10月 0.1 -0.3 -1.1 -0.5 0.2 0.5 0.0 -0.2 11月 0.1 0.2 0.6 -3.5 -0.1 0.8 -0.9 -0.4 12月 0.5 -0.1 0.5 -1.9 0.9 0.1 0.0 0.0 HSBC 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 平均 1月 -0.6 -0.2 -0.4 -0.1 -0.9 0.9 0.8 -0.1 -0.1 2月 -0.3 -0.1 0.3 -0.6 0.3 -0.3 -0.8 0.5 -0.1 3月 1.1 -0.3 -0.5 0.3 -1.4 1.1 -0.2 -0.4 0.0 4月 0.6 0.5 0.0 0.8 1.1 0.5 0.1 0.5 5月 0.3 0.3 0.2 0.6 0.5 -0.2 0.4 0.3 6月 -0.8 0.1 0.8 0.2 0.0 -1.0 -0.3 -0.1 7月 0.1 0.2 -0.6 1.3 -0.2 -1.5 -0.6 -0.2 8月 -0.3 0.0 -0.5 -0.4 0.8 0.0 0.0 -0.1 9月 0.2 -0.1 0.6 0.2 0.1 -0.1 0.0 0.1 10月 -0.2 -0.3 0.8 0.0 0.1 0.7 1.1 0.3 11月 -0.3 0.4 -0.7 -1.9 0.0 0.8 -1.1 -0.4 12月 -0.1 -0.1 -0.1 -1.2 0.0 0.2 -0.1 -0.2 (出所)国家統計局、HSBCより大和総研作成

国家統計局の製造業 PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

国家統計局の季節調整済み PMI は、生産と輸出の先行きにどのような示唆を与 えるのであろうか。結論を先にいえば、季節調整済み PMI は、工業生産と輸出に 高い連動性と先行性を有し、工業生産は 2012 年 1 月~2 月に、輸出は 5 月頃に底 を打ち、上向いていく可能性が高いことを示している。 まず、図表 3 で示したように、季節調整済み PMI は工業生産の伸びに 2 ヵ月先 行させると、連動性が極めて高くなる(2006 年 1 月~2012 年 3 月の相関係数は 0.88)。 ここからは、工業生産は 2012 年 1 月~2 月に底打ちし、その後は改善に向かう可 能性が高いことが示される。実際、2012 年 3 月の工業生産は前年同月比 11.9%増 と 1~2 月の前年同期比 11.4%増から、若干の改善をみせた。当然ながら回復の基 調は脆弱であり、さらなる預金準備率の引き下げなどの内需刺激策が待たれると ころである。 輸出は、季節調整済み PMI を 6 ヵ月先行させた時に、両者の相関が最も高くな る(図表 4)。2006 年 1 月~2012 年 3 月の相関係数は 0.79 だった。PMI が 6 ヵ月 の先行性を有するのは、受注から生産、輸出までのタイムラグが反映されていよ う。輸出は 2012 年 5 月頃に底入れし、その後回復していくことが想定される。 工業生産は2012年1月 ~2月に底打ちした可 能性 工業生産と輸出に高 い連動性と先行性 製造業PMIは輸出に6 ヵ月先行

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図表 3 統計局 PMI(2 ヵ月先行)と工業生産伸び率(前年同月比、%)の関係 30 35 40 45 50 55 60 05 06 07 08 09 10 11 12 -3 0 3 6 9 12 15 18 21 国家統計局PMI(季節調整済み、2ヵ月先行、左軸) 工業生産伸び率(右軸) (注)1~2月の工業生産の伸び率は1~2月の平均 (出所)国家統計局より大和総研作成 図表 4 統計局 PMI(6 ヵ月先行)と輸出伸び率(前年同月比、%)の関係 35 40 45 50 55 60 05 06 07 08 09 10 11 12 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 国家統計局PMI(季節調整済み、6ヵ月先行、左軸) 輸出伸び率(右軸) (注)1~2月の輸出伸び率は平均 (出所)国家統計局、通関統計より大和総研作成

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輸出については、輸出先の景気動向も重要な要素である。この点で、中国の主 な輸出相手国・地域の PMI が回復しつつあることも、中国の輸出の先行きに対し てプラス材料となろう。図表 5 では、中国の主な輸出相手国・地域である米国・ ユーロ圏・日本・英国の製造業 PMI を中国からの輸出額でウェイト付けすること で求められる合成 PMI と、中国の輸出伸び率とを比較している。日米欧の合成 PMI は中国の輸出に 4 ヵ月程度の先行性があり(2006 年 1 月~2012 年 3 月の相関係数 は、0.87)、ここからは、中国の輸出は 2012 年 3 月で底打ちし、その後は伸びが 徐々に高まっていくことが示唆される。 以上をまとめると、国家統計局の季節調整済み PMI と日米欧合成 PMI という先 行指標は、工業生産は 2012 年 1 月~2 月に、輸出は 3 月~5 月に底打ちし、その 後は改善に向かうことを示唆している。2012 年 4 月 17 日付け大和総研海外情報「中 国:交易条件改善が業績改善を後押し」では、工業企業の業績に先行性を有する M2 と交易条件は、年央までの業績底打ちとその後の改善を示していることを指摘 したが、これとほぼ見合いの結果となった。中国の景気は、4 月~6 月は底這いも しくは若干回復し、年後半以降は緩やかに回復していくと想定している。 以上 図表 5 合成 PMI(4 ヵ月先行)と輸出伸び率(前年同月比、%)の関係 25 30 35 40 45 50 55 60 65 05 06 07 08 09 10 11 12 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 合成PMI(4ヵ月先行、左軸) 輸出伸び率(右軸) (注1)1~2月の輸出伸び率は平均 (注2)合成PMIは米国・ユーロ圏・日本・英国の製造業PMIを     2011年の中国からの輸出額で加重平均 (出所)ブルームバーグ、通関統計より大和総研作成 輸出先の製造業PMI改 善は中国の輸出にも プラス材料

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主要経済指標一覧 2011年10月 11月 12月 2012年1月 2月 3月 実質GDP成長率(四半期、前年同期比、%) - - 8.9 - - 8.1 鉱工業生産(前年同月比、%) 13.2 12.4 12.8 11.9 固定資産投資(前年累計比、%) 24.9 24.5 23.8 20.9 不動産開発投資(前年累計比、%) 31.1 29.9 27.9 23.5 小売総額 名目(前年同月比、%) 17.2 17.3 18.1 15.2 小売総額 実質(前年同月比、%) 11.7 13.1 14.0 11.6 消費者物価指数 全体(前年同月比、%) 5.5 4.2 4.1 4.5 3.2 3.6 消費者物価指数 食品(前年同月比、%) 11.9 8.8 9.1 10.5 6.2 7.5 消費者物価指数 非食品(前年同月比、%) 2.7 2.2 1.9 1.8 1.7 1.8 工業製品出荷価格指数(前年同月比、%) 5.0 2.7 1.7 0.7 0.0 -0.3 工業生産者購入価格指数(前年同月比、%) 8.0 5.1 3.5 2.0 1.0 0.1 新規融資額(億元) 5,868 5,622 6,405 7,381 7,107 10,112 M2伸び率(%) 12.9 12.7 13.6 12.4 13.0 13.4 輸出(前年同月比、%) 15.8 13.8 13.3 -0.5 18.3 8.9 輸入(前年同月比、%) 29.1 22.6 12.1 -15.0 40.3 5.3 貿易収支(億米ドル) 170.3 145.3 165.2 272.8 -314.8 53.5 新築不動産価格指数 北京(前年同月比、%) 1.7 1.3 1.0 0.1 -0.4 -0.8 新築不動産価格指数 上海(前年同月比、%) 2.9 2.4 1.8 0.7 -0.4 -0.8 商用不動産 着工面積(前年累計比、%) 21.7 20.5 16.2 0.3 商用不動産 完工面積(前年累計比、%) 18.5 22.3 13.3 39.3 不動産販売 面積(前年累計比、%) 10.0 8.5 4.9 -13.6 不動産販売 金額(前年累計比、%) 18.5 16.0 12.1 -20.9 -14.6 10.8 5.1 45.2 -14.0 11.4 21.5 27.8 14.7 実質GDP成長率(四半期ベース、前年同期比、%) 8.1 8.9 9.1 9.7 9.8 9.6 10.3 12.0 9.5 0 2 4 6 8 10 12 14 16 2006/3 2007/3 2008/3 2009/3 2010/3 2011/3 2012/3 (出所)国家統計局、中国人民銀行、通関統計より大和総研作成

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主要経済指標一覧(続き) 消費者物価指数(前年同月比、%) 3.6 1.8 7.5 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 09/1 10/1 11/1 12/1 CPI全体 非食品 食品 鉱工業生産(前年同月比、%) 11.9 0 5 10 15 20 25 09/1 10/1 11/1 12/1 (注)1,2月は2ヵ月の平均値 固定資産投資(前年累計比、%) 20.9 23.5 0 10 20 30 40 50 09/1 10/1 11/1 12/1 固定資産投資 不動産開発投資 小売総額(前年同月比、%) 15.2 11.6 0 5 10 15 20 25 09/1 10/1 11/1 12/1 (注1)旧正月の時期による影響を避けるため1~2月の小売売上は平均 (注2)実質は名目伸び率から消費者物価上昇率を引いたもの 名目 実質 工業製品出荷価格指数(前年同月比、%)と交易条件 -0.3 0.1 0.996 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 09/1 10/1 11/1 12/1 (注)交易条件=工業製品出荷価格指数÷工業生産者購入価格指数 0.94 0.96 0.98 1.00 1.02 1.04 1.06 1.08 工業製品出荷価格指数(左軸) 工業生産者購入価格指数(左軸) 交易条件(右軸) 新規融資額とM2 10,112 13.4 0 5,000 10,000 15,000 20,000 09/1 10/1 11/1 12/1 0 5 10 15 20 25 30 35 新規融資額(億元、左軸) M2伸び率(%、右軸)

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不動産販売(前年累計比、%) -13.6 -14.6 -40 -20 0 20 40 60 80 100 09/1 10/1 11/1 12/1 販売面積 販売金額 商用不動産着工・完工面積(前年累計比、%) 0.3 39.3 -20 0 20 40 60 80 09/1 10/1 11/1 12/1 新規着工面積 完工面積 貿易 53.5 Ex:8.9 Im:5.3 -75 -50 -25 0 25 50 75 100 125 09/1 10/1 11/1 12/1 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 貿易収支(億米ドル、右軸) 輸出(前年同月比%、左軸) 輸入(前年同月比%、左軸) 1 新築不動産価格指数(前年同月比、%) -0.8(北京) -0.8(上海) -5 0 5 10 15 20 25 09/1 10/1 11/1 12/1 北京 上海 (出所)国家統計局、中国人民銀行、通関統計より大和総研作成

図表 3  統計局 PMI(2 ヵ月先行)と工業生産伸び率(前年同月比、%)の関係  30354045505560 05 06 07 08 09 10 11 12 -3036912151821国家統計局PMI(季節調整済み、2ヵ月先行、左軸)工業生産伸び率(右軸) (注)1~2月の工業生産の伸び率は1~2月の平均 (出所)国家統計局より大和総研作成 図表 4  統計局 PMI(6 ヵ月先行)と輸出伸び率(前年同月比、%)の関係  354045505560 05 06 07 08 09 10 11 12 -5

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