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全世代型社会保障に関する広報の在り方会議 ( 第 3 回 ) 13 時 30 分 ~16 時 12 分 佐藤秘書官それでは 定刻になりましたので ただいまから第 3 回 全世代型社会保障に関する広報の在り方会議 を開催いたします 本日は お忙しい中 お集まりいただき ありがとうござ

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1 2020-6-2 全世代型社会保障に関する広報の在り方会議(第3回) 13時30分~16時12分 ○佐藤秘書官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「全世代型社会保 障に関する広報の在り方会議」を開催いたします。 本日は、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。 それから、今回、国会の関係上、秋葉補佐官は10分ほど遅れて到着する見込みです。 ですので、先に事務局からの御説明をいたします。

本日は、ゲストのTwitter Japanの山川様は所用のため遅れての御参加、Facebook Japan の根岸様は、ビデオレターでの御対応となっております。 また、政府のオブザーバーの中村次長はほかの公務のため、土岐室長補佐が代理で出席 をしています。 本日は、テーマの1が「危機を乗り越え国民の『未来の選択』を支える広報の在り方」、 テーマの2が「ソーシャルメディア広報の在り方」として、2つの議題を扱います。 まず、資料1の基礎資料に沿って事務局から説明いたします。 ○菊地事務局員 それでは、事務局から御説明申し上げます。 改めまして、内閣官房の菊地でございます。 委員の皆様、また、今回、ゲスト講演でお越しいただいている皆様、御多忙の折、本会 議に御出席いただき、誠にありがとうございます。 また、皆様方におかれましては、とてもすばらしい資料を御用意いただき、事務局より 感謝を申し上げます。 事務局から、本日のディスカッションポイント及び議論の方向性に関しまして御説明申 し上げます。 本日のテーマは、2つのテーマを御議論いただきたいと考えております。 まず、1つ目は危機を乗り越え国民の「未来の選択」を支える在り方、2つ目はソーシ ャルメディア広報の在り方でございます。これらの2つのテーマに共通する点としまして、 一般に、広報の在り方を議論するに当たっては、前に河井先生からも御紹介いただきまし たが、情報の受け手の意思決定プロセスに焦点を当てることがあり、伝統的にはアメリカ において提唱されたAIDMAモデル、ないしは、近年では「AISAS」と呼ばれているモデルが 存在しますが、これまで第1回から第2回目までにかけては、AISASモデルでいうところの Attention、「注意」と、Interest、「興味」の部分に主に焦点を合わせてきました。今回 から後半の議論に入るのですが、本日の議論では、Search、「検索」、あとはAction、Share、 「行動」と「情報共有」のほうに視点を移して議論を進めていきたいと考えているところ でございます。 1つ目のテーマである危機を乗り越え国民の「未来の選択」を支える在り方のディスカ ッションポイントに関しまして、御説明申し上げます。

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2 皆様におかれましては、資料の3ページをお開きください。図が1つ出てきますが、前 回の検討会におきまして、Yahoo!の岡田様から、Yahoo!で提供されているDSインサイトと 呼ばれているビッグデータデスクリサーチツールに よる国民の検索行動に関して御提案が あったと承知しております。この図を御覧いただきますように、近年、医療、雇用、年金 など、様々な政策が密接に関連し合う社会保障政策が形成されております。そのような中 で、国民の皆様は一つの意思決定を行うに当たって実に様々な検索行動を行っており、そ れらの要素は密接に関連し合って、検索が検索を喚起するように幾重にも関連しているこ とが把握できます。これらのデータを通じて、人々は意思決定を行うために様々なプロセ スを経ていることを把握することができます。この内容を事務局においてシンプルに模式 化したものが3ページ目はないしは4ページ目となります。 これらの図は、人々が意思決 定を行うに当たって、様々な考慮要素が密接に関連しているという現代においては、適切 なタイミングで、個々人のニーズに合った情報を分かりやすく情報提供を行うことが重要 であるという御提言を頂いていると考えているところでございます。 また、現在、新型感染症をはじめ、生活環境の予測が難しい状況でございます。また、 働き方改革、新しい生活様式など、従来の概念とは異なるライフスタイルの変化を促すに 当たっても、国民の皆様の一人一人が様々な検索行動を通じて意思決定しているというこ とが想定されるところでございます。このような現下の新型感染症による生活環境の変化 をはじめとして、刻一刻と変化し続ける社会情勢において、適切な情報提供を行い、人々 の「未来の選択」を支える情報提供の在り方についてディスカッションを行うことがこの テーマの目的でございます。 これに関しまして、海外事例を簡単に御紹介したいと思います。5ページ目では、スウ ェーデンにおける老後の生活設計に関する意思決定を支える取組 をご紹介しております。 スウェーデンにおいても老後の生活設計は多くの人の人生をシフトさせ、大きく生活様式 を変えるターニングポイントの一つと考えられております。このような大きな人生の節目 に当たり、現在、西欧、北欧、多くの国では、公的年金、私的年金、貯蓄、働き方など、 様々な情報を集約し、将来の見通しを分かりやすく伝え、選択を促すためのツールが普及 し始めていると考えているところでございます。この図は、スウェーデンの事例でござい ますが、「minPension」、英語に直すと「My Pension」と呼ばれるツールが普及しており、 このほかにも、デンマークでは「PensionsInfo」と呼ばれる同様のツールが提供されてい たり、イギリスでは「Pensions Dashboard」と呼ばれるようなツールの開発が進められて、 その中から広報が実施されていると聞いています。このように、世界各国では行政手続の デジタル化以外にも国民の意思決定を支えるツールについてもデジタル化が進められてお り、このような取組は日本の広報にも参考になると考えられているところでございます。 資料の6ページでは、イギリスにおけるガイダンス型の広報について御紹介しておりま す。イギリスやドイツなど、西欧諸国においては、 国民の生活設計について、行政の手続 として必要となる情報の説明以外に、そもそもどういう意思決定をすることが望ましいの

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かという相談を受け付けるための体制が整備されているところでございます。 例えば、イ ギリスでは、「The Money and Pension Service」という組織が設置されており、資産や年 金に関するガイダンスやアドバイスを政府が無料で提供し、公正な形で運営するという広 報の体制が整えられているところでございます。 資料の7ページでは、世界における行動科学の活用の状況について御説明申し上げます。 一般に、意思決定のプロセス化が複雑化すると、多くの人は選択すること自体が大きな課 題であると感じることが多いと言われています。ここでは、意思決定プロセスを支えるた めの行動科学の活用状況について御説明します。 資料8ページ目では、イギリスの内閣官房に設置されている「BIT」(The Behavioural Insights Team)、日本語に翻訳すると「行動科学チーム」のCEOであるデビッド・ハルパ ーン氏が作成した資料でございます。今回の広報の在り方検討会の開催に当たりまして、 事務局では何度かデビッド氏に御相談させていただき、資料を引用させていただくことが できましたので御紹介させていただきます。 OECDによりますと、実に多くの国が行動科学を様々な政策に活用しているとされており ます。また、BITの資料においても、様々なチームが設置されております。行動科学につい て簡単な例でご紹介しますと、例えば、お昼休みに食堂に行った際にメニューが 100種類も あったりするとなかなか目移りして決まらないのですが、例えば、本日のサービスメニュ ーが1つしかなければ、サービスメニューを食べるか食べないかの意思決定だけになり、 給食のようにメニューが決定されていれば意思決定はさらにシンプル化されます。これは 行動経済学の一つの事例でございますが、それ以外にも、例えば、プロスペクト理論の活 用とか、フレーミング効果、アンカー効果の様々なモデルがありますが、様々なモデルを 活用して意思決定をサポートする方法が様々な国で検討されているところでございます。 ここでは、BITの事例を2つほど御紹介します。 1つ目をご紹介します。9ページ目では、医療分野における活用事例でございます。イ ギリスでは伝統的に臓器提供者が少ないという課題がございます。臓器提供のドナーを増 加させる目的から、臓器提供の啓発メッセージに関する実証研究が行われたのがこの事例 でございます。ここには全部で8つのメッセージが見えます。この図では「Control」、す なわち、何もしない標準的な事例です。次に「Norm」、これは「社会的規範」と呼ばれて いるものでございます。その他にも、人の絵を添付したり、心臓のマークであるハートの マークを添付したり、いろいろな工夫をしどのようなメッセージを発信すると臓器提供を する意向が高まるかという実証実験をしております。大変興味深いことに、例えば、1番 目のControlとされた標準的なメッセージよりも、3番目の人々の写真が載っているメッセ ージのほうが臓器提供の意向が下がるという結果が出てきていると言われています。これ は一つの事例ですが、同じような意図のメッセージであっても情報発信の方法によって効 果が異なることが実証され、公共政策広報に活用されているというのがイギリスの事例で ございます。

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4 資料の10ページ目では、イギリスにおける雇用政策における行動経済学、行動科学の活 用事例でございます。資料に掲載させていただいているとおり、失業者に対してどのよう な内容を記載させるかによって求職活動のモチベーションが変わることも、実証実験が行 われています。。イギリスのBITでは、これら以外にも様々な実証研究が進められています。 情報を受け取る国民のニーズのほかにも、政府の情報提供がどのように国民の意思決定に 影響を与えるかを行動科学的な視点から分析することによって、国民の選択を支えるため、 どのようなフレームで、どのように表現すればいいのかという視点に立つことも極めて有 用な事例といえます。 2つ目のテーマを御説明申し上げます。2つ目のテーマはソーシャルメディアに関する 内容でございます。 現在、様々に多くの方がスマートフォンを通じてソーシャルメディアから情報を取得し ていると言われています。今回掲載した資料は、SNSに関する広報のニーズを前回の資料か ら抜粋して再掲したものでございます。御覧いただきますとおり、そのニーズは高まって いるところでございます。特に若年層、中高齢の方からソーシャルメディアの活用に関し てニーズがありますが、特に今日御議論いただきたいのは、社会保障を運営する各省庁の 政策、行政サービスの担当者はどのようにソーシャルメディアを活用すべきかという点に 焦点を当てて御議論いただきたいと思います。なお、今回のこのSNSの議論に関しましては、 ゲストスピーカーとして、Twitter Japan、ByteDance、TikTokですね。あとは、Facebook Japan にお越しいただきまして、ソーシャルメディアの活用状況とか、そのような点からの議論 を行った後、構成員の皆様から御助言を頂くこととしたいと考えているところでございま す。 事務局からの説明は、以上でございます。 ○佐藤秘書官 それでは、議事に入ります前に、秋葉補佐官が到着されましたので、まず は御挨拶を頂きたいと思います。 ○秋葉内閣総理大臣補佐官 どうも、皆さん、こんにちは。 今日は、1時から本会議が入りまして、出だしを御一緒できなかったのですけれども、 本当にコロナ禍の大変御多用の中、今日も万障を繰り合わせて御出席を賜りましたことに、 改めて御礼と感謝を申し上げます。 予定していた会議が延期して、6月ぐらいにはできるかなということで今日の開催にな ったのですけれども、本日を入れてあと2回ということになりましたので、今日も活発な 議論をよろしくお願いしたいと思います。 前回は、社会保障制度に関するコミュニケーションの在り方について、どのようにすれ ば国民の皆様に情報を自分事として捉えていただけるか、様々な視点、観点から、御提案 を頂きました。今回は、テーマは2つ用意しておりまして、一つは、今、事務局からもお 話しさせていただきましたように、「危機を乗り越え国民の『未来の選択』を支える広報 の在り方」、もう一つは「ソーシャルメディア広報の在り方」について御議論いただきま

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5 す。 1つ目のテーマでは、複雑化する現代社会において、国民一人一人が様々な意思決定を 行 い 、 行 動 し な け れ ば な り ま せ ん 。 そ の 選 択 を 政 府 が ど の よ う に サ ポ ー ト す べ き か 、 Society5.0や行動経済学の観点なども踏まえながら御意見を頂きたいと存じます。特に現 在のコロナ禍においてYahoo!社とLINE社がそれぞれどのような対応を行ったかについて、 岡田委員と砂金委員から御紹介いただきます。 2つ目のテーマである「ソーシャルメディア広報の在り方」については、Twitter Japan から山川様、TikTokを提供するByteDance株式会社から山口様、ビデオメッセージになりま すけれども、Facebook Japanからは根岸様にゲストとして御参加いただきまして、SNSの有 効な活用方法について御教示いただきたいと思いま す。また、YouTubeなどを中心に楽しく 学べるコンテンツを提供しておりますQuizKnockの伊沢委員から、動画メディアを使ってど のように全世代型社会保障を若者世代に発信していけばよいのか、御提言を頂きます。 その他の委員の皆様におかれましても、活発な意見交換を頂きますようよろしくお願い したいと思います。 今日は、前回よりも少し長く時間を取らせていただいておりますが、16時終了の予定で ございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、ありがとうございます。 ○佐藤秘書官 ありがとうございました。 プレスの方は、ここで御退室ください。 (報道関係者退室) ○佐藤秘書官 それでは、テーマ1の「危機を乗り越え国民の『未来の選択』を支える広 報の在り方」に関して、岡田委員と砂金委員にプレゼンを頂きます。 まず、岡田委員から、こちらでプレゼンテーションをお願いいたします。 ○岡田委員 よろしくお願いします。Yahoo! JAPANの岡田と申します。 今回頂いたお題が国の危機を乗り越える新たな広報の在り方ということで、直近弊社が コロナ禍において対応していた事例を基に、簡単ではありますが、広報・広聴のアプロ ー チ手法、論点の整理をまとめましたので、発表させていただきます。 資料の構成は、こういう3部作になっています。 まず、1点目です。 情報伝達から行動まで、ユーザーがどういった形でアクションをしていくのかというこ とを簡単に絵にしたものがこちらになります。Yahoo!のユーザーですと、検索という行動 に走ることが多いですけれども、まずは何か疑問や思いついたことがあった場合、 デジタ ルデバイスを使って、そこからブラウザでInformation、つまり、情報摂取をしたり、検索 を使ってSearchをする。そこで出会った様々な表現手法を駆使した情報に出会う。テキス ト、動画、画像ですね。そこで認知をした後に、ユーザーは Actionに移行していくという のが大まかなインターネット上のユーザーの行動かと思っております。

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6 今回のコロナ禍においては、弊社は、1月後半から情報収集を始め、サービスの提供を 行ってまいりました。スマートフォンとPC、両方で情報展開をしたのですけれども、まず、 最新情報を整えることと、生活情報をまとめる、お金に関する情報をまとめるといったよ うに、ユーザーのニーズに合わせた情報提供は心がけてまいりました。また 、政府が発表 する最新の情報も、リアルタイムに伝えていくために、動画を駆使して、 Yahoo! JAPANの ありとあらゆる場所から誘導導線をつくって、必ず情報に接触できるようにする 、国民的 な課題に対して、イシューに対して、アクセスしやすい状況をつくるということをやって きました。右下のほうに、これはYahoo!ニュースの事例なのですが、昨年と今年のセッシ ョン数、つまり、アクセスした後に何ページを見ていったか、それの増加率を見ているの ですけれども、緑色が昨年の事例でオレンジが今年になります。見ていただけると分かる とおり、2月からこの4~5月にかけて、階段が一段上がっております。これはまさにコ ロナの情報摂取を求めて本当に多数の方がいらっしゃったということがグラフから見てと れます。 これらの情報のまとめ方は、Yahoo!はどういうふうにノウハウを蓄積してきたかという 点でいいますと、これまで、Yahoo! JAPANは数々の災害対応を行ってまいりました。地震、 台風、水害ですね。そこから得た知見を今回のコロナ禍の情報提供でも役に立てました。 3点あって、1点目は設定地。日本全国にユーザーの方はいらっしゃいますので、設定地 域に合った情報をきちんとすぐに得られるようにするということで、位置情報の活用とか、 あるいは、官公庁から発表されるようなデータを分かりやすく整理してユーザーライクに UIを整えていく、他社データも活用していくということもやります。それから、リンク先 ではなくて、その場で情報を得られるということも常に大事にしております。アクセシビ リティーの観点からいいますと、インターネット通信が常に強い状態ではないという状態 に置かれますと、人は何メガもするファイルを開きません。ですので、画像でその場で見 られるというアクセシビリティーまで考えていく。そういうことは非常に大事かなと思っ ていて、こういうケースを使って今回のコロナの対応も行いました。 もう一つ、大事なことは、我々は検索データを持っておりますので、データから予見を することが非常に大事かと思っています。ユーザーのニーズは、災害時も含めて、必ず何 かしら表れます。検索行動が特に顕著で、データに必ずこのように表れます。これは「家 賃 値下げ交渉」と検索した人の数が今年の11週過ぎから急激に増加していることが見て とれますけれども、これはちょうど3月ですね。コロナにおいていきなりここが急増す る というカーブを示し始めたら、これはユーザーがこの情報を求めていると認知をして、的 確にその情報を届けるというアクション、我々の行動につながっていくという形になりま す。このユーザーが表してくる「表出」したデータをどう「表現」していくのかというこ とがとても大事で、ここから自分たちの行動の見立てをつくる、フェーズ分けをして見立 てをつくっていくことが大事かと思います。 最初に戻りますと、このユーザーの行動についてのまとめなのですが、最初の部分で 、

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7 ユーザーニーズの表出のデータの把握や分析をすることによって、何が必要かというのが 分かります。その先に、回答の提案、テキストで見せるのか、それとも画像で見せるのか、 表現手法も含めて、適切な表現をした情報提供をします。さらに、それが、居住地、現在 地に合わせたリコメンドがされることで理解・認知が進む。その結果として、行動のため の選択肢の提示となります。 この図が示すとおり、ユーザーを理解して、ユーザーのニーズから決めるということを 徹底しなければならないと思っています。今回、ここに「重要」と書いてあるところ、「意 思決定や行動につながる仕組み」があること、「良質な体験」は分かりやす いということ ですけれども、この2つが特に重要で、これが成功すれば、習慣化、継続利用、利用想起 が高まることになりますので、行政の発信する情報もこのぐるぐる図に合わせて自分たち で考えていくことが非常に大事だと思っています。我々民間の会社は、たくさんのデータ を持っていなかったりします。検索の自分のサービスを使ったデータは持っているのです けれども、それ以外の官公庁さんがお持ちのようなデータを我々は持っていません。です ので、ないものだらけです。ないものだらけをどうするかということを常に我々としては 考えていく癖がついておりまして、そこのないものが必要になるかなということを想定し ておかなければいけない。「想像できてないことはマネージできない」というのが我々イ ンターネット企業の常識です。ここを常に議論して、この後に何が起こるのかという想定 をしておくことがすごく大事で、この時間をしっかりと取っておくこと、組織的にもそう いう文化を醸成することは非常に大事だと改めて感じております。 それらをまとめますと、その情報発信における提供価値を改めてシンプル化しますと、 ユーザーのニーズは大体2つです。「知りたい」と「発見がある」という体験 を求めてい るという2軸になります。特にYahoo! JAPANにおいては、検索の行動をする方は「知りた い」、あるいは、ニュースを見たいという方、それから、ここに何となく来れば、何か新 しい情報があるだろうと「発見がある」ということを期待してやってくる方、この2つに 分かれると思います。その後、我々がどういう情報を提供していけば価値が上がるのかと いうのをまとめたのがこの図ですけれども、まず、一つはユーザーが欲しい情報を的確に 出すこと、それが分かりやすいこと、それが最適に届けられている、そこにユーザーの力 が加わることで、最終的には、国民の主体的なアクション、ユーザーの主体的アクション につながると我々は構造を理解しています。 例えば、「ほしい情報」でいいますと、必要とされる情報ニーズを把握した上で、適切 な情報提供や適切な導線設計をするというUI/UX上の工夫をしていく。どういうふうに見せ るのかを徹底的に考えることがインターネットの会社としては非常に力を入れておるとこ ろです。 「わかりやすい」という観点でいいますと、行政情報の要素を酌み取って「伝わりやす さ」を追求するようなことを今回のコロナ禍でもやっております。情報はいろいろな形で 提供されているのですが、なかなか一元的に管理されていなかった り、きちんと「伝わり

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8 やすさ」が追求されているかというと、そうでもないものもたくさんありますので、編集 者が情報の整理をしてデザイナーがクリエイトをすることで、よりユーザーにとって優し いものにするということですね。そうすることで「他にはない」情報ということになりま すので、また繰り返し、ここに見に来よう、ここに来ようという行動が発生するかと思い ます。例えば、右下のほうは、都の会見を弊社でYouTube中継していたのですけれども、こ れもなかなか自由が利かなくて、カメラを向けて撮るだけだったのですが、ユーザーから、 テレビだと手話が入っているぞと言われて、手話をワイプで入れましょうと努力しました。 もう一つ、ユーザーから声があったのは、テレビでは会議で話されている資料が画面に全 然映りませんと。何のことを話しているのか、「お手元の資料3を御覧ください」と専門 家は言っているけれども、全く映らないという声がありましたので、カメラマンが、自分 の手が映るのも構わず、カメラの前に資料を出して撮るという、テレビでは絶対にやらな い反則技をインターネットではやると。そういう常識を崩していくということを今回はす ごくやりました。自分たちでもこんなに泥くさいことをやるとは一つ大きな学びでしたし、 これが非常に受けがよかったです。ユーザーが求めているものを即座に対応する。どんな 方法でもいいので。これが求められているなと改めて感じました。 「最適に届ける」という部分ですけれども、こちらは様々なコロナの特設ページをつく っているのですが、階層を分けております。全国向けに提供しているものと、都道府県地 域設定をされている方には、そのお住まいの都道府県の情報がまずは真っ先に出るように してある。タブとモジュールという形で情報の種別を分けて、きちんと伝わるようにする ということをやっています。ですので、位置情報を使って、さらにその情報を大通りに並 べることと、個別最適にプッシュをしてその人に最適なものを届けるということをやって いく。これが「最適に届ける」という形です。 情報の並べ方ですけれども、まず、一番人が通るところには一番マスの情報を並べて、 そこから粒度を細かくしていく。これはマクロ情報からミクロ情報にどんどん落としてい って、ユーザーニーズとして必要な人はもっと下って細かいデータを見ることが できると いうところまで、今回は整備をしてやってみました。 ここに、先ほどの図でいいますと、「ほしい情報」、「わかりやすい」、「最適に届け る」の3つがすごく大事だというお話をさせていただきましたけれども、もう一つ、ユー ザーの力を使うという点が今のインターネット環境下における重要なファクターかと思っ ています。 これは、もちろん一義的にはユーザーが行動したデータを見る、分析するということを 指し示しますけれども、もう一つは、ユーザーがアクションをした結果、インターネット 上に何かが表出する、発言する、発信する、表現するといったことも含むと我々は考えて おります。 こちらが、今回、Yahoo!のやってみたケースなのですけれども、常にYahoo!ニュースに は情報を見に来ている方がたくさんいらっしゃいます。そうした行動を私たちのほうでも

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9 把握しておりまして、Yahoo!ニュースのコメント欄を、医療従事者の方々への応援のコメ ントをしてみませんかとアジェンダセッティングをして、ユーザーの方たちが参加しやす い「動機」をつくるということをやってみました。あくまで自然に情報を見に来ていたの だけれども、こういうものに出会って、ユーザーが摩擦係数ゼロでアクションに結びつく。 そういったことを設計してみました。これは計4回ぐらいやりましたかね。「最前線のあ なたへ」という形で応援するようなことです。 もう一つは、これも日常の検索行動を利用したものです。これは、Yahoo!検索で特定の キーワード「のりこえよう」と検索しますと10円寄附されるということで、災害時に結構 Yahoo!がいつもやっているようなことですけれども、これも今回やってみました。これは、 検索して我々が10円寄附するという行動ではなくて、その後の検索結果に、コロナの最新 情報だったり、絶対に知っておかなければいけない情報を必ずまとめています。検索をす る、そして、正しい情報をインセンティブとして与えて、さらにそれが寄附につながると いうことで、二重にその行動のアクションの価値を上げていくという措置を我々のほうで 提供するという取組もやってみております。 これらをやっていくと、ユーザーからまたデータがたまります。ユーザーというのは何 を考えているのかな、あるいは、どういう言葉でコメントをしたのかなということが分類 できます。それらの分類をきちんとして、何にニーズがあるかを把握して、またこの右の ぐるぐる図を永久機関のように回す材料にしていくことが非常に大事だと思います。 最後に、行政の情報発信とメディア化という点でお話しさせていただければと思います。 弊社の社長をやっておりました宮坂さんが、今、東京の副知事になっておりますけれど も、今回のCOVID-19の対応で、東京都は情報発信を非常に積極的にやっていました。もと もとこれは小池都知事から広報をしてくれという依頼があって、宮坂さんは情報発信を始 められたということであります。その広報のプロジェクトから始まって、どういうふうに 彼が情報をまとめて発信していたかということでいいますと、一つ大きな特徴があったの が、シビックテック、町場のエンジニアの皆さんに参加をしてもらって、その情報をオー プンに公開していくという行動を今回取ったことが一番大きかったかと思います。こちら のサイトは、たくさんの町場のエンジニアが共同の GitHubというツールを使って、みんな で共同開発をして一気につくり上げました。このデータを全国の自治体に無償配付しまし た。その点でいいますと、東京都の予算でつくったものを、地方自治体が、同じ品質、同 じクオリティーで使える点で考えますと、これは予算配 分の在り方、リソース配分の在り 方なども考えなければいけないのですけれども、実際のところ、そういうものがあっさり できてしまう。また、このサイトは台湾のIT大臣である唐鳳が、わずか1文字だけ、文字 修正をしただけでしたけれども、海外からこの開発に参加したという点でもニュースにな りました。 これらをやっていくためには、もちろんデータの標準化ということが必要になりますの で、それが行われた上でこういったことが可能になってくるというのは、一つ、可能性と

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10 しては非常に大きかったと思います。現場に近い人たちが自分たちの発想で 情報をまとめ ていく、それが連続的に起こっていくということが、非常に学びが多いケースかと思いま す。 これから分かることが、「広報」は同時にメディアになっていきますし、メディアとは それが「広報」につながるのだということだと思います。「広聴」を用いて、これはユー ザーがどういうデータを我々に与えてくれて、それを基に情報提供をして、それがメディ ア化をしていく。そのメディア化をした先に、「広報」をアップデートすることにつなが っていくのではないかと思っています。今回は、弊社の CSOでもある安宅和人から、今回、 こういうことに参加しているのだけれどもという雑談をしたのですが、これを進めていく ためには、国民に光回線の提供だったり、あるいは、デバイスの提供だったりというイン フラがまずは整っていることが非常に大事です。こうしたことが、東京都の取組だったり、 あるいは、弊社や今回参加されていらっしゃるIT企業の皆さんの活動の促進につながって いくのかなと思います。これによって国民のクオリティー・オブ・ライフを上げていくこ とを目的とした広報にアップデートをしていくことが非常に重要だと思います。

ここまでばっとYahoo! JAPANの施策について発表させていただきましたが、Yahoo! JAPAN は、3月11日、東日本大震災のときに非常に多くの体験をしました。当時は、今ほどデバ イスが発達していなかったり、インターネット回線も普及していなかった頃ですから、適 切な情報提供ができていたかということは常に振り返るわけですけれども、亡くなった方 が1万6000人ぐらいいらっしゃって、当時、Yahoo! JAPANにアクセスしている人間は月間 で大体9000万人ですから、国民の8~9割がアクセスしていたと思っています。ですけれ ども、津波にのみ込まれる人が最後にスマートフォンで表示していたかもしれない Yahoo! JAPANのトップページで我々は適切な情報提供ができていたかということは、今でもよく考 えます。これによって正しい情報を伝えていれば、我々は国民の命を救えたかもしれない。 そのことを基本的な体験にして、今のコロナであっても、台風であっても、水害であって も、そういった情報提供を心がけていきたいなと思っています。 ですので、メディアか広報かというのはいろいろ な区分はあるのですけれども、目指し ている地点は同じだろうと思います。あとは、先ほど申し上げたとおり、行動様式をどう やって整備していくのかということだと思いますので、分かりやすいとか、最適に届くと か、ちゃんとした情報がある、ユーザーの力を使う、こういったフレームワークをどんな 情報発信においてもきちんと中心に置いて、自分たちがそれにかなっているか、そのサイ クルはぐるぐる回っているかということをチェックしながらやると、今後の広報のアップ デートにつながるのではないかと思います。 私からは、以上です。 ありがとうございました。 ○佐藤秘書官 ありがとうございました。 続いて、砂金委員、お願いいたします。

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11 ○砂金委員 砂金でございます。 前でお話ししてもいいのですが、お手元に資料はお配りになっていると思いますので、 紙で御説明させていただきたいと思います。こちらの裏側の LINEロゴが軽く見えているド キュメントに沿ってお話を進めさせていただきたいと思っています。 今、岡田さんのお話にありましたが、来年にはきっといい感じに統合されているだろう と。先生方におかれましては、ぜひ御支援いただきたいところではあるのですが、 Yahoo! とLINEが日本を支えるインフラとなって手を取っていろいろなことができると、よりよい ことができていくと思うのですが、今回御用意しているのは、台湾での事例をちょっと皆 さんに紹介をしたいなと思っています。 本題に入る前に、日本で我々が何をやってきたかというのをごく簡単に振り返りたいと 思っています。一番皆さん御自身の体験としても今回のコロナの件でLINEに接点があった のは、LINE社からすると8300万通のアンケートのお願いメールを皆さんに配付させていた だいて、結果、2400~2500万人ぐらいの方々から回答を頂いたという壮大な社会実験をや りました。ここはマーケティングの専門家の方々が 多数いらっしゃると思いますが、サン プル数、n数が2500万は余りやることがない規模の調査だったと思っています。そのとき の設問の設定とかを、その後、厚生労働省に我々はデータとしてお持ちして、分析自体は 厚労省さんにお願いしていたのですけれども、データ分析が本当にこれでいいのかとか、 いろいろな御意見はあるかもしれませんが、この国がやはりすごいなと思うのは、インセ ンティブは設計していないのですね。アンケートをお願いしますというので8000万人にお 願いしたら、2500万人から返ってくる。この国は、協力をお願いをすると、ユーザーさん から、ある一定比率できちんと対応してくれる。先ほどのYahoo!さんのプレゼンテーショ ンでもユーザーの協力をきちんと得ることが大きなポイントであったと思いますが、そこ をある程度当てにできるような取組の一つではあったのではないかと思っています。 それ以外にも実はいろいろやっていて、思い起こすと、我々がこのコロナの状況に巻き 込まれた1発目は、ダイヤモンド・プリンセス号。多分報道の出方としては、ソフトバン クとLINEが連携して、LINEをインストール済みの2,000台のiPhoneを乗船されている方々に 配るということをやりました。これは、もともとは、コミュニケーション上、孤立してし まっている方々への心のケアみたいなところを想定していたのですが、その後、ちょっと 陽性患者が増えてきたぞという状況を鑑みて、医師との連絡ができる、常にホットライン として体調が悪いといったことがあったときにお医者様と連絡が取れる手段として 、その iPhoneを使っていただいていました。 そこから、たまたまいろいろな事情が重なって、今は遠隔医療相談という形にしていま すが、遠隔でビデオ通話みたいなものを使って、お医者様と陽性患者さんあるいはそ の疑 いのある方々が診療相談をできるような取組も今回の取組の中でやってきています。これ も、過去に何回か「遠隔診療」みたいなキーワードでチャレンジはしてみたものの、あま り言うとあれなのかな、医師会の方々とか、いろいろなステークホルダーの方々がそれは

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12 よろしくないぞというので、絶対にこの壁を崩すのは10年かかるなと覚悟をしていたので すが、ここ数か月の間に社会変化としていろいろ動いてきたところかと思っています。 先ほどの東京都のシビックテックと連携したポータルの提供とかを含めて、いろいろな 活動を日本国内でしてきたのですが、お隣、台湾を皆さんがどういうふうに捉えられてい るか分からないのですけれども、その状況を、今日はこの15分ぐらいの時間で御説明して いきたいと思っています。 1枚めくっていただいて、まとめのところです。1ポツ、2ポツは、前提です。台湾に 旅行とかビジネスで行かれたことがある方は感じられていると思いますが、日本と同等か それ以上にLINEが普及しています。大陸側ではWeChatを皆さんは使っているのですが、諸 事情により台湾の皆さんはLINEを使っている。いろいろなお店とか、タクシーを呼ぶのも LINEだったり、いろいろな身近な生活体系の中にLINEが浸透しているところがございます。 2番目ですね。今回、これはメインテーマとしてお話ししますが、直近の新型コロナ対応 においても、LINEを最大限に非常にうまく活用している。これは日本もそうなのですが、 タイ、台湾、インドネシアが、LINEがメッセンジャーアプリとしてシェアを取っている国 なのですけれども、一番うまく広報活動にLINEを活用していたのは台湾だろうということ で、本日、こちらの話をさせていただこうと思っています。3ポツ目、これが具体的な中 身に当たるところなのですが、総統の人柄を前面に出すとか、対象に合わせて、小さい子 用であればキャラクターとかを多めに使うとかということも含めて、誰に、どういう対象 の方々にその情報を届けたいのかを、情報の設計側がきちんと把握をした上で、3つのア カウントの使い分けをしています。それによって、こういうメッセージを送るときはこっ ちのアカウントだよねというので、非常に効率的・効果的なコミュニケーションができて いたのではないかと考えております。4ポツ目、これは先ほど東京都のポータルのところ でもあったのですが、これらの取組を非常にうまくやっている一 つの要因として、これが 全てではないのですが、IT担当大臣に相当する、日本における大臣とはちょっと意味合い が違うかもしれないのですけれども、唐鳳さんという方が、非常に精力的に、台湾の政府、 行政システムのIT化を強力に推し進めていて、日頃から行われていたものが成果として今 回のコロナの中で発露してきたという状況かと思っております。日本国とアップル・トゥ ー・アップルで比較すべきものではないかもしれないのですが、どちらかというと、 IT活 用に対して積極的であるという姿勢は、日本国よりは台湾の地域のほうがよりよい活動を されていたのではないかと、ここは素直に認めざるを得ないところかと思っています。一 番最後のところ、これはCode for Japanに相当する「g0v」、これは「ガブゼロ」と読むの ですが、g0vのシビックテックの皆さんと連携をしていろいろなシステムを非常に速いスピ ードで構築したと。これも急にやり始めてできることではないのですが、平時より政府と 民間のソフトウエア開発者が非常に近い距離感で様々なプロジェクトを一緒にやっていた からこそできた成果ではないかと考えています。今回はあまりITという観点でのアジェン ダではないのですが、広報を効率的に行うに当たって、メッセージングアプリだったり、

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13 その他のITの手法をうまく使うにはこういった要素も必要かなというのでまとめに入れさ せていただいています。 早速内容に入らせていただきたいと思うのですが、この3つの 円です。人、機能、組織 で表させていただいているチャートで御説明したいと思うのですが、台湾の当局が、国民 の皆さんに、コロナなので気をつけましょうというメッセージを出すときに、3つのアプ ローチでLINEのアカウントを運用しています。これは、皆さんもユーザー経験があればお 分かりだと思うのですが、いわゆるお友達と並んで、トーク画面の一覧の中に、1つずつ の公式アカウントという形で別々に表示されます。チャンネルが分かれているというイメ ージかもしれません。蔡総統のメッセージは、彼女のお人柄を基本的には大きく活用とい うか、そこに依存して、重大なポリシーを国民の皆さんや地域の皆さんに告知するために 使う。あとは、社会情勢で、何か不安ですね、どうしましょうといったときに、大丈夫で すよ、あるいは、こういうところに気をつけましょうというメッセージは、ほかの組織と か仕組みから送るより、尊敬・信頼できる人から送ったほうがいいだろうというので、人 柄を前面に出して運用されている。次に、機能の黄色いほうの円なのですが、 こちらはど ちらかというとバックエンドの仕組みがこの裏に様々にあります。感染者数をきちんと把 握する仕掛け、あとは、もう少し詳細には後ほど御説明しますが、保険証に電子IDが埋め 込まれていて、薬局に行ってその保険証を提示するとマスクが配給される仕組み、これは 日本でも一時期マスクが足りない頃に台湾ではできているのに何で日本ではできないのか というのでいろいろな報道がされていたと思いますが、これも裏側に電子認証の仕 掛けみ たいなものがもともとあって、それをうまく組み合わせた。このいろいろなバックエンド の仕組みを、LINEのふだん日常的に使っているアプリケーションの中に溶け込ませて、簡 単にUI/UXでお届けしようというのがこちらのアカウントです。黄色いところです。最後、 青いところは、日本でいう厚生労働省みたいな組織が運用しているところで、こちらは、 どちらかというと、手を洗おうとか、啓蒙的な発信ですね。日本でいうと ACみたいなこと だと思うのですが、感染状況はこうなっています、日常生活はこういうことに気をつけて くださいねと。これは蔡総統が自ら言うまでもなく、皆さんが日常生活の中で気をつけて ほしいことは厚労省のような部門から組織として発信をしている。この3つがうまく有機 的に機能していたというのが台湾の状況ではなかろうかと思います。 1ページめくっていただいて、我々は中国語が分からないと思うのですけれども、 QRコ ードで友達登録をすれば情報は届くというか、やってみるということであれば、お試しい ただいてもよろしいのではないかと思います。 1ページ進むと、QRコードの次のところです。蔡総統の公式アカウントの説明に入りた いと思うのですけれども、こちらが先ほど申し上げた3つのアカウントのうち、一番公式 にというか、オフィシャルなメッセージを出すときに使っているアカウントです。日頃か らテレビをはじめとするメディアに非常に多く露出をされている方なので、特にこの資料 の右下に、ちょっとデフォルメをした、かわいくした感じの イラストとか、日本で一国の

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14 総理大臣に当たるような人でこういう表現をするとよろしくないという方もいらっしゃる かもしれないのですが、リーダーが率先して情報発信をするという形になっています。基 本的には、これは動画でライブストリーミング。日本でも、都知事とか、市長とか、一時 は毎日ライブストリーミングをするということもあったと思うのですが、ごく簡単に1枚 のイラストで大事なことをコンパクトにまとめて、それを配信する、一瞬で分かるという ことを目指して配信をされていますので、ここからライブストリーミングというところに つなげてもよいのではないのかと思うのですが、基本的には画像で送ると。その画像を、 いかにコンパクトに、メッセージをシャープにするかというのを徹底して運用されていた ように、日本国側からは見えていました。例えば、右側の蔡総統のイラストが入ったも の なのですが、これは何を示しているかというと、マスクはここで買えますよ 、こうやって 買えますよというのが、日付も区切られていて、次に私はいつ何をしたらいいのかという のがみんな分かって、今は手元になくても4月になったらあるのですねというので安心感 を伝えるようなものをきちんと考えてコンテンツをつくり上げているという状況です。 1ページめくっていただきます。これは続きですね。蔡総統の公式アカウント、どうい うところに要点を置いていますかというので、こちらは、せっかくLINEを使っているので、 これがもしかするとFacebookだったりGoogleだったりするとちょっと違うコミュニケーシ ョンのほうがいいのかもしれないのですが、台湾の中では日常生活に溶け込んでいて、よ りお友達感覚で会話ができるというシーンに特化したLINEというメディアをあえて使うの であれば、例えば、ゲーミフィケーション的な、ゲーミフィケーションというほどおちゃ らけてはいないのですけれども、基本的にソーシャルという観点に依存したものをできる だけ載せていこうという形になっています。先ほど蔡総統自身のビデオメッセージみたい なものはあまり多用していないと申し上げたのですが、ここのリッチメニューというとこ ろがLINEでいうところのカテゴリーメニューみたいな形になっているのですけれども、そ こからたどるところには動画を見られるような領域もつくってあります。なので、すごく シンプルなメッセージは画像1枚で分かりやすく、より詳細なことを知りたい、友達にこ の感動体験をシェアしたいという人たちのニーズを満たすような機能をつくり込んでいる 形ですね。 次のページが、先ほどの3つの輪の図でいうと黄色いところのアカウントです。これは 何と読むか私も分かっていないのですが、要は、バックエン ドである仕組みをラインを通 じてユーザーさんにより使いやすくしましょうねというアカウントで、ここ は唐鳳さんが 基本的には陣頭指揮を執られていてやっていた領域です。この左上に「友だち数」と書い てあります。これがTwitterでいうとフォローです。このアカウントに登録している方々な のですが、200万人です。台湾の地域の人口が2300万人ぐらいなので10分の1ぐらいの方が 使っているという状況です。コンテンツに関しては、記者会見のライブ中継をこちらのア カウントで配信しています。加えて、より詳細な、ここのアカウントに興味 があるという か、ニーズがあってアクセスをする人たちなので、その人たちに合わせたより詳細なコン

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15 テンツを出していこうという趣向になっています。 1ページめくっていただくと、このアカウントで提供している機能の説明に入るのです が、こちらもリッチメニューというLINEのメニュー形式の中から、この先に何ができるの ですかということ、このアカウントで何ができるのですかということが分かりやすく整理 されています。1個あるのが、これは今回のテーマの中も、もしかすると役立つかもしれ ないし、これはYahoo!さんとかも連携した上でやるべきかもしれないのですが、フェイク ニュース対応を台湾はすごく気にしていて、要は、いろいろなところから拡散しやすそう なフェイクニュースがやってくるのですね。多分いろいろな国際情勢の中で台湾でにぎや かしたい方々がいろいろいらっしゃると。なので、これはフェイクニュースですよという のを検出するための仕掛けをもともとg0vのシビックテックの団体と台湾の政府で一緒に なってつくっている。ここのプロジェクトにも唐鳳さんとかは割と貢献していて、こうい ったものがこのメニューから使える。なので、コロナで不安をあおるようなもの がフェイ クニュースなのかファクトなのかというのを判断するような仕掛けがここに備わっていた りします。先ほどのマスクの購入案内とか、何か不安があったときにどこに問い合わせた らいいですかというのも、日本だと、厚労省のページに行くと、問合せ先一覧みたいなも のでいろいろな保健所の電話番号とかが多々出ているのですが、どこにかけたらいいかよ く分からないと思うのですけれども、こちらは問合せ窓口を一元化して、皆さんが不安に ならなくていいような仕掛けをこのアカウントのところに集約をしています。 1ページめくると、最後に、これは厚労省に当たる組織が提供しているアカウントなの ですけれども、こちらが同じく友達数で200万人ぐらいですね。こちらが一番多いですね。 ここも、ライブ中継だったり、いろいろな手法を使って、ファクトをきちんとお届けする。 ただし、これは右側の図がすごくキャッチーだと分かりやすいのですが、政府からのオフ ィシャルなお知らせにしては割と崩したフォーマットで、相手に合わせて メッセージを送 るように工夫をされています。体面をどうするとか、そういう話ではなくて、このアカウ ントの先にいる人は、どういう興味、関心で、どういうコンテン ツだったら受領してくれ るのかということを考えた上でコンテンツ設計がされているというのが、ほかの3つのア カウントも含めて非常に工夫がうまいところなのですが、この厚生労働省に当たるところ のアカウントはこのコンテンツのつくり方が非常にうまいところですね。 1ページめくっていただいて、これがまた厚労省のアカウントの続きなのですけれども、 先ほど来、御説明しているリッチメニューをどうやって運用しているのですかというと、 全部が全部LINEで完結するわけではないです。台湾においてはFacebookをうまく使って情 報発信されているところもありますので、そこを相互に連携して、いろいろな IT系の団体 というか、民間企業が連携してこの難局に立ち向かおうというので、LINEに閉じない、ち ゃんと連携するということをうまくやっていたりします。先ほどのもう一個前のアカウン トと大体一緒ではあるのですけれども、問合せ先はどこですかと いったときに、明確にこ こから簡単にアクセスできますよということを御案内している。これも非常に LINEっぽい。

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16 LINEはコミュニケーションを支えるインフラとして多くの方が意識されているので、困っ た、分からない、このときはどこに連絡したらいいんだといったときに、検索をせずにそ の見えている画面の中に、ここに電話したらいいですよ、ここにコンタクトをしたらいい ですよというのが分かりやすく整理されていること、これが非常にうまく回っている理由 の一つかと思います。 短い時間ではありますが、台湾でこういう工夫をしながら3つのアカウントを運用しま したというお話をさせていただいています。全てが全て日本にそのままコピーして輸入で きるものでは当然ないのですが、今回のコロナの中からいろいろな学びを得て、今後、社 会保障は突発的な事故とか災害ではなくて、継続的にメッセージ発信をしていかなければ いけないテーマではあるのですけれども、そのときにも、どういう発信主体が誰に向けて メッセージを送るのか、そのときの手段としてはどういうフォーマットがよいのかという のを、妥協せずに、きちんと政府とか行政機関が主導になって考えるということを我々が やっていけば、台湾以上にうまく国民と行政機関の関係性を築けるのではないかと思って おります。 以上で、私のお話を終わらせていただきます。 ○佐藤秘書官 ありがとうございます。 テーマ1に関して御発言のある方はお願いいたします 。 河井委員及び立谷委員から資料の御提出が事前にございましたので、まず、河井委員か ら、こちらでお願いしたいと思います。大体5分程度でお話しいただけると幸いです。 ○河井委員 5分なので、ごく簡単に。 今日は2つ頼まれていまして、ナッジとSociety5.0についてどうなのかという話です。 ナッジの話をするのですが、まずは、「これからは、とにかくナッジだよね」みたいに ならないようにしましょうということを述べます。全体のフレームワークをしっかりと取 った上で、ナッジという発想を含め、どこで何を使うのかという議論をすることが必要で す。やはり目立たないといけないよねとか、ターゲティングはどうなのみたいな話 が単発 に行われたり、とにかくみんな頑張ろうみたいになってしまうと混乱 します。先ほどAISAS とか、最近だとSIPSという話もありますけれども、この流れをしっかり踏まえていく、 戦 略フレームを踏まえていくことによって、初めて最終的な行動変容ができるという議論が 大事だと思います。その中で、ナッジは、行動促進のフェーズに使われたり、シェアを促 すところでとても有効に使える。 大阪大学の大竹文雄先生がごく簡単に書かれているものだと、EASTという形ですね。Easy、 Attractive、Social、Timelyを上手に利用すると人は動くと言われています。これを言い 換えれば、ハードルを下げる仕組みをつくっておいて、何かやりたくなる仕掛け。このハ ードルを下げる仕組みと、インセンティブを用意するといいですよということだろうと思 います。 インセンティブというと、クーポンですかという話になりやすいのですが、褒められて

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17 も人は動くという話ですね。先ほどの話もありましたけれども、「あんたは偉い」とか、 「俺はいいことをやっている」ということを考えるだけでも人は動くということも考えら れる。 ナッジという議論ではあまり出てこないのですけれども、ジョーナ・バーガーが言って いるSTEPPSという議論がすごく面白いので、有効に使えるのではないかと思います。Social currency、いい気持ちにさせる。Triggers、何かあったときに、目の前にいろいろなもの があるので、すぐ思い出す。Emotion、気持ちが盛り上がる。 さらに、Public、みんなやっているじゃん、だから、私もやろうかということですね。 あるいは、実際にモノやカネというクーポンみたいな仕掛け であるPractical Value。さら に、語りたくなる物語であるstoryがそこにあるという、こういうSTEPPSを上手に活用する ことによって人は動いていくのではないだろうかという提起がバーガーの 意見です。 これは実際に具体的なところだといろいろなところで行われてい ます。奈良県生駒市の 「いこまち宣伝部」というところで、地域の人たちが自分の情報をどんどん発信する よう になっているのもSTEPPSで考えることができます。 千葉県流山市でイベントをやったときに、プリクラを用意して情報を発信させるという ところでもSTEPPS的な発想が一部使われている。 クラウドファンディングというのはすごく分かりやすい形のSTEPPSが利用されています。 いいことをやっていて、そこにすばらしい物語があって、気持ちが盛り上がって、みん ながやっているのが分かるようになっているという形ですね 。 「ゲーミフィケーション」という言葉がさっきありましたけれども、まさにゲーミフィ ケーションというのがナッジという発想を上手に活用しながら人を動かしていく仕掛けに なっています。 もちろん、それに加えて、ハードルを下げる仕組みのような、ソーシャルボタンがここ になければ幾ら気持ちが盛り上がっても次のステップに行けないことになりますから、そ ういう視点も大事になりますという事例が幾つかあります。 Society5.0は、いろいろ定義もありますが、この安宅さんが紹介された図表がとても分 かりやすいと思います。『シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 』 という本から持ってきたものですが、こういう発想をしていくと、フェーズ2というとこ ろでデータとAIをうまく活用していくことによって、今、これからの時代が起きてくる と。 では、このSociety5.0において大事なものは何なのでしょう。 DX、デジタルトランスファーですよねと言われたときに、東京都での新型コロナについ ての情報提供の事例では、メインダッシュボードというものをシビックテックによってつ くっていく。ただ、メインダッシュボードだけではやはり足りないのだろうと思 います。 パーソナルダッシュボード、私はこのときに何をするのかというのが分かるようにな ると いう発想が大事だろうと考えます。そういう意味では、これはあくまでも私の提案ですけ

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18 れども、ポータブル・ガバナンスあるいは「Palm Governance」、手のひらの上に、政府や、 NPOや、関連企業の情報が自分に合った形で提案をされていくという仕掛けをつくっていく ことが大事だろうと思っています。 この発想は、今、少しずつ進んでいると思います。タブレットだったり、あるいは、フ ューチャーデバイスだったり、スマートフォンとかに、どんどん 入れていくという仕掛け をつくっていくことによって人は動き出すと考えられます。そういう仕掛けを含めて、デ ータとAIと個人情報をどうひもづけていくのかが課題になるだろうと考えます。 大事なこととして、「アフォーダンス」という言葉があります。階段があると椅子では ないにもかかわらず座りたくなってしまう、何となく階段にも座りたくなってしまう、 つ い動いてしまうという状況を、こうした仕掛けにどうつくっていくのかという、そういう 発想がすごく大事になってくるということだけを伝えて、持ち時間、ちょうど5分ぐらい かと思いますので、終わりたいと思います。 ありがとうございました。 ○佐藤秘書官 ありがとうございます。 様々な論点についてコンパクトにまとめていただきました。 続いて、立谷委員、お願いいたします。 ○立谷委員 私は、紙1枚、めくっていただきますと、表が出ております。この1枚で御 説明させていただきます。 既に、岡田さんとか、砂金さんとか、河井さんからお話があったように、これからの広 報というものが、マーケティングとか、販売促進と非常に重複するのですね。今までの広 報は、どちらかというと、新聞報道でできる世論、公論という話が強かったのですが、人 の行動を変えていくという広報においては、ここに書いてあるように、旅行の選択とか、 保険の選択とか、車であればオプションの選択といった発想を取り入れながら制度を知っ てもらう。このときに、意思決定支援広報と制度周知広報というものがあって、従来であ れば、この制度周知広報から広報が始まったのですけれども、今はこの意思決定支援がい かに大事かということです。 これは、既に、岡田さんとか、砂金さんとか、河合さんの話にあったので、細かく言い ませんけれども、この意思決定広報の部分でどれだけ自分の将来像をイメージできるか。 こうなるんだな、俺はと。こうすれば、こういうことができるんだというイメージが想起 できるかできないかによって、やってみようかなというアクションにつながって、そこか ら初めて、制度に触れてみようとか、こういう制度があるのか、では、使 ってみようかと。 使ってみて、使える・使えないという判断がある。 この下の部分ではなくて、この上の部分でいかに周知するか、ここに人を引き込むかと いうことにおいては、それこそ検索エンジンとか、SNSもそうですし、今の話にもありまし たけれども、アプリですね。そういったものがこれからの広報の中で重要な位置を占める のではないかと考えておりますという話です。

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19 簡単ですが、以上です。 ○佐藤秘書官 ありがとうございます。 まさに国民の決定を支えるということで、これからの広報はそういう方向に向かってい るというお話を頂きました。 次に、このままテーマ2の「ソーシャルメディア広報の在り方」に移りまして、今のテ ーマ1についてコメントのある方は、最後にまとめてお願いいたします。テーマ2につい ては、伊沢委員とゲストのSNS事業者の皆様からプレゼンを頂きます。 まず、伊沢委員、お願いいたします。 ○伊沢委員 御紹介にあずかりました、伊沢です。よろしくお願いいたします。 今回は、いろいろなメディアについて、メディアの使い方、社会保障の広報における活 用という話だったのですけれども、私は、QuizKnockというちっちゃい会社をやっておりま して、そちらの活動の一部としてYouTubeチャンネルを活用しているということで、YouTube 等動画メディアについての簡単な紹介と、広報にどれだけ活用できるのかという可能性に ついてお話しできればと思っております。 そもそもこの会議に呼んでいただいたのは、YouTubeだったり、SNSみたいな、広報の川 下を現在担当している人間として呼ばれていると思うので、実際にユーザーがどのように 考えているのかとか、どう利用されているのかというところについて発表させていただけ ればと思います。 全体像はこんな感じになっております。 まず、YouTubeをはじめ、動画メディアの現状を、データが見づらい状態なのですが、フ ァクトとして添付させていただいた形なのですが、現在、よく言われているように、イン ターネットで動画視聴時間はテレビに匹敵するものになりつつある。ただ、まだテレビの ほうが若干優勢だったりするのですけれども、若年層の中では動画を毎日見ている時間は 非常に伸びてきていると言われております。 こちらは広告の話にはなるのですけれども、非常に広告市場が成長の一途をたどってい るという形で、いかにインターネットの動画を使って人に情報を届けるかということが重 視されているのかということの一つの証左になっているところでございます。 もうちょっと内容を細かく見ていきますと、無料の動画視聴のプラットフォーム、スマ ートフォンでのプラットフォームの中では、現在はYouTubeの一強状態と言われておりまし て、この図でいくと2位がTwitterで3位がInstagramだったりするので、2位・3位はSNS になっているので、動画サイトと呼ばれるものの中では、よりYouTubeの一強具合が強まっ ているというのが現状でございます。 さらに、動画メディアの中でも、SNSでシェアされやすいものとして、YouTubeがアンケ ートで挙がっております。最もシェア率の高い動画プラットフォームは何ですかというア ンケートに対して、半分の方がYouTubeと回答されておりまして、YouTubeというメディア は、動画メディアの中で、そもそも見られているし、他のSNSとの連携も強いと言われてい

参照

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○齋藤部会長 ありがとうございました。..

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