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1 はじめに 私たちが普段何気なく使っている市立図書館 各々の市立図書館には開館時間 貸出制度等の違いがあり 中でも他の市立図書館より開館時間が長い桑名市立中央図書館に注目してみたところ 桑名市立中央図書館は日本で初めて PFI 事業によって運営されている図書館ということを知った なぜ桑名市は PF

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Academic year: 2021

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桑名市立中央図書館(日本初の

PFI 図書館)

四日市大学 井上、興梠、高井、山本

2010/11/27 カテゴリA 目次

1・はじめに

2‐1・PFI 事業とは

2‐2・PFI 事業によって生み出される VFM

3・桑名市立中央図書館が PFI 導入に至った経緯

4‐1・PFI 図書館、直営図書館、指定管理図書館の比較

4‐2・比較から見る桑名市立中央図書館のメリット、デメリット

5・まとめ

(2)

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1・はじめに

私たちが普段何気なく使っている市立図書館。各々の市立図書館には開館時間、貸出 制度等の違いがあり、中でも他の市立図書館より開館時間が長い桑名市立中央図書館に 注目してみたところ、桑名市立中央図書館は日本で初めて PFI 事業によって運営され ている図書館ということを知った。なぜ桑名市は PFI 事業を用いて桑名中央図書館を 運営しているのか PFI 事業により運営している図書館と市が運営している図書館で開 館時間の他に違いがあるのか、また PFI 事業を行うことによってもたらされるメリッ トがあるのか等の PFI 事業に対して疑問を持った。桑名中央図書館をモデルにし PFI 事業について他の公共図書館、指定管理図書館と比較し、PFI 事業により得られるメリ ット、デメリット、また今後のPFI 事業の改善点を検証していきたい。

2‐1・PFI 事業とは

PFI とは、公共事業を実施するための手法の一つである。 正式名称を、Private-Finance-Initiative 民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し公共施設等の設計、建設、改修、 更新や維持管理、運営を行う公共事業の手法である。PFI は 1992 年にイギリスで生ま れ日本では、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI 法)が1999 年 7 月に制定され、2000 年 3 月に PFI の理念とその実現のための方法を 示す基本方針が、PFI 推進委員会の議論を経て、当時の小渕内閣によって策定され、 PFI 事業の枠組みが設けられた。イギリスなど海外では、PFI 方式による公共サービス で有料橋、鉄道、病院、学校などの公共施設等の整備等、再開発などの分野で成果を収 めている。またイギリスでは日本がまだPFI 事業で行っていない国防、法務の分野に もPFI 事業を導入しています。また PFI 事業は、国や地方自治体などの公共部門の関 与の仕方に着目して、「サービス購入型」「ジョイント・ベンチャー型」「独立採算型」 の3つの形態に区分されていて、実際にPFI を実施する場合には、事業内容、法制度、 採算性、民間事業者の動向などを踏まえて3つの事業形態を参考にしながら、最も効果 的で効率的な公共サービスができる事業形態に構築する。PFI 事業の仕組みとしては、 PFI 事業の実施方針を定める国や地方自治体、PFI 事業で公共サービスを実際に提供す るPFI 事業者、融資を行う金融機関、リスクをカバーする保険機関、弁護士などのア

(3)

3 ドバイザーが参画している。PFI 事業は民間の会社が PFI 事業者となり、資金の調達 から公共サービスを提供する施設の設計、建設、運営や施設の維持管理に至る全ての工 程を含んでいる。このため、PFI 事業には異業種の複数の企業が参画し、コンソーシア ム(企業連合)を組むことがある。あくまで地方自治体が主に発注者となり、公共事業と して行うものであり、JRやNTTのような民営化とは違う。

PFI 事業の契約関係

2‐2・PFI 事業によって生み出される VFM

PFI 事業を導入、活用によって ・ 低廉かつ良質な公共サービスの提供 ・ 公共サービスの提供における行政の関わり方の改革 ・ 民間の事業機会を創出することを通じて経済の活性化 といった効果を伴う。

PFI

事業

行政

建設会社 管理運営 会社 投資家

保険

会社

金融

機関

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4 PFI 事業による公共サービスの提供が実現すると、民間事業者の経験上のノウハウ、 技術力の活用が可能となるので、国や地方自治体などの財政負担の縮減につながるとと もに、より質の高い社会資本の整備と公共サービスの提供が可能となる。 従来、国や地方自治体が行ってきた公共施設などの整備が、PFI の導入によって民間 事業者が行うようになるため、民間事業者の自主性、創意工夫を基本にした官民の適切 な役割分担による新たな官民パートナーシップが形成されることが期待され、公共サー ビスの提供における行政の関わり方の改革が促進される。

3・桑名市立中央図書館が PFI 導入に至った経緯

・ 旧桑名図書館は以前から狭隘化や機能面での限界があった。 ・ 市民アンケートで図書館建設に関するニーズが最も高かった。 ・ 厳しい財政状況下においても地方分権の進展や多様化する住民ニーズに対応するため、 「最尐の経費で最大の効果を生み出す効率的で節度ある財政運営」を図る必要性も課題 として挙げられていた。 以上のことから1992 年 2 月に、注目され始めていた PFI 手法について桑名市でも「PFI 推進検討会」が設置された。検討会は各部局の主幹課長、まちづくり担当課長、行政改革 推進本部事務局担当主幹等がメンバーとなり、政策課がリードする形で進められた。当時 の日本はPFI 図書館がなく、国内では PFI の先進事例が数例程度しかない状況であったが、 厳しい財政状況と多様化・高度化する市民ニーズに対応するためには、PFI を導入する必要 性があることが認識されるようになった。 当初は図書館単独でのPFI 事業化を想定して いたが、図書館と同様に狭隘化や機能不足となっていた保健センターと勤労青尐年ホーム についても移転・集約して整備することにより、トータルコストの削減や各施設の利用時 間の違いを活用した諸室の兼用等が期待できるというメリットが見出され、複合施設とし て検討されるようになった。また、桑名市立中央図書館は「いつでも、どこでも、誰でも 利用できる図書館」を基本理念としており、運営方針の中でも開館時間の延長や開館日数 の増加、IT への対応などが掲げられており従来のように市の直営で夜間までの開館時間延 長や開館日数の増加を実現しようとすると、職員数を大幅に増員する必要がある。さらに、 図書館の運営業務に携わるためには司書資格やIT の進展に対応できる専門家が必要になり、 市が直接人材を確保することは難しいと判断し、運営業務を民間事業者に委託した場合に は、時間帯に応じたフレキシブルな人員配置や専門的な人材確保が可能になり、サービス 水準の向上が可能になった。

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事業ストラクチャー図

百五経済研究所作成

市と

PFI 事業者のリスク分担

項目 市 PFI 事業 図書等の盗難、紛失リスク 簿価価格の0.3%以内 簿価価格0.3%以上 ※技術革新リスク分担 ― ― ※5 年ごとに見直し、限度額を設け、双方で協議

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4‐1・PFI 図書館、直営図書館、指定管理図書館の比較

項目 H16~PFI M41~直営 H18~指定管理 桑名 四日市 伊勢 人口 141,279 人 313,963 人 134,049 人 利用者数 587,741 人 274,510 人 276,032 人 貸出冊数 717,269 冊 872,844 冊 392,922 冊 職員数(計) 33 人 31 人 16 人 (司書) 1人 4 人 ‐ (市職員) 6(内嘱託3)人 10 人 ‐ (臨時) ‐ 17 人 ‐ (委託派遣) 26 人 ‐ 16 人 図書館費(計) 35,570,000 円 136,378,000 円 105,292,000 円 (委託料) 380,000,000 円 ‐ ‐ (資料整備費) ‐ 28,816,000 円 14,868,000 円 貸出登録者数 69,300 人 62,798 人 65,480 人 駐車スペース 38 台 90 台 70 台 延床面積 3169.06 ㎡ 4082.00 ㎡ 4147.42 ㎡ 開館日数 300 日 275 日 287 日 開館時間 9-21 時 9:30-19 時 9-19 時 休館日 毎週水 毎週月、第 2 第 4 火 毎週水、第 2 金 ① 登録率 49% 20% 48% ② 貸出密度 5.07 冊 2.62 冊 2.93 冊 ③ 実質貸出密度 10.34 冊 13.11 冊 6 冊 ④ 蔵書回転率 2.66 冊 2.07 回 1.28 回 ⑤ 一人当りの蔵書数 1.90 冊 1.26 冊 2.27 冊 ⑥ 一人当りの資料費 ‐ 95.70 円 113.02 円 *計算方法 ①登録者数÷人口 ②貸出冊数÷人口 ③貸出冊数÷登録者数 ④貸出冊数÷蔵書冊数 ⑤蔵書冊数÷人口 ⑥資料費÷人口

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4‐2・比較から見る桑名市立中央図書館のメリット、デメリット

メリット ・開館日数、時間の増加 ・コスト削減効果 ・民間ノウハウ導入によるサービス水準の向上 ・サービスを落とさないための、モニタリング ・民間の事業機会の増加及び事業範囲の拡大 デメリット ・税金の使われ方の不透明さ ・単年度予算との整合が必要 ・契約までの手続きに時間がかかる ・民間の事業機会の増加及び事業範囲の拡大

5・まとめ

・今回の比較では利用者人口はPFI図書館が最も多かった。数字だけを見るとPFI図 書館は成功しているようにもみえる ・PFI導入は本当に予算削減になっているのか 図書館費だけをみても直営図書館や指定管理図書館よりも明らかに費用がかかって いる。 ・「税金の使われ方の不透明さ」という問題点もみえてきた ・今後PFI図書館は増えていくべきなのか

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参考資料

地方シンクタンク協議会加盟「NPMに基づく先進的アウトソーシング事例」 http://www.think-t.gr.jp/NPM/index.html PFI ビジネス研究会 『最新図解でわかる PFI ビジネス』 2002 年 日本能率協会 大住荘四郎 『ニュー・パブリックマネジメント』 1999 年 日本評論社 尾林芳匡 入谷貴夫 『PFI 神話の崩壊』 2009 年 自治体研究社 四日市市立図書館 『四日市市立図書館概要』2009 年 四日市市立図書館 伊勢市立伊勢図書館 『伊勢図書館概要』2009 年 伊勢市立伊勢図書館 桑名市立中央図書館 『桑名市立中央図書館概要』2009 年 桑名市立中央図書館

参照

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