1.環境リスクの分析と対策の検討
●シミュレーションによる環境影響予測手法の検討
●第2回試験での生産水排出を想定した拡散シミュレーションを実施した。
・生産水の各成分について、排出率や流速等の条件を複数仮定し拡散範囲を予測
●試験対象海域周辺の環境状態の把握を目的とした生態系モデルの構築を進めた。
・シミュレーションのベースとなる流れ場を構築するため、過去に実施した流況調査のデータ
を活用し、夏季の流れ場を再現
・再現した流れ場を用い、生態系モデルにより夏季の環境調査データを再現
・物質循環過程における各環境要素の寄与を検討するために、フラックスの抽出を実施
〇平成29年度には、環境調査や環境モニタリング結果をもとに、見直しを行う予定
3
フラックス再現結果(上図:春季 下図:夏季)
生産水排出時のNH
4-
-Nの拡散予測結果(NH
4--N:250mg/l)
(上図:排出率500m3
/d, 下図:排出率1000m3
/d)
細胞外分泌
121.1
枯死
193
植食
共食い3.5
死亡
16.5
260
珪藻
888
渦鞭毛藻46
ハプト藻16
微小鞭毛藻1822
ピコプランクトン201
肉食者
205
大型雑食者939
小型雑食者52
微小鞭毛虫292
植食
植食
捕食
捕食
捕食
排糞
358.9
18
光合成
898
4.1
656.1
59.2
160.6
呼吸
242.3
15.5
0.1
15.8
54.7
290.4
11.1
491.1
18
14
2.5 16.8
沈降
0.6 358.5排泄
デトリタス
1517
バクテリア
2026
系外流出
1202490 系外流出528568
流入
528105
流入
1202496
溶存有機炭素
139939
無機炭素
細胞外分泌
104
枯死
134.3
植食
共食い1.1
死亡
4.7
珪藻191
渦鞭毛藻39
ハプト藻23
微小鞭毛藻894
ピコプランクトン
836
肉食者109
大型雑食者146
小型雑食者33
微小鞭毛虫204
植食
植食
捕食
捕食
捕食
排糞
146.7
光合成
770.7
呼吸
185.6
沈降
0.4 153.7排泄
デトリタス
6960
バクテリア
1351
系外流出
777421 系外流出167451
流入
167267
流入
777202
溶存有機炭素
174375
無機炭素
3.3
0.9
0.1
2.9
120.7
97.5
17.7
4.4
226.2
1.4
0.7
0.7
55.4
18.1
7.6
868.5
321.1
0.2m/s 1.2m/s
0.2m/s 1.2m/s
http://wikipedia.org/
排出位置
2.環境モニタリング技術の開発
●第2回海洋産出試験に関する環境モニタリング
●プロトタイプ機の動作確認試験を実施し、第2回試験の環境モニタリングに向けた課題を抽出。
課題対策を講じた実機を製作
・一部の微小なスパイクノイズを除き、良好なデータを取得
・主な課題として、システムを確実に設置回収するための手法の見直しが抽出された。
→ 設置回収設備の仕様や設置回収方法、システムの強度等の見直しを実施
実機に改良を施し、水深100mの地点において設置回収方法の改善を確認(H28.12月)
●第2回試験の環境モニタリングに着手
・生産手法開発Gの地層変形予測シミュレーション結果等を参考に配置計画を策定
・生産井近傍へのシステムの設置作業を実施(H28.12月)。地層変形に関するデータ計測に着手
・設置作業途中、1台のシステムに不具合が確認されたため、残りのシステムの設置を一時見送
り(現在原因究明中であるが、コントロールユニットから電源系統にかけての箇所と想定)
→第1回試験で用いた機器類を活用した代替システムの検討
→計測頻度や配置計画の見直しを実施
→当初計画と大きな遜色の無い計測が可能な計画とした。
〇今後、代替システムを設置し、ガス生産期間前後にかけてモニタリングを実施した後、システ
ムを回収し、データ解析に着手する予定
5
2.環境モニタリング技術の開発
●第2回海洋産出試験に関する環境モニタリング
プロトタイプ機の動作確認試験
メインフレーム部の回収用の改良部位
SU(正常時の設置回収用治具)
変更点
・形状変更(大型→中型)
・メタンセンサーの変更
変更点
・形状の変更
(中型→旧型)
大型機A
大型機B
旧型機1
旧型機3
旧型機4
旧型機2
変更点
・形状変更(大型→中型)
・メタンセンサーの変更
変更点
・形状の変更
(中型→旧型)
中型機1
中型機2
中型機4
中型機3
P3
P2
設置計画・システム構成見直し
0.00
0.02
0.04
0.06
0.08
0.10
9/2 12:00 9/3 0:00 9/3 12:00
Di
ss
ol
ve
d CH4
(μ
mo
l/k
g
)
HydroC
GT190
GT192
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
9/3 9/4 9/5
Di
ss
ol
ve
d CH4
(μ
mo
l/k
g
)
HydroC
GT190
GT192
取得データ(上図:圧力, 下図:溶存メタン) 改善した設置回収方式
配置計画案の見直し メタンセンサーの精度比較 ROVによる溶存メタン計測
0.03μmol/L
0.24μmol/L
3.海洋産出試験における環境影響評価
●海域環境調査の実施(平成22年度より継続的に実施)
●広域的なベースラインデータおよび第2回試験(主として事前掘削作業)の影響確認のための
データを取得するために、海域環境調査を実施
(ROV調査: H28.7月, 掘削後1回目: H28.9-10月, 2回目: H29.2-3月)
〇今後、第2回試験(主としてガス生産実験作業)の周辺海域の環境変化を確認するための調査を
継続して実施する予定。
<海域環境調査で取得したデータの例>
0
5
10
15
0 2000 4000 6000
堆積物深度
(cm
)
Ba(mg/kg)
AT-3
a
b
c
0 2000 4000 6000
Ba(mg/kg)
AT-4B
a
b
c
0 2000 4000 6000
Ba(mg/kg)
ATS2
a
b
c
0 2000 4000 6000
Ba(mg/kg)
ATS5
a
b
c
0
5
10
15
0 2000 4000 6000
堆積物深度
(cm
)
Ba(mg/kg)
AT-3
a
b
c
0 2000 4000 6000
Ba(mg/kg)
ATS2'
a
b
c
0 2000 4000 6000
Ba(mg/kg)
ATS5
a
b
c
生産井直近は
海底設備撤去
後に採泥予定
掘削前後のBa濃度の比較(上段:掘削前, 下段:掘削後) 掘削後の海底面観察結果(左図:掘り屑等の堆積, 右図:底生生物の分布)
3.海洋産出試験における環境影響評価
7
●第2回海洋産出試験に関する環境影響の検討(1)
●第2回試験のうち、ガス生産実験作業に伴う環境影響の程度を検討した。
・ガス生産実験作業の計画をもとに環境影響要因を抽出(掘削に伴い想定される事象を一部
補足)。拡散シミュレーション等により環境影響を予測
・ガス生産実験作業を対象とした環境影響検討書(ドラフト)を作成
〇今後、第2回試験の実績および取得した環境データを踏まえて、検討書の見直しを行う予定。
0
200
400
600
800
1000
-6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000
距離(m) 東
西
水深
(m
)
µmol/L
放出後
2時間後
距離(m) 東
西
水深
(m
)
µmol/L
0
200
400
600
800
1000
-6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000
放出後
1時間後
距離(m) 東
西
水深
(m
)
µmol/L
0
200
400
600
800
1000
-6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000
0
200
400
600
800
1000
-6000 -4000 -2000 0 2000 4000 6000
距離(m) 東
西
水深
(m
)
µmol/L
事故時を想定したメタンガスの拡散挙動予測結果(0.01Nm3
/sで2時間 平均流)
(左図:ガス/ハイドレート態の濃度分布、右図:溶存態の濃度分布)
30分後 4時間後
0
20
40
60
80
100
0 5 10 15 20 25
致死
率
(%
)
溶存メタン濃度
(mg/l)
線虫
イシイソゴカイ(幼生)
溶存メタンの生態毒性試験結果
(上図:鎖状珪藻、下図:底生生物)
3.海洋産出試験における環境影響評価
●第2回海洋産出試験に関する環境影響の検討(2)
(参考)平成28年度環境有識者会議委員一覧
委員長 益永茂樹 横浜国立大学 大学院環境情報学府
環境リスクマネジメント専攻 教授
委員
笠原順三 東京大学 名誉教授
内田努 北海道大学 大学院 工学研究院
応用物理学部門 准教授
鈴木輝明 名城大学 大学院 総合学術研究科 特任教授
柴田邦彦 東京ガス㈱ 基盤技術部知的財産室
<環境有識者会議の実施>
●2回の環境有識者会議により、主に試験を対象とした環境影響検討書の内容について、
外部有識者からご意見を頂いて反映。
・第1回:2016年10月13日
> 事前掘削作業の環境影響検討書について
> 環境モニタリングの計画について
・第2回:2017年2月22日(予定)
> ガス生産実験の環境影響検討書について
> 海域環境調査の結果について
平成29年度の実施内容
1. 環境リスクの分析と対策の検討
・海域環境調査や環境モニタリング結果をもとにした各種シミュレーションの見直し
・生態系モデルによる季節毎の再現計算結果の比較と海域環境調査結果等をもとにした見直し
2.環境モニタリング技術の開発
・環境モニタリングの継続
→ ROVによるメタン濃度の定期観測とシステムの中間確認
・環境モニタリングシステムの回収とデータ解析
→ 設置したシステムを回収し、データ解析に着手
3.海洋産出試験における環境影響評価
・第2回試験に係る海域環境調査の継続実施
→ ガス生産実験に伴う周辺環境の変化の確認
・第2回試験作業に係る影響検討結果の検証と見直し
・環境有識者会議の実施