1 .はじめに
塗装の重要な目的は,被塗物を美しく見せる「美装」と, 被塗物がその置かれた環境の下で長期にわたり機能を維持で きるように「保護」することである。特に,鋼構造物に対し て塗装を施すことにより様々な因子から腐食を防ぐことは, 最もポピュラーな防食方法として位置付けられている。さら に他の防食方法,例えば亜鉛めっきや電気防食と併用するこ とにより,それらの持つ機能を一層高めることができる場合 もある。 塗料の組成の中で塗膜となる主な構成成分はバインダーと なる樹脂と顔料であり,基本的な性能はこの両者の選択によ る。中でも特に用いられる樹脂によって,その塗料の特徴が 決定付けられる。鋼構造物を腐食環境から護るためには,多 くの場合いろいろな特徴を持つ塗料を組み合わせ,複層の塗 膜を形成して用いる。例えば,犠牲防食作用を持つ防錆顔料 として亜鉛末を用いたジンクリッチペイントを最下層の防食 層として用い,中間層として耐久性のよいエポキシ樹脂塗料 を,最上層には耐候性に非常に優れるフッ素樹脂塗料を用い るといった例が上げられる。このような塗料の組み合わせを 塗装系あるいは塗装システムという。 日本における塗料に関する規格としては,JIS K 5600 シ リーズ,いわゆる塗料 JIS と呼ばれる規格がある。この規格 では塗料に関する一般試験方法と「JIS K 5659 鋼構造物用耐 候性塗料」などのように個別塗料の品質を定める製品規格が ある。しかしながら被塗物を絞ってそれに適用する塗装シス テムを規定したものはない。被塗物を維持 ・ 管理する各官公 庁,公社や民間では,それぞれ独自に各用途に適した塗装シ ステムに関する規格を定め,運用している場合が多い。例え ば,構造物の防食に関しては「鋼道路橋塗装・防食便覧(㈳ 日本道路協会編,平成 17 年 12 月)」が広く使用されている。 国際規格では鋼構造物の塗装による防食に関して例えば ISO 規格が制定されており,これは海外ではもっとも活用さ れている規格であるといわれている。2 .防食塗装システムに関する国際規格
国際標準として最も一般的な ISO 規格には鋼構造物の防 食塗装システムを定めた ISO 12944 シリーズがある。これは, 日本塗料工業会を事務局として日本も参加した ISO/TC35/ SC14 委員会での審議を経て 1988 年に初版が制定されたもの であり1)∼4),一部は 2007 年に改定されている。最近では海 外に展開する鋼構造物の建設に際してこの規格に関する案件 が増加するなど,益々その有用性が注目されてきている。さ らに,厳しい腐食環境である海洋鋼構造物に関する塗装シス テムの国際規格として ISO 20340 や NACE SP0108 がある5)。 本稿ではこれらの規格の概要について紹介する(表 1)。3 .ISO 12944 防食塗装システムによる鋼構造物の
腐食防食
(Paint & varnishes - Corrosion protection of steel
structures by protective paint systems)
ISO 12944 は,塗料メーカー,設計エンジニア,顧客,塗 装業者を対象に,鋼構造物に対する防食塗料および防食塗装 システムを選定するための要領について紹介している。1987 年の ISO/TC35(塗料およびワニス)ブタペスト会議にて「鋼 構造物に対する防食塗装システム」という分科会を設立する ことが決議されたことを皮切りに,1990 年ロッテルダム会 議における SC14 分科会の設立,1991 年オスローにおける第 1 回の会議への日本の初参加を経て,1998 年に制定に至った。 本規格は「ISO 12944 シリーズ」と称しているように,全部 で Part 1 から Part 8 まで次の 8 つの部分から成り立っている。 ・Part 1: General introduction
・Part 2: Classification of environments ・Part 3: Design considerations
・Part 4: Types of surface and surface preparation ・Part 5: Protective paint systems
防食塗装システムにおける国際規格の動向
為 信一郎
a,青木 隆一
a,田邉 弘往
ba大日本塗料㈱ 技術開発部門 研究部(〒 324︲8516 栃木県大田原市下石上 1382︲12) b 大日本塗料㈱ 技術開発部門(〒 144︲0052 東京都大田区蒲田 5︲13︲23)
The Trend of the International Standards in Corrosion Protective Paint Systems
Shinichiro TAME
a, Ryuichi AOKI
aand Hiroyuki TANABE
ba Research Debelopment Department, Technical Development Devision Dai Nippon Toryo Co., Ltd.(1382-12, Shimoisigami, Ohtawara-shi, Tochigi 324-8516)
b Technical Development Devision, Dai Nippon Toryo Co., Ltd.(5-13-23, Kamata, Ota-ku, Tokyo 144-0052) Keywords : Corrosion Protection, Protective Paint System, Steel Structures, ISO, NACE
解 説
・Part 6: Laboratory performance test methods ・Part 7: Execution and supervision of paint work
・ Part 8: Development of specifications for new work and maintenance
3.1 ISO 12944 - Part 1: 総論(General introduction)
この Part 1 では ISO 12944 の導入として規格の適用範囲や 定義,要求事項などについて記載されている。 適用範囲は「防食塗装システムによる鋼構造物の腐食防食」 であり,「微生物(海洋付着物,バクテリア,付着物,他)」,「化 学物質(酸,アルカリ,有機溶剤,ガス,他)」,「機械的作用 (侵食,他)」,「火」などに対する保護は対象外と明確にして いる。 適用する分野は「構造物の種類」,「表面調整の種類」,「環 境の種類」,「防食塗装システムの種類」,「塗装作業の種類」, 「塗装システムの耐久性」であり,とくに「環境の種類」と「塗 装システムの耐久性」を規定していることはこの規格の特徴 である。 各々の分野の適用範囲は以下の通りである。 ・構造物の種類: 厚さ 3 mm 以上の炭素鋼または低合金鋼とし,鋼材で補強 されたコンクリート構造物は適用外 ・表面調整の種類: 「コーティングされていない面」,「亜鉛,アルミニウムあ るいはそれらの合金の溶射面」,「溶融亜鉛めっき面」,「電気 亜鉛めっき面」,「シュラダイジング面」,「プレファブリケー ションプライマーが塗装された面」,「その他の塗装面」 ・環境の種類: 大気環境について 6 分類,水中もしくは土中埋設環境では 3 分類 ・防食塗装システムの種類: 大気条件下で乾燥・硬化する塗料としており,「粉体塗料」, 「焼付け塗料」,「熱硬化塗料」,「乾燥膜厚が 2 mm 以上の塗料」, 「タンクのライニング」,「化成処理(リン酸塩処理など)」は 除外 ・塗装作業の種類: 「新設」および「塗り替え」 ・塗装システムの耐久性:
期待耐用年数(原文 The expected life)を最初の主な補修塗 装までの期間とし, ・low(L) 2 ~ 5 年 ・medium(M) 5 ~ 15 年 ・high(H) 15 年以上 の 3 分類。ただし,この期待耐用年数は「保証期間ではない」, 「保証期間は,大抵期待耐用年数より短い」,「この 2 つに関 連性はない」としている6)。 3.2 ISO 12944 - Part 2: 環境分類 (Classification of environments) 塗装システムによる鋼構造物の防食を考えた場合,その腐 食環境を考慮しなければならないことは言うまでもない。 Part 2 では,腐食環境の分類を定めている。この Part の適用 範囲では「鋼構造物が置かれている基本的な環境の分類およ びそれらの腐食性について扱う」としている。また「ISO 12944 では,特別な大気(例えば化学プラントや冶金プラン ト周辺)に分類される環境には対応していない」としている。 腐食環境として「大気腐食」と「水中および土中埋設腐食」 の大きく 2 つ分けて規定を行っている。 腐食カテゴリーの分類(抜粋)を表 2,表 3 に示す7)。「大 気腐食」では腐食性を ISO 9223 のカテゴリーに従った 5 分 類(C1 ~ C5)を基本とし,さらに C5 を工業地域と海洋地域 の 2 分類に分け,次の 6 カテゴリーに分類している。 ・C1:極めて低い ・C2:低い ・C3:中程度 ・C4:高い ・C5-I:極めて高い(工業) ・C5-M:極めて高い(海洋) この分類方法は単純にその環境を記述しているのではなく, 低炭素鋼および亜鉛の初期 1 年間の消耗量によって規定され ている。具体的な使用環境は「例」として記載されており,「実 環境で曝露試験が実施できない場合は環境例によって推測で きる」としている。 また,「水中および土中埋設腐食」については,「腐食性を 定めるのは困難」ながらも Im 1 ~ Im 3 の 3 カテゴリーに分 類している7)。 規格
特徴 ISO 12944 ISO 20340 NACE SP0108
適用範囲 ・防食塗料による鋼構造物の防食 ・塗装系の防食機能 ・塗装現場の特徴づけ ・構造物のタイプ ・表面及び素地調整のタイプ ・環境のタイプ ・防食塗装システムのタイプ ・作業のタイプ ・塗装システムの耐久性 ・海洋構造物及びその関連構造物の防食塗装 システム ・腐食カテゴリー:C5-M,浸漬カテゴリー: Im 2,温度範囲:- 20 ~ 80 ℃ ・没水部の塗装系周囲の温度:最大 50 ℃(目 標) ・石油及びガス産業における海洋構造物の防 食塗装に関する必要最低条件のガイドライ ンを与える。 ・大気部,飛沫帯,外側の浸漬部,バラスト ウォータータンク ・大気部の海洋構造物で,化学タンクの外部 保護を含む 使用環境 (腐食カテゴリー) ・ 大 気 部( カ テ ゴ リ ー:C1,C2,C3,C4, C5-I,C5-M) ・水中および土中埋設(カテゴリー:Im 1, Im 2,Im 3) ・海洋大気部(カテゴリー:C5-M) ・海洋浸漬(カテゴリー:Im-2) ・干満帯・飛沫帯(カテゴリー:C5-M + Im-2) ・大気部 ・飛沫帯 ・外部の浸漬部 ・バラストウォータータンク その他の防食工法 の記載 なし なし アルミ溶射,シーラント,ペトロラタム工法,ワックステープなど 塗装系の記載 あり なし あり 性能試験 あり あり あり 表 1 各国際規格の特徴6)∼13),15),16)
防食塗装システムにおける国際規格の動向 3.3 ISO 12944 - Part3: 設計上の考慮事項 (Design considerations) この Part の適用範囲は「防食塗装システムによって塗装 される鋼構造物の基本的な基準を扱う」となっている。詳細 は「5 防食を目的とした基本的な設計基準」に「手入れのし 易さ(Accessibility)」,「隙間の取り扱い」,「沈殿物や水の滞 留を防止するための注意事項」,「エッジ部」,「溶接部の欠陥」, 「ボルト結合部分」,「ボックス構造部および凹部」,「切り込み」, 「補強材」,「電解腐食の防止」,「取り扱い,輸送,組み立て」 の 11 項目について述べられている8)。 3.4 ISO 12944 - Part 4: 表面の種類と表面処理 (Types of surface and surface preparation)
塗装にとって表面処理は重要である。いくら高性能な塗料 を用いてもそれに適した表面処理が施されなかった場合には, 本来の性能が発揮し得ない。 この Part では,表面処理の方法として,「水,溶剤及び化 学的処理」と「機械的処理」の 2 つに分け,前者では「水洗」, 「蒸気洗浄」,「エマルション洗浄」,「アルカリ洗浄」,「溶剤 洗浄」,「化成処理」,「(アルカリ)脱膜」,「酸洗」が,また後 者については「手工具処理」,「電動工具処理」,「ブラスト処 理」,「火炎洗浄」を挙げている。 表面処理のグレードとしては「全面処理」と塗り替えなど で旧塗膜を残した「部分処理」に分けている。「全面処理」 は Sa,St,Fl,Be が,「部分処理」は PSa,PSt,PMa と分 類し,Annex として表にまとめられている。「全面処理」は 基本的には日本でも馴染みのある ISO 8501-1 に従っている。 一例を表 4 に示す9)。 腐食 カテゴリー 単位面積当たりの重量損失/減耗量(曝露初年度) 温暖な気候における環境の例 低炭素鋼 亜鉛 屋外 屋内 重量損失 g/m2 減耗μm 重量損失g/m2 減耗μm C1 very low ≪ 10 ≪ 1.3 ≪ 1.7 ≪ 0.1 - (例:事務所,店,学校,ホテル)清浄な環境の保温された建物 C2 low >10 ~ 200 >1.3 ~ 25 >0.7 ~ 5 >0.1 ~ 0.7 低汚染雰囲気,農村地域 (例:倉庫,体育館)結露が生じる保温のない建物 C3 medium >200 ~ 400 >25 ~ 50 >5 ~ 25 >0.7 ~ 2.1 都市及び工業の雰囲気,中程度の 二酸化汚染雰囲気,低塩分濃度の 海岸 高湿度でやや空気汚染のある生産 設備(例:食品加工工場,洗工場, 醸造所,搾乳場) C4 high >400 ~ 650 >50 ~ 80 >15 ~ 30 >2.1 ~ 4.2 工業地域及び中塩分濃度の海岸 化学工場,スイミングプール,海岸の乗船場 C5-I(工業) very high >650 ~ 1500 >80 ~ 200 >30 ~ 60 >4.2 ~ 8.4 高湿度且つ腐食の激しい工業地域 建物または結露状態の高汚染領域 C5-M(海洋) very high >650 ~ 1500 >80 ~ 200 >30 ~ 60 >4.2 ~ 8.4 高塩分濃度の海岸及び海洋構造物 ビルまたは結露状態の高汚染領域 表 2 ISO 12944-2における大気腐食カテゴリーおよび環境例7) 浸漬 カテゴリー 環境 環境及び構造物の例 Im1 淡水浸漬 河川設備,水力発電所 Im2 海水または汽水浸漬 水門,堰堤,桟橋のような構造物のある港領域,海洋構造物 Im3 土中埋設 埋設タンク,鉄杭,鉄製配管 表 3 ISO 12944-2 における水中及び土中埋設環境の腐食カテゴリー例7) 標準調整 グレード 素地調整方法 ISO 8501-1 の見本写真に記載の処理グレード※ 1 素地調整に必要な特徴(より詳細な素地調整の方法,ISO 8501-1 参照) 適用分野 Sa 1 ブラスト処理 B Sa 1 C Sa 1 D Sa 1 除去できそうなミルスケール,さび,塗膜,異物を除去する a) 塗装されていない鋼面の素地調整 b) 記述されている調整グレードに達す るまで塗膜を除去する場合の,塗装 された表面の素地調整 Sa 2 B Sa 2C Sa 2 D Sa 2 大部分のミルスケール,さび,塗膜,異物を除外する。残っ ている汚染物質はしっかり付着していること。 Sa 2 1/2 A Sa 2 1/2 B Sa 2 1/2 C Sa 2 1/2 D Sa 2 1/2 ミルスケール,さび,塗膜,異物を除去する。残っている汚 染物質は,スポットや縞のような形でわずかに汚れがある程 度にする。 Sa 3 A Sa 3 B Sa 3 C Sa 3 D Sa 3 ミルスケール,さび,塗膜,異物を除去する。表面は金属色 がでている。 St 2 手動処理,または 動力工具処理 B St 2 C St 2 D St 2 除去できそうなミルスケール,さび,塗膜,異物は除去する。 St 3 B St 3C St 3 D St 3 除去できそうなミルスケール,さび,塗膜,異物は除去する。 しかし,表面は St 2 よりも念入りな素地調整が必要であり, 金属から光沢がでていることが条件である。 Fl 火炎処理 A Fl B Fl C Fl D Fl 除去できそうなミルスケール,さび,塗膜,異物は除去する。 残っているかすは,表面の変色したものとする。 ※ 1 著者注:原表では調整グレード前の記号について「A,B,C,D は未塗装鋼材表面の初期状態を表す(ISO8501-1 参照)」との注釈がある。 表 4 ISO 12944-4 における表面処理の例9)
解 説
3.5 ISO 12944 - Part 5: 防食塗装システム (Protective paint systems)
この規格の中核をなすものの一つである塗装システムにつ いて記載されている。この Part 5 のみ,2007 年に改訂版が でている。この Part では,「塗料の種類」と「塗装系」およ び「防食塗装系表」が記載されている。 「塗料の種類」として各種塗料の記載があり,その中には「水 系塗料」も含まれている。また。日本では一般的となった「フッ 素樹脂塗料」は「2 液ポリウレタン樹脂塗料」の主剤の例の 中に「フッ素樹脂」の記載があり,ここに含まれている。 「塗装系」については,「塗装前処理」,「乾燥膜厚」,「耐久 性」等について記述がある。 「塗装系表」には,各種塗装系と 腐食環境,期待耐用年数 まとめられている。A1 ~ A8 迄の表があり,A1 が総括した 表となっている。A1,A7,A8 は複数の腐食環境に対して上 塗り塗料の樹脂タイプ別に配列されており,上塗り塗料の性 能を基本として塗装系を選択する場合や,腐食環境のカテゴ リーが良く分からない場合に便利にできている。また,A2 ~ A6 は特定の腐食カテゴリー別の表で,プライマーに用い る塗料に従って配列されており,腐食環境が分かっている場 合に便利にできている。適用する塗装系の例を表 5 に示す10)。 3.6 ISO 12944 - Part 6: 実験室における性能試験方法
(Laboratory performance test methods)
この Part では,実験室における防食塗装系の試験方法お よび条件について規定している。ただし,ここでの試験結果 は塗装系選択のための手段であり耐久性を決定するための正 確な情報ではないとしている。また Part 5 の塗料では塗料の 種類に水系塗料を含んでいるが,水系塗装システムのいくつ かについては,ここにある試験をそのまま適用することはで きないとしている。表 6 に鋼へ適用する塗装系の耐久性試験 方法の抜粋を示す11)。 3.7 ISO 12944 - Part 7: 塗装作業の実施と監督 (Execution and supervision of paint work)
この Part では,工場(workshop)あるいは現地における鋼 構造物に関する塗装作業の実施と監督について規定しており, 「塗装実施の前提条件」,表面処理などの「被塗物の条件」,「健 康・安全および環境保護」,保管条件などを記した「塗料」, プライマー 上塗り 塗装系合計 期待耐久性 表中で関連する塗装系 塗装系 No. 樹脂系 d タイプa 塗り回数 標準 膜厚 μm b 樹脂系 塗り回数 標準 膜厚 μm b C2 腐食性 low C3 medium highC4 C5-I very high (industry) C5-M very high
(marine) A.2 A.3 A.4 (I)A.5 (M)A.5
L M H L M H L M H L M H L M H
A1.15 EP 他 1-2 80 EP,PUR 2-3 120 A2.06 A3.07
A1.16 EP 他 1-2 80 EP,PUR 2-4 160 A2.07 A3.08
A1.17 EP,PUR,ESI Zn(R) 1 60 e EP,PUR 2-3 160 A3.11 A4.13
A1.18 EP 他 1-2 80 EP,PUR 3-5 200 A3.09
A1.19 EP,PUR,ESI Zn(R) 1 60 e EP,PUR 3-4 200 A4.14
A1.20 EP,PUR,ESI Zn(R) 1 60 e EP,PUR 3-4 240 A4.15 A5I.04 A5M.05
A1.21 EP 他 1-2 80 EP,PUR 3-5 280 A4.09
A1.22 EP,PUR 他 1 150 EP,PUR 2 300 A5I.03 A5M.01
A1.23 EP,PUR,ESI Zn(R) 1 60 e EP,PUR 3-4 320 A5I.05 A5M.06
A1.24 EP,PUR 他 1 80 EP,PUR 3-4 320 A5I.02 A5M.02
A1.25 EP,PUR 他 1 250 EP,PUR 2 500 A5M.04
A1.26 EP,PUR 他 1 400 - 1 400 A5M.03
A1.27 EPC 他 1 100 EPC 3 300 A5M.08
A1.28 EP,PUR Zn(R) 1 60 e EPC 3-4 400 A5M.07
a Zn(R)=ジンクリッチプライマー 5.2 参照 他=種々の防錆的顔料 b 標準膜厚 5.4 参照 d 上塗りを Tie coat として推奨 e 選ばれたジンクリッチプライマーによっては標準膜厚が 40 ~ 80 μm の範囲で変動してもよいことがある プライマー樹脂系 1 液 2 液 水性 上塗り樹脂系 1 液 2 液 水性 EP エポキシ ○ ○ EP エポキシ ○ ○ ESI エチルシリケート ○ ○ ○ PUR ポリウレタン ○ ○ ○ PUR ポリウレタン ○ ○ ○ EPC 変性エポキシ ○ 表 5 ISO 12944-5 腐食環境 C2,C3,C4,C5-I,C5-M に適用する塗装系の例10) ISO 12944-2 で 定義された 腐食カテゴリー 期待 耐用 年数 ISO 2812-1 (耐薬品性) h ISO 2812-2 (水浸漬) h ISO 6270 (結露) h ISO 7253 (塩水噴霧) h C2 ML H - - - - - - 48 48 120 - - - C3 ML H - - - - - - 48 120 240 120 240 480 C4 ML H - - - - - - 120 240 480 240 480 720 C5-I ML H 168 168 168 - - - 240 480 720 480 720 1,440 C5-M ML H - - - - - - 240 480 720 480 720 1,440 Im1 ML H - - - - 2,000 3,000 - 720 1,440 - - - Im2 ML H - - - - 2,000 3,000 - - - - 720 1,440 Im3 ML H - - - - 2,000 3,000 - - - - 720 1,440 表 6 ISO 12944-6 における鋼材に対する塗装系の試験方法11)
防食塗装システムにおける国際規格の動向 膜厚や塗装方法などを記した「塗装の実施」,「塗装管理」,「リ ファレンスエリア」の章からなる。 特に「リファレンスエリア」については留意が必要である。 リファレンスエリアは,最低限の受け入れられる基準を確立 するために,製造業者または請負業者によって与えられる データが正しいものかチェックするために,また塗膜の性能 が完成後いつでも評価できるようにするために使用する構造 物の適切な場所のことである。リファレンスエリアは通常は 保障の目的で用いるものではないが,当事者間で同意された 場合はこの目的で用いることができるとしている12)。 3.8 ISO 12944 - Part 8: 新設及び補修のための塗装仕様 の展開
(Development of specifications for new work and maintenance)
この Part は 12944 シリーズの Part 1 から Part 7 までの内容 を束ね,防食塗装システム全体で最も大きなボリュームと なっている。仕様として「プロジェクトの仕様」,「防食塗装 システム仕様」,「塗装作業仕様」,「検査・評価仕様」が挙げ られており,各々についてその内容がまとめられている13)。
4 .ISO 20340 Paint & varnishes - 海洋構造物に必要
とされる防食塗装システムの性能
(Performance requirements for protective Paint
systems for offshore and related structures)
ISO 12944 が鋼構造物一般の防食塗装システムについて詳 細に記述しているのに対し,ISO 20340 は海洋鋼構造物を対 象とした防食塗装システムを選定するためのラボ試験方法, 塗装システムの耐久性を評価するためのラボ試験方法および 評価基準が示されている14)。2009 年版が現状の最新版である。 この規格の対象とする腐食カテゴリーは,ISO 12944 - Part 2 に示す C5-M(海洋大気部),Im-2(海洋浸漬),およびこれら を組み合わさった C5-M+Im-2(飛末帯・干満帯)とし,それ ぞれに必要なラボ試験方法が記されてある。試験項目は海洋 大気部には耐エージング試験(紫外線照射,塩水噴霧および 寒熱繰り返しを含むサイクル試験),海洋浸漬部は海水浸漬 試験および耐電気防食性を念頭に置いた陰極剥離試験,飛沫 帯・干満帯についてはそれぞれの試験を要求している。塗装 系については適用環境別に,最小必要条件として,プライマー の種類・膜厚,総合膜厚および付着強度について規定してい る。表 7 に性能試験の概要を示す15)。また,この規格に沿っ た性能試験についての評価結果について報告されている事例 がある。5 .NACE SP0108 防食塗料による海洋構造物の腐食
防食
(Corrosion Control of Offshore Structures by
protective Coatings)
NACE(National Association of Corrosion Engineers International)の定めた海洋鋼構造物に対する規格で,2008 年 版が最新である。規格の適用範囲としては,石油およびガス 産業・取扱施設に関する海洋鋼構造物に対する防食塗装系の 最小限のガイドラインを与えるとなっている。 全体では 12 の章からなっている。ISO 12944 定めるよう な腐食カテゴリーの分類はないが,塗装システムについては 新設と塗り替えそれぞれについて別途に規定し,フランジ部 やパイプ支障部などの使用部分について一つの章を割り振る, あるいは使用部分別に塗装仕様を定めるなど,より実際的な 内容となっている。また,性能試験についても記載されてい るが,ISO 20340 とは異なった内容となっている。表 8 に NACE SP0108 における,大気部での鋼構造物新設塗装系の 例を示す16)。
6 .おわりに
防食塗料・塗装システムに関する国際規格を中心にその概 略について述べた。 ここで述べてきた国際規格は,先進工業国のみならず開発 途上国がその国の社会資本を整備しようとする際の有用な拠 り所として多用されるようになってきている。例えばオイル ・ ガスなどのエネルギー資源の確保はいずれの国においても 大きな問題であるが,それらの生産現場は陸上から沿岸へ, 沿岸から海上,さらには深海へと展開してきており,防食技 術の立場から見ると構造物の立地条件はより厳しい方向へと 向かっていると感じざるを得ない。これらへの対応を含め, グローバルな視点での確かな技術的展開のためには,国際的 に認められた規格は重要なアイテムとなる。 また国際規格が定められる背景には,従来からある国際的 にメジャーな操業会社等の塗装に関する仕様がそれぞれ多岐 に渡るため,国際規格という一つの目安が定まることは,そ れらに従事する当事者の負担を軽減することに貢献するとも 言われている。 本稿をまとめるに当たり,例えば ISO 12944 シリーズは塗 装に携わるものには非常に有用であり,また金属材料の腐食 量に従った腐食環境の分類などはもっと活用すべきものであ ると考える。グローバル化が進む中,特にここで紹介した防 食塗料・塗装系を扱う国際規格は益々その重要度を増してい 試 験 カットの付与 腐食環境C5-M 腐食環境 C5-Mと Im-2 組合せ (飛沫帯及び干満帯) 腐食環境 Im-2 耐エージング試験 *1 あり 4200 h 4200 h - 陰極剥離試験(ISO 15711:2003)*2 なし - 4200 h 4200 h 海水浸漬試験(ISO 2812-2) あり - 4200 h 4200 h*1 原文 Annex A に定める。[ISO 11507 による紫外線照射及び湿潤× 72 H]+[ISO 9227
による塩水噴霧× 72 H]+[- 20 ℃× 24 H]のサイクルテスト
*2 別段の合意がない限り A 法
解 説 く。本稿をきっかけとして,是非各規格の原文に触れ,詳し い内容を知って頂くことを切に願っている。 (Received February 6, 2013)
文 献
₁ )竹本 勲 ; 防錆管理, 38, 111(1994). ₂ )中尾義一 ; 表面技術, 46, 529(1995). ₃ )田邉弘往 ; 鋼橋塗装, 26, (1), 14(1998). ₄ )田邉弘往 ; 鋼橋塗装, 26, (3), 39(1998). ₅ )高瀬勝治 ; 防錆管理, 56, 70(2012). ₆ )ISO 12944-1(1998). ₇ )ISO 12944-2(1998). ₈ )ISO 12944-3(1998). ₉ )ISO 12944-4(1998). 10)ISO 12944-5(2007). 11)ISO 12944-6(1998). 12)ISO 12944-7(1998). 13)ISO 12944-8(1998). 14)高瀬勝治 ; 防錆管理, 56, 29(2012). 15)ISO 20340(2009). 16)NACE SP0108-2008仕様 No. 工程 塗装システム μm(mil)乾燥膜厚 目標乾燥膜厚μm(mil)
CN - 1 大気部 - 50 ~ 120 ℃ (- 58 ~ 248 °F) 断熱有/無 1 2 3 ジックリッチプライマー エポキシ ポリウレタン 50 - 75(2 - 3) 125 - 175(5 - 7) 50 - 75(2 - 3) 75(3) 125(5) 75(3) 1 2 3 エポキシ下塗 エポキシ ポリウレタン 125 - 175(5 - 7) 125 - 175(5 - 7) 50 - 75(2 - 3) 125(5) 125(5) 75(3) 1 2 3 アルミ溶射 封孔剤(エポキシ) シーラー(エポキシ) 250 - 375(10 - 15) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない 250(10) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない CN - 2 大気部 120 ~ 150 ℃ (248 ~ 302 °F) 断熱無 1 2 無機ジンクリッチプライマーアクリルシリコーン 50 - 75(2 - 3)25 - 50(1 - 2) 75(3)50(2) 1 2 3 アルミ溶射 封孔剤(アクリルシリコーン / フェノールエポキシ) シーラー(アクリルシリコーン / フェノールエポキシ) 250 - 375(10 - 15) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない 250(10) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない CN - 3 大気部 120 ~ 150 ℃ (248 ~ 302 °F) 断熱有 1 2 フェノールエポキシフェノールエポキシ 100 - 125(4 - 5)100 - 125(4 - 5) 125(5)125(5) 1 2 3 アルミ溶射 封孔剤(アクリルシリコーン / フェノールエポキシ) シーラー(アクリルシリコーン / フェノールエポキシ) 250 - 375(10 - 15) 乾燥膜厚に加えない(A) 乾燥膜厚に加えない(A) 250(10) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない CN - 4 大気部 150 ~ 450 ℃ (302 ~ 842 °F) 断熱有/無 1 2 3 アルミ溶射 薄いシーラー(エポキシ) シーラー(エポキシ) 250 - 375(10 - 15) 乾燥膜厚に加えない(A) 乾燥膜厚に加えない(A) 250(10) 乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない 1 2 3 無機ジンクリッチプライマー シリコーン シリコーン 50 - 75(2 - 3) 25 - 50(1 - 2) 25 - 50(1 - 2) 75(3) 50(2) 50(2) CN - 5 デッキ部と床- 通常の腐食環境 1 2 3 4 ジンクリッチプライマー ハイソリッドエポキシ 滑り防止エポキシ ポリウレタン 50 - 75(2 - 3) 125 - 175(5 - 7) 125 - 175(5 - 7) 50 - 75(2 - 3) 75(3) 125(5) 125(5) 75(3) 1 2 3 4 エポキシ下塗 ハイソリッドエポキシ 滑り防止エポキシ ポリウレタン 50 - 75(2 - 3) 125 - 175(5 - 7) 125 - 175(5 - 7) 50 - 75(2 - 3) 75(3) 125(5) 125(5) 75(3) 1 2 シーラー(ポリウレタン)アルミ溶射 乾燥膜厚に加えない250 - 375(10 - 15)(A) 乾燥膜厚に加えない250(10) 1 滑り防止厚膜型エポキシ ベンダーの指定 ベンダーの指定 CN - 6 デッキ部と床- 著しい腐食環境と ヘリデッキ 1 2 3 4 ジンクリッチプライマー ハイソリッドエポキシ 滑り防止エポキシ 安全性の高いポリウレタン 50 - 75(2 - 3) 200 - 300(8 - 12) 200 - 300(8 - 12) 50 - 75(2 - 3) 75(3) 250(10) 250(10) 75(3) 1 2 3 4 エポキシ下塗 ハイソリッドエポキシ 滑り防止エポキシ 安全性の高いポリウレタン 125 - 175(5 - 7) 200 - 300(8 - 12) 200 - 300(8 - 12) 50 - 75(2 - 3) 125(5) 250(10) 250(10) 75(3) 1 2 アルミ/酸化アルミ合金溶射シーラー(ポリウレタン) 300 - 400(12 - 16)乾燥膜厚に加えない 乾燥膜厚に加えない300(12) 1 滑り防止厚膜型エポキシ ベンダーの指定 ベンダーの指定 表 8 NACE SP0108 における大気部での鋼構造物新設塗装系の例16)