矮新星
矮新星
矮新星
矮新星 QZ Vir, IY UMa 及
及
及
及び
び
び
び AY Lyr の
の
の
の
2009 年
年
年
年 superoutburst 期
期
期における
期
における
における
における連続
連続
連続
連続測光観測
測光観測
測光観測
測光観測
今村 和義 ([email protected])* *岡山理科大学大学院 総合情報研究科 生物地球システム専攻 田辺研究室1.
Introduction
矮新星とは激変星の一種で、白色矮星(主星)と赤色矮星(伴星)から成る近接連星系 である。伴星から主星への質量降着により、降着円盤が形成され、その熱不安定のために、 突発的な増光(アウトバースト)が繰り返し引き起こされる。そのうち SU UMa 型矮新星は ノーマルアウトバーストとともに、潮汐不安定のためにスーパーアウトバーストという別の 増光を起こす。スーパーアウトバースト中の光度曲線には、軌道周期より数パーセント長い スーパーハンプと呼ばれる 2 時間程度の周期的な変動が見られる。また一般的な SU UMa 型 矮新星のスーパーハンプ周期は増光期間中に減少していくことが知られている。QZ Vir, IY UMa 及び AY Lyr はいずれも SU UMa 型矮新星である(Lemm et al., 1993,
Patterson et al., 2000, Patterson, 1979)。QZ Vir は静穏時が約 15 等の天体で、1865 年に約 10 等
で発見された(Peters, 1865)。また数年前までは T Leo と呼ばれていた。IY UMa は静穏時が 約 18 等の天体で、1997 年に約 13 等で発見された(Takamizawa, 1998)。また 2000 年の増光 においてスーパーハンプと深い食が発見された(Uemura et al., 2000)。AY Lyr は静穏時が約
18 等の天体で、1929 年に発見された(Hoffmeister, 1929)。 本稿ではこれら 3 つの天体の 2009 年スーパーアウトバースト期における観測結果、ス ーパーハンプの周期解析や周期変化について報告する。
2.
Observations
観測は岡山理科大学田辺研究室天文台 にて行った(Fig. 2-1)。望遠鏡は Celestron C9 (D=23.5cm, F6.3)、CCD カメラは SBIG 社製 ST-7XE を用いた。赤道儀はタカハシ EM-200, Temma2 である。屋上の天文台はすぐ下の階の 制御室からほとんどの操作(CCD 制御、赤道 儀制御、フォーカス制御)を遠隔で行うことが できるように改良されている。 またファイン ダーには導入用にビデオカメラが取り付けら れている(視野角およそ 9.6 度)。 観測ログは Table2-1 に示す。QZ Vir は2009 年 1 月 21 日に 11.0 等 (P. Schmeer)で増光が発見され、アラート(T. Ohsima: vsnet-alert 10964)が出された。IY UMa は 2009 年 4 月 12 日に 14.0 等 (W. Kriebel )で増光が発見され、ア
ラート(T. Kato: vsnet-alert 11181)が出された。AY Lyr は 2009 年 5 月 10 日に 12.9 等 (Y. Maeda) で増光が発見され、アラート(Y. Maeda: vsnet-alert 11241)が出された。我々の観測はいずれも
VSNET (Variable Star Network) の報告に基づき行っている。
測光手法は Aperture Photometry による差測光である。測光ソフトは AIP4Win を用い た。フラットフィールドは 10 枚を正規化し、ダークフレームは 10 枚を median combine し たものをマスターフレームとしてデータ処理に用いている。 フラットフィールドは薄明 時に撮影し、筒上部にデフューザーを乗せ、光をほぼ均一に取り込めるようにしている。 カウント値は 30,000~40,000 で落ち着くように撮影した。
3.
Results
3-1 QZ Vir 3-1-1 Light curves 我々が観測した期間における全ての光度曲線を Fig.3-1 に示す。 Fig.3-2 は日ごと の光度曲線、Fig.3-3 は位相で平均した日ごとの光度曲線である。観測した光度曲線中に はいずれも明瞭なスーパーハンプが見られた。2 月 1 日にはスーパーハンプに加えて、 細かな振動を検出した。2 月 14 日には急激な減光が見られ、また振幅は増大しているこ とがわかる。 * Number of exposureTable 2-1. Log of the observations
Object
Exp. Time
N*
Filter
QZ Vir
2009
January
27.699
-
27.855
10s
844
Clear
28.677
-
28.855
10s
836
Clear
February
1.605
-
1.856
10s
1379
Clear
2.621
-
2.848
15s
792
Clear
4.620
-
4.850
30s
475
Clear
IY UMa
2009
April
17.448
-
17.644
30s
472
Clear
18.457
-
18.642
30s
434
Clear
19.468
-
19.640
30s
372
Clear
21.436
-
21.633
40s
307
Clear
22.439
-
22.630
40s
332
Clear
23.488
-
23.751
40s
440
Clear
AY Lyr
2009
May
11.541
-
11.728
30s
343
Clear
13.559
-
13.771
30s
427
Clear
14.586
-
14.805
30s
400
Clear
18.562
-
18.763
30s
363
Clear
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 58 60 62 64 66 68 HJD[-2454800] ⊿ m a g
Fig. 3-2: Daily light curves of the 2009 superoutburst. Fig. 3-3: Phase-averaged light curve of daily superhump. Fig. 3-1: Long-term light curve of QZ Vir (2009.01.27~02.04)
0 0.5 1 1.5 2 2.5 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 fraction of HJD re la ti v e m ag n it u d e 1/27 1/28 2/1 2/2 2/4 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 phase re la ti v e m a g n it u d e 1/27 1/28 2/1 2/2 2/4
3-1-2 Superhump period
スーパーハンプの周期解析は PDM
(Phase Dispersion Minimization)法を用い た。2009 年 1 月 27 日~28 日の期間にお けるスーパーハンプ周期は 87.24(10)分で あった。今回 2 月 1 日以降のデータを含 めて解析すると、適切な周期が得られな かった。Fig.3-6 は PDM の出力結果であ る。横軸は period (day)、縦軸は theta とな っている。 3-1-3 O-C diagram スーパーハンプの極大の予報式は、観測した極大時刻を最小二乗法によってフィ ッティングし HJD(max) – 2454800 = 0.0606(1)×E + 59.2538(92)・・・(1) となった。さらに(1)式より O-C 図を作成 すると Fig. 3-5 のようになった。今回、QZ Vir は増光の発見から 6 日後に観測を始め た。そのため周期変化率を求めるための 2 次曲線のフィッティングは行っていない。 3-2 IY UMa 3-2-1 Light curves 我々が観測した全ての光 度曲線を Fig. 3-6 に示す。Fig. 3-7 は日ごとの光度曲線である。 観測した光度曲線中にはいず れも明瞭なスーパーハンプと 深い食が見られた。今回、光度 曲線中にはスーパーハンプと 食の二つの情報が含まれるの で、位相で平均したグラフは作 成していない。 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1 period (day) th et a
P
sh=0.06058(7) d
Fig. 3-4: θdiagram resulted from PDM analysis. QZ Vir (2009.01.27~01.28).
Fig. 3-6: Long-term light curve of IY UMa (2009.04.15~04.28) Fig. 3-5: The O-C diagram for superhump of QZ Vir.
-0.04 -0.03 -0.02 -0.01 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 cycle count (E)
O -C ( d a y ) 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 38 39 40 41 42 43 44 45 46 HJD[-2454900] ⊿m a g
3-2-2 Superhump period 2009 年 4 月 15 日~28 日の期間におけるスーパーハンプ周期は 109.60(2)分であっ た。Fig. 3-8 は PDM の出力の結果である。 3-2-3 O-C diagram スーパーハンプの極大の予報式は観測した極大時刻を最小二乗法によってフィッ ティングし HJD(max) – 2454900 = 0.07607(3) × E + 38.98336(167)・・・(2) となった。さらに(2)式より O–C 図を作成すると Fig. 3-9 のようになった。これに 2 次曲 線をフィットさせると O – C = –3.5(1.5)×10-6 E2 + 3.0(1.2)×10-4 E – 2.7(1.8)×10-3・・・(3) となった。(3)式を時間微分し、周期変化率 Pdotを求めると Pdot = – 9.2(3.9)×10 -5 [cycle count-1 ]・・・(4) となった。(4)式より Pdotは負であり、スーパーハンプ周期が減少傾向であることを示し ている。
Fig. 3-7: Daily light curves of the 2009 superoutburst.
0.6 0.7 0.8 0.9 1 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1 period (day) th e ta
P
sh=0.07611(1) d
Fig. 3-9: The O-C diagram for superhump of IY UMa. Fig. 3-8: θdiagram resulted from PDM analysis.
IY UMa (2009.04.17~04.23). 1 2 3 4 5 6 7 8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 fraction of HJD re la ti v e m a g n it u d e 4/17 4/18 4/19 4/21 4/22 4/23 -0.010 -0.008 -0.006 -0.004 -0.002 0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
cycle count (E)
O -C ( d a y )
3-3 AY Lyr 3-3-1 Light curves 我々が観測した全ての光 度曲線を Fig. 3-10 に示す。Fig. 3-11 は日ごとの光度曲線である。 観測した光度曲線中にはいずれ も明瞭なスーパーハンプが見ら れた。Fig. 3-12 は位相で平均した 日ごとの光度曲線である。 3-3-2 Superhump period 2009 年 5 月 11 日~18 日の期間におけるスーパーハンプ周期は 109.64(8)分であっ た。Fig. 3-13 は PDM の出力の結果である。
Fig. 3-10: Long-term light curve of AY Lyr (2009.05.11~05.18) 1.9 2.1 2.3 2.5 2.7 2.9 3.1 3.3 62.0 64.0 66.0 68.0 70.0 HJD [-2454900] ⊿m ag
Fig. 3-12: Phase-averaged light curve of daily superhump. Fig. 3-11: Daily light curves of the 2009 superoutburst.
2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 2.8 2.9 3.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 phase re la ti v e m ag n it u d e 5/11 5/13 5/14 5/18 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 fraction of HJD re la ti v e m ag n it u d e 5/11 5/13 5/14 5/18
3-3-3 O-C diagram スーパーハンプの極大の予報式は観測した極大時刻を最小二乗法によってフィッ ティングし HJD(max) – 2454900 = 0.0758(1) × E + 63.1179(23)・・・(5) となった。さらに(5)式より O-C 図を作成すると Fig. 3-14 のようになった。これに 2 次 曲線をフィットさせると O – C = – 3.8(0.4)×10-6 E2 + 3.5(0.4)×10-4 E – 4.5(0.7)×10-3・・・(6) となった。(6)式を時間微分し、周期変化率 Pdotを求めると Pdot = -10.0(1.1)×10 -5 [cycle count-1 ]・・・(7) となった。(7)式より Pdotは負であり、スーパーハンプ周期が減少傾向であることを示し ている。
4.
Summary
今回我々が観測・解析したスーパーハンプ周期と周期変化率 Pdotを Table 4-1 にまとめた。 QZ Vir は増光の発見から 6 日後の観測であったため、アウトバースト後半の観測であっ たと考えられる。そのためスーパーハンプが late superhump に移行している可能性があり、今 回 Pdotは求めなかった。また 2009 年より以前のアウトバーストでは Pdotは正であることが知 られている(Kato et al., 2009)。 IY UMa はスーパーハンプ周期とは別に、食から軌道周期 106.81(22)分という結果も得 -0.006 -0.004 -0.002 0 0.002 0.004 0.006 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100cycle count (E)
O -C ( d a y )
Fig. 3-13: θdiagram resulted from PDM analysis. AY Lyr (2009.05.11~05.18).
Fig. 3-14: The O-C diagram for superhump of AY Lyr.
Table 2-1. The summary of the results
0.6 0.7 0.8 0.9 1 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1 period (day) th e ta
P
sh=0.07614(6) d
Object Psh (day) Psh (min) Pdot*
QZ Vir 0.06058(7) 87.24(10) -IY UMa 0.07611(1) 109.60(2) -9.2(3.9)
AY Lyr 0.07614(6) 109.64(8) -10.0(1.1) *Unit 10-5
た。これよりスーパーハンプ周期は軌道周期より 2.5%長いことが分かった。今回 Pdotは負を
示し、2000 年のアウトバーストでも Pdotは負であったことが分かっている(Patterson et al.,
2000)。しかし 2002 年以降のアウトバーストでは、Pdotは正と報告されている(Kato et al., 2009)。
AY Lyr は過去 4 回のスーパーアウトバーストにおいて(1977, 1987, 1994, 2008 年)、連
続測光観測がされているが(Patterson., 1979, Udalski et al., 1988, Nogami et al., 1994, Kato et al.,
2009)、その内のいずれも、正確な Pdotが求められていない。しかし今回我々は Pdotを相対誤
差 11%で求め、Pdotが負になることを明らかにした。
周期変化率 Pdotが正か負になるかを知るには、観測されたデータがアウトバーストのど
のステージなのかを考える必要がある。本稿では我々の観測データだけで解析を行っている。 アウトバースト全体を通して、どのステージに対応するのかまで考慮に入れていない。その ため我々が求めた IY UMa と AY Lyr の Pdotは擬似的に負を示した可能性も捨て切れない。今
後は他の観測データを含め、解析することが課題である。
5.
A
A
Acknowledgement
A
本研究に際して、様々なご指導を頂きました岡山理科大学教授 田邉健茲先生には心よ り御礼申し上げます。また日夜観測を共にした同研究室の國富菜々絵さん(M2)、國弘憲司さ ん(08 年度卒業生)、能勢樹葉さん(4 年生)に感謝致します。夏の学校で議論・交流させて頂い た皆様ありがとうございました。特に京都大学 M2 の大島誠人さんには、様々なご意見、ご 指摘を頂き感謝致します。6.
References
Hellier, C., 2001, Springer, Cataclysmic Variable Stars, ch.5-6 Hoffmeister, C., 1929, Sonn. Mitt., 16
Kato, T. et al., 2009, PASJ, 1-??
Lemm, K., Patterson, J., Thomas, G., Skillman, D., 1993, PASP, 105, 1120-1126 Nogami, D., Kunjaya, C., Kato, T., Hirata, R., 1994, IBVS, Number 4059 Patterson, J., 1979, AJ, 84, 804
Patterson, J. et al., 2000, PASP, 112, 1567-1583 Peters, C. H. F., 1865, Astron. Nach., 65, 55
Takamizawa, K., 1998, vsnet-obs circulation 18078 Udalski, A and Szymanski, M., 1988, AcA, 38, 215-223