平 成 2 1 年 度 事 業 報 告
はじめに 平成20年度に本格稼働した特例方式による不動産オンラインシステムは、平成21年 度には申請件数は増加したが、不具合等問題点が洗い出され、更に安定した登記制度構築 のための新たな模索の段階に入った。 登記オンラインシステムの普及に従いメーリングリストの登録会員も80%前後となり、 紙による情報の時代からIT化へ急激に変化してきていることを実感する。 インフルエンザの流行の影響で高等学校などへの消費者講座件数は減少したが、職業講 話など新たな取り組みを始めた。兵庫県司法書士会総合センター相談、日司連の法テラス の電話相談は持続し、8年目に入った神戸学院大学や4年目になる甲南大学など学術交流 も継続した。大阪大学を含め各大学との共同研究も参加会員の努力で成果が発表された。 阪神・淡路大震災から15年のシンポジウムはたくさんの方々に参加を頂き、社会の公 器としての司法書士制度をじっくり考える良い機会になった。 企画研究部の各種研究会は、地道な努力で、交通事故・労働問題・家事問題・消費者問 題など様々な分野を広げると共に、会員のスキルアップにつなげ、ADRは、弁護士関与 のない近司連の調停センターで行い、取り扱い実績数も増加を見せた。 相談事業部は精力的に各地のニーズを捉え、的確に対応すると共に、相談員の養成強化 にも力を入れたが、種々様々な市民の要請に応えるのは未だ難しい段階である。研修部は 既会員、新人、補助者など様々なメニューを用意し、特に新時代の相談に対応出来る研修 は何かを模索した。 また、組織のより効率的な運営を心がけるため、組織改善につき引き続き意見を聴取、 検討、整理した。 1.総務部 本年度は前年度の事業増加による部員の負担軽減のため、総務部を総務課と業務課の 2つに分け、部員を増員拡充して対応した。総務部の事業の内、会員の品位保持・執務 に関する指導及び連絡に関する事項並びに紛議の調停に関する事項等を業務課が担当し、 その他の事項を総務課が担当する事とした。 総務課においては、本年度は本会館が相談等で来館する市民が年間 1000 名程にもなり、 公的色彩を帯びた施設である事から、AEDの設置を検討して来たが、ようやく会館1 階に設置することができた。 また、権利擁護に関する事業を推進するため会則第3条(事業)の変更及び対外広報 委員会が市民事業部から独立する方針に伴う会則の変更等の検討、並びに懲戒事案の公 開に伴う情報公開に関する規則・施行細則の変更等の検討をおこなった。 業務課においては、本年度も毎週月曜日から金曜日の午後1時から5時まで、副会長・ 理事とともに市民からの苦情対応をおこなった。また、会員に対する指導書や注意勧告 処分書の作成、法務局からの調査依頼に対する報告書の作成をおこなった。本年度も苦 情・綱紀に関する事案が多く、その対応に終始することになった。(1)非司法書士対策委員会 本年度も法務省との協議が整わなかったためか、不動産登記・商業登記の登記所にお ける非司法書士調査は一切おこなわれなかった。 昨年度、当会会員から、兵庫県朝来市の行政書士が不動産登記及び商業登記の申請を 反復継続しておこなっているとの情報提供を受け、兵庫県行政書士会に対し当該事実の 有無について調査を依頼していたが、その回答が返ってきた。 その回答書によると、当該行政書士は当委員会が指摘した不動産登記申請代理をおこ なった事実を認め、当該会員を6カ月の会員の権利停止処分としたとのことであった。 また、当会及び関係各位に迷惑が及ぶことのないよう、兵庫県行政書士会としても会員 に対しコンプライアンス等に関する指導をしていくとのことであった。 2.経理部 本会会計処理については、一昨年から導入したインターネットバンクの更なる効率的な 運用のため、契約内容を見直し、効果的な利用促進をはかった。 会費納入手続が本会にて一元化されたため、資金状況の把握に努めるとともに各種管理 帳票の整備をおこなった。 また、各部・委員会等と協力してメール利用による会議資料の事前配信等会議運営の効 率化をはかるとともにペーパレス化を推進し、各種事業・会議の増加等に伴い、本会旅費 規程に定める会議旅費等の出金手続の見直しをおこなった。 3.企画研究部 (1)裁判実務研究会 部会ごとに研究テーマを定め研究活動をおこなった。研究成果は、報告書の発行、あ るいは研修部と連携して実施した実務研修会等において報告した。 ①消費者法研究部会 本年度の登録部会員は22名であり、今年度も圓山先生を隔月に講師として招聘し、 割賦販売法・特定商取引法の改正について講義いただきながら、消費者相談センターの 相談員と生の事例の情報交換や意見交換などを実施した。 圓山先生においでいただかない月は、主に研究部員の個別事例の発表と検討をおこな い、改正民法の研修会参加者からの伝達研修を実施した。 また、1月に本会にて発表された「改正貸金業法の早期完全施行を求める声明」の起案 をおこなった。 ②交通事故研究部会 本年度の第1回部会を平成21年7月13日に開催し、研究事業の方向性を協議した。 研究部員の構成も新たになったこともあり、基礎知識修得のため入門研究会として9月 から本年1月まで月1回の割合で開催することとした。 入門研究会テーマは、第1回責任論、第2回損害論、第3回過失相殺、第4回通勤災
害に於ける事件処理、第5回自動車保険について各テーマ担当者を決め研究をすすめた。 また、9月30日には、「交通事故電話110番(民事)」相談を神戸支部との共催で 実施した。 ③労働問題研究部会 今年度は、従来からの研究部員に新規加入部員4名を加えた合計16名で部会を構成 し、前年度に引き続き個別労働紛争に関する研究活動をおこなった。今年度は特に、実 務的な事例検討を中心として実施しており、部員が実際に扱った生の事案(①損害賠償 債権と賃金の相殺事例における未払賃金請求、②小規模小売業における残業代請求)の 検討を6月から9月にかけておこなった。また、11月には、毎年実施している労働ト ラブル110番を実施し、相談事例の検討をおこなった。さらに、3月には、事例検討 を中心とするグループディスカッション形式の研修を実施した。 上記に加え、今年度は、本会ホームページに労働問題のコンテンツを掲載するべく、 検討をおこなった。今後順次ホームページでの公開を予定している。 ④家事事件研究部会 当部会は、平成20年度の遺言及び遺言執行者の実務上の諸問題を中心として研究を 継続しながら、家事事件の相談員養成のための神戸支部の勉強会への実務アドバイザー としての出席をしてきた。 部会の出席者数は平均17名くらいで開催日や当日の研究テーマによってかなりの開 きがある。 部会員の問題提起が少なくなってきたので、平成21年9月からは研究テーマがあれ ばそれを取り上げることとしながら、遺産分割の問題、特に以前作成した『遺産分割の すべて』の記述について訂正を要する箇所や補充すべき事項について研究を重ね、その 補訂版の草稿が完成したので、『遺産分割のすべて』補訂版を小冊子として配布を予定し ている。 (2)不動産登記法研究会 ① 成年後見制度と登記実務 研究員の実務例を検討し、意見交換をおこなって問題点を整理している。長寿・高 齢化が一層進み、成年後見制度の利用者が登記実務においても増加しているため、事 例を集積したうえで、重要な研究テーマとして研究活動を継続する。 ② 第三者のためにする契約の問題(買主の地位の譲渡契約を含む)について 研究員が通達・実務例を説明し、問題点を検討する方法で研究を進めている。第三 者のためにする契約に基づく登記手続は、中間省略登記とは異なり通達でも認められ ているが、司法書士としては、契約内容を精査して慎重に対応する必要があるため、 次年度も調査研究を継続する。 ③ 日常業務問題について 当研究会は、会員からの個別案件も研究テーマとしており、日常業務問題の照会に
対応するため、照会票(問合せ用紙)を作成し、事務局に備え置いた。 ④ 本会ホームページのコンテンツの作成 不動産登記関連のコンテンツが不足しているとの指摘があり、研究員全員でQ&A を作成し、その掲載を依頼した。 ⑤ 講師派遣について 近司連新人研修会、支部研修会への講師派遣の依頼があり、当研究会の有志を講師 として派遣した。 (3)企業法務研究会 本研究会は、会社法、商業登記法等の会社に関わる法律実務等の研究をおこなって いるわけではなく、「企業と司法書士の関わり方」、言い換えれば「どうすれば司法書 士が企業から信頼され、そして企業に選択してもらえるのか」についての研究活動を 主におこなった。具体的には、 ① 講演企画、セミナー・研修会への講師派遣、相談員等の派遣 商工会議所等で開催されている会社法関連セミナーへの講師派遣、セミナーの企画 提案、相談員の派遣等、中小企業の経営者等に司法書士を身近に感じてもらえるよう 対外広報活動や支部研修会への講師派遣をおこなった。 ② 事業承継支援事業対応 各研究員は、中小企業基盤整備機構等が主催する事業承継実務家向けセミナー等に 積極的に参加して自己研鑽し、神戸商工会議所・ひょうご産業活性化センター等で開 催されている中小企業経営者向けの事業承継セミナー等での講演や相談員の派遣をお こなった。 ③ ホームページ(コンテンツ)の充実 司法書士へのアクセス拡充のため、会務IT化推進委員会と連携し、兵庫県司法書 士会のホームページに掲載する会社法、商業登記、企業法務に関する市民・企業向け のQ&Aの作成をおこなった。 ④ シリーズ会社法研究会の企画・運営 神戸学院大学の先生を講師に招き、10回シリーズで会社法に関する研修会を開催 し、会員の会社実体法への理解を深めていく企画運営をおこなった。 ⑤ 商業登記所集中化(80庁問題)への対応 商業・法人登記を扱う登記所が各都道府県に1~2ヶ所となることに伴う、中小企 業への影響およびその対策等を検討し、集中化実施後の登記事務への対応について協 議した。 ⑥ 一般社団・一般財団対応 一般社団・一般財団法の施行に伴い、既存の特例民法法人が一般社団(財団)法人 等にスムーズに移行するための問題点等の検討、司法書士の活用等の研究や研修会講 師の派遣をおこなった。 ⑦ 犯罪収益移転防止法対応 犯罪収益移転防止法、各司法書士会の会則改正等が商業・法人登記、企業法務等の 実務に与える影響を検証し、その問題点と対策等の研究をおこなっている。
(4)権利擁護研究会 今年度は、平成21年5月から7回の研究会を開催し、本年1月30日にはリー ガルサポート兵庫支部・市民事業部自殺対策委員会と連携して事例検討会(テー マ:精神疾患と対応)を企画開催した。 また、権利擁護に関する会員向け司法書士対応マニュアル作りの検討に着手した。 このマニュアルには、「高齢者の権利擁護」、「依存症」、「知的障がい、発達障がいと 子どもの権利擁護」、「DV」のテーマごとに部員担当を決め、それぞれ小委員会形式 にて素案作りをすすめた。 研究活動の一環として、知的障がい者である被告の刑事裁判の傍聴、触法障がい者 や虐待を受けた子どもたちが自給自足をめざしてともに暮らしている滋賀県の茗荷村 の視察をおこなった。 (5)倫理検討委員会 平成21年度事業計画に基づき、当委員会において本年度の事業活動として、「月報 司法書士」に掲載されている「日司連綱紀事案の公表」の中から、近時特に件数の増 加が見られる債務整理に関する綱紀事案を、「①報酬・説明義務」、「②不当広告・不当 誘致」、「③他者・補助者による業務取扱」、「④不適切な業務執行・業務の遅滞」の4 つの問題点について検討をおこなった。 (6)関係機関との実務対応に関する連携 簡裁訴訟代理業務の遂行に際し、昨年12月1日には各支部にも出席者を募り、 「司法書士代理業務に関する勉強会」を開催した。本勉強会では、訴状・準備書面 や各種書式上で留意すべき事項等について説明を受けるとともに相互の意見交換 をおこなった。また、民事調停制度の活用に関する事項を主な議題として2月に事 務連絡会を開催した。勉強会・連絡会の内容については、各位へ開催後に報告した ところである。なお、本年1月に個人再生申立の参考様式が神戸地裁破産係より示 されたこともあり、研修部と連携し、申立時の留意事項に関する研修会を企画した。 神戸地方法務局(不動産登記部門)においては、昨年3月末頃に県内の支局・出 張所に登記事項証明等の私書箱交付利用制度が創設されたこともあり、その運用方 法等について継続して協議をおこなった。また、オンライン申請による登記の登録 免許税特別控除の手続に関して、租税特別措置法第84条の5が改正されたが、その 取り扱い等について意見交換をおこなった。 4.研修部 (1)会員研修委員会 平成21年度の会員研修委員会では、予定していた研修が講師の都合によって年度 内に実施できなかった為、研修内容・開催時期が偏ってしまった感があった。今年度 はこの点を反省し、充実した研修の実施を期するのでご容赦願いたい。 また、主として研修の受講機会確保を目的として稼働させた「映像配信システム」
は、平成22年1月から近司連でも配信が開始したので大いに利用されたい。 ① 中央研修会 本年度の中央研修会は、報告資料のとおり、成年後見、消費者法関連の研修を実施 した。 ② 年次制研修 平成17年度から開始された全国統一の年次制研修会は、開催会場地の支部からの 運営協力を得て、5日程4会場にて実施した。 職業倫理の保持を目的とするこの研修は、5年に1度の受講義務が課せられており、 司法書士として国民の信頼と期待を高い次元で得るための貴重な研修となっている。 参加した会員からも、グループディスカッションは、他の司法書士の考え方を知る数 少ない機会だと評判が高かった。 ③ 実務研修会等 実務研修会及び裁判実務研修会については、報告資料のとおり実施した。開催日程・ 会場の都合もあり、神戸を中心に開催したが、可能な限り「映像配信システム」へ講 義内容を配信し、事務所等でも視聴受講できる環境を整えるよう努めた。 (2)新人研修委員会 本年度は、地元神戸の合格者数が37名であった。そのため、受講生の数は、前年 度の60名を大幅に下回り、第1回集合研修が36名、第2回集合研修が34名であ った。それに比し、新人研修委員は、前年度と同数を確保しており、その分受講生に とっては、第1回集合研修時のグループディスカッションや、第2回集合研修時の模 擬相談において、一人ひとりの発言率も上がり、より密度の濃い研修になったのでは ないかと思われる。 新人研修の手法は、前年度をそのまま踏襲し、都合2回の集合研修を行った。1回 目は、午前の部で組織の説明、自己紹介を行い、午後の部で、倫理・綱紀案件・司賠 責事例の講義を受けてもらい、これを踏まえて、少人数でのグループディスカッショ ンを行った。2回目は、受講生が司法書士役となり、新人研修委員が依頼者となって 6事例の模擬相談を行った。模擬相談は、実務カラーが強いこともあり、受講生の関 心は高く、その真剣さが伺えた。また、新人研修委員側の解説講義のレベルも非常に 高く、受講生が得るものは多かったと自負している。第1回集合研修終了後は、交流 会を開催した。多くの受講生に参加いただき、飲食をともにし、和やかな雰囲気を作 り出すことで、お互い本音の語らいができ、意識の共有も図れた。 配属研修の希望者は13名であった。昨年同様、3月中旬からの実施であり、大変 忙しい時期にもかかわらず、指導員各位のご理解、ご協力を賜り、希望者全員が配属 指導を受けることが出来た。 (3)補助者研修委員会 平成21年度の研修は、本年3月7日に執務上の留意すべき事項を重点テーマとし たカリキュラムで綱紀・懲戒事例を中心に講義いただいた。その他、補助者体験記と 外部講師による接客マナーに関する講義を実施した。
5.市民事業部 市民事業部は、市民に向けた法的サービスの提供と対外広報等、市民に対する事業を担 当する部門として、平成21年度は下記の事業を実施した。 (1)消費者講座・出前講座 平成21年度の高校・短大での消費者講座の実施校は報告資料の通り22件であっ た。また、職業講話(学校側が健全な職業観・勤労観の育成と職業選択のために実際 に職業人を招いて話を聞く機会を設けるもの)の実施校は5件であった。また、市民 向出前講座については12件であった。 消費者講座及び職業講話についての案内文を各学校に3度郵送した。また送付した 消費者講座案内が学校側担当者の目にとまるよう講座案内のチラシを作成し、案内文 に同封した。 本年度の消費者講座実施数の減少の原因は新型インフルエンザの流行により学校側 が本来の授業時間確保を優先したためと思われる。一方本年度から正式に取り組みを はじめた職業講話については案内文送付の結果、新規の学校から申込があり実施した。 11月に講師団の登録者増加・充実を目的として、県立明石高等学校教諭山中良秀 氏をお招きして講師団連絡会議を開催した。連絡会は、改訂版アンケート分析結果報 告とともに多くの会員から積極的に講師体験談を提供いただいたことで、会員講師間、 会員講師側と学校現場側ともに率直かつ具体的な情報・意見交換をおこなうことがで き、より充実した講座実施にむけて大変活発な議論がおこなわれた。講師団連絡会は、 各講師の体験や議論の結果を講師全員の共通の財産とすることのできる機会であり今 後も継続していきたい。 講師団メーリングリストにて、講師間の情報交換に加え、事前の講座実施案内ほか 消費者講座関連の教材、シンポジウムや研修の案内などの情報提供を随時おこなった。 特に県下全域の講座実施の事前案内は同行希望者に対するより多くの同行機会の提供 につながり、結果、講師をお引き受けくださる会員の増加につながった。 法教育とのかかわり方の検討については、司法書士法教育ネットワークの賛助団体 会員となるとともに、法教育を巡る現状について、法教育問題に詳しい近司連法教育 推進委員会委員長から説明をうけるなど情報収集を重ねた。今後とも司法書士として の法教育とのかかわり方や消費者講座との関連性について情報収集と検討を重ね、会 員に向けて情報提供していきたい。 消費者講座を通じて、高校生等に消費生活の基礎知識を提供すると共に司法書士の 存在もアピール出来るので、次年度は各高校・各種団体への広報方法も再検討し、さ らに充実を図りたい。 (2)対外広報活動 司法書士制度全般にわたる広報を継続的に展開し、かつ、事業活動広報に臨機応変 に対応するため、神戸新聞朝刊テレビ欄に休刊日を除き毎朝、広告(特殊雑報)を掲 載した。 事業活動広報については、随時、司法記者クラブにて説明をおこなうとともに、行
政機関等に対し記事の配信をおこなった。 また、阪神・淡路大震災から15年目にあたることから、本年1月16日に、当時 の混乱した状況下で立ち上げた相談活動を振り返り、今後のあるべき相談活動を考え るためのシンポジウムを開催した。 (3)大学との学術交流事業 ① 神戸学院大学 平成13年10月、当時の吉田博会長と田中良三広報部長等の尽力により、神戸学 院大学法学部と「神戸学院大学法学部と兵庫県司法書士会との学術交流協定」が締結 され、以降、当会の会員が客員教授として、神戸学院大学において講義をおこなって いる。 本年度の講義は、毎週金曜日に前期はポートアイランドキャンパスにおいて「法実 務専門講座」を、後期は有瀬キャンパスにおいて「法実務入門講座」をそれぞれ13 講義実施した。全講義終了後、レポート課題を課し、レポートの点数及び出席数を基 に履修成績をつけている。本年度は、前期約40名、後期約70名の履修者であった。 ② 甲南大学 甲南大学で司法書士の講義がはじまったのは、平成19年度からで、21年度は通 算3年目となった(来年度も継続して実施予定)。 講義の対象は、法学部2年生で「2年次特講」という名称になっており、憲民刑な どの必修科目の周辺科目で、学生が興味に応じて学ぶ自由選択科目という位置づけで ある。平成21年度の受講生は約20名、うち実際に参加するのは16、7名程であ った。講義の目的は、学生の卒業後のキャリアプランを考える上で、司法書士という 職業を知ってもらうことをメインに考えて構成しており、具体的には、同大学卒業の 4人の司法書士が1人3~4回の講義を実務の話を織り交ぜながらリレー形式で担当 した。 (4)自殺対策事業 平成21年度は、大阪会、群馬県会をはじめ全国数単位会で「自殺対策委員会」が設 置され、多くの単位会で各地の精神保健福祉センターなどのメディカルモデルとの連携 が構築されつつある。その意味では、徐々に「自殺総合対策」が浸透してきた。国立精 神・神経センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター主催の「全国自殺対策ネッ トワーク協議会」にも日本司法書士会連合会会長が構成委員として選任されている。ま た、厚生労働省の「精神保健と社会的取組の相談窓口の連携のための調査委託事業」に 連合会地域連携対策部自死ワーキングチームのメンバーが委嘱されている。また、同省 主催の「遺族支援のシンポジウム」にも同ワーキングチームのメンバーが登壇している。 このように、「自殺総合対策」における司法書士に対する期待は、国や各地の地方公共団 体では、益々大きいものとなってきている。 兵庫県司法書士会としての平成21年度の取組みとしては、兵庫県や神戸市との行政 との連携はより強化できたものと考えている。具体的には、相互で研修会参加、自殺対 策緊急強化基金を使った「対面相談事業」、県主催の講演会と協働してメンタルヘルスと
法律問題の無料相談会を開催した。また、県下13ケ所の保健事務所や市町村の保健所 とのより地域に根差した「顔の見える連携」に向けて活動をしてきた。平成21年度は、 阪神支部と県の芦屋保健事務所とのつながりを構築し、本年3月6日加古川において「自 殺対策官民合同研修会」を開催し、播磨支部とその近隣の県の保健事務所や市の保健所 の方々の参加もいただき、あらたな「顔の見える連携」に向けてのきっかけづくりをお こなった。このような「官民合同研修会」は、来年度以降も県内各地でおこなう予定で ある。行政とのその他の関係では、神戸市の「自殺対策連絡協議会」に委員として参加 した。明石保健事務所の「自殺予防対策連絡協議会」にも昨年度に引き続き参加し、意 見交換をおこなった。 医療関係者との間に関しては、神戸市医師会の「GPネットワーク」が本年3月1日 に稼働したことから、平成22年度の司法書士会としても、GPネットワークとの連携 をはかるため、平成22年度から1年間、同ネットワーク登録医師(一般医、精神科医) との異業種間合同研修会にむけて準備を進めているところである。また、本年1月30 日に事例検討会を兵庫県精神科診療所協会会長、兵庫県精神保健福祉士協会会長、神戸 市こころのケアセンター所長を講師に招き開催した。この事例検討会には、兵庫県精神 保健福祉センターをはじめ各地の保健所の方々にも参加いただき、司法書士業務の生の 現場を知っていただいた。このように、「自殺総合対策」においては、メディカルモデル とコミュニティーモデルの社会資源の一つとしての司法書士との連携構築が重要なもの と確信している。 平成22年度からは、新たに民間支援団体とも積極的に意見交換や情報交換をおこな うため、平成21年度は、ギャンブル・アルコール・薬物依存症の自助グループのミー ティングや研修会などにも積極的に参加し、「顔の見える」きっかけづくりをおこなった。 さらには、日本自殺予防学会や日本社会精神医学会にも当会自殺対策委員会のメンバ ーが「司法書士の現場」をテーマに発表をおこない、多くの著名な研究者とのつながり を構築した。 (5)生活保護対策事業 全国的に生活保護受給件数が増加する一方で、本来は生活保護を受けられるはずな のに、受けられずに生活に困窮している人々が多くいる。平成21年2月28日本会 において「高齢者・障がい者・ホームレス等に対する生活支援権利擁護助成規程」が 施行された。これは、さまざまな障がいで生活保護の申請に困難をきたしている人が 生活保護の申請を行うにあたって、会員が福祉事務所へ同行して申請を支援するなど の活動を行った場合等に助成金を支給する制度である。本年度は、この規程が会員に 活用されるよう、助成金の請求書式を作成するとともに制度の周知活動を行った。本 年度当該助成金の申請は26件あった。 本年3月14日京都司法書士会館にて行われた「生活困窮者に対する支援を考える 研修会」(京都司法書士会・近畿司法書士会連合会共催)を後援し、委員を派遣し生活 困窮者に対する他会等の取り組みを学ぶとともに本会における取り組みを報告した。 (6)ホームページの更新 会務IT委員会と連携して、臨時の110番相談会開催案内や消費者教育講座の案内
等各部・委員会から司法書士の取り組む事業展開の情報を得て更新をおこない、積極的 な情報発信をおこなった。 6.会員事業部 (1)兵庫県司法書士会会報 従来のとおり、月1回(各月末発行)の割合にて「会報」を発行した。会報の内容 は、総会・理事会報告、研修・研究報告にかかる情報等の掲載に重点を置いたほか、副 会長・各部長による事業執行に関する情報や本会会計顧問のご投稿のもと、資産税・ 社会保険等Q&Aを継続して掲載した。 (2)親睦事業 会員親睦事業として、平成21年11月1日(日)に“大阪湾・明石海峡大橋を一 望できるランチクルージング”を企画、実施した。 7.相談事業部 (1)兵庫県司法書士会総合相談センター 平成21年度も前年度に引き続き、県下各地の総合相談センターにおいて、無料相談 会を開催した。現在相談会場は40箇所あり、県民の法律相談に応えている。また、日 本司法支援センターから回付される日司連電話相談センターの担当を週4コマ受け持っ ており、これは全国からの相談に対応している。 会館において、県下各地から架かってくる司法書士総合相談センターの予約・問い合 わせの電話に対応した。この件については、司法書士が相談電話に対応することの是非 について様々な意見があったので、神戸支部において担当者にアンケート調査がおこな われた。司法書士が対応することについて前向きな意見が大勢であるが、中には消極的 な意見もあり、今後の参考としたい。 (2)地域連携事業 平成21年度は、遠隔地援助の利用は0件であった。 各支部に遠隔地援助の利用についてアンケート調査をおこなったが、現在の規程では 利用の機会がほとんど無いことが判明した。より利用しやすい規程に改訂する際の参考 としたい。 内閣府が策定した多重債務問題改善プログラムにおいて、司法書士会も一定の役割を 求められているところであるが、当会も兵庫県の多重債務者対策協議会の一員として、 9月から12月までの4ヶ月間にわたる多重債務者相談キャンペーンに協力し、弁護士、 行政職員と共に県下13カ所での相談会に参加した。 (3)やしろ司法書士法律相談センター 近畿司法書士会連合会の設置する「司法書士法律相談センター」は、東播支部会員 の運営・協力により運営されている。平成14年の開設以降、兵庫県内における司法
書士総合相談センター会場と同様の位置づけととらえている。 8.会務IT化推進委員会 会務IT化推進委員会は、各部にまたがるIT化事業をバックアップし、各部を主体と しながら連絡調整を行い、一括して執行することが望ましい事業については本委員会が策 定し、会務のIT化を推進した。 (1)本会ホームページの更新及び活性化(市民事業部対外広報委員会) ① 会務IT化推進委員会にて、本会ホームページの管理及び必要に応じて随時更新作 業をおこなった。 また、司法書士法改正に伴う会員情報の公開に関して、その範囲、方法等を検討し、 兵庫県司法書士会ホームページから、日司連ホームページの会員検索にリンクしてい る部分を、兵庫県会独自の会員検索システムを構築する為のプログラムの作成等を外 部の業者に委託する為の業者選定作業をおこなった。 ② 現在、兵庫県司法書士会ホームページは、その更新作業を本委員会若しくは事務局 員によっておこなっているが、一部に過重な負担がかかるなどの問題があるため、来 年度(22年度)中にホームページ更新方法等の再考を含め、仕様変更によるリニュ ーアルをおこなうことを目指して、検討を重ねた結果、ホームページの更新作業に関 しては基本的に業者に依頼して更新することとし、緊急に更新する必要等がある場合 には、本会事務局員等で随時更新可能とする仕様の構築が依頼できる業者の選定作業 をおこなった。 ③ ホームページのコンテンツの更なる内容充実を図るため、関係各部長に協力を依頼 し、又、各部に所属する本委員会の委員から各部への働きかけ等により、市民が見て わかりやすい内容等とする為の新たなコンテンツの作成、内容の拡充等を進めた。 (2)本会と会員間及び会員相互間の連絡強化(総務部) ① メーリングリスト(メールソフト)を利用して会員に対して通知、会員側での検索 作業ができるようにしているところ、今後の加入会員増加の為の方法の検討をおこな い、現在把握出来ている運営上の問題点を洗い出し今後の運営方法について検討した。 ② 従来は、双方向メーリングリストを利用してきたが、セキュリティ等に配慮し、単 方向(配信のみ)のメーリングリストへの移行作業を平成21年12月におこない、 平成22年1月より、新しい単方向メーリングリストによる配信とした。 (3)メーリングリスト配信文書に伴うペーパレス化の検討について ① メーリングリスト配信に伴い、現在会員に対しておこなっている文書の郵送を廃止 する期限を設定した。 ② 上記①の郵送廃止時期は、遅くとも平成23年7月とし、可能な限り繰り上げる。 ③ パソコン等の使用ができない会員についての対応を検討した。 ④ 基本的には、文書の郵送は完全撤廃の方向でおこなうことを確認した。 (4)研修視聴システムの向上(研修部)
インターネットを利用した研修視聴システムに関して、技術面で引き続き要請あれ ば協力を行える態勢を維持した。 (5)会員専用のホームページ(グループウェア)のシステムの構築(会員事業部) 会員専用のホームページ(グループウェア)の作成に関して、会員事業部と連動し て協議していくことを確認した。 (6)その他 会務IT化の一環として、個別に各委員に依頼したソフト作成等の案件に関して必 要に応じて正当な対価を支払う基準等に関して引き続き検討をおこなった。 9.法テラス推進委員会 当委員会では、民事法律扶助制度に関する各種情報を本会メーリングリスト等を通じて 積極的に提供するとともに、民事法律扶助業務に関する研修会を9月24日(於:司法書 士会館)及び11月6日(於:姫路労働会館)に実施した。 研修会テーマは、「法テラスと司法書士」、「法テラスとの契約について」、「民事法 律扶助の利用について」と題し、当委員会委員が担当した。講義の模様は当会研修映像配 信システムにて新規契約者向けに継続的に視聴できる体制を整えている。 また、兵庫県下では神戸・尼崎・姫路の3ヶ所に法テラス地方事務所及び支所があるが、 各地域にて相談や受託・受任等が円滑におこなわれるよう支援した。 10.緊急災害対策委員会 平成21年8月の台風9号による県西・北部への豪雨により、会員事務所にも被害がも たらされた。豪雨災害に伴う安否確認・被害状況等の把握とともに、被災地の現地調査や 相談会の開催を検討した。災害復興にかかる相談会については、兵庫県行政評価事務所の 主催する相談会へ西播支部の協力のもと相談員を派遣し、土地家屋調査士会・行政書士会 と共催にて相談会を開催した。また、日司連市民救援委員会や阪神・淡路まちづくり支援 機構とも連携対応をおこなった。 11.組織改善委員会 当委員会は、市民が等しく法的サービスを受けそしてよりよい社会生活の実現に少しで も寄与する為に、我々司法書士及びその制度の存続発展が有能である事を十分に認識し、 司法書士会を取り巻く環境の変化に機動的に対応していける本会組織とするため、また司 法書士会組織運営の原動力である支部組織をこれまで以上に活性化し、本会と連携して円 滑・機動的に運営するため下記の各項目における問題点の抽出並びにその改善の為の検討 を約月1回のペースでおこなってきた。 (1)本会組織の効率的な運営と基盤整備について
(2)本会と支部の役割・連携について (3)支部の組織運営について (4)今後の組織に関する提言 (5)その他、委員会設置目的に該当する事項 なお、上記項目を検討する上で兵庫県における地理的、経済的特徴並びに、本会・支部 組織における現状を各委員間において共通の認識とする為に各種資料の作成をおこなった。 その一端として、兵庫県の特徴、支部区域における司法書士1人あたりにおける人口比較、 さらには、各支部総会資料、本会定時総会資料等各種資料の分析並びに他県の実地調査等 を各委員の基礎資料としている。 12.対話支援センター対策委員会 (1)センター設置 毎月第三月曜日を中心に委員会を開催し、本会の対話支援センター設置についての協 議を重ねた。群馬会及び静岡会からセンター設置に携わった司法書士を招いて、センタ ー設置にいたる経緯や具体的な作業について情報交換をおこない、当会はどのような組 織にするのかにつき委員間での意見交換をおこなった。 その結果、平成23年度の総会にむけてセンター設置の提案ができるよう作業を進め ていくこととしている。 (2)ADR広報 委員が当会会報へADR関連記事を毎月寄稿し、情報発信をおこなった。また、各支 部研修会へ積極的に委員を講師として派遣し、前ADR研究部会作成による裁断型調停 と自主交渉援助型調停を比較したロールプレイのDVDを使用し、具体的にADRに向 く案件につきADR会員研修を積極的におこなった。 (3)手続実施者等の養成 ADR実施に携わる人材育成を目標に、本年1月には「法と対話」に関する研修会、 2月には「トレーニング(初級編)」、3月には「ケースマネージャートレーニング」を 開催した。 13.司法書士法改正検討委員会 本委員会は、「日司連次期司法書士法改正大綱(素案)」に関する意見照会への対応とと もに、今後の司法書士法改正向けた会員各位の意見集約や提言等を積極的におこなうため、 平成21年10月23日に開催された理事会にて設置された。 日司連素案に対する各位からの意見募集を11月初旬におこない、同年11月24日に 第1回目の委員会を開催し、寄せられた意見も参考に日司連からの照会回答期間までに5 回の討議を重ねた。素案の検討においては時間的に非常に厳しいスケジュールであったと ころから、素案の全てを遺漏なく検討することは出来ないと判断し、定義規定・欠格事由・
司法書士の権利・非司法書士の行為等の取り締まりに関する事項については、概ねこれを 了とし、その旨回答することとした。 また討議をおこなった事案については、採決により賛否を明確にすることはせず、委員 各自の意見、問題意識を述べるに留めた。これは、時間的制約のために十分な討議がなさ れず拙速な結論になることを控えたためであり、司法書士法改正案検討は、もっと時間的 余裕を持ってじっくりと討議を重ねる必要があるとの判断からである。