給与計算にまつわる基礎知識について説明します。お給料は、仕事をした結果とし て企業から従業員に支払われるものです。ここでは仕事をするうえでの原理原則や 基本的なルールについて学んでみましょう。
給与計算
の
ファーストステップ
ガイド
01
労働条件のルール
∼給与計算に関わる7つのルール∼
02
給与計算で使用される用語の定義
∼労働者・使用者・賃金とは∼
03
労働契約のルール
∼企業と従業員の間のお金に関するルール∼
04
賃金のルール
∼賃金支払い5原則とは∼
05
労働時間、休憩、休日、休暇のルール
∼法律で定められたルール・企業で定められたルール∼
06
カレンダーで見る給与計算のイベント
∼年間・月間カレンダー∼
CONTENTS
給与計算にかかわる
7
つのルール
労働条件のルール
給与計算を行う前に、知っておかなければいけない労働条件の7つの原 理原則があります。給与計算の心得として、よく理解をしておきましょう。01
労働条件の原則
❶
労働条件は、従業員が人間らしい生活 を営むための必要を充たすべきものでな ければならず、企業は労働条件の向上を 図るように努めなければなりません。労働条件の決定
❷
労働条件は、従業員と企業が対等の立 場において決定すべきものであり、お互 いに就業規則やその他のルールを守り、 誠実にその義務を果たさなければいけま せん。均等待遇の原則
❸
企業は、従業員の国籍や信条または社 会的身分を理由として、賃金、労働時間 その他の労働条件について、差別的取扱 をしてはいけません。男女同一賃金の原則
❹
企業は、従業員が女性であることを理 由として、賃金について、男性と差別的 取扱をしてはいけません。強制労働の禁止
❺
企業は、暴行、脅迫、監禁その他精神 または身体の自由を不当に拘束する手段 によって、従業員の意思に反して仕事を 強制してはいけません。中間搾
さく取
しゅの禁止
❻
企業は、労働者派遣や有料職業紹介な ど法律で認められた場合を除いて、他人 の就職や就業に対して報酬を得てはいけ ません。公民権行使の保障
❼
企業は、従業員が労働時間中に、選挙 や国民投票、裁判員など、公の職務を執 行するために必要な時間を請求した場合 においては、拒んではいけません。ただ し、変更しても支障がない場合は、請求 された時刻を変更することができます。よく使われる用語の定義
給与計算にかかわる用語としてよく使われるのが、労働者、使用者、賃金の3
つです。■
労働者とは
労働者とは、企業で働く人のことを言い、職業の種類は問いません。本書では「従業員」 と呼びます。 一般的な従業員の種類は下図の通りです。ただ最近では、正規雇用にも、職種限定正社 員や地域限定正社員など総合職の正社員と区別したものや、短時間正社員、週4
勤務正社 員など働く時間を短くしたり、休日を増やしたりするものなど、多様な働き方が増えてきま した。一般的な労働者(従業員)
フルタイムで雇用期間の定めがない(正社員) 正規雇用 非正規雇用 ①有 期 契 約:契約期間が定められている(契約社員や定年後再雇用など) ②短時間労働:フルタイムではなく、1日の労働時間が短かったり、出勤日数 が少ない(パートタイマーやアルバイトなど)■
使用者とは
使用者とは、事業主(社長)や経営担当者(役員)、事業主のために働くすべての人の ことを言います。例えば、経営者サイドの人(一般的には部長など)ですが、本書ではわ かりやすく「企業」と呼びます。■
賃金とは
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与など、名称にかかわらず、仕事の対価として企業が 従業員に支払うすべてのものを言います。本店と支店を移動する際の交通費や、会社のた めに立て替えた費用などは、仕事の対価ではないので、賃金にはあたりません。賃金とし て計算すると、所得税や社会保険料の払い過ぎになることがあるので、注意しましょう。給与計算で使用される
用語の定義
給与計算で使用される用語(労働者、使用者、賃金、平均賃金)について、 法律の定義とともにしっかりと覚えておきましょう。02
労働契約に関するさまざまな取り決め
企業は従業員を雇うにあたって、労働契約条件を明示した書面を交付する必要がありま す。さらに、企業と従業員の間には、給与に加えて、お金に関するさまざまなルールが定 められています。また、企業は正当な理由なく勝手に解雇を行うことはできません。■
労働条件の明示
企業は、労働契約の締結に際し、従業 員に対して賃金、労働時間その他の労働 条件が書かれた書面を交付しなければな りません。一般では労働条件通知書がこ の書面にあたります。なお、通知書を交 付するだけではなく、右図のように労働 条件通知書兼雇用契約書として従業員か ら署名捺印をもらい、お互いに書面を保 管するようにしましょう。なお現在の法 律では、労働条件通知書は書面での交付 が義務付けられています。•
使用者は、労働契約の締結に際して、労働者に対して、次に掲げ る「絶対的明示事項」の労働条件を明示しなければならない•
絶対的明示事項のうち、昇給を除いた事項については、労働者に 書面を交付して明示する必要がある労働契約のルール
法律では、給与計算にかかわる労働契約について、どのようにルールが 決められているのでしょうか。03
労働条件通知兼雇用契約書
労働条件通知書 兼 雇用契約書 氏名 殿 以下の労働条件によって雇用契約を締結します。 雇用期間 期間の定めなし(入社日: 年 月 日) 期間の定めあり( 年 月 日 ~ 年 月 日) 更新の有無 ※雇用期間について 「期間の定めあり」と した場合に記入 1 契約の更新の有無 [自動更新する・更新する場合があり得る・契約更新はしない その他( ) ] 2 契約の更新は次により判断する ・契約期間満了時の業務量 ・勤務成績、勤務態度、協調性 ・能力 ・会社の経営状況 ・従事している業務の進捗状況 ・その他( ) 試用期間 なし / あり( 年 月 日 ~ 年 月 日) 就業の場所 (事業場名/所在地)※勤務地限定(なし/あり) 仕事の内容 就業時間 1 始業時刻 9時00分 2 終業時刻 17時00分 3 休憩時間 12時00分 ~ 13時00分(合計 60分) 所定時間外労働 の有無 所定時間外労働 無・有 (約 時間/月) 休日労働 無・有 (約 日/月) 休 日 法定休日 日曜日 法定外休日 土曜日、国民の祝日、年末年始(12月30日~1月3日) 休 暇 年次有給休暇(法定/ 基準日●月●日) その他休暇(就業規則による) 退職に 関する事項 定年 60歳/ 継続雇用制度 有(65歳まで)・無 その他の退職・解雇については就業規則による 賃 金 金額 基本給 円(月給・日給・時給) ●等級●号俸 役職手当 円(●●長職) 通勤手当 円(上限●万円) 割増賃金率 所定時間外 法定内 :100% /法定超 :125% 休 日 法定休日:135% /法定外休日:125% 深 夜 : % 締切日 支払日 毎月 末 日締切 当月・翌月 25日支払 賞 与 有 年●回●月●月 ・無 会社の業績等により減額、支給しないことがある 給与改定 有 年●回●月●月 ・無 会社の業績等により改定しないことがある 退 職 金 有 正社員として●年以上勤務した場合に支給 退職金規程による ・無 その他 ・社会保険の加入状況(健康保険 厚生年金保険 その他( )) ・雇用保険の適用( 有 ・ 無 )・その他( ) 年 月 日 本契約書は、電磁的に作成し、双方にて署名捺印又はこれに代わる電磁的処理を施し、双方保管するも のとする。 使用者 所在地 名称 株式会社 職氏名 代表取締役 印 労働者 住所 氏名 印
■
賠償予定の禁止
企業は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めた りしてはいけません。例えば遅刻をしたら1
回1,000
円、欠勤1
回10,000
円などを減 給処分の範囲を超えて行うのは禁止ですが、遅刻した時間や欠勤した日について給料を引 くこと(遅刻・欠勤控除)は問題ありません。これを「ノーワーク・ノーペイの原則」と 言います。 ときどき、遅刻や欠勤をしても給料を引かないケースを見かけますが、きちんと働いて いる従業員と遅刻や欠勤をしている従業員が同じように賃金をもらうことは公平性に欠け ます。きちんとしている従業員のモチベーションダウンや規律が乱れることにもつながる ので、細かなことですが、きっちり管理を行いましょう。■
前借金相殺の禁止
企業は、前借金その他、仕事することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはいけ ません。企業が、従業員の不正等により損害賠償を請求する権利を有する場合でも、従業 員の同意なく賃金と相殺することは禁じられています。 例えば、企業が従業員に対し資格取得などの目的で奨学金を貸付けしているケースでは、 従業員の同意なく賃金から奨学金の返済分を相殺することは禁止されますが、本人の同意 がある場合は可能です。また、奨学金の返済を一定の期間勤務することを条件に免除する ことは問題ありません。 書面の交付による明示事項 (1)労働契約の期間 (2)期間の定めのある労働契約を更新 する場合の基準 (3)就業の場所・従事する業務の内容 (4)始業・終業時刻、所定労働時間を 超える労働の有無、休憩時間、休 日、休暇、交替制勤務をさせる場 合は就業時転換 (5)賃金の決定・計算・支払方法、賃 金の締切り・支払の時期に関する 事項(昇給は口頭でも可) (6)退職に関する事項(解雇の事由を 含む)必ず明示しなければならない事項の例
同意なき差し引きは禁止 従業員の同意なく賃金から借金等を差し引くことは禁止されています。 NG 例)賃金30万円−前借金・損害金10万円=支給20万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円10000 壱万円 10000 壱万円 10000 壱万円 賃金30万円 前借金・損害金10万円 支給額20万円 POINT
■
強制貯金の禁止
企業は、労働契約に附随して貯蓄の契約、または貯蓄金を管理する契約をしてはいけま せん。 ただし、労使協定を締結し届け出を行うことで、希望する従業員の貯蓄金をその委託を 受けて管理することができます。その場合は、貯蓄金の管理に関する規程を定め、従業員 の預金に利子をつけ、従業員がその返還を請求したときは、遅滞なく返還を行わなければ なりません。 なお、従業員の貯蓄を奨励する制度として、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営 する勤労者財産形成貯蓄制度(いわゆる財形貯蓄)があります。 財形貯蓄の詳細 財形貯蓄の詳細については下記のリンク先に掲載されています。 URL http://www.zaikei.taisyokukin.go.jp/service/save/index.php MEMO■
解雇制限
企業は、災害等一部の例外を除き、次の期間の従業員を解雇することができません。•
従業員が業務災害で休業する期間とその後30
日間•
産前産後の女性従業員が休業する期間とその後30
日間入院・通院で治療のために休業する期間 その後 30 日間 解雇制限期間 業務上負傷または疾病で休業する場合の解雇制限 被災日 再出社日 産前休業 6 週間 (多胎妊娠の場合は 14 週間) 産後休業 8 週間 その後 30 日間 解雇制限期間 産前産後休業の場合の解雇制限 出産
■
解雇の予告
企業は、従業員を解雇しようとする場合は、災害等の例外を除き、30
日前にその予告 をしなければいけません。30
日前に予告をしない場合は30
日分以上の平均賃金を支払 わなければいけません。ただし、試用期間中(入社から暦日数で14
日以内)の従業員な ど一定の場合は、解雇の予告は必要ありません。 なお、予告の日数は平均賃金を支払うことで短縮することができます。例えば解雇予告 を15
日前にした場合は、解雇予告手当を15
日分支払うことで、予告の日数を短縮する ことができます。■
金品の返還
企業は、従業員の死亡または退職の場合において、遺族または本人から請求があった場 合は、給与支給日にかかわらず請求を受けた日から7
日以内に賃金を支払わなければな りません。賃金のルール
賃金とは、仕事の対価として企業が従業員に支払うすべてのもののことを 指します。04
賃金の支払(賃金支払い
5
原則)
賃金は、通貨(現金)で、直接従業員に、その全額を毎月1
回以上、一定の期日を定 めて支払わなければいけません。本人の希望する預金口座に振り込みにより支払うことも できます。会社が指定する金融機関で給与振込を行う場合は、従業員から給与振込依頼届 などで同意をもらっておきましょう。■
非常時払
従業員が、出産・疾病など非常の場合の費用に賃金を充てるために請求した場合は、給 料日前であっても、企業はそれまで働いた分の賃金を支払わなければいけません。■
休業手当
企業の都合で従業員に仕事を休ませる場合は、平均賃金の60
%以上の休業手当を支払 わなければいけません。■
出来高払制の保障給
歩合給で給料を支払う場合であっても、労働時間に応じて最低賃金は保障しなければい けません。■
最低賃金
最低賃金額は、時間給で定められています。最低賃金を下回る労働契約は無効となり最 低賃金が適用されます。なお、以下のものは最低賃金に含まれません。 最低賃金に含まれないもの•
臨時に支払われる賃金(結婚手当など)• 1
か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)•
所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金•
所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金•
午後10
時から午前5
時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の 労働時間の賃金の計算額を超える部分•
精皆勤手当、通勤手当および家族手当労働時間、休憩、休日、
休暇のルール
労働時間、休憩、休日、休暇についても、法律で定められているルール を知っておきましょう。05
労働時間は
2
つに分けられる
労働時間は、法律で定められている法定労働時間と、就業規則や雇用契約書等に定めら れている所定労働時間の2
つに分けられます。■
法定労働時間とは
法定労働時間とは、法律で定められている労働時間の上限のことです。休憩時間を除き、1
週間について40
時間を超えて、1
日については8
時間を超えて仕事させてはいけません。 ただし、従業員数が常時10
人未満の商業(卸売・小売・理美容業など)、映画演劇業、 保健衛生業(診療所・保育所・老人ホームなど)、接客娯楽業(旅館・飲食店・ゴルフ場 など)については、法定労働時間を週44
時間とする特例があります。これらの業種はま とめて特例事業場と称されます。 原則 1週40時間、1日8時間 特例事業場 1週44時間、1日8時間 注意:満18歳未満の年少者には適用されない 労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外 労働時間、休憩及び休日に関する規定は、以下の従業員には適用されません。 • 農業・酪農業・畜産業・漁業の従事者 • 監督もしくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者 • 監視または断続的労働の従事者で労働基準監督署の許可を受けたもの 注意!■
所定労働時間とは
所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書等に定められているその企業や職場の労働時 間のことです。法律で定められている法定労働時間とは異なります。就業規則の規定例は、 次のようなものです。就業規則の規定例
第○条 所定労働時間、始業・終業の時刻および休憩時間 会社の所定労働時間は、1 日につき 60 分の休憩を除き 8 時間、1 週につ き 40 時間とし、始業、終業および休憩の時刻は次の通りとする。 始業 終業 休憩時間 8 時 30 分 17 時 30 分 12 時から 14 時までの間で 60 分
■
所定労働時間と法定労働時間の違い
所定労働時間と法定労働時間の違いについては、次のようになります。図では始業時刻9
:00
、終業時刻17
:00
、1
日の所定労働時間7
時間の場合を例としています。 所定労働時間 法定内 所定 時間外 労働時間 法定外 所定時間外 労働時間 3時間 休憩 4時間 1時間 2時間 9:00 12:00 13:00 17:00 18:00 20:00 通常の賃金を支払い 時間外手当を割増しありの 支払い 割増しなしの時間外手当を支払い変形労働時間制
制度を利用して、柔軟な働き方を設定することもできます。制度には、一定の期間を平 均して所定労働時間を設定できる1
か月単位の変形労働時間制と、1
年単位の変形労働時 間制、勤務開始や終了の時刻などを従業員の決定にゆだねるフレックスタイム制がありま す。■
1
か月単位の変形労働時間制
1
か月単位の変形労働時間制とは、1
か月または1
か月以内の一定の期間(4
週間など) を平均して週40
時間(特例事業場は44
時間)に所定労働時間を設定できる制度です。 例えば飲食店などの業種で、忙しい週末は1
日9
時間労働にしたり、比較的ゆとりのある平日は
1
日6
時間労働とするなど、弾力的なシフトを組めるようになります。1
か月単位の変形労働時間制を導入するには、労使協定または就業規則に定め、労働基 準監督署に届け出をします。 月曜日 法定労働時間 繁忙日 1か月単位の変形労働時間制の例 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日0
時間 (休み)0
時間 (休み)6
時間6
時間9
時間10
時間9
時間 計40
時間■
1
年単位の変形労働時間制
1
年単位の変形労働時間制とは、1
年または1
年以内の一定の期間(3
か月など)を平 均して週40
時間となるように所定労働時間を弾力的に設定できる制度です。例えば季節 的に繁忙の差がある業種や業務の場合は、忙しい時期は1
日9
∼10
時間労働で週休2
日とか、1
日8
時間労働で週休1
日にしたり、閑散期は1
日7
時間とか、週休3
日にし たりもできます。ただし、特例事業場であっても年平均40
時間以内にしなければならな いほか、1
日10
時間を超えることはできないなど、一定の制限があります。1
年単位の変形労働時間制を導入するには、以下の事項を就業規則及び労使協定に定め、 労働基準監督署に届け出をします。1
年単位の変形労働時間制で定める事項• 1
年単位の変形労働時間制を適用する従業員の範囲•
対象期間(1
か月を超え1
年以内の期間)•
特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間のこと)•
労働日と労働日ごとの労働時間(年間休日カレンダー)•
労使協定の有効期間(1
年以内) 年間所定労働時間 =2084
時間 所定労働時間 1年単位の変形労働時間制の例176
時間176
時間192
時間180
時間200
時間176
時間184
時間176
時間168
時間136
時間152
時間168
時間■
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、勤務開始や終了の時刻・休憩時間を従業員の決定にゆだねる 制度で、清算期間を平均して週40
時間(特例事業場は44
時間)に所定労働時間を設定 できる制度です。 フレックスタイム制を導入するには、以下の事項を就業規則及び労使協定に定め、労働 基準監督署に届け出をします。 フレックスタイム制で定める事項•
フレックスタイム制を適用する従業員の範囲•
清算期間(1
か月または1
か月以内の一定期間(4
週間など))•
清算期間における総労働時間(1
か月が30
日の場合:171.4
時間以内、31
日 の場合:177.1
時間以内、28
日の場合:160
時間以内)•
必ず働いてもらいたい時間帯(コアタイム)がある場合はその開始と終了時刻•
労使協定の有効期間(1
年以内)休憩時間について
休憩時間とは、法律で定められている労働時間の途中に置かれた、従業員が権利として 仕事から離れることを保障された時間のことです。 労働時間が6
時間以上の場合は少なくとも45
分、さらに8
時間を超える場合は1
時 間以上の休憩時間を途中で与えなければいけません。また、従業員全員一斉に与える必要 があり、休憩時間内の行動を制限してはいけません。 労働時間 休憩時間 6時間以内 与えなくてもよい 6時間超8時間以内 少なくとも45分 8時間超 少なくとも1時間 一斉休憩の特例と例外 休憩時間は原則一斉に与えなければいけませんが、従業員が一斉に休憩に入ってしまうと業務に支障をき たす業種もあります。そのような場合は、「一斉休憩の適用除外に関する労使協定」を締結することで、交代 制が可能になります。また、運輸交通業、商業、金融広告業、保健衛生業、接客娯楽業などの業種は、そも そも一斉休憩の原則の適用が除外されています。 MEMO休日は
2
つに分けられる
休日は、法律で定められている法定休日と、就業規則や雇用契約書等に定められている 所定休日の2
つに分けられます。■
法定休日とは
法定休日とは、法律で定められている休日のことです。法律では毎週少なくとも1
回 の休日を与えなければいけませんが、変形休日制として、4
週間を通じ4
日以上とするこ ともできます。 変形休日制 下図の変形休日制の例では、第1
週から第4
週、第5
週から第8
週のいずれも4
週4
休の条件を満たしています。 第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 第6週 第7週 第8週 1日 なし 2日 1日 2日 なし なし 2日 4週4日以上 4週4日以上■
所定休日とは
所定休日とは、就業規則や雇用契約書等に定められているその企業や職場の休日のこと です。 法律で定められている法定休日とは必ずしもイコールではありません。土日が所定休日 の完全週休2
日制の企業の場合、日曜日を法定休日、土曜日や祝日などを法定外休日と 定めているケースが多いようです。就業規則の規定例は、下のようなものです。就業規則の規定例
第○条 休日 社員の休日は、次の通りとする。 (1)日曜日 (2)国民の祝日 (3)その他、年間カレンダーに定める日 2 法定休日は日曜日とし、その他の休日は法定外休日とする。
時間外及び休日の労働
時間外労働及び休日労働をさせる場合には、労使協定(時間外・休日労働に関する協定 届:通称「36
協定」と呼ばれています)を締結し労働基準監督署に届け出をします。近 年は、過重労働に関する事件などを受け、36
協定の特別条項に月80
時間を超える時間 を記載している企業に対して、労働基準監督署から監督・指導が行われるようになってい ます。■
時間外、休日及び深夜の割増賃金
時間外労働及び休日労働をさせた場合には、以下の割増賃金率により割増賃金を支払わ なければいけません。さらに、月60
時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は50
%になりますが、中小企業には猶予措置がとられています(2017
年10
月現在)。 種類 支払う条件 割増率 時間外(時間外手当・残業手当) 法定労働時間(1日8時間・週40時間)超えたとき 25%以上 時間外労働が限度時間(1か月45時間・1年360時間等)を超えたとき 25%以上※1 時間外労働が1か月60時間を超えたとき 50%以上※2 休日(休日手当) 法定休日に勤務させたとき 35%以上 深夜(深夜手当) 深夜(22時∼5時)に勤務させたとき 25%以上 ※1 25%を超える率とするよう務めることが必要 ※2 中小企業については当分の間適用が猶予されている ※3 例えば法定休日に深夜勤務した場合は、35+25=60%の割増になる 割増賃金計算に算入しない賃金 なお、割増賃金の基礎となる賃金には、以下の手当や賃金は含まれません。 • 家族手当(扶養家族数によって支給されるものに限る) • 通勤手当(通勤距離や定期代等の額によって支給されるものに限る) • 別居手当 • 子女教育手当 • 住宅手当(住宅にかかる費用に応じて支給されるものに限る) • 臨時に支払われた賃金 • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 MEMO中小企業の範囲 中小企業の範囲は、次のように定義されています。 業種 資本金の額または出資の総額 または 常時使用する労働者数 小売業 5,000万円以下 または 50人以下 サービス業 5,000万円以下 または 100人以下 卸売業 1億円以下 または 100人以下 その他 3億円以下 または 300人以下 POINT
■
時間計算
副業や兼業など、異なる2
か所以上の事業場で勤務する場合、労働時間は通算します。1
日8
時間、週40
時間を超える場合には、割増賃金の支払いが必要となります。 副業や兼業における労働時間の通算問題 政府が推進する「働き方改革実行計画」では、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」に、「副業や兼業は、 新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。」と 明記されていますが、一方で兼業や副業をする際の労働時間の通算について「これらの普及が長時間労働を 招いては本末転倒である。労働時間管理をどうしていくかも整理する必要がある。ガイドラインの制定など 実効性のある政策手段を講じて、普及を加速させていく」としており、課題があります。 MEMO年次有給休暇
企業は、入社日から起算して6
か月間継続勤務し出勤率80
%以上の従業員に対して、 年次有給休暇を与えないといけません。継続勤務期間が1
年6
か月以上の場合は、継続 勤務期間に比例して下表の通り年次有給休暇を増やしていきます。 ただし、出勤率が80
%未満の従業員に対しては、有給休暇を与えなくても差し支えあ りません。 継続 勤務年数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上 日付日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 パートタイマーなど所定労働時間が週30
時間未満かつ週4
日以下または年間所定労働 日数が216
日以下の場合は、年次有給休暇は、次ページの表の通り比例付与されます。 年次有給休暇は1
日単位で与えますが、企業が就業規則等に定めた場合は、半日単位 で与えることができます。また、労使協定を締結した場合は、年5
日を限度として時間 単位で与えることができるようになります。▼ 年次有給休暇比例付与 年次有給 休暇の 日数 短時間労 働者の週 所定労働 時間 短時間労 働者の週 所定労働 日数 短時間労働者の 1年間の所定労 働日数(週以外 の期間によって 労働日数が定め られている場合) 6か月 61か月年 62か月年 63か月年 64か月年 65か月年 66か月年 以上 30時間以上 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 30時間 未満 5日以上 217日以上 4日 169∼216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日 3日 121∼168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日 2日 73∼120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日 1日 48∼72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日 採用初年度に関しては、
6
か月間継続勤務し出勤率80
%以上の場合に、上表の通りに 年次有給休暇が与えられます。4
月1
日を採用日とすると、年次有給休暇の算定年度は10
月1
日から翌年の9
月30
日になり、付与日は10
月1
日となります。 次年度からは10
月1
日の時点で出勤率80
%以上の場合は、上表の通りに年次有給休 暇が与えられます。 出勤率と付与日数 継続勤務期間と出勤率との、年次有給休暇の付与日数との関係は下表の通りになります。年次有給休暇の 算定年度中の出勤率が80%未満の場合、翌付与日に年次有給休暇が発生しません。 継続勤務期間 ∼6か月 6か月∼1年6か月 1年6か月∼ 2年6か月 2年6か月∼ 3年6か月 出勤率 80%以上○ 80%未満× 80%以上○ 80%以上○ 付与日数 10日 0日 12日 出勤率が80%未満だったので0日になっている。 出勤率が80%以上だと11日になっていた。 POINT パートタイマーへの転換 正社員から週3日のパートタイマーに転換した場合の年次有給休暇の付与日数は、下表の通りとなります。 年次有給休暇付与日の週所定労働日数により、年次有給休暇の付与日数が決まります。 継続勤務期間 ∼6か月 6か月∼ 1年6か月 1年6か月∼ 2年6か月 2年6か月∼ 3年6か月 3年6か月∼ 4年6か月 従業員種類 正社員 正社員 正社員 週3日パート 週3日パート 付与日数 10日 11日 6日 8日 MEMO年間カレンダー
6
月、12
月賞与の会社の場合は次のようになります。発 生イベント
1
月3
月6
月7
月9
月10
月11
月12
月4
月5
月 ・法定調書の提出(税務署) ・給与支払報告書の提出(市区町村) ・新規採用者、異動者の給与決定 ・4月1日時点で64歳となっている者を把握(雇用保険料免除) ・住民税の新年度控除額を登録 ・賞与の計算(6月賞与支給の会社) ・労働保険の年度更新(保険料計算) ・社会保険の算定基礎届提出 ・厚生年金保険料の変更反映 ・7月に算定基礎届を提出した者の社会保険料改定 ・年末調整準備(社員に案内、必要書類の配布) ・年末調整実施 ・賞与の計算(12月賞与支給の会社) ・新入社員、異動社員の給与設定 ・健康保険料、介護保険料率の変更反映 ・雇用保険・労災保険料率の変更反映 ・4月入社社員の社会保険料控除開始(社保料控除は資格取得の翌月給与から控除開始)カレンダーで見る給与計算の
イベント
年間・月間を通してどんなイベントがあり、何の作業が給与計算に必要な のか見てみましょう。また年に1回しかない作業もあるので、毎月このカ レンダーを確認することで作業を忘れることなく行いましょう。06
月間カレンダー
勤怠等の締日が毎月末日、支給日が翌20
日の会社の場合は次のようになります。事 務 処 理
給与支給・税金納付
5 日
月初
10 日
15 日
20 日
月末
11日
〜
13日
14日
〜
17日
毎月変動事項の集計・登録、 給与計算・確定処理 ・給与明細の出力(必要に応じて) 10 日 ・源泉所得税の納付 ・住民税の納付 (納期の特例に該当する 場合を除く) 20 日 ・給与支給 月末 ・社会保険料の納付 (※労働保険料は年1回 または年3分割の支払い) ・給与振込の手配 20 日 ・給与明細の送付 ・退職者源泉徴収票の送付 ・人事異動 ・昇降給 ・扶養家族増減 ・氏名、住所、振込先の変更31日
(
締
日
)
ま
で
・退職者源泉徴収票の出力 (必要に応じて) ・勤怠の集計 (出勤日数、法定労働時間、 時間外・休日労働、遅早欠勤、休暇) ・インセンティブ、変動通勤費等の集計 ・支給額、控除額の計算 ・給与の確定処理1
日
〜
10日
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