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中小企業の持続可能性に影響を与える内部統制とCSR活動の実証研究 : 道内の環境マネジメントシステム導入企業を対象にした分析

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(1)

〔論 文〕

中小企業の持続可能性に影響を与える内部統制とCSR活動の実証研究

一道内の環境マネジメントシステム導入企業を対象にした分析−

興 村

(元札幌大学大学院経営学研究科研究生 1.はじめに 2.研究方法 2.1アンケート調査 2.2分析方法 3.結果と考察 3.1回答企業の属性と企業活動傾向 3.2企業規模別の分析 3.3企業業種別の分析 3.4優良企業(ベストプラクティス)の分析 3.5事業年数別の分析 3.6独立変数の相関分析 4.まとめと今後の課題 実費子 大阪大学大学院工学研究科博士後期) 2010)。 そこで,筆者は,どのような情報が企業か ら求められているのかを探るため,企業経営 者,行政,企業団体,中小企業診断士,そし

てEMS審査員との簡単なヒアリングを行っ

た。その結果,企業にとって最大の関心事で

ある環境配慮や社会配慮といったCSR活動に かかる「経費」と「人材」の問題の他に, CSRとはどのような活動を行い,経営にどの ような影響があるのか,といった検討の際に 役立つような情報が求められていることを発 見した。 この要求に応えるためには,これまでのよ うな傑出したCSR活動成果の情報提供ではな く,企業でCSR活動がどのように関連づけら れ,どのような成果をあげているのかを.多 くの実践している企業から学ぶことが必要と 考えた。 そこで本研究では,企業の経営管理とCSR 活動との関わりを明らかし,CSR活動推進の ための指針を発見するため,企業経営のイン フラである内部統制と環境管理との相関分析 に注目し,CSRの評価ツールであるトリプル ボトムライン(経済面・環境面・社会面)と 内部統制のそれぞれの指標を使って調査を行 った。

2.研究の方法

欧州と比べると,日本のCSRは環境配慮へ のウエイトが高い(藤井,2005)。この「環 境」への配慮を除けば,CSRの評価指標は. 従来マーケテイング・マネジメントで使われ てきたミクロ・マクロ経営環境分析の範囲 1.はじめに

Corporate SocialResponsibility(CSR)は

グローバル化による説明責任の時代の到来を 背景に,企業と公共の共通の利益を追求する 「持続可能な企業」を目指ざす多層の責任概

念(下層からEconomicresponsibility,Legal

responsibility,Ethicalresponsibility,

Discretionary)として1980年代に生まれた

(Savitz,2006)。

CSRは大企業を中心に定着してきたが,そ

の目的であるsustainabilityの実現のために

は,全企業の99.7%を占める中小企業の取組

みを抜きには達成しえないことを,Jenkins

(2006,2009)らは指摘している。欧州を中

心に近年,サステイナビリティの実現のた

め,多様な中′ト企業のCSR活動の実態を掴む

ための調査が盛んになっている(Jenkins,

2006:2009.Russo&Tencati,2009,Perriniet

al.,2007,Russo&Perrini,2010,DelBaldo.

(2)

産研論集 No.41 68 (Ho11ensen,2007)である。

従って,この環境配慮「環境マネジメン

ト」という日本のCSRに一番近い取組みを実 施しているEMS(環境マネジメント・システ ム)を認証取得している北海道企業を対象に アンケート調査を実施した。CSR活動や成果 には地域性が出ると言われている。北海道の 中′ト企業は地元産品や公共事業が主体であ り,地域の自然・環境の持続可能性に対する

責任は大きい。日本でも厳しい経営環境では

あるが,意識改善によるCSR成果の大幅な改

善も期待できると考え,今回の調査地とし

た。

2.1 アンケート調査

北海道でEMS規格(ISO14001.エコアク

ション21,京都環境マネジメントシステム

(KES),北海道環境マネジメントシステム (HES),自社規格)を導入している全505社 (529事業所)を環境管理の先進企業と見な し,「環境マネジメントとそれを支える管理 体制に関わる事項」として全14間のアンケー トを2009年12月に郵送配布した。 調査票の設計

アンケート構成図を図1に示す。調査書は

大きく4つのカテゴリで構成されている。

(1)内部統制(IC:InternalControl),(2)環

境管理(EM:EnvironmentalManagement).

(3)CSR環境面のパフォーマンス(EP:

EnvironmentalPerformance),(4)CSR社会

面のパフォーマンス(SP:SocialPerformance)。

(1)ICは世界基準といわれるCOSO(The

Committee of Sponsoring Organizations of

theTreadwayCommission)のフレームワー

ク1の評価指標から.「経営理念等の共有」, 「基幹業務のIT化」,「社員からの伝達手段 の構築」,「リスクマネジメント」,「ステー クホルダーとの交流」の5つの変数で表す。 ただし,内部統制に含まれる「関連法規の遵

守」はEMS取得規定と重なるため,ここでは

省略する。

「COSOフレームワーク」は,1980年代の

図1 アンケート構成図

米国における企業経営の破綻原因の1つが, 脆弱な内部統制にあったことから生まれた。

内部統制は,規模や業種に関係なくいかなる

企業でも行われている。経営者機能(企業理

念,企業倫理,企業文化 企業戦略,企業統

治)による事業活動の流れ(マネジメント・

プロセス:PDCA)に組込まれ,一体となっ

て機能する経営管理上の仕組みである。

COSOが外部から判断するのに分かりやす

く,初めて体系化した枠組みである(鳥羽, 2007)。また,内部統制はCSR取組みの土壌構 築として有効と言われている2したがって, 本研究では「内部統制」を一般の大企業の財

務報告書の狭義の意味ではなく,会社法の求

める広義の内部統制として企業経営の中心的 管理体制として扱う。

(2)EMは環境マネジメントシステムか

ら,「PDCA参加」,「環境管理指標設定」, 「環境会計」,「環境教育」の4つの変数で

表す。(3)EPと(4)SPはCSRの評価指標

として世界的に企業に受け入れられている

GRI(GlobalReportingInitiative)3ガイドラ

インの「環境」,「社会」と「労働慣行」か

ら全ての業種に合うような設問設定を試み

た。「環境」指標ではEMSの導入が推奨され

ている。(3)EPは「CO2削減量」,事業活動

が生態系に与える負荷への対策を問う「生物

(3)

多様性への取組み」,「廃棄物管理」の3つ の変数で表す。(4)SPは「雇用区分と人員

数」「社会貢献取組み」の2つの変数で表

す。 これら4つのカテゴリに加えて,パフォー マンスの高い企業はコミュニケーションが活 発であるという研究成果(Collins,2009)か

ら,社内コミュニケーション度として,EM

から「PDCA参加」.ICから「経営理念等の

共有」と「社員からの伝達手段の構築」の変

数3個を取り出し,「Communication:C」

とした。 さらに,上記5つの活動指標に影響を与え る変数として,従業員数(規模),売上高,

EMS導入期間,EMS規格の種類,経営者の

キャリア,EMS・CSR専属スタッフ数を採用

した。

2.2 分析方法

アンケートの14間と任意の1間で合計15間

それぞれの評価を行い.IC・EM・EP・SP・

Cの5つのカテゴリを,規模別・業種別・ベ

ストプラクティス(優良企業)別に集計し, それぞれの企業経営管理とパフォーマンス傾

向を把握した。各回答の評価は,1∼4の4

段階の成熟度で可能なように回答設定した。

満点は「IC=20」,「EM=16」,「EP=

12」,「SP=8」で,総合最高得点は56点であ る。これらと別に「C=12点」を置く。

ただし,Q7(廃棄物管理)は量の前年比

減,Q8(雇用区分別人員数)は数の前年比増 の得点を高くした。

Q14(ステークホルダー)は,図2の客観

的影響度と関心度の組み合わせによる象限の

マトリックスモデル(Blowfield&Murray,

2008)による評価を行った。また,回答が1

つであるべきところ複数回答を得た場合は上

位の得点を採用し,また未実施あるいは回答

がない場合は評価1とした。

次に,ICとEMとの相関関係とこれらに関

係する要素との相関性を明らかにするため

に,データ値の大きさの順位に基づく相関係

数(Spearmanの順位相関係数)を算出し

M.Blowfield&AMur帽y.之008(著者駅) 図2 B10WfieJd&Murrayのマトリックスモデル

た。「15の独立変数と7つの影響要素」,

「5つのカテゴリ変数と7つの影響要素」の 相関分析を規模別・業種別・ベストプラクテ ィス企業順に行った。 企業規模分類には国際基準はなく,日本の

基準は業種によって異なるため,EUの中小

企業区分:ミクロ,小規模,中規模をベース4 に,規模の違いによる特徴を掴むため,1∼

25人,26∼50人,51∼100人,101∼200人,

201∼2,000人,2,000人以上の6段階に設定し

た。

業種は北海道EMS企業の特徴を表してい

る。最も多い「建設業」は全国の全産業構成 比と同等の割合を占め,「製造業」は全国の

割合の半分,そして北海道では最近増加し

EMS取得数が多い業種の「再生業」,そして 「その他」の4区分とした。 さらに,この調査では「持続可能な企業」 という位置づけで,ベストプラクティス企業 (優良企業)と事業年数別のカテゴリを作っ

た。前者は,総合評価待点が高く,なおか

つ,従業員1人当たりの売上高順に製造業15 社,非製造業15社を抽出し計30社で構成され

る。また,後者は事業年数の若い企業と長寿

企業という視点から,内部統制力の違いを見 るため,事業年数30年毎に分けた。表1にア ンケート設問と配点を示す。

(4)

産研論集 No.41 表1 アンケート設問と配点 70 No 調査項目 分野 評価(!汁56点) Ql 環境マネジメントの計画・実行・評価・見直し(PDCA)の全てに年1回以上関わるメン 4点 バーを敢えて下さい 4点 Q2 環境負荷1丘滅の目標管理にはどのような指標を導入していますか (2)EM(環境管理) 4点 計16点 qう ・た社における環境対策の「コストとその効果」の扱いについて敢えて下さい 4点 Q4 環境負荷低;戒に関わる情報提供について次の中から選んで下さい Q5 温室効果ガス(GHG)排出削減の実施と目1粟亘投定について敢えて下さい 4点 (3)EP(環境パオー Q6 H社の事案活動が生態系(生物多様性)に与える負荷への対策について敢えて下さい マンス) 葛十12点 4点 q7 費社の廃棄物の発生丘と処理コストの管理について敢えて下さい 4点 q8 全従薬色数とこ欠の雇用区分別の人数を教えて下さい (4)SP(社会パオー 4点 計 8点 Q9 本業技術やサービスに関わる実行中の社会貢献活動分野をこ欠からお選び下さい マンス) 4点 QlO 経営理念・行動規範・環境方針等はどのような手段で社員に伝達していますか 4点 Qll 総合薬務システム(ERP)のような生産、受注販売、在l車、財務などの基幹薬務をサ 4点 ポートするITシステムの導入について教えて下さい q12 社員が経営者に直接情報や意見を伝達できる仕組みがありますか (1)l⊂(内部統制) 苫十20点 4点 4点 Q13 f‡社の串薬全般に関わるリスクマネジメントについて敢えて下さい 4点 Q14 ステークホルダー(企集関係者)との交流について教えて下さい (顧客・株主・地上或社会・取引先・l司業者・NGOとの交三充) 4点 q15 もしよろしければ、貴社の代表取締役社長の専門技術について教えて下さい 経営者の (か環境系、②医学系、(参理工系、④法学系、(勤経済・経営学系、(釧也文系、 キャリア な なし し

3.結果と考察

3.1 回答企業の属性と企業活動傾向

北海道でEMSを認証取得している全企業

505社(529事業所)への配布に対し,158社

(164事業所)から郵送回収を得た(回答率 31.3%)。回答企業は認証規格ISO14001が121

社,エコアクション21が25社,KESとHESが

14社計160社でダブル取得の2社が含まれ

る。

EMSの導入最大年数12年であった。導入年

数別の評価得点比較では.4∼6年前の取得

グループに評価得点が低い企業が多く含まれ ていることから,流行に遅れまいと導入した ものの,EMSを活用しきれない企業があると

推察する。取得区分別では,全社取得約

70%,部分取得は30%である。

所在地は札幌市が56%で最も多く,100人

以下の中小企業が全体の約60%を占める。業

種は建設業約30%,製造業29%,再生業16

%,そして,その他の業種26%である。全

158社の評価得点平均は,IC=13.5,

EM=10.3,EP=7.0,SP=5.0で,全平均は満点

56点に対し35.8点である。 EPの取組み特徴

約85%の企業がCO2削減を実施し,成果は

製造業と2,000人以上の企業が高かった。他の 企業調査でも,大企業の半数が20%削減は達

成可能と答えており5,EPの中ではCO2削減

への関心度は最も高いと言える。EUでも株

主総会で要望されるほど,浸透している。な

お,25人以下の小規模企業のCO2削減への取

組みは平均得点を上回っていた。「生物多様

性対策」と「廃棄物管理」は約59%の企業が 取組んではいるが,2,000人以上の企業が積極

的に取組んでいる。取組みが難しいとされる

「生物多様性対策」(Vithessonthi,2009) は建設業,「廃棄物管理」は製造業が,積極 的に取組んでいる。 SPの取組み特徴 「雇用区分と人数」では,正社員割合は, 小規模企業の80%に対し,2,000人以上の企業

では20%と大きな差がみられた。業種別で

は,正社員割合が一番高いのは建設業で

78%.低いのがサービス業で68%である。

「本業に関わる社会貢献分野」は約80%の企

(5)

表3 規模別・業種別の有意な相関係数

業が環境保全活動を,また,約50%の企業が 地域社会との交流活動を行っている。 全般的に2,000人以上の企業が積極的ではあ るが,その次に積極的なのは100人以下の企

業であり.地域密着型である中小企業の特徴

が表れている。業種別では再生業が環境保全

に,また建設業が地域社会に最も積極的に取 組んでいる。 以上から,積極的な社会貢献と,大企業の ように安易な雇用調整(樋口,2010)がない

安定雇用から.中小企業の社会的貢献度は高

いと言える。北海道EMS企業の活動成果は,

EPよりもSPの方が強い。なお,これ以降に

使う「中小企業」とは100人以下の企業を指

す。表2は企業規模別・業種別の各評価得

点,表3は規模別・業種別の有意な各相関係 数を示している。

3.2 企業規模別の分析

評価得点は,25人未満の企業が50人以下の 企業と比べてやや高く,反対に201∼乙000人 以下の企業の得点は最下位という特徴が見ら

れた。それは小規模企業では経営者がトップ

ダウンで全員の方向をまとめやすく,社員の

行動も把握しやすいからである。企業規模が

大きくなると各部署単位で動き,部署ごとの

方針もあるため,統一された方向性が得にく くなる。しかし.企業活動の継続により,組

表2 規模別・業種別各評価得点表

件 lC:EM lC:EP lC:SP EM:EP

1−25人 30 0.453● 0.452■ 0.583− 規 28−50人 34 0.329● 0.343暮 摸 別 201−2000人 29 2000人以上 7 製造薫 45 0.445▲★ 薬 種 25 0.407− 別 47 0.315★ その他 41 0.409★● 0.355★ ●相関lお%水準で有意 ■●相関は1,(水準で有怠 解析ソフトSPSS

織のライフサイクルに従って成熟し,組織均

衡が計れるようになると思われる。26∼50人

未満はICとEPが,201∼2,000人ではSPとCが

規模別内で最下位であるが,26∼50人未満は ICが若干弱くSP倍が高いので,組織均衡がう まくできていないか,または,企業文化が発 展段階にあり内部統制がうまく動いていない と推察する(桑田・田尾,2010)。201∼2,000 人未満はこの調査がリーマンショックから1 年のため「規模の経済」が十分甘受できなか った可能性もあると推察する。

一方,相関分析結果では,1∼25人の企業

はICとEM.ICとSP,ICとEPがそれぞれ

0.453.0.583,0.452の中程度の相関が認めら

れている。評価得点の高さからも,一番ICと

EMSとがうまく統合されている規模と言え

る。また,26∼50人の企業でもICとEMに

0.329,ICとSPに0.434の弱い相関があるとい

うことは,25人未満の規模と同様にEPにコ

ストはかけられないが,ICとEMSがうまく統

合されていると思われる。しかし,50人以上 の企業には相関がみられなかったことから, 50人以下の企業はここ数年特に厳しい経営環 境の中で,生き延びた優秀な企業とすると, 活力あふれる経営者のリーダーシップのもと 積極的な行動がなされていると推察する。そ れ以上の規模の企業では,規模の大きさを強 みに組織成熟し,独自の企業文化を浸透させ

lC EM EP SP total C

評伝配点 8

全平均 13.77 10.57 7.41 4.95 36.70 9,72 ト25人 13.12 10.69 6.73 4.69 35.23 10.27 26−50人 13.00 10,24 6.58 5.26 35.08 9.74 規 填 別 20ト2000人 13.07 9.72 6.83 4.62 34.24 8,90 2001人以上 15.57 12.14 10.00 5.00 42.71 9.71 営造薫 14,56 10.16 8.00 4.89 37.61 9.51 建設案 12.72 10.47 6.77 5.26 35.22 9.74

薫 垣 罰 再生稟 12.40 10.36 6.朝15.28 34.48 9.64 その箆 13.83 10.37 6.56 4.54 35.30 9.95

(6)

産研論集 No.41 72

ICと実際のEPが高い得点を得ているが,そ

の他の業種ではICが2番目に高くEMとEPが

連動しているものの,評価得点は高くないと

いうように,取組み開始から成果があがるま

での「時間」や「経費」の違いが影響してい ると考えられる。また,SPの高い建築業や再 生業のように「事業の方向性」がB(企業)to B(企業)とB(企業)toC(顧客)の業態の違

いも見られる。これらの「違い」の要因を業

種ごとに明らかにすることによって,CSR推

進に役立つ情報になると考える。 3.4 優良企業群(ベストプラクティス) 全平均評価点35.8点に対して42.85点の高い 評価で60人未満の企業が約47%含まれている

ので,小規模企業でも大企業と肩を並べ「持

続可能な企業」として活躍できると言える。

このカテゴリの属性がISO規格取得20社とエ

コアクション規格取得が10社であることか

ら,エコアクション認証企業には優良企業が

多く含まれている。もう1つの大きな特徴

は,EMSの導入が,企業単位の全社と事業所

単位の部分との割合が6:4であることであ

る。業種別製造業では,全社EMSが53%だっ

たが,ベスト製造業では60%に増え,また,

製造業以外の全社EMSは78%であったが,ベ

スト非製造業では60%に減っている。この

60%という割合は,業種に関係なくベストプ

ラクティス企業に共通の値であり,全社取得

が必ずしも高い成果に結びつかず,部分取得

の方が効率的である割合が高いことを示して いる。

表4はベストプラクティス・事業年数別の

各評価得点を,ベストプラクティス・事業年

数別の有意な各相関係数を示している。

評価得点は,ベスト製造業もベスト非製造

業も高い得点で差はあまりないが,相関分析

ではベスト製造業はICとEPに−0.696の有意

なやや強い負の相関が認められた。これは業

種別のそれとは逆である。後述する(表6) の独立変数との相関分析でも,「環境教育」

と「IC」とに正の相関が,「環境会計」と

「EP」には負の相関が認められることから ているのであろう。 以上のことから,規模が小さければ各カテ

ゴリが連携し成果が期待できること,また

CSR成果は,ICの高さが影響することから, ICを支える組織の成熟度や企業文化といった 経営者機能に左右されるようである。

3.3 企業業種別の分析

製造業はIC=14.56でEP=8.0の著しい高得点

である。これらま工場に大きな資本投下するた

め,詳細な計画に基づいたプロセス管理が行

われ,IT化やリスクマネジメントを強化させ

た先見性を持ったICによって,EPに着実に

成果が出るためと推察する。再生業はICと

EPが弱くSPが5.28と業種別で一番高いのは, プラスのイメージ作りのため,社会的配慮に 積極的であるためと思われる。建設業は

EM=10.47で最も高いのは,資材管理のため

と考えられる。その他の業種がSPだけ低いの は,前述の通り正社員の雇用割合の低さが原 因と思われる。 一方,相関分析結果では,製造業以外の3 業種にICとEMに弱∼中程度(再生業0.407, 建設業0.315,その他0.409)の有意な相関が

認められたが,それぞれ違う理由による相関

と思われる。再生業は外部へのPRのためで

あり,建設業は製造業よりも短期の工程管理

で大まかな予算で動くために,権限を持った 各現場監督者が組織化され,現場で統制する

力が大きいからと思われる。またその他の業

種はC倦も高いことから営業面で同業他社と の差別化を必要としているためと思われる。 さらに,EMとEPに弱い相関0.338が認められ るが,それぞれの評価得点は高くないため, 最も経費をかけずに環境配慮に取り組める業 種の集まりと考えられる。

製造業のICとEPに0.445の中程度の相関が

認められたのは,工場単位でEMにIC機能を

もたせ原価という単位まで割り出して積み上 げるという徹底的な管理をしているからと推 察する。 以上のことから,業種による取組みの違い は,例えば製造業では,計画性をもった高い

(7)

表4 優良企業と事業年数別の各評価得点

めの負の相関が日立つ。利益とEP・SPの最

大化のために効率の良い効果的なマネジメン トが徹底されているためと思われる。 最後に規模別,業種別,ベストプラクティ スで見てきたように,パフォーマンスの高い

企業はコミュニケーションカが高いと言え

る。

3.5 事業年数別の分析

長年,企業の寿命は30年と言われてきたが

(帝国データバンク:2009,日経ビジネス

2009/10/12),企業の寿命は延びている。持 続可能性の高い企業と長寿企業は重なり合う

部分が多いと仮定し分析をしたところ,評価

点数では優良企業と並ぶICの強さと優良企業

を越えるEPが認められた。これは,事業年

数の経過とともに内部統制力が高め成果をあ げられる組織に変化する可能性が高いことを 示す。今回の調査における平均事業年数は48 年で,7社の百年企業はいずれも中堅企業で

大企業は含まれていない。これは日本の長寿

企業のほとんどが中小企業であることとつな がる。 帝国データバンクによると,企業の寿命は 30年といわれる根拠は,会社設立後30年に成 長力の断絶がみられるためである。企業が目

指すところは永続である。そのためには,そ

の組織を「変態」させ,組織のライフサイク

ルを再び成長に向かわさせなくてはならな

い。今回の調査企業の平均事業年数からは,

そうした問題を乗り越えた成熟した企業が多 いと言える。

3.6 独立変数との相関

ここでは,強いもしくは中程度でも1%水

準で有意を示す相関係数のみ扱う。51∼100

人の企業の「環境教育」とEPの相関は評価

得点からも部分的に有効なEMとEPの関係が

伺える。201∼乙000人の企業では,「CO2削

減」と「廃棄物削減」に相関が認められた

が,管理上の相関は見られないため,この親 模の企業になると,外部的にも両方の管理を

個別に行うことが求められていると思われ

件数 lC EM EP SP total C 評伝配点 20 16 12 56 全平均 13.77 10.57 7.41 4.95 36.70 9.72 ベ ス ロ ベスト非製造 15 15.45 11.65 8.58 5.64 41.32 10.03 彙 敢 別 100年− 7 15.43 10.57 8.71 4.57 39.29 9.86

事 年 ト30年 40 13.48 10.25 6.73 4.70 35.15 9.65 31・}60年 55 13.16 10.62 7.02 4.80 35.60 9.71 61∼99年 41 13.93 10.10 7.05 4.46 35.54 9.88

表5 優良企業の有意な相関係数

lC:EM lC:EP lC:SP EM:EP ベ ス −0.696−▲ ト −0.518★ 事相関は5%水準で有意 =相関は1%水準で有意 解析ソフト5PS5 も,ベスト製造業は高い内部統制力下のイン ベントリ分析と計画的に積み上げたものを原

価単位で割り出すため,一定以上の成果は直

接利益につながらず避けたい意向が負の相関 に現れたとも考えられる。 一方,ベスト非製造業では,業種別で見ら

れたICとEMの相関は認められず,EMとEP

の間に−0.518という業種別で認められたもの

とは逆の相関が認められた。EPの評価の高

さはその他の業種が寄与しており,独立変数

の相関分析の「PDCA参加」と「EP」,「環

境管理指標設定」と「生物多様性の取組み」 に負の相関があることからも,計画は得手で はないことを示している。製造業と比べ詳細 な計画性に乏しい分,先の見通しが立たない

中でのEMの年間予想管理は,元来不得手で

あると推察する。

以上のように,優良企業群のICとEP,EM

とEPの相関分析では,相関係数が高く,強

(8)

産研論集 No.41 74

表6 独立変数との有意な相関係数

の強さに依存するだけでなく,企業にとって 環境管理に取り組むことは難しい事ではない ことも示している。 中小企業は,経営理念等を共有し,取引先 との交流を重視しながら,同業者と協力し合 って活動している。しかし,大企業や優良企 業に対して内部統制の評価得点で劣るのは, 「社員からのコミュニケーション」と「リス クマネジメント」の弱さが原因である。 「CO2削減取組み」や社会貢献にも有効な 「環境教育」はコミュニケーションを活性化 させ,社員の士気向上になり,結果として企 業のサステイナビリティにつながる。 今後業種間の差異を明らかにし,日常の活 動で協力関係にある同業者組織を巻き込み, 広く地域社会と関わりを持つことによって. 「環境教育」のように.1社では実施が難し いことも可能になり,結果として環境管理が 向上し,社会全体のサステイナビリティに寄 与することが期待できる。 謝 辞 本研究は大阪大学 サステイナビリテイ・サイエンス 研究機構(RISS),北海道大学サステイナビリテイ・ガ バナンス・プロジェクト(SGP)の両方の支援を得て調 査可能になりましたことを深く感謝いたします。 補 注 1)J−SOX.金融庁datapage,http://wwwJsa.go.jp/singi/ SlngLkigyou/siryou/naibu/20061106/Ol−02.pdflO/ 05/2010referred. 2)CSR.経済産業省datapage,http://www.meti.go.jp/ policy/economic_industrial/press/0005570/0/040910 CSr,pdf.10/05/2010referred. 3)GRIreportingframework,GRIInitiative.datapage, http://www,globalreporting.org/NR/rdonlyres/3E2 CB933−C24D−4CB2−BA64−OC8C4779220E/0/G3−RG.pd f.10/05/2010referred. 4)SMEDefinition.europeanCommision,Enterprises andIndustry http://ec.europa.eu/enterprise/policies/sme/facts一点 gures−analysis/smeTdefinition/index_en,htm,10/05/ 2010referred. 5)日本能率協会「第12回新任役員の素顔に関する調査」結 果「新任役員の素顔に関する調査」, http://wwwJma,Or.jp/news_CmS/upload/release/ 規 模 別 20ト2000人 環境教育:生物多様性

2008人以上 0.8糾H 0.836★

環境会計:CO2削減 菓 0.418●● 種 環境会計:CO2削減 別 0.510★● 環境教育:SP 環境教育:lC ベ ス ト ■相関舶乳水準で有瑳 ●■相関はl%水車で有意 解析ソフトSPSS る。2,000人以上の企業では「環境教育」と SP,「環境教育」と「生物多様性」に強い相

関が見られ,評価得点から「環境教育」は特

にEPに重要と推察する。 業種別では,製造業とその他の両方に, 「CO2削減」と「環境会計」に相関が認めら

れ,部分的なEMとEPの関係を意味するが,

評価得点から製造業はコストと効果を金額と

物量の両方から管理する高いレベルで,その

他は低いレベルでの相関と考えられる。

以上の辛から,製造業は「CO2削減」に環

境会計を取り入れ.51∼100人,2,000人以上

の企業では「環境教育」で成果を上げ,特に 2,000人以上の企業では」「CO2削減」に有効

のようである。また,「環境教育」が最も効

果的であることはすでに証明されている(豊 澄,2007)。

4 まとめと今後の課題

北海道のEMS認証取得企業の特徴を企業の

内部統制と環境管理を中心に分析した結果, 中小企業のサステイナビリティ実現のために 一番重要なことは,内部続制の充実であるこ

とが明らかになった。このことは,長寿企業

の内部統制の強さにも見られた。

製造業の「内部統制と環境成果」の相関

や,その他の業種の「内部統制と環境管理」 との有意な相関は,環境管理はその内部統制

(9)

release20090804_fOOO53.pdf.30/04/2010referred.

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