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紙パルプ産業の地域集積 利用統計を見る

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紙パルプ産業の地域集積

目 次 はじめに Ⅰ 紙パルプ産業の地域集積 . 紙産業の史的発展と地域集積 . 紙パルプ産業の地域集積の特徴 . 紙パルプ産業の地域集積の 類型 Ⅱ 紙パルプ産業の集積拠点 . 紙パルプ産業の二大集積拠点 . 静岡県における紙パルプ産業の集積と特徴 . 愛媛県における紙パルプ産業の集積と特徴 Ⅲ 紙産業クラスターの形成とイノベーション . 日本一の紙パルプ産業の集積拠点 . 条件不利地域における紙パルプ産業の集積 . 紙産業クラスターの形成とイノベーション おわりに

は じ め に

小論は,紙パルプ産業研究の一環として,紙パルプ産業の地域集積の特徴を 明らかにしようとするものである。 紙パ産業の地域集積の第 の特徴は,全国各地に集積していることである。 製紙技術が日本に伝来した西暦 年頃から,様々な改良を加えられながら手 漉き和紙の技術が確立し,和紙の生産が開始されたことから,全国各地に産地 が形成された。中国から伝来した手漉きによる製紙技術は,日本に自生する三 椏・楮等を原料として取り入れて改良されながら,全国各地に伝わっていっ

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た。また,明治以降は,手漉き和紙に加えて,ヨーロッパから機械抄紙技術が 導入され,手漉き和紙産地や製紙産業の立地条件に恵まれた地域に近代的な製 紙工場が建設されていった。 第 の特徴は,紙パルプ産業の集積地域を大きく分けると,内発型発展をし た地域と誘致外来型発展をした地域とに分けることができることである。前者 は歴史的に集積した手漉き和紙の産地が近代的な機械抄紙技術を導入したり, 多様な紙加工業を創出させながら,紙パルプ産業が集積した地域である。また, 都市近郊にはニーズ志向型の集積がみられる。都市がもたらす多様な紙製品に 対するニーズが,紙パルプ産業の集積をもたらした。 他方,誘致外来型集積をした地域は域外の大企業の製紙工場が立地したこと が契機となって紙パルプ産業が集積した地域である。苫小牧市や釧路市がその 典型であり,近代的機械抄紙工場が立地して紙パ産業が集積した地域である。 王子製紙や日本製紙等の大企業の製紙工場が立地して木材チップからパルプ・ 製紙一貫工場が立地した地域であり,大企業の製紙工場が立地した地域であ る。内発型発展をした地域は大企業の製紙工場だけでなく紙加工業を営む多数 の中小零細企業が集積しているのに対して,後者は大企業の製紙工場が立地し た地域であり,生産高が大きいが,事業所数が少ないのが特徴である。 第 の特徴は,製紙企業の多様性であり,製紙関連企業は大企業から中堅中 小企業,さらに,零細企業まで存在することである。木材チップからパルプ・ 製紙一貫工程は「規模の経済」が働きやすい分野であるが,紙製品加工業は製 品点数が多種多様なことから零細企業でも参入することが可能である。加え て,戦後の化学工業の発達は合成樹脂・合成繊維等,従来の天然繊維とは全く 異なる繊維素材を市場に投入した(素材革命)。紙パルプ産業は,素材革命の 成果である合成繊維を活用して多様な紙製品加工業を誕生させた。紙パルプ産 業は装置型産業であり,「規模の経済」が働きやすい産業であるが,中小零細 企業から王子製紙や日本製紙のような大企業まで,多数の企業が存続し,製紙 工場も全国各地に点在している。素材型産業であっても,製鉄・化学等の素材

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型産業が大規模な工場が特定の地域に集積しているのに対して,紙パルプ産業 は手漉き和紙から機械抄和紙・機械抄洋紙に至る製紙工場が全国各地に分散し ている。 紙パルプ産業の中でも,木材チップからパルプ・製紙工程(一次加工)は資 源エネルギー多消費型産業であり,大規模な製紙工場は広大な工場用地や大量 の水資源の確保が容易で,輸入木材チップの搬入に便利な港湾を備えた臨海工 業団地,すなわち,遠隔地に分散立地する傾向が強い。他方,紙製品加工工程 (二次加工)はユーザーに隣接した都市圏周辺地域に立地する傾向が強い。) 紙パルプ産業の代表的な集積地域として静岡県と愛媛県とがある。両県は紙 パルプ産業の二大産地を形成している。小論の課題は,主として日本における 二大製紙産業集積地である静岡県と愛媛県,あるいは,富士市と四国中央市と を対比しつつ,紙パルプ産業の地域集積の特徴を明らかにしようとするもので ある。まず第 節においては,紙パルプ産業は全国各地に分散立地しているこ とを明らかにする。第 節では,紙パルプ産業の二大集積拠点である静岡県と 愛媛県とを対比しつつ,両県における紙パルプ産業集積の特徴を明らかにす る。第 節では,上記と重なるが,市町村別ではトップ産地である愛媛県四国 中央市と静岡県富士市における紙パルプ産業の集積を対比させつつ,その特徴 )このため,一見すると,紙パルプ産業の地域集積には一定の法則性がなく,全国各地に 分散的に集積しているように見える。高度成長期の工業開発政策によって立地したものも 一部にあるが,紙パルプ産業の集積地域は歴史的に形成されたものが多く,大きく つの タイプに分けることができる。 つは,資源志向型立地であり,木材資源や水資源に恵ま れた農村地域に立地する傾向がみられる。とりわけ,手漉き和紙の段階では,生産規模が 大きくないから,原料となる三椏・楮等の森林資源の豊富な山間地や紙漉きに適した水資 源が確保できる農山村に立地した。また,手漉き和紙の製造は,冬季の農閑期の副業とし て行われたから,農山村で行われた。機械抄紙技術が伝来し,近代的な製紙工場が建設さ れるようになると,大量生産に必要な木材資源と水資源の確保,船による物流を可能にす る港湾機能の確保が重要な立地要因となった。水資源と港湾機能を備えた臨海工業団地に 大手製紙メーカーの工場が立地したタイプであり,誘致外来型発展をした地域である。こ れらの地域の特徴は,大規模一貫製紙工場が立地していることであり,木材チップからパ ルプ・製紙の一貫工場が立地している。もう つは,ニーズ志向型立地であり,ユーザー に近い都市近郊に集積したものであり,多様な紙製品加工業が集積している。印刷用紙の 納入や紙器メーカーがその典型であり,紙の二次加工メーカーが都市近郊に集積する。

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を明らかにする。

Ⅰ 紙パルプ産業の地域集積

. 紙産業の史的発展と地域集積 紙パルプ産業の地域集積の特徴を挙げると,第 に,全国的な立地がみられ ることである。紙パルプ産業の集積の大小を問わなければ,南は鹿児島から北 は北海道までほとんど全ての都道府県において集積を確認することができる (図表 参照)。 手漉きによる製紙技術が中国から朝鮮半島を経由して日本に伝えられたのが 西暦 年頃であり,紙パルプ産業の全国的集積は古くから全国各地において 紙が漉かれていたことを反映したものであろう。日本に伝来した製紙技術は, 技術的改良を加えながら全国各地に伝えられた。すなわち,製紙技術は,まず さいりん 中国において紀元前 世紀頃に発明され,後漢時代 年頃に蔡倫が,製法を 改良して確立したといわれている。手漉きの技術が日本に伝播されたのは どんちょう 年頃であり,高句麗を経由して曇 徴)が日本に伝えたといわれている。伝来 当初は原料として麻を使用していたが,製法を改良して楮・三椏やガンピ(雁 皮))など日本在来の植物繊維を原料として使用し,独自の手漉き和紙として 発展した。紙は書写材・包装・吸収の つの機能をもつと言われるが,初期の 紙は主として書写材として利用され,貴重品であった。原料となる三椏・楮等 は山地の多い日本では比較的容易に入手可能であったから,全国各地で手漉き 和紙の生産が行われた。江戸時代になると各藩は殖産興業政策を推進し,農民 に農閑期の副業として手漉き和紙の生産を奨励した。 他方,機械抄紙技術は明治維新後ヨーロッパから導入され,財閥系企業を中 心に製紙工場が建設された。当初はボロ布や麻を原料として使用していたこと から,初期の製紙工場は都市近郊に立地した。その後,木材チップから繊維を )高句麗の僧で日本に帰化し,紙・墨の製法を伝えたと言われている。 )ガンピ(雁皮)はジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木である。

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0 400km 800,000 500,000 200,000 工業出荷額(百万円) 取り出して紙を漉く技術が確立され,製造設備も大型化してくると,製紙工場 は製紙原料となる木材資源の豊富な北海道や原材料・製品の搬出入や大量の工 業用水の確保が容易な臨海部に立地するようになる。 機械抄紙技術の導入が拡大されるのに伴って,手漉き和紙の生産は次第に減 退するようになる。)四国中央市のように,手漉き和紙産地の中でも機械抄紙に 転換した産地は持続的な発展経路をたどることになるが,機械抄紙技術の導入 に失敗した産地の多くは衰退の運命をたどることになる。 )手漉き和紙の生産は,明治・大正期に機械抄洋紙の生産拡大に反比例して減少し,手漉 き和紙の産地は次第に衰退することになる。 図表 紙パルプ産業の都道府県別集積(’ ) (出所)『工業統計表』 年版より作成。

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このため,紙パルプ産業は日本の基幹産業である自動車産業や電機機械産業 と比べると相対的に分散立地している。 年版の『工業統計表』により業種 別の上位 都道府県への集中度をみると,輸送用機械器具製造業では .%, 電機機械産業では .%も占めるのに対して,紙パルプ産業の場合は .% にとどまっている。自動車・電機産業では寡占化が進行しているうえ,組立工 程を担う大企業を頂点として多数の部品加工メーカーが協力会社を構成するピ ラミッド型の構造を形成するから,特定の大企業の中核工場が集積している地 域の集中度が高くなるからである。他方,紙パルプ産業も寡占化の傾向がみら れるが,まだまだ中小企業も存立し,全国的に分散立地している。加えて,一 次加工を担う大企業の製紙工場と独立して多種多様な加工メーカーが展開して おり,製紙会社と紙加工メーカーとの間に従属関係がほとんどない。また,紙 パルプ産業は用地・用水型産業であり,原料を輸入木材チップに依存するよう になると,立地条件の恵まれた地方圏に工場を分散立地する傾向がみられるか らである。 もちろん,企業別にみると,「規模の経済」が働く木材チップ・パルプ・製 紙の一貫工場は生産の集積・集中が進行しており, 年現在,上位 社で 紙・板紙生産全体の .%,上位 社では 分の ( .%)も占める。紙 パルプ産業の特徴は,少数の大企業群と大半を占める中小零細企業群とから構 成されているところにある。 . 紙パルプ産業の地域集積の特徴 紙パルプ産業は全国的に集積しているが,上位 道県に全体の半分以上が 集積している。上位 道県では 割近くを占める。集積度の大きい都道府県を 挙げると,静岡・愛媛・埼玉・愛知県および北海道であり,上位 道県で全体 の .%を占めている。このうち静岡県は, 年現在,事業所数 ,従 業員数 , 人,製造品出荷額 , 億円にのぼり,日本全体の .%も占 め,一貫して日本の紙パルプ産業の代表的な集積地域である。富士山麓に位置

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し,原料となる木材資源及び水資源に恵まれたことから早くから手漉き和紙の 製造が開始されたこと,加えて,首都圏と中部・近畿圏という日本最大の消費 地の間に位置したことが紙パルプ産業の集積を促したものと推測される)(図 表 , 参照)。 静岡県に次いで紙パルプ産業が集積しているのは愛媛県であり,事業所 , 従業員数 , 人,製造品出荷額 , 億円にのぼり,日本全体の .%を占 める。愛媛県の人口は 万人( 年国勢調査)であり,愛媛県経済は % 経済といわれているが,紙パルプ産業は愛媛県の製造業全体の .%近くも 占める。静岡県と愛媛県を合わせると全国の約 割( .%)も占め,この 県が代表的な紙パルプ産業の集積拠点であることがわかる。 )静岡県の人口は 万人( 年国勢調査)を数える。同県は四国 県を合わせた人口 ( 万人)を擁し,重化学工業が集積し, 年の製造品出荷額は 兆 , 億円,愛 媛県( 兆 , 億円)の 倍を超える(『工業統計表』より)。 都道府県 製造品出荷額 比 率 静 岡 県 , . 愛 媛 県 , . 埼 玉 県 , . 北 海 道 , . 愛 知 県 , . 大 阪 府 , . 兵 庫 県 , . 神奈川県 , . 宮 城 県 , . 岐 阜 県 , . 小計 , , . 合計 , , . 図表 紙パルプ産業の都道府県別集積(’ ) (単位:百万円,%) (出所)同上。

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0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000 900,000 静岡県 愛媛県 埼玉県 北海道 愛知県 大阪府 兵庫県 神奈川県 宮城県 岐阜県 製造品出荷額等( 百万円) 愛媛県は,静岡県とは対照的に,紙パルプ産業が集積するには条件不利地域 である。四国(離島)にあって域内市場が狭隘であること,土地・水資源に恵 まれないこと,瀬戸内海に面しているために排水規制が厳しいこと,日本列島 島の中で社会資本の整備が最も遅れていること,そして何よりも大消費地で ある首都圏や中部・近畿圏から遠隔地にあり,輸送コストが嵩むこと等,紙パ ルプ産業が集積するには条件不利地域である。条件不利地域であるにも拘わら ず,静岡県に次ぐ全国第 位の紙パルプ産業集積拠点を形成しているところに 特徴がある。 . 紙パルプ産業の地域集積の 類型 紙パルプ産業の集積地域は, つのタイプに分けることができる。 つは, 内発型発展をした地域である。当該地域の特徴は,地域企業を主体として多様 な紙製品の加工業が歴史的に集積していることであり,製品加工型あるいは二 図表 紙パルプ産業の都道府県別集積(’ ) (出所)同上。

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次加工型産地である。製品加工型立地は市場立地型でもあり,都市近郊に集積 する傾向が強い。その典型的なものは紙加工・卸業や印刷業である。印刷業は 都市型産業であり,印刷用紙を供給する紙加工・卸業は都市近郊に集積する傾 向が強い。紙加工・卸業者は,製紙工場から購入した印刷用紙を,注文に応じ たサイズに裁断して納入する。もう つの典型は,紙器製造業である。紙は包 装資材の代表的な素材であり,包装容器としての紙器は,包装する商品に合わ せて多種多様な形状のものが必要になる。ユーザーの注文に応じて特注品の紙 器を生産するために,紙器加工業はユーザーの多い都市近郊に立地している。 こうした紙製品加工業は零細な中小企業の場合が多く,大規模なパルプ・製紙 一貫工場と対照的に都市近郊の内陸部に立地している。いわば都市型立地であ り,大都市圏とその周辺地域である埼玉・静岡・愛知・兵庫・神奈川県及び大 阪府の紙パルプ産業の集積度が相対的に大きいのはこのためである。 もう つは,誘致外来型発展をした地域である。木材チップからパルプ・製 紙一貫工場が集積した地域であり,素材生産型あるいは一次加工型の産地であ る。機械抄洋紙の本格的な生産拡大に対応して木材資源・水資源の確保や物流 に恵まれた臨海部に新たに製紙工場が建設されて発展した地域であり,資源立 地型集積がみられる地域である。新しい製紙工場は,パルプ・製紙一貫工場が 必要とする工業用地・工業用水の確保,さらには,輸入木材チップの陸揚げや 製品搬出のための港湾施設が整った臨海工業地帯に形成される傾向が強い。明 治末期から大正・昭和初期に今日も操業を継続している製紙工場が臨海部に建 設された。王子製紙㈱の苫小牧工場( 年),前田製紙(当時)の釧路工場 ( 年),)富士製紙㈱(当時)の釧路鳥取工場( 年),日本製紙㈱の石巻 )前田製紙は (明治 )年に貴族院議員・男爵・前田正名が中心となって設立され たものであり,資本金 万円,北海道で最初のパルプ工場(亜硫酸パルプSP)である。 年に操業開始したが,パルプ販売不振や設 備 不 良・操 業 不 調 に よ る 経 営 難 に 陥 り, (明治 )年に富士製紙㈱が出資する北海紙料㈱に改組された。前田製紙の清算 終了を受けて, (明治 )年に富士製紙㈱直営の「第四工場」とされたが, (大 正 )年 月 日に機械室から出火し,工場は全焼した。

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工場( 年)・岩国工場( 年)・八代工場( 年)等が臨海部に建設 された。これらの地域では大企業の木材チップ・パルプ・製紙一貫工場が立地 し,紙製品の生産量は大きいが,製紙関係事業所数が少ない。紙製品の二次加 工を行う中小零細企業の集積が少ないからである。これらの地域では特定企業 の「企業城下町」が形成される傾向が強く,資源立地型という意味で農村型立 地である(図表 参照)。 ところで,地方圏の紙パルプ産業集積地域は農村型立地であり,パルプ・製 紙一貫工場が立地している場合が多いが,手漉和紙産地として出発しながら近 区 分 市町村名 事業所数 (所) 従業員数 (人) 製造品出荷額 事業所当り 出荷額 金額 比率 全 国 , , , , , 紙 加 工 型 四国中央市 , , . , 富 士 市 , , . , 東 大 阪 市 , , . 春 日 井 市 , , . , 静 岡 市 , , . 富 士 宮 市 , , . , 高 岡 市 , . , 尼 崎 市 , , . , 一 貫 工 場 型 石 巻 市 , , . , 苫 小 牧 市 , , , 八 戸 市 , , . , 釧 路 市 , . , 岩 国 市 , , , 阿 南 市 , . , 米 子 市 , . , 明 石 市 , . , 図表 類型別市町村別紙パルプ産業の集積(’ ) (単位:百万円,%) (出所)同上。

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代的な機械抄紙技術を導入して多様な紙パルプ産業の集積地域として発展した ケースがある。愛媛県四国中央市がそれである。同市は地方圏の産地であり, 手漉き和紙産地としては後発産地であった。紙漉きが開始されたのは 世紀 半ば頃からであり,土佐和紙 年や阿波和紙 年の歴史と比べると後発 産地であった。大正期になると,機械抄紙技術を導入して近代的な紙パルプ産 業の集積地として発展した地域であり,パルプ・製紙一貫工場と多種多様な紙 製品加工業とが集積しているところに特徴がある。)同市の紙パルプ産業は「切 手と紙幣」を除くあらゆる紙製品を製造することができると言われている。手 漉き和紙は,生産規模も小さく,三椏・楮等の原料と水資源確保が容易な内陸 部に立地し,近代的な機械抄工場の建設地としては適していなかったから,多 くの手漉き和紙の産地は近代的な機械抄紙が拡大され始めると,大正期をピー クに衰退していった。)

Ⅱ 紙パルプ産業の集積拠点

. 紙パルプ産業の二大集積拠点 先に述べたように,都道府県別に紙パルプ産業の集積状況をみると,静岡県 と愛媛県における紙パルプ産業の集積が大きく,二大産地を形成していること が分かる。両地域合わせると,事業所数 ,従業員数 万 , 人,製造品 出荷額 兆 , 億円,日本全体の約 割( .%)も占めている。 )四国中央市産業活力部産業支援課『四国中央市工業振興ビジョン』 年, ∼ ペ ージ。 )愛媛県喜多郡旧五十崎町(現内子町)を中心とする地域は手漉き和紙の産地として発展 し, (明治 )年には大洲産紙改良同業組合が設立され,組合員数は を数えた。 同組合の区域は喜多郡,上浮穴郡小田,伊予郡中山町である。また,同組合の製紙戸数は ピークの (大正 )年には , 戸を数えた。五十崎町は,四国山脈から原料となる 三椏・楮等を入手することが容易であり,小田川流域に位置して豊富な水資源に恵まれた からである。五十崎町は藩政時代には大洲藩に属し,藩の紙取扱所が設置されていた。今 日でも手漉き和紙工場としては日本一を誇る㈱天神産紙工場(創業 年,設立 年, 資本金 , 万円,従業員 名, 年 月期売上高 , 万円)が往事の活況を物語っ ている(㈱天神産紙工場ホームぺージ,http://www.ikazaki.ne.jp/crafts/t-index.htm,村上節太 郎『伊予の手漉き和紙』東雲書院, 年, ページ)。

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しかし,紙パルプ産業の集積地域として両地域には大きな違いがある。その 第 は,両地域の産業立地条件が対照的に異なることである。前者は,東海地 域の中心部にあり,大消費地である首都圏と中部・近畿圏との中間に位置して いる。新幹線・東海道本線や東名自動車等の社会資本の整備が進み,嵩張る紙 の搬送に有利である。他方,愛媛県は遠隔地にあって大都市圏市場から遠く, 輸送コストが静岡県に比べて大きくならざるをえない。しかも,瀬戸内海式気 候の愛媛県は日本の中では降水量が少なく,水資源が貧困であり,用水型の紙 パルプ産業が集積するには大きなハンディがある。 第 に,地域産業に占める紙パルプ産業の地位が大きく異なることである。 静岡県には紙パルプ産業の他に,輸送機械・化学・一般機械産業が集積し,紙 パルプ産業の地位は決して大きくない。紙パルプ産業は静岡県の製造品出荷額 全体( 兆 , 億円)の .%を占めるにすぎず,特化系数は .( 年) である。他方,愛媛県は地方圏の中では化学・電気機械・非鉄金属などが相対 的に早くから集積しているが,)工業集積の度合は静岡県と比べて小さく,その 結果,紙パルプ産業の地位が相対的に大きい。 年現在,紙パルプ産業 ( , 億円)は県の工業出荷額全体( 兆 , 億円)の .%も占め,特 化係数は . である。年によって異なるが,愛媛県においては,紙パルプ産業 が基幹産業としての地位を占めている。紙パルプ産業の絶対的大きさにおいて は静岡県の方が優位であるが,製造業全体に占める相対的地位は愛媛県の方が 大きい(図表 , 参照)。 第 は,紙パルプ産業の内実が大きく異なることである。静岡県においては 量産型のトイレットペーパーやティッシュペーパーが大きな地位を占めている のに対して,愛媛県は遠隔地にあることから高付加価値化を追求し,多品種少 量生産型の紙製品の占める割合が大きい。これは,両県の紙パルプ産業の付加 )愛媛県新居浜市は元禄時代から住友家によって別子銅山が開発され,銅精錬事業から発 展した非鉄金属工業,亜硫酸ガスの回収事業から誕生した肥料・化学,鉱山事業から発展 した重機械工業が集積し,高度成長期には日本有数の地方工業都市として発展していた (星島一夫編著『新居浜産業経済史』 年)。

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5% 28% 12% 9% 7% 7% 4% 4% 3% 3% 3% 2% 2% 2% 1% 1% 1% 1% 1% 3% パルプ・紙・紙加工 輸送機械 電気機械 化学工業 飲料・たばこ・飼料製造 食料品 プラスチック 情報通信機械 生産用機械 非鉄金属 金属製品 はん用機械 業務用機械 鉄鋼業 電子部品・デバイス ゴム 窯業・土石 出版・印刷 繊維工業 その他 パルプ・紙・ 紙加工 非鉄金属 輸送機械 石油・石炭 化学工業 食料品 生産用機械 繊維工業 電子部品・デバイス 鉄鋼業 はん用機械 プラスチック 電気機械 金属製品 飲料・たばこ・飼料製造 窯業・土石 木材・木製品 出版・印刷 家具・装備品 ゴム 業務用機械 14% 16% 14% 10% 11% 7% 5% 3% 3% 3% 3% 2% 2% 2% 1% 1% 1% 1% 0% 図表 静岡県の業種別製造品出荷額(’ ) (出所)同上。 図表 愛媛県の業種別製造品出荷額(’ ) (出所)同上。

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価値率を比較すれば,明らかである。静岡県の従業員 人当たり粗付加価値額 が 百万円であるのに対して,愛媛県の場合には . 百万円,約 割も大き い。静岡県は首都圏と中部・近畿圏の間にあり,大消費地に近い。紙は嵩張る から,輸送コストが大きい。大消費地に近い静岡県がトイレットペーパーや ティッシュペーパーに優位性を有するのは地の利を活用したからである。他 方,愛媛県は大消費地から遠隔地にあり,輸送コストを考慮して効率的な物流 体制を構築するとともに,付加価値の高い紙製品を開発してハンディを克服し てきた。そのため,愛媛県の製紙会社の経営者達は,合成樹脂の登場とともに 早くから特殊紙・機能紙に関心を持ち,自主的な研究会(機能紙研究会)を組 織して試行錯誤を重ねてきた。その結果,紙パルプ産業集積地の中でも,特殊 紙・機能紙に強味を発揮し,かつ,既存の紙製品についても絶えず新機能を開 拓する努力を重ねてきた(図表 参照)。 第 は,第 点と関連するが,愛媛県の紙パルプ産業においては,素材革命 の成果を活かした特殊紙・機能紙 )やその製品化に取り組む姿勢が強いこと である。 年から開始した地域の中小企業の経営者・技術者,紙業試験場 (現愛媛県紙産業研究センター),四国工業試験所や大学の研究者との自主的な 研究会である機能紙研究会は, 年には特定非営利活動法人としての認可 を得,全国学会として活動している。地域の地場産業の経営者や技術者が主体 となって組織した研究会が全国学会として成長した例は他になく,当該地域の )特定非営利活動法人機能紙研究会の稲垣寛会長は,「機能紙とは高い機能性を発揮する 紙の総称」であると規定している。一般的には紙は「植物の繊維を水中で密にからみ合わ せ,薄く平面状にのばして乾燥したもの」(『大辞林』三省堂, 年)と規定されている が,稲垣によれば,原料を天然繊維に加えて合成繊維・金属繊維・無機繊維等を加えるこ とによって,紙の機能性が格段に拡大し,「機能紙」の概念が確立した。また,稲垣は「機 能は消費者の求めている性能と解釈することができる。消費者の用途に最も必要としてい る機能を紙の分野で提供することが機能紙に携わる者の使命である。」と指摘している(機 能紙研究会・小林良生編著・藤原勝壽・森川隆・紀伊町子編『最新機能紙総覧』改定版, 年,「発刊のあいさつ−機能紙概説−」)。なお,『機能紙総覧』は日本において生産さ れている機能紙の種類と生産量を把握することを目的としたものであり,機能紙の分類と 全体像を明らかにすることによって当該分野の基礎的知的共通資本財としての性格を持つ ものである。

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製紙会社の経営者の革新的な姿勢を確認することができる。) . 静岡県における紙パルプ産業の集積と特徴 静岡県において紙の生産が開始されたのは奈良時代にさかのぼるといわれて いる。紙漉きに適した良質の軟水,楮・三椏等の製紙原料が豊富であったから であり,江戸時代には「駿河半紙」と呼ばれる高品質の紙が漉かれていた。明治 中期になると,機械抄紙技術が導入され,和紙の生産も機械化されたことから, 手漉き和紙は衰退した。 (明治 )年に王子製紙が周智郡気多村(現浜 松市天竜区春野町)に立地したことが契機となって近代的な紙パルプ産業が発 展することになった。 (明治 )年には地元資本によって原田製紙㈱ ) )機能紙研究会は,「機能紙産業及びその関連産業に関する技術の進歩に寄与し,もって 機能紙産業の発展を図ることを目的」として 年に創立された。研究会は「世界で唯 一の機能紙に関する技術系団体として,機能紙研究発表講演会の開催,工場見学会の開 催,親睦会の開催,会誌や機能紙関連図書の発行,各種表彰など,機能紙振興についての 幅広い活動を実施」している。研究会は,紙産業関連の国公立試験研究機関,大学,機能 紙製造業界及びその関連業界(原料繊維,薬品メーカー等)で構成され,非営利の学術団 体として活動し, 年 月には「特定非営利活動促進法」に基づく「特定非営利活動法 人機能紙研究会」となった(http://e-kami.or.jp/HP/kinoushi/index.html)。 )原田製紙㈱は日本で最初に和紙生産を機械化したメーカーであり,紙ナプキンを生産し, その多くを輸出していた(http://museum.city.fuji.shizuoka.jp/hp/report/a - - - .html)。 項 目 全 国 愛 媛 県 静 岡 県 事 業 所 数 , 従 業 員 数 A , , , 現 金 給 与 総 額 , , , 原 材 料 使 用 額 等 , , , , 製 造 品 出 荷 額 等 B , , , , 粗 付 加 価 値 額 C , , , , 有 形 固 定 資 産 年 末 高 , , , , C / A . . C / B . . . 図表 愛媛県と静岡県の紙パルプ産業(’ ) (単位:所,人,百万円) (出所)同上。

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富士郡原田村(現富士市)に設立され,産地を形成することになった。) 年の工業統計によれば,静岡県の紙パルプ産業は,事業所 ,従業員 数 万 , 人,製造品出荷額が , 億円にのぼり,県全体の製造品出荷額 の .%を占め,工業特化係数は . である。紙パルプ産業の規模は大きい が,静岡県は日本の中枢工業地帯である東海地方に位置し,多くの重化学工業 が集積している。大きい順に挙げると,輸送機械( 兆 , 億円),電気機 械( 兆 , 億円),化学工業( 兆 , 億円),飲料・たばこ・飼料製造 ( 兆 , 億円),食料品( 兆 億円),情報通信機械( , 億円)で ある。その結果,静岡県の紙パルプ産業は全国的には大きな集積を示している が,県工業出荷額全体の中では相対的に低い地位にとどまっている。 このため,紙パルプ産業が県の基幹産業の地位を占めている愛媛県の場合と 比べて,県の産業政策の中では特に重要な位置に置かれていない。) 年に 策定された「静岡県経済産業ビジョン」によれば,県東部・中部・西部地域の 地域資源と特徴ある産業基盤を活かして「新産業集積クラスター」の連携推進 することを謳っている。すなわち,東部地域を中心としたファマルバレー(医 療・健康),中部地域を中心としたフーズ・サイエンスヒルズ(食品),西部地 域を中心としたフォントバレー(光・電子技術)の つの産業集積プロジェク トを,産官学の連携によって「静岡県新産業クラスター」として推進するとし ている。しかし,この「新産業集積クラスター」計画の中で都道府県レベルで )静岡県経済産業部商工業局地域産業課[ ],「データでみる静岡県の地場産業」(http:

//www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa- /documents/ datademiru.pdf)

)当該地域において重要な課題になっているのは富士山を「世界遺産」に登録することで あり,静岡・山梨両県と富士市をはじめとする富士山周辺市町村は富士山を世界文化遺産 に登録するための推進組織を立ち上げて取り組んでいる。 年 月には世界遺産登録候 補を示す「暫定リスト」に登録, 年 月には世界文化遺産への「推薦書」の原案を文 化庁に提出, 年 月には日本政府がユネスコに正式に「推薦書」提出,それを受けて イコモス(国際記念物遺跡会議)が富士山及びその周辺にある構成遺産の保存・管理状況 の調査を行った。そして, 年 月には世界遺産委員会で富士山の登録について審議さ れるものと期待されている(『広報ふじ平成 年』http://www.city.fuji.shizuoka.jp/hp/page /hpg .htm)。その一環として,製紙工場の煙突が世界遺産登録の支障に なるとして,その撤去が重要な政策課題になっている。

(17)

はトップ産地としての地位にある紙パルプ産業の振興については触れられてい ない。) . 愛媛県における紙パルプ産業の集積と特徴 年の工業統計によれば,愛媛県の紙パルプ産業は, 事業所,従業員 数 , 人,製造品出荷額 , 億円にのぼり,県全体の製造品 出 荷 額 の .%を占める。工業特化係数は . である。 紙パルプ産業の第 の特徴は,非鉄金属,輸送機械(造船),石油・石炭, 化学工業と並んで愛媛県の基幹産業であり,一貫して主要 産業の地位を占め ている。とりわけ,近年では,業種別にみるとトップ産業としての地位を占め ている。 愛媛県の紙パルプ産業の第 の特徴は,内発型発展をしていることである。 紙パルプ産業は事業所数,雇用者数,製造品出荷額においていずれも上位にあ る。紙パルプ産業と同様に主要産業である非鉄金属,輸送機械,石油・石炭, 化学に比べて,中堅中小企業が多く,大王製紙㈱や丸住製紙㈱のようなパル プ・製紙一貫メーカーだけでなく,多種多様な紙加工メーカーが集積している ところに特徴がある。 第 に,第 点と関連するが,製紙企業の大半は域内企業であり,出荷額レ ベルでみると,域内資本が .%を占めている。県産業全体でみると製造品 出 荷 額 全 体 の 約 半 分 を 県 外 資 本 が 占 め,石 油・石 炭( .%),非 鉄 金 属 ( .%),化学( .%),電気機械( .%),飲料・たばこ( .%)が 割から 割を占めているが,紙パルプ産業に占める県外資本の割合はきわめて 小さい(図表 参照)。 第 の特徴は,競争力が高いことである。図表 は,紙パルプ産業における 製造品出荷額について, 年を として指数化したものである。愛媛県 )静岡県経済産業部『静岡県経済産業ビジョン(成長戦略編)』 年 月, ∼ ペー ジ。

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0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 60 65 70 75 80 85 90 95 00 03 04 06 08 10(年) 指数1960=100 全国 愛媛県 業 種 事 業 所 従 業 者 出 荷 額 等 事業所数 比 率 従業者数 比 率 出荷額等 比 率 県外資本合計 . , . , , . 石 油 ・ 石 炭 . . , . 非 鉄 金 属 . . , . 化 学 . , . , 電 気 機 械 . , . , . 飲料・たばこ . . , . 紙 ・ パ ル プ . . , . 図表 愛媛県の製造業における県外資本事業所のシェア (単位:所,人, 万円,%) (注) . 年現在。 .愛媛県産業に占める県外資本事業所のシェアは 年版の『愛媛県の工業』まで 掲載されているが,それ以降は掲載されていない。 (出所)愛媛県[ ],『愛媛県の工業( 年版)』, ページより作成。 図表 愛媛県紙パルプ産業の競争力 (出所)『工業統計表』各年版より作成。

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0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 80 90 00 05 08 (年) シェア(%) 静岡県 愛媛県 埼玉県 北海道 愛知県 大阪府 兵庫県 神奈川県 岐阜県 茨城県 の紙パルプ産業の成長は, 年頃までは全国的な趨勢とほぼ同様の趨勢を 示している。しかし, 年代後半になると明らかに,全国の成長率に比べて 愛媛県の成長率が高く, 年には全国の指数 に対して愛媛県は指数 を示し,前者の約 倍である。さらに,全国の紙パルプ産業は 年の 兆 , 億円をピークに衰退傾向を示している(指数 )のに対して,愛媛県 の生産高は 年に最高 , 億円を記録し,指数も , 倍近い値を記 録している。 また,紙パルプ産業が集積している上位 道県の紙パルプ産業の製造品出 荷額の推移を 年から 年について見ると,全体として右下がりである のに対して,愛媛県は唯一右上がりのカーブを描いている。代表的な紙パルプ 図表 紙パルプ産業の地域集積の推移 (出所)同上。

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産業集積地域においても紙パルプ産業が衰退しているが,愛媛県のみ生産額を 増大させているところに注目する必要がある(図表 参照)。 愛媛県は,先に指摘した通り,紙パルプ産業が集積するには条件不利地域で ある。紙パルプ産業は用水型産業であり, トンの紙を漉くには トンの水 が必要であると言われている。水資源は紙パルプ産業が集積発展するには不可 欠の資源である。しかし,愛媛県の気候は降雨量の少ない瀬戸内海式気候であ り,水資源に恵まれない地域である。 このように愛媛県の紙パルプ産業は条件不利地域に集積しているにも拘わら ず,高い競争力を維持している。当該地域の紙パルプ産業の特徴はハンディを 克服するノウハウを蓄積しているからであり,ハンディをバネにして成長して いるところにある。

Ⅲ 紙産業クラスターの形成とイノベーション

. 日本一の紙パルプ産業の集積拠点 紙パルプ産業は,狭域に集積しており,地域集積の特徴を把握するには市町 村単位で把握した方が実態をより正確に把握することができる。 年の紙 パルプ産業の集積を市町村単位でみると,四国中央市( , 億円)が最も大 きく,次いで富士市( , 億円)である。第 位の苫小牧市の出荷額が , 億円,四国中央市の 分の に満たない。四国中央市と富士市が二大産地を形 成していることがわかる(図表 参照)。 この 市は,量的にはほぼ同規模の紙パルプ産業が集積しているが,その内 実はかなり大きく異なる。 その第 は,立地条件の違いであり,富士市は紙パルプ産業が集積する上で 条件の恵まれた地域であるのに対して,四国中央市は条件不利地域である。後 者は紙パルプ産業が集積する上で不可欠な土地・水資源が貧困であるうえ,社 会資本の整備が遅れていること,瀬戸内海に面し排水規制が厳しいこと,域内 市場が狭隘であること,大都市市場圏から遠隔地にあること等,条件不利地域

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0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 四国中央市 富士市 苫小牧市 春日井市 石巻市 八戸市 富士宮市 釧路市 岩国市 島田市 尼崎市 高岡市 阿南市 米子市 東大阪市 明石市 静岡市 市町村 出荷額(100万円) である。 第 は,四国中央市は紙パルプ産業が集積するにはハンディキャップ地域で あるにも拘わらず,富士市を上回る出荷額を記録していることである。)しか も,富士市の出荷額が減退傾向にあるのに対して,四国中央市の出荷額は増大 傾向を持続させている。 第 は,四国中央市の紙パルプ産業は,遠隔地にあり,輸送コストが嵩むこ とから,高付加価値製品を追求してきたことである。富士市は東西の大消費地 )四国中央市が紙パルプ産業集積のトップランナーとなったのは市町村合併( 年 月 日)の成果でもある。合併前の 年の市町村別紙生産額をみると,第 位は富士市 , 億円,第 位伊予三島市 , 億円,第 位川之江市 , 億円,第 位苫小牧市 , 億円であった。合併によって,第 位の伊予三島市と第 位の川之江市とが合併し, トップ産地となった。両市は元々隣り合った自治体であり,ともに人口約 万人,基幹産 業が紙パルプ産業であるというきわめて類似した都市であったからである。 図表 市町村別紙パルプ産業の集積(’ ) (出所)図表 に同じ。

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の中間に位置することから,量産型の紙製品に強味を発揮してきた。例えば, 年の富士市の紙生産量は全体で 万トンにのぼるが,そのうちトイレッ トペーパーは 万トン, . %も占める。また,富士市は全国のトイレット ペーパー生産高の .%も占める。他方,立地条件に恵まれない四国中央市 は量産品だけでなく,付加価値の高い紙製品の開発に早くから取り組んでき た。化学工業が合成繊維を市場に投入すると,それに対応して合成繊維を紙の 原料として活用する可能性について早くから検討を開始し,中小企業の経営者 や大学・公設試験研究機関の研究者を中心に「機能紙研究会」を組織して取り 組んできた。その結果,工業用特殊紙メーカーの三木特種製紙㈱は 年に は,レーヨンとビニロンの化学繊維を漉き込んだ障子の開発に成功した(商品 名ミキロン)。これを契機に,当該地域においては非植物繊維を製紙原料とし て活用する可能性を継続的に検討し,特殊紙・機能紙の開発とその製品化に意 欲的に取り組んできた。紙袋や紙紐などの伝統的な紙製品加工業から合成樹脂 に素材転換して業務用包装資材メーカーが誕生している。各種軽包装資材の トップメーカー福助工業㈱がその典型である。その結果,両市の紙パルプ産業 を比較すると,従業員 人当たり付加価値額は富士市 , 万円であるのに対 して,四国中央市は , 万円, . 倍にのぼる(図表 参照)。 第 は,多種多様な紙製品加工業が集積し,「切手と紙幣」を除くあらゆる 紙製品を生産していることである。富士市は段ボール箱や紙器の原料となる板 紙の生産高が全体の半分近くを占めるのに対して,四国中央市は板紙の割合が 分の 程度であり,紙が全体の 割近くを占める。とりわけ,四国中央市が 富士市と比べて圧倒的に多いのは新聞用紙(市全体の .%)と印刷用紙 ( .%)である。 両市の品種別紙・板紙生産高を比べると,両市の紙パルプ産業の違いがよく 分かる。 年の生産高は,富士市 万トン,四国中央市 万トンと, 後者の生産高が若干 ∼ %多い程度で,ほぼ同じである。しかし,その内訳 をみると,前者は板紙の割合が多く,半分近くを占めているのに対して,後者

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は板紙の占める割合は 分の 程度であり,紙の生産高が約 割を占めてい る。また,紙についてみると,前者が相対的に多いのは印刷用紙と衛生用紙で ある。富士市は大消費地に近く,板紙の割合が大きく,紙では衛生用紙,特に トイレットペーパーが相対的に多い。また,板紙の中では,段ボール原紙(全 国の .%)や紙器用板紙( .%)が相対的に大きなシェアを占めている (図表 参照)。 区 分 四国中央市 富 士 市 事業所数(所) 従業員数(人) , , 製造品出荷額(百万円) , , 粗付加価値額(百万円) , , 有形固定資産現在額(百万円) , , 従業員 人当たり粗付加価値額 (百万円) . . 区 分 全 国 生産高 富 士 市 四 国 中 央 市 生産高 割 合 全国比 生産高 割 合 全国比 紙 新聞巻取紙 , , , . . , . . 印 刷 用 紙 , , , . . , , . 情 報 用 紙 , , , . , . . 包 装 用 紙 , , . . , . 衛 生 用 紙 , , , . . , . . 雑 種 紙 , , . . , 小計 , , , , . . , , . . 板 紙 , , , , . . , . 合計 , , , , . , , . 図表 四国中央市と富士市の紙パルプ産業の比較(’ ) (出所)同上。 図表 四国中央市と富士市の紙・板紙生産高(’ ) (単位:トン,%) (出所)富士市役所,愛媛県紙パルプ工業会資料より作成。

(24)

他方,四国中央市は,板紙の割合が相対的に小さく,紙が全体の約 割を占 めている。紙の中では,新聞巻取紙( .%)と印刷用紙( .%)が大きな シェアを占め,両者で .%も占めている(図表 参照)。 . 条件不利地域における紙パルプ産業の集積 四国中央市は,市町村別紙パルプ産業の集積では,日本一の産地であるが, 紙パルプ産業が集積するには条件不利地域である。 まず第 に,四国中央市は製紙業に不可欠な水資源が貧困である。同市は平 野部が狭く,従って大きな河川がない。加えて瀬戸内海式気候のため,降雨量 も相対的に少ない。手漉き和紙が中心の場合には必要な水資源が限られていた が,近代的機械抄紙技術が導入され,生産規模が大きくなると水資源の不足が 顕在化することになる。大正期から昭和初期に機械抄紙技術が導入され,生産 量が増大し始めると水資源の不足が深刻化してきた。このため,製紙業界挙げ て水資源の確保に乗り出し,戦前から銅山川水系にダム建設運動を業界挙げて 取り組んできた。ダム建設は戦後になって実現し,柳瀬ダム( 年竣工, 貯水量 , 万㎥),新宮ダム(同 年, , 万㎥),富郷ダム(同 年, , 万㎥)の つのダムが建設され,水資源を量的に確保することがで きた。しかし,工業用水道料金は全国的にも高く, トン当たり 円であり, 富士市の . 円(基本使用料金 ))と比べると,約 倍である。 第 は,第 点と関連するが,土地の狭隘性である。住宅と工場が混在し, 工場用地の確保が重要な問題である。このため当地は遠浅の瀬戸内海に面して いることから,製紙スラッジやスラッジ灰の処理の必要性から海面埋立てを行 い,そうしてできた臨海工業団地に製紙工場が立地した。その結果,海運を活 用した原材料の搬入と製品搬出が可能になり,効率的な輸送体制を構築し,競 争力の重要な構成要素となっている。) )富士市資料。

(25)

第 は,社会資本の整備の遅れである。瀬戸内海を挟んで,対岸の中国地域 には山陽本線(複線)・新幹線,中国自動車道・山陽自動車が建設され,物流 基盤が整備されている。対照的に,四国側の在来線は単線であり,高速道路の 建設も日本列島の中では遅く,遠隔地であることも加わって,物流面で大きな ハンディを背負っている。 第 は,大都市圏市場から遠隔地にあることである。紙は嵩張り,輸送コス トが嵩む。しかも域内市場は狭隘であるから(四国は %経済といわれる), 市場は大都市圏に求めざるを得ない。) . 紙産業クラスターの形成とイノベーション 四国中央市は,域内企業を中心にパルプ・製紙一貫メーカーから多様な紙製 品加工業が内発的に発展し,典型的な紙産業クラスターを形成している。クラ スター(cluster)概念は,M. E. ポーター(M. E. Porter)が提唱した概念であり, 特定の産業を中心として原材料メーカー,機械メーカー,熟練労働者,業界団 体や産業支援団体等が集積してネットワークを構築し,高い国際競争力を蓄積 している状態をさしている。)M. E. ポーターによれば,クラスター概念のヒン

トは,A. マーシャル(A. Marshall, ∼ 年)の「地域特化産業」にあ る。A. マーシャルは,特定産業が地域に集積するメリット(集積のメリット) として,①熟練職種の集積の利益,②高度に専門化された機械の使用,③特殊 な熟練に対する地域市場の形成を挙げ,個別企業の技術水準や生産設備などの 内部経済(internal economy)に対して外部経済(external economy)のもつ競 争優位性を指摘した。) )臨海型立地を活用した海運によって輸送効率を高めている典型的な例は大王製紙㈱であ る。同社の紙製品の約半分は船で消費地に運ばれている。 )物流面のハンディは,中小企業を主体とした共同輸送,帰り便を活用した古紙の輸送等 の形で克服する努力をしている。又,臨海部に製紙工場を建設している大手 社は専用船 による木材チップの搬入,製品の搬出等,海運を活用している。 )M. E. Porter, On Competition, (竹内弘高訳『競争戦略論Ⅱ』ダイヤモンド社, 年, ページ)。

(26)

年現在,四国中央市には製紙・紙加工業を中心として,原材料問屋, 製紙機械,産地問屋,印刷,鉄工・機械・電気業,運輸業が集積し,全体で 事業所にのぼる。このうち機械抄製紙業 社が木材チップ・パルプ・製 紙一貫メーカーである。他方,紙製品加工業が 事業者も集積し,多種多様 な紙製品が加工されている(図表 参照)。 こうした製紙・紙製品加工業及び関連産業の集積に加えて,紙パルプ産業を 支える試験研究機関が整備されている。全国で つしかない公設の製産業研究 センター(愛媛・高知・岐阜・静岡県)の つである愛媛県紙産業研究センタ ーが域内に設置されている。さらに,NPO 法人化された機能紙研究会,日本 で初めての愛媛大学大学院農学研究科製紙特別コースが開設され,人材の養成

)A. Marshall, Principles of Economics, e, (水澤越郎訳『経済学原理』第 分冊,岩

波ブックセンター信山社, ページ)。 区 分 事業者数 製紙原料販売業 工業薬品業 手漉製紙業 機械抄製紙業 機械抄製紙関連業 紙加工及び紙販売業 紙販売 印刷・印刷関連業 合成樹脂製造業 鉄工・機械工具・電気業 運輸業 合計 図表 紙産業クラスター(’ ) (注)宇摩キー産業振興協議会加盟事業所。 (出所)http://www.ehime-iinet.or.jp/kamipa/kiigenryou. htm

(27)

と次世代型紙素材の開発に取り組んでいる。また,愛媛県と高知県の紙産業技 術センターは独立の紙専門研究センターであるが,静岡・岐阜県のそれは産業 技術センターの一部門としての製紙研究科である。研究員も愛媛県の 人に 対して,高知 人,富士 人,岐阜 人にとどまっている。愛媛県紙産業研究 センターは製紙関連公設試験研究機関として最も充実していることがわかる (図表 参照)。 手漉き技術が日本に伝来してから約 年,近代的な機械抄紙技術が伝わっ てから約 年を経過するから,紙パルプ産業は成熟産業であると理解されて いる。しかし,製紙技術は繊維状素材をフィルム状(シート状)に加工する技 術であり,化学工業が新しい繊維状素材を市場に投入するのに対応して,それ を紙の原料として取り込み,紙(シート状)に抄くことができる。既に多様な 機能をもった特殊紙や機能紙を開発し,それを素材とした紙製品が開発されて いる。光触媒機能を漉き込んだ障子紙は,太陽光線が当たると活性化し,部屋 の中の有害化学物質や臭い成分を吸収することができる。 科学技術基本計画においては,今後の重点的研究開発分野の つとして,ナ ノテクノロジー・材料分野が挙げられているが,繊維状素材をナノレベルで操 名 称 設 立 年 研究員数 備 考 愛媛県産業技術研究所 紙産業研究センター 年に愛媛県工業試験場の分場 として発足。 翌 年,愛媛県紙業試験場。 高知県立紙産業技術センター 明治 年に土佐紙業組合製紙試験 場として設立。 年に県に移管。 年に製紙部門独立し,高知県 紙業試験場設立。 岐阜県産業技術センター 紙業部 − 静岡県工業技術研究所 富士工業技術センター製紙科 − 図表 製紙関連公設試験研究機関 (出所)各ホームページより作成。

(28)

作することが可能になれば,多様な機能を設計図通りに紙の中に漉き込むこと が容易になろう。また,新しい素材が市場に登場した時,それを生活や産業に おいて活用するには何らかの「型」に成形する必要がある。例えば,ボードや パイプ等,用途に合わせて成形することによって実用に供することができる。 多様な成形の中で,薄くフィルム状に成形したものがおそらく最も広範な用途 を開拓するであろう。すなわち,紙パルプ産業は成熟し,衰退過程にあるので はなく,新しい繊維状素材の登場を受けて持続的に進化しているのである。

お わ り に

既に明らかにしたように,紙パルプ産業の地域集積の特徴の第 は,全国的 に分散立地していることである。紙パルプ産業の歴史は古く,日本に手漉きの 技術が伝来してから 年以上経過している。紙は貴重品であり,手漉きの 技術は日本に伝わって以来,技術的改良を重ねながら手漉き和紙の技術として 確立され,全国各地に伝わっていったことがその要因のひとつであろう。さら に, 年余り前,明治維新後,近代的な機械抄洋紙の技術が日本に伝えられ たが,手漉き和紙産地の中には機械抄洋紙技術を導入して近代化した地域も少 なくない。その結果,紙パルプ産業は全国各地に集積しており,ほとんど全国 各地に集積している。 しかしながら,第 に,紙パルプ産業の集積には地域間格差があり,静岡県 を筆頭に上位 道県に全体の %が集積している。手漉き和紙の産地の中に は,大規模な近代的製紙工場が立地する自然的地理的条件に恵まれず,手漉き 和紙から機械抄洋紙への転換に失敗して,衰退した地域も少なくない。他方, 自然的地理的条件に恵まれなくとも,社会資本整備や技術革新の成果を取り入 れて新製品開発に成功して紙パルプ産業の集積拠点として発展した地域もあ る。 第 に,紙パルプ産業の内実は,紙パルプ産業の集積の契機によって大きく 異なることである。内発型発展をした地域と誘致外来型発展をした地域との間

(29)

で,量的に紙パルプ産業の集積度合いに格差があるだけでなく,集積している 紙パルプ産業の実態も大きく異なる。すなわち,木材チップからパルプ・製紙 一貫工場が集積した地域と製紙一貫工場だけでなく多種多様な紙加工業が集積 した地域とがある。前者は大企業の製紙工場が集積した結果,紙パルプ産業の 工業出荷額が大きいものの,事業所数が限られていることが示すように,横へ の広がりに欠け,下流部門の紙加工業を担う中小企業群の集積がほとんどみら れない。後者においては,製紙一貫工場だけでなく,木材チップからパルプ・ 製紙の一次加工から多種多様な紙製品加工等の二次加工業が集積し,大企業の 製紙工場だけでなく,中堅中小企業や零細企業の工場が集積している。 第 に,紙パルプ産業が内発的に集積し,一次加工業だけでなく二次加工業 も集積した地域の間においても,集積している紙パルプ産業の実態が大きく異 なる。量産型で低付加価値の紙製品を生産する静岡県富士市と多品種少量生産 型で付加価値の高い紙製品を生産する愛媛県四国中央市とでは,集積している 紙パルプ産業の実態が大きく異なる。前者においてはトイレットペーパーや ティッシュペーパー等の量産品において高い競争力を有するのに対して,後者 において付加価値の高い特殊紙・機能紙を活用した多品種少量型の紙製品加工 業が集積している。前者は日本列島の中心部に位置し,首都圏や中部・近畿圏 等の大都市圏市場に近接しているにも拘わらず,量産型で低付加価値製品の比 重が大きい。他方,後者は,水・土地等の自然資源に恵まれず,かつ,遠隔地 にあって,条件不利地域であるにも拘わらず,機能紙・特殊紙の開発に注力 し,相対的に付加価値が高い多品種少量型生産体制を構築している。素材革命 の成果を積極的に取り入れ,紙産業をベースにしつつ,新しい産業分野に展開 しているところに特徴がある。 四国中央市の紙パルプ産業は典型的な紙産業クラスターを形成しているので あり,その実態の詳細な分析は別稿の課題としたい。

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