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<査読付論文>東南アジア家族法における法秩序 ―インドネシアを素材として― 利用統計を見る

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著者

佐々木 彩

著者別名

Sai SASAKI

雑誌名

現代社会研究

17

ページ

15-24

発行年

2020-03

URL

http://doi.org/10.34428/00011781

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 本稿の目的は、東南アジアの要であり世界最大のムスリム人口を抱え、複数の法制度を包含する インドネシア家族法において何らかの法制度間の秩序を見出すことができるか検討を試みるもので ある。それにあたり、まず、インドネシアの司法制度について概観し、次に、インドネシアの家族 に関する法を中心に概観し、それらの内容を踏まえ、最後に若干の考察を試みた。その結果、1945 年憲法の前文に定められており、国是となっている建国5原則のパンチャシラ(Pancasila)を軸と してアダット法、イスラム法等をも考慮した内容が司法制度およびインドネシア法を構築している ことが見て取れ、そこからインドネシア家族法における法制度間の秩序を整合性のあるものにして いる要素が見出せると考える。    keywords:インドネシア、東南アジア、家族法、法秩序,パンチャシラ 目   次 1.はじめに 2.インドネシアの司法制度 3.インドネシアの法の様相―婚姻関係を中心に 4.若干の考察―インドネシア法における法秩序 5.おわりに 1. はじめに 東南アジアの歴史を遡れば、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、タイを除く東南アジアのほとんど の地域が欧米列強の植民地領域となり、帝国主義的植民地支配の体制が東南アジアに樹立されたといえ るであろう1。フランス植民地インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)、オランダ植民地東インド (インドネシア)、アメリカ植民地フィリピン、イギリス植民地マラヤ、シンガポール、ビルマといった 国々は、その後日本により占領下に置かれることになるため2、わが国とも歴史上密接に関連していた ことは周知の通りであり、これらの国の法制度等について知ることは、わが国の法制度がいかなる形で 他国に影響を及ぼしているか、逆に、わが国が他国から影響を受けているか、という歴史的視点から見 ても非常に重要で意義のあることだと考える。 本論文の題目に掲げた「東南アジア家族法における法秩序」という大きな括りの中で、とりわけイン ドネシア(正式名称インドネシア共和国、Republik Indonesia)という国について選んだ理由を挙げれば、 同国は、中国、インド、米国に次いで世界第4位の人口(約2.55億人〔2015年〕)を有する東南アジアの 最大にして要の国であるという点、また、その人口の9割近くがムスリムであり、世界においても最大 のムスリム人口を擁する国である点、さらに今後ますます発展し続けることが予想される国である点等、 わが国に大きな影響力を及ぼす非常に活気あふれた国だからである3。また、より身近な例でいえば、「日 本インドネシア経済連携協定」に基づき、昨今、看護師や介護福祉士候補者として来日する者がみられ ることや、観光として来日する者も多く見られること、さらに、企業のインドネシア進出により今後ま

東南アジア家族法における法秩序

―インドネシアを素材として―

佐 々 木  彩

査読付論文

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すますわが国とインドネシアとの関係は密接になることが予想されること等も理由である。

「多様性の中の統一 (Bhinneka Tunggal Ika)」を国是とする多民族国家のインドネシアは、前述した ようにムスリムが多数を占める国である。しかしながらその一方で、面積約189.08万平方キロメートル (日本の約5倍)4の国土をもつインドネシアにおいて、この夏訪れたパプア州の州都ジャヤプラ5は、カ トリック・プロテスタントを含めたキリスト教徒が8割近くを占めており、イスラム教徒は2割程しか存 在しない6。インドネシア一国の中で300の人種とそれに相当する言語がある7といわれているインドネ シアは、宗教の違いによっても法の適用が異なる問題が起こり得るという、非常に複雑な様相を呈する 国でもある。そこで、本稿においては、最初に、インドネシアの司法制度について概観し、次に、イン ドネシアの家族法関連法について概観することとしたい。それらに基づいて、インドネシア家族法にお ける多様な法制度によって創り出されるインドネシア独特の法秩序を見出すことができるか若干の考察 を試みることする。 2.インドネシアの司法制度 「インドネシアは、古くからジャワ・スマトラを中心にヒンドゥ・仏教文明の影響を受けた諸国家が 栄えたが、13世紀ごろからイスラムが浸透し、さらに、それを追うようにポルトガルが、続いてオラン ダが進出し、植民地帝国を築いた」8といわれている。その法政策は、オランダ人の法とその土地の者(以 下、「原住民」または「現地人」9ともいう)の法を厳格に区別するという点で、その他の植民地とは特 異なものであり、この特異性が現在のインドネシアの法制度にも影響を及ぼしているとされる10 現在のインドネシアの司法制度11は、通常裁判系列、行政裁判系列、宗教裁判系列、および軍人裁判 系列があり、それぞれの裁判系列は第一審および控訴審を行う12。通常裁判系列は、民刑事事件を管轄 するほか、多くの特別法廷を併設しており、行政裁判系列は、公務員又は国家機関の行なった行政処分 に対し、その処分の名宛人が処分の無効などを求める事件を管轄する13。宗教裁判系列は、ムスリムの 家族法・相続法に関する事件を管轄する14。軍事裁判系列は、原則として国軍・警察隊員の職務上の事 件を管轄するが、過去の文民である旧共産党員を裁く特別軍事法廷を設置した例がある15。最高裁判所 は、すべての裁判系列について破棄審を行うが、実務上、最高裁判所裁判官は、下級裁判所の裁判系列 ごとに法部門室に分かれ、原則として専門分野のみの裁判を担当する16。最高裁判所において、確定判 決に対する再審制度も認められている17。     憲法裁判所は、2001年の憲法改正で規定され、2003年第24号法律で設置された。主たる権限は、違憲 立法審査(審査対象は法律のみ)であるが、その他、政党の解散の決定や、大統領、副大統領の弾劾権 (このことにより、国民協議会〔Majelis Permusyawaratan Rakyat ; MPR〕は憲法裁判所の決定なしに

は大統領や副大統領の弾劾をできない)、選挙結果に関する紛争の解決などが行われる18 憲法裁判所副長官Anwar Usmanのスピーチの中で、1945年憲法におけるパンチャシラ(Pancasila) の重要性が謡われている19。パンチャシラとは、1945年憲法前文に規定されているインドネシアの建国 5原則であり、その内容は、①唯一神への信仰、②公平で文化的な人道主義、③インドネシアの統一、 ④協議と代議制において英知によって導かれる民主主義、⑤インドネシア全人民に対する社会正義、で ある20。インドネシアの国是となっているこのパンチャシラは1945年憲法と不可分であり、 国家のイデ オロギーとしてのパンチャシラは、宗教的価値、特にイスラム教と対立しておらず、憲法は国家機関の 機能と関係を規制し、国家機関の力を制限しているとされる21。インドネシアの独立以来、インドネシ ア国家の創設者は、民主主義の原則に基づいた国家の形成にコミットし、法の支配の形成にコミットし たのであり、それらの保障を目的とする憲法裁判所の設置により、憲法上の権利と人権が守られるので あり、加えて、パンチャシラの法制度では、慣習法と宗教法も採用していることが主張されている22

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東南アジア家族法における法秩序 ―インドネシアを素材として― 3.インドネシア法の様相-婚姻関係を中心に 現在のインドネシアの法を列挙すれば、(1)土着の慣習法(アダット法)、13世紀以降に移入した(2) イスラム法、近代以降にオランダの植民地支配などを通じて西洋から移入された(3)西洋近代法、そ して(4)1945年の独立以降に制定された法令というように、異なった歴史段階においてこの地域にあ らわれた法体系が重層的に存在しており、それらの法は相互に影響し合いながら現在の法制度の中にお いても併存しているといわれている23。上記(1)~(4)の法について、以下においては主に2010年 1月19日~23日にロッファ・ストゥヨワティ(Ro’fah Setyowati, SH.,MH)講師24を招聘して開講された 「東洋大学法学部インドネシア・イスラム法講座」で発行された資料25に基づきながら概観する。 (1)アダット法(Hukum Adat)26 アダット法とは、オランダ語のadatrechtの訳であり、スヌック・フルフローニェ(C.Snouck Hurgronje)によってはじめて用いられたとされており、これは、「宗教に関する法」、「民衆の組織」、「慣 習」、「専門組織」などの意で用いられる語であるが、スヌック・フルフローニェは、アダット法は法判 断を行なう「アダット(慣習)」であるとされている27。アダット法は、狭義では、その地域の固有の 法であり、成文化されていない法であり、インドネシア人の文化や人生観を反映し、都市部だけでなく、 農村部における日常生活において、多くのインドネシアの人々に対して生きる上での指針を与えてきた といわれている28 アダット法は、法の判断を有する倫理、慣習、慣例を形成する社会におけるあらゆる慣習(成文化さ れていないもの)と生活(または人生)を形成するものであり、アダットとアダット法の意味を区別す るため、Van Dijkにより以下のようなまとめ方がされている29。すなわち、①他者との関係を構築する 上で、インドネシア人のあらゆる形態の倫理や慣習が、日常生活の行動規範となるものをアダットとい う、②アダットには、法としての要素を持たないものと、法的な効力を持つものがあり、後者はアダッ トではない、③アダットとアダット法には明確な境界は存在せず、「アダット法」となる部分は、ヨーロッ パ法をはじめとする一般的な法よりも、「法」の範囲は広い、というものである。また、アダット法は、 アダット法社会において発展してきたという特徴を持つとされ、法社会を以下のように理解するという 立場もみられる30。すなわち、(a)人々による秩序ある集合体、(b)特定の地域に居住、(c)様々 な権力者の存在、(d)所有可能な若しくは不可能な富(財産)である。アダット法社会の例は、ミナ ンカバウ地方に見られ、そこでは、前出の(a)~(d)の要素が満たされているとされている。さら に、アダット法社会においては、3つの系譜が存在するとされている31。すなわち、男系を重視する型(バ タック人社会、バリ人社会、アンボン人社会など)、女系を重視する型(ミナンカバウ人社会、クリン チ人社会など)、双方の系を重視する型(ブギス人社会、バタック人社会、ジャワ人社会)である。 (2)イスラム法(Hukum Islam) イスラム法は、宗教としてのイスラムの一部を成しており、法システムとしてイスラム法を理解する うえで、以下に示す①フクム(Hukum:法)、②様々な法規範(Hukum dan Ahkam)、③シャリーア(Syari’

ah)、④フィクフ(Fiqh:イスラーム法学)という、重要な定義が存在するとされる32  ①法(フクム)33 法には、一つの社会における人間の行為を規制する様々な規定や、一連の基準となる事項が含まれ、 法の形態は、成文化されたものと成文化されていないものに分けられるが、このような特徴を持つ法の 一例がイスラム法である。イスラム法は、本来、アッラーによって創造された法であり、神と人間、そ して自己について、さらに他人との関係や財産、自然環境との関係などの人間が構築する様々な関係を

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コントロールするものであり、こうした関係を構築する上での規律の相互作用の中で、フクム若しくは 複数形のアフカム(ahkam)と称される一連の行動規範が整えられている。 ②様々な法規範34 法とは、信仰実践および社会生活における人間の行為を規定するための行動規範として用いられる規 律(kaidah)であり、行動規範は、ムバーフ(許容:人々が行うことを許容された権利)、スンナ(奨励: 行為者にとって明らかに有益なことを実践することの推奨)、マクルーフ(忌避:その行為は有益では なく、損害を被るため、実践されないことが望ましい行為)、ワジーブ(義務:実践しなければならな い行為)、ハラーム(禁忌:禁止された行為)の5つの範疇にわけられている。このような法の範疇は、 イスラムの文献においてはタクリフィ法(hukum taklifi:イスラム法に含まれる原則)ともいう。それ ぞれの行為はある法の範疇からある法の範疇へと変化するとされている。 例えば、ウドゥ(礼拝前の清め)は、スンナの行為とされているが、礼拝を実践するための条件が清 潔であることとされているため、礼拝を行なう前のウドゥの行為は、スンナの行為からワジーブの行為 に変化する。これを社会関係法の分野における法規定の変化に例えれば、婚姻に関する法規定が挙げら れている。すなわち、婚姻は「奨励される行為」であるとされているが、性欲を供えた者で直ちに婚姻 関係を持たない者は、私通を行なうことが危惧されるため、すでに責任を担う能力を十分に身に着けて いるのであれば、その人物にとって婚姻は「義務の行為」となる。こうした法の変化は、フィクフの基 本的な特徴に基づくとされる。すなわち、その行為が義務となった場合には、それは義務を全うするた めの条件となるのであり、前の事例においては、私通を防ぐことは義務の行為となり、また、私通を防 ぐことを条件とする婚姻は、義務の行為となる。 ③シャリーア35 シャリーアとは「まっすぐに進む道」を意味し、すべてのムスリムが実践すべきことと位置付けられ ており、アッラーとその使徒の規定を含み、そこには、人間の人生や日常生活のあらゆる側面を対象と する禁止事項やアッラーによる命令が含まれる。シャリーアの内容の大部分は、抽象的な規定に過ぎな いため、日々の生活において実践すべき規律とするためには、より詳細な細則が必要となることから、 シャリーアにおいて意図されることを解釈し、検討するための特別な知識が必要となる。それが次に述 べるフィクフである。 ④フィクフ36 フィクフとは、狭義のイスラム法であり、シャリーアとは、広義のイスラム法と位置付けることが できるとされている。シャリーアとフィクフとを比較すると、まずその内容については、シャリーアが クルアーンとハディース(hadīth)37の中で示されるアッラーの御言葉であるのに対して、フィクフは、 シャリーアの条件を満たす人間の行為についての理解(解釈)であること、次にその形態については、シャ リーアが原理に忠実であり幅広い意味を持つことに対して、フィクフは道具としての性質を持ち、人間 の行為を法的な行為として体系立てること、最後にその適用・施行期間については、シャリーアが永続 的なのに対し、フィクフは時代や社会の状況に応じて変化する、といった具合にまとめられている。 (3)西洋近代法 西洋近代法がインドネシア社会に取り入れられた経過については、以下のような指摘がされている。 すなわち、1815年に締結されたイギリス=オランダ協定以降、オランダは東インドにおける領域的支配 を強めていき、この植民地統治にあたりオランダは、植民地住民を「人種集団」に分類し、それぞれに 異なった法体系を適用することとし、これを植民地の基本法に定めたという38。すなわち、かつてオラ ンダは、1925年のオランダ領東インド憲法39に基づき、インドネシアの住民を3つの主要な人種集団と して次のように分類した40。第1の集団にヨーロッパ人41、第2の集団に外国系東洋人、第3の集団にそ

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東南アジア家族法における法秩序 ―インドネシアを素材として― の土地の者(原住民)であり、第1の集団であるヨーロッパ人に含まれる者は原則としてオランダで効 力を有する法に準拠し、第2の集団および第3の集団には、原則として彼ら自身が有する独自の法が適 用された(原住民には一般に彼ら自身のアダット法が適用され、外国系東洋人の中でも中国人には多少 の問題を除きヨーロッパの法が適用された)42。植民地私法統一に強く反対したのは、アダット法の先 駆的研究者であるファン・フォーレンフォーヘン(Van Vollenhoven)教授を中心とするいわゆるアダッ ト法学派であり、その者たちは、東インド慣習法の収集・体系化に努め、その影響は現在のインドネシ アの法制度に根強く残っているとされる43 (4)独立以降に制定された法令-インドネシアの婚姻に関する法- インドネシアはイスラム法を基盤とする国家ではないため、婚姻に関する法は、特定の宗教を特別扱 いすることなく、すべてのインドネシア国民を対象として規定された法であり、その内容は、イスラム 婚姻法44やほかの宗教の様々な価値を含んでいる45。主たる法源としては、①婚姻に関連するインドネ シア共和国法律1974年第1号(以下、婚姻法とする)、②婚姻に関する法律1974年第1号の施行に関する インドネシア共和国政令1975年第9号、③文民公務員の婚姻および離婚の許可に関するインドネシア共 和国政令1983年第10号、④宗教裁判に関するインドネシア共和国法律1989年第7号(以下、宗教裁判法 とする)、⑤文民公務員の婚姻および離婚の許可に関するインドネシア共和国政令1983年第10号の改定 に関するインドネシア共和国政令1990年第45号が挙げられる46。上記①~⑤の関係性については以下の ように述べられている。すなわち、①の婚姻法が成立した翌年に②の政令でその施行規則が定められた が、③と⑤の2つの政令が公務員を対象として婚姻・離婚に若干の制限をつけている47。一方、婚姻法 成立時、司法機関としての立場が弱かった宗教裁判所について、④の宗教裁判法は、宗教裁判所を他の 裁判所と同じく最高裁判所を頂点とする国の司法体系の中に位置づけ、それまで宗教裁判所の判決に必 要とされていた一般裁判所からの認証も廃止され、宗教裁判所の地位が確立したとされている48 婚姻法は、近代法治国家として、それまで国民の私的事項とされてきた家族問題を国家管理下に置く ことを目的としている一方、婚姻とはどうあるべきかという理念や、夫婦の人格的関係に言及する規定 も置かれている49。すなわち、婚姻法については、以下(a)~(f)に示す6つの理念50が存在すると されている。 (a)婚姻の目的とは、幸福で、永続的な家族を形成することである。そのため、夫婦は、互いに助 け合い、補い合い、そして、精神的にも物質的にも繁栄するように、それぞれの人格を高めていくこと が必要となる。 (b)この法律において明確なことは、それぞれの宗教や信仰における法において、一つの婚姻は合 法とされることである。また、婚姻法の適用により、それぞれの婚姻は、その事実を登録されなければ ならない。それぞれの婚姻登録は、生誕や、死亡など、一人の人間の生に関する届け出を行うのと同様 に、必要とされることである。 (c)同法は、単婚を原則とする。宗教法は、一夫多妻制を認めているため、関係者がそれを望む場 合は、1人以上の妻を娶ることができる。しかし、一人の夫が一人以上の妻を娶る場合は、諸条件を満 たすことに加え、裁判所による判断を必要とする。 (d)同法において、夫婦となる者は、精神的に成熟していることが認められる。それは、婚姻の目 的が、幸福で永続的であり、繁栄をもたらすよりよい家族を構成することであり、離婚に至らないよう にすることであるとともに、健やかな子孫を残すためであるからである。そのためには、十分な年齢に 達していない男女の間での婚姻を防がなければならない。婚姻とは、人口政策とも関連している。婚姻 における女性の制限年齢は低く設定されている。婚姻して出産をする場合、低年齢の女性の方が出生率 は高い。こうした点も関連し、婚姻法においては、婚姻の適齢を、男性19歳に対して、女性を16歳とし

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ている。 (e)婚姻の目的とは、幸福で永続的であり、そして繁栄する家庭をつくることである。この法律は、 離婚を容易にさせないという理念に基づく。離婚を実行するには、さまざまな事由を必要とし、また、 裁判所での審理が必要となる。 (f)妻の権利や立場は、夫のそれと同等とされる。それは、妻が専業主婦であっても社会で活躍す る場合であっても同様である。そのため、家庭内のすべてのことは、夫婦で取り組み、決定されるもの である。 また、裁判で法判断の典拠となる実体法は、インドネシア共和国大統領指令1991年第1号において『イ スラーム法集成』(Konpilasi Hukum Islam、通称KHI)の使用が指示され、KHIでは婚姻・離婚のみな らず親子関係、相続までが規定されており、このKHIが実質的にインドネシアのムスリム家族法となっ ているといわれている51 4.若干の考察―インドネシア法における法秩序 以上において、インドネシアの司法制度と法について概観したが、ここでは、インドネシア法におけ る家族に関する法を中心とした法制度間の秩序について探究するにあたり、まず、インドネシアの婚姻 法の理念について検討することとしたい。1974年の婚姻法に関する理念については前掲の通りであるが、 前出(a)~(f)の6つの理念は、イスラム婚姻法の観点に従っているということが指摘されている 52。すなわち、(a)の理念は幸福で永続的な家族をつくることにあるが、それは、クルアーン第30章 ビザンチン章第21節の「またかれがあなたがた自身から、あなたがたのために配偶を創られたのは、か れの印の一つである。あなたがたはかの女らによって安らぎを得るよう(取り計らわれ)、あなたがた の間に愛と情けの念を植え付けられる。本当にその中には、考え深い者への印がある」に由来し、(b) の理念は、合法的な婚姻は宗教法に基づいている点にあるが、それは、クルアーン第4章婦人第59節の「あ なたがた信仰する者よ、アッラーに従いなさい、また使徒とあなたがたの中の権能を持つ者に従え」に 由来し、(c)の理念は単婚であるが、それは、クルアーン第4章婦人第3節「公正にしてやれそうにも ないならば、只1人だけ(嬰るか)、またはあなたがたの右手が所有する者(奴隷の女)で我慢しておき なさい。このことは不公正を避けるため、もっとも公正である」に由来し、(d)の理念は、クルアー ン第30章ビザンチン章第21節に示されるように、夫婦になろうとする二人が精神的に成熟しており、婚 姻関係を結ぶ上で十分な年齢であることであり、(e)の理念は、離婚を容易に実行させないことであ るが、このことは、預言者ムハンマドの言動「この世で許される行為のなかで、アッラーが最も忌み嫌っ た行為が、離婚である」の通りであり、(f)の理念は、クルアーン第4章婦人第32節のアッラーによる 言葉「男たちは、その稼ぎに応じて分け前があり、女たちにも、その稼ぎに応じて分け前がある。アッ ラーの御恵みを願え」によるという。さらに、婚姻法は、イスラム法学者の批判を受けて、ムスリムの 多数の考え方を反映し、複婚禁止や異教徒間の婚姻の承認のようなイスラムの教義に反する規定が先の 婚姻法には含まれていないことからも、同婚姻法がイスラム法の影響を受けていることがわかるという 見解も見られる53 一方、婚姻法の規定の中で、ムスリムにとって古典的イスラム法には見られない、またはそれとは異 なる規定であると指摘されるものとして、前出の婚姻法の理念で掲げた婚姻登録の義務付け(第2条2項)、 一夫多妻婚に条件を課し裁判所の介入を導入(第3条~第5条)、婚姻適齢の設定(第7条1項)、離婚に裁 判所の介入を導入(第39条、第40条)等が挙げられている54 1974年の婚姻法が施行される前は、離婚、複婚(一夫多妻婚)、その他の家族にかかわる問題には慣 習に立脚した自由裁量的な解決が図られており、必ずしも女性にとって公正な解決が期待できなかった

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東南アジア家族法における法秩序 ―インドネシアを素材として― ことを受け、婚姻法の制定に至ったという55。このような法の制定過程を振り返れば、婚姻法をイスラ ム法的と見るか否かの視点とは別に、あくまでも婚姻法は国民の私的事項とされてきた家族問題を国家 管理下に置くことを目的としているということを忘れてはならない。 例えば、近年、離婚件数は年々増加しており、宗教裁判所で扱う離婚事件の大多数は女性の請求によ るものであり、女性が請求する離婚件数の増加率は男性によるものよりも高いものとなっているとされ る56。このような状況に至った理由として、女性が家族関係の紛争を解決できる唯一の場所が裁判所で あることが指摘されている57。すなわち、1974年以前は夫は事後に宗務所で離婚手続き登録をしなけれ ばならなかったものの、離婚の効力自体は夫の一方的な離婚宣言により発生していたが、婚姻法の制定 により、男女を問わず婚姻解消を欲する当事者が裁判官の面前で法定離婚原因の中の少なくとも1つが 存在することを証明することにより、妻の婚姻解消請求に許可を与えることが可能になった58。さらに、 最近の事例を挙げれば、女性の婚姻年齢について、2018年12月13日、憲法裁判所59は、女性の婚姻可能 年齢を16歳と定める婚姻法第7条1項を、性別による差別であるとしてインドネシア憲法27条1項に反し 違憲であると判示しており、憲法裁判所は、立法機関である国民議会(Dewan Perwakilan Rakyat; DPR)に対して、女性の婚姻可能年齢につき3年以内の法律改正を命じた60。それを受け、2019年9月16日、 DPRは女性が婚姻できる最低年齢を19歳に引き上げる内容の婚姻法改正案を承認した61。男女の婚姻年 齢を同等にすることは、前出の婚姻法の理念である男女同権の実現を図っており、また、世界の潮流に 乗っているとみることができる。 しかしながら、実際には、この度の婚姻法改正前より、裁判官が婚姻年齢に達していない者の婚姻許 可に柔軟に対処する場合があるということも指摘されている62。例えば、ある事例63において、14歳の 少女と17歳の少年の交際が婚外交渉に発展することを恐れた親族の請求に基づいて裁判官が婚姻挙行を 容易に承認したとされている64。これらの状況を鑑みれば、パンチャシラを考慮し、近代法治国家に通 じる法の構築を積極的に行おうとする姿勢が見られる一方で、裁判例においては、イスラム裁判所を基 軸とし、国民の多数を占めるムスリムのために、イスラム法を基盤に置いた法秩序が存在し続けること が伺える。 ところで、前出の西洋近代法がインドネシア社会に取り入れられた経過において見られた植民地住民 を「人種集団」に分類した方法は、今日においても、インドネシアが西洋社会よりも集団主義的である 65といわれることの礎を築いたという見方もできると思われる。すなわち、「インドネシアにおいて多 くの場合、個人は『グループ』のメンバーであると認識しており、グループの利益は、たとえ対立して も、通常は個人の利益に優先するのであり、さらに、グループのメンバーは、グループに参加していな い人よりも優遇されることを期待している。この忠誠心と引き換えに、個人は帰属意識、保護意識、統 一感を獲得するのであり、多様性のある人々の間で調和を維持するためには、団結が不可欠であると考 えられており、この集団主義は社会的行動にも影響を与える」66といわれている。インドネシア政府は、 宗教的対立を避けるための手段としての改宗(人々を自分の宗教に改宗させる試み)を禁止している67 とされており、あくまでもイスラム法を優先するのではなく、インドネシアにおいて認められている宗 教はすべて公平な立場であり、インドネシア憲法第29条においても信教の自由が保障されている。唯一 神への信仰を謡うパンチャシラの下、インドネシア公認の宗教はイスラム教、プロテスタント、カトリッ ク、ヒンドゥ教、仏教、儒教の6つの宗教である。これらの宗教を各々「宗教集団」と見た場合、「人種 集団」と「宗教集団」とではカテゴリーが異なるが、イスラム教の「宗教集団」の分母は大きく、イス ラム法が国家法ではないとしても、その影響が大きいことは当然であろう。     法の改正が進み、男女平等が国家の法制度的には図られるとしても、ムスリムについては現実にはそ れが実現されていないという先例に鑑みれば、それは、パンチャシラ5原則を遵守しているといえるで あろうか。結論として、婚姻法を中心とするインドネシア家族法の現況は、パンチャシラに基づき、国

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民の9割を占めるイスラム法に寛容な態度な下、その他の宗教についても公平な態度で臨み、さらに、 アダット法という成文化されていない慣習法も考慮するとした法秩序の形成を行なうことを理想に掲げ ながら、その実現化に向けて裁判や立法がなされていると見ることができよう。 5.おわりに ア ジ ア 国 際 家 族 法 に お け る 法 秩 序 に 関 す る 研 究 と し て 今 後 試 み た い の は、 跛 行 婚(limping marriage)の問題である。すなわち、宗教の観点からカップルの婚姻は成立しているが国家の観点か らは彼らは自由に新しい結合ができるといった問題である68。わが国においては有効であるが本国にお いては無効とされるような婚姻は、一種の跛行婚であるが、このような婚姻は、諸国の国際私法の原則 の相違なる現状においてはしばしば発生するものとされ、わが国の裁判例では、日本国籍を有する仏教 徒とエジプト国籍を有するイスラム教徒との異教徒間の婚姻を禁止する外国法の適用を排除し、婚姻の 成立を認めた東京地裁平成3年3月29日判決69が挙げられる70。このような国際私法上の公序に関する問 題は、わが国において法秩序に通じる問題と考えられる。わが国で起こり得る跛行婚に関する場合とし て、前出の裁判例おいてみられるように、婚姻挙行地法主義をとる国で挙行されその国で有効とされる 婚姻が、本国法上は無効であるため、本国法主義をとる日本においては、無効とされる場合とか、また は、外国で離婚判決がありその国では婚姻が解消していても、日本では外国判決承認の要件を欠くとし て離婚を認めない場合などにも生じ得るとされている71。このように国際民事訴訟上の公序の観点から も検討の余地があるであろう。 【付記】 本稿は2019年度科研費基盤研究(C)(19K01325)の助成を受けたものである。 【注】 1桐山昇=栗原浩英=根本敬『東南アジアの歴史』(有斐閣、2003年)111頁。 2桐山=栗原=根本・前掲書159頁以下。 3外務省HP「インドネシア共和国(Republic of Indonesia)基礎データ」 (https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/indonesia/data.html )(2019年9月16日)参照。 4外務省HP前掲参照。 5 本年度、科学研究費の受給(研究課題「アジア国際家族法における普遍的法秩序の探究」〔19K01325〕)により、2019年 9月2日~8日にかけて「日本インドネシア法律家協会」の活動に参加し、インドネシアの最高裁判所、ジャヤプラ高等裁 判所、メラウケ地方裁判所を訪問調査する機会に恵まれた。 6 東南アジアのキリスト教の特徴として、キリスト教は東南アジア全域でその地域の発展から比較的取り残された山岳、 あるいは海洋の少数民族に入っていったとされる。橋廣治『東南アジアにおける宗教事情』(2006年、近代文芸社)157頁。 7安田信之『東南アジア法』(日本評論社、2000年)141頁。 8安田・前掲書142-143頁。 9「現地人」の呼称について、大村芳昭『国際家族法研究』(成文堂、2015年)178頁参照。 10安田・前掲書143頁 11司法制度の概要については、島田弦「第5章インドネシア」鮎京正訓編『アジア法ガイドブック』(名古屋出版会、2009年) 137-139頁による。 12島田・前掲書137頁。 13島田・前掲書137頁。

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東南アジア家族法における法秩序 ―インドネシアを素材として― 14 島田・前掲書137頁。メラウケ地方裁判所訪問の際に宗教裁判所で扱う事案を確認したところ、婚姻・離婚および相続 等の問題は専らムスリムの事案のみであり、他の宗教は関与しないとのことである。 15島田・前掲書137頁。 16島田・前掲書137頁。 17島田・前掲書137頁。 18インドネシア共和国憲法裁判所HP (https://mkri.id/index.php?page=web.Berita&id=15824&menu=2)(2019年9月17日)。 19インドネシア共和国憲法裁判所HP 前掲参照。 20小林寧子「第2章インドネシア」柳橋博之編著『現代ムスリム家族法』(日本加除出版、2005年)90頁注(6)、拙稿「イ ンドネシア国際私法における各論的課題-混合婚を中心として-」東京経営短期大学紀要第19巻114-115頁。 21インドネシア共和国憲法裁判所HP前掲参照。 22インドネシア共和国憲法裁判所HP前掲参照。 23島田・前掲書133頁。 242010年当時、ディポネゴロ大学法学部講師であった。 25「東洋大学法学部インドネシア・イスラム法講座」(以下、「東洋大学講座資料」とする)(東洋大学法学部、2010年)(未 公刊)。本講座の通訳および資料の作成は、2010年度において東洋大学法学部の助教であった中田有紀氏によって行われた。 26以下、本文(1)アダット法の内容については、東洋大学講座資料23-24頁より引用。 27東洋大学講座資料23頁。 28東洋大学講座資料23頁。 29東洋大学講座資料23-24頁。 30東洋大学講座資料24頁。 31東洋大学講座資料24頁。 32東洋大学講座資料21頁。 33以下本文①法(Hukum)の内容については、東洋大学講座資料21頁より引用。

34以下本文②様々な法規範(hukum dan Ahkam)の内容については、東洋大学講座資料21-22頁より引用。 35以下本文③シャリーアの内容については、東洋大学講座資料22頁より引用。 36以下本文④フィクフの内容については、東洋大学講座資料22頁より引用。 37預言者ムハンマドの現行に関する記録。 38島田・前掲書133頁。 39大村・前掲書178頁。 40拙稿「インドネシア国際私法における総論的課題」アジア文化研究所研究年報第44号(2009)75頁。 41第1の集団には、「(オランダ領)東インド統治法」第163条に基づき、(1)群島に居住するオランダ人、(2)祖先がヨー ロッパ、例えば、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ合衆国、オーストラリア、南アフリカに属していた者、(3) 日本人、(4)本国においてオランダの家族法と本質的に似ている家族法に従属していた者、例えば、シャム人、トルコ人、 (5)オランダ領東インドで出生した彼らの子孫が含まれた(A.Arthur Schiller,Conflict of laws in Indonesia,The Far Eastern

Quarterly, 1942, pp.31-32、拙稿・前掲75頁。さらにインドネシア独立後の1948年の立法では、全住民の分類は、ヨーロッ パ人、ヨーロッパ人と同化された者、現地人、現地人と同化された者の4種類に分類されている(大村・前掲書179頁)。 42拙稿・前掲75-76頁。 43島田・前掲書134頁。 44イスラム婚姻法とは、クルアーンやハディース、さらに様々な法学者のイジュティハード学的努力の成果であるフィ クフの専門書において完全に整えられているものとされる。東洋大学講座資料31頁。 45東洋大学講座資料31頁。 46小林・前掲書93頁参照。

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47小林・前掲書94頁。 48小林・前掲書94頁。 49小林・前掲書96-97頁。 506つの理念(a)~(f)の内容について、東洋大学講座資料32-33頁より引用。 51小林・前掲書94-95頁。 52東洋大学講座資料33-34頁。 53ユイス・ヌールラエラワティ「インドネシア家族法(2)」(以下「家族法(2)」とする)戸籍時報719号40頁。 54小林・前掲書98-99頁。 55ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(2)」39-40頁。 56 ユイス・ヌールラエラワティ「インドネシア家族法(4)」(以下「家族法(4)」とする)戸籍時報721号6頁。宗教裁 判所において男性が請求した離婚件数は2001年の61593件から2009年には86592件と1.4倍の増加であったのに対し、女性が 請求し確定した離婚件数は同時期に83319件から171477件と2倍以上に増加し、2009年には宗教裁判所に請求された離婚件 数の3分の2が女性による請求であるといわれている。ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(4)」6頁。 57ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(4)」6頁。 58ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(4)」6頁。 59Nomor22/PUU XV/2017(https://mkri.id/public/content/persidangan/putusan/22_PUU-XV_2017.pdf )(2019年10月21日)。 60「インドネシア女性の婚姻年齢違憲判決」(https://www.indonesia-law.net/)(2019年9月19日)。 61 国民議会ホームページ参照(http://www.dpr.go.id/berita/detail/id/25935/t/Paripurna+DPR+Sepakat+19+Tahun+Jadi+Batas+Usia +Minimal+Perkawinan)(2019年10月22日)。 62ユイス・ヌールラエラワティ「インドネシア家族法(3)」(以下「家族法(3)」とする)戸籍時報720号32頁。 63ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(3)」34頁注(4)より、No.66/Pdt.P/2008/pA.Srg. 64 ユイス・ヌールラエラワティ「家族法(3)」32頁。イスラム法では婚外交渉に対する禁忌が厳しく姦通罪の規制対象 となるため、婚姻適齢に達していない男女間の婚姻を裁判所が特別に許可することも少なくないといわれている。ユイス・ ヌールラエラワティ「家族法(3)」34頁注(3)。 65「Indonesian Culture」https://culturalatlas.sbs.com.au/indonesian-culture(2019年9月19日)。 66「Indonesian Culture」前掲参照。 67「Indonesian Culture」前掲参照。

68The role of religious tribunals in regulating marriage and divorce, Child & Family Law, Quarterly, Vol24, No2, 2012, p.152. 69判時1424号84頁。

70溜池良夫『国際私法講義 第3版』(有斐閣、2005年)221頁参照。

参照

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