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地方における預貸率低下の要因とその是正策 : 戦略的な資金還流策の必要性 利用統計を見る

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(1)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 : 戦

略的な資金還流策の必要性

著者名(日)

益田 安良

雑誌名

経済論集

35

1

ページ

1-23

発行年

2009-12

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00002339/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

東洋大学「経済論集」 35巻1号 2009年12月

地方における預貸率低下の要因とその是正策1

       一戦略的な資金還流策の必要性一

益 田 安 良

1.はじめに 2.地域別の預貸率の動向

  2−1 全体観

  2−2 金融機関の業態別預貸率 3.都道府県別の預金・貸出の経済環境との関係の強さの比較 4.都道府県別の貸出と地域経済動向(資金需要側の要因)との関係   4−1 県内総生産と地域別貸出   4−2 地価と地域別貸出 5.都道府県別の貸出と金融機関の貸出態度(資金供給側の要因)との関係   5−1 借り手の信用力と地域別貸出   5−2 金融機関の競争条件と地域別貸出 6.都道府県別の貸出の決定要因に関する分析の示唆するもの   6−1 分析結果の総括   6−2 分析結果に関する留意点   6−3 地域への資金還流を求めることの意義 7.地域への資金還流のための政策・制度のあり方

  7−1 米国CRAの概要とその目的

  7−2 地域資金還流策が機能するための環境 参考文献 本論文は、日本経済研究奨励財団の助成を得て行った研究による。 なお、本論文の概要は、日本金融学会2009年度春季大会(2009年5月16日)にて報告し、家森信善氏(名古屋 大学)、野間敏克氏(同志社大学)、堀江康煕氏(九州大学)、安孫子勇一氏(近畿大学)、数阪孝志氏(神奈川 大学)より貴重なコメントを頂戴した。また、日本経済政策学会第66回全国大会(2009年5月31日)において も報告し、中村まつる氏(青山学院大学)、加藤正昭氏(大東文化大学)等より貴重なコメントを頂戴した。

(3)

1.はじめに

 地方経済の疲弊の原因は複合的である。その多様な要因の一つとして「地方にマネーが還流しな

い」という金融(マネーフロー)面の要因が指摘されることが多い。日本国内全体の資金余剰(貯

蓄超過)が大きい中で、地方においても預金は集まるが、その資金が中央に吸い上げられ地方には

投融資されないという現象である。これが、預貸率の低下という形で現れている。

 本稿では、この預貸率(非金融部門向け貸出金残高/一般預金残高うを都道府県別に観察し、こ

れがどのような原因によって変動するのかを検討し、地域への資金還流の可能性を考察する。その

上で、どのような資金還流策が必要かを検討する。

2.地域別の預貸率の動向

2−1 全体観

 預金取扱金融機関(銀行など)の預貸率とは、預金取扱金融機関のコア業務における主たる運用

手段である貸出残高を、その原資である預金残高で除した数字である。この数字は必ずしも100%以

上である必要は無いが、あまりに低すぎることはその金融機関が十分な貸出先を有しておらず、収

益機会が乏しいことを示す。

 ある地域の預貸率が低いことは、その地域に十分な資金還流がなされていないことを示す。国内

銀行の地域別の預貸率をみると、過去10年間いずれの地域でも急速に低下している(図1)。1990

年代末までは関東が高く、それ以外の地域は全国平均の水準を下回っていた。ところが2000年代に

入り関東でも預貸率が低下し、地域格差は縮小している。ただし、地域別の基本的な序列は変わっ

ていない。概して大都市の方が地方よりも預貸率が高い傾向は今なお鮮明である。

 都道府県別に見ると、2000年度には東京都(170%)、大阪府(120%)が突出して高く、60%以

下はほとんど無かった(図2上)‘。しかし、2007年度には東京都はII3%と依然として相対的に高

いが、大阪府(77%)は全国平均(78%)を下回り、多くの県が60%以下に低下している1(図2下)。 本稿では、特に断りの無い場合、国内銀行ベースの一般預金・貸出の月末残高の年度平均値を観察する。一般 預金は金融機関預金、公金預金、譲渡性預金を含まない。貸出残高は金融機関向けを含まない。 {ここで用いた日本銀行『地域別預金・貸出残高』統計は、各都道府県に存する金融機関別の拠点別に預金・貸  出金を集計している。この為、地方の(本)支店で設定された預金が同金融機関の東京(本)支店に移されて東 京において融資された場合、地方の預貸率は低下し、東京都の預貸率は上昇する。 1野間[2004]、p.200によれば、1980、90年代を通じて預貸率が上昇した都道府県は東京と千葉のみであり、大阪 でも90年代は預貸率が低下した。また預金と貸出の相関度は、1970年度の0.995から90年度0.992、2000年度0.971  と長期低下傾向にある。預金と貸出の乖離は長期的な傾向だが、2000年度以降、量的金融緩和の中で加速した  といえよう。 一2一

(4)

地方における預貸率低下の要因とその是正策

図1 国内銀行の地域別の預貸率(貸出残高/一般預金残高)の推移

(%)

150

140

130

120

110

100

90

0︵UO

トー_一一一 「一

.+北海道

  東北計

 一関東計

  北陸計

→←中部計

  近畿計

一i一中国計

.一

l国計

\一一

九州・沖縄計

1998 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08(年度)

(注)1.預貸率=貸出金月末残高年度平均/一般預金月末残高年度平均×100。     国内銀行ベース。一般預金は金融機関預金、公金預金、譲渡性預金を含まない。     貸出残高は金融機関向けを含まない。以下の図表も同様。   2.2008年度は4∼9月。   3.地域区分は日本銀行の分類基準による(次のとおり)。     北海道:北海道、 東北:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島、 北陸:新潟・富山・     石川・福井、 中部:山梨・長野・岐阜・静岡・愛知・三重、 関東:茨城・栃木・群     馬・埼玉・千葉・東京・神奈川、 近畿:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山、 中     国:鳥取・島根・岡山・広島・山口、 四国:徳島・香川・愛媛・高知  九州・沖縄:     福岡・佐賀・長崎、熊本・大分・宮崎・鹿児島、沖縄 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』より筆者作成。

(5)

図2 都道府県別の預貸率(貸出残高/一般預金残高)

偶80

 1

160 140 120 100 80 60 40 20 0 【2000年度】 北青岩宮秋山福茨栃群埼千束神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島ロ島川媛知岡賀崎本分崎児縄国 道      川       山       島 計 (%) 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 【2007年度】 一一一.・. 一一一 一一 ..一 一.  一一..一一一 .一一 一一一一一 一 一一一一一一一一一..一 一 一 一一一一一一 一一一 一一 一一 一 . ・ .・.一 .’ 一一 一一一一一一一 一一一 一一 一一一一一一一一 一一一 一一一 一一一一一一一一 一 一 . 一 r ...一一一 一一 . . 一一一一一 一一一一一 「一一一 一一一 一 ・ 一 ・一 . .一 一 一 . ・ 一・ 一一 一 一一一 一一一 一一一 一 . 一.一一一一一一 一 一 .一一.一一 一一一 一一一 一一一一一一 .一・ ..・ 一一一一一 ・..・一 一一一 一一「 一一一一一一 一一一一一一一 一一一一 一一 一 .一一一 一 一’ 一 一一一 一 一 一 一一 一一 一   一ウr 宕 F\\ 一一   .F 一 一 一一 ぐ 〉 ’く × 文 \“\ ’’ ン、 ◇\\ A ︶ 一 「 一 ﹀ F F ン ︿ F ’’ 、べ ’ソ \\\甲 、、 F [、,. Ps s F / F ご   北青岩宮秋山福茨栃群埼千束神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島ロ島川媛知岡賀崎本分崎児縄国 道      川       山      島 計 (注)預貸率=月末貸出金残高年度平均/月末一般預金残高年度平均×100 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』より筆者作成。 一4一

(6)

      地方における預貸率低下の要因とその是正策

2−2 金融機関の業態別預貸率

 こうした地域別の預貸率の違いは、金融機関の業態別の預貸率の違いにも反映される。2008年度

末においてみると、都市銀行、地方銀行、第H地銀といった「全国銀行」の預貸率は75%前後であ

るのに対し、信用金庫・信用組合といった「共同組織金融機関」の預貸率は50%台に留まっており、

両者の間には20%近くの差がある(図3)。また、ここ数年は全国銀行の預貸率が上昇傾向であるの

に対し、信金・信組の預貸率は低下傾向にある。

 これは、金融業態による貸出先の属性の違いに原因がありそうである。すなわち、メガバンクが

取引相手とする大・中堅企業にはある程度の資金需要があるが、信金・信組が融資する中小・零細企 業の資金需要は深刻な低迷を続けているからである。(地方銀行・第ll地銀は、両者の中間的な位置 づけにあるとみられる)。この為、貸出先の乏しい地域金融機関(地方銀行、信金・信組など)は、

国債投資やシンジケートローンへの参加、コール市場での放出、あるいは地域銀行の地方の本支店

から東京支店への送金といった形で余裕資金を運用せざるを得ない。

 なお、預金残高に対する証券投資残高の比率である預証率をみると、2000年以降、地域金融機関

の預証率は上昇傾向を示しているがその上昇度合いは都市銀行より低い。また、信用組合の預証率

図3 預金取扱金融機関の業態別預貸率の推移 (%) 9°

u 信託銀行全国銀行

85「

7・

I−一一一軸行

65

60

55

信用組合

都市銀行

信用金庫

2001 02  03  04  05  06  07  08 (年度末)

(注)全国銀行は都市銀行、信託銀行、地方銀行、第n地銀、新生銀行、あおそら銀行の合計。 (資料)全国銀行協会『全国銀行財務諸表分析』、信金中央金庫『全国信用金庫概況』等により筆者作成。

(7)

図4信用金庫の地域別預貸率の推移

︶0

%OO ︵ 75 70 65 60 55 50

京都

全国計

ノ南九州

瀧北京東陸海畿国国酬鵠

北東東関北東近中四北南全

++

{ 

{+

p= ++

       北海道

45    −一

   1998 99 2000 01  02  03  04  05  06  07 (年度)

(注)L貸出月末値の年度平均/一般預金月末値の年度平均×100。   2.地域区分は信金中央金庫の分類による(以下のとおり)。     東北:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島、関東:茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・     神奈川・山梨・長野・新潟、北陸:富山・石川・福井、東海:岐阜・静岡・愛知・三重、近     畿;滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山、中国:鳥取・島根・岡山・広島・山口、四国:     徳島・香川・愛媛・高知、北九州:福岡・佐賀・長崎、南九州:熊本・大分・宮崎・鹿児島 (資料)信金中央金庫HPにより筆者作成。

は08年度に低下している。これは預貸率が低下する金融機関が、必ずしも預証率を高めているわけ

ではないことを示している。また、下位業態ほど資金運用先に窮している状況がうかがわれる。

 このように金融業態によって貸出先が異なる為、同じ業態内での地域比較を行うために、信用金

庫の地域別預貸率を観察してみた(図4)。いずれの地域でも預貸率は過去10年間低下傾向にあるが、

東京都と北九州、近畿などの大都市圏が高く、四国、北海道が低迷しているという構図は一貫して

いる。そして、地方圏では総じて預貸率が低い。これらの数値からは、地方では都市部に比べて資

金還流が乏しいとの見方が裏付けられる。

3.都道府県別の預金・貸出の経済環境との関係の強さの比較

 資金仲介金融機関は、預金を原資として貸出を行い、そこから利鞘を得る。収益を最大化するに

は、預金に応じて貸出を拡大するのが通常の行動である。また、マクロ経済においては、預金の源

一6一

(8)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 図5 一般預金増減率と貸出増減率の相関(都道府県、  (倍) 1.300 1.200 1.100 1.000 0.900

 ::1

0,600 クロスセクション) y=α千095x+0.8294◆   R2=0.0055        ◆      ◆   ◆  ◆◆   ◆  ◆

⇔、◆◆A⑱   ◆

     ◆◆        ◆ 一_一一⊥一一一一一一一一L−一一一一一一」 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 1.30(倍) (注)X軸:一般預金残高(2007年度/2000年度)、   Y軸:貸出残高(2007年度/2000年度) (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』より筆者作成。 泉は貸出を通じた信用創造であるため、その点でも預金と貸出との動きは本来密接である1。しかし、

現状の日本では、両者の関係は希薄である。都道府県別の一般預金残高(月末値平残)と貸出残高

(同左、以下同様)について2007年度の2000年度対比の増減率をクロスセクション分析すると、両

者の間の相関は小さい(図5)。

 では、こうした預金・貸出の遊離(預貸率の低下)の原因は、預金と貸出のいずれにあるのであ

ろうか。まず全国の一般預金残高、貸出残高と総人口、国内総生産(県内総生産の合計)といった

基本的な数値の時系列変化をみると、一般預金は人口・総生産より一貫して増勢が強いが、貸出は

一貫して人口・総生産を下回っている(図6)。これは日本の民間部門が資金余剰(貯蓄超過:総貯

蓄〉総投資)の状況に有ることを反映している。金融機関は、民間の貯蓄余剰を吸収し、貸出の後

に残る部分を資金不足の政府部門や外貨資産に投資しているのである。

 実際に都道府県別にみると、民間の貯蓄超過比率(図7)が高い都道府県は、預貸率が低い傾向

これは、預金などの合計であるマネーサプライが、金融機関の貸出・証券投資などの信用面と対応しているこ とからも明らかである。

(9)

図6 一般預金残高・貸出残高と県内総生産・人口の推移 (2000年度=100)      一←一一般預金残高  120      ・㊨一・貸出残高 115 110 105 100 95 90 85 名目県内総生産

    199899200001 02 03 04 05 06 07(年度)

(資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、内閣府経済社会総合研究所     『県民経済計算平成20年版』により筆者作成。 がある(預貸率と民間貯蓄超過の人口比の相関係数は一〇.3348)6。

 では、預金と貸出のいずれが経済実態から乖離しているのであろうか。各都道府県別の一般預金

残高と県内総生産(名目、以下同様)との相関係数はO.9755であり(図8①)、貸出残高と県内総生

産の相関係数0.9340(図8②)を上回っている。また、この両指標の2005年度の2000年度対比の増

減率7について相関を見ると、一般預金残高の増減と県内総生産の増減にはある程度の相関が見られ

るが(相関係数0.3885、図8③)、貸出残高の増減と県内総生産の増減との相関については符号条件 が充たされていない(図8④)。

 さらに都道府県別の一般預金・貸出の県内総生産比を個別に観察すると、一般預金残高の県内総

6Yamori[2004]、及び野間[2005]では、県内総生産から消費(家計+政府)を差し引いた数値を県内貯蓄とし、  そこから総投資額を差し引いた貯蓄投資差額(貯蓄超過、ISギャップ)を計測している。野間[2005]では、  そのISギャップについて1970、80、90、2000年度について預貸率とISギャップとの相関を計測し、その結い  ずれの時点でも符号条件を充たさないと記している。 筆者は、上記の手法によって算出した「県内貯蓄超過(県内貯蓄 県内総投資)」と、「家計可処分所得一家計 消費」によって算出される家計貯蓄から民間固定資本投資を差し引いた「民間貯蓄超過」の両者について、都 道府県別の預貸率との相関を計測した。その結果、後者において有意な相関が確認された。後者の民間貯蓄超 過については図7参照。 7ここでは、金融危機がある程度収まり、金融超緩和政策が実施された以降の変化を捉える為、貸出残高につい  ては2007年度の2000年度対比の増減率をみている。しかし、県内総生産については2005年度が最新である為、  2005年度の2000年度対比の増減率をみている。 一8一

(10)

地方における預貸率低下の要閃とその是1}策 都道府県別の貯蓄投資バランス(2005年度) 図7 ロ民間長期投貴 ロ寒針貯蓄 ●民間貯蓄超過  、 、 s 、、 〉 も丸 ﹁1 ぺ 1魑 .、 A 、\AヂF㌧ 1、 i︺ s、 ﹂‘ へ 、人、﹂ F﹁.1寸 、 ’7 A, 1A戟D 々, へ べ < 、

⋮癖゜ー

 、﹁、・ ,・﹃馳へ \・ 【県内総生産比、%】 (%) [蝉..べ..ー 30 Q5 Q0 P5 P0

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一|0 −15 −20 −25 北青岩宮秋山福蓑栃群増午竃神新富石橿山長岐静愛三滋京大兵衆和烏島間広山笛香受粛福佐長熊×宮鹿沖全 海森手城田形島城木闘冤葉京秦潟山川井禦野皐岡知重賀都飯麻良歌取根山島口島川媛知圏賀崎本分崎児縄県 道県県県県亮県県県県県桑部川県賄県旅集県県県県県擁府府県巣山禦県県県県県県県集集県県県県県島県計 E民間長期投資 ロ家計貯蓄 ●民間貯蓄超過 、、 A、 A 、 、、、、 、、、 、、、、 、、 9へ ㌔ 、㌔s、 、、 、 D.﹁F 、㌔㌔ 、. As , 」、 S7 f、 v〉 、 °﹂ ㍉  × A. d「 、、 、、、 、、s へ、、、 、、、 s、、 、、 、、、、 F、 、r 刀A、 、︻ ’ぺ 冑吃噺 、r 層㌦ォ、 、 、、 、、 、 、× 、、 、 %、 、s ⇒’ ﹁ ♪ s 、 、 .、 、s 、 \ s ㌔ べ  【1人あたり、万円】 (万円) rco  80 60

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北骨岩言秋山福茨■騨埼千東神新富石福山長岐静愛三田京大長寵和島島岡広山徳書愛高栖佐長筒大宮■沖全 冑轟手塘田捗島城木局玉案京棄周山川井梨野皐問知重貿部臣庫良歌取根山島口島川鰻知岡賃崎本分■児担県 道県県県県県県県県県県県郁川県県県県県県県県県県県府府県県山県県県県県県県県県県県県県県県島限計 (注)1.家計貯蓄=家計可処分所得一家計消費。   2.民間長期投資=民間住宅投資+民間企業設備投資  (グラフ上はマイナス表示)   3.民間貯蓄超過=家計貯蓄一民間長期投資     民間企業部門の貯蓄は把握できず、上記の「民間貯蓄超過」は実際より過小である。 (資料)内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算平成20年版』により筆者作成。

(11)

     図8 一般預金残高・貸出残高と県内総生産の相関(都道府県、クロスセクション) ①【X軸県内総生産、Y軸:一般預金残高】(2007年度)          (億円)         1,500,000.0       ◆        /       y=1.3561x−43981   /

        1・°°°・°°°・°  R・.。.9516/

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      0.0       0     200,000   400,000  600.eOO   800,000  1、OOO,OOO        (億円) ②【X軸:県内総生産、Y軸:貸出残高】(2007年度)          (億円)        ◆         1,500,000.O       //

        1,…,・…  .y=晋㌫ご38⑨./

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       /      t値;0.07206        ◆◆        O.0       0       200.OOO     400.000     600.000     800,000    1.000.000        (億円)       −10一

(12)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 ③【X軸:県内総生産、Y軸一般預金残高】(2005年度/2000年度) (倍) 1.300 1.200 1.100 1.000 0.900 y=0.5797x+0.502   R2=0.1509 ◆◆

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        ◆ 一一一一ロ一一_____L_.一___⊥一一一一一一一L−一一一一一」一一一一一__⊥___」_______」

0.900.920,940.960.981.001.021.041.061.08(倍)

④【X軸県内民総生産、Y軸:貸出残高】(2005年度/2000年度)  (倍) 1.100 1.000 0.900 0.800

L!

IL﹁IIIIIIII‘‘﹂﹁‘ ◆ ◆       y=−04537x+1.3788       ◆        ◆        R2ニ00519  ◆  ・◆  ◆  ◆        ◆◆        ◆◆          ◆

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       t◆◆◆◆◆ ◆  ◆

◆ ◆ 0.700       −  一一L−−L−一一一一一1   0.90 0.92 0.94 0.96 0.98 1.00 102 1D4 1.06 1.08(倍) (注)L①②は県内総生産(2007年度推計値実額)と一般預金残高・貸出残高(2007年度の実額)の相関。③     ④は県内総生産の増減率(2005年度/2000年度)と一般預金・貸出残高の増減率(同左)の相関。   2.相関係数は、①O.9755、②0.9340、③O.3885、④一〇.2278 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算平成20年版』により    筆者作成。

(13)

図9 都道府県別の一般預金残高・貸出残高(県内総生産比、2007年度)

倍8642086420 1111100000

一般預金残高(県内総生産比)

乙e.、.,

貸出残高(県内総生産比)  北青岩宮秋山福茨栃群埼千束神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全  海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島ロ島川媛知岡賀崎本分崎児縄国 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算平成20年版』    により筆者作成。

 生産比では最高の東京都と最低の福島県の倍率は2.8倍なのに対し、貸出残高の県内総生産比で

は最高の東京都と最低の山梨県の倍率は4. 9倍である(図9)。すなわち、一般預金の県内総生産比

より貸出の総生産比の方がはるかに都道府県間の格差が大きく、これは貸出が総生産の大きさだけ

では説明できないことを示している。

 どうやら、預貸率の大幅な低下は、貸出が経済実態から乖離して低下していることに主因がある

ようだ。

4.都道府県別の貸出と地域経済動向(資金需要側の要因)との関係

 では、都道府県別の貸出残高の多寡を決定する地域経済要因としては、何が考えられるであろう

か。まず、資金需要側の要因を考える。

4−1 県内総生産と地域別貸出

 まず、地域別の資金需要を規定する最も重要な指標は県内総生産であろう。個人の資金需要は住

宅投資・個人消費、企業の資金需要は設備投資・在庫投資、地方政府の資金需要は公共投資と政府

消費といった県内総生産に反映されると考えられる。しかし、都道府県別の貸出残高と各都道府県

の県内総生産との相関は、前述のとおり残高ベースでは相応に高い相関が観察されたが、2000年以

降の増減率については優位な相関が見られなかった。

 次に、県内総生産の代わりに、民間の固定資本形成と貸出残高との相関を観察した。すなわち、

一12一

(14)

     地方における預貸率低下の要因とその是1E策 図10 貸出残高の増減率と名目民間固定資本投資の増減率の相関        (都道府県、クロスセクション) 【X軸:民間投資計、Y軸貸出残高】 (倍) 1.05 1.00 0.95 090 085 0.80 0.75 一..一一一◆一一c−一ぼ▲一一一一一 一        ◆◆““ ◆◆

二亘≦二≧≡一

       ◆◆ぐ.3   ◆ 一一一@  一一一一一 .一       ◆  一       ◆◆一一一一一一一一一’  y=−0137x+1.0643  −一一R2 = O.oa65−一・一一一一一一・一◆一一一一一一 0,70 0,75 0.80 0.85 0.90 0.95 1.00 1.05 1.10 1.15 1,20 (倍) 【X軸:設備投資、Y軸:貸出残高】 (倍) 105 1.00 095 090 0,85 080 0.75 「一一一一一一一一一㌻百∵三旦一一一一一一一一

∵、気ぎ∵ll

ひi。k͡瓢,亘一一一∫d−一一一竺◆−

  2

−− q−=0〔H64−『  rTrr−一一一一◆一一一一一一一一        ◆ 070 0,75 080 0.85 0,90 0.95 1.00 1.05 1,10 1.15 1,20 1.25        (倍) 【X軸:住宅投資、Y軸:貸出残高】 (倍) 1.05 1.oo O.95 0.90 0.85 0.80 0.75       一一一一S−一一◆.旦..◆._一▲一一ど三一〇1371x+τ・0489        ◆◆    ◆      −F{2=bo389      ◆   ◆   ◆

一 

?Dひ子で◆ニー一一一一

      一◆一一一一一一†“一◆一一一一一◆一一一一一≡一一         ◆ ◆ ◆ 8 ◆ 一一一一一一一w一一汕黷 ミ一一一一一一◆一一一””’ Tt −一一一一一一一一一一一一@一一一一一一一一一一一一一一一◆一一       ◆ 0.600650.700.750,800.850900.951.001.051.10(倍) (注)1.2005年度/2000年度の倍率   2.相関係数:民間投資計一〇.1533、設備投資一〇.1280、住宅投資一〇.943 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算平成20年版』よ    り筆者作成。

(15)

県内総生産(総支出)の6割を占める個人消費よりも、民間設備投資、民間住宅投資といった固定

資本形成のほうが銀行貸出に直結する度合いが強いとの仮説に基づき、貸出残高と投資額の増減率

を都道府県別にクロスセクション分析した。分析結果を見ると仮説に反し、民間設備投資・民間住宅

投資と両者の合計である民間固定資本形成のいずれも貸出との相関は符号条件を充たさなかった

(図10)。設備投資、住宅投資でも、都道府県別の貸出の変動を十分に説明できなかったことになる。

4−2 地価と地域別貸出

 さらに、地価と地域別の貸出残高との相関を観察した。地価の上昇(下落)は、企業・家計の投

資活動の活発さを通じて資金需要の増加(減少)と連動しており、企業の含み益や担保余力の向上

(低下)とも強い相関が有ると考えられるからである。例えば、80年代後半のバブル期には、銀行

貸出の増勢は、GDPなどの実体経済よりも地価との連動が大きかった。そうした問題意識から地価

と貸出残高の地域別のクロスセクション分析の結果を見ると、符号条件は充たしているが相関係数

は0.ll50と小さい1(図ll)。バブル期と比べて、地価と貸出需要との相関が低下しているものと推察 図11 貸出残高の増減率と基準地価(商業地)の騰落率(都道府県別) 丘ロ 2 1.1 1.0 0.9 OB 07 0.6 一貸出残高(2007/2000)   ・基準地価(2006/2000) 0.5   北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全   海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島ロ島川媛知岡賀崎本分崎児縄国  (注)1.地価は商用地(基準地価、7月1日時点);2006年/2000年の倍率    2.貸出残高(実額)は2007年度/2000年度    3.両指標の相関係数は0.ll50  (資料)国土交通省土地・水資源局地価調査課『都道府県地価調査』、日本銀行『地域別預金・貸出残高』、     内閣府経済社会合研究所『県民経済計算平成20年版』により筆者作成。 Sなお地価は、後述する金融機関の資金供給姿勢にも影響を及ぼすが、ここでは主に借り手の資金需要の変動要  因と捉える。 一14一

(16)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 される。  また時折、「高齢化の進展している地域では預貸率が低い」という指摘がなされることがあるが、

都道府県別の一般預金、貸出とも高齢者比率との有意な相関は見られなかった。高齢化の進展は、

県内総生産の低迷を経由して借入れ需要に影響すると考えられ、高齢化要因は前述の県内総生産に

吸収されていると考えることも可能である。

 その他に、銀行借入れから証券調達へのシフトがあれば、これは貸出(借入)需要の減少要因と

なるとも考えられる。しかし、現実にはこうした証券シフトは大企業が立地する大都市圏において

見られるものであり、中小企業のウェイトの高い地方では一般的ではない。従って資金需要の証券

シフトによって地方の貸出低迷を説明することもできない。

 以上を総括すると、都道府県別の貸出の多寡は、資金需要側の諸要因では十分に説明できない9と

結論付けられる。

5.都道府県別の貸出と金融機関の貸出態度(資金供給側の要因)との関係

 貸出の多寡の要因を資金需要側に求められないとすると、資金供給側、すなわち金融機関の貸出

態度に係わる要因はどう作用しているのであろう。都道府県別の金融機関の貸出態度を示す包括的

なアンケート調査が無い為、ここでは金融機関の貸出態度を左右する要因から間接的に貸出変動要

因を探ることとする。

5−1 借り手の信用力と地域別貸出

 金融機関の貸出態度を左右する最も重要な要素は、与信先の収益力や所得である。これらは基本

的には県内総生産に反映されているはずである。先述のとおり、県内総生産と貸出との関係は明確

ではなく、そこから与信先の収益力では都道府県別の貸出の多寡は充分に説明できないことになる。

 次にあげられるのは、企業倒産の動向である。金融機関の与信リスクの認識が、企業倒産の増減

と密接な関係を持つことには異論がなかろう。ある地域での企業倒産の増加は、当該企業との取引

のある金融機関のリスク認識を高めるだけでなく、その地域全体の景況を悪化させ、その地域で与

信を行う金融機関の信用リスク認識を高める。各地域の企業は密接な関係を有し、また地場産業の

倒産はその産業全体、ひいては当該地域経済全体の沈滞を意味するからである。こうした観点から、

企業倒産件数(2006年)と貸出の増減との関係を都道府県別クロスセクション分析すると、そこに

は緩やかな逆相関がみてとれる(図12、相関係数は一〇.3065)。すなわち、企業倒産が増加すると貸 q 堀・木滝[2003]は、2000年度までの数値を用い、本論文と同様、貸出残高と県内総生産、県内設備投資との関  係は薄いとしている。

(17)

図12 貸出残高の増減率と倒産件数率(都道府県別)

胸﹁﹂ー.\

倍21098765432

︵  11 卍 t O α α 0 0, 0 0 0 一貸出残高(2007/2000)   ・倒産件数率(%)

三∵∵一:1−1メ.㍗∵一・ ㌧,J:一一一一一

θ一

d≒./ .一∴二’\−1.一二∴一/

北青岩宮秋山福茨栃群埼千束神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎児縄国 道       川       山       島  計 注)1.企業倒産率=企業倒産件数/普通法人数による。2006年時点。     倒産件数は商工リサーチ、法人数は国税庁『国税庁統計年報書』による。   2.両指標の相関係数は一〇.3065 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、総務省『日本の統計』、国税庁『国税庁統計年報書』により筆    者作成。 出が減少するという緩やかな関係が確認された1(}。

5−2 金融機関の競争条件と地域別貸出

 次に、金融機関間の各都道府県での競争条件との関連を検討する。金融機関の競争条件を測るの

は容易ではないが、ここでは人口100万人あたりの預金取扱地域金融機関数(地方銀行・第二地銀、

信用金庫、信用組合)で代替することとしだ1。都道府県別の金融機関数と貸出の増減の相関を見る

と、両者の間には相応の順相関が確認された(図13)。その相関係数は0.3744と既出の分析結果より 高い。すなわち、人口あたりの金融機関数が多い都道府県において貸出が増加する傾向が見られる。 1{} 燉Z機関のリスク認識を捉える指標として「不良債権比率」を用いることも考えうる。しかし、不良債権の  発生は、当該金融機関が貸倒引当金を十分に積んでいなければ貸出意欲を抑制すると考えられるが、引当金を  十分積んでいれば理論的には当該金融機関の貸出態度に何ら影響を及ぼさない。また、本稿では金融機関の本  店所在地ではなく貸出実行地をもとに地域別の貸出動向を分析している為、都道府県別の不良債権比率を把握 することは出来ない。 Hここでは2006年度の全国ベースの貸出残高シェアをもとに、地方銀行・第ll地銀を2.944倍、信用組合を0.147 倍して、信用金庫ベースに引きなおした機関数を算出している。都市銀行などメガバンクの地方支店も各地域  に貸出を行っているが、ここでは考慮していない。 機関数よりも店舗数を重視すべきとする見解もあろうが、金融機関によって店舗形態・規模がかなり異なるこ と、一部機関は店舗数を公表していないことから、ここでは機関数を観察した。 一16一

(18)

  地方における預貸率低下の要因とその是正策 図13貸出残高の増減率と金融機関数(都道府県別) 倍2  1  0  9  8  7  6  5 一貸出残高の県内総生産比(2005/2000)   〔左目盛〕       24 …1°°万人あたり金融機関数

@〔右目盛〕   ::

       ::        :;        1°

      t、        :

      一一________.一_一一一.」:

北青岩宮秋山福茨栃群埼千束神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖全 海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎児縄国 (注)1,「100万人あたりの金融機関数」は地方銀行・第H地銀を2.944倍、信用組合を0.147倍し     て、信用金庫ベースに引きなおした機関数(倍率の根拠は2006年度の全国ベースの貸出     残高シェア)。   2、銀行数は2007年11月末(ニッキン『金融ジャーナル(増刊号「金融マップ2008年版」)』     通巻610号、2007年12月号による。信金・信組の数は2007年3月末(金融庁資料による)。   3.貸出残高は県内総生産比:2005年度/2000年度の倍率。   4.両指標の相関係数は0.3744 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』、ニッキン『金融マップ2008年版』等により筆者作成。 これは、資金供給者の層が厚いと①貸出が供給される機会が大きいこと、②各地域での貸出競争(あ るいはその結果としての金利引き下げ)が生じやすいIL’こと、が理由であると考えられる。

 なお、貸出供給に影響を与える要因として銀行の自己資本比率がとりあげられることが多い。例

えば、いわゆる貸し渋りの原因として、バーゼル委員会による自己資本比率規制(BIS規制)のも

とでの自己資本不足がしばしば指摘される。自己資本比率と貸出との関係については多くの先行研

究があるが、筆者はそれらの多くは分析上の問題点を多く含んでいると考える。例えば、銀行の自

己資本比率が貸出行動に与える影響は、国際基準行(8%以上の自己資本比率を求められる)と国

内基準行(4%以上の自己資本比率を求められる)とでは異なるであろう。かといって基準と実績

巴  いわゆる京都金利、名古屋金利など、当該地域の競争条件が貸出金利に多大な影響を与えていることはしば  しば指摘される。

(19)

との乖離をもって分析するにしても、国際基準行にとっての自己資本比率9%(乖ee 1%)と国内

基準行にとっての自己資本比率5%(乖離1%)が、貸出行動に同じ影響を及ぼすとも考えにくい。

また、本稿では金融機関の本店所在地ではなく貸出実行地をもとに地域別の貸出動向を分析してい

る為、都道府県別の記金融機関の財務状況(自己資本比率規制など)を把握することは出来ない。

これらの理由により、本稿では銀行の自己資本比率を貸出供給の説明要因に加えなかった。

6.都道府県別の貸出の決定要因に関する分析の示唆するもの

6−1 分析結果の総括

 以上の分析を総括する意味で、都道府県別の貸出残高(2007年度平残)の決定要因をクロスセクシ

ョンにて多変量解析したところ、県内総生産の説明力(t値)が圧倒的に高かった(表1)。前述の

とおり、2000年度以降の貸出の増加率は県内総生産によって十分に説明できなかったが、都道府県

別の貸出残高の多寡は県内総生産の規模の違いによって基本的には規定されていることになる。

 次に説明力が高かったのは企業倒産件数率(負の相関)、次いで地価、金融機関数の順となった13。 表1 都道府県別貸出残高(2007年度平残)の決定要因 従属変数:都道府県別貸出平算(2007年度、対数系列)

R2乗

調整済み

変化

q2乗

F変化量 自由度1 自由度2

有意確率F変化量

.940 .934 163,935 4 42 .000 各説明変数の係数他

非標準化係数   標準化係数   t  有意確率

n一     一一

W準誤差

ベータ (定数) ァ内総生産(2005年度) 燉Z機関数(2007年) │産件数率(2006年度) 譓?n価(2006/00年) 一1.619 P,126 @.062 │.247 @.273 .942 D070 D100 │.125 D318 .950 D035 │.077 D033 一1.718 P6,101 @.622 │1,970 @.860 .093 D000 D538 D055 D395 分散分析 平方和 自由度 平均平方

F値

有意確率 回帰

c差

S体

42,381 Q,715 S5,096

44246

10,595 @.065 163,935 .000(a) (資料)筆者推計による。 111 アこでは県内総生産は資金需要・供給に作用する変数、地価は資金需要を左右する変数、倒産件数と金融機 関数は資金供給を左右する変数として捉えている。 一18一

(20)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 表2 貸出残高の増減率と関連指標の都道府県ランキング 叩〇 十、﹂1 ︵倒産比率のみ逆順

worst

 10  倒  産  比  率  の  み  逆  順 イ 出憂局増} 、  ’

金融機関数

倒産件数率

実額

県内総生産比

(人ロ100万人あたり (普通法人数比)

20.0 愛女 24.5

畠山

15.5

爪川

0.29

滋賀

11.9

滋賀

9.1

福井

13.9

埼玉

0.29

沖縄

11.7

沖縄

7」

島根

12.4

群馬

0.29 埼ヨ三 8.5

鹿児島

6.8

山形

12.2

茨城

0.30

静岡

7.8

福井

6.7

佐賀

12.0

栃木

0.31

福井

7.1

宮崎

6.1

岩手

11.8

千葉

0.32

宮崎

6.9

埼玉

5.4

高知

10.5

新潟

0.33

鹿児島

6.2

静岡

4.7

鳥取

9.9

長野

0.35

岡山

1.0

高知

3.7

徳島

9.9

香川

0.35

大分

0.9

岩手

2.9

宮崎

9.7

愛媛

0.36

山梨

一12.3

山梨

一11.8 3.7

石川

0.58

福岡

一12.9

徳島

一12.0

茨城

3.7

滋賀

0.59

兵庫

一12.9

京都府

一15.3

愛知

3.4

山梨

0.59

京都府

一13.6

栃木

一15.5

兵庫

3.2

兵庫

0.61

青森

一13.6

福岡

一15.9

東京都

3.0

鳥取

0.64

愛知

一15.1

東京都

一19.9

大阪府

3.0

山形

0.78

東京都

一15.7

長崎

一20.0

千葉

2.3

高知

0.78

和歌山

一18.2

愛知

一22.9

京都府

2.3

大阪府

0.89

長崎

一19.6

和歌山

一23.1

神奈川

1.7

奈良

0.92

大阪府

一26.1

大阪府

一26.6

埼玉

1.0

京都府

1.03 (注)L貸出残高(実額、総生産比)は、2007年度の2000年度対比増減率    (rtoplO」は増加率の大きい10都道府県、「worstlO」は減少率の大きい10都道府県)   2.金融機関数は、100万人あたりの機関数(2007年、算出方法は図13の注参照)   3.倒産件数率は企業倒産件数/法人企業数 (2006年)   4 シャドーは、貸出増減率と金融機関数または倒産件数比率が上位・下位10位に入っている都道     府県。 (資料)日本銀行『地域別預金・貸出残高』他より筆者作成。

 さらに、実際の状況と諸要因との関連をつかむ為、都道府県別の貸出残高の増減率の上位・下位

10位までのランキングと、金融機関数及び企業の倒産件数率のランキングとを対比してみた(表2)。

 まず、福井県、岩手県、高知県、宮崎県は人口当たりの金融機関数が10∼14機関と多く、これが

貸出残高の増加率と整合的である。埼玉県は企業倒産が少なく貸出の増加率も大きく、逆に京都府、

大阪府、兵庫県、山梨県は企業倒産が多く貸出の減少も著しい。このように、貸出増減の著しい都

道府県の概ね半分程度は、金融機関数や企業倒産の多寡により説明がつくことになる。

(21)

6−2 分析結果に関する留意点

 ただし、金融機関数と貸出の多寡について考える際には、若干の注意が必要である。ある地域に

て金融機関数が多いことは、その地域で過当競争が生じ、ダンピング気味の低すぎる金利で貸出が

なされている可能性を示しているとも考えられる。いわゆるオーバーバンキングの状態である。こ

うした過当競争は、短期的には貸出残高にはプラスの影響を与えるが、金融機関の経営基盤を着実

に侵食するであろう。その結果、長期的にはむしろ貸出が抑制される可能性がある。これは中小企

業向け貸出市場における過当競争が、貸出金利の低さ(利鞘の小ささ)を通じて結果的に中小企業

金融の発展を阻んでいると考えられることと同様であるll。このため、金融機関数が多いことが、長 期的にその地域への資金還流を促進するかどうかは、なお議論が残る。このため、「地域への資金還 流の為に金融機関数を増やす(減らさない)」といった政策は、適切ではない可能性が高い。

 以上を踏まえた上で、改めて地域への資金還流を促進する為にはどのような方策が必要であろう

か。本稿での分析結果を踏まえると、「地域への資金還流の為には、その地域の経済成長を促進し、

借り手企業の財務悪化や企業倒産を抑制することが重要」との結論となる。しかし、地域の長期的

な経済成長や企業の財務状況の改善には、その地域の経済・産業構造を強化する他はなく、これを

政策面で実現するのはほぼ不可能である。地域への資金還流を求めるのであれば、通常の経済政策

を離れた何らかの新たな法制度(あるいはシステム)が必要である。

6−3 地域への資金還流を求めることの意義

 なお、国内の各地域への資金還流が必要かどうかは、議論の分かれるところである。国際収支の

均衡、為替リスク回避などを考えれば、一国全体への資金還流が重要であるとの論は支持を得やす

いであろうが、国内の各地域内で資金が還流することの重要性を支持する論拠はさほど強くない。

 しかし筆者は、情報の非対称性t:’の軽減の観点からは、地元の資金が当該地域(あるいは近隣地 域)に投融資される方が資源の最適配分に資すると考える。すなわち、貸出市場は「地域的に分断」 される方が経済効率の向上に貢献するという前提で考察している]tS。 U中小企業金融における過当競争と貸出金利(利鞘)、またその長期的な中小企業金融市場の発展性との関係に  ついては、益田[2006]『中小企業金融のマクロ経済分析』に詳しい。 15 n域別には、大都市(とくに東京都)から地方に向けての情報の流れに比べて、地方から大都市(東京都他)  への情報の流れが乏しいとの指摘がある(野間[2005]、p」58、等)。これが地方の資金が東京など大都市に吸  い上げられる原因となっているとも考えられる。本稿では、地域内と地域外の情報の流れの多寡を論じている  が、同時に地域間での情報の流れの多寡にも格差があると考えられる。 16  地域金隆論においては、貸出市場が地域的に分断されているかどうかが大きな議論となっている(例えば筒 井[2009])。しかし、本稿では「分断されているかどうか」は問わず、「分断されている方が好ましい」という  立場にて議論を展開している。 一20一

(22)

地方における預貸率低下の要因とその是iE策

 企業金融は、情報の非対称性が最も深刻な障害となる市場である。各地域での産業・企業に関す

る情報については、「本来は」地域密着型の地域金融機関が最も豊富に持っており、その企業向け融

資については全国展開するメガバンクの融資に比べて情報の非対称性が少ない(情報生産能力が高

い)と考えられる17。そうした観点からは、国内においても各地域の資金は、当該地域に投融資され ること、すなわち各地域への資金還流が重要であると考えられる。

 なお、資金還流がなされるべき地域の範囲(大きさ)については、大いに議論が有りうる。本稿

ではデータの入手可能性から都道府県別の預貸率を観察し分析した。一般に、情報の非対称性は広

域になればなるほど低下すると考えられる。ここで、仮に都道府県を越えたところに非対称性の急

拡大があるのであれば、都道府県内での資金還流を促進することが正当化される。しかし、市町村

などのより小さい地域区分やより広域の地域区分での資金還流を目指すべきとの結論も有りうる。

日本の経済圏は、一部の都道府県を除いて多くが都道府県別に形成されている傾向があるため、資

金還流を図る地域区分も都道府県が適切であると考えるが、この点についてはより精緻な分析が必

要である。

7.地域への資金還流のための政策・制度のあり方

7−1 米国CRAの概要とその目的

 上記の分析を総合すると、通常の経済政策(財政政策・金融政策)によって地域への資金還流を

改善することは困難である。従って、地域への資金還流を実現する為には、何らかの規制、あるい

は域内融資に対する金融機関のインセンティブを高める政策措置を検討せざるを得ないと考える。

そうした地域への資金還流を促進する為の方策として、しばしば言及されるのが米国のCRA(地域

再投資法;The Community Reinvestment Act of 1977)である。

 米国のCRAは、預金取扱金融機関に融資の一定比率以上を域内で実行することを義務づける法

制度である。具体的には、①地元地域の便益とニーズに奉仕している事を証明すること(預金サー

ビスのみならず信用ニーズが含まれる)、②地元地域の信用ニーズ(住宅融資の申し込み)に応える

べく継続的・積極的に努力すること、を各地域の金融機関に求め、その遵守状況に応じて金融機関

を格付け(4段階)し、その格付けを金融機関の指導・監督に用いるものである。

 CRAは、もともとマイノリティや貧民が経済的に排除されることを防ぐという社会的な目的をも

って、民主党カーター政権下の1977年に設けられたものではあるが、同時に地域振興(とくに過疎

tT  実際に、地域金融機関の方がメガバンクよりも地域情報、地場企業の審査能力を持っているとは限らない。 むしろ、本来あるべき能力を十分に発揮していないが為に、地方や地域金融機関の預貸率が低下しているとも 考えられる。そうであれば、地域金融機関が本来持ってるべき情報生産能力についての各地域での優位性を充 分に発揮できるようになることが望まれる。

(23)

地域の経済支援)をも目的とされるに至った。また、1995年には、法改正により住宅融資のみなら

ず小規模企業に対する融資もCRAの対象とされることになり、ここにCRAは各地域における中小

企業金融と深いかかわりを持つことになった。

 筆者は、2008年に米国の金融機関、監督当局(FRB)、 CRAの専門研究者などにCRAの目的と効

果についてインタビューを行った。そのうち、CRAの権威でありこの制度導入に係わった1人であ

るNew York Law SchoolのRichard Marsico教授は、「本制度の導入当初は明らかに社会的な公平性

を目的としていたが、90年代後半以降は地域経済振興の目的の方が重視されるに至った」と述べて

いる。また、米国に拠点を有する銀行は、いずれもCRAを「単なる社会政策の一環」と考え、銀

行の義務として捉える傾向があったのに対し、監督当局である地区連銀(FRB)やColumbia Busin

ess SchoolのCharles Calomiris教授などの地域経済専門家は、 CRAの「地域経済振興効果」を重

視する傾向がある。これは、CRAが一般に認識されている以上に、地域振興を目的としており、ま

た実際にその効果を発揮している可能性があることを示唆している。

7−2 地域資金還流策が機能するための環境

 翻って日本についてみると、地域格差が拡大しており、過疎地域の経済は既に再生が困難なほど

疲弊しているように見られる。そうした格差拡大は、市町村レベルでも都道府県別レベルでも、よ

り広域の地域別にも進行している。こうした格差をどこまで是正すべきかについては意見が分かれ

るところであろうが、格差是正が求められるのであれば、金融面での対応も必要であろう。すなわ

ち、本稿で論じる各地域への資金還流が重要である。

 その為には、米国のCRA(地域再投資法)に類する、金融機関に当該地域内への投融資の義務を

課すような法規制が必要であると考える。米国と日本では、地域経済の状況や地方自治の形態が異

なるが、世界に先駆けて資金還流への取り組みを始めた米国の経験を参考にすべきであろう。

 また、米国における地域資金還流促進制度がCRAという法律だけで成り立っている訳ではない

ことも理解しなくてはいけない。この制度を支える下部組織として、CDFI s(Community Develop

ment Financial Institutions)というコミュニティ開発金融機関や、 Intermediaryという中間支援組織 などが重要な役割を果たしている。前者は、地域への投融資を仲介するファンドや貸出機関であり、

性格や目的に応じてCDB(コミュニティ開発銀行)、 CDCU(コミュニティ開発信用組合)、 CDLF

(コミュニティ開発貸付基金)、CDVCF(コミュニティ開発ベンチャー基金)、 MDLF(零細企業開

発貸付基金)、CDC(コミュニティ開発法人)などに分化している。後者は、地域金融機関に対す

る金融業務の技術支援や投資家と資金需要のある地域金融機関のマッチングを行う非営利団体であ

る。こうした重層的な構造が、日本において一朝一夕に形成されるとは思えない。しかし、日本で

は地域金融機関や地元の商工会などが地域経済との緊密な関係を築いている為、これらの諸団体が

一22一

(24)

地方における預貸率低下の要因とその是正策 連携して地域の資金循環を円滑にする体制を構築することが可能であろう。

 なお、日本の場合、地域金融機関の活動領域は、多くの場合各都道府県内を中心としている為、

域内投融資に関する規制を設ける際には、都道府県単位での規制とするのが現実的であろう。

〔参考文献〕 安藤浩一[2005],「統計データから見た地域の資金循環の状況」,『RPレビュー(日本政策投資銀行)』, Vol.17(2005   年No.2), pp.59.64. 齋藤一朗[2007],「北海道経済の貯蓄投資バランスと金融システム」,『信金中金月報』,2007年2月. 筒井義郎[2009],「地域金融の課題」,『金融経済研究(日本金融学会)』,第28号(2009年4月),pp.1−22. 内閣府・政策統括官室編[2008],『地域の経済2007』,日本統計協会. 野間敏克[2004],「州制下の地域金融システム」,『州制の導入および地方分権改革と地域経済の活性化に関する   調査研究(関西社会経済研究所)』,2004年3月. 野間敏彦[2005],「地域間資金移動と資金循環」,堀江康煕編著『地域金融と企業の再生』,中央経済社. 堀雅博・木滝秀彰[2003],「金融機関の健全性と地域経済;都道府県別データによる検証」,『ESRI Discussion Paper   Series(内閣府経済社会総合研究所)』, No.38(2003年5月). 堀江康煕[2005],「地域銀行の経営戦略」,堀江康煕編著『地域金融と企業の再生』,中央経済社. 堀江康煕[2006],「地域間所得格差と財政・金融」,『地域学研究(九州大学経済学会)』,第73巻第2・3号(2006   年12月).pp.37−61. 堀江康煕[2008],『地域金融機関の経営行動』,頸草書房. 益田安良[2006],『中小企業金融のマクロ経済分析』,中央経済社. 益田安良[2008],「預貸率低下は金融機関の貸出態度が主因」,『金融財政事情(金融財政事情研究会)』第59巻第   43号(通巻2813号、2008年11月17日号). 松田岳[2004ユ,「米国の地域コミュニティ金融」,『ディスカッション・ペーパー(金融庁・金融研究研修センタ   ー)』,No.14−2003年度(2004年3月19日). 村本孜[2003]、「地域の金融構造の現状分析」,『RPレビュー(日本政策投資銀行)』,Vbl.iO(2003年No.D,pp.19−24. 家森信義[2005],「地域金融システムと地域金融」,『RPレビュー(日本政策投資銀行)』. Vol.17(2005年No.2),   pp.14_18. Berger,A.N.and G.FUdell[2002],“Small business crcdit availability and relationship lending:The importance of bank   organizational structure”,T17e Economic Journal, Vol.112,No.477(Feb),pp.32−53. Degryse, H.and S.Ongena,[2004]、“The Impact of Technology and Regulation on the Geographical Scope of   Banking” ,O.lford Review(lfEconomic Polic.v Vol.20 (4),pp.571−590. Feldstein,M.S. and C.Horioka[1980],“Domestic Savings and Intemational Cash Flows’⑱,The Economic Journal, Vol.90. Ishikawa,R.D. and YTsutsui[2008]、“Credit Crunch:ALesson from the Japanese Case”, Discussion i)aper in Economics   and Business.08−33 (Osaka University). Marsico, RD.[2005] , Democrati:ing Caρital, Carolina Academic Press. Yamori Nobuyoshi[1994],“The Relationship between Domestic Savings and Investment;thc Feldstein−Horioka Test   Using Japanese Regional Data , Economic Letters, VbL48.

参照

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