企業の戦略的事業展開
著者
堀 雅通
雑誌名
観光学研究
号
9
ページ
85-101
発行年
2010-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000055/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja観 光学 研究 第9 号 2010 年3 月
電子マネー
機能付 きICカー
ド乗 車券 による
公共交通 企業 の戦略的事業展 開
堀 雅 通 * 85 は じ め に 近年、 交 通分 野 で は、ICカー ド乗 車券 の導 入 に よ り乗 車 券 購 入 の煩 わし さが な く な り、 移 動 のモ ビリティ が向 上 し てい る1)。電 子マネー 機 能付 きICカー ド乗 車券 も発 行 さ れ、 交 通 機 関 だ け で な く、ホテル やレストラン、 あ るい はショッ ピン グな ど、 様々 な分 野 でサー ビス の利 用 が拡 大 し て い る。 こ の よう に (電 子マネー 機 能付 き)ICカー ド乗 車 券 は、 今 や 交 通サー ビス の利 用形 態 だ け で な く、 消 費者 のライフスタイル を も変 え よう とし てい る。 こ うし たICカー ド乗 車 券 は電 子マネー の重 要 なア プリケーション とし て電 子マネー 普 及 の 推 進 力 と も なっ てい る。 今 後、 様 々 な分野 で、 広 く共 通利 用 で きるICカー ド・システム が整 備・ 拡 充 さ れてい け ば、 ま た、 全 て の公 共交 通 機 関が 参 画し た広 範 囲 な料 金 収受システム が構 築 さ れ れ ば、 よりシームレス な交 通 社会 の 実現 が可 能 と なる だろ う2)。 こ の よう なICカー ド乗 車 券 は公 共交 通 のシームレス 化 の実 現 に貢 献 す る だけ で な く、 都 市 内 観 光 周 遊 や地 域 の 観 光振 興 に も寄与 す るこ とが 期 待 さ れ る。 本 稿 は、 目覚 し い 発展 を とげ る 交 通系ICカー ド乗 車 券 の 普 及・ 拡 大 につ い て、 特 に公 共 交 通 のシームレス 化 に 主 眼 を 置い て考 察 す る。 またICカー ド乗 車 券導 入 に よる公 共 交 通企業 の 戦略 的 な事 業展 開につい て も若干 の考 察 を試 み る。 1 . ICカー ド乗 車 券 ICカー ド乗 車 券、 特 に電 子マネー 機 能 付 きICカー ド乗 車 券 が 普 及 し、 ま た、 そ の 相 互利 用 に よっ て公 共交 通 機 関利 用 者 の利 便 性 が向 上 し てい る ( 表1 参 照 )。首都 圏、 中京 圏、 近 畿 圏、 そ れ ぞ れ のエリア の公 共交 通 機 関を、 い ず れか1 枚 のカー ドで利 用 で きるシームレス な交 通体系 が構 築 さ れつつ あ る。 こ の よ う に新 しい 交 通サー ビス とし て 導 入 が 進 めら れてい るICカー ド乗 車 券 は、 す で に重 要 な交 通インフラ、 社会インフラ とし て、 人々 の 生活 の 中 に浸 透しつ つあ る。 ICカー ド乗 車 券 は、 香 港、ソウル、 プサン な ど、ア ジア 諸 都市 で もそ の 高い利 便 性 が 評価 さ れ、 普 及し て い る。 ち な み に、ア ジア で利 用 さ れてい るIC 乗 車券 のタイ プに は、 中 国、 韓 国 が採 用 し てい るタイ プA と、 日本、 香 港、シン ガポール が 採用 し て い るFeliCa とが ある。後 述 する よう に、ICカー ド乗 車券 は、 す で に乗 車 券 とし て の利 用 から小 売 店 舗 な どを はじ め と し た 様 々 な場 面 で 利 用可 能 な利 便 性 の 高い 決 済システム へ と 進化 し つつ あ る。 観 光 振 興 の 面 で もICカー ド乗 車券 の 果た す役 割 が注 目さ れてい る3)。 1。1 1 Cカー ド乗 車 券 の 普 及 鉄 道 事 業 者 が 導 入 し て い るICカー ド(乗 車 券 ) は、 利 用 額 の 支 払 い 方 法 に つ い て 前 払 い で 支 払 う プリ ペイ ド型 と 後 払 い で 支 払 う ポスト ペイ 型 の 二 種 類 が あ る。 先 行 し て 導 入 さ れ た の は プリ ペイ ド型 で、 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 東 日 本 ) の「スイカ (Suica)」 や 首 都 圏 の 私 鉄 や 地 下 鉄、 バス で 利 用 可 能 な「 パスモ (PASUMO)」( 株 式 会 社 パスモ )を は じ め、 大 多 数 の 事 業 者 が 採 用 し て い る。 こ の 方 式 のICカー ドは 事 前 にチャー ジ (入 金 ) す る 必 要 が あ り、 残 額 が 一 定 以 下 に な る と 自 動 改 札 を 通 り 抜 け る こ と が で き な く な る。 た だ 定 期 券 な ど を 除 い て 個 人 情 報 等 を 登 録 す る 必 要 が な く、 券 売 機 で 容 易 に 発 行 可 能 な こ と か ら 普 及・ 浸 透 のス ピー ドは 速 い。 ポスト ペイ 型 は、 例 え ば「 ピタ パ (PiTaPa )」( 株 式 会 社スルッ と KANSAI) が 採 用 し て い る。 こ の 型 は 利 用 後 に 使 用 額 を 集 計 し て 指 定 口 座 か ら 引 き 落 と す た め 事 前 にカー ドに 入 金 す る 必 要 が な く、 残 額 が 一 定 以 下 に な っ て も 自 動 改 札 を 通 り 抜 け る こ と が で き な く な る 心 配 は な い。 ま た 使 用 額 を 集 計 す る 際、 様 々 な 割 引サー ビス も 行 い や す い。 し か し、クレ ジットカー ドと 同 様、 申 し 込 み 時 の 審 査 が 必 要 で、 発 行 に2 ∼3 週 間 程 度 を 要 す る。 そ の た め プリ ペイ ド型 のICカー ドに 比 べ、 普 及・ 浸 透 のス ピー ドは 遅 い。 と は い え、 プリ ペイ ド型、 ポスト ペイ 型、 そ れ ぞ れカー ド特 性 を 活 か し た 事 業 展 開 が な さ れ て い る。 現 在、 公 共 交 通 機 関 へ の 導 入 が 進 ん で い るICカー ドは 今 後 さ ら に 普 及 し、 用 途 も 鉄 道 を 中 心 に 様 々 な も の と 連 携 し 複 雑 化 し て い く だ ろ う。 そ れ に 合 わ せ て、ICカー ド・システム と 相 性 の 良 い 運 賃 体 系 が 検 討 さ れ な け れ ば な ら な い だ ろ う。 利 用 者 に と っ て 利 用 し や す い 運 賃 で あ り、 か つ 利 用 者 全 体 で の 社 会 的 合 意 の 確 立 が 必 要 と さ れ る。 そ の 場 合、ICカー ド・システム のコスト の 低 減、 柔 軟 な 運 賃 体 系 の 導 入 の 可 能 性 の 拡 大、 鉄 道 の 利 便 性 向 上 に よ る 他 の 交 通 機 関 か ら の 転 換 に よ る 需 要 増 な ど の 効 果 を 定 量 的 に 確 認 す る 必 要 が あ る。 ま た 新 た に 発 生 す る 運 賃 精 算 の 方 法 も 検 討 す べ き 重 要 事 項 と な る だ ろ う 呪 航 空 会 社 で もマイレー ジカー ドのICカー ド化 か 進 ん で い る。 高 速 道 路 会 社 で は 料 金 所 の 通 過 に 際 し て ETCカー ドの 利 用 が 普 及 し、 ETCカー ドとクレ ジットカー ドが 合 体 し たハイ ブリッ ドカー ドも登 場 し て い る 呪 香 港 で もICカー ド乗 車 券 の 電 子マネー と し て の 利 用 が 高 速 道 路 や 一 部 の 小 売 店 舗 で 始 ま っ て い る。 ドイツ で は ドイツ 鉄 道 株 式 会 社 (Deutsche Bahn AG : DBAG) が ボー ダフォン (Vodafone D2 GmbH) と 提 携 し、「タッチ・アン ド・トラ ベル」 の 共 同 プロ ジェクト を 立 ち 上 げ た。E-Ticketing
堀 :電 子マネー 機能付 きICカー ド乗 車券 に よる公共 交通 企業 の戦略 的事業 展 開 表1 : 交 通 系ICカー ド乗 車 券 導 入 の 事 例 87 カー ド名 称 発 行 者 発 行 年 サ ー ビ ス 内 容 の 特 徴 他 スイカ (Suica) 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 東 日 本 ) 2001 年 発 行 枚 数 は2,017 万 枚 (2008 年1 月 末 現 在 )、 電 子マネー 機 能 搭 載 可、 ポイント 交 換 制 度 パスモ (PASMO ) 株 式 会 社 パスモ 2003 年 発 行 枚 数 は720 万 枚 (2008 年1 月 末 現 在 )、 鉄 道 会 社26 社、 バス 会 社75 社、 電 子マネー 機 能 搭 載 可、 ポイント 交 換 制 度 イコカ (ICOCA ) 西 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 西 日 本 ) 2003 年 240 万 枚、 非 接 触型ICカー ド トイカ (TOICA ) 東 海 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 東 海 ) 2006 年 ICOCA、Suica と の 相 互 利 用 可 能、IC 定 期 券 もあ る、 デポジット 制 キタカ (Kitaca) 北 海 道 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 北 海 道 ) 2008 年 JR グルー プと の相 互 利 用 予 定 ス ゴカ (SUGOCA) 九 州 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (JR 九 州 ) 2009 年 JR グルー プと の 相 互利 用 予 定 ピタ パ (PiTaPa) (株)スルツ とKANSAI 2004 年 ポスト ペイ 型、ショッ ピン グ利 用 に よ る ポイント の 割引 制 度、 定 期 券 が な い、 関 西 の 私 鉄、 バス せ た ま る 東 京 急 行 電 鉄 ( 株 ) 2002 年 東 急 世 田 谷 線 他、 非接 触 式、 ポイント 制 度 パスカ (passca) 富山ライトレール( 株) 2007 年 ポートラム、フィー ダー バス、 まい ど は や バス、 グラン ドパーキン グで 利 用 可 能、 定 期 券 もあ る、 デポ ジット 制、 ポイント 制 度 パス ピー (PASPY ) 広 島 電 鉄 ( 株 ) 他 2008 年 広 島 電 鉄 ( 株 )、 呉 市 交 通 局 他7 事業 者 が 参 加 IC い ∼カー ド 伊 予 鉄 道株 式 会 社 2005 年 松 山 市 内 の 電 車、 バス、タクシー の 利 用 の 他、ショッ ピン グ、 飲 食、レ ジャー な ど に も利 用 で き る。 電子マネー 機 能付 き イルカ (iruCa) 高 松 琴 平 電 気 鉄 道 株 式 会 社 2005 年 電 子マネーサー ビス の 実 証 実 験 を 実 施 中。 公 共 交 通 と 中 心 商 店 街 をシームレス に 融 合 さ せ る こ と で、ICカー ドを 中 心 市 街 地 活 性 化 と し て 活 用 す る 方 法 を検 証 中 ナイス パス (nicepass ) 遠 州 鉄 道 株 式 会 社 2004 年 浜 松 市 中 心 に 遠 州 鉄 道 の 電 車、 バス 共 通 長 崎スフートカー ド 長 崎 バス 株 式 会 社 他 2002 年 長 崎 県 内 の6 バス 事 業 会 社 (長 崎 バス、 西 肥 バス、 佐 世 保 市 営 バス、 長 崎 県 営 バス、 島 鉄 バス、 さい か い 交 通 ) アイカ (lea) 北 陸 鉄 道 株 式 会 社 2004 年 金 沢 市 中 心 の 鉄 道、 バス、IC 乗 車 券 ラ ピカ (RapiCa ) 鹿 児 島 市 交 通 局 2005 年 か ご し ま 共 通 乗 車カー ド 出 所 筆者 作 成 1 . 2 1Cカー ド乗車 券 の導 入効 果 公 共交 通 機 関 の利 便性 を飛 躍的 に高 め たICカー ド乗 車 券 の導 入 効果 を整 理 す る と 表2 の よ うに な る。 ic カー ド乗 車 券が 広 く受 け 入 れら れる た め に は利 便性 の向 上 だけ で な く、 そ の 前 提 と なる プライ バシー 保護 やセキュリティ 確 保 な どの対 策 が 必要 とな る。
表2 ICカー ド乗車券導 入の効果 利 用 者 事 業 者 基 礎 的 な 効 果 付 加 機 能 に よる 効 果 相 乗 効 果 基 礎 的 な 効 果 ・ 乗 り 継 ぎの 円滑 化・セキュリティ・ 安 全 性 の向 上・ 乗 車 券 購 入・ 精 算 時 の煩 雑 さ の 低 減 ・ 多 様 な 割引 制 度 の 享受・カー ド決 済 機 能 の拡 大 ・モ ビリティ の 向 上 収 支 改 善効 果・・ 駅 係 員 の負 担 軽 減・ 駅 混 雑 の緩 和 出所 国 土交 通省「 今 後 の 鉄 道サー ビス と 運 賃 政 策 に関 す る 調査 報 告 書」5 ペー ジ(2009 年8 月7 日、 日本 交 通 学 会 関西 部 会 特 別 講演 に お ける 山 内 弘 隆一 橋 大 学教 授 の 紹 介 資料 ) ICカー ド・インフラ を構 築 し よう と する と きは、 情 報改 京や不 正 利 用 の 防止 を 保 証す る た め のセキュリティ・レ ベル、 個 人情 報 の漏 洩 に よる プライ バシー の侵 害を 防 止す る 保護レ ベル、 多 様 な 機能 や使 い やす さ を示 す有 用性 (利 便 性 )レ ベル、 そ し てシステム の構 築 と運 用 にか かる 費用 を示 すコスト・レ ベル の4 要素 につ い て検 討 する 必要 があ る7)。 利 用で きるサー ビス が拡 大 す れば、 そ れに比例 して 蓄積 さ れる 個人 情 報 の量 も増 え てい く。 情報 の質 もプレーン ( 単純 ) な取引 データ か ら次 第 にセンシティ ブ、ハイ・センシティ ブな データ と な る。 図1 は、 交 通系ICカー ド・インフラ に おけ るフロンティア とサー ビス 利 用 者 の 選好 をタイ プ別 に示 し た もの であ る。 有 用性 を重 視す る利 用 者 は、 プライ バシー 保 護レ ベル (P 軸 ) が大 幅 に低下 し た とし て も、 少 しで も有 用性 (U 軸 ) が上 が れば同 程 度 の満足 を得 る。 こ のタイ プの利 用者 が持 つ効 用 関数 の傾 きの絶対 値 は小 さい。 つ ま り有用 性 を重 視す る利 用者 は自己 の効 用 を最大化 す る た め にハイセンシティ ブな情 報 を活 用し、 高度 なサー ビス を 選好 す る こ とに な る。 有 用 性 U 図1 個 人 情 報 の 保 護 と利 用 の バランス ( 基礎サー ビス , プレーン) P データ 保 護 出所 岡田[2007] 29 ペー ジ、 図2
堀 :電子マネー 機 能付 きICカー ド乗車 券 による 公共交 通企 業 の戦略 的事業 展 開 89 一方、 プライ バシー 保 護レ ベル を重 視す る利 用 者 は、 有 用性 が 大 き く低 下 し て も プライ バシー 保 護レ ベル が わずか で も上昇 す れば、 そ れ と同程 度 の満足 を得 るこ と にな る。 こ うし た プライ バシー 保 護 を優先 す る利 用者 が 持つ 効 用 関数 の傾 きの絶対 値 は大 きい。 し たがっ て、 こ のタイ プの利 用 者 が 自己 の 効用 を最 大化 し よ うす れ ば、 プレーン 情 報の み を利 用 す る。 す な わち、 有用 性 の低い 基 礎 的 なサー ビス を選好 する こ とに なる。 こ の よ う に、 有用 性 を重 視 す る 利 用 者 と プライ バシー 保 護 を重 視 す る利 用 者 と は、 そ れぞ れ異 なっ たタイ プのICカー ド構 造 を選好 す る。 こ の こ とは、ICカー ド・サー ビス の提 供 に際 して、 事 業 者が 複 数の方 式 を併 用 す るこ とで、 異 なるタイ プの利 用 者 のそ れぞ れの効 用 を最大化 で きる こ と を意味 す る。 た だ、 プライ バシー 保 護 とセキュリティ 確 保 の両レ ベル を上 げ よ う とす れば、 必然 的 にシステム の構 築に 必 要 なコスト が増 大 す る8)。 事 業 者 に発 生 する こ うし たコスト は最 終 的 には利 用 者側 に 転 嫁 さ れる。 そ の よ う なコスト を 各 事業 者 が個 別 に負 担 す るこ と は困 難 か つ非 効 率 で あ る。 また 事 業 者 あ るい は地域 に よっ てセキュリティ のレ ベル に差 異が あ っ て は なら ない。 こ の点 に 交 通系ICカー ド乗 車 券 を事 業 者 間の 垣 根 をこ え て共 通化 する こ と の 意味 があ る。 そ れ ゆえICカー ド乗 車 券 の共 通化・ 相互利 用 は、 今後 一 層 進展 し てい く もの と思 われ る。 た だICカー ド・システム が、 各 社 そ れぞ れ異 なる 運賃・ 料 金 体系 に 基づ く運賃 収受 を前 提 とし た 複雑 な プロ グラム に支 えら れ た精 緻 なシステム と なっ てい る こ と から、 そ れが 異 なる 規 格 のICカー ドの共 通化 叶目互利 用 を促 す 上 で の課 題 と なってい るこ と に も留 意 し なけ れ ばな らない。 2. 電 子マネー ICカー ド乗 車 券 の多 く は電 子マネー 機 能 を備 え てい る。 電 子マネー と は、 一般 にカー ドや 携 帯 電 話 に搭 載 さ れ たICチッ プ、ネット 上 のサー バー な どに電 子 的 に 記録 さ れた貨 幣 的 な価値 の こ と をい う。 明確 な定 義 は ない が、 事 前 に入 金 して 利用 す る プリ ペイ ド(前 払い )型 の も のと、 利 用 後 に代金 が 請求 さ れる ポスト ペイ ( 後払い )型 の もの があ る(表3 参照 )。 プリ ペイ ド型 の電 子マネー は現金 の よう に価 値 がそ の ま ま移転 す るマネー であ り、 ポスト ペイ 型の 決 済サー ビス はクレ ジットカー ドの よう に事 後 に価値 を移転 さ せ る指 図で あ る。 プリ ペイ ド型電 子マネー と ポスト ペイ 型 決 済サー ビス を合 わせ て 広義 の「 電 子マネー」 と呼 ぶ9)。 電子マネー の大 きな特 徴 の一 つが 現 金( 紙 幣 と硬貨) と 同じ 匿名 性 であ る。 個 人 の信用 で は な く、マネー そ の もの の信 用で 品 物やサー ビス と交換 す る。 日本 は根 強い 現金 文化 を土 台 に世 界で 最 も電 子マネー の利 用が 進 んでい る( 表4 参照)。 電子マネー がキャッシュレス 化 を加 速さ せ てい る とい っ て もよい。 匿名性 ゆえ他 人 へ の譲渡 が 容易 な反 面、 盗 難 や悪 用 のリスク が小 さ く ない。 一方、 欧米 で は 署名 して 使 う個 人小 切手 が 普及 し てい る。 そ の延長 線 にあ るクレ ジットカー ド、 デビットカー ドを軸 に 決 済のキャッシュレス 化 か 進 んでい る。 い ず れ も個 人名 義 が明 記 さ れ、 署名 や暗証 番 号 に
表3 各種の電子 的小口 決済手段 電子マネー(プリペイド型) ク レ ジ ツ ト カ ー ド サーバー 管 理 型 ストア ドバリュー 型 利 用 媒 体 ID パスワー ド カー ド( 非接 触) 携 帯 電 話 携 帯 電 話 カー ド( 非 接 触) カー ド( 接 触) サー ビス 例 WebMoney
ち ょコムBitCashNETCASHEdySuicaPASMONanacoWAONEdySuicaNanaco EdySuicaNanaco iDQUICPaySmaitplusVisa Touch 各 種クレ ジットカー ド ポストペイ型「電子マネー」 表注 I 法的 に は プリ ペイ ド型 の みが 電 子マネー に 該当 す る。 表注2 ち よコム (NTTコミュニケーション ズ )、WebMoney (ウェ ブマネー ) は、ネット 上 で の 決 済 の みのサー バー 管 理 型 の電 子マネー で あ る。コン ビニエンスストア の 決 済端 末な ど を 通じ て 購 入。 発 給 さ れ た 暗 証 番 号 をネット で の買 い 物 時 に入 力 し て 決 済 す る(『日 本経 済 新 聞』2009 年10 月25 日号、 参 照)。 出 所 :『 週 間 ダイヤモン ド』 ダイヤモン ド社、2008 年7 月12 日 号、60 ペー ジ( 原 データ は 日 本 銀 行「 決 済システムレ ポート 2006」 ) よる 本人 確認 が 必要 と なる。 電 子マネー は、 現 在、 運営 各 社 の顧 客囲い 込 み戦 略 から 規 格が 乱 立し、 数枚 を持つ 煩 わし さ につ ながっ てい る と の指摘 が あ る。 実際、 相 互利 用 で きる の はパスモ とスイカ など一 部 にと ど まってい る。 た だ、 こ こ に きて、コン ビニエンスストア な どの店 舗 で 異 なる 規格 に対 応し た 決済端 末 が普 及 し 始 め、 全 体 の利 用 を押 し上 げ てい る10)。 電子マネー の普 及 規模 は、 そ のす べ てが 実際 に使 われてい る わけで は ない が、 主要 規格 の 総発 行 枚 数 はお よそ1 億3,000 万 枚 (2009 年4 月 末 現 在) と な り、 今 や「1 人1 枚 時代」 を 迎 え てい る。 電 子マネー はい ず れ も企業 が発 行 す る「 通貨」 だ が、 社 会インフラ と し て の役 割 を果 たし つ つあ る呪 こ の よう な電 子マネー の急 速 な 普及 は、ソニー が 開発 し たフェリカ (FeliCa) とい う 比 較的 低コスト の安 定 し た 技 術 が ベース と なっ てい る。 ま た早 い 段 階 でコン ビニエンスストア に端 末が 設 置 さ れ、 小 銭 の や り と り をせ ず にス ピー ディ に 支払 い を終 えら れる利 点 が 認 識 さ れたこ と も追 い 風 と なっ てい る。 野村 総 合研 究所 で は、 鉄 道利 用 を除い た10 規 格の 決 済金 額 は2008 年 度で 推 定1 兆457 億 円、 平 成25 年 度 に3 兆 円を超 える とみ てい る呪 電 子マネー は利 用・ 入 金時 に ポイント が与 えら れるケース が多 い。 電 子マネー の普 及 に伴 っ て ポイントサー ビス の 電 子化 が 進 んで い る。 こ れ まで も様 々 な ポイントサー ビス が 提供 さ れ て きた が、 電 子化 の進 展 に伴 っ て利 用範 囲が 急 速に 拡大 し た。 ポイント は専 門サイト を通じ て互 換性 のない 電 子マネー やネット 通 販 の ポイント、 航空 会社 のマイレー ジに 交換 さ れる。 個 人 消費 が低 迷す る 中、 小 売 り・サー ビス 企業 に とっ て、 買い 物 客 に利 便 性 や割 安 感 を訴 える ポイント は集客 増 に欠 か せ な い。コン ビニエンスストア 大 手 のローソン と三菱 商 事株 式会 社、 昭和シェル 石 油 株式 会社、 映 像ソ
堀 :電子マネー 機 能付 きICカー ド乗 車券 に よる公共 交 通企業 の戦略 的事業 展 開 91
フトレンタル の ゲオ は買 い 物 を通 じて付 与 す る ポイントサー ビス で提 携し、 共 通 ポイント 連合 を組 む とい う。 相 互交 換 で きる パートナー を増 や すこ と で囲い 込 み を図っ てい る13)。
表4 主 要6 電 子マネー の 普 及 状 況 ( 前 払 い 方 式 )
名 称 Edy
(エ デイ ) Suica(スイカ) PASMO(パスモ) Nanacoけナコ ) WAON(フォン) ICOCA(イコカ)
運 営 主 体 ビットフレット 東 日 本 旅 客 鉄 道 東 京 急 行 電 鉄 な ど セ ブン &アイ・ホール ディン グス イオン 西 日 本 旅 客 鉄 道 発 行 枚 数 (万 枚) 5,140 2,710 1,321 890 1,090 486 利 用 で き る 店 舗 数 ( 店 ) 153,000 69,700 57,000 27,541 29,000 57,960 月 間 決 済 件 数 ( 万 件) 2,500 2,887 1,240 3,600 2,610 118 表 注 2009 年8 月 末 時 点。スイカ の 発 行 枚 数 は 買 い 物 の 支 払 い に 利 用 で き な い 分 を 除 い た。スイカ の 月 間 決 済 件 数 は 北 海 道 旅 客 鉄 道 の「Kitaca (キタカ )」 や 今 後 相 互 利 用 予 定 の 九 州 旅 客 鉄 道「 SUGOCA (ス ゴカ )」、 西 日 本 鉄 道「nimoca (ニモカ )」 を 含 む。 出 所 『 日 経MJ 』2009 年9 月25 日 号 3. 事 業 者 間 の 提 携 と 利 用 範 囲 の 拡 大 2007 年3 月、JR 東 日本 のスイカ は、 私 鉄、 地下 鉄 など の「 パスネット」 とバス 共 通カー ドをICカー ド乗 車券 化 し た「 パスモ」 と の 相 互利 用 を 開始 し た。 こ れに 伴い、 首 都 圏 の 公 共 交 通ネットワーク は、 実 質的 に1 枚 のICカー ド乗 車券 で 移動 で きる よう に なっ た。 い わばICカー ド乗 車 券システム とい うネットワーク で結 ば れた「シームレス な 世 界最大 規 模 の交 通ネットワークシステム」 が 誕生 し た こ とに なる。 電 子マネー 機 能付 きスイカ はJR 各社 や 私 鉄 との電 子マネー の相 互利 用 が 強 み となっ てい る1几 従 来、 各 交 通モー ドの事 業 者 は相互 に 熾烈 な競 争 を展 開 し て きたが、 近年、 様 々 な事 業分 野で 異 なる 事業 者 同士 の提 携 が 進ん でい る。 相 互利 用 に よっ て直接 的 な利 益が 上 がる わけで は ない が、IC 共 通カー ド乗 車 券が も たら す 社 会 的 便益 に は極 め て 大 きな も のが あ る。スイカ や パスモ で買 い 物 がで きる店 舗 も「 駅ナカ」 か ら「 街ナカ」 へ と拡 大 し てい る。スイカ とパスモ の 共同利 用 の よう なJR と私 鉄 の提 携 は、 か つ て は まっ た く考 え ら れ なか っ たこ と であ る。 ICカー ドの 相互 利 用 とい う 目的 の ため多 くの事 業者 が 様 々 な方法 で 手 を組 む よう にな ってい る。 例 え ば、 全 日 本空 輸株 式 会 社 (全 日 空) とJR 東 日本 はカー ド事業 や 旅行 商 品 開 発 な どで 包括 提 携 し てい る。 両 社のサー ビス を一 体化 し たクレ ジットカー ド発 行 の他、 航空 と鉄 道 を組 み合 わせ た 旅 行 商 品 な ど を共 同 開発 し てい る。 JR 東 日 本 はす で に 日本 航 空 株式 会 社 とカー ド事 業 で 同 様 の提 携 関 係 を結 んでい たが、 こ れ に加 え、 全 日空 と も組 ん だこ とで、 電 子マネー のスイカ 事 業 を一段 と 拡 大 する こ と となっ た。 往路 は航空、 復 路 は鉄 道、 とい っ た航 空券 と周 遊 券がセット に な っ た割安
な旅 行 商 品 など を共 同 開発 してい く。 ま た、 ダイヤ 改 正 など を通 じて、 空 港 と駅 との乗 り継 ぎ な ど を改 善 す る。 こ の よう に競合 関 係に あ る鉄 道会 社 と航 空会社 が 手 を組 む の は、カー ド提 携 に よる顧 客 の 囲い 込 み以 外、 少子 高齢 化社 会 の 本格 到 来や 地方 の過疎 化 な ど によ る輸 送人 員 の 減少、 国内 旅 行 市場 の先細 り に対 す る危 機感 があ る か らであ る。 スイカ は2008 年3 月 か ら 西 日本 旅 客 鉄 道株 式 会 社 (JR 西 日本 ) の「イコカ (ICOCA)」や 北 海 道 旅 客 鉄 道株 式 会 社 (JR 北 海道 ) の「キタカ (Kitaca)」 と も相 互 利 用 を 開始 し て い る。キオスク や 飲料 自 動販 売 機 な ど駅 売 店へ は もち ろ ん、 紀 伊 国屋 書店 や松 屋 ブース な ど駅周 辺 の既 存 の商 店街 へ の導 入 に も力 を注 いで い る。ローソン やファミリーマート、ミニストッ プな どへ も加 盟店 を広 げ て い る。 さ らにJR6 社 や 自治 体が 推 進す る 旅行 促 進イ ベント「 デスティネーションキャン ペーン」 で 取 り上 げ た地 域 の土 産物 屋 な ども 開拓 しつつ あ る。 宮 城県 松 島 町 の寺 院や 福 島県 会津 市 な どの地 域 店 舗 ではスイカ の決 済端 末 が導入 さ れてい る≒ 東 急セキュリティ 株式 会 社 はパスモ を活用 し た入退 管理システム で 企業 向 けサー ビス を始め てい る。オフィス ビル な ど に専 用 の 読 み取 り 機 を設 置 し、ID 登録 を済 ま せ た社 員 がカー ドをか ざ す と 自動 的 に 開錠 す る仕 組 みで あ る。スイカ に も対応 す る。 こ れに より企 業 が新 たにセキュリティカー ドを発 行し な くて 済 む利 点 があ る16)。 松 山 市 に拠点 を 置 く伊 予 鉄 道( 株式 会 社) で は、 電 子マネー 機 能 を もっ た「 い ∼カー ド」 を発行 し、 電 車、 バス、タクシー など公共 交 通サー ビス を軸 とし た地域 のショッ ピン グや飲 食、レ ジャー な ど幅 広いサー ビス へ の利 用拡 大 が 図ら れてい る。 い ∼カー ドは地 域 に密 着・ 貢 献す る「 地域カー ド」 として の役 割 を果 たし つつ あ る17)。 神 社 仏 閣で も拝 観 料 をスイカ や パスモ で 支 払 うこ とが で きる よ うに な っ た。 2007 年 に寺 社 で初 めて 電 子マネーシステム を導 入し た安 倍 文殊 院 (奈良 県 桜井 市) で は妾 銭 以外 は全て 電子マネー で 払 うこ とが で きる。 瑞 巌 寺 (宮 城県 松 島 町) も2008 年9 月 か ら拝 観料 がスイカ な どで 払 える よう に なっ た。 同様 のシステム は寒川 神 社 (神奈 川県 寒川 町 ) に も導 入 さ れて い る。 こ れら のシステム は、 現 在 のとこ ろ、 拝 観料 や 一部 売 店 の買い 物 に 限ら れてい るが、 電子マネー 導 入 の動 き は広が っ てい る18)。 広 島県 では2008 年1 月 か ら広 島電 鉄(株式 会社 )を 中心 にICカー ド乗 車 券「 パス ピー (PASPY )」 の 運 用 を 開始 し た。 こ のカー ドシステム に は広 島 電 鉄 の 他、 地 元9 社 と呉 市 交 通 局 が 参加 し て い る。 こ れら の地 域 に は以 前 か ら共 通 バス 乗 車 券が あ っ たが そ れ をIC 化 し た もの とい え る。 広 島電 鉄 は バス が中 心 だが、 路面 電 車 に も導 入さ れ れば、 広 島市 内 の公共 交 通 機関 は よ り便利 に なる だろ う。 JR 西 日本 のイコカ も使 用 で きる が、 電 子マネー 機 能 は付 加 さ れてい ない。 伊 予 鉄 道 と異 なり、 同 社 は、 物販事 業 が多 くない た めショッ ピン グな ど交 通以外 へ のサー ビス の拡 大 はあ まりメリット が ない と のこ とで あ る19)。 香 川 大 学 は2009 年4 月 か ら学 生 証 に電 子マネー として 使 われる 高松 琴 平 電気 鉄道 株式 会 社 のICカー ド「イルカ (iruCa)」 を採 用 し てい る。 商 店街 で の買い 物 を 学生 に促 し、イルカ の利 用履 歴 を
堀 :電子マネー 機 能付 きICカー ド乗車 券に よる公 共交 通企 業 の戦略 的事業 展 開 93 マーケティン グに 活用 す る。 またイルカ を使っ て分 析 し た学生 の 消費 行動 を 基 にマーケティン グの 講 義 も行 う。 教 室 に 設 置 さ れ た読 み取 り 機 にイルカ を か ざ せ ば授 業 の 出 欠確 認 もで きる。 こ う し た試 みに よっ て公 共交 通 と 中心 商店 街 のシームレス な融 合化 と市 街 地域 の活 性化 が 図ら れる。 さら に住民 票発 行 の手 数料 支払 い な どイルカ は公共 機 関で も利 用で きる よう にな る予 定 であ る。 将 来的 に は年 金手 帳 や 健康 保 険 証 な ど の 機 能 も果 た す「 社 会保 障カー ド」 と し て の利 用 が 期待 さ れてい る20)。 4.シームレス 交 通 体 系 の 構 築 以 上 見て きた よう に交 通 系ICカー ドの 普 及・ 拡 大が 公共 交 通 の利 便 性 の向 上 に 大 き く貢献 し て い る。 公共 交 通 政 策 の重 要 な 目標 の一 つ と し てシームレス な交 通 体 系 の 実 現が あ る。 こ れ まで のシームレス 化 の議 論で は、ハー ド施 策 とし ての 交 通結節 点 の構 造 とソフト 施 策 とし て の運賃 制 度の2 点 につい て 当 該 バリア 改 善 の 必 要性 が 議 論 さ れ て きた。 交 通系ICカー ド乗 車券 の導 入 はそ のよ う なシームレス な交 通移 動 の実 現 に貢 献す る。 そ れ は移動 バリア の 克服 に伴 う時 間 的コスト、 心理 的コスト な ど、 広い 意味 で の取 引費 用 の節約 につ なが る だろ う21)。 し かし なが ら、 公共 交 通 に は結節 点 で の乗 り換 え とい う問題 が あ る。 その た め、シームレス な交 通体系 の た めに は、 交 通 結節 点 の整 備 と 連続性 の向 上 が必 要 と なる。 事業 者 区分 が ど うあ れ、 そこ から生 じ る継 ぎ目を利 用 者 が実 感し ない よう なシステム の構 築が 求 めら れる。 そ の よ うな交 通 結節 点 にお け る異 なる 事業 者 間 の乗 り 継 ぎ問題 を中 村[2003] は表5 の よう に整 理 してい る22)。平 成20 年6 月、 交通 政策 審 議会 陸 上交 通分 科 会鉄 道部 会 におい て、 今 後 の 鉄道輸 送・ 鉄道技 術 の 目指 すべ き方向 性 とし て、ICカー ド乗 車 券 による 利 便性 の向 上が 検討 課 題 とし て取 り上 げ ら れてい る23)。 表5 交 通 結 節 点 の 連 続 性 の4 側 面 と結 節 点 に お け る 異 な る 事 業 者 間 の 乗 り 継 ぎ 問 題 例 側 面 説 明 区 分 連 続 性 の 区 分 異 な る 事 業 者 の 同 一 交 通 機 関 間 異 なる 事業 者 の 異 な る 交 通 機 関 間 物 理 的 連 続 性 結 節 点 内 で の水 平 方 向 移 動 距 離、 垂 直 方 向 移 動 距 離 の 問 題 直 接 的 連 続 性 駅舎が離れている 駅 前 に バス が 入 ら な い 経 済 的 連 続 性 結 節 点 内 で の 再 度 の 切 符 購 入 の 手 間 の 問 題 事 業 者 別 の 運 賃 計 算 に よ る初 乗 り 割 高 感 の 問 題 通し切符が販売されていない 共 通カー ドが ない 時 間 的 連 続 性 結 節 点 内 で の待 ち 時 間 のロス の 問 題 ダイヤが調整されていない ダイヤ が 調 整 さ れ て い ない 心 理 的 連 皆 既 不 慣 れ な 移 動 者 の 不 安 感 他 の3 側 面 で の 問 題 の程 度 の 案 内 情 報 提 供 に よる 緩 和 の 可 能 性 間接 的 連 続 性 出所 中村 文 彦「 交 通 結節 点 に お け る 連続 性 の 現状 と 課 題」『運輸 と 経 済』第63 巻 第10 号、 運輸 調 査 局、2003 年10 月、16 ペー ジ、 表1、 表3 を筆 者 が 合成
5。1 Cカー ド 事 業 の 戦 略 的 展 開 時 間 的 な 連 続 性 の 問 題 は、 共 通カー ドの 利 用 範 囲 を 拡 大 し た り、 あ る い は 電 子 化 す る こ と で、 そ の 解 決 が 図 ら れ る。 ま た、 共 通カー ドの 機 能 を 多 様 化、 高 度 化 す る こ と で、 利 用 者 が 実 感 す る 連 続 性 を 向 上 さ せ て い く こ と が で き る。 例 え ば、 異 な る 事 業 者 間、 異 な るモー ド間 で も共 通カー ドで 乗 降 で き る よ う に す れ ば、 公 共 交 通 機 関 の 利 便 性、 快 音 陛 は 飛 躍 的 に 向 上 す る。 さ ら に電 子マネー 機 能 を 付 加 す る こ と で、ICカー ドの多 機 能、 多 目 的 な 汎 用 が 可 能 と な る。 こ の 点、スイカ (Suica) と パスモ (PASMO) な ど、ICカー ド乗 車 券 の 相 互 利 用 に よ る 公 共 交 通 の 連 続 性、 利 便 性 の 向 上 は、 わ が 国 交 通 史 上、 画 期 的 な こ と と い え る。 ICカー ドは 交 通 系 が 牽 引 車 と な っ て 急 激 な 発 展 を 遂 げ て い る が、 留 意 す べ き は、 そ う し た 普 及 に 伴 っ て、 電 子マネー ( 機 能 ) も 導 入 さ れ る よ う に な っ て い る こ と で あ る24)。 か つ て 各 地 で 実 験 が 行 わ れ たショッ ピン グ系 のICカー ドに よ る 電 子マネー は 実 用 化 に 至 ら な い ま ま 姿 を 消 し た が、 交 通 系ICカー ド乗 車 券 に 付 加 さ れ た 電 子マネー ( 機 能 ) は、 そ の 高 い 利 便 性 が 評 価 さ れ、 急 速 に 普 及 し た。 そ の 代 表 がJR 来 日 本 のスイカ (Suica) で あ っ た。 ち な み にスイカ は「Super Urban Intelligent CArd」 の 頭 文 字 を 取 っ て 命 名 さ れ た。「スイスイ 行 け るICカー ド」 の 意
− − − − も あ る。 Suica を 果 物 のスイカ ( 西 瓜 ) と か け て、 南 極 か ら 来 た ペン ギン のキャラクター を 採 用 し て 普 及 に 努 め て い る25) スイカ の 開 発・ 導 入 に 従 事 さ れ た 椎 橋 章 夫 氏 は、 当 初、 図2 の よ う な ビ ジネス・モ デル を 描 い て い た。 中 心 と な る 最 初 の 円 は、 鉄 道 事 業 の 円 で、 鉄 道ICカー ドが 中 心 と な っ て 定 期 券、SFカー ド 図2 3 重 円のICカー ド展 開 ◆ 鉄 道ICカー ドを中 心 と し、 グルー プ企 業、 さ らに 外 部 へと 順 次展 開 を進 め る。 出 所 椎 橋 章夫 著 『Suicaが 世 界 を変 え る− JR東 日 本が 起こ し た 生 活 革 命−J 東 京 新聞 出 版 局、2008 年5 月、112 ペー ジ
堀 : 電 子マネー 機 能 付 きICカー ド乗 車 券 に よ る 公 共 交 通 企 業 の 戦 略 的 事 業 展 開 95 の 拡 大 を 目指 す。 次の 円 は、 グルー プ企業 の 円で、 ビュー・スイカ・カー ドに 鉄 道機 能 を付 加 し、 グルー プ内 へ 展 開し たり、キヨスク など でICカー ドを 電子マネー として 使 う「 駅ナカ」 へ の事 業 展 開 であ る26)。一 番外 側 の 円 は 銀行 やクレ ジット 会 社、 他 の鉄 道 会社 の 円 で、 鉄 道 機 能 を武 器 にクレ ジットカー ド、 電 子マネー、 さ ら に他 のインフラ を 活用 し て新 たな ビジネス を生 み 出 し、「 街ナカ」 まで 事業 を広 げ てい く展 開で あ る。 い わばICカー ドを核 に、 鉄 道会 社 の枠 を超 え た「 生 活 革 命」 に踏 み 込 ん だ 未来 図 であ る。 そ の展 開の 根 本 と なる 最 初 の円 か、ICカー ドを 導 入 し た鉄 道 事業 の確 立 であ っ た。 現 在、 わが 国の 経 済社会状 況 を展望 す る と き、 鉄道輸 送 事業 にお い ては、 もはや 従 来 の よう な企 業 成長 を期待 す るこ とは困 難 であ る。 そ うし た 中、 現代 企業 を取 り巻 く厳し い 経営 環境 の変化 に対 応 す る ため、JR 東 日 本 は、 鉄道 輸送 を基 軸 とし なが ら も、 鉄 道事 業専 業 から「 総 合 生 活サー ビス」 事 業へ と自社 事業 の ドメイン (事業 領 域) を転 換 し、 そ れを拡大 す る戦 略 をとっ てい る。 そ うし た 事 業展 開 にお い てスイカ は 中核 的 な役 割 を担っ て い る。 こ うし て、スイカ の利 用サー ビス の拡 大 に よっ て、 鉄 道利 用 とい う枠 組 みを 超 え た総 合 的 な生 活サー ビス 事 業 の 展 開が 図 ら れ よう とし てい る。 「 鉄 道企 業 を取 り 巻 く環境 は、 かつ て と は大 き く変 わっ た。 い まわ れ われ は新 しい 鉄 道企 業 の生 き残 り と、 発展 の た め の新 しい ビジネス・モ デル を作 ら ね ばな ら ない 時代 を 迎 えて い る。 ‥・ JR 東 日本 が 最 近力 を 入 れて い る駅ナカ ビジネス は、 新 し いコンセ プト とい う ほ ど で は ない に して も、 こ れか ら の新 しい ビジネス のあ り方 の本 質的 なモ デル の一 つ を示 してい る よ う な気 が し てい る。 駅 とい う 人 の集 まる 場所 の周 辺 だけ で は なくて、 駅 の中 に、 そし て線 路 の上 空 とそ の下 に 大 きな 資 源 があ る とい う意 味で。 ま たSuica の例 の よ う に、 鉄 道 の技術 を生 かし た新 しい ビジネス も大 きな可 能性 があ る の では ない か と期待 し てい る」( 山之 内 (20081283 ペー ジ、 引用 )。 JR 来 日本 の「 駅ナカ」 ビジネス は、 同 社 の電 子マネー・スイカ を 活用 し た新 しい「 生 活サー ビス」 に 関連づ け た事 業 創造 を 目指し てい る。 そ れは、 こ れまで の「 駅 の売店」 とい う旧 いイメー ジから 脱却 し、 魅 力 に 富 ん だ新 しい「 駅ナカ」 事 業 を創 造 し てい く。 こ のこ とはJR 東 日 本 が「 脱・ 鉄 道 ビジネス」 とし て多 元 的 な企業 価値 を 創造 し てい る こ とに ほか なら ない。 留 意 す べ き は、「 駅ナカ」 ビジネス の展 開 と繁 栄が、 結果 的 にスイカ 自体 の利 用 の拡 大 に もつ な がっ てい る こ とで あ る。 実際、 (株)JR 東 日 本リテールネット の店 舗 にお け るスイカ 電 子マネー の 利 用 率 と、 そ れに伴 う売 上 高 は拡大 を 続け てい る。 こ うし てスイカ 電子マネー は 様 々 な可 能性 を秘 めたツール とし てJR 東 口本 に とって は 必要 不可 欠 な存 在 と なっ てい る27)。 む す び 鉄道、 バス など公 共交 通 機関 の利 用者 は、 少子 化 の 進展 から、 今 後、 減 少し てい く だろ う。 交 通 利 用者 も「 生 活者」 とい う 見方 をす れば、 別 の 側面 が見 え てく る。 生活 者 の一 日 を考 え る と、 交 通
機 関 を利 用 し てい る時 間 は全 体のご く一 部で あ る。 あ とは他 の こ とをし てい る。 しか し、 そう し た 部 分 まで をカ バー で きるの が、 電 子マネー 機 能 を備 え た (交 通系 )ICカー ド(乗 車 券) であ る28)。ICカー ド乗 車 券 に より利 用 者 に は乗 車 券 購 入 の煩 わし さが なく な り、 移 動 のモ ビリティ が 向 上 す る。 事 業 者 か ら す れ ば、 運 賃 収受 業 務 の合 理化 を 図 り、 利 用 機会 向 上 に よる 増 収 効果 が 期 待 で き る。 特 に 電 子マネー 機 能付 きのICカー ド乗 車 券 は、ホテル、レストラン、ショッ ピン グな ど、 多 目的 な利 用 が可 能 となる。 都 市内 観 光周 遊や 地 域 の観光 振興 に も寄 与 する だ ろう。 ICカー ド乗 車 券 の 国 際 的 な相 互 利 用 も 見込 ま れる。 すで に、 国 土 交 通 省 は、2007 年9 月、「IC 乗車 券 等 国 際相 互利 用 促 進方 策検討 委 員 会」 を立 ち上 げ、IC 乗 車 券 の国 際 的 な発 行ネットワーク、 国 際 決 済システム、 各 国共 通 のIC 乗 車 券 の 開発 を 進め てい る。 そ の実 現 は 訪 日外 国 人客 の利 便 性 を飛 躍 的 に高 め る もの とな ろう29) 「 ビジット・ ジャ パン・キャン ペーン」 に 連動 し て、 訪 日外 国 人旅 行 者 を対 象 とし た取 り組 みが 見 ら れる が、 少 子化 に より、 国 内人 口が 減 少し てい く 中、 地域 経 済 を活性 化 させ る た めに は、 訪[] 外 国 人 に よ る「 交 流 人 口」 を増 や し てい く 必 要が あ る。 そ の た めに は、 ま ず訪 日外 国 人 のリ ピーター を 増 や し てい くこ とが 肝要 とい え る。 そ れ にはリ ピーター が 自 由 な 旅行 を手 軽 に行 える ようICカー ド乗 車 券 を外 国人 に も利 用 し やす く してい く必要 があ る30)。 ICカー ド乗 車 券 の国 際 的相 互利 用 につ い て は、「 国土 交 通 分 野イノ ベーション 推 進大綱」 ( 国土 交 通省、2008 年5 月) におい て も重 要 な位 置づ けが な さ れてい る。 今 後 は、 国内 のみ な らず、ICカー ド乗 車 券 の 国際 的 な相 互 利 用 を 実 現す る ため の 社会 実 験 や技 術 開発 を 通 し て、ア ジア 諸 国 の 経 済、 文化、 技 術 の 交流 を 図 る と と もに、 訪 日外 国 人旅 行 者 もスムー ズに移 動で きる、 よ りシームレス な 公共交 通体系 の 整備・ 実現 が図 ら れる だろう31)。 [注 ]
1)ICカー ドと は データ 記 憶 媒 体 と し てIC (Integrated Circuit ; 集 積 回 路 )チッ プを 内 蔵 し たカー ドで、 データ の 読 取 方 法 に よ っ て 外 部 の 読 取 装 置 にカー ドの接 点 端 子 を 接 触 さ せ て データ の や り と り 行 う「 接 触 型ICカー ド」 とカー ドを接 触 さ せ ず に 読 取 装 置 に か ざ す こ と でカー ドに 内 蔵 さ れ たアンテナ を 通 じ て 電 波 で データ の や り と り を 行 う「 非 接 触 型ICカー ド」 が あ る。 ICカー ドは、クレ ジットカー ド、キャッシュカー ド、 乗 車 券 カー ド、IDカー ドな ど、 日 常 生 活 の 様 々 な 場 面 で 利 用 さ れ て い る。 電 子マネー の 多 く はICカー ドとい う 名 刺 サイ ズの 板 状 の 形 を し て い る。 一 般 に 人 が 持 て ばICカー ド、 も の に 付 着 さ せ れ ばICタ グ(電 子 荷 札 )と な る。 電 子マネー 及 びICカー ドに つ い て は、 渾井[2007] 21∼26 ペー ジ、 長 谷 川[2007] 16∼17 ペー ジ、 荻 野[20071 18 ∼20 ペー ジ、 岡 田 (2007] 27 ∼34 ペー ジを 参 考 に し た。 2 ) 地 田・ 市 場 (2003] 28 ペー ジ、 参 照。 3) 国 土 交 通 省 [2007 ]IC 乗 車 券 等 国 際 相 互 利 用 促 進 方 策 検 討 委 員 会「IC 乗 車 券 等 の 国 際 相 互 利 用 促 進 方 策 に つ い て ( 中 間 報 告 )−IC 乗 車 券 に よ るア ジア 各 都 市 のシームレス な 旅 行 の 実 現 に 向 け てー」 平 成19 年12 月、 11 ペー ジ、 参 照。 4 ) 国 土 交 通 省 [2009 ]「 今 後 の 鉄 道サー ビス と 運 賃 政 策 に 関 す る 調 査 報 告 書」 (2009 年8 月7 日、 日 本 交 通 学 会 関 西 部会 特 別 講 演 にお け る 山 内 弘 隆 一 橋 大 学 教 授 の紹 介 資 料、8 ペー ジ、 参 照 )。 5 ) 岡 田 [2007] 27 ペー ジ、 松 行 [2007140 ペー ジ、43 ペー ジ、 参 照。
堀 :電子マネー 機 能付 きICカー ド乗 車 券に よる公共 交 通企 業 の戦 略的事 業 展開 97
6)Dusener imd Greve [2007]Vgl.S.227-228, Zapp[2007]Vgl.S.226-227. 7) 岡田(2007] 27 ∼34 ペー ジ、 参照。 8) 有用 性レ ベル と プライ バシー 保護レ ベル には注図1 の よう なトレー ドオフ 関係があ る。 い うまで もなく高 い利 便 性を保 ちなが ら プライ バシー 保 護レ ベル を高 度に保つ 仕組 みが必 要だ が、トレー ドオフ 関係 からい っ て、 利便 性の向上 と高 度な情 報活用 は、 プライ バシー の保護 を前 提 としてい る。 そうでな ければ利用 者はICカー ドを常 に安 心し て利用 する こと はで きない だろ う。 また 個人情 報保 護法 など制 度面の確 立も必要 となる (岡田 (2007] 27∼34 ペー ジ、 参照)。 注 図1 有用性 (U 軸) と データ 保 護(P 軸)のトレー ドオフ 関係 U 有 用 性 ︵ 電 子 決 済 の 適 用 範 囲 ︶
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匹 呵
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P データ 保護(取り扱う個人情報の範囲) 出所 岡田(2007] 28 ペー ジ、 図19 ) 岡 田 (2008] 14∼18 ペー ジ、 参 照。 10)『 日 本 経 済 新 聞 』2009 年6 月6 日 号、 『日 経MJ 』2009 年4 月22 日 号、6 月6 日 号、 参 照。 電 子マネー 導 入 に よ る 相 乗 効 果 とし て は 売 り 上 げ 促 進 の 効 果 が 期 待 で き る。 通 常、 電 子マネー に よ る 支 払 い は 財 布 か ら 小 銭 を 出 さ な く て 済 む こ と か ら1 回 当 た り の購 買 単 価 が 上 昇 す る。 ポイント の 交 換 市 場 も あ り、 交 換ルート の 先 に はスイカ な ど の 電 子マネー が あ る。 こ の こ と が 電 子マネー 普 及 の きっ か け と も なっ て い る。 両 者 はい わば 車 の 両 輪 と い え る。 『日 本 経 済 新 聞 』2008 年8 月11 日 号、 『 週 刊 ダイヤモン ド』 ダイヤモン ド社、2008 年7 月12 日 号、34 ∼36 ペー ジ、 松 行 (2007142 ペー ジ、 参 照。 11)『 日 本 経 済 新 聞』2009 年6 月6 日 号、6 月12 日 号、 『日 経 産 業 新 聞 』2009 年6 月12 日 号、 『週刊 ダイヤモン ド』2008 年7 月12 E ]号、 ダイヤモン ド社、30 ペー ジ、 岡 田 (2008] 12 ペー ジ、 参 照。 12) 野 村 総 合 研 究 所 安 岡寛 道 上 級コンサルタント の 予 測。 『日 本 経 済 新 聞 』2009 年6 月6 日 号、 参照。 13)『 日 本 経 済 新 聞』2009 年10 月27 日 号、 参 照。 こ の よ う な 利 用 の 裾 野 が 広 が る 電 子マネー の利 便 性 を 高 め る 競 争 が 本 格 化 し て い る。 14) 鉄 道 は 早 く か らIT 化 か 進 ん で い たこ と に 注 目 し たい。 例 え ば、 旧 国 鉄 で は、IT と い う 言 葉 が 存 在 し な か っ た1960 年 代 にマルス (mars ) と 呼 ば れる 座 席 予 約システム を 導 入 し た。 こ のシステム に よ り 大 量 の 座 席 予 約 を 効 率 よ く 捌 くこ と が 可 能 と な っ た。 利 用 者 に とっ て 乗 車 券 を 買 い、 そ れ を 改 札 機 に 通 す こ と は、 乗 り 継 ぎ利 便 性 を 大 き く 阻 害 す る バリア と もい え る。 特 に 高 齢 者 はカー ドを 改 札 機 に 通 す こ と に も時 間 が か か る。 そ の 点、 非 接 触 型ICカー ド乗 車 券 導 入 に よ る 利 便 性 の 向 上 は 画 期 的 と い え る。 地 田・ 市 場 [2003] 27∼28 ペー ジ、 参 照。「Suica が こ こ ま で 早 く 大 規 模 に 普 及 す る と は 思 っ てい な か っ た が、 私 か まっ た く予 想 し てい な か っ た も う 一 つ の 点 は、 電 子マネー の 機 能 で あ る。 私 は こ の 機 能 に 懐 疑 的 だ っ た。 そ れ ま で 銀 行 な ど が 一 部 で 試 行 し てい た が、 まっ た く 普 及 し て い な か っ た し、 小 銭 入 れ で 十 分 だ と 思 っ てい た。 と こ ろ が こ の機 能 が 急 速 に 利 用 さ れだ し た」 ( 山 之 内 (20081260 ∼261 ペー ジ、 引 用 )。 な おスイカ で は 不 正 乗 車 の 防 止 も 可 能 と な っ てい る ( 椎 橋 (20081186 ペー ジ、 参 照 )。 15)以 上 は 以 下 の 文 献 を 参 考 に し た。 宮 本 [1998] 202 ∼203 ペー ジ、 椎 橋 [2008] 165 ペー ジ、『 日 本 経 済 新 聞 』 2007 年11 月29 日 号、 『日 経MJ 』2009 年4 月22 日 号。16)r 日 本 経 済 新 聞 』2008年8 月25 日 号、 参 照。 な おICカー ドに は 以 下 の よ う な 特 性 が あ る。 ① ポータ ビリティ、 ② 多 機 能性、 ③カー ド情 報 の内 容確 認、 ④リチャー ジ、 ⑤フェイルセーフ ( 長 谷μに2007] 16 ペー ジ、 参 照 )。17 ) 伊 予 鉄 道 株 式 会 社 (2007] 15∼16 ペー ジ、 参 照。 18)r 日 本 経 済 新 聞 』2009 年2 月27 日 号、9 月11 日 号、 参 照。 19)2008 年9 月24 日 の 広 島 電 鉄 にお け る 筆 者 のヒアリン グに よ る。 PASPY 運 営 協 議 会「 広 島 県 交 通系ICカー ド『PASPY 』 に つ い て」 (2008 年9 月24 日 )、「 広 島 で 『PASPY 』 運 用 開 始 一地 域 交 通 の 利 便 性 向 上 −」 『[]刊 工 業 新 聞 』2008 年3 月4 日 号、 参 照。 20) 渾 井 [2007] 24 ペー ジ、 『 日 本 経 済 新 聞』2008 年8 月25 日 号、 『産 経 新 聞 』2009 年10 月10 日 号、 参 照。21 )JR 東 日 本 の 会 長 を 務 め た 山 之 内 秀 一 郎 氏 は 以 下 の よ う に 述 べ てい る。「Suica は100 年 間 使 っ て き た 乗 車 券 システム の 革 命 だ と 思 っ て い る。 列 車 に 乗 る こ と が 完 全 に バリアフリー と な り、 お 客 さ ま は 一 歩 も 立 ち 止 ま る 必 要 は な く な り、 時 に は 列 車 に 乗 る 際 に、チェック が な い よ う な 感 じ す らす る の で は ない だ ろ う か」 ( 山 之 内 (20081260 ペー ジ)。 22) な お 中 村 [2003 ] は 交 通 結 節 点 で の 異 な る 事 業 者 間 の 乗 り 継 ぎ の 問 題 例 と利 用 者 か ら み た「 目 標 像」 及 び そ の 目 標 像 に つ い て、 注 表1、 注 表2 の よう に、 国 内、 海 外 の 取 り 組 み 事 例 を ま と め て い る。 注 表1 交 通 結 節 点 で の 異 な る 事業 者 間 の乗 り 継 ぎの 問 題 例 連 続 性 の区 分 異 な る 事 業 者 の 同 一 交 通 機 関 間 異 な る 事業 者 の異 な る 交 通 機 関 間 物 理 的 連続 性 駅 舎 が 離 れて い る 駅 前 に バス が 入 ら ない 経 済 的 連 続 性 通 し 切符 が 販 売 さ れ て い ない 共 通カー ドが な い 時 間的 連 続 性 ダイヤ が 調 整 さ れ てい な い ダイヤ が 調 整 さ れ てい ない 出所 中 村文 彦「 交 通 結 節 点 にお け る 連続 性 の 現状 と課 題」『 運輸 と 経 済』第63 巻 第10 号、 運 輸 調査 局、2003 年10 月、16 ペー ジ、 表3 注 表2 直 接 的 な 連 続 性 に か か る 目 標 像 と 内 外 の ベスト プラクティス 側 面 目 標 像 海 外の ベスト プラクティス 国内 のベスト プラクティス 物理 的連続 性 同 一 プラットホーム 乗 り 継 ぎ 同 一 プラットホーム 乗 り 継 ぎ・ 地 下 鉄 同 士 (シン ガ ポール、 香 港 )・ 地 下 鉄 とLRT (トロント )・ LRT と バス (ハノー バー 等 )・ バス 同 士 (オタワ、クリチ バ 等 ) 都市 交 通 では 特記 事 例 は ない( あ え てい え ば)・ 野毛 ち かみ ち・ 盛 岡の ゾーン バス 経済的 連続 性 異事 業 者 間 共 通運 賃 制 異事業 者 間共 通運賃 制・ 運輸 連合 ( ドイツ 各都 市) 異 事 業 者 間 で 利 用 可 能 な 共 通カー ド・ 広 島、 関 西 都 市 圏 他 時 間的 連続性 時 刻 表 の 総 合 的 調 整リアルタイム 運 行 調 整 時 刻 表 の 総 合 的 調 整・ 運 輸 連 合 ( ドイツ 各 都 市 )・ロン ドン 市 ( バス )リアルタイム で の 運 行 調 整・ハノー バー 他 (LRT → バス ) 時 刻 表 の 事 業 者 間 調 整・ 個 別 の 調 整 例 は 多 数 かリアルタイム で の 運 行 事 例・ 列 車 到 着 時 の バス 発 車 待 ち 調 整システム 例 : 聖 跡 桜 ヶ 丘、 青 葉 台、 京 成 志 津 な ど 出 所 中 村 文彦「 交 通 結節 点 に おけ る 連続 性 の 現状 と 課題」『運 輸 と経 済』第63 巻 第10 号、 運 輸 調査 局、2003 年10 月、16 ペー ジ、 表4 23 ) 国 土 交 通 省 [2009 ]「 今 後 の 鉄 道サー ビス と 運 賃 政 策 に 関 す る 調 査 報 告 書」 (2009 年8 月7 日、 日 本 交 通 学 会 関 西 部 会 特 別 講 演 に お け る 山 内 弘 隆 一 橋 大 学 教 授 の 紹 介 資 料 )8 ペー ジ、 参 照。 24 )ICカー ド乗 車 券 を 電 子マネー と 呼 ぶ べ き か ど う か に つ い て は 法 的 に 問 題 が あ る。 プリ ペイ ドカー ド を 規 制 す る 法 律 で は 交 通 乗 車 券 を 規 制 の 対 象 か ら 外 す こ と が 明 記 さ れ て い る。スイカ が 登 場 し た と き は 純 粋 な 交 通 乗 車 券 で あ っ た た め 同 法 の 対 象 で は な か っ た が、 ま も な くショッ ピン グ に も 利 用 で き る よ う に な り、 多 目 的 の 電 子マネー と な っ た。 よ り 正 確 に は 交 通 乗 車 券 と し て 前 払 い さ れ た 価 値 の こ と をストアー ドフェア (SF ) と 呼 ん で い る が、スイカ は こ れ を 多 目 的 の 電 子マネー に も 転 用 で き る よ う に 設 定 を 変 更 し た も の で あ る ( 岡
堀 : 電 子マネー 機 能 付 きICカー ド乗 車 券 に よ る 公 共 交 通 企 業 の 戦 略 的 事 業 展 開 99 田 [2008] 26∼27 ペー ジ、 椎 橋 (2008] 111∼117 ペー ジ、 参照 )。 25) 椎 橋 (2008] 114 ペー ジ、 参 照。 26)「 駅ナカ」 と は、 鉄 道 会 社 が 駅 構 内 に店 舗 を 出 し て い る 商 業ス ペース のこ と をい う。 27) 松 行 [2007] 41 ∼43 ペー ジ、 椎 橋 [2008] 112 ペー ジ、 宮 本 [2008] 194∼203 ペー ジ、 参 照。 JR 東 日本 は、 2000 年 ご ろ か ら、 鉄 道 事 業 だ け で な く、「 生 活サー ビス 創 造 グルー プ」 と し て、 物 販 事 業 やサー ビス 事業 も事 業 経 営 に お い て 重 視 し 始 め た。 具 体 例 とし て、キヨスク、ルミネ、アトレ な ど の駅 ビル 関 連 の 商業 施 設、 す な わ ち「 駅ナカ」 事 業 を 活 性 化 す る こ と で、’非 鉄 道 輸 送 事 業 を 積 極 的 に 展 開 し、 鉄 道 経 営 事 業 を取 り 囲 む 厳 し い 経 営 環 境 を 克 服 す る た め の 経 営 戦 略 を展 開 し て い る。 2001 年 度 に「 中 期 構 想5 か 年 計 画」 と し て、「ニュー フロンティア21」 を 発 表 し、 そ の な か で、 同社 の グルー プ理 念 と し て「イ 言頼 さ れ る 生 活サー ビス 創 造クルー プ」 を 発 表 し た。 さ ら に2005 年 度 に は、「ニューフロンティア21」 の最 終 目 標 年 度 に 該 当 す る2005 年 度 の 到 来 を 待 つ こ と な く、2005 ∼2008 年 度 まで を 展 望 す る 新 し い 中 期 構 想「ニューフロンティア21 − 新 た な創 造 と 発 展」 を 公 表 し た。 こ の よ う にJR 東 日 本 は そ の「 新 中 期 構 想」 の な か で、「 生 活サー ビス 創 造」 とい う 新 し い ビジョン を 明 確 に 提 示 し てい る ( 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 [2007a ][2007b ]、松 行 [2007] 39∼40 ペー ジ、 宮 本 (2008] 194∼203 ペー ジ、 参 照 )。 28) 横 江 (2003] 37 ペー ジ、 参照。 29) 国 土 交 通 省・IC 乗 車 券等 国 際 相 互利 用 促 進 方 策 検 討 委 員 会「IC 乗 車 券 等 の 国 際 相 互 利 用 促 進 方 策 に つ い て 呻 間 報 告」 −IC 乗 車 券 に よ るア ジア 各 都 市 のシームレス な 旅 行 の 実 現 に 向 け てー」 (平 成19 年12 月 )、「IC 乗 車 券 のイン バウン ド活 用 一 国 際 決 済システム や 共 通 規 格 構 想 もー」 『TRAVEL JOURNAL』 株 式 会 社トラ ペ ル ジャーナル、2008 年10 月13 日 号、42 ∼45 ペー ジ、 参 照。 30)国 土 交 通 省[2007 ]IC 乗 車 券 等 国 際 相 互利 用 促 進 方 策 検 討 委 員 会「IC 乗 車 券 等 の 国 際 相 互 利 用 促 進 方 策 に つ い て ( 中 間 報 告 )−IC 乗 車 券 に よるア ジア 各 都 市 のシームレス な 旅 行 の 実 現 に 向 け てー」 平 成19 年12 月、 2 ペー ジ、 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 (2009] 43 ペー ジ、 参 照。
31)「IC 乗 車 券 のイン バウン ド活 用 一 国 際 決 済システム や 共 通 規 格 構 想 もー」 『TRAVEL JOURNAL 』 株 式 会 社 トラ ベル ジャーナル、2008 年10 月13 日 号、42 ∼45 ペー ジ、 国 土 交 通 省 総 合 政 策 局「IC 乗 車 券 の国 際 相 互 利 用 の 推 進」 『 国 土 交 通 』2009 年1 月 号、26 ∼27 ペー ジ、 参 照。 [参 考 文 献 ] 伊 予 鉄 道 株 式 会 社 [2007 ]『CONCEPT』 伊 予 鉄 道 株 式 会 社、2007 年7 月 岡田 仁 志「2007 汀 交 通ICカー ドの 拡 大 と 行動 情 報 の 活 用」『運 輸 と 経 済 』第67 巻 第1 号、 運 輸 調 査 局、2007 年1 月、 27 ∼34 ペー ジ 岡田 仁 志 [2008 ]『 電 子マネー が わ か る 』 日 本 経 済 新 聞 出 版 社、2008 年4 月 荻 野 隆 彦・ 牧 村 和 彦・ 曽 根 悟 [2003 ]「 座 談 会 :シームレス 交 通 と 情 報 の 役 割」 『 運 輸 と 経 済 』 第63 巻 第10 号、 運 輸 調 査 局、2003 年10 月、4 ∼14 ペー ジ 荻 野 隆 彦 [2007 ]「 交 通 事 業 に お け る今 後 のICカー ド戦 略 の 可 能 性」 『 運 輸 と経 済 』 第67 巻 第1 号、 運 輸 調 査 局、 2007 年1 月、18 ∼20 ペー ジ 国 土 交 通 省[2009 ]IC乗 車 券 等 国 際相 互 利 用 促 進 方 策 検 討 委 員 会「IC 乗 車 券 等 の 国 際 相 互 利 用 促 進 方 策 に つい て 呻 間 報 告」 −IC 乗 車 券 に よ るア ジア 各 都 市 のシームレス な 旅 行 の実 現 に 向 け てー」2007 年12 月 国 土 交 通 省 [2009 ]「 今 後 の 鉄 道サー ビス と 運 賃 政 策 に 関 す る 調 査 報 告 書」 (2009 年8 月7 日、 日 本 交 通 学 会 関 西 部 会 特 別 講 演 にお け る 山 内 弘 隆 一 橋 大 学 教 授 の 紹 介 資 料 ) 国 土 交 通 省 総 合 政 策 局 [2009 ]「IC 乗 車 券 の国 際 相 互 利 用 の 推 進」 『国 土 交 通 』2009 年1 月 号、26 ∼27 ペー ジ 滓 井 俊 [2007 ]「ICカー ドの 普 及 拡 大 と 今 後 の 展 望」 『運 輸 と 経 済 』 第67 巻 第1 号、 運 輸 調 査 局、2007 年1 月、 21∼26 ペー ジ 椎 橋 章 夫 [2008 ]『Suica が 世 界 を 変 え る−JR 東 日 本 が 起 こ し た 生 活 革 命− 』 東 京 新 聞 出 版 局、2008 年5 月 地 田 信 也・ 市 場 一 好 [2003 ]「 交 通 結 節 点 と し て の 駅 一欧 州 の 事 例 調 査 と 日 本 にお け る 課 題 −」 『運 輸 と 経 済 』 第
63 巻 第10 号、 運 輸 調 査 局、2003 年10 月、22 ∼29 ペー ジ 中 村 文 彦 [2003 ]「 交 通 結 節 点 に お け る 連 続 性 の 現 状 と 課 題」 『 運 輸 と 経 済 』 第63 巻 第10 号、 運 輸 調 査 局、2003 年10 月、15 ∼21 ペー ジ 長 谷 川 文 雄[2007 ]「交 通 と 通 信 の 融 合 を に な うICカー ド」『 運 輸 と 経 済 』第67 巻 第1 号、 運 輸 調 査 局、2007 年1 月、 16 ∼17 ペー ジ 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 [2009 ]『JR 東 日 本2009 会 社 要 覧 』 東 日 本 旅 客 鉄 道 株 式 会 社 広 報 部、2009 年9 月 堀 雅 通 [2009 ]「 交 通 系ICカー ド の 普 及・ 拡 大 と 戦 略 的 事 業 展 開」 『2008 年 度 東 洋 大 学 大 学 院 紀 要 』 第45 集、 東 洋 大 学 大 学 院 国 際 地 域 学 研 究 科、2009 年3 月、73 ∼86 ペー ジ 堀 雅 通 [2010 ]「 交 通 系ICカー ド 乗 車 券 に よ る 公 共 交 通 のシームレス 化」 『 現 代 社 会 研 究 』 第7 号、 東 洋 大 学 現 代 社 会 総 合 研 究 所、2010 年3 月、59 ∼67 ペー ジ 松 行 彬 子 [2007 ]「 交 通 系ICカー ドSuica に よ る 戦 略 的 事 業 の 展 開 と 多 元 的 価 値 創 造 の 経 営」 『 運 輸 と 経 済 』 第67 巻 第6 号、 運 輸 調 査 局、2007 年6 月、38 ∼47 ペー ジ 宮 本 惇 夫 [2008 ]『JR 東 日 本リテールネット 躍 進 す る「 駅ナカ 小 売 業」 』 交 通 新 聞 社、2008 年5 月 山 之 内 秀 一 郎 [2008 ]『JR は な ぜ 変 わ れ た か 』 毎 日 新 聞 社、2008 年2 月 横 江 友 則 [2003 ]「インタ ビュー: 『価 値 創 造 の 場 』 と し て の 共 同 体 −マーケット を 広 げ るスルッ とKANSAI 一」 『 運 輸 と 経 済 』 第63 巻 第10 号、 運 輸 調 査 局、2003 年10 月、30 ∼37 ペー ジ 『 週 刊 ダイヤモン ド 』ダイヤモン ド 社、2008 年7 月12 E]号、「 特 集: 激 変 ! ポイント & 電 子マネー 経 済」30 ∼65 ペー ジ、2009 年10 月10 日 特 大 号、「 特 集 : 知 ら れ ざ るコン グロマリットJR の 秘 密」30 ∼105 ペー ジ 『 産 経 新 聞 』 産 経 新 聞 社 『 日 本 経 済 新 聞 』 日 本 経 済 新 聞 社 『 日 経 産 業 新 聞 』 日 本 経 済 新 聞 社 『 日 経MJ 』 日 本 経 済 新 聞 社 『 日 刊 工 業 新 聞 』 日 刊 工 業 新 聞 社
Kerstin Zapp [2007 ]Komfort und Information weiter wichtig, Internationales Verkehrswesen ,(59 )5/2007, S.226-227, Hamburg・
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堀: 電子マネー 機 能付 きICカー ド乗 車 券に よる公共 交 通企業 の 戦略 的事業 展 開
Proliferation and Strategic Business Development of IC Cards
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Masamichi HORI