23
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完)
戸 田 俊 彦
目 次 1 本稿の目的 II 中部地方中小企業調査からみた成長・衰退要因 III愛知県中小企業調査からみた成長・衰退要因 IV 東京都中小企業調査からみた成長・衰退要因 V 大阪府中小企業調査からみた成長・衰退要因 VI長期永続型中小企業調査からみた成長・衰退要因………・…・……・以上前号 WI愛知県の高業績中小企業と低業績中小企業の対比からみた 成長・衰退要因………・……・…・………・………・…・…以下本号 VIII各種調査の総合分析からみた中小企業の成長・衰退要因 IX むすび VII愛知県の高業績中小企業と低業績中小企業の対比からみた 成長・衰退要因 成長企業ならびに衰退企業の要因・条件を探り出す一環として高成長企業と 低成長企業の対照性を高めて分析することが,両者を分ける要因をシャープに 浮きぼりにすることとなり有意義と思われ.る。そこで,質問項目が多くて回答 企業も多かった愛知経営者調査のサンプルから,典型的な高業績企業10社と典 型的な低業績企業10社とを対比して選び出し比較することとした。 まず,対象となる低業績企業10社を決めるために,最近5年間の売上高推移24 彦根論叢第275号 ならびに経常利益推移でみて「横ばい」か「減少」とした61企業を抜き出し, この中から「創業者」社長の企業の25企業にしぼった。創業者に限ったのは質 問項目が経営者自身に関するものがかなりあること,創業者こそはその性格や 行動がストレートにその企業の行動ひいては業績に反映するとみられるからで ある。ここから,社長になって会社の業績が「大いに上がった」としたものを 除いて11企業,最後に,最新の経常利益額が「5千万円以上」であった1企業 を除いて10社を確定した。 一方,高業績企業10社は,最近5年間の売上高ならびに経常利益推移で「急 増」,「漸増」,「ジグザグ上昇」とした194企業を選び,その中から「創業者本人」 とした94企業にしぼり,社長になって会社の業績が「ほとんど変わらない」,「や や伸び悩み」,「下がった」とした企業や最新の経常利益額を「赤字」や「1千 万円以下」とした企業をカットして60企業,さらに対前年売上高成長率や対前 年経常利益成長率が「マイナス」であった企業をカットして56企業を高業績企 業の資格企業とした。この中から,低業績企業1社1社と対比し,低業績企業 と同業種のもの,ついで従業員規模が同じもの,なければできるだけ近似のも のを選び,ついで創業年次,企業特性といった順で近いものを選び出していっ て高業績企業10社を客観的に確定している。 したがって,両グループは業績は大いに違うが,皆同業種で創業者企業,規 模,創業年次,企業特性などが可能な限り同じか近似したものが選ばれている のである。 このようにして選択された高業績中小企業10社と低業績中小企業10社の間で 差異の目立った項目,すなわち,高業績企業と低業績企業とを分けるとみられ る要因,を一覧化すると図表12のとおりである。 これから高業績企業の特徴を要約的に述べるために,高業績企業と低業績企 業とで50%以上と大きく差の開いた項目をあげてみるとつぎのものがある。最: 新の経常利益額が「1千万∼5千万円」が多いし,対前年売上高成長率ならび に対前年経常利益成長率が「10∼30%」が多い。「貧乏体験」をもち,「押しが 強く」,「20年後には会社がなくなっていると思う」ものが少なく,精神的なよ
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 図表12 愛知県の高業績企業と低業績企業とで差異が出た項目 25 質 問 項 目 高業績企業(10企業) 低業績企業(10企業) 資本金 01,000万∼5,000万円未満 (30,70,47.7) 常用従業員数 *□9人以下 (20,50,17.6) パート従業員数 ○なし (50,60,30.2) 最新の年間売上高 *01億∼5億円 (40,70,39.0) *05,000万円以下 (50,50,6.1) △5億∼10億円 (30,0,18.1) 最新の経常利益額 *△1千万円以下 (40,0,33,0) *○赤字 (60,60,9.6) *01千万一5千万円(80,80,31,4) *△1千万∼5千万円(80,0,31.4) 対前年売上高成長率 OlO∼30% (50,60,33.8) ○マイナス5∼0%(30,30,6.2) 00 ∼ 5% (30,40,22.1) 対前年経常利益成長率 △ 0 ∼ 5 % (30, 0,27『2) ○マイナス5∼0%(40,40,10.5) 010∼30% (50,50,20.7) 5年間売上高推移 ○急増 (40,40,12.3) *△漸増 (50,0,40.8) ○横ばい (30,30,11.0) ○漸を成 (30,30, 3.9) 5年間経常利益推移 ○急増 (30,30,6.6) *△漸増 (60,0,37.5) ○横ばい (40,40,17.3) ○漸減 (30,30,4,0) 創業以来の出来事 *×株式会社化 (20,10,45,2) *△新製品(新技術)開発に成功 (60,0,30.5) 企業特性 *△専門企業 (30,10,43.2) 主要事業・製品のライフサイクル ○衰退期 (30,30,8.2) 社長の年齢 *△40代 (30,0,33.2) △50代 (50,0,29.6) 同居家族数 02人 (40,40,12.1) 創業以来何人目の社長 * 1人目 (10,80,50。0) * 1人目 (10,90,50.0) *×2人目 (20,0,32.5) 創業者との関係 * 本人 (0,100,49.8> * 本人 (0,100,49.8) これまでの体験・経験 *○貧乏体験 (60,60,25.2) *○兵隊体験 (30,50,15.0) ○転職経験 (30,50,26.8) ムサラリーマン経験(40,40,60.8) 事業経営上プラスになった ○先見力 (40,60,37,4) △忍耐力 (30,0,18.8> 性格等 △責任感 (30,20,37.4> 理想的か現実的か * 理想的 (10,10,41.4> 論理的か直観的か ○論理的 (40,70,45.6) *△直観的 (30,20,54.4) 雄弁か口べたか △雄弁 (40,20,45.4) ○口べた (30,70,54.6) 気長か気短か △気短 (30,40,64.2) アンケートには答える方か否か △答えるほう (30,50,65.4) △答えないほう (30,10,34.6) 構造変化をチャンスとみる *ムチャンスとみる (50,50,85.5) か脅威とみるか ○脅威とみる (30,30,14.5) 潔癖か清濁合わせ飲むか △潔癖 (30,20,44.0) パーソナリティ重視か知織 △知織・経験重視 (40,30,57.7) *ムパーソナリティ重視 (60,10,42.3) ・経験重視か 押しが強いか遠慮がちか *○押し力可虫い (50,70,38.1) *△遠慮がち (40,30,6L9) 専ら事業経営に打ち込んで △専ら事業経営に打ち込む いるか社会奉仕や趣味活 (30,50,65.2) 動にも時間をさくか ○社会奉仕や趣味活動にも時間を さく (30,50,34.8) 経営成功は努力か才能か *×努力が大きい (20,40,78,5)
彦根論叢 第275号 従業員数を5年間で増やし △増やしたい (40,50,79.8) たいか否か ○増やさない (40,50,20.2) 社是・聖訓を定めているか *△定めている (30,20,53.5) 否か *○定めていない (30,80,46.5) 10年後も社長か否か *×社長でいると思う(20,10,50.5) *□社長ではないと思う (20,90,49.5) 当社は20年後も存続か否か *△なくなっていると思う(60,0,34.1) △20年後も存続 (50,40,65.9) 幹部・従業員に求める要件 △責任感 (30,60,78.0) 経営上の重点 △従業員の幸福 (30,10,26,4) 精神的なよりどころ・やすらぎ *△家族・家庭 (50,10,58.1) 社長としての夢 △新社屋建築 (30,0,18.5) △新製品開発 (30,10,3/.9) 社長の地位・職務を一言で *△責任 (40,0,34.0) 社長になって会社の業績は *△大いに上がった (60,0,48,5) ○ほとんど変わらない (30,30,7,4) 勤務時間(退社一出社時間) △11時間台 (30,10,25.6) 就寝時間 *×11時台 (20,10,45.2) 力を入れている仕事 *×今後の方針を考える (20,30,60.7) 東京出張回数 03回台 (30,30,9.6) △10回以上 (40,10,36.9) 後継者 ○まだ必要ない (30,50,27.4) 講読新聞の必読記事 * 経済一般 (10,50,82.4) ○天気予報 (40,40,10.2) * ×経営∼般 (20,20,51.1) 新聞必読記事項目数 00 ∼ 5 (30,70,47.2) 日頃の個人的つきあい △趣味・スポーツ仲間(30,0,24.0> △異業種経営者 (40,30,50.2) 自由時間にしたいこと * 趣味・スポーツ (10,30,60.2) 衝撃影響度の大きかった △高齢化 (30,0,17.3) 要因 経営力充実策(従来) △省力化・自動化 (40,0,24.0> ○販売能力の強化 (40,60,34.8> 経営力充実策(今後) *○技術力の強化 (30,60,22,7) △組織の見直し・活性化(30,0,16.3) △財務力の強化 (30,0,17.9) めざす主要事業の市場地位 ○マーケット・リーダー (40,40,16.6> 同業他社に比べ優れている *06 ∼ 9 (60,60,23.2) 項目数 注(1)高業績企業と低業績企業の間で30%以上差異の開いた項目を特記した。その場合,愛知 県の全企業の構成比からより離れたほうにその項目を示した。 (2)高業績企業と低業績企業の差異が30%以上開いていなくても,それぞれを全企業と比 べて30%以上開いているときにはその項目を開きが観察されたところに示している。 (3)( )内は,最初の数値は高業績企業と低業績企業との間の差異,2番目の数値は当 該企業の値,最後の数値は全企業の値である。 (4)○印は他企業に比べ30%以上多いもの,△印は少ないもの,□印は20%多いもの,×印 は20%少ないものを示している。また*印は全企業と比べ30%以上の差異を示したもの を示している。 ㈲ 差異が認められなかった質問項目としては次のものがある。 地区,創業年次,設立年次,業種,社長の性別,社長就任時年齢,社長在任期間,最終学 歴,出身都道府県,得意分野,社長の能力決定づける最:も大切なもの,事業経営上マイナ スになった性格等,今後強化したい能力,慎重か大胆か,革新的か保守的か,競争志向か 協調志向か,浅く広い志向か狭く深い志向か,体力に自信があるか疲れが残るか,家庭で
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 27 は厳しいかやさしいか,人に任せるほうか自分でやるほうか,細かいか大雑把か,現在は 事業経営が面白いか難しいか,嘘も方便かついてはならないか,社長になって性格は変わ ったか否か,性格を変えたいと思うか否か,年功序列・終身雇用制は崩壊か維持か,当社 のほかに会社経営しているか否か,生まれ変わっても今の仕事をしたいか否か,人との交 際は多いほうか少ないほうか,将来を考える時間的余裕ありかなしか,社長として幸せか 否か,社長としてよくやっているか未熟か,性格に近い三英傑,望ましい後継社長像,経 営能力向上に影響を与えたもの,事業の成功・失敗に対する社長の影響力,出社時間,退 社時間,1日に会う社外の人の数海外出張回数,その他の県外出張回数,最重要視して いる情報,衝撃・影響度の大きかった要因数,企業発展・業績を左右する要因,意思決定 のパターン,同業他社に比べ劣っている項目数。 りどころ・やすらぎとして「家族・家庭」をあげるものが少ないが,同業他社 に比べ「6∼9」項目優れているとしている企業である。 逆に,低業績企業では,パート従業員数が「なし」とし,最:新の年間売上高 が「5,000万円以下」で,最新の経常利益額が「赤字」,5年間売上高推移,5 年間経常利益推移とも「漸増」が皆無など業績が極端に悪く,「新製品(新技術) 開発に成功」したものがなく,社長の年齢が「50代」もなく,「構造変化をチャ ンスとみる」ものも相対的に少なく,「パーソナリティ重視」も少ない。企業が 「20年後も在続」とするものも相対的に少ない。社長になって会社の業績は「大 いに上がった」とするものは当然ながら皆無となっている。 さらに業績にかかわるもの以外で40%の差異が開いた項目をあげると,高業 績企業では,同居家族数が「2人」,事業経営上プラスになった性格等で「先見 力」が多いが,「知識・経験重視」は相対的に少なく,社長の地位・職務を「責 任」とするものがない。経営力充実策(従来)を「販売能力の強化」とする企 業が多く,「省力化・自動化」はない。めざす主要事業の市場地位は「マーケッ ト・リーダー」としている。 低業績企業では,「サラリーマン経験」が相対的に少なく,「論理的」とする ものが多い。「雄弁」が少ないし,従業員数を「5年間で増やさない」が多く, 東京出張回数も「10回以上」が少ないが,「天気予報」記事を多くみているし, 「異業種経営者」との日頃の個人的つき合いは少ない。 つまり,高業績企業と低業績企業は見事な対照性を示し,高業績企業での業 績のよさと経営者の積極性ならびに企業経営活動の合理性が浮かびあがってく
るのである。そしてこのことは愛知県の全サンプルの結果以上に鋭い対照性を 示しているのである。 VIII各種調査の総合分析からみた中小企業の成長・衰退要因 これまで個々の調査ごとに成長度とのクロス分析をして成長ないし衰退にか かわっている項目を探ることによって成長要因ないし衰退要因を指摘してきた。 その際,同じ要因がある調査では成長に貢献するとみられるのに,別の調査で は逆に成長の妨げになっている衰退要因であったり,無関係であったりといっ た違う結果が出てくるものもあったことを指摘せざるをえない。 たとえば,社長の年齢・40代の場合,愛知経営=者,東京経営者,大阪経営者 の各調査で高成長ほどウエイトが上昇し成長要因とみられるのに,逆に,中部 調査では低成長でややウエイトが高いし,愛知高・低業績調査では高成長でウ エイトが低くむしろ衰退要因とみなされる。また長期永続企業調査では成長・ 衰退には無関係とみなされたのである。社長の年齢・50代も同じように調査問 で矛盾した点が見受けられる。さらに,最終学歴・高専・短大も東京経営者調 査では衰退要因だが,大阪経営者調査では成長要因とみなされ,相矛盾した結 果となっている。このほか,得意分野・販売・技術(研究開発),経営上の重点 ・従業員の幸福,事業経営上プラスになった性格等・忍耐力,性格に近い三英 傑・秀吉・家康,海外出張回数・なし,商売(仕事)がしてみたい所・東京, 地域の違いによる商売(仕事)実感・大いに違いを感じる・やや違いを感じる, 後継者・長男,新聞必読記事項目数・0∼5,年間売上高・1億∼5億円にお いても調査問で矛盾した結果が認められる。 もちろん,これらは調査結果の中ではむしろ例外的な現象で,他の多くの調 査項目は調査間で同傾向を示したことはいうまでもないところである。 このように一部の調査項目(要因)で調査によっては相反する結果が出てき たのは,もとより調査対象が地域,業種,規模,営業年数等々の点で違い,さ らには調査方法も,高成長企業と低成長企業の定義の違い,サンプル数の違い からくる有意性の判定基準の差異,アンケートの言いまわしや選択項目の違い
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 29 などなど,共通でないところによる点が大きいであろう。 しかしそうした点には目をつぶって,これら各種調査を総合的にながめて, 環境激変下の中小企業の成長要因,衰退要因は何であったのかを探ってみるこ とは大いに意義あることと思われる。 そこで各種調査で指摘された高成長で目立って多いものをA,やや多いもの をa,高成長で目立って少ないものをB,やや少ないものをb,低成長で目立 って多いものをX,やや多いものをx,低成長で目立って少ないものをY,や や少ないものをy,高成長ほどウエイトが上昇するものをC,やや上昇するも のを。,高成長ほどウエイトが低下するものをZ,やや低下するものをzとし てともかくも統一的に示してみたのが図表13である。その際,企業のプロフィ ール,企業の業績,社長のプロフE一ル,社長の理念・意識,社長のパーソナ リティ・能力,社長の行動,企業環境・経営戦略・行動の7つの分野に大別し て示している。 そして高成長への貢献の程度からみて,5点,3点,1点,一1点,一3点, 一5点を与え,つまりAに5点,aに3点, Bに一3点, bに一1点, Xに一 5点,xに一3点, Yに3点, yに1点, Cに5点, cに3点, Zに一5点, zに一3点を仮に与えて点数評価してみたのが図表13の得点欄である。 これで総合得点の高かったもの,すなわち,成長に貢献したとみられる要因 は,対前年売上高成長率が「10∼30%」,主要事業・製品のライフサイクルが「中 期成長期」,社長になって会社の業績は「大いに上がった」,創業年次は「昭和 50年代」,業種は「サービス業」,「パーソナリティを重視」し,経常利益額が「1 千万一5千万円」,東京出張回数が「10回以上」,5年間経常利益推移が「急 増」,勤務時間が「10時間台」,常用従業員数が「30∼49人」・「50∼99人」,年 間売上高が「5億∼10億円」,経常利益額が「1億∼5億円」,消費者ニーズの 高度化・多様化の影響が「有利である」,経営力充実策(従来)は「人材の育成 ・確保」,社長の条件は「決断力」,従業員の定着率について「良い方だと思う」 などの順で皆11点以上となっている。 つまり,現在の環境変化に適した業種,規模,事業・商品を抱えた若い企業
彦根論叢 第275号 図表13高成長企業ないし低成長企業を特徴づける項目一覧 中部 愛知 愛知 東京大阪長期 質 問 項 目 経営者 経営者高低業績 経営者 経営者永続企業得点 順位 調査 調査 調査調査 調査調査 地区 尾張
XZ
一 一10 名古屋YC
一 8 本社所在地 関東 C 5 九州 Z 一3 創業年次 明治時代 b 一1 大正時代 y 1 戦前 B Z 一 Z 一13 一13 昭和20年代 B 一 一 一 一3 〃40年代 『 一 一 Z 一5 企 〃50年代AYC
一 }aYC
22 4 設立年次 一 資本金 1,000万円未満 Z 一5 3,000万∼5,000万円未満 C 3 業 1,000万∼5,000万円未満 A 一 Y 8 業種 製造業BXZ
一 一 一 一13 一13 サービス業AYC
一 一YC
21 5 卸売業 一 一 Z 一5 の 主たる業種分類 一 従たる業種分類 食料品製造業 A 5 家具・装備品製造業 A 5 非鉄金属製造業 A 5 プ現在の業種は創業以来同 @じか 一 設立時の業種 家具・装備品製造業 A 5 金属製品製造業 A 5 口 飲料・飼料・たばこ製造業 Z 一5 繊維工業 Z 一5 これまでの業種変更数 1回 Y 3 最近業種を変えた理由 一 フ 企業形態 株式会社yc
6 合名・合資会社等XZ
一10 事業所数 1カ所 Z 一5 創業以来社名変更の有無 一 イ 社名変更回数 一 現在の社名に変えた時期 0∼10年前 A 5 戦前 X 一5 現在の社名に変えた理由 その他 Z 一5 1 常用従業員数 9人以下BXZ
XXz
X 一29 一4 10∼19人 Z } 一 一 一5 30∼49人AYC
一 『 一 13 11 50∼99人 C 一 C C 13 11 ル 21∼50人 C 5 201∼300人 『 一 一 } C 5 パート なし X 一5 企業特性 新型企業 A 一 5 専門企業 Y 3 主要事業・製品のライフサ 中期成長期AYC
一 yc C 24 2 イクル 後期成長期 『 一 A 5 成熟期 B 一 一BXZ
一16 一11 衰退期XZ
XXZ
Z 一30 一3環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 31 主たる業態 一 隻 事業タイプ 専門分野一筋できた Z 一5 撃 多種多様な分野を手がけ C 5 口 フ てきた r分社化の状況 分社化している C 5 ノレ 分社化した企業数 1社 A 5 年間売上高 5千万円以下 T千万∼1億円 } Z X一 〕・・ 〕・ 〕一 一18−18 一9 │9 1億∼5億円 一
A
一 一 X 2 5億∼10億円 A C Y 一 一 13 11 20億∼50億円 一 一 C 一 5 30億∼50億円未満 C 3 経常利益額 赤字 Xz XXZ
一XZ
一33 一2 1千万円以下 一 B 一 一 } 一3 企 1千万∼5千万円 一AY
YC
一 一 16 7 5千万∼1億円 一 一 一 } Y 3 1億∼5億円 一 C 一 A C 13 11 対前年売上高成長率 マイナス5%以下 }イナス5∼0% XzwZ
一 X 〕・・ 〕・・ 一28│35 一5│1 0∼5% B X BXZ
一21 一6 業 5∼10%BY
一 yBY
110∼30%
AYC
A
AYC
AYC
44 130%超 A C 一 一 一 10 対前年経常利益成長率 マイナス5%以下
XZ
一 一10 マイナス5∼0%XZ
X 一15 一12 0∼5%By
B 一5 5∼10% Y 一 3 の 10∼30% 一A
5 30%超 A C 一 10 5年間売上高推移 急増 Q増 。ばい A Y X 5 @3 │5 漸減 X 一5 業 5年間経常利益推移 急増 AA
A 15 9 漸増 Y Y Y 9 ジグザグ上昇BY
一BY
0 横ばい 一 X 一 一5 ジグザグ下降XZ
一 一10 漸減 X X 一10 績 急減 X 一 一5 減少XZ
一10 社長になって会社の業績 大いに上がった A Y A C C 23 3 は やや上がった B 一 Y 一 0 ほとんど変わらない 一 XXZ
Z 一20 一7 事業の成功・失敗に対する ほとんど全て Z 一5 社長の影響力 企業発展・業績を左右する 従業員能力 C 一 5 要因 得意先・取引先 Z 一 一5 社 社長の性別 一 『 一 一 一 長 社長の年齢 30代 一 一 一 一 C 3 のプ 40代 X C B C C 9 50代 A C Z Y Xz C 一 5弓
60代以上・60代 B Z 一 一 一 『 一8 イ 70代以上 一 一 Z 一5 1 社長就任時年齢 一 一 ル経営者になってからの年数 20∼29年 一 A C 10彦根論叢 第275号 当社在職年数 } 同居家族数 2人 A 5 社 最:終学歴 大学・大学院(理科系) C 一 一 a 一 6 高専・短大 一 一 Z A 0 出身都道府県 一 長 創業以来何人目 1人目 一 A c 8 2人目 y A 6 5人目以上 一 Z 一3 の創業者との関係 本人 A C 一 一 一 10 子供
BXZ
一 一 一13 一13 その他の親族 一 一 一 C 5 プ得意分野 販売 B zYC
一 B 一 一1 技術(研究開発) 一 xZ 一 C 一 一5 製造 一 一 Z 一 一5 購買・外注 一 一 一 Z 一 一3 口 企画・調査 一 一 C 一 5 これまでの体験・経験 倒産経営危機経験 X 一 一3 貧乏体験 A 5 フ 転職経験 A 5 兵隊体験 X 一5 サラリーマン経験 Y 3 イ 他企業勤務経験の有無 一 勤務経験業種 卸売業 Z 一5 その他 C 5 1 出身地位 他社での勤務経験のない xZ 一8 2代目以降 創業者 C 3 ル 営業系 B 一3 社長が今日ある理由 人に恵まれた Z 一3 経営者のタイプ 技術家型 A 5 従業貝数を5年間で増や 増やしたい Y 3 したいか否か 年功序列・終身雇用制は崩 } 壊か維持か 社 10年後も社長か否か 社長でいると思う b 一1 当社は20年後も存続か否か なくなっていると思う B 一3 長 生まれ変わっても今の仕 一 事をしたいか否か 社長として幸せか否か 一 の 社長としてよくやってい 一 一 るか未熟か 理経営上の重点 人間尊重(生活安定含む) X 一5 従業員の幸福 Y B 一 一 0 念 企業の拡大 一 一 C 3 精神的なよりどころ・やす 家族・家庭 B 一3 . らぎ 社長としての夢 新社屋建築 Y 3 新製品開発 Y 3 意 事業の失敗は経営者個人 全くそう思う B 一3 の責任 どちらかといえばそう思う A C 10 識 どちらとも言えないXZ
一10 会社経営が最大の生き甲斐 どちらとも言えない A 5 利益の多寡よりも経営の 全くそう思う b z 一4 安定を図ることが重要 どちらとも言えない a c 6 現事業は創意工夫次第で 全くそう思うBY
0環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 33 将来とも有望 どちらかといえばそう思う
AX
0 内部管理体制の充実より どちらとも言えない B 一3 社 競争企業の動向に対応 どちらかといえばそう思 A 5 長 がより重要 わない の理念 経営理念 顧客に関すること Z 一5 企業永続に経営理念は必 一 畳意 要か否か 経営理念必要でないとし 経営者がしっかりしてい Z 一5 識 た理由 れば不必要 現実問題は解決できない C 5 必要な理由 一 事業経営上プラスになっ 意欲・達成欲求 A C一 10 た性格等 忍耐力 X Y 一2 統率力 C 一 5 先見力 』 A 5 責任感 一 B 一3 事業経営上マイナスにな 焦り B 一 一3 社 った性格等 自信過剰 一 X 一 一5 情実重視 X } 一3 怒りっぽい Z Z 一 一8 長 暗示を受けやすい 一 Z 『 一3 慎重か大胆か 一 の理想的か現実的か 一 論理的か直観的か 論理的 Z X 一10 革新的か保守的か 一 一 ノぐ 競争志向か協調志向か 一 雄弁か口べたか 雄弁 Y 3 ﹁ 気長か気短か 気短 Y 3 浅く広い志向か狭く深い 一 志向か ソ アンケートには答えるほ 答えるほう B 一3 うか否か ナ 体力に自信があるか疲れ 一 が残るか 家庭では厳しいかやさしいか } リ 人に任せるほうか自分で 一 一 やるほうか 構造変化をチャンスとみ チャンスとみる Y 3 テ るか脅威とみるか 潔癖か清濁合わせ飲むか 潔癖 B 一3 イ 細かいか大雑把か 『 パーソナリティ重視か知 パーソナリティ重視 yc A C Y 19 6 識・経験重視か . 押しが強いか遠慮がちか 押しが強い A 5 現在は事業経営が面白い 『 か難しいか 能 嘘も方便かついてはなら 一 ないか 力 経営成功は努力か才能か 努力 C y 6 社長になって性格は変わ 一 ったか否か 性格を変えたいと思うか否か 一 性格に近い三英傑 信長 A 一 一 5 秀吉 一 } A B 2彦根論叢 第275号 家康 一 一 B A 2 望ましい後継社長像 一 一 一 一 社 儲かる仕事への意識 多少無理があっても取り C 5 長 組む の 無理があれば手を出さない Z 一5 ノぐ社長の能力決定づける最 人柄・性格 B 一 一3 ﹁ も大切なもの 意欲 C 一 3 ソ 今後強化したい能力 ナ 経営能力向上に影響を与 一 皿 リ えたもの テ 幹部・従業員に求める要件 責任感 B 一3 イ 社長の条件 意欲
BxZ
一11 一21 ■ 洞察力 A C 10 能 決断力aYC
11 17 カ 健康BXZ
一13 一13 統率力 C 3 協調性 Z 一3 専ら事業経営に打ち込んでい 専ら事業経営 Y 3 るか社会奉仕や趣味活動に も時間をさくか 当社のほかに会社経営を 一 しているか否か 社是・社訓を定めているか否か 定めている Y 3 社 人との交際は多いほうか 一 少ないほうか 将来を考える時間的余裕 『 ありかなしか 社長の地位・職務を一言で 責任 一 B 一3 出社時間 8時∼8時29分 一 C 一 5 長 退社時間 5時台 一 一 C 5 勤務時間(退社一出社時 9時間台 z 一 一 一 一5 問) 10時間台 A C 一 一 A 15 9 11時間台 一 B 一 一3 12時間台 一 一 一 Z 一5 起床時刻 7時前 B Z 一 一8 7時半∼7時59分 A C ㎜ 10 の 就寝時刻 10時前 一 一 Z 一5 10時台 一 Z 一 一5 1ユ時台 y 一 一 ユ 12時台 一 C 一 3 1時以降 一 C 一 3 力を入れている仕事 今後の方針を考える y 1 行 1日に会う社外の人の数 一 海外出張回数 1回台 A 一 y 一 6 なし Z 一 一 C 一2 東京出張回数 10回以上 A C Y C 16 7 3回台 Z X 一 一10 なし Z 一 X 一10 動 大阪出張回数 1回未満 Z 一3 1回台 A 5 なし X 一5 その他の県外出張回数 名古屋出張回数 なしAX
一 0 名古屋地域での商売(仕 ない A 一 5 事)経験 現在している 一 Z 一5社 長 の 行 動 商売(仕事)がしてみたい 所 地域の違いによる商売(仕 事)実感 地域の違いによる商売(仕 事)のあり方 後継者 後継者決定か否か 誰を後継者にしたいか 後継者をめぐる問題点 自由時間にしたいこと 意思決定のパターーン 思いがけず大金が手に入 つたとき 芝居に誘われたらまず何を聞 く 最重要視している情報 経営情報源 経営環境変化の察知方法 経営環境変化の察知の情 報収集手段 購読新聞の必読記事 新聞必読記事項目数 日頃の個人的つきあい 専門誌・講習会情報は経営 に役立つものが多い 消費者・取引先の意見・要 望はできるだけ会社経 営に反映させたい 経営計画の作成にあたっては 自分の経験を経営分析結果 よりも重視する 会社経営にあたっては具 体的な経営方針を持た なければならない 大企業との競争が激しく なっても中小企業が強 みを発揮できる分野が ある 環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 東京 大阪 大いに違いを感じる やや違いを感じる 地域差を感じない 大いに違えるべきだ 長男 従業員(幹部含む) 自分かぎり まだ必要ない その他の理由で未決 社長中心の意思決定 組織中心の意思決定 役員と協識して社長決定 役者は誰だと聞く 出し物は何かと聞く 公的機関の指導 研究会やセミナー等への 出席 天気予報 経営一般 O 一一一 5 6 一一10 友人・知人 同業種経営者 従業員・従業貝家族 趣味・スポーツ仲間 異業種経営者 どちらかと言えばそう思う どちらとも言えない どちらかと言えばそう思 わない 全くそう思う どちらかといえばそう思う B A
ZC
XBA
Z CC
XBa
B xZC
X C XBAB
AXy
A一 一B Y A C xzBA
CZCZZ
yAB B
Y X CXY
C C Z X c 2 −5 8 0 −5 −3 2 5 −20 8 10 一13 5 5 り0ζ﹂53 512535533338 33
「 一 【 35 一7 一13彦根論叢 第275号 多少の危険が予測されて 全くそう思う A C 10 も,十分に検討した計画 どちらかといえばそう思う B Z 一8 社 なち実施する 経営活動の結果は定期的 『 長 に計画と対比しその後 の経営活動に生かす の 経営計画や方針を決める どちらとも言えない B 一3 行 際,従業員の意見にも十 どちらかといえばそう思う a 3 分配慮する 動 経営者は従業員の先頭に 一 立って経営活動に従事 しなければならない 衝撃影響度の大きかった要因 高齢化 B 一3 衝撃・影響度の大きかった 一 要因数 消費者ニーズの高度化・多 有利である
AYC
13 11 様化の影響 不利であるXZ
一10 企 経営上の問題点 主力商品の販売不振BXZ
一13 一13 人手不足 A 5 人件費上昇 b 一1 業 機械・設備の陳腐化 A 5 販売力の低下 Z 一5 受注の減少 Z 一5 環 創業以来の主な出来事 新製品開発に成功 } Y 3 株式会社化 y 1 経営力充実策(従来) 事業転換 Z 一 一3 境 販売能力の強化 一 A 5 人材の育成・確保AYC
一 13 11 生産能力の拡大 X 一 一5 . 省力化・自動化 xZ B 一11 一21 経営者能力の強化 C 一 5 労務管理の充実 Z 一 一5 経経営力充実策吟後) 経営者能力の強化 A } 5 販売能力の強化 Y 一 3 高級化・高付加価値化 Z 一 一5 新製品開発 Z 一 一3 営 技術力の強化 一 A 5 財務力の強化 一 B 一3 組織の見直し・活性化 皿 Y 3 戦 めざす主要事業の市場地位 追随者 Z 一 『 一 一5 マーケット・り一ダー } A 一 一 5 ニッチャー 一 一 Z 一 一5 略 同業他社に比べ優れてい 6∼9 一 A 5 る項目数 同業他社に比べ劣ってい 0 y 一 1 . る項目数 従業員不足の職種 企画・研究者 A C 10 製品開発・改良の技術者の 他社等から技術者をスカ C 3 行 確保法 ウト 人材養成の方法 業務に従事しながら教育 A c 8 動 従業員研修の内容 新入社員研修 C 5 経営者研修 a C 8 週休2日制導入状況 一 従業員に対する感想 十分働いてくれている A 5 もっと働いてほしいBXZ
一13 一13 従業員の定着率について 良い方だと思うaYC
11 17企 業 環 境 経 営 戦 略 行 動 従業員の定着率向上策の 実施状況 規模の拡大について 規模の拡大意識しない理由 規模拡大が実現出来ない 理由 販売ルート 販売促進の方法 国際化の状況・輸出の有無 〃 輸入の有無 〃 ・海外支店・営業所の有無 〃 ・海外工場の有無 新製品開発行っているか 否か 新製品開発行っていない 理由 新製品の頻度 新製品の開発体制 メカトロニクス機器の導 入状況 中小企業に適した事業分 野か否か 中小企業に適している理由 本業分野の今後の経営戦略 経営計画の策定 経営不振に陥った時の対 処法 長期永続要因・経営者特性 ’ ’ ’ 1 ’ ’ ’ ’ ・経営戦略 ・組織 ・財務体質 ・製品・生産 環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 普通だと思う 実施している 実施していない しょうと思ってもなかな か実現出来ない 特に意識する必要はない チャンスがつかみにくい 市場規模に限界がある 商社・卸を通して 代理店を通して TV・ラジオで広告 なし CAD機器 自動搬送装置 マシニング・センター 短納期が要求される分野 多品種少量生産の分野 新事業分野を開拓し,本業 分野を縮小 あくまで本業分野に注力 幹部にしか知らせていない 創造力 忍耐力 先見・洞察力 技術理解力 利益追求 多角化・新分野進出 規模の拡大 役貝・幹部の結束 バトンタッチがうまくい つた 従業員の質が高い 内部留保の蓄績 過大な借入をしない 積極的な開発投資 省力化・自動化 高品質 生産力の向上 在庫の縮小 短納期化 低コスト xz YC xz
BxZ
A C C zBXZ
yC z ACC
AA
Cz
yX
ACC
一10 8 −10 −11 10 5 −3 −13 6 −5 5 0 ζ﹂=﹂ 1 10 1 −8 3 5135335835 5358553553
一 [一 一 ︻ 一yX
Cc
CC ZY Y
aC ZC ZCZCC
X B a 37 一21 一1338 彦根論叢第275号 泣業環境 長期永続要因・マーケティング エンドユーザーへの密着 Y 3 広告宣伝力 纓搏X等の支援
二
一3│3
7 経営戦 一番重要な永続要因 製品・生産要因 o営者特性Ba
一3@3
讐
二番目に 〃 『 動 三番目に 〃 経営者特性 C 5 注(1)Aは高成長企業で多かったもの,aはやや多かったもの, Bは高成長企業で少なかった もの,bはやや少なかったもの, Cは高成長ほどウエイトが上昇したもの, cはやや上昇 したものを示し,Xは低成長企業で多かったもの, xはやや多かったもの, Yは低成長企 業で少なかったもの,yはやや少なかったもの, Zは高成長ほどウエイトが低下したも の,zはやや低下したものを示している。一は調査されたが目立った特徴や傾向が検出出 来なかったものを示している。 (2)得点欄はA=5,a=3, B=一3, b=一1, Cニ5, c=3, X=一5, x=一 3,Y=3, y=1, Zこ一5, z=一3として計算したものである。 で,経営者として決断力などをもち,東京出張をいとわず,長時間労働も辞さ ぬ経営者の企業であることが明瞭であろう。 逆に,マイナス得点の高かった項目は,対前年売上高成長率が「マイナス5 一一@O%」,経常利益額が「赤字」,主要事業・製品のライフサイクルが「衰退 期」,常用従業員数が「9人以下」,対前年売上高成長率が「マイナス5%以下」 ・「0∼5%」,社長になって会社の業績は「ほとんど変わらない」,後継者は「自 分かぎり」,年間売上高は「5千万円以下」・「5千万∼1億円」,主要事業・製 品のライフサイクルが「成熟期」,対前年経常利益成長率が「マイナス5∼0 %」,創業年次は「戦前」,業種は「製造業」,創業者との関係は「子供」,社長 の条件は「健康」,意思決定のパターンは「社長中心の意思決定」,経営上の問 題点は「主力商品の販売不振」,従業員に対する感想は「もっと働いてほし い」,販売ルートは「商社・卸を通して」,社長の条件を「意欲」,経営力充実策 (従来)を「省力化・自動化」,規模の拡大について「しょうと思ってもなかな か実現出来ない」などの順で皆一ユユ点以下となっている。 要するに,小規模性と各種業績指標の劣弱性が顕著で,製造業で,古くて, 社長が創業者の子供で,自分かぎりと考えるなど将来に展望をもっていない企 業であるといえよう。 そしてこれら成長要因ならびに衰退要因は前述してきた各種調査の成長要因環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 39 あるいは衰退要因が集約化された結果になっていたといえよう。 もちろん,総合得点でみると以上の通りだが,調査数が多ければ得点は増大 する傾向にある。したがって対象調査数でわって1調査あたりにして得点の高 かったものを観察してみるならつぎのとおりである。 消費者ニーズの高度化・多様化の影響が「有利である」,対前年売上高成長率 が「10∼30%」,社長の条件は「決断力」・「洞察力」,従業員の定着率について は「良い方だと思う」,多少の危険が予測されても,十分に検討した計画なら実 施するに「全くそう思う」,従業員不足の職種は「企画・研究者」,規模の拡大 については「特に意識する必要はない」,メカトロニクス機器の導入状況として 「CAD機器」,中小企業に適している理由は「短納期が要求される分野」など である。 一方,マイナス得点の高かったものは,社長の条件は「健康」・「意欲」,経 営上の問題点は「主力商品の販売不振」,従業員に対する感想は「もっと働いて ほしい」,販売ルートは「商社・卸を通して」,規模の拡大について「しょうと 思ってもなかなか実現出来ない」,企業形態は「合名・合資会社等」,5年間経 常利益推移は「減少」,従業員の定着率については「普通だと思う」,従業員の 定着率向上策は「実施していない」,消費者ニーズの高度化・多様化の影響は「不 利である」などとなっている。 総合得点の結果と順序が違ってきてはいるが,やはりここでも高成長企業は 環境変化が有利とし,社長の条件を決断力・洞察力とみ,危険にも対応しよう とする経営者でメカトロニクス機器の導入に積極的で企画・研究者を求め,規 模拡大を求めている企業である。 低成長企業は,社長が健康や意欲を強く意識し,主力商品の販売不振に悩み, 従業員にもっと働いてほしいと願いはするが何もしておらず,環境変化が不利 に働いている合名・合資などの小会社といえるようである。 さらに,3つ以上の調査で調べられながらも,いずれの調査でも差異も特定 の傾向も認められなかった項目を参考までに記しておくとつぎの通りである。 社長の性別,社長就任時年齢,望ましい後継社長像である。これらは企業成長
度とはかかわりのない要因といえよう。 なお,われわれは数多くの質問項目を大分類して示したが,この大分類ごと に得点の絶対値の総合計を延べ質問項目数で割った値,ならびに()内にプ ラス得点のみの総合計を延べ質問項目数で割った値を参考までに観察してみた。 その結果,企業のプロフィールは3.5(1.8),企業の業績は3.6(1.5),社長 のプロフィールは1.5(0.9),社長の理念・意識は2.4(1.2),社長のパーソナ リティ・能力は2.2(1.2),社長の行動は1.9(1.0),企業環境・経営戦略・行 動は3.8(2.2)で』あった。 この数値のうち,とくに企業環境・経営戦略・行動の数値が高いのは,長期 永続企業調査の質問項目がこの中に多数含まれていることにその根拠があるよ うである。すなわち,長期永続企業調査では,質問項目が独自のもので他の調 査と共通せず,したがって有意な項目のみが指摘されがちであったこと,また 構成比のウエイトが目立ったものも,κ2検定で指摘されたものも両方とも有意 として指摘されていることにより数値がきわめて高くなった側面があるからで ある。そしてなおこの点に限らず,一般に大分類分けや得点化の仕方等々にも 厳密な検討を加えてこの数値を解釈する必要があるのは当然であろう。 だが,ここではともかく単純に読みとって売上高成長度と最も相関しやすい のは企業環境・経営戦略・行動,とりわけ企業環境であり,ついで企業の業績 であることがよみとれ,逆に社長のプロフィールや社長の行動は最:も成長度と 相関しにくいことが読みとれるように思われるのである。すなわち,売上高の 増減に直結しがちな企業環境・経営戦略・行動や,売上高以外の表面的な業績 要素が最も成長度との感応性が高く,社長のプロフィールや行動,社長の理念 ・意識,さらには社長のパーソナリティ・能力はそれらの背後に控えているこ とが明らかなようである。 つまり,かつてわれhれが指摘した企業環境,経営理念・意識,パーソナリ ティが社長行動,経営戦略・行動に影響を与え,それらが経営成果に反映して いく。とくに企業環境の場合は経営戦略により干渉されはするが,経営成果に
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 41 1) 直接働きもするといった一連の要因関係をかいまみることができるように思わ れるのである。 IX むすび 以上われわれは昭和から平成へ移行した環境激変期において,たまたま参画 しえた中小企業(経営者)調査をもとに成長要因,衰退要因をさまざまな視角 から明らかにしょうとしてきた。対象にした各種調査は,成長要因,衰退要因 を解明する上で,それぞれ次のような特徴をもっていた。 中部経営者調査は,成長度のグループ分けが実際の出荷額の伸び率を計算し 平均値と標準偏差を利用して統計的に4分類しているところに特徴がある。そ してサンプル企業自体は,その平均常用従業員数が299人で,しかもサンプル企 業の14.4%におよぶ300人以上の大企業を含んでおり,中部を代表する製造業の 9業種に限定されたという特質をもっている。 愛知経営者調査は,成長度のグループ分けは最近5年間の売上高推移につい ての列挙項目(急増,漸増,ジグザグ上昇,山型横ばい,横ばい,谷型横ばい, ジグザグ下降,漸減,急減)からの経営者の選択に基づいてなされているとこ ろに特徴がある。サンプル企業はすべて中小企業で製造業に限らずサービス業 も商業も含んでいる。 東京経営者調査,大阪経営者調査は,成長度のグループ分けは愛知経営者調 査とほぼ同様,最:近5年間の売上高推移についての列挙項目(急増,漸増,ジ グザグ上昇,横ばい,減少)からの経営者の選択に基づいてなされている。サ ンプル企業も愛知経営者調査と同様,各業種を含む中小企業である。調査項目 は愛知経営者調査に含まれたものがかなりカットされ,別の項目が一部含まれ ている。東京経営者調査と大阪経営者調査は対象地域が違うことと,大阪経営 者調査で減少企業のサンプル数があまりに少なかったがゆえに,むしろ数の上 では上回る横ばい企業も含めて横ばい・減少企業とした点に違いがあるが,そ 1)拙稿「産業構造転換下の高成長中堅・中小企業社長の実態と特徴」『彦根論叢』255・256 号,平成元年1月,188頁参照のこと。
の他の点ではすべて同様である。そして両者ともサンプル数の小ささが調査結 果に限界を与えている点は注意が必要であろう。 長期永続企業調査は,成長度のグループ分けが4年前の売上高と比べた増加 率についての列挙項目(減少,0∼10%未満,10∼20%未満,20∼30%未満, 30∼50%未満,50∼100%未満,100∼200%未満,200%以上増加)からの経営 者の選択に基づいてなされているところに特徴がある。そしてサンプル企業は 皆創業後60年以上存続してきた製造業であるところに特色がある。 愛知高・低業績調査は,その対象サンプルを愛知経営者調査のサンプルの中 から,最:近5年間の売上高の推移だけでなく,経常利益推移,社長になって会 社の業績,最新の経常利益額など他の業績指標も加味し,業種,従業員規模, 創業年次,企業特性を近似させて対照性を高め,厳選しているところに特徴が ある。しかも創業経営者の企業にまとをしぼった点にも独自性がある。 こうしてそれぞれにユニークさをもつ中小企業(経営者)調査に分析を加え てみて,われわれはつぎの諸点を指摘し明らかにしえたと思われる。 (1)愛知県,岐阜県,三重県,石川県,富山県の中小製造業(一部大企業を含 む)の成長要因,衰退要因 ② 愛知県の中小企業の成長要因,衰退要因 (3)東京都の中小企業の成長要因,衰退要因 (4)大阪府の中小企業の成長要因,衰退要因 (5)60年以上存続し続けてきた長期永続型中小製造業の成長要因,衰退要因 (6)愛知県の典型的な高業績企業と低業績企業とを分けた要因としての成長要 因,衰退要因 ⑦ 各種調査を総合的にながめてみて浮かび上がった成長要因,衰退要因 (8)逆に各種調査を通じて浮き彫りになった成長や衰退とは無関係な要因 (9)各種調査を通じて描き出される高成長企業の典型像をまとめてみると,現 在の環境変化に対応し,主要事業・製品のライフサイクルが中期成長期にあ る若い,各種業績指標のよい企業で,経営者は若々しさと決断力を誇り,海 外・東京出張をいとわず,長時間労働も辞さぬ行動力と積極性あふれる経営
環境激変下の中小企業の成長要因・衰退要因(2・完) 43 者の企業で,社長になって会社の業績は大いに上ったとする。頭首トロニク ス機器の導入,人材の育成・確保など合理化・近代化をおしすすめ,成長(規 模拡大)にひたむきな企業といえよう。 ⑩ 低成長企業の典型像をまとめてみると,環境変化が不利に働く,製造業で, 古くて,零細規模で,主要事業・製品のライフサイクルが成熟期・衰退期に ある各種業績指標が劣弱な企業である。社長は創業者の子供で高齢化し,健 康,意欲を強く意識し行動が伴わず,社長中心の意思決定をし,商社・二面 存で主力商品の販売不振に悩み,社長になって会社の業績はほとんど変わら ないとし,自分かぎりと考えるなど将来に展望を欠く企業ではあるが,人間 尊重など成長以外へは気配りをしている企業といえよう。 ⑳ 業績の対照性とそれ以外の条件の近似性を高めたときに,高業績グループ と低業績グループのさまざまな差異があぶり出されてきたこと,すなわちそ れぞれの特徴がよりシャープに浮かび上がってきたとの指摘は重要であろう。 働 多くの調査結果で,そして総合的に観察して,数年間の売上高の伸びをも とに高成長,低成長のグループ分けをして成長要因,衰退要因を指摘してき ただけに,企業業績が最も相関性が高かったこと,売上高に直結しがちな企 業環境ならびに経営戦略・行動も,たとえば消費者ニーズの多様化の影響・ 販売ルート,も関連性が強く,逆に,一般的な経営者行動やパーソナリティ ・能力ではごく一部を除いて相関性はあまり浮かび上がってこなかったこと。 (13)成長要因,衰退要因を指摘する過程を通じて,いわゆるx2検定によちなく ても,全サンプルの構成比と比べた高成長グループないし低成長グループの 構成比をみて目立ったものをとり出す方法の有用性が指摘できたこと。 以上のように,環境激変下におけるいくつかの中小企業調査をもとに,成長 要因ならびに衰退要因を,とくに社長のパーソナリティや行動までも含めて, 実証的に探り出し指摘しえたことはこれまでほとんどなされてこなかっただけ に,本稿のささやかな成果だったと思われる。また,その過程を通じてさまざ まな興味ある事実が明らかにされ,企業経営上のヒントになった諸点も少なく ないと思われる。
44 彦根論叢第275号 しかしながら,全企業,高成長企業,低成長企業のウエイトの相対的比較に より成長要因,衰退要因を指摘してきただけに,サンプル数の違いからくる偏 差や,業種,規模,企業のライフサイクル段階の影響が入り込むといった要素 があって結論づけて述べるにはまだ分析不足の感は否めない。成長度にしても, 売上高の高成長,急増,低成長,減少等で代表させたが,漸増やジグザグ上昇 を考慮に入れたら結論はまた変わってこようし,経常利益やほかの指標ならど うか検討して行く必要はあろう。 そしてなによりもたまたま参画しえた調査データを利用したにすぎないから, 成長要因,衰退要因の指摘に総合性,客観性が欠けていたことは否めない。と りわけ,各種調査票のアンケート項目は主に経営者に関連する項目が中心にな っているので,労務生産,販売,財務などの具体的項目に関しての成長要因, 衰退要因が十分に示され.ていない嫌いがある。したがってさらにパーソナリテ ィ・能力,経営理念・意識,経営者行動,企業環境,経営戦略・行動,経営成 果の相互の詳しい関係にメスを入れ理論化していくことはほとんど不可能であ ったことも指摘しておかねばならない。これらの調査・解明はわれわれに残さ れた今後の重要な課題であろう。