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ベンチャービジネスにおける提携戦略:
その影響要因の分析
黒 川 晋 1.はじめに 技術革新のスピードが加速度的に速くなり,消費者のニーズが多様化した結 果,製品のライフサイクルが一段と短くなった。このような状況で,如何に素 早く新技術を開発し,市場の変化に対応するかが企業の大きな現実的課題とな っている。この意味で,現在,提携戦略あるいはネットワーク戦略ということ が経営戦略における一つのキーワードとなっている感があるが,種々の文献を 見てみると,理論的かつ実証的にこの提携戦略に取り組んでいる研究は非常に 稀である。また,企業の種々の内部能力(例えば,研究開発能力,製造能力, 販売能力)と提携戦略との関係に言及した文献も数少ない。 本論文は日本の中小製造業において,内部能力と提携戦略との関係を明かに し,提携戦略に影響を与える種々の要因(例えば企業規模,企業の年齢,系列 関係等)を探索する。また提携戦略が企業の業績にどのような影響を及ぼすの かという点にも焦点をあてる。データーとしては,通産省の外郭団体である研 1) 究開発型企業育成センター(VEC)により収集されたものを使用した。 2.これまでの研究 この論文で提携戦略とは,他企業から種々の助力を得る方法,と考え,例え ば研究開発においては,ライセンス取得,研究開発委託,共同研究等を,製造 においては製造委託等を,販売では販売委託等を含むと考える。その他の形態 1)データの使用を許可頂いた,VEC専務理事の荒川氏,及び三菱総:合研究所の志築氏に 感謝する次第である。82 彦根論叢 第289号 としてはジョイント・ベンチャーも含み,また吸収合併も「究極の」提携戦略 と考える。 これまでの提携戦略の研究においては,企業の内部能力との関連で,それが 考慮されなければならない,ということが示唆されている。例えばTelesio (1979)は米国のハイテク産業においては,外部技術がクロスライセンスのよう
に,交換条件でのみ取得可能になってきたことを報告している。また
Rappaport&Halevi(1991)では米国で成功しているコンピューター関連企 業は,その高い内部の研究開発能力をベースに製造委託戦略を活発に用いてい る,と報告している。 理論的な研究では,Cohen&Levinthal(1990)は,「吸収能力(absorptive capacity)」という概念を提唱し,企業の外部能力獲得のための潜在的力量を評 価している。また,Sen&Rubenstein(1989)は,外部技術獲得における内部 の開発・評価能力を強調し,「統合的技術展開戦略」と呼ぶ理論を提唱してい る。 このように企業の内部能力と提携戦略との関係に言及した文献は少数ながら あるものの,内部能力と提携戦略との関係を明かにしようとした実証研究は以 下に述べる様に,矛盾した結果を示している。 例えば,Friedman et al.(1979)は企業の内部開発能力(研究開発費/売上 高で測定)が高いほど,ジョイント・ベンチャーの設立頻度が低いことを米国 のデータで示している。同じく米国のデータで,Link et al.(1983)も,内部開 発力が高いほど,企業はライセンス取得をしない傾向があることを実証してい る。 しかしながら,Wilson(1975)では,研究開発費/売上高比率の高い企業ほ ど,ライセンス取得をする傾向があることが報告され,また我々の日米のハイ テック企業を対象とした研究(黒川1993a)でも,内部開発力(技術者/全従 業員比率で測定)の高い企業ほど,日米共に,より外部の技術獲得をする傾向 のあることが示された。 内部能力と提携戦略との関係に関して,理論的に見ても,たぶん,2つの対ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 83 立的な観点があるだろう。資源依存アプローチ(Pfeffer&Salancik 1974, Pfeffer 1985)によると,組織はその生存のために,外部資源に依存している。 しかしながら組織はこのような依存を最小限にしょうと努力する。特に,組織 が高い内部の能力を持つときは,そのような依存を最小限にするような心理的 圧力も大きいように思われる。例えば研究開発におけるNIH(Not lnvented Here)シンドロームに見られる様に,開発能力の高い組織ほど,その組織内で オリジナルに開発された技術を重視する傾向があるだろう。このように,資源 依存アプローチは企業,特に内部能力の高い企業が,外部資源獲得を避ける傾 向があり,内部での開発を重視する傾向があることを示唆する。 一方,取引コスト・アプローチによると,また別の視点になる。取引コスト ・アプローチによると,「不確実性」は「交換」を取り巻く状態の不確実さを示 し,不確実性が高い場合,その交換は市場よりもむしろ組織内で行われるとす る(Williamson 1975,1979)。しかしながら,不確実性の定義の一つの方法は 「企業によってすでに持たれた情報量と,タスクを遂行するのに必要な情報量 との差異」である(Galbraith 1977)。例えば,企業の研究開発能力が高い時(研 究開発部門によって持たれた情報量が多いとき),企業は研究開発に関して,よ り不確実性を少なく認識するであろう。従って,取引コスト・アプローチによ ると,開発能力の高い場合,企業は内部開発内部(組織)より,むしろ外部能 力獲得(市場)を選択する傾向がある,と推測することができる。即ち,内部 能力と提携戦略との関係に関して,取引コストアプローチと資源依存アプロー チとは相反する観点を示しているといえる。 本論文では以上の議論を踏まえ,VECにより日本の中小製造業から収集さ れたデーターを用いて,内部能力と提携戦略との関係を明かにし,提携戦略に 影響を与える種々の要因を探索する。 3.対象企業 VECは1983年頃り毎年,ベンチャービジネスにおける経営戦略,組織財 務企業家精神等をカバーするアンケート調査を実施してきた。それは1990年
84 彦根論叢 第289号 度のもので166項目にも渡る質問を含んだ調査であるが,これまでは,主に記述 的な目的にのみ利用されてきた。我々はVEC及びアンケート調査の委託先で ある三菱総研の許可を得,1990年度の「ベンチャービジネス動向調査」のデー ターを使用した。1990年の秋に,調査票がVECの融資先企業を中心とした中 小企業5000社に発送され,611の企業から回答があった(回収率12.2%)。 これらの611の企業から,我々は従業員20人以下,及び従業員500人以上の企 業を除外した。これは,20人以下の従業員数の企業ではその企業の業績を観察 するのは難しいように思われ,また500人以上の従業員数の企業はベンチャービ ジネスというよりも,中堅企業と思われたからである。また,我々は食品,印 刷,コンピューター・ソフトウェアに属する企業もデータの首尾一貫性を考慮 し,分析の対象外とした。このようにして,最終的には回答のあった611社から 337社を選択した。これら企業の産業分類は,電気・電子(26.4%),機械(19.3 %)金属(15.4%),精密機械(9.2%),紙・パルプ(7.1%),繊維(6.5%), 輸送機械(6.5%),化学薬品(6.2%),ガラス・陶器(3.3%)である。これら 企業の平均従業員数は113人であり,1989年度で,一社当りの平均売上高は28億 3千万円であった。 4.測定 VECの質問票から次の5つの質問項目を提携戦略の変数として扱った。 (1)製品技術の獲得:主力製品の製品技術に関しての4ポイント尺度の質 問項目(1=全くの自社開発努力によるの研究開発;2=一部技術導 入;3=全面的に技術導入したが自社向けに改良;4=全くの技術士 入)。 (2)工程技術の獲得:主力製品の生産技術に関しての4ポイント尺度の質 問項目(1=全くの自社開発努力によるの研究開発;2=一部技術導 入;3;全面的に技術導入したが自社向けに改良;4=全くの技術導 入)。 (3)製造委託:0=自社内に製造部門を持つ場合,1二自社内に製造部門を
ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 85 持たない場合。 (4)販売委託:0=自社内に販売部門を持つ場合,1=自社内に販売部門を 持たない場合。 (5)OEM:売上げに占めるOEMの比率(0−100%)。 製造委託,販売委託に関しては製造,或は販売部門を自社内に持たない場合 は製造・販売委託をおこなっていると考えた。尚,これらの5変数はすべてそ の値が大きいほど,外部依存度が大きい,即ち,提携戦略の程度が高い,と考 えた。 次にこれらの提携に影響を与える要因として以下の様に,3つの内部能力変 数(研究開発能力,製造能力,販売能力),5つのコンテクスト変数(系列,企 業規模,企業の年齢,ハイテク産業,組立て産業),そして5つの戦略変数(創 業者,革新性,多角化度,海外戦略,株式公開)を採用した。コンテクスト変 数は企業の客観的状況を説明するものとして,戦略変数は経営者が主観的に選 択可能な部分が多い変数,という意味で採用された。各変数の定義は以下のよ うである。 内部能力 (1)研究開発能力:(主力製品の製品技術の水準に関して同業他社と比較し た5ポイント尺度の質問項目)1=非常に劣っている;2=劣ってい る;3=同程度;4=優れている;5=非常に優れている。 (2)製造能力:(主力製品の生産技術の水準に関して同業他社と比較した5 ポイント尺度の質問項目)1=非常に劣っている;2=劣っている;3 =同程度;4=優れている;5=非常に優れている。 (3)販売能力:(主力製品の販売の水準に関して同業他社と比較した5ポイ ント尺度の質問項目)1;非常に劣っている;2=劣っている;3=同 程度;4=優れている;5=非常に優れている。 コンテクスト変数 (1)系列:0=資本系列関係にあるもしくは取引関係において固定的な特
86 彦根論叢 第289号 定の大口顧客の占める割合が大きいといったいわゆる「親会社」を持た ない場合;1=「親会社」を持つ場’合。 (2)企業規模:従業員数によって測定された。 (3)企業の年齢:(会社設立後の年数)1=5年未満;2=6年から10年ま で;3=11年から15年まで;4=16年から25年まで;5=26年から35 年まで;6=36年以上 (4)ハイテク産業:0=機械,金属,紙・パルプ,繊維,輸送機械,ガラス ・陶器に属する企業;1=電気・電子,精密機械,化学薬品に属する企 業。 (5)組立て産業:0=金属,紙・パルプ,繊維,化学薬品,蹴ラス・陶器に 属する企業;1=電気・電子,機械,精密機械,輸送機械に属する企 業。 戦略変数 (1)創業者:(社長が創業者か否か)0=創業者でない場合;1=創業者で ある場合。 (2)革新性:(新製品開発における革新性):1=革新的な製品の開発には 特に重点を置いていない;2 ・= mp々の既存技術・ノウハウをシステム化 することによって革新性を出す;3;既存技術・ノウハウと先発的な技 術・ノウハウとを結合することによって革新性を出す;4=先端的な技 術・ノウハウを駆使して革新性を出す。 (3)多角化度:(ここ1∼2年ほどの間に事業内容・構造の転換に関してど のような対応をとったかに関して)0=既存の事業内容・構造の転換は 特に行っていない;1=本業内部で新たな市場を開拓;2=主力事業 は変わらないが,本業に付帯・関連する事業への多角化を図る;3=主 力事業は変わらないが,本業とは全く異なる事業への多角化を図る;4 =本業に付帯・関連する新規事業分野に主力事業を転換;5=本業とは 全く異なる新規事業分野に主力事業を転換。 (4)海外戦略:0=海外進出は行っていない;1=国内商社等を通しての
ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 87 輸出;2=現地企業と何らかの協力関係を確立(販売提携,生産委託, 合弁会社設立,等);3=現地に独自で進出(販売子会社や生産子会社 の設立,等)。 (5)株式公開:(10年以内での株式公開の計画):0=ない時;1;ある時 5.分析結果 ここでは,まず単純平均および相関行列の結果を検討し,次に種々の提携戦 略にどのような要因が影響を与えているかを回帰分析を通して検討する。最後 に定義された変数と企業業績との関係を検討する。 5.1 記述統計および相関行列 定義されたすべて変数の記述統計とそれら変数問の相関行列は表1に示され ている。まず平均値を見ていくと以下のようになる。 製品技術の獲得は平均1.54であり,製造工程技術の獲得は1.56であり,これ らの結果は対象企業が,部分的にその技術を外部のソースに依存していること を示している。また,製造委託の平均のスコアがO.03,販売委託が0.2である。 これは対象企業の3%が製造部門を,20%が販売部門も持たないことを示して いる。またOEMの比率は24.8%であり,対象企業における販売の約四分一が, 他企業とのなんらかの,長期的取引関係にあると推測される。 表1はまた研究開発能力,及び製造能力の平均値が,それぞれ3.72および3. 42であり,販売能力が2.99であることを示している。これはライバルと比較し た時,自社の販売能力を研究開発能力,製造能力ほどには評価していないとい うことを示している。また「系列」の平均値は0.33であり,31%の企業が親会 社を持つことを示している。中小企業白書(1991)によると,日本の55%の中 小企業が親会社を持つということであるので,対象企業は比較的,独立したタ イプが多いと言えよう。また対象企業の平均年齢は表1より4.81であるので, 換算すると約28年になる。「ハイテクー1と「組立」の平均値より,対象企業の42 %がハイテック産業に属し,61%が組立て産業に属していることも平均値から
第289号 彦根論叢 88 暮HO。っ.茸骨三N 算卜㊤一. ,ーゴ,,⋮,、繊: 脅﹄,う一. 静。っ m一 D 嵩曽 L勲,←− 骨=H. ゆ。。 n. N一 Z. 軸爲一. 胃管。っコ. 茸α。㊤一. N8. N㊤ n. 管6う @O 三 〇っ一 骨骨O。う一. 尊O耳. 曽卜 優﹄雪. ら一一. ︵蝦鰹翼置︶80.﹀β尊 昌O,vα震 =㊤き.軸糞寸曾.− おO.−=骨欝N. 80.﹂曇り圏. 80.− :鴎雪.算もOぐ =曽。う守 旧O雪− =も鶉.− OO n。 │ =躇肖.− のN
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1 1一 ︵園癬︶ 麟鰹ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 89 理解できる。 更に,表1の戦略変数の平均値から,対象となった企業の43%が創業者社長 に率いられ,多角化戦略,海外戦略をある程度重視し,またその22%が10年以 内の株式公開を考えている,ということが分かる。 詳しくは次の回帰分析で検討されるが,相関行列に目を移してみると,提携 戦略に関する5つの変数(製品技術獲得,工程技術獲得,製造委託,販売委託, OEM)の間には比較的高い相関が見られ,様々な提携戦略が相互にからみ合 っている可能性を示唆する。また,13の独立変数(3つの内部能力変数,5つ のコンテクスト変数,5つの戦略変数)の間には目立って大きな相関は見られ ず,以下での回帰分析における多重共線性の問題は少ないと考えられよう。 5.2 回帰分析 本論文の目的は,提携戦略にどの様な要因が影響を与えているかを検討する ことにあるが,まず,5つの提携戦略を従属変数とし,企業の内部能力および コンテクスト要因を独立変数とする回帰分析を行う。次に,これらの独立変数 に5つの戦略変数(創業者,革新性,多角化度,海外戦略,株式公開)を追加 して,それらの説明力を検討する。 5.2.1 企業の内部能力・コンテクスト要因と提携戦略との関係 5つの提携戦略を,企業の内部能力およびコンテクスト要因でどの程度を説 明できるかを,重回帰分析で分析を試みたが,その結果は表2の奇数列(1, 3,5,7,9列)に示されている。 まず表2の第1列を見ると,製品技術獲得の提携戦略と研究開発の能力の間 のベータ係数は有意にマイナス(一.208)であり,この結果は「補足的な仮説」 の正当性を示唆している。即ち,内部の研究開発能力が高いほど,外部の能力 獲得は低い。(あるいは,低い内部能力が低いほど,外部能力獲得の程度は高い。) また第1列は「系列」が有意にプラスのベータ係数(.288)を持つことを明 らかにしている。これは親企業を持つ企業ほど,その製品技術を外部に頼る傾
90 彦根論叢 第289号 表2 製品技術 工程技術 獲得 獲得 (例) 1 2 3 4 研究開発能カー.208“’*一.162’” 製造能カ 一,067 販売能力 系列 .288i,* .235*** 規模 .090 .122 年齢 一.054 一.112 ハイテク 一.054 一.014 組立 一.086 一.067 創業者 一.060 革新性 一.179*** 多角化 一.008 海外戦略 一t.122* 株式公開 一.002 R2(調整済み) .146 .181 数値は各独立変数の標準化回帰係数 .回帰分析 製造委託 販売委託 OEM 5 6 7 8 9 10 一,069 一.002一 一.OOI .225**寧 .187寧串串 .084 ,018 .140 一.le4* 一,036 一,e89 一.le7* 一.022 .Oe5 .033 一.237串庫* 一.226**零 一.052 一.089 一,180*** 一.OOI 一.073 .027 .087 .114 .020 *p〈.05i
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一.218’** 一.128*一.112 .098
一.072 .026
一,007 一.091 .161 .067 .089 (両側検定)ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 91 向があることを意味している。また第1列は企業規模,企業の年齢,ハイテク 産業か否か,組立て産業か否か,というような変数が,ほとんど製品技術の獲 得に重要な影響を持たなかったことをも示している。 次に表2の第3列を見ると,「系列」は「工程技術の獲得」に関して有意に正 の関係(.225)を示している。これは系列下の企業がその製造工程の技術を親 企業に頼る傾向があることを示唆する。また「組立」が高い負のベータ係数 (一,237)を持つことも示しており,これは非「組立」産業に属する企業にお いては,その技術特性から,組立産業と比較しその技術移転がより簡単なこと が理由なのかも知れない(黒川1992)。 また第5列では,「製造委託」が「企業規模」および「企業年齢」と有意に負 2)の関連を持つことを示している(一一.104と一.107)。これは若くて小さい企業が 製造部門も持たない傾向があることを意味している。Rappaport&Halevi (1991)が言う「ファブレス(fabless)」が,日本の中小企業の一つの有効な戦 略になりつつあるように思われる。 第7列を見ると,「販売委託」は「販売能力」と有意に負の関係(一.097)を 示しており,この結果は「補足的な仮説」の正当性を示唆している。また「販 売委託」が「企業規模」と有意に負の関連(一.179)を,「系列」と有意に正の 関連(.235)を持つことを示している。これは小さい系列下にある企業が販売 部門も持たない傾向があることを意味している。 表2の第9列では「系列」が「OEM」に関して有意に正の関係(.206)を 示しており,系列下にある企業がOEMを行う傾向があることを示唆している。 また「組立」が有意の負のベータ係数(一.200)を示しているが,これは非組 立産業がOEMを経営慣行として用いる傾向がある,という以外に論理的な理 由はないように思われる。 以上5つの回帰分析を要約すると,これらの分析は「補完的な仮説」を支持 2)製造委託,販売委託の回帰分析においてはvジット分析及びプロビット分析も用いられ たが,それらの結果は表2と大差はなかった。他の列との首尾一貫性を保つ為にも,ここ では通常の回帰分析の結果のみを報告する。
92 彦根論叢 第289号 していると言えよう。「製品技術の獲得」と「販売委託」に関して有意に:負の関 係が見られたし,また「OEM」を除いて,全ての回帰分析において内部能力 と外部能力獲得との間には負の関係が見られた。また,これらの分析結果は外 部能力獲得において,「系列」の影響力の大きなことを示唆した。5つの回帰分 析のうち,4つの分析で「系列」と外部能力獲得の間に統計的に有意な正の関 係を示したのである。 更に,これら5つの回帰分析全体を通じて言えるのは,決定係数(R2)の値 が非常に小さいという点である(第1列14.6%,第3列8.7%,第5列2.0 %,第7列9.1%,第9列6.7%)。このことは,提携戦略の分散の変動のう ち,内部能力およびコンテクスト要因という要因によって説明される部分があ まり大きくないことを示している。この分析結果は,いかなる提携戦略が追求 されるかは,単に企業の内部能力やコンテクスト要因のみによって決定される のではなく,かなりの部分が企業の経営者の戦略的意思決定に委ねられている かもしれないという可能性を示唆するものであろう。 5.2.2 戦略変数の追加による回帰分析 次に,上記の可能性を検討する為に,上記の5つの回旧式に,5つの戦略変 数(創業者,革新性,多角化度,海外戦略,株式公開)を独立変数として追加 し,それらの説明力を検討した。分析結果は同じく表2の偶数列(2,4,6, 8,10列)に示されている。 まず,どれだけこれら5つの戦略変数が提携戦略の分散の説明に寄与したか を,奇数列から偶数列への決定係数の変化で見てみる。5つの提携変数に関し て,「製品技術獲得」は14.6%から18.1%へ,「工程技術獲得」は8.7%から11.4% へ,「製造委託」は2.0%から2.5%へ,「販売委託」は9.1%から16.1%へ,「O EM」は6.7%から8.9%へと変化している。確かに5つの戦略変数の追加によ り説明力は増したものの,その増加の割合は大きくないと判断できるであろう。 即ち,内部能力,コンテクスト変数に,更に5つの戦略変数を加えても,企業 の採用する提携戦略を説明する力はそう大きくない,と言えるだろう。
ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 93 次に,個々の戦略変数に焦点を当ててみると,統計的に有意なものは表2の 偶数列を見ると,「製晶技術獲得」,「工程技術獲得」,「販売委託」および「OE M」における「革新性」と,「製品技術獲得」における「海外戦略」である。即 ち,企業が新製品開発において,より革新性を強調するほど,製品技術獲得, 工程技術獲得,販売委託やOEMといった提携は採用しない傾向がある,とい う結果で,また,海外戦略を重視するほど,企業は製品技術獲戦略を用いない 傾向がある,という結果である。また,他の戦略変数,「創業者」,「多角化度」 および「株式公開」の3つの変数は提携戦略に統計的に有意な影響を与えてい ない結果となった。これらの理由としては,後述するように,提携戦略の定義 ・測定の問題が大きいと考えられる。 5.3 定義された変数と経営成果との関係について 本研究のもう1つの大きな目的は,提携戦略と経営成果の関係を検討するこ とにある。そこで,経営成果の変数として,(1)売上高成長率と(2)従業員1 人当り売上高,の2つの業績指標を採用して,これを検討する。具体的には, 1987年度から1990年度の4年間におけるそれぞれの指標の平均値をもって測定 した。従業員1人当り売上高の平均は2,438万円で,売上高成長率の平均は 12.3%であった。 実際の分析にあたっては,調査対象企業をそれぞれの業績指標の中央値(売 上高成長率10%,一人当り売上高2,100万円)により2質し,上位グループを高 成果企業群,下位グループを低成果企業群として,2つのグループ間での,提 携戦略の相違を検証するという方法(t検定)を用いた。分析結果は表3に示 されるとおりである。左側2列に売上高成長率による2分(高成長グループ, 低成長グループ),右側2列に,従業貝1人当り売上高の2分(高生産性グルー プ,低生産グループ)を配置した。 まず,売上高成長率の高低により2益したt検定の結果であるが,「製品技術 獲得」に関して,高成果企業群と低成果企業群との間で提携戦略が有意に異な っていた。すなわち,製品技術をより内部化する企業ほど,売上高成長率が高
94 彦根論叢 第289号 表3.定義された変数と成果 従属変数 製品技術獲得 工程技術獲得 製造委託 販売委託
OEM
独立変数 研究開発能力 製造能力 販売能力 系列 規模 年齢 ハイテク 組立 創業者 革新性 多角化 海外戦略 株式公開 高成長 グループ (N=144) 1.45* (O.79) 1.55 (O.84) O.05* (O.22) O.18 (O.38) 24.66 (32.23) 3.81料 (e.71) 3.52** (O.79) 2.99 (O.93) O.34 (O.47) 110.75 (88.71) 4.60*** (1.17) O.42 (O.50) O.68* (O.47) O.51* (O.50> 2.50 (O.82) 2.17 (2.29) O.99 (1.44) O.32*** (O.47) 低成長 グループ (N=142) 1.63 (O.80) 1.57 (O.72) O.Ol (O.09) O.20 (O.40) 23.71 (32.00) 3.62 (O.83) 3.31 (O.81) 2.97 (O.90) O.30 (O.46) 121.43 (105.25) 5.07 (1.04) O.46 (O.50) O.56 (O.50) O.38 (O.49) 2.52 (O.87) 2.20 (2.15) O.94 (1.22) O.16 (O.37) 高生産性 グループ (N= 165) 1.51 (O.74) 1.55 (O.75) O.04 (O.19) O.13** (O.34) 24.40 (33.32) 3.83** (O.77) 3.47 (O.76) 3.05 (O.91) O.29 (O.46) 120.52 (90.98) 4.89 (1.08) O.40 (O.49) O.60 (O.49) O.41 (O.49) 2.59 (O.77) 2.06 (2.22) 1.29*** (1.54) O.33*** (O.47) 低生産性 グループ (N=164) 1.54 (O.82) 1.55 (O.75) O.03 (O.16) O.27 (O.44) 24.97 (31.43) 3.60 (O.74) 3.37 (O.86) 2.93 (O.91) O.36 (O.48) 107.77 (101.74) 4.71 (1.29) O.44 (O.50) O.62 (O.49) O.43 (O.50) 2.49 (O.89) 2.15 (2.10) O.70 (1.05) O.16 (O.37) 数値は各グループの平均値,括弧内の数値は標準偏差を示す。「*」印は丁値の有意水準を示 す: *p<0.05; **p<0.01; ”’pくO.OO1(両側検:定)ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 95 い結果となった。 また表3の左2列は,製造部門を持たない企業は,それを持つ企業よりも,. 売上高成長率が高いことを示している。しかしながらこの点は注意を要する。 即ち,上述したように,若くて小さい企業は製造部門を持たない傾向があるこ とを指摘したが,ここでの結果は小企業の高い成長性を示すのに他ならないか も知れないからである。 表3の左列は更に,「研究開発能力」「製造能力」「企業の年齢」「組立産業」 「創業者」「株式公開」に関して,2っの企業グループ間で成長性が有意に異な ることを示している。即ち,組立産業に属し,高い研究開発・製造能力があり, 企業が若く,創業者に率いられ,株式公開意欲の高い企業は,そうでない企業 と比べ成長性が高いのである。この点は詳細な説明を要しないであろう。 次に,従業員1人当り売上高の高低により企業を高生産性企業群と低生産性 企業群とに2分し,提携戦略が2つのグループ間で異なるか否かを見てみる(表 3右2列)。t検定の結果,「販売委託」に関して,2つの企業グループ間で提 携の程度が有意に異なることが分かる。すなわち,販売部門を持つ企業は販売 部門を持たない企業よりも,従業員1人当り売上高が高い,即ち従業員生産性 が高い結果が出ている。表3の右2列はまた,研究開発能力が高く,海外戦略 を重視し,株式公開意欲の高い企業が,そうでない企業と比べ,その生産性が 高いことを示している。 6.議論 我々はVECによって収集された日本の製造中小企業のデータによって,内 部能力と提携戦略(外部能力獲得)との間の関係を検証した。我々の分析結果 は一般的に[補足的な視点」を支持するように思われた。内部能力の豊富な企 業は,外部能力を獲得する必要は少ないし,内部能力に乏しい企業は,その能 力を補足するために(別な能力と交換条件で),外部能力を獲得する必要にせま られる,と言えよう。 しかしながら,何故補足的な視点が支持されたのであろうか? その主な理
96 彦根論叢 第289号 由は測定の問題にあると考えられる。今回VECの質問項目の中で使用した提 携戦略の5つの変数一製品技術獲得,工程技術獲得,製造委託,販売委託, OEIM の質問のニュアンスは,親会社との関係を暗黙の前提としたものと 思われる。そういう意味でこれらの質問項目は非常に受動的,或は消極的な戦 略提携のみに焦点があったと思われる。例えば,吸収合併や,資本供与(少数 派投資)といった,いわば積極的な提携戦略は明示的に含まれていない。 我々の日米のハイテック企業の調査では,技術的提携戦略(たとえばライセ ス取得,共同研究等)のみに限ったものであるが,提携には依存型と独立型の 2つのタイプがあることを示唆している(黒川1993a)。ここで「依存型」提携 戦略とは重要な資源を外部に依存しようとするもので,例えばライセンス取得, 大企業との共同研究などを含み,また「独立型」提携戦略とは自社の独自性を 更に強めようとするもので,例えば大学との共同研究,技術力・製造力を目的 とした吸収合併や資本供与,ジョイント・ベンチャーなどである。我々の分析 では更に,「依存型」提携戦略は企業業績にマイナスに,「独立型」提携戦略は 3) 企業業績にプラスに働いている,という結果になっている。 今回の研究では技術的提携戦略のみでなく,製造や販売に関しても,依存型 と独立型の2つのタイプがあることを示唆しているのかも知れない。即ち,今 回のデータにおける提携は「依存型」の側面が大きく,依存型提携に関しては 「補足的な視点」が妥当であった,即ち内部能力が少ないほど,依存型戦略を 追求する傾向がある,と。しかしながら「独立型」提携においては,別の視点 が妥当するのかも知れない。即ち,内部能力が豊富だと,より独立型提携を採 用する傾向にある,と。提携戦略に影響を与えるその他の要因で,「系列」の影 3)我々の調査からはまた,以下の2つの点も明らかになっている:(1)技術的提携戦略に 限って見ると,会社設立以来おこなった技術提携戦略の頻度に影響を与えているのは,内 部墨型(技術者/全従業員数で測定)であり,会社の規模(従業員数で測定),企業の年 齢轍立後の年数),及び,システム・ハウス的企業かどうか,という点は影響を与えてい ない;(2)業績(売上高と,売上高の成長率,で測定)の高い企業は,内部開発力と技術 的提携戦略とのバランスを計っている企業であった。即ち,提携を頻繁に行う(あるいは 全く行わない)企業が業績が高いのではなくて,内部の技術能力に適合した提携戦略の採 用が高業績につながっていた(黒川1993a,1993b参照)。
ベンチャービジネスにおける提携戦略:その影響要因の分析 97 響力の大きかったこと,また提携戦略と経営成果との関連で,製品技術獲得を 行う企業の方が成長率が低いという結果になったことも,依存型提携というこ とから生じたのかも知れない。 図1は,内部能力,外部能力獲得および企業業績の問の関係を例示した我々 のモデルを表している。心中で,「+」は2つの概念間の関係が正であり,「一」 はその関係が負であることを示している: 図1.内部能力,外部能力獲得,経営成果との関係 (+) 独立的 外部能力獲得 (+) 内部能力 経営成果 (一) 従属的 外部能力獲得 (一) (+) (1)企業の内部能力が高いほど,その企業は独立的な外部能力獲得を追求す るであろう。そのことはまたは企業に高い業績をもたらすであろう; (2)企業の内部能力が高いほど,その企業は従属的な外部能力獲得を追求し ないであろう。そのことはまたは企業に高い業績をもたらすであろう; (3)企業の内部能力が低いほど,その企業は従属的な外部能力獲得を追求す るであろう。そのことはまたは企業に低い業績をもたらすであろう; (4)企業の内部能力が低いほど,その企業は独立的な外部能力獲得を追求し ないであろう。そのことはまたは企業に低い業績をもたらすであろう; (5>企業の業績が高いほど,その企業はより高い内部能力を蓄積するであろ う。それはまた企業に独立的な外部能力獲得に向かわせるであろう。(好 循環); (6)企業の業績が低いほど,その企業は内部能力を衰弱させるであろう。そ れはまた企業に従属的な外部能力獲得に向かわせるであろう。(悪循
98 彦根論叢 第289号 環)。 従って,今回のデータは図1で,内部能力から独立的外部能力獲得へのルー トよりむしろ,内部能力から従属的外部能力獲得へのルートを示唆しているの であろう。従属型の提携戦略は短期的視点からは魅力的かも知れない。しかし ながら,その企業のコアとなる資源を外部に依存することは,長期的な企業の 生存を危険にさらすことになる。米国の調査でも,業績の悪い企業が短期的視 4) 点から外部資源を獲得する事に奔走する傾向があることを指摘している。しか しながら,最先端にある企業は外部資源で内部能力を高めるのであって,決し てそれのみに依存するのではない。 上述したように,独自の販売部門を持つ企業は,そうでない企業よりも一人 当りの生産性が高く,また独自の製造部門を持たない企業は,製造部門を持つ 企業よりも成長率が高かった。これらの結果に対する一つの解釈は,研究開発 型の企業にとって,製造委託は「独立的提携」であり,他方,販売委託は,研 究開発型企業にとって,貴重な経営資源である「ユーザーの声」を他の組織に 依存する,という意味で,「従属的提携」なのかも知れないことである。 我々はまた,この論文において,提携戦略に影響を与える要因として出来る だけ客観的なコンテクスト要因(例えば,規模,企業の年齢,産業)を考えた が,これらの要因による説明力は弱いものであったと言えよう。また種々の戦 略変数を追加することによっても,その説明力は弱いものであった。この理由 としては以下の点が考えられよう。まず,いかなる提携戦略が追求されるかは, 単に企業の内部能力やコンテクスト要因のみによって決定されるのではなく, かなりの部分が企業の経営者の戦略的意思決定に委ねられており,それは今回 採用した5つの戦略変数以外の要因なのかも知れない点である。経営戦略には, 例えば,多角化戦略,国際化戦略等,種々の領域があると考えられるが,提携 戦略はより経営者の独自性が出る領域なのかも知れない。次に,製造提携,販 売提携の定義・測定に見られるうようにその分散に偏りがある等の測定上の問 題があること。また,そもそも提携戦略に限らず,「効果的な戦略」というもの 4)Arthur D. Little, Inc.(1981)参照。
ベンチャービジネスにおける提携戦略二その影響要因の分析 99 はユニークであるが故に,そもそも統計分析に馴染まないのかも知れない点, 等である。 7.結論と含意 本論文は日本の中小製造業における提携戦略に影響を与える要因をVECの データーの分析から探索したが,以下の4点が示唆されたといえる。 (1)種々の提携戦略の間には相互関連があるようである。 (2)高い内部能力を持つ企業ほど,提携戦略を追求しない傾向があった。(反 対に,内部能力が低いほど,提携戦略を追求する傾向があった。) (3)親企業との関係(系列)は提携戦略に影響を与える最も顕著な要因であ つた。 (4)しかしながら,提携戦略の大部分は経営者の自由裁量に任されているよ うに思われた。 (5)提携戦略には「独立型」と「従属型」の2種類があるようであり,独立 型は経営成果にプラスに従属型は経営成果にマイナスの影響があるよう であった。 最:後に,本論文が中小企業の経営に対して持つ実践的含意を,以下の4点に 要約して終えたい。 (1)提携戦略の大部分は経営者の自由裁量に任されているように考えられる ので,経営者の提携戦略におけるスキル(技能)が開発されなければな らない。 (2)提携戦略の計画・実施に際しては,内部能力とのバランスが考えられな ければならない。 (3)経営者は重要な内部資源を外部に依存してはならなv㌔外部資源を戦略 的に有効活用しなければならない。 (4)経営者は提携戦略を長期的視点から策定,実施しなければならない。
100 彦根論叢 第289号 参 考 文 献 Arthur D. Little, lnc. (1981) “The Strategic Management of Technology” mimeo Cohen and Levinthal (1990) “Absorptive Capacity : A new perspective on learning and innovation”, Administrative Science Quarterly, (35) : 128−152 中小企業庁編(1991)「中小企業白書」大蔵省印刷局 Friedman, P., Berg, S, V. and Duncan, J. (1979) “External vs. lnternal Knowledge Acquisition:Joint venture activity and R&D intensity,”ノbumal of Economics and Business, 31 (2) : 103−110 Galbraith, J. R. (1977) Organixation Design, Mass. : Addison−Wesley 研究開発型企業育成センター(1990)「ベンチャービジネス動向調査報告」研究開発型企業育 成センター刊 黒川 晋 (1992) In−hOZtse R&D versus External Technology Ac(iuisitions: Small Tech− nology−based Firms in the U. S. and JaPan, Ph. D. Thesis, Massachusetts lnstitute of Technology(滋賀大学経済学部研究双書第21号) 黒川晋(1993a)“The Relationship between lnterna正R&D Capabilities and External Technology Acquisitions : Small Technology−based Firrns in the U. S. and Japan,” il、島健児 (編) Innovation and、BusineSS∠bソnamism in JaPan and Korea (神戸大学経 済経営研究所刊)の5章:101−111 黒川 晋(1993b)「中小企業における提携戦略:滋賀県と京阪神における中小製造企業の実 態比較」中央経済社訓,現κ近江の企業家群像 第8章:11H23 Pfeffer, J. (1985) Organi2ations and Orzganization Theo2y, Pitman:Boston Pfeffer, J. and Slancik, G. R. (1974) “Organizational Decision Making as a Political Process : The case of a university budget,” Administrative Science Quarterly, 19 : 135 −151 Rappaport, A. S., and S. Halevi (199rtr) “The Computerless Cornputer Cornpany,” Harvard Business Review, JulyuaAugust : 69−80 Sen, F. and Rubenstein A. H.(1989) “External Technology and ln−House R&D’s Facilitative Role,”ノburnal of Product Innovation and Management Vol.6:123−138 Telesio, P. (1979) Technology Licensing and Mzaltinational Ente7Prises, New York: Praeger Williamson, O. E. (1975) Marleets and Hierarchies : Analysis and antitrust imPlications, New York: Free Press Williamson, O. E. (1979) “Transaction Cost Economics ; The governance of contractual relations”, The Journal of Law and Economics, 22(2) : 233−261 Wilson, R. W. (1975) The Sale of Technology Through Licensing, Unpublished Ph. D thesis (Yale Univsersity)