Title
Functional Design of Glycan-Arranged Polymeric Inhibitors of
Infection by Influenza Viruses( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
尾形, 慎
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第484号
Issue Date
2008-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/23491
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本(国)籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 会 尾 形 慎 (静岡県) 博士(農学) 農博甲第484号 平成20年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学
Functional Design of Glycan・Anranged Polymeric InhibitorsofInfectionbyInfluenzaViruSeS (糖鎖を活用したインフルエンザウイルス感染阻害剤の 機能設計に関する研究) 主査 静岡大学 教 授 副査 静岡大学 准教授 副査 岐阜大学 教 授 副査 信州大学 教 授 市 臣 真 満 泰 健 氷 田 曽 田 碓 村 木 虞 論 文 の 内 容 の 要 旨 高病原性トリインフルエンザウイルスの鳥への感染拡大が世界中で危慎される中、インフル エンザの感染により国内だけでも年間数百人の死者が出ている。このようなことからインフル エンザ予防・治療薬などの開発が期待されている。このインフルエンザウイルスの人へ の感染は、ウイルス表面のタンパク質であるへマグルチニン(HA)がヒトの気道粘膜 上のムチン様糖タンパク質と結合することで感染に至る。そこでインフルエンザウイル ス感染を阻止するウイルス吸着剤の開発を目指しⅡAと結合するヒトやトリの細胞表 面上糖鎖をミミックした人工ムチンを作ることを発想した。 人工ムチンの設計にあたり、ムチン様糖タンパク質の構造を①インフルエンザウイル ス受容体認識糖鎖構造部②スペーサー部③ポリペプチド部の各モジュールに三分割し 単純な工程で繋ぎ合わせが可能なグライコモジュール法を考案した。まず、①+②を酵 素掛こよりオリゴ糖配糖体を合成し、これと③とを化学的に繋ぎ合わせることで様々な 置換度で糖鎖を導入したアシアロ型糖鎖ポリペプチドを合成した。最後に、酵素的にシ ァル酸を付加させることでトリ型およびヒト型インフルエンザウイルス受容体の認識 糖鎖構造特異性に対応したシアロ型糖鎖ポリペプチド(人工ムチン)ライブラリーを作 製した。 作製した人工ムチンとインフルエンザウイルスとの感染阻害試験や赤血球凝集阻害 試験により活性を調べたところ、トリおよびヒトインフルエンザウイルスに対し、IC50 (50%感染阻害度)値がpM∼pMオーダーという非常に強力な阻害活性を有している こと、両ウイルスの受容体認識特異性は末端シァル酸を明確に判別していることを実証
-91-した。さらにトリインフルエンザウイルスに対しヒトインフルエンザウイルス受容体の 糖鎖構造認識は厳格セ、内部糖鎖構造も活性に大きく関わっていることを明らかにした。 この事実を利用し、本糖鎖結合ポリマーを糖鎖プローブとしてヒトとトリのウイルス間 の判別を簡便に識別できる可能性を示した。 本研究では、インフルエンザウイルス感染の受容体認識糖鎖構造に基づいてオリゴ糖 鎖配糖体を酵素合成し、これらを天然素材であるγ-ポリグルタミン酸をポリペプチド ベースとして実に簡単に取り込むことで画期的な糖鎖ポリペプチドの合成法を開発し ている。そしてこれらがムチンのミミックとして、トリやヒトといった抗原変異に惑わ・ されないインフルエンザウイルスの強力な吸着剤となりうることを明らかにしたばか りではなく糖鎖プローブとしてトリとヒトのウイルスの簡便な判別法にも展開できる ことを示しており、糖鎖科学分野において多大な成果を収めた。 審 査 結 果 の 要 旨 本論文の公開学位論文発表会は、平成20年1月24日(木)静岡大学農学部B210 講義室において審査員を含む関連教員、学生の出席のもとで行なわれ引き続き質疑応 答が行なわれた。論文内容の概要は以下のとおりである。 ヒトやトリインフルエンザウイルスの感染は、ウイルス上に存在するヘマグルチニ ン(HA)とヒトやトリの気道粘膜上のムチンとが接着することによりウイルスが侵 入し感染が成立する。本論文は、このウイルス感染阻止を目的にインフルエンザウイ ルス受容体認識糖鎖構造を持つムチンをミミックした人工ムチンを構築し、糖鎖を活 用したインフルエンザウイルス阻害剤の機能設計を目的とした。 分子設計にあたり、糖タンパク質であるムチンをミミックするために①ペプチド都 ②スペーサー部③糖鎖部の三つの部位に分割し、①には納豆菌由来†一ポリグルタミ ン酸(rPGA)、②にはアルキル鎖を有するスペーサーを、③にはHAに対応した受 容体認識糖鎖構造を配した。①、②、③のそれぞれの部位を化学一酵素的手法により、 実に簡便に繋ぎ合わせる方法を確立した。 この画期的な結合準がブレークスル∵となり、†-PGAをベースとして分子サイズ、 糖鎖構造、スペーサーの長さ等の構造を自在に操作し、糖タンパク質のα結合型お よび〟結合型をミミックしたこれまで達成し得なかった人工糖鎖ポリマーの実践的 合成法を開発した。 これら一連の糖鎖ポリペプチドライブラリーを用い、トリおよびヒトインフルエン
ザウイルスに対する感染阻筆試験および赤血球凝集阻害試験を行ったところ、両イン
フルエンザウイルスの受容体認識糖鎖構造特異性は末端シァル酸の結合様式を識別 しているばかりではなく、IC50(50%感染阻害活性)値が卜M∼pMオーダーの非常 に強力な阻害活性を有していることを明らかにした。さらに受容体認識糖鎖構造のコ アとなっている内部糖鎖構造も活性に大きく関与し、このことはトリインフルエンザ ウイルスとヒトインフルエンザウイルスとでは大きく異なっていた。特にヒト型のイ ンフルエンザウイルスにおいては内部糖鎖構造の延長は著しい阻害活性の増大をも たらした。そこで本活性に関与する内部糖鎖をアルキル鎖を持つスペーサーに置き換 え同様の阻害試験を行ったところその活性は同等かそれ以上の効果をもたらすこと を実証した。この事実はインフルエンザウイルス感染阻害剤を機能設計する上で特筆-92-すべき発見であるばかりか、インフルエンザウイルス感染と受容体糖鎖認識の正確な 分子認識の機作を論ずる上でも貴重な知見である。 このように本論女は、インフルエンザウイルス感染の受容体認識糖鎖構造に基づい てオリゴ糖鎖を実に簡便にポリペプチドをベースとした†-PGAに配することで糖鎖 ポリペプチドライブラリーを創り出した。次にこれら糖鎖ポリマーは、トリやヒトと いった抗原変異に惑わされない強力なインフルエンザウイルス吸着剤となるばかり か、トリやヒトインフルエンザウイルスを判別する糖鎖プローブとしても有用である ことを見出し、価値ある学術データを含むとともに糖鎖工学研究に多大な貢献をもた らすものである。 『以上について審査委貞会全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学 位論文として十分価値のあるものと認めた。』 【学位論文の基礎となる学術論文】 1)蜘姓,Murata,Tl,Murakami,kリSuzuki,T,Hidari,KI.,Suzuki,Yand Usui,T.(2007).chemoenzymaticsynthesisofartificialglycopoけpeptides COntainingmultivalent8ialyloligosaccharideswithaγ-POlyglutamicacid backbムneandtheire飴ctoninhibitionofinfectionbyin皿uenzaviruses. 励叩皿お&・腸血dCゐe皿血由ア15,1383-1393.
2)9gata.R,Zeng,Ⅹ.,Usui,T.and Uzawa,H.(2007).Substrate specificity of
Nacetylhexosaminidase from A甲eZ#zLS OZme tO arti丘cial glycosyl acceptorshavingvarioussubstituentsatthereducingends.
偽∫め朝ね由jお古ea適342,23-30.