Author(s)
前田, 登; 福井, 伸治; 市川, 浩司; 櫻井, 礼彦; 関根, 敏和; 高橋,
康宏
Citation
[電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス] vol.[96]
no.[12] p.[463]-[470]
Issue Date
2013-12
Rights
copyright 2013 IEICE
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/53408
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
論 文
大 学 発マ イ クロ波 論 文 特 集 n−
1
ポ
ー
ト
測
定
に よ る
相 反
nポ
ー
ト
回路
の
S
パラ メ
ー
タ
推 定
前
田
登
†・)関根
敏 和
†††宇
冨井
イ
申治
†高橋
康 宏
†††市 川
浩司
††櫻 井
礼彦
††SParameter
Estimation
of nPort
Reciprocal
Circuits
with n−
1Port
Measurements
Noboru
MAEDA
†a),
Shinji
FUKUI
†
,
Kou
.
j
i
ICHIKAWAtt
,Yukihiko
SAKURAI
††
,
Toshikazu
SEKINEt
†+, amd
Yasuhiro
TAKAHASHI
††† あ ら ま し 相反n ポ
ー
ト回路のS
パ ラ メー
タを求め る一
方法を述べ てい る.
本方法で は,
・
一
つ の ポー
トに 既知 の負 荷を接 続し,
残りの n−
1ポー
ト問の反射及び 透 過特性 を 測定す る こ と で,
n ポー
ト と してのS
パ ラ メー
タ を推 定 する.
し た がっ て,
既 知の負 荷を接 続 する ポー
ト に測 定 器を接 続 する必 要が ない.
この と き,
線 形 方 程 式 と2次 代 数 方 程 式を解 くだけでS
パ ラ メー
タ が求ま る ように,
推 定 式を 工夫 してい る.
す なわち,
非 線 形の連 立 方程 式を解かな くともSパ ラ メー
タが求まる とこ ろ に本 方 法の特 長がある.
ま た, 3ポー
ト回路とみな せるイ ミュ ニ ティ試 験シス テムの Sパ ラ メー
タ推 定に本 方法を適用し,
本 方 法の有 効 性を確か め ている,
キー
ワー
ドS
パ ラメー
タ,
測定,
n ポー
ト回路,
イミュ ニ テイ試験シ ス テム,
BCI
試 験,
自動車部品1
.
ま
え
がき
近年
,多
くのECU
(
電 子 制御装 置)
が車両 に 搭載さ れて きてお り, 通 常 それ ら は必 要な情 報を取 得 する た めの多 数の センサに ワイ ヤハー
ネス を 介 して接 続 さ れ て い る.
こ の ようなシステム は現在車両の動 作に不 可 欠 な ものと なっ てい るが,
車 載ア クチュ エー
タ によ る 電 磁ノ イ ズや外 来の 電 磁 ノ イ ズ が,
ワイヤハー
ネス を 介 してECU
の動作を妨 害 すると, 重 大な 問題を 生じ 得る.
そこ で,ECU
の ノ イ ズ 耐 性 を 前 もっ て知 る た め に,
外 来電磁ノイズ の影響を受け るワイ ヤハー
ネス の特性を模擬する イミュ ニ テ ィ試験シス テ ム が使わ れ てい る.
この試 験シス テム は,
擬 似 的 な外 来電磁ノイ ズの 印加 をBCI
プロー
ブな どの ノ イズ注入源で行っ て お り[
1
]
,[
2
]
,
注入源の端 子 対とワイヤ ハー
ネス の全 †(株 ) 日本 自動 車 部 品 総 合 研 究 所,
西 尾 市NIPPON SOKEN
,
INC.
,
14 1waya,
Shimohasurni−
cho,
Nishio
−
shi,
445−
OO12 Japan1†(株)デンソ
ー,
刈 谷 市DENSO CORPORATION
、
1−
1,
Showa尸
cho,
Kariya−
shi,
448−
8661 Japan
t++岐 甲
・
大 学工学部,
岐阜市Dept
、
of Electrical and Electronic Eng.
,
Gifu University,
1−
1Yanagido
,
Gifu−
shi,
501−
1193 Japana)E
−
mai 且: noboru−
maeda ◎sokenl・
denso・
co・
jp
端子対と併せ て n ポ
ー
ト回路とみなすこ とが で きる.
した がっ て,
こ の試 験シ ステム の n ポー
トS
パ ラメー
タを求め る こと がで きれ ば,ECU
の動 作を模 擬 する 回路シ ミュ レー
タ に組み込ん でECU
のイミュ ニ ティ 試 験 を数 値 シ ミュ レー
ショ ンで きる ように な り, 望 ま しい.
現状,
測定対象のポー
ト数が4
よ り少 ない程 度 で あ れば,
それ らのS
パ ラ メー
タ は通 常の ネッ トワー
ク ア ナ ライ ザで 直接 測 定が可 能で あり,
ポー
ト数が多い場 合 には,
通 常の 2 また は4
個の測定ポー
トをもつ ネッ トワー
クアナ ラ イ ザ を 用い た測定 を反復 する手 法が 提 案さ れてい る團
〜
[
5]
.
しか し,
これ らの 手 法では,
被 測 定 物の ポー
ト全てが ネッ トワー
ク アナライ ザの測 定ポー
ト に直接ケー
ブ ル接 続可能と仮 定し てい る.
イ ミュ ニ ティ試験 シ ス テム の場合,ECU
は TEM セ ル 試 験装置に入 れるな どするの で,
そのポー
トを測 定 器 に直接ケー
ブ ル接 続する の は困難な場合が多い.
ま た,
放射イミュ ニ テ ィ試験の場合のように,
直 接接続して し まうと測定ケー
ブル に もノイ ズ が 誘 起 して し まうた め, 精 度 良 く測定 する ことが 困 難 な 場合 もある.
こ れまで に, この ような測定器が接 続困 難な ポ
ー
ト を もつ被 測定物 が2
ポー
ト回 路の場合に適 用 可能な手 法と して , 2 ポー
トの うち 測 定 器が接 続 困 難な 1 ボー
電 子 情 報 通 信 学 会論 文誌 2013 /12Vol
,
J96−C
No.
12 トを 開放/
短絡 し,
その ときの も う一
方の ポー
トの 特 性を測 定 するこ とに より2
ポー
トイン ピー
ダン ス パ ラ メー
タ を推定する方法が,LSI
パ ッケー
ジの特性 測定 を想定し て提 案さ れ てい る[
6]
.
また,
三つ の 既知負荷 を川頁次一
つ のポー
トに 接 続 し,
残 りの1
ポー
トの反 射 特性を測定して , 最 小 2乗法に より2 ポー
トS
パ ラ メー
タを推 定 する手 法 も提 案 されてい る[
7
]
.
ま た,
筆 者 ら は,3
ポー
ト回 路でモ デル化で きるイミュ ニ ティ 試 験シス テムが 測 定 器と直 接 接 続 困 難 なポー
トを一
つ もつ と きに, 残 りの2
ポー
ト問の反射 及び 透過 特 性を 測定し, 線 形 最 小2
乗 法[
8]
を用いて3
ポー
トS
パ ラ メー
タを推定 する方法を提 案し,
BCI 試験に適用して い る[
9]
,[
10】
.
こ れ は,
文献[
7]
の方法の3
ポー
ト回路 へ の 拡 張になっ て い る.
更に,3
ポー
ト回 路に対 して 最 小2
乗 法を用い ない 推定 式の導 出と評価 も行っ てい る[
11].
本 文で は, 文 献
[
11】
の方法 をn ポー
ト回路の場 合 に 拡 張 する.
すな わ ち,
一
つ の ポー
トに既知の負荷を接 続 し,
残りの n−
1ポー
ト問の反 射 及び透過 特性を測 定 する ことで, n ポー
ト回路と してのS
パ ラメー
タを 求める方法を述べ る.
本 方 法で も既知の負 荷を接 続 す る ポー
ト に測 定 器を接 続 する必 要 が ない.
本 方 法の特 長は,
線 形 方 程式と2
次代 数 方程 式を解くだ けでS
パ ラ メー
タ が求まる ように,
推 定 式 を工夫 して い ると こ ろ にある.
すな わち,
非 線形の遮立方程式を解い た り, 最 小2
乗 法 を 用い な くて もn ポー
トS
パ ラ メー
タを 推 定可能である.
すなわち, 本方 法で は非 線 形 連 立 方 程 式の数値 解法で必 要となる初期 値の選 定や反復 演 算 の収 束性の保 証,
複 数解全て の導出の確 認等の 困難さ を避 け ることが で き る.
ま た, 最 小2
乗法では, 解く べ き方程 式の数が多くなる の で,
推 定に必 要な測 定 数 が 増 加 す る が, 本方法では 最 小の測定 数でS
パ ラ メー
タを推 定で きる.
本 文で提 案する方 法で は,
測定器を接 続できるポー
ト とできない ポー
ト間のS
パ ラメー
タ(
透過 係数)
の 符号は定 まら ない.
しか し , この不確 定さのあるS
パ ラメー
タか らで も,
測 定 器を接 続で きない ポー
トの電 圧の大き さは求まる.
よっ て,ECU
の端 子に誘起す るノイ ズ 電 圧の位 相 関 係 が 不 明 で も,
その 大 き さが 推 定で きれば,EGU
内の ノイズ対 策回路の設計に反 映 で きる の で, 本 方 法は有 用であ る.
最 初に推 定式の導出を述べ , 次に その推 定 式が
一
意 解 を もつ た めの条件を述べ る.
ま た,
推 定したS
パ ラ メー
タ を使っ て各ポー
トに誘 起 さ れる電 圧 を求める方 Port lal →
bl
← an−
J→ Port n−
lbn
.
J← 二Saa
Sa
皿 ← α ロ → わ π :s
。冨
&. Port n 図 l Sパラメー
タ測 定 時端 子 構 成Fig
.
1 Sparameter measurement arrangement.
ZL
法を述べ る.
更に,3
ポー
ト回 路 と み な せ る イ ミュ ニ ティ試 験シ ス テ ム のS
パ ラ メー
タ導出に本 方法を 適 用 し,
本 方 法の 有 効 性 を確かめ る.
2
.
推
定
式
2 .1
導 出図 1 に示 す 相 反 n ポ
ー
ト回 路で, 測定プロー
ブ が 直 接接 続可能なn− 1
個の ポー
トの組に添 字a,
測 定 プロー
ブ が直接接 続で きないポー
トn に添字u を使用 する ことにすると,
そのS
行 列S
は ・一
[
Saa
Sau
S
乱
Suu
」
(
1)
の よ うに表 さ れ る.
こ こ で,
入 射 波ベ ク ト ル[
aaT au]
T 及び 反射 波ベ ク トル[
baT
bu
]
T の間に[
1]
一
[
1
謡
二
]
圓
た だ しSaa
∈C
「×T’
,Sau
∈(:; T × ’ ,Suu
∈C
,aa ,
ba
∈C
「Xl , a、、1bv.
∈ (二.
(
2)
の関係が ある.
ここで,
ポー
トn に反射係 数がSL
の 負荷 を接 続 する と au=SLbu
で ある か ら,
こ れを式(
2)
に代入 してb
。一
(
S
。a +SauS
・(
1 − SunSL )
−
1S
恥
・・(
3)
(
4)
が得られ る.
よっ て , ポー
トn を縮約
し て得
られ る n− 1
ポー
ト回路のS
行 列をS
とすると合
=
Sa
ε 、十SauSL
(
1 −
SuuSL
)
−
1Sa . T(
5)
464論 文 /n
−
1ポー
ト測 定による相 反n ポー
ト回路のS
パ ラメー
タ推 定で あ る
.
式(
5)
の両 辺に左 か ら(
1 − SuuSL )
を形 式的に乗 じ て
(
1−
SLSuu
)
S
=(1 −
SuuSL
)
Saa
十
(
1− SuuSL )SauSL (1− SuuSL )
−
1Sa
.T(
6)
を得る.
こ こ でSuu
とSL
がス カ ラー
である から,
右 辺第2
項はSauSLSauT
と なりS
・ ・ +SL
(
SauS
・ ・ T− S
。 ・S
・ ・)
+S
・SSuu
−
S
(7
) と整 理できる.
これ をS
の要 素と そ れ 以外に分離して 行 列 形 式 に変 形 す ると』
一卵
譱
轡
1
− ・
(
8)
と なる.
こ こでIn−
1 はn− 1
次の単 位 行 列である.
以 下,
簡 便に す る た め,
式中 で は n一
ユ の代わ り に r(
= n−
1)
を 用い る,
また,S
の 要 素を未 知ベ ク トル とし て方 程式を解 くた め,
行列の全列ベ クトル を 順に 縦 に並べ て 1個の列ベ ク トル とする行列一
ベ ク ト ル変 換を記号の
,,で表す.
こ の とき,
式(
8)
は睡
嘛
]
「
(
副
一(
…
m ・ 一(
SauS
:
、、)
v− S
・・(
Saa)
・ た だ し,
2 M2 ∈C
「 X1(
9)
(
10)
と書 ける.
こ れ が,
n−
1 ポー
ト測 定に よ りn ポー
トS
パ ラ メー
タを推 定 するた めの基 本 式と なる.
式(
g)
は,SL
とS
を 測 定に よっ て 求 め,(
Saa)
v , M2 ,Suu
を導出する線形方程式になっ てい る.
こ こ で, m2 はSau
を線 形 方程 式と2
次 代 数 方程 式で求め る た め に導入 さ れ た 中 間パ ラメー
タ で, 式(
9)
か ら求 め た(
Saa )
” , m2 ,Suu
を式(
10)
に用い る とSauS
乱
が求まる
.
式(
10)
は,Sau
の n−
1個の 全 要素を,
自身 も含め て2
個 ずつ 掛 け 合わせ た(
n− 1)
2 個の2
次 代 数 方 程 式の組である.
例え ば,
こ の うち 第1
行に 相 当 する n−
1個 を 用い ,S
?
i の 式か ら ± 〉唇五
を 求め,
他のSllS1
ゴ,(
2
≦ゴ≦n− 1
)に関 する式か ら θ1ゴ,(
2 ≦ ゴ≦n−
1)
を求め る操作を行うことで,Sau
の各 要 素の値が 全て得ら れる.
その 際,2
次 方 程 式の 求 解に伴ない,
符 号の み異な る 2組の値 が得ら れ る.
こ れ は, 物理的には, ポー
トn に1
:− 1
の 変 成 器 が あっ て も,
他のポー
トか らは観 測で き ない こと,
すな わち,Saa
,Su,
u は,
ポー
トn の端子を反転しても影響 を受 け ない ことに よ る.
同様の性 質が,2
ポー
ト回路 の イン ピー
ダン ス パ ラメー
タ や ア ドミ タン ス パ ラ メー
タを,
一
方の ポー
トの み の電 圧 電 流 か ら算 出 する とき の符 号の 不確 定 性とし て文 献 [12
}に 述べ ら れ てい る.
2 .2
正 則 化推 定の 基 本 式
(
9)
は,(
n−
1)
2 個 の 方 程 式 と2(
n− 1)
2 +1
個の未 知 数か ら なっ てい る の で,
こ の ま までは 方 程 式の数 が 未 知 数の数 よ り少 な く,
解 が一
意に定ま ら ない.
そこ で,
ポー
トn に接 続 する負荷SL
の値を替えてS
を複 数回測定するこ とで, 方程 式 数 を未 知 数の数 に一
一
致 させ て式(
9)
の係 数 行 列 を 正 則 化 し て解が一・
意に定まる ようにする.
た だし,Seu
= 0 である回路,
すな わ ち,
ポー
トn と他の n− 1
個の ポー
トの組との 問の透過係 数が全て 0 である回路は,
SL
を替えてもS
が変化しない ので以降の解 析 対 象か ら除 外 する.
負 荷SL
の値を替 えてS
を 測定する回数を最小とす るこ と を考慮 す る と,1
回の測定で式(
9
)
の(
n− 1
)
2 個の 方 程 式が得 られ る た め, 未 知 数の数 2(
n−
1)
2+1 個の方程 式を得る には,
値の異 なるSL
が最低3
個 必 要と なる.
今,SL
を替えてS
の測定を3
回行い,
乞番 目の測定で用い たSL
の値及 び測 定で得 られたS
を上 付 き添字(
o
を付けて表すと,
式(
9)
は1
籌
li
膨
liiii
;
]
「
(
馴
iiiiii
;
]
(
11)
となる.
式(
11)
の方 程 式 数は3(
n− 1)
2個で,
未 知 数 の数よ り多い.
以 下 ,S
を 得るには,SL
を 替えてS
の全 要素の測定を2
回 と要素の部分的 な測 定を 1 回す れ ば十 分 なこ と を示 す.
式
(
11)
の係 数行 列の部 分ブロ ッ ク行 列臣
潔
:
]
電子 情 報通 信 学 会 論 文 誌 2013112vol
.
J96−
c No.
12 の 構 造か ら,sLi
〕 ≠5L2
) な ら, こ の各 行ベ ク トル は 線 形 独立であ り,
式(
11)
の上二つ のブロ ック行ベ ク トル臣
灘
:
鏘
1
:
;
:
]
の各ブロ ック行ベ ク トル の独 立 性 は保 証 さ れ る.
次 に,
三つ 目の ブロ ック行ベ ク トル[
・ ,・ ・E3
’・ .・ ・E3
’(
§・3・)
v]
か ら1
行を残して他の行を除去 する ことで係 数 行 列を 正 則化で きる こ とを示す。
今,
錯
量
)に関する第 1 行ー
31 ( −^
5
) OLO0
に ム50
0
1
ー
を残すもの とする.
式(
6)
か ら ・…£
’IS
・ ・ T ・(
・一
・
L
’IS・
u)
Saa
一
σ
一
・綱
§
ω(
12)
であ る.
こ こでS
£
i)Suu
=1
とする とSauSauT
=0
とな り, Sau≠
0 の 仮 定 と矛 盾 するの で , 対象の 回 路では5
£
i)の選び方によ らず,511i
)Suu
≠
1
である.
よっ て,
式〔
12)
よ り §(t) =52
)SauSauT
十Saa
1 −
sEi
)s
。u(
ユ3)
が得ら れ る.
こ れ よ り,
各 iに対 する5
曾
が異なるな ら ば,
異 なるi
に対する§
ω の対応 する要 素は異 なる こ とが 分 か る.
よっ て,
gil
)≠
Sl
)かつ5il
)≠
錯
P
で あるの で1
お
。灘
。纖
:
園
一
[
馴
但 ・
とする ときの係 数 行 列の 各行ベ ク トル は線形独立とな り,
フ ル ラン ク の正 方 行 列1
す なわち,
正則となる.
な お,
三つ 目の ブロ ッ ク行ベ ク トル で錯
)以外の要素 に関する行を残し た場 合でも 同様である.
この式(
14)
が本文で提 案 する推 定 式である.
結局,
本 来導出 すべ き未 知パ ラ メー
タはS
行 列の全 要 素 n2 個であ り,
n2 個の非 線 形 方 程式を連 立 して導 出で きる可能 性がある が,
式(
9)
の未 知ベ クトル に中 間パ ラ メー
タm2 を導 入して問題の主要 部を線 形 化し たこ とで,
必 要 な 関 係式が 2(
n−
1)
2+ 1個に増加し た と考 えるこ と が で きる.
補 足 と して付 け加 え ると
,
式(
11)
は,
方 程式 数が未 知 数の数より多
い の で, 最 小 2乗法で解くこ と が で き, n =2
の と き文 献[
7
]
の推 定 式と,
ま た,
n =3
の と き文 献[
10
]
の推 定式と,
そ れ ぞ れ一
致する.
ま た,
本 文で提案す る式(
14)
は,
式(
11)
と比較して,
必 要 な 負荷の個 数は同じ3個である が, 測定 するS
パ ラ メー
タ数 は最小 数の r2 +r +1
個で,(
r2 + r)
/
2 − 1
個 少 ない.
3
.
ポー
ト電
圧3.1
導 出 図1
の ポー
ト の 入射 波ベ ク トル a と反射 波ベ ク ト ルb
は ユ a =Ro
2V
十R31
ユ ユb
=Ro
2V − R81
(
15)
(
16)
と表さ れる.
こ こ でV ,1
は,
それぞれ ポー
トの電 圧 ベ ク トル と電流ベ ク トルで,Ro
は各ポー
ト の電圧 と 電 流 をS
パ ラメー
タに関 連づけ るの に必 要 な ポー
トイ ン ピー
ダンス を並べ た対角 行列である.
ま た, 各ポー
トに接 続 さ れ た 信 号 源とその内 部 イン ピー
ダン ス の ベ ク トル をそ れぞれ Es ,ZL
とするとEs
=ZLI
十V
であ る か らエ v =
Ro
2V
エ es
;R
〔〕 2Es ユ ZL =Ro
2ZLRo
2(
17)
(
18)
(
19)
(
20)
と規 格 化 する と,S
か らv を導出 する方 程式として{
(
ln − S
)
+(
1
。・+S
)
・五
1}
・一
(
ln
+S
>
・E
] ・s(
21)
を得る.
466論 文/n
−
1ポー
ト測定に よ る 相 反 n ポー
ト回路のS
パ ラメー
タ推 定3 .2
ポー
ト電圧 の絶 対値の一
意 性2 .
の 手 法で推 定したS
パ ラメー
タ に関してSau
の 部分の符 号が不確 定があっ て も , ポー
ト電 圧の絶対 値 は一
意に定まる こと を示す.
式
(
10)
にお け るSau
の平方 根 演算で,
正 符 号 を用 い た場 合のS
行 列を(
1)
式のS
とする と, 負符 号を用 い た場 合のS
行 列S
は ・一
[
憶
罪
]
(
22)
NetWork Analyzer 図 2 BCI プロー
プ を用いた イ ミュ ニ テ ィ試験 系Fig
、
2 1mmunity testing system using BGI probe.
と書 ける
.
よっ てK −
[
周
を用い てS
=KSK
(
23)
(
24)
と表さ れ る,
こ こで,S
を 用い て算出 さ れ る ポー
ト電 圧 を▽ とすると,
式(
21)
と 同様に{
(
ln−
S
)
+(
L
、
+S
)
・正 1}
マ ー (1
・ +S
)・Σ1e ・(
25)
が 成 り立つ.
これ に式(
24)
を適用 し,KK
=In
であ る こと を用い ると{
K
(
1
。− S
)
K
+K (ln
+S
)
K
・五 1}
V=
K (
ln
十S)KzZle
、(
26)
と な る.
K
及 び zii は対 角 行 列の ため 可換で ある か ら K{
(
1バS
)
+(
1
・ +S
)
・ガ
}
KV
− K (
ln
+S )
・ガ
K
・、 である.
よっ て,
左 か らK を乗 じて{
(
1・−
S
)
+(
ln+S
)
・11
}
KV
− (
ln
+S )
・ガ
K
・、(
27)
(
28)
である.
ポー
トn には 負 荷のみ接 続 する た め,
e。 の 第n 要 素 は0
とな るの でKes =
es である.
よっ て式(
28)
は(
29)
{
(
1
…S)
+(
1・
・+S )
・E1
}
KV − (ln
+S)
・Ele
・
(
30)
とな る.
こ れ を式(
21)
と比較 する と, 左辺の K サ 以 外は同 じ である た めK
▽=
v(
31)
である.
こ の両 辺にK
を 乗 じ,
v= [
VaT ,Vu]
T とす る と ▽=Kv
一匿 ]
圓
一
国
(
32)
と なる.
よっ て,S
を用い て算出 し た各ポー
ト電 圧は,
S
を 用い て算出 し た各ポー
ト電 圧 と絶 対 値は等しく,
ポー
トn の み逆符 号と なる.
な お,
式(
24)
は,
物 理 的にポー
トn の端 子 を 反 転 す る 操 作 を 表 してい る.
4
. 推 定
例
4.
1 推定値と実測 値の比 較 対 象とするBCI
プロー
ブを用い た イミュ ニ ティ試 験シス テム を図2
に示 す.
こ の シ ス テム は3
ポー
ト 回 路 網とみ な すこ とがで きる.
こ こ で, ワイ ヤハー
ネ ス の 特性インピー
ダンス と ネッ トワー
ク ア ナ ライ ザの ポー
トイン ピー
ダン スは一
致 してい ない.
ま た,
ポー
ト3
が 測定器を接 続で きない と仮定した ポー
トで ある.
ポー
ト3
に終 端 接 続 する既 知のイン ピー
ダン ス と し て,3
種の抵 抗75
Ω,150
Ω,300
Ω を用い る.
こ こで,
抵 抗は size2012(0805)
誤差(
±1
%)
の厚膜 チップ 抵電子 情 報通信 学会 論 文 誌 2013 /12 vol
,
J96−c
No、
12 15
0
5
1 。 →
一
11S
ー 眄 。 婿 →21S
− 筋 。 燗 刈 31S − 肪 。 燗 →22S
− 師 。 欄 州32S
− 師 。 舶 刊33S
Real
一
Measured鄲一
Estimated1
− wEstimated
2 0 200 400 600 F瑚 uonoy IMHz亅o 2oo 4oo 6oo
Frequency[MHz] 0
!
00 4 願D 600 Frequency [MHz ] ロ 2 4oo fi ロ Fr巳quoncy[MHz ] り 2oo 4ロロ 6oo Frequency[MHz ] 10.
50−
o.
5−
T 10.
50−
0.
5−
1 10rsn−
Q.
5−
1 10.
50−
05−
1 105D−
05−
1 1050−
05−
1Imaginary
ロ !ロロ 4ロロ eロロ Frequenoy 〔MHz 】 o !oo ヰoo 6eo Frcqucncy[MHz ] 0 200 400 600 Frequency[MHz」 ロ 2ロロ qco 6oe Frequency [MHz ] o ヱ 6oo Frequency[MHz] D !OO 400 SDO D 2QO 400 60D Froquency [MHz ] Frequency [MHz ] 図 3 S パラ メー
タ実測 及び推 定 結 果Fig
、
3 Measured and estimated S−
parameters.
抗であ り
,
本推 定例では その公称 抵 抗値を既 知のイン ピー
ダン ス値と して用い る こ と とする.
S
パ ラメー
タ の推 定に は,75
Ω,300
Ω で負 荷したときの全てのS
パ ラメー
タ に関 する式そ れ ぞ れ3
個, 及 び, 150Ω で負 荷 したときのS12
に 関 す る式,
合 わ せて7
個の式を用 い る.
図3
に, 推 定し たS
パ ラメー
タ(
Estimated
1
,Esti
皿 ated2)
と,
ポー
ト3
にもネッ ト ワー
ク アナラ イザを接 続 して実 測 したS
パ ラ メー
タ(
Measured )
を 併せ て示 す.
こ こでEstimated
1,2
は, 式(
10)
に 現 れ る 2 次方 程 式の解で,
そ れ ぞ れ相 異なる符 号を取っ た場合である.
これ らの結 果 か ら,
S13
とS23
に関し 0 01唖
51■
02■
52■
03一
[
〉 ロ自 ℃】
統 盛 。 〉。
・ 眉 £_
Measured一
Estimated 200 400 Frequency[MHz 】 60e 図 4 15 Ω負 荷時のポー
ト3 電圧Fig
.
4 Port 3 voltage with 150Ωload.
F
−
10豊
.
i5 脇詈
一
2°名
一
25 岩 Pt−
30 0 200 400600
Frequcncy[MHz ] 図 5 100Ω 負 荷 時の ポー
ト3 電 圧Fig
.
5 Port 3 voltage with 100Ωload,
ヌ
ー
5羃
一
1・響
一
15靭
Pt−
25 0 200 400 600Frequency
[MHz
】 図6270 Ω 負 荷 時の ポー
ト3 電 圧 Fig.
6 Port 3 voltage with 270Ω load,
_
Measured− −
Estimated て は前節で述べ た複 号の不 確 定 性 が 現 れて い る が,
こ れ ら以外では,
推 定値と実 測 値は測定し た範 囲で ほ ぼ一
致して い るこ とがわかる.
た だ し,S33
の 虚 部につ い て は,
測 定範囲の高い周 波 数で一
致して い ない.
こ れにつ いて は4 .
2
で考察する。
次に
,
この推定した3
ポー
トS
パ ラメー
タ を用いて,
ポー
ト2 とポー
ト3 に150Ωの抵 抗負荷を接 続し, ポー
ト1
に10dBm
の入力を加え た際にポー
ト3
に生 じ る 電 圧を推 定 する.
図4
に,
こ の推 定 値(
Estimated)
と実測値(
Measured )
との 比較を 示 す.
結 果,
S
パ ラ メー
タ計 算 時の複 号による 不確定
さ は なくなり,
図か ら よ く一
致して い る ことがわか る.
ポー
ト3
の 抵 抗 負 荷の値 150Ωは,S
パ ラ メー
タ推 定 時に用い てい る ため,
良 好 な 結果 が 出 るこ と は 当 然 と もい え るの で,
468論 文 /n
−
1ポー
ト測 定によ る相 反n ポー
ト回路の Sパ ラ メー
タ推 定 1o 鴫一
11S
− 05D α5 →一
21S
1 05S13 0−
o,
5−
1 − D 茄 →22
S
− 偽 。 輔 司23
S
− 師 。 輔 →33S
Real
一
Measured−
Estimatedl
Ut
・
・
di
Estlmated 2 0 200 如0 600 Frequency【MHz ] D 200 400 600 Frequency[MHz] 0 200 40D 600 Frequency[MHz ] D 200 400 6騨D F匸閃 uency [MHz ] o れ ロ ロo Frequency[MHz】 0D 4oo お Frequency [MHz 】 1050−
05−
1 1050−
0.
5−
1 10.
50−
05−
1 10.
50−
c.
5−
1 10.
50−
05−
1 1050−
05−
1Imaginary
0 20じ 中DO 500 Frequency [MHz ] 0 200 400 臼OO Frequency[MHz ] 0 2DO 孕pe 6DO Frequency [MHz ]ロ 2oo 4eo fieo
Fr閃uoncy [MHz エ
ロ 2oo 4oロ fioo
Frequency[MHz ]
ロ 2oo 4oロ 6o
Frequemcy [MH2 ] 図 7 S パラメ
ー
タ実 測 及び推 定 結 果 (静電容量 σp=
1
.
2pF に よ る負荷補正後)Fig
.
7 Measured and estimated S−
parameters Withload value correction of OP
=
1・
2pF capaci−
tance
,
S
パ ラ メー
タ推 定 時に用い てい ない値である 100Ω と 270Ω の抵抗 負荷 を接 続し た場 合のポt ト3
に生 じる 電圧につ いて,
推 定値 と実 測 値の比 較 を 図5
及 び 図6
に示 す.
誤差が 2dB 程 度生 じてい る もの の,150
Ω の 場 合と同様に良好な一
致を示 してい ること が わ か る.
4 .
2
推定 誤 差に対す る 考察図
3
で,S33
の 虚部の推 定値が測定 範 囲の高い周 波 数で実 測値と一
致し てい ない.
こ の原 因と して,
推 定 の場 合は被 測 定 物に負 荷を直 接接 続 し た が, 実 測の場 合は,
被 測定物の ポー
ト3
にSMA
レ セプタクルを接 続し て か らネッ トワー
ク ア ナ ラ イ ザ を接 続し た ことで,
推 定 時と実測 時で被測定物の構造に差 が 生 じたこ とが
考 えら れ る。
そこで,
図3
の周波 数 範 囲でSMA
レ セ プタ ク ル は特 性イン ピー
ダン スが50
Ω の短い伝 送 線 路であ り,
シ ャ ン ト容 量 が 主で ある と考え,
SMA
レ セプタ ク ル をシャ ン ト容量Op
でモ デル化し,
こ の差 異 を考 慮してS
パ ラメー
タ を 再 推定した.
Cp
の値は,
測定 範囲で実 測 値 に 合うように 決定した.
結果 を 図7
に示 す.S33
の虚 部につ いて図3
で見ら れてい た誤差 が小さくなっ てお り,
かつ,
他のS
パ ラメー
タ に は ほ とんど違い が 生 じてい ない ことが分か る.
こ れ に よ り,
図3
のS33
の虚部の推定 誤 差は,
ネッ トワー
ク ア ナ ラ イ ザ を接 続 す る た めにポー
ト3
に 取 り付け たSMA
レ セ プタクル の 影 響 によ る もの で, こ れを補正すれば, 取 り除 ける こと が わ かる.
5
.
むす
び
相 反n ポー
ト回路のS
パ ラ メー
タを求め る一
方 法 を 述べ た.
本 方 法では,
測定器 を接 続 し ない一
つ の ポー
トに既 知の負荷を接 続 し, 残りの n− 1
ポー
ト 問の 反 射及 び 透 過特性 を 測 定 するこ とで, n ポー
ト と して のS
パ ラメー
タを推 定して い る.
した がっ て,
本 方法は,
測定器 を直接 接 続 する のが困 難な ポー
トを もつ 回 路 シ ス テ ム のS
パ ラ メー
タを求めるの に有用で ある.
こ のと き,
線 形 方 程式と2
次 代 数 方程 式 を解 くだけでS
パ ラメー
タ が求まる ように推 定 式を工夫した.
本方法 では,
測 定器を接続 しない ポー
トと測 定 器 を接 続 する ポー
ト問のS
パ ラ メー
タ(
透 過 係 数)
の符 号は定ま ら ない が,
測定 器を接続 し ない ポー
トの電圧の大きさ は 正 し く推 定で きる こと を示した.
ま た,3
ポー
ト回路 とみ なせ るイミュ ニ ティ試 験シス テム のS
パ ラメー
タ 推 定に本 方法を 適 用 し,
本 方 法の有 効 性 を確か めた.
本 方 法では
,
既 知の負 荷を 接 続 する ポー
トに測定器 を 接 続 する必 要がない の で,
ポー
ト間の グ ラン ドが共 通で ない 場 合に も応用可 能で ある.
今後の 課 題 として は,
測定器 を接 続しない ポー
ト と 測 定器を接 続するポー
ト間のS
パ ラメー
タ(
透 過 係 数)
の符号を 決 定 す る 方法,
及び,
精度の良い結果 を得る た め の負荷に接 続する既知の イン ピー
ダン ス の組み合 わせ を定め る方 法の検討が考え ら れ る.
ま た, 測定器 を 接 続 しない ポー
ト数 を 増や した場合の 推定 方法を与 え るこ と も今 後の課 題であ る.
電 子 情 報 通信 学 会論 文 誌 2013112voL J96
−C
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