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自動車交通との競合を考慮した都市鉄道の次善料金形成に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

自動車交通との競合を考慮した都市鉄道の次善料金形成に

関する研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

鈴木, 崇児

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 乙第018号

Issue Date

2000-03-24

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1690

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名 (本籍) 学 位 の 学位記号番号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 鈴 木 崇 児(愛知県) 博 士(工学) 乙第18 号 平成12 年 3 月 24 日 生産開発システム工学専攻 自動車交通との競合を考慮した都市鉄道の次善料金形成に関する研究

(The second best pricing problems for urban railway system competitive with automobiles)

学位論文審査委員 (主査) 教 授 宮 城 俊 彦 (副査) 教 授 秋 山 孝 正 教 授 本 城 勇 介

論文内容の要旨

モータリゼーションの進展による自動車交通需要の増大は、都市交通市場における鉄道を 中心とした公共輸送機関の独占的支配を突き崩し、異種交通手段の間に競争状態を生じさせた。 自動車交通需要の増加は、今日、交通先進国の諸都市に見られる自動車中心の都市交通体系を 現実のものとし、自動車利用の外部不経済に起因するさまざまな社会問題を生じさせた。道路 混雑の慢性化や温室効果ガス排出量の増加がその典型である。また、長期的に見れば自動車利 用中心の交通体系への移行は市街地の分散化を助長し、間接的に非効率なエネルギー消費や郊 外化に伴う都心部の衰退などの影響を及ぼしている。 これらの問題を解決するための1つの有効な方法は、都市交通市場に高品質な公共輸送サー ビスを供給することにより、自動車利用者を公共交通へ転換させることである。公共交通への 利用者の転換は道路混雑を緩和し、自動車利用者の利便性を向上させるだけでなく、排出ガス や騒音を抑制することによって、住民の生活環境をも改善する。さらにこれらの効果は、道路 網上での自動車フローの相互作用によって都市域全体に波及する。このため、公共交通機関の

サービス水準の向上i土対する技術開発が模索されており、とりわけ都市鉄道の改善に対する期

待が高まっている。しかしながら、現実問題として都市鉄道の経営は総じて不調であり、大都 市を除いて自動車交通に対抗できる魅力的なサービスを提供するために必要な巨額の投資を鉄 道事業単独で実現することは困難である。ましてや、都市交通体系の中で自動車交通の不備を 補うような役割を鉄道企業単独で実現することは不可能である。よって、都市鉄道整備の外部 効果を鉄道企業の会計に如何に内部化するかが重要なポイントとなってくる。

このような観点から、本研究では都市鉄道の改善が都市交通システム全体に与える効果を鉄

道企業会計に内部化させるための方法の1つとして、自動車利用者を含めた最適費用負担問題 を検討した。このため、論文の前半では、従来、鉄道市場のみを単独で扱ってきた料金形成問

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-74-題に対して、自動車利用者が都市鉄道整備から享受する外部効果を考慮するために、次善料金 形成問題に交通ネットワーク均衡モデルを組み込むことによって道路在雑を内生化し、自動車 との競合状態を適切に扱うことが可能な均衡制約付き数理最適化問題として鉄道整備に対する 次善料金形成問題を構築した。続いて論文の後半では、構築したモデルを使用し、次善料金を 設定した時に都市交通システムに生じる均衡状態を基準として各種の交通調整政策を検討する ことで自動車利用者を含めた費用負担制度に対する分析を行った。 分析の結果、補助金の増減が料金設定を変化させ、利用者の交通選択行動の変化を通じて都 市交通システム全体に広がっていくことを、平走しない自動車経路の所要時間が短縮されたこ と等から確認した。次に、補助制度を含む費用負担方法についての比較分析においては、自動 車利用に対して費用負担を課した場合に、全ての交通利用者の費用負担が減少するパレート改 善が達成された。この結果から、自動車利用者が都市鉄道の費用を負担することは、効率性の 面だけでなく、公平性の観点からも肯定される可能性があることを示した。 最後の温室効果ガスに対する排出制約を考慮した分析では、新規の都市鉄道の導入に関して、 都市交通システムに含まれる各交通機関の利用者の受益に対応した費用負担が、次善料金形成 の枠組みから導かれるとともに、.温室効果ガス削減のような都市鉄道以外の利用によって生じ る外部不経済を抑制する効果に対する適正な費用負担が、全ての交通手段の利用者の厚生を高 める可能性があることが示唆され、温室効果ガスの排出抑制によって生じる厚生損失を少なく するための政策原理を示した。 本論文は、以上の分析を通して構築した道路混雑を内生化した次善料金形成モデルが、各都 市の交通状況と整備目的に対応して都市鉄道整備費用の負担を具体的に検討できるモデルであ ることを示し、自動車利用者の都市鉄道整備に対する費用負担が正当化される範囲を検討でき る方法論を示した。

論文審査結果の要旨

我が国でも、都市交通システムが過度に自動車に偏重したことで生じる慢性的な道路混維や 温室効果ガス排出量の増大といった外部不経済を抑制するための代替交通機関として都市鉄道 が再び注目を集めている。本論文では、都市鉄道整備費用の負担問題に対して、従来、鉄道市 場のみを単独で扱ってきた次善料金形成理論の枠組に多手段交通ネットワーク均衡モデルを組 み合わせたモデルを構築している。このモデルによって自動車と都市鉄道との競合状態を適確

に捉えられ、異種交通機関間での費用負担調整政策の検討を可能にし、鉄道整備に関する政策

分析を通じて、当該モデルの現実問題への適用可能性と政策的な意義を検討している。 第2章では、既存の次善料金形成理論を拡張するために、伝統的な料金形成理論について整 理し、既存理論の抱える問題点を明確化している。第3章では、諸外国の整備制度と我が国の 現行整備制度を比較することで現行整備制度の特徴と問題点を指摘し、本論文が対象とすべき 政策問題を明確化している。第4章では、伝統的な次善料金形成問題に交通ネットワーク均衡 問題を組込んだモデルを構築し、都市鉄道の整備目的に対応した費用負担のルールを次善料金 叫75一

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の設定基準として比較静学の枠組で導出している。交通ネットワーク均衡モデルを次章料金形

成に組込むことは、都市交通システムが存在する空間の概念を次善料金形成理論に持ちこみ、 鉄道整備の物理的な代替案と補助・料金政策といった経済的な問題をリンクさせ、影響が都市 交通システム全般に及ぶ複合的な政策課題を分析可能にする意義がある。 第2部では、自動車との競合を考慮した都市鉄道の次善料金形成モデルに対する計算手法を 構築し、数値分析によって各種の都市鉄道整備に関する政策問題を検討している。まず、第5 章では計算手法を構築しヾ仮想的な都市交通システムに対して数値計算を適用して計算手法の 妥当性を検討するとともに、道路混雑現象を内生化した料金形成により、混雑を考慮した利用 者の選択行動に対する誤認を防ぐことで、改府の規制を失敗させる要因の1つを回避できるこ とを示している。第6章では、都市鉄道に対する補助政策について分析している。前半では、 外生的に与えられる補助金の変化が都市交通システム全体に波及するメカニズムを示している。 後半では、道路混雑緩和効果と自動車利用者の費用負担を連動させることにより、全ての交通 利用者の費用負担が低下するパレート改善が達成されるケースがあることを示し、自動車利用 者の費用負担が効率性の面だけでなく、公平性の観点からも肯定される可能性があることを示 唆一した。第7章の分析では、自動車利用者の都市鉄道整備に対する費用負担は排出ガスを削減 し、かつ道路混雑を解消する原因者負担・受益者負担の原則にかなった政策であり、全ての交 通手段の利用者の厚生を高める可能性があることを示し、温室効果ガス排出を抑制するための 政策的な示唆を提供している。 自動車に偏重した都市交通システムを適正化するため政策が模索されている中で、その具体 的な手段として期待されている都市鉄道整備に対して都市交通システム内での費用負担方法を 含めた政策的示唆を提供する手法を構築した本論文の意義は大きく、学位論文として認定に値 すると判断した。

最終試験結果の要旨

土木計画学に関連する専門的知識および学会・学術雑誌等への論文公表状況について口 頭試問を行った. その結果,論文提出者は学位を授与するに十分な専門的知識を有し,学位論文の内容に 関する学会発表・学術雑誌への公表も行っているので,最終試験を合格と判定した.

参照

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