Title
ウズラオボインヒビターおよびウズラオボトランスフェリ
ンのリンパ球増殖抑制特性に関する研究( 内容の要旨 )
Author(s)
小田嶋, 真里
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第200号
Issue Date
2000-09-08
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2541
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 ■学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 小田鴫 美 里 (愛知県) 博士(農学) 農博甲第200号 平成12年9月8日 学位規則第4条第1項該当 連合農学研究科 生物生産科学専攻 信州大学 ウズラオボインヒビターおよびウズラオボトラ ンス フェリンのリンパ球増殖抑制特性に関する研究 主査 信 州 大 学 教 授 大 谷 冗 副査 信 州 大 学 教 授 細 野 明 義 副査 岐 阜 大 学 教 授 金 丸 義 敬 副査 静 岡■大 学 教 授 森 厳 論 文 の 内 容 の 要 旨 鳥類の卵には種々の生物活性を有するタンパク質が含まれている。それらの中でも、オ ボインヒビターおよびオボトランスフェリンは卵管で合成される分子量約53,000および 約76,000の糖タンパク質である。オボインヒビターは細菌の生産するプロティナーゼを 阻害することに.より、また、オボトランスフェリンは鉄イオンと強く結合することにより、 ともに抗菌活性を示すことは古くからよく知られたところである。一方、最近、本学位論 文め提出者である小田・嶋が所属する研究室において、コンカナバリンAやフィトヘマグル チニンなどのT・リンパ球マイトージェンで誘導されるマウス牌臓サリンパ球の増殖をウ ズラオボインヒビターとウズラオボトランスフチリンは強く抑制することが見出された。
そこで、ウズラオボインヒビターおよびオボトランスフェリンのリンパ球増殖抑制括軽に
ついて特性づけを試みたのが小田鴫論文である。 すなわち、小田嶋論文は5牽から構成されており、最初の章(第1章)■においては研究 の背景や意義が詳細に述べられている。・第2章では、ウズラオボインヒビターはコンカナバリンAやフィトヘマグルチニンなど
の㌣リンパ球マイトージェンで誘導されるマウ不牌臓サリンパ球の増殖だけではなく、リ ボポリサッカライドやポークウイードマイトジ主ンなどのB・リンパ疎マイトージェンで 誘導されるマウス牌臓丑・リンパ球の増殖も抑制す号ことや、ウズラ㌣、B・両リンパ球のターがマイトージェンに結合し、マイトージェンがり・ンパ球に結合するのを阻害すること により、オボインヒビターは見かけ上のリンパ球の増殖を抑制していることが考えられる。 そのために第2章では、オボインヒビターはフィトへマグルチニンやポークウイードマイ
トージェンと結合能を持たないことを示すことにより、オボインヒピグーによるマイトー
ジェン誘導リンパ球増殖抑制作用は見かけ上の抑制ではないことを示している。さらに、 オボインヒビターはリンパ球の生産するプロティナーザ活性を阻害することを示すことに ょり、オボインヒビターはリン六球の活性化や増殖に必要なプロティナーゼ活性を阻害す 卑ことによりリンパ球の増殖を抑制していると結論している。加えて第2章では、オボイ ンヒビターをマウス牌臓細胞培養系に高濃度で添加するとリンパ球の増殖が抑制されるだ けではなく、リンパ球にネクローシスが誘導されることを示している。 第3章では、ウズラオボトランスフェリンのリンパ球増殖抑制作用を、ニワトリオボト ランズフェリ..ン、ウシセロトランスフェリンおよぴウシラクトトランスフェリンなどのト ランスフェリンファミリータンパク質がリンパ球の増殖に及ぼす影響と比較検討した緬果 を示している。第3章で用いた4種のトランスフェリンファミリーのタンパク質はいずれ もマウス牌臓でおよびB・リンパ球の増殖を抑制するが、その抑制活性はウズラオボトラン スフェリンが最も強いことを明にしている。また、それらトランスフェリンファミリーの タンパク質によるリンパ球増殖抑制活性は、それらのタンパク質が鉄結合能を有すること とは無関係であることや、ウズラおよびニワトリオボトランスフェリンはセロトランスフ ェリンやラクトトランスフェリンとは異なり、リンパ球に対して細胞傷害活性を有するこ とを示している。なお、第2章で示したオボインヒビターの場合と異なり、ウズラオボ■ト ランスフェリンはウズラリンパ球の増殖は抑制せず、ウズラリンパ球の増殖に対してはむ しろ促進する傍向にあることを示している。 さらに第4章では、ウズラオボトランスフェリンのマウス牌臓細胞に対する細胞傷害活性につ」、て詳細に検討した結果を示している。すなわち、ウズラオボインヒビターはウズ
ラリンパ球には細胞傷害を誘導しないが、マウスサリンパ球、マウスB・リンパ球およびヒ ト白血病性サリンパ球の株化細胞であるJ止at細胞に細胞傷害を誘導することを見出して いる。また、ウズラオボトランスフェリンにより細胞傷害を受けたリンパ球はクロマチン の凝集やDNAの断片化を生じることを示すことにより、ウズラオボトランスフェリンは それら細胞にアポトーシスを誘導していると結論している。-一方、ウズラオボトランスフ ェリン分子上のリンパ球傷害帝性誘導部位を検索し、.活性を有するフラグメントとしてC・ ロープを分離精製している。また、細胞傷害活性の発現にはC・ロ'■-ブのべプ≠ド鎖と糖鎖 の双方が関係していると結論づけている。最終章(第5章)では、第2章から第▲4章までの癌果を総括するとともに、得られた結
果の意義について考察し、本論文で見出したウズラオボインヒビターやオボトランスフェ リンのリンパ球増殖抑制作用が我々の生活において有効に利用されることを期待して論文 を結んでいる。審 査・結 果 の 要 旨・
ウズラ卵に含まれるオボインヒビターとオボトランスフェリンは、卵管で合
成される糖タンパク質であり、抗菌活性を有することは古くからよく知られた
ところである。一方、最近ヾ
申請者の所属する研究室において、これらの.タンパク質はマウ
スでリンパ球の増殖を抑制する土とを見出した。そこで申請者軋両タンパク
質のリンパ痍増殖抑勧作用を特性づけることを目的として研究を行なった。申
請者が得た実験結果の主要なものは以下のとおりである。
1.オボインヒビターおよびオボトランスフェリンともに細胞培養系におい
て、低濃度ではマウスT-、B・両リンパ球の増殖を抑制し、高濃度ではそ
れらの細胞に対して細胞死を誘導することを示した。
2.オボインヒビターはウズラの・T、B・両リンパ球の増殖も抑制するが、オ
ボトランスフェリンはウズラのリンパ球の増殖には影響を与えないこと
を示した。 3.オボインセビターによるマウスリンパ球の細胞死はネグローシスの誘導
によるものであり、オボトランスフェリンによるそれはアポトーシスの誘導であることを示した。
4.オボインヒビターによるマウスおよびウズラリンパ球機能の抑制は、リ
ンパ球の生産するプロティナーゼ活性をオボインヒビターが抑制するこ
とに起因することを示した。
5.オボトランスフェリンによるマウスリンパ球機能の抑制は、オボトラン
不フェリン分子のC一口ーブにより発現されるものであり、C一口ーブの糖
鎖とペプチド鎖の双方が関係していることを示した。
以上の結果鱒、ウズラ卵管で合成され、ウズラ卵中に分泌されるオボインヒ
ビターとオボトランスフェリンの新規の生物活性を明らかにしたものであり、
高く評価できる。このことから審査委員会は、小田嶋論文は岐阜大学大学院連
合農学研究科の博士学位論文iこ催するものと判定した。
[学位論文の基礎となる学術論文]
1.Otani,H.and Odashima.M.:Inhibition
ofpro雄rative
responses of mQuSe SPleenbTmPhocytes
bylacto・and'OVOtranSferrins,才bod and2.Odashima.M.,Thkano,R,and Otami,且:Inhibitory propertie白 Of Japanese quailovoinhibitor towardlymphocyte prohferations,AnLt21al