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マグロ延縄漁具の構造による漁獲性能に関する研究(第2報) : 釣鉤4本附、5本附マグロ延縄漁具の操業試験結果について

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Academic year: 2021

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(1)

マグロ延縄漁具の構造による漁獲性能に関する研究

(第2報) : 釣鉤4本附、5本附マグロ延縄漁具の

操業試験結果について

著者

盛田 友弌

雑誌名

鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of

Fisheries Kagoshima University

5

ページ

36-41

別言語のタイトル

Studies on the Catch Efficiency Derived from

the Difference in the Construction of Tuna

Long-Line Gear (II) : On the Results of

Fishing Test of Tuna Long-Line with 4-Hook

Gear and 5 Hook Gear

(2)

36

マ グ ロ 延 繍 漁 具 の 構 造 に よ る 漁 獲 性 能 に

関 す る 研 究 ( 第 Ⅱ 報 )

釣鈎4本附,5本附マグロ延細漁具の繰業試験結果について 盛 田 友 二 t

StudiesontheCatchEfficencyderivedfromthe

DifferenceintheConstructionofTuna Long-LineGear(Ⅱ) −OntheResultsofFishingTestofTuna Long−1inewith4−HookGearand5−HookGear--TomokazuMoRITA 1 . 緒 言 本試験は本学部実習船敬天丸(265屯,500馬力)が1956年1月26日∼同年2月15日の間, 印度洋東部海域(6・-00'S∼14。-30'S,95.-00'E∼05。-00'E)におけるマグロ漁場の調査の際 に実施したものである.この時の繰業は15回であり,毎回300∼350鉢の漁具を使用しており, その内毎回平均64鉢の釣鈎4本附漁具を5本附漁具の中に任意に混入して,同漁場で同時 に操業試験をなしたのである.この試験において,毎回両漁具の互に隣接する細鉢について, 各々50鉢分の漁獲資料を用い,両漁具の漁獲性能の優劣に関して検討を試ふたのである.又こ れに関連して両漁具における釣鈎の結着位置別漁獲状況を調べ,釣釣の深度別漁獲差の要因に ついて実験的資料・による検討も行ったのである. 2 . 試 験 漁 具 マグロ延縄漁具は一般に枝間を等間隔となし,釣鈎を5本附けた漁具が多く使用されてい る.この漁具における釣鈎ごとの漁獲の良否は第1報(1)で報告したようにいずれの漁場におい ても,ほとんど釣鈎が深くなるに従って好漁となり,特に浮標近くの釣鈎(Fig.1の①,⑤釣) は他の3本の釣鈎(Fig.1の②,③,④釣)に比して,その漁獲は極めて不漁となっている.こ のような傾向は今回の操業試験においても窺知されている.(第1報) この点を考慮して,各浮標とそれに隣接する釣鈎との間隔を他の部分の約2倍として釣鈎 4本附漁具をFig.1.Aのように試作したのである.釣鈎5本附漁具は従来と同様で,Fig.1.Bに 示すようである.即ちこの場合の4本附漁具は5本附漁具の枝間を1間だけ増して6本附漁具 の構造となし,その構造において浮標近くの枝細2本をはずして4本附漁具としたのである. 故に幹縄の全長は4本附漁具の方が1間(約40m)だけ長く構成されていることになる. これら構造を異にする二種の漁具を同時に混用した場合において,両漁具が互に隣接して連 結されている部分から夫々50鉢分の漁獲資料を示せばTablelのようである. なおマグロ延縄漁具は実験の結果(2),海水中において略々Catenary形状をなすものと考えられ ている.Fig.1.A,Bは今回の操業において比較的正確に測定された短縮率の平均値でcatenary

(3)

3 . 漁 具 別 漁 獲 差 Tablelにおける釣鈎4本附,5本附両漁具の漁獲資料は前記のように毎回ほとんど同一条 件のもとで試験された結果であると考えられる.故にこれらの資料によって両漁具の漁獲差の 有意性について検定し(4),両者の優劣を検討したのである. 両漁具による毎日の漁獲差及びその平均,標準偏差を求めると

Date('56,F.h)345678101112131415Total嚇謡淵:(so)

4 0 ( Y − X ) * 7 − 7 − 1 − 1 1 0 5 0 − 5 0 − 3 3 0 8 0 . 6 7 4 8 9 *Numberoffish. 盛田友弐:マグロ延細漁具の構造による漁獲性能に関する研究(第Ⅱ報) 37 、 の計算(3)をなし,幹綴の形状を画いたものである.これらのFig.1によれば釣鈎4本附,5本附 両漁具とも,その釣鈎は幹細上の結着位置によって,各々深度が相当異っているのが窺われる. Table1.Resultsofinquiryby4-hookgearand5-hookgear. Total 5-hookgear(Y) 4−hookgear (X) 凸 。 ‐ ー l ■ ■ ● 217 Date Hooknumber Hook number Total Total 842519444644−7

1−6

422310633582−9

1−4

(1)’(Ⅱ) (Ⅲ) (Ⅳ) ① | ② ③ | ④ | ⑤ 321243313240−肥 151342151231 622745186574−5 ︾5 ⑤ q J 232121011122−肥 A、4−hookgear B5-hookgear Fig,1.Showingformsofcatenaryoftunalong-1ineinsea-water・ Remark:ByresultsoffishingtestinthelndianOcean inJanuaryl956. 600923427222 121112121221 Remark:Showingresultsoffishingby50-basctesofeachgear 6 6 1 2 9 1 2 0 9 345678012345 111111 ● b e F〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 6 5 9 1 245133335444−1 −4 339828477952 21122111121 763612566975−3

1︾7

655546585782

(4)

Factor 38 鹿 兇 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 号 となる.しかして両漁具間に漁獲上の差異がない(伽=0)と仮定して,fO*を計算すると fo=0.645<2.201(5%−〃=11) となるので,両漁具間に漁獲上の差異があるといえないことになる.なおこの場合,両漁具は いずれも毎回50鉢分の資料を用いたのであるから,漁具別の漁獲の優劣を調べたことになる. 故に前記のように両漁具間の漁獲上有意の差のあることが認められないならば,漁具の操作上 及び漁具資材量などの点において,釣鈎4本附漁具の漁獲性能が5本附漁具よりも優れている ものと思考される.しかしてこの要因についてTablelを調べると,一般に釣鈎5本附漁具の ①,⑤釣が極めて不漁となっている. 4.釣鈎の深度別漁獲差 第1報においては,漁場ごとに同一構造のマグロ延縄漁具で操業した結果について論じたの であって,その結果によればいずれの漁場においても,ほとんど釣鈎が深くなるのに従って好漁 となっているのである.しかして今回は構造を異にした釣鈎4本附,5本附の両漁具を同時に 互に連接し,しかも極力両者が同一条件のもので操業されるようにして試験した結果によって, 釣鈎の深度別漁獲差を検討したのである. 今回の操業試験の結果においても,両漁具を別々にしてみると,Tablelのように釣鈎が深く なるに従って好漁となっており,第1報の場合と同様な傾向(')が窺知される,しかして両漁具 を一諸にして釣鈎の深度別に,その漁獲を観察すると必ずしも前記のように論ぜられないよう である. 釣鈎別漁獲差:釣鈎4本附,5本附漁具の最下位の釣鈎は夫々(Ⅱ),(Ⅲ)及び③であり,これら の釣鈎に関する毎日の漁獲尾数の平均値に有意の差があるかについて検定(4)する.先づ釣鈎 別に3組の漁獲資料となし,この組の間には平均値の差がないという仮説をたて,その分散 比(F)を計算するとTable2のようになる. Table2.Calculationofvarianceratio(F). 268 33 * Z = 7/万 S lヌー”’

即ち,F=0.263<3.25(5%一畷)である.故に組間の平均値の差がないという仮説は捨て

られないのであり,これら3組の漁獲資料・の間には釣鈎別による漁獲差があるといえないので ある. 叉両漁具における中間位の釣鈎である(1),(Ⅳ)と②,④とについて,その毎日の漁獲差の有意 性を検定する.この場合(1)と(Ⅳ)及び②と④とは夫/&rの漁具において,計・算上同深であり, 略々同一条件にあるものと考えられるので,これらの漁獲資料を漁具別に2組となし,その差 の有意性(4)について検討したのである.この両組の毎日の漁獲差及びその平均,標準偏差を算 出すると Degreeof freedom Variance ratio Variance Sumsquare 1.19 4.52 Sb Sw S 0.263 2.38 162.84 555.90

(5)

盛田友弐:マグロ延縄漁具の構造による漁獲性能に関する研究(第Ⅱ報) 39 D a t e ( ' 5 6 , F e b . ) 3 4 5 6 7 8 1 0 1 1 戸 − ー 〆 一 ー − − − − − − 〆 一 括 - 、 ∼ 一 入 一 − − 入 一 一 一 一 4,(Y−X)*2,5−2,−3−3,12,4−2,07,33,00,3

12131415TotalMean価)誰瀦謡(S,)

/ 画 一 墨 一 〆 一 八 一 一 = 入 一 〆 一 人 − −2,51,34,4−2,3361.502.81 *Numberoffish

となる.しかして両組間には漁獲_この差異がない(”,=0)という仮説を立て,f,*を計算すると

f,=2.616>2.069(5%一〃=23)

となるので,両組間には漁獲上有意の差のあることが考えられる.故にこの場合の”,叢*の範囲

を計・算すると 棚=1.50士1.19(5%一〃=23)

となる.故に95%の信頼限界において,両組間の漁獲差の平均値は1.50士1.19である.しか

してこの検定資料は釣鈎4本附,5本附両漁具の各50鉢分のものであり,釣鈎(1),(Ⅳ),②,④

は各鉢夫々1本しかないので,結局毎操業における釣鈎50本に対する漁獲尾数について,漁具

別の差の有意性を検定したことになり,故に5本附漁具の②,④釣は4本附漁具の(1),(Ⅳ)釣

よりも,夫/々釣鈎50本に対し平均0.31∼2.69尾だけ多く漁獲されるといえるのである.

釣鈎の深度差:釣鈎4本附,5本附両漁具の最下位の釣鈎は夫を(H),(Ⅲ)及び③であり,中

間位の釣鈎は(1),(Ⅳ)及び②,④である.これら釣鈎の漁具別の深度差について検討を試承る.

しかしてこれら釣鈎の(Ⅱ)と(Ⅲ),(1)と(Ⅳ),②と④とは夫/ミwcatenary計算において同深と

なるので,最下位の釣鈎は(Ⅱ)と③,中間位の釣鈎は(1)と②との深度差の平均値について検定(4)

する,夫を両釣鈎の深度差及びその平均,標準偏差を計算すれば次のようである.

Date('56,Feh)345678101112131415TotalMeanの謡溌謡(S)

42((Ⅱ)一③)*15151421201414241923171421017.503.72

43((1)一②)*555774587975746.171.70

*Depthofhook(、)

上表において,一応(Ⅱ)釣は③釣より,(1)釣は②釣より夫々深度が常に大きくなってい

ることがわかるので,その深度差の平均値の範囲(”2,”3)*窯を計算すると

伽=17.50士3.34(1%一〃=11) ”3=6.17士1.52(〃)

となる.故に99%の信頼限界において,(Ⅱ),(Ⅲ)釣は③釣より14.16∼20.84m深く,(1),

(Ⅳ)釣は②,④釣より465∼7.69m深いのであるといえる.即ち最下位及び中間位いずれの釣

鈎も,4本附漁具の方が5本附漁具より深くなっていることがわかる.

以上は両漁具の釣鈎別の深度差,漁獲差の有意性を検討したのである.これらによれば両漁

具の最下位の釣鈎(Ⅱ),(、)及び③は漁具別に比較的大きな深度差(14.16∼20.84m)があるの

に,その漁獲差には有意性が認められないのである.叉両漁具の中間深度の釣鈎は5本附漁

具の②,④釣が4本附漁具の(1),(Ⅳ)より浅く(4.65∼7.69m)なつているのにか上わらず,

前者の②,④釣の方が後者の釣鈎より好漁(釣鈎50本に対して平均0.31∼2.69尾)となって

いるのである.

=

'

(

(6)

40 鹿 児 島 大 学 水 産 学 部 紀 要 第 5 巻 創 基 十 周 年 記 念 ・ 号 しかしてこれら両漁具は前項で述べたように同漁場において,同時に互に連接して実験した 資料である.故に以上のような結果によれば,マグロ延縄の海水中のcatenary形状におい て,その釣鈎の深度差の範囲位の水層内では,マグロの溝泳密度は殆ど変りなくて,それが釣鈎 別漁獲差に大きく影響しているとは考えられなく,その要因は他にあると考えるのが妥当であ ろう.しかしてこの要因について,次項のように各釣鈎に対するマグロの摂餌反応を考えてゑ たのである. 5.各釣鈎の摂餌反応 4本附,5本附両漁具の各釣釣は幹細のcatenary形状におけるその結着位置によりマグロ の摂餌反応が夫々異なるように考えられる.即ち両漁具の最下位の釣鈎はいずれもマグロ類の 摂餌に対する障碍度が最も少ないように考えられ,このため釣鈎に多少の深度の差異があって も同一漁場においては,その釣鈎別の漁獲差のあることが認められないのであり,且つ他の上方

の釣鈎よりも常に好漁となるものと考えられるのである.叉両漁具の中間位の(1),(Ⅳ)釣及び

②,④釣はFigl,A,Bにおいてもふられるように,(1),(Ⅳ)釣はその結着されている幹細から

割合に離れ,幹縄の最下点より多少下方に出ているため,その幹細によるマグロの摂餌に対する

障碍度は比較的少ないものと考えられる.叉②,④釣は(1),(Ⅳ)釣よりその幹細に接近し,且つ

幹縄の最下点より幾公上方にあるので,その摂餌に対する障碍度は(1),(Ⅳ)釣の場合に比して

大きくなるものと考えられる.故にこれら釣鈎に対する摂餌反応は5本附漁具の②,④釣が4 本附漁具の(1),(Ⅳ)釣に比して大きくなり,前者の釣鈎が後者のそれより幾分浅くなっても, その漁獲は前者の②,④釣の方が好漁となるのであろう. 即ち以上によりマグロ延縄漁具の釣鈎別漁獲差の要因はマグロの溝泳層における魚群の密度 によるものと考えるよりは,むしろ各延細の構造にともなう海水中のcatenary形状における 各釣鈎位置に対するマグロ類の摂餌反応の差異によるものと考えるのが妥当であろう. 6 . 要 約 Figl.A,Bのような構造を異にした釣釣4本附,5本附両延縄漁具の各50鉢を略々同様な 条件のもとで同時に操業試験をなした結果は次のようである.

(1)Tablelにおいて,両漁具による毎回の漁獲尾数の差異について,その有意性を検定し

て承ると,計算の結果有意の差は認められなく,即ち両漁具間には漁獲上の差異が認められな いのである.故に漁具の操作及び漁具資材などの点から考え,釣鈎4本附漁具の方が5本附漁 具より優れていることになるであろう.

(2)両漁具による試験結果を一諸にして,釣鈎別の漁況をゑると,両漁具の最下位の釣釣は

多少の深度差があっても,その漁獲差には有意性が認められなく,且つ他の釣鈎より好漁とな

っている.叉両漁具の中間位の釣鈎は5本附漁具の方が幾分浅所にあるにかょわらず,その漁

獲は同漁具の方が好漁となっている.即ち延縄漁具の釣鈎の深度範囲ではマグロの淋泳密度差

は余り認められなく,故に釣鈎別の漁獲差の要因はマグ画の溝泳層の影響によると考えるより むしろ他にその要因があるものと考えるのが妥当であろう. (3)両漁具の最下位の釣鈎はマグロの摂餌行動に対して,最も障碍度が少なく,他の釣鈎よ り好漁となるものと考えられる.叉中間位の釣鈎は5本附漁具の方が4本附漁具よりも摂餌行 動に対する障碍が少なく,比較的好漁となるのであろう.即ちマグロ延縄漁具の釣鈎別漁獲差

(7)

盛田友弐:マグロ延細漁具の構造による漁獲性能に関する研究(第Ⅱ報) 41 Iまその構造にもとずく海水中のcatenary形状における釣鈎の位置別摂餌反応の差異による ものであろうと思考される.これにより今迄のマグロ延縄漁具の構造について再検討をなし, その改良試験をなす必要があると考えるのである. 終りに臨象,本研究をなすに当り種々御教示を賜わった藤田助教授並に多くの貴重な資料・を 提供して下さった敬天丸の源河船長初め乗組員各位に対して,深甚なる敬意と謝意を表する次 第である. R 6 s u m 6

Afterperformingunderthesamecondition,someexperimentsontheoperation

ofthetwokindsoftunalong−1inegearattachedwith4-hookand5-hookrespec‐ tively,thefollowingresultswereobtained、 1)Consideringthroughthestatisticalinquiry,4−hookgearwasascertainedto besuperiorto5-hookoneintheanglingefYicency、

2)Inthecatenarystateoftunalong-linegear,norelationbetweenthefluc‐

tuationincatchandthedepthseemedtobedetected;while,thefluctuationin

catchwasconsideredtobeattributedtothevaryingeatingreactionoftunato

theeachhook,whichkeepssomecorrespondencetotheshiftingconnectingposition

ofeachhookinthemainline. (1) (2) (3) (4) 文 献 盛田友尤:マグロ延蝿漁具の構造による漁塵性能に関する研究(第1報),本誌,5巻(1956) 盛田友弐,藤田親男,田ノ上豊隆:マグロ延細の細成りについて,本誌,4巻(1955) 吉原友吉:マグロ延棚の漁塵分布Ⅲ∼Ⅳ,日水誌,16巻8号(1952),19巻10号(1953) 寺田一彦:推測統計法(1952)

参照

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