はじめに
「鶴の葬式」
『鵡の葬式』は、 昭和八年から九年にかけ て創作された詩を編集 して出来上がった詩 集である。 r帆・ラン ブ ・閾 J の処女詩集 のあとに、 創作されたものばかりであると ころに、第一詩集の後の丸山の気持が伺え るのである。 三十一編の詩を四つに区分け して、 短い詩から、 長い詩へと順々に広が っていく構成を採っている。 「暁」から始 まって、 四つ目の区分けを「洋燈の思い出」 の散文詩―つで締め括ってこの詩集は終わ ろのである。 基本的には、 詩 型はr帆・ラ ンプ ・閾」の延長線上にあり、 散文詩が わ ずかに三編で、 他は全て自由詩であるが、 入間に関わった詩編は、 「家」一編であり、 丸山薫が後、・意誰的に取り扱うように なっ下河部行輝
た、 所謂、 丸山の言うところ の 「物象」の の葬式』の「部」は特別な意味を 込めてい 世界と丸山の心の中での対話に終始してい るとしか考えられない。実際 、 「 詑」 に関 る。 語彙においても、 ランプに関したもの したものは、 詩題に掲げられた「紐の歌 」 をおりこんでいるものが多く、特に、第一 と「鶴の葬式」との中で採り上げられてい 区分の九編の詩編のうち、 六編において 、 ろ「物象」は氷柱と雲なのであって 、 そ れ ランプに関した語彙が折り込まれている。 らに、 鶴の幻影を託しながら、 己の悲哀を カンテラ(「暁」)、 アーグ燈(「光」)、 うたいあげていろのである。 語槃、 「記」 洋 燈 (「夜」、「郷愁」 )、ラ ンブ(「墜」、 が取り入れられた詩編を見 ろと、 「地と天」 「影」)という具合であり、 第二区分以下 .「家」であり、 このうち、 鶴そのものをそ においても 、 洋燈(「翼」、「燦」、「勺幕」)、 の ま ま詠み込んでいるのは、 「家」だけで 舷燈(「挿話」)、 碇泊燈(「大江」)、 あり 、 幼少期における思い出としての〔庭 角燈(「秋」)、 ランプ(「峠」)と言う の鶴〕なのであって、 昭和八、 九年の丸山 ように、 十三編の詩の中にはめこまれてい の実際の生活、 生き方と関わったものでは る。 そして、 最後の第四区分に至っては、 ない。 烏と してはむしろ、 他の烏が詠みこ 散 文詩の「洋 燈 の思い出」という長い詩で まれており、 鵠(「酒宴」、 「哀低」、 締め括っていろのであるか ら、 詩集のr鶴 「屋根」)、鵞ベン(「郷愁」)、閾.(「翼」、索引を編むにあたって
語彙索引
-90-「崖」、 「波と泡」、「入江」)蝙蝠(「挿 話」、 「夕暮」)雁(「暁 」 )というと こ ろで、 悶が四編に嵌めこまれているのであ って、 帆も、「挿話」「酒卓の歌
n
」にみ .られ、 やはり、 この「鶴」は、 詩編、 「家」 にみられるところの「いつのまにか 庭の 鶴も没った」という「鶴」でもあるが、 丸 山自身であり、 過去へのノスタルジァでも あって、夢敗れた丸山の 生命を燃やすとこ ろの対象であった、また生き甲斐とすべき 対象が庇壊して いくところのデフォルメさ れた姿なのである。詩編としては、 処女詩 簗のr釈・ランブ ・闘』の余韻の漂ったも のと解せられる。 この時期の丸山にとって、 支えとなっていたのは、幼少の思い出と自 分の 夢の崩壊していった、 思い出しては、 辛·悲しい夢、 永久に叶えられることな い断たれた希望、破壊された 夢 の残骸を心 の中で玩ぶだけであって、 これらの詩編は、 丸山が心の中に収め切れないものが、 にじ みでたもので、 それが詩という形をしたも の と思わざるをえない。丸山がこのような あがる(上)〔動〕 〔用〕起き上って↓一ー“ あかるい(明)〔形〕 〔用〕明ろく あ け (明)〔名〕 明け方↓-|103 あけかかろ(明け かかる)'〔動〕 〔用〕 明けかかった 一171 あけがた(明け万) 〔名〕ー1.66
| 103 あたり(辺)〔 名〕 あたり あたり(当)〔名〕突きあたり↓―|102 あつけない(呆気)〔形〕 〔用〕あつけなく ―_105
あと(後).〔名〕あと 一ー99 あの(彼の)〔連体〕あの あたえる ( 与)〔動〕 〔未〕興えられた l — laz 〔用〕青ざめた光 一ー82.86. -|94 あおざめる(育ざめる)〔動〕一
L104 あせちれんらんぷ(アセチレンランプ) 〔名〕i|104 あーら(アーチ)〔名〕 あう .. (遭)〔勁〕 〔用〕巡り遭ったや う に↓一ー104 あえぐ(喘).’.〔動〕 (体〕喘ぐ軋りに-I
邸 -|86ぁ
-165
世界から飛翔するのは、 r幼年」2
日集」 のあ とで なければならなかったのであろ。 なお、 凡例は「閲文論稿第十号」を参照し て戴きたい。 あ!くとう(ア ー ク燈)〔名〕 あける(明)〔動〕 〔用〕明けかかった↓一—71 あげる(上)〔動〕 ., 〔用〕,見上げて↓―|96 ,〔終〕攘ぎ上げる↓一198 あげる(挙)〔動〕 〔用〕學げて 一ー102 U 仮〕敷へ畢れば↓l_105
あさ.(朝)〔名〕一ー97 あせちれん(アセチレン)〔名〕 アセチレン・ランプ↓一ー104 暁万 -182-91--|95 雨霧↓一ー93 あらし(嵐)〔名〕馳風一ー76 ある(有)‘〔動〕 〔未・補〕わかろであらう一1104 とり代へられたであらう一ー 5
。
ー
〔用〕在った 雨水↓一192.92 あめ(雨)〔名〕一ー71.88.g.98 あまろ(余)〔動〕 〔用〕あまった-r%
し‘
あまみず(雨水)〔名〕一ー92.92↓うす -|88。
一ー 10 あまぎり(雨霧)〔名〕一193 C 終〕溢れる あふれ あぷら(油)、〔名〕 あふれでる'(溢出) . 〔動〕・ 〔用〕溢れ出てしまった・'-|67 あふれる(溢).〔動) 〔用〕溢れて-J
⑮”、
6 溢れ出て↓―|-.
164
103..
104 104 あろく(歩)〔動〕 〔用・,補〕希望であったらう 掛けてあり 掠へてあり 〔終〕感情がある 見ることがある一ー104 ものがある一11049 〔終・ 補 〕かぷせてある . .筈である ものであろ 2 一ー IO l_102 可哀さうである―|103 5 l| IO 〔体〕在ろまま 一ー95 -|99 背丈くらゐあろ太い竹筒一ー102 憶えのある種目ー1102 癌験のある人一ー104 唄にある、・・・略・・・灯―_105 〔体・補〕皿いてあるのは一1102 利器であろに反して―|105 動物であるかのやうに一ー105� �
I I 102 96 3 あったらうしl_10 i1104 5 -| 10 あって あったら 一ー74 いえ(家)〔名〕 いかり(錨)〔名〕 いかる(怒)〔動〕 一ー79 謂ふところの | -93 ! • 103 102 いう(言)〔勁〕 〔体〕いふものtヽ
-|104 -|86 U 用〕歩いてきて 歩いてきた 歩いてゐる一ー87 あれ(彼)〔代〕あれから あわ(泡)(名〕一ー79.79 あわい(淡)〔形〕 〔体〕淡いランプ あ わただしい(慌)〔形〕 〔体ご慌しい光―_104 あわてる(慌)〔動〕 〔用〕狽ててl|103 あんざいふゆえ(安西冬衛)〔名)一ー103 あんてい(安定)〔名)安定装牲↓―_116 あんていそうち(安定装磁)〔名 J 一ー105 -|85 -|68 -|76-92-いし(意志)〔名〕一ー” いしだたみ(石昼)〔名〕斑 いたましい(痛)〔形〕 〔体〕痛ましいが 怒り .1104 一 ー88 ーー97 〔用〕 ーー95 いき(息)〔名〕 溜め息↓ 一 179 いきずく(息衝)〔動〕 〔用〕息づいてゐる 一 199 • い きどおり(憤 ) .〔名〕憤り 一ーIOO いく(行)〔動〕 〔用〕 行きたい 一 1105 通りぬけて行った一167
am
.補〕流れて行った 一 ー80 とんで行った 一ー“ 逃れて行った 一ー95 とって行った 一ー96 出て行った 一1随 〔用・体〕飛んで行くのでは 一1103 かくれて行く船 ―J105 いくつ(幾個).〔代〕いくつも 一ilm いこむ(射込)(動〕 . 〔未〕射込まれるたびに いたわろ(労)〔動〕 〔用 〕努わり据でさすり た い 一 1 105 いらと(苺 ) 〔名〕苺色↓ l ー 103 いちCいろ(苺色)〔名〕 一 ー103 いらじ(一時)〔副〕 一 ー103. いらばん( 一 番)〔副〕 いらばん狽てて 一 1102 いちわ(一羽)〔名〕一ー“ いつ(何時)〔代〕いつ ー180.96 いつまでも(何時迄)〔副〕 . いつまでも .一—76 ゾ いっしょ(一緒)〔名) 一 ー85 いっそう(一層)〔副〕いっ そう 一 ー99 いったい(一体)〔副〕いったい 一 1100 いっぱい(一杯)〔名〕いっばい 一 ーIOO いつびき( 一 匹)〔名〕―-ー91 いつぼん(-本)〔名〕一IOO ' いと ( 絃)(名〕げん↓ー170 いとう(厭)〔動〕 〔体〕世を厭ふ容貌の 一191 いなか(田舎)〔名〕田舎家↓―_印 いなかや(田舎家)〔名〕一1104 歌つてゐた-169
背にゐた 〔用・補)揺れてゐた 駒いてゐた -166 ーー93 ゐた -191-177
いのり(薦)〔名〕一ー100 いのる(祠)〔勁〕 . 〔終〕禰る 一1100 いぷらす(燃)〔動〕 〔用〕居た所 -164 -|64 ー174 -|82 〔用〕燻らし いぶり(燻)〔名〕燃り いま(今)〔名〕いまは いま(今)(副〕いま居た いまもなほ い まも見ろ いまだ(未だ)〔副〕いまだ いらか(甍)〔名〕―|91.93 いりえ(入江)〔名〕 一 182 いろ(居)〔動〕 〔未〕ゐないのだらう 一190 ゐるかゐないか ・ 一 ー103- - - I
I I I 11 92 104 104 102打たれてゐろ 揺れてゐろ 思ひ惑つてゐる さすつてゐる 顔をしてゐる 〔体・補〕姿を失ひかけてゐる水 〔終・補〕匂つてゐる 歩いてゐる 燃やしてゐる I I -104 100 I 99 一ー99 -|99 失くなつてゐる 氣れてゐる ―|99 われてゐる 一ー99 息づいてゐる l199 -|99
-i
-_103 !90 -187 -|74 -|102 使はれてゐた筈である I 102 生えてゐろやうな 代表してゐろものだらう 3 -| 10 揺れてゐる孤獨の 一ー103 貼火つてゐろか 一ー103 瞬いてゐる朽薬色の 一1104 施されてゐるのも ―_105 囁いてゐる航路摂識燈など 5一1
10 いる(射)〔動〕 〔用〕射込まれろ↓ l ー97 いろ(色)〔名〕ー193.99 朽葉色↓ーー90.104 一 苺 色↓―|103 いろいろ(色色)〔名〕いろいろ いろり(園櫨裡)〔名〕一1103 いろんな(色)〔連体〕いろんなこと うすい(雨水)〔名〕―|92.
92↓あまみ -|72 うえ(上)〔名〕 うえ(餓)〔名〕餓ゑ うかぶ(浮)口動〕 〔終〕眼に浮 ―_103 ぅc
く(動)〔動〕 〔未〕動かない l ー叫 うしないかける(失欠)〔動〕 〔用〕失ひかけてゐる水 うしなう(失)〔動〕 〔用〕氣を失って 姿を失ひかけて↓一189 うしろ(後)〔名〕うしろ姿↓一ー72 うしろすがた (後姿)〔名〕うしろ姿 一ー74 -|89 -|92 2 3 3 一ー88.10.10.10 105 澄んでゐても 重賓がられてゐたらしい ー199 四かれてゐるのが 漂つてゐた 啄いてゐた 見えてゐた l198 殺してゐたい -|99I
I
-102 -102I
98 -|82-—
91 とまつてゐろやうだ 待つてゐるらしかったが 89 一ー90 う(鵜)〔名〕一ー103 二つ いんえい(陰影)〔名〕声即↓―|89翫と↓
86 一ー100-94-〔未〕打たれる 打た れてゐる 〔用〕羽 根簿 ちとんで 〔体〕打つ砂 一184 うったえろ(訴)〔動〕 〔用〕訴へたい ―.|100 -|94 えだ(枝)〔名〕―|93.8. えんにら(縁日)〔名〕一 ー 104 えすぷり(名)エス プ リ -|105 -|99 え(柄)〔名〕―|田・103 一ー75 うち(内)〔名〕仲間のうちでも うつ(打)〔動〕
え
I 103 | 105 歌ひな が ら うたがう・(疑)ご動〕 〔用〕疑つてみる -|100 ー186 歌つてゐた ―|69 歌 ひ出し↓一ー" 一ー88 うたう(歌)〔動〕 (用〕歌ひ出した↓―_65 うらぷれる(動〕 〔用〕うらぷれた うらもん(裏門)〔名〕一198 うれい(愁)〔名〕一188 うれしい(熔)〔形〕 〔体〕嬉しいやうに うら(裏)〔名〕屋根裏↓一166 衷門↓―|98 歌ひ出し-171
-|65ず
うせる(失)〔動〕 〔用〕雨水になり失せぬ↓―|92 うた(歌)〔名〕詩 ―|80 .うたいだす(歌出)〔勁〕 〔用〕歌ひ出し た -|105 -193 うつろ(映)〔動〕 〔用〕映った 一ー93 うまい (巧)〔形〕 〔用〕巧まかった 一1104 うみ(海)〔名〕―|75.80.103.105 うむ(雨霧) U 名)雨霧↓あまぎり お(尾)〔名〕一112 おいおい(追追)〔副〕おひおひに おうずる(應)〔動〕 〔用〕應じて 一1105 おおCえ(大聟)〔名〕一ー65.77 おおい(多)(形〕 〔体〕多い家 一ー102 おおう(掩)〔動〕 〔用〕眼を蛇ひ ー184 額を覆った一188 お おかた(大ガ)〔副〕一1105 おおきい(巨)〔形〕 〔体〕巨いところで お-196
-1105 おき(沖)〔名〕一ー15.105 おき(四)〔名〕置きランプ↓102.103.103 おきあがる(起上 ) 〔動〕 〔用〕起き上がって 一166 おきらんぷ(醤ランプ)〔名〕l|102.103 3 O-95-滑り墜らた↓ l ー邸 〔体〕葬ひ落ちる同想↓一ー88 〔用〕落らちらばふ↓_ー99 おらば(落葉) 〔 名〕l197 おらららばふ.(落散)〔動〕 〔 終〕落ちちらばふ おらる.(落)〔動〕 ーー99 おく ' (皿)〔動) 〔未〕醤かれてゐるのが 一1102 〔用〕四いてあるのは lー102 〔終〕置くと '-|77 おくる(送)〔動〕 〔体〕見送ろ勾配様の↓一ー86 おさない(幼)〔形〕 〔体〕幼いころ l_102 おさえきれる(押切)〔動〕 〔未〕押へきれない 一91100 おさえる(押)〔動〕 〔用〕押へきれない↓一 1100 おそらく(恐)〔副〕おそらく おきる(起)〔動〕 〔用〕起き上がって↓一ー66 I 103 一ー99 お もいまどう(思惑)〔動〕 〔用〕思ひ惑つて l|gi おと(音)〔名)一166. 68 おとな(大人)〔名〕―|96 おぼえ(党 ) 〔名)憶え おばれる(溺)〔動〕 . 〔 体〕溺れるやうに 一ー79 おもい(重)0形〕 ' 〔語幹〕重さうな 一ー103 おもい(思)(名〕思ひ出↓一ー104 おもいで(思出) 〔 名〕思ひ出 思ひ惑つてゐ ろ おもう(思)〔動〕 ,〔未〕思はれ 一1105 (用〕思った 一1100 思ひ惑ってゐる↓-|99 思ひ惑って↓一ーg 〔終〕思ふ 一ー103 おまえ(お前)〔代〕おまヘ一ー72.72 一ー81.85