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電子メールによるコミュニケーションに対する高校生の意識の構造と形成

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Academic year: 2021

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(1)電子メールによるコミュニケーションに対する高校生の意識の構造と形成                                 教科・領域教育学専攻                             生活・健康・総合内容系コース.                                    M07231D                                      川上 達大 キーワード:高校生,情報モラル,電子メール,マナー意識,利点認識,欠点認識. 1.はじめに. また,高校生の電子メールに対する意識につい.  本研究の目的は,高校生の電子メール使用に. ても,事例的にその実態を把握しているため,. 対する意識を構造的に把握し,その関連要因を. 意識の構造や相互の関連性を把握するには至っ. 検討することである。. ていない。.  高校生の情報モラルの問題が指摘されて久し.  そこで本研究では,高校生を対象に,電子メ. い。内閣府調査(2007)によれば,高校生の96.0%. ールの利点や欠点,マナー等に対する意識の実. が携帯電話を使用し,95.5%が携帯電話を用い. 態を構造的に把握すると共に,これらの意識の. たインターネット利用を経験している1)。現在,. 形成に関連する要因として,感情共有の経験(他. 携帯電話等を用いた電子メールは,もはや高校. 者の感情を理解した経験:以下,共感経験)の影. 生の日常的なコミュニケーションツールとなっ. 響を検討することにした。.. ている。この問題について三宅(2006)は,中学・. 高校・大学生の情報倫理に関する意識の分析を. 2.論文の構成. 通して,高校情報科の授業の中で情報倫理に対.  本論文は次に示す5つの章で構成される。. する問題意識を向上させることが重要だと指摘. 第1章緒論. している2)。. 第2章電子メールに対する意識の探索的把握.  高校生の電子メール使用に対する意識につい. 第3章電子メールに対する意識の構造分析. ては,鈴木ら(2008)がそのコミュニケーション. 第4章電子メールに対する意識と共感経験と. 過程の分析を行い,電子メールが対人関係の親.    の関連性. 密性に影響を及ぼすと指摘している3〕。また,. 第5章結論. 加藤ら(2008)は,大学生を対象に,テキストコ. ミュニケーションの感情面に及ぼす感情特性の. 3.研究の概要. 影響について電子メールを用いた実験を行い,.  第1章では,本研究の目的を踏まえ,研究の. 送信者の感情状態が受信者の感情解釈に影響を. 背景,先行研究の整理,問題の所在から研究課. 与えると指摘している4)。しかし,これらの研. 題を抽出し,本研究の計画と構造を示した。. 究では,主に送信者の感情が受信者に及ぼす影. 3.1電子メールに対する意識の探索的把握. 響を検討しているため,両者の感情共有が及ぼ.  第2章では,高校生の日常生活における電子. す影響については十分な検討がなされていない。. メール使用に対する意識を,自由記述の分析を. 一412一.

(2) 通して探索的に把握した。高校生541名を対象. r両向型」の水準がr不全型」と「両貧型」に. に電子メールの利点・欠点・マナー意識につい. 比べ有意に高くなり,「共有型」の水準が「不全. て自由記述調査を実施した。テキストマイニン. 型」と比べ有意に高くなった。また,マナー意. グを用いた分析の結果,「コミュニケーションの. 識では,利点認識と同様に,『両向型」と「共有. 対象」など利点認識3主題,r誤解によるトラブ. 型」の水準が「不全型」と「両貧型」に比べ有. ルの危険性」など欠点認識8主題,「相手の立場. 意に高くなった。これらの結果から,他者と感. や状況への配慮」などマナー意識5主題がそれ. 情を共有した経験を持つr両向型」やr共有型」. ぞれ抽出された。. の生徒の方が,共有経験を持たないr不全型」. 3.2電子メールに対する意識の構造分析. や「両貧型」の生徒に比べて,電子メールの利.  第3章では、第2章で得られた計16主題と鈴. 点や欠点の認識,マナーに配慮する意識がそれ. 木ら(2007)が示したr高校生のケークイメール. ぞれ高くなる傾向が示された。. 利用時に気をつけていること」項目を参考に,. 利点認識,欠点認識,マナー意識を把握する質. 4.まとめと今後の課題. 問項目を作成した。高校生728名を対象とした.  以上,本研究では,高校生の電子メールに対. 調査の結果,学年の進行に応じて利点認識が減. する意識を利点・欠点認識及びマナー意識から. 衰し,欠点認識が上昇すると共に,マナー意識. 構造的に把握すると共に,その形成要因として. が2年生において低下するV字傾向が認められ. 共感経験との関連性を明らかにした。. た。また,マナー意識に対する利点・欠点認識.  今後は,本研究の追試と共に,さらに関連す. の影響について重回帰分析を行った結果,両者. る要因の探索を進め,生徒の意識実態に基づく. が共にマナー意識の形成に因果していることが. 情報モラル教育のあり方を検討していくことが. 示された。しかし,使用頻度の少ない生徒では. 重要と思われる。. 利点認識の影響力が消失すると共に,トラブル 経験の多い男子では利点認識の影響力が逆に強 まるなど,電子メールの使用実態によって両者 の影響力に差異が生じていることが示唆された。. [文献]. 1〕 内閣府(2007)lr第5回情報化社会と青少年に関する調査」  舳p:〃www8.cao.gojp/youth/kenkyu伽uhou5/g.pdf. 2) 三宅元子(2006):「中学・高校・大学生の情報倫理意識と道.  徳的規範意識の関係」,日本教育工学会論文詩」,30(1〕,. 3.3電子メールに対する意識と共感経験との.  pp.51■58.2008 3) 木内奏・鈴木佳苗・大貫和則(2008):rケータイを用いた.   関連性.   コミュニケーションが対人関係の親密性に及ぼす影響一.  第4章では第3章で構成した質問項目を用い て,電子メールに対する意識と共感経験との関. 連性を検討した。高校生728名を対象に共感経 験のタイプ別(角田1994)に電子メールに対する. 利点・欠点認識,マナー意識の平均値をそれぞ れ比較した5〕。その結果,利点認識では,r両向.  高校生に対する調査一」,日本教育工学会論文詩,  32(SuppI、),pp.169_172.2008. 4)加藤由樹・加藤尚吾・杉村和枝・赤堀侃司(2008):「デキ.  ストコミュニケーションにおける受信者の感情面に及ぼ  す感情特性の影響一電子メールを用いた実験による検討  一」,日本教育工学会論文詩,32(Suppl.),pp.一69・172.2008. 5) 月日日豊(1994):r共感経験尺度改訂版(EESR)の作成と  共感性の類似化の試み」,教育心理学研究,42,pp.193−200..  1994. 型」と「共有型」の水準が「不全型」と「両貧. 主任指導教員 松浦 正史. 型」に比べ有意に高くなった。欠点認識では,.   指導教員 森山 潤. 一413一.

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